説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】待機状態における省電力化のために2次電池を利用可能な画像処理装置において、電源ラインを介して他の画像処理装置と連携して動作することで、2次電池の充放電の頻度を低減し、2次電池の寿命を長くする技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、通常動作状態から省電力状態に移行する際に、DC電源ラインを介して接続された外部装置から、電力供給能力を示すプロパティ情報を取得する。画像処理装置は、取得したプロパティ情報に基づいて、電源ユニットから当該画像処理装置が備えるデバイスへの、省電力状態における電力供給を制御する。具体的には、画像処理装置は、外部装置の電力供給能力の方が当該画像処理装置の電力供給能力よりも高い場合には、当該外部装置からDC電源ラインを介して供給される電力によって、高くない場合には、2次電池から供給される電力によって、省電力状態において一部のデバイスに電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MFP、プリンタ等の画像処理装置においては、その機能が使用されていない待機(スタンバイ)状態における消費電力を低減するために、いくつかの方法が用いられている。例えば、待機状態にある画像処理装置を、消費電力をより低減した省電力状態に移行させる方法として、以下の3つの方法が一般的に用いられている。第1の方法は、画像処理装置の電源をオン状態としたまま、各デバイスへ供給する電力を低減する方法である。また、第2の方法は、画像処理装置の電源をオフ状態にする方法である。
【0003】
上記の第1の方法を画像処理装置で使用する場合、通常動作状態に比べて、省電力状態においては電源の1次側から2次側への変換効率(電源効率)が極端に低下して、電力の損失が大きくなるため、消費電力を低減するのが難しい。また、2コンバータ方式の電源を使用した場合、電源効率は向上するものの、装置コストが増大する問題がある。また、上記の第2の方法を画像処理装置で使用する場合、電源をオフ状態にするために、再び電源を起動するためにはユーザに電源スイッチ等を手動で操作させるしかなく、電源オフの状態から起動するため起動時間も長くなるという問題がある。
【0004】
そこで、第3の方法として、画像処理装置の電源をオフ状態にしつつ、充電可能な2次電池を利用して必要なデバイスに必要な電力を供給し続ける方法が用いられている。例えば、特許文献1では、突然の停電等によって主電源がオフ状態となった際に、メモリの記憶内容をバックアップするために、2次電池とUSBバスパワーとの何れかによって揮発性メモリに電力を供給する技術が提案されている。これにより、当該揮発性メモリに記憶されている画像ファイル等のバックアップを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−218317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように2次電池を利用して揮発性メモリのバックアップを行う技術を用いて、上記の第3の方法により画像処理装置の消費電力を低減する場合、ある程度の時間間隔で2次電池を充電する必要がある。具体的には、2次電池の充電電圧が低下した場合には、省電力状態における電力の供給対象のデバイスに対して十分な電力を当該2次電池から供給できなくなる。このため、2次電池の充電電圧が低下した場合には、省電力状態から画像処理装置を起動して(即ち、主電源をオン状態として)、2次電池を充電する必要がある。
【0007】
特に、2次電池の充電可能な容量が少ない場合には、その充電のために省電力状態からの起動を短期間に繰り返すことになりうるとともに、2次電池の充放電を短期間に繰り返すことで当該2次電池の寿命も短くなりうる。一方で、2次電池の充放電の時間間隔を長くして、充放電の頻度を低減するために、容量の大きい2次電池を用いる場合には、当該2次電池に関連する装置コストが増大しうる。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものである。本発明は、待機状態における省電力化のために2次電池を利用可能な画像処理装置において、電源ラインを介して他の画像処理装置と連携して動作することで、2次電池の充放電の頻度を低減し、2次電池の寿命を長くする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、画像処理装置として実現できる。画像処理装置は、通常動作状態において、商用電源から供給される電力によって、画像処理装置が備える複数のデバイスに電力を供給するとともに、画像処理装置が備える2次電池を充電し、通常動作状態よりも消費電力を低減する省電力状態において、2次電池からの電力によって、複数のデバイスのうちの一部のデバイスに電力を供給可能な電源ユニットと、画像処理装置が通常動作状態から省電力状態に移行する際に、商用電源から電力が伝送される商用電源ラインと異なる電源ラインを介して接続された他の画像処理装置の電力供給能力を示す情報を、当該電源ラインを介して取得する取得手段と、取得手段によって取得された情報が示す他の画像処理装置の電力供給能力が、画像処理装置の電力供給能力よりも高いか否かを判定する判定手段と、判定手段によって、他の画像処理装置の電力供給能力が画像処理装置の電力供給能力よりも、高いと判定された場合には、他の画像処理装置から電源ラインを介して供給される電力によって、高くないと判定された場合には、2次電池からの電力によって、省電力状態において一部のデバイスに電力を供給するように、電源ユニットを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、待機状態における省電力化のために2次電池を利用可能な画像処理装置において、電源ラインを介して他の画像処理装置と連携して動作することで、2次電池の充放電の頻度を低減し、2次電池の寿命を長くすることが可能である。また、比較的少ない容量の2次電池を用いて省電力化が可能であるため、2次電池の使用に関連する装置コストを低減することが可能である。さらに、電源ラインを介して接続された複数の画像処理装置で連携して待機状態における省電力化を行うことで、各装置の2次電池の寿命を長くしつつ、当該複数の画像処理装置からなるシステム全体の消費電力を効率的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理システム100の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置101のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る直流電源回路部232の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置101における、省電力状態への移行時の動作モードを決定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置101における、通常動作状態から省電力状態へ移行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置101における、連携モードの場合に省電力状態から通常動作状態へ復帰する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<画像処理システムの構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理システム100の構成例について説明する。画像処理システム100は、複数の画像処理装置101〜104と、コンピュータ(PC)105とを備える。例えば、画像処理装置101〜104は複合機(MFP)であり、PC105はユーザが使用するパーソナルコンピュータである。
【0014】
図1に示すように、画像処理装置101〜104及びPC105のそれぞれは、交流(AC)電源コードがAC電源コンセントに接続されることで、商用電源から供給される電力が伝送されるAC電源ライン120(商用電源ライン)に接続される。画像処理装置101〜104及びPC105は、AC電源コードを介してAC電源ライン120からのAC電力の供給を受けることが可能である。画像処理装置101〜104は、通常動作状態においては、AC電源ライン120を介して供給されるAC電力によって動作する。
【0015】
画像処理装置101〜104及びPC105のそれぞれは、さらに、直流(DC)コードがDC電源コンセントに接続されることで、DC電源ライン110に接続される。本実施形態において、DC電源ライン110は、商用のAC電源ライン120、ローカルエリアネットワーク(LAN)、加入者電話回線等とは独立して設けられる。画像処理装置101〜104及びPC105は、DC電源ライン110を介して接続された他の装置(外部装置)に対してDC電力を供給することが可能であるとともに、他の装置からDC電力の供給を受けることも可能である。このように、本実施形態に係る画像処理装置101〜104及びPC105は、DC電源ライン110を介して、相互にDC電力を融通し合うことが可能である。
【0016】
画像処理装置101〜104のそれぞれは、充電及び放電可能な2次電池を備えており、当該2次電池を利用した「省電力スタンバイ機能」を備えている。本実施形態において、省電力スタンバイ機能は、装置の機能が使用されていない待機(スタンバイ)状態において、当該装置が備える複数のデバイス(負荷)のうち一部のデバイスにのみ電力を供給することで、消費電力を低減する機能である。特に、本実施形態で、画像処理装置101〜104は、省電力スタンバイ機能を実行する際に、当該一部のデバイスを、AC電源(主電源)ではなく2次電池で駆動することで、主電源で駆動する場合よりも消費電力を低減可能である。画像処理装置101〜104は、この省電力スタンバイ機能を実行することで、スタンバイ状態(通常スタンバイ状態)から省電力状態(省電力スタンバイ状態)に移行する。
【0017】
なお、以下では単に「スタンバイ状態」と表記した場合、省電力状態への移行前又は省電力状態から復帰後の待機状態(通常スタンバイ状態)を指すものとする。このスタンバイ状態は、画像処理装置101〜104が、省電力状態以外の通常動作状態において、装置の機能が使用されていない待機状態に相当し、通常動作状態の一態様である。
【0018】
本実施形態において、画像処理装置101〜104は、省電力スタンバイ機能を実行する際に、自装置が備える2次電池ではなく、DC電源ライン110を介して接続された外部装置のDC電源を利用しうる。即ち、画像処理装置101〜104は、2次電池と外部装置のDC電源との何れかを使用して、省電力スタンバイ機能により通常動作状態から省電力状態に移行しうる。また、画像処理装置101〜104は、DC電源ライン110を介して接続された何れかの外部装置が省電力スタンバイ機能を実行する場合に、当該外部装置に対してDC電力を供給することで、当該外部装置に対するDC電源として機能しうる。
【0019】
以下、本実施形態では、画像処理装置101〜104の何れかが省電力スタンバイ機能を実行する場合に、DC電源ライン110を介して接続された他の装置と電力を融通し合う動作モードを「連携モード」と称する。一方、省電力スタンバイ機能を実行する場合に、DC電源ライン110を介して他の装置と電力を融通し合わず、自装置の2次電池を使用する動作モードを「スタンドアロンモード」と称する。
【0020】
<画像処理装置の構成>
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置101の構成について説明する。なお、画像処理装置102〜104も画像処理装置101と同様の構成を有する。図2に示すように、画像処理装置101は、制御部201、ROM202、RAM203、表示部204、操作部205、FAX通信部206、ネットワーク通信部207、画像読取部208、画像処理部209、画像形成部210、及び符号化/復号化部211を備える。これらのデバイスは、CPUバス220を介して相互に通信可能に接続されている。CPUバス220は、CPUバス220に接続されたデバイス間で、アドレス信号を転送するアドレスバス、制御信号を転送するコントロールバス、及び各種データを転送するデータバスとして機能する。
【0021】
制御部201は、画像処理装置101全体の動作を制御する。ROM202は、制御部201によって実行されるプログラム、及び各種のデータ等が格納されている、不揮発性の記憶装置である。RAM203は、制御部201によって実行されるプログラムが制御部201の制御の下に展開される、揮発性の記憶装置である。また、RAM203は、制御部201のワークエリア、複写機能のための画像用メモリ領域、及びファクシミリ(FAX)機能のための画像用メモリ領域としても利用される。
【0022】
時計回路212は、時刻情報を生成してCPUバス220に出力する回路である。時計回路212は、充電機能を有さない1次電池214から供給される電力によって駆動される。このため、時計回路212は、電源ユニット230がオフ状態である場合にも、1次電池214から供給される電力によって、時刻情報を生成及び保持し続けることができる。
【0023】
操作部205は、ユーザによって操作される各種のハードキーと、表示部204の表面に配置されたタッチパネルとを備える。ユーザは、操作部205を操作することによって、画像処理装置101に対する指示を入力可能である。表示部204は、画像処理装置101における各種の情報を表示する。例えば、表示部204は、ユーザが操作部205のタッチパネルを操作する際に、操作用の情報を操作画面として表示する。ユーザは、タッチパネルを操作して、表示部204に表示された操作画面を介した指示の入力を行うことができる。
【0024】
FAX通信部206は、加入者電話回線240を介して接続された外部装置とFAX通信を行う。FAX通信部206は、FAX通信の送受信に関連する様々な機能を有する。例えば、FAX通信部206は、メモリ受信機能、タイマー送信機能、及びバッテリーバックアップ機能を有する。
【0025】
メモリ受信機能は、受信した画像データに基づく受信画像をそのまま記録紙に出力(印刷)せずに、受信した画像データをRAM203に一時的に保存して、保存した画像データに基づく受信画像をその後に記録紙に印刷する機能である。タイマー送信機能は、送信画像に対応する画像データを一時的にRAM203に保存して、予め設定された時間が経過した後に、RAM203に保存した画像データを送信する機能である。また、バッテリーバックアップ機能は、画像処理装置101が省電力状態である場合、交流電源回路部231がオフ状態であっても、直流電源回路部232からの電力によって、RAM203のFAX機能用の画像メモリ領域に記憶された内容を保持する機能である。
【0026】
画像読取部208は、原稿の表面に形成されている画像を読み取って、当該画像に対応する画像データを出力する。画像処理部209は、画像読取部208からの画像データに対する画像処理、及び画像形成部210における画像形成に用いる画像データに対する画像処理を行う。
【0027】
画像形成部210は、画像データに基づく画像を記録紙に形成(印刷)する。画像形成部210は、画像処理装置101が複写機能を実行する場合には、画像読取部208で読み取られた画像の画像データに基づいて、記録紙に画像を印刷する。また、画像形成部210は、画像処理装置101がプリント機能を実行する場合には、PC105からLAN250を介して受信した画像データに基づいて、記録紙に画像を印刷する。
【0028】
ネットワーク通信部207は、プリント対象の画像の画像データをPC105から受信し、画像読取部208で読み取られた画像の画像データをLAN250を介してPC105に送信する。ネットワーク通信部207は、LAN250を介して接続されたPC105等の外部装置と通信して、データを送受信する。例えば、ネットワーク通信部207は、PC105からウェブブラウザ機能によるHTTP接続を受け付けて、当該HTTP接続を介してPC105と通信する、リモート・ユーザ・インタフェース機能を提供する。PC105は、ネットワーク通信部207との間で確立したHTTP接続を介して、リモート・ユーザ・インタフェース機能を利用して画像処理装置101を制御することが可能である。
【0029】
符号化/復号化部211は、FAX通信部206によって送受信される画像データに対する符号化及び復号化を行う。具体的には、符号化/復号化部211は、画像読取部208で原稿を読み取って得られた画像データをFAX通信部206によって送信する際に、所定の方式でFAX通信用のデータに符号化する。また、符号化/復号化部211は、FAX通信部206によって受信したFAX通信用のデータに基づいて画像形成部210で記録紙へ画像を印刷する際に、当該データを所定の方式で画像データに復号化する。また、符号化/復号化部211は、複数ページの原稿を複写する場合に、画像読取部208で複数ページの原稿を読み取って得られた画像データを、一時的にRAM203等に保存するために符号化し、その後に印刷を行う際に当該画像データを復号化する。
【0030】
USB通信部215は、USBケーブルを介して接続された外部装置と通信する。図2では、一例として、PC105がUSB接続で画像処理装置101に接続されている。例えば、USB通信部215は、画像形成部210によって画像を記録紙に印刷するために、PC105から印刷用の画像データを受信する。また、USB通信部215は、画像読取部208で原稿を読み取って得られた画像データを、PC105に転送する。さらに、USB通信部215は、USBケーブルケーブルを介して接続された機器から電力の供給を受ける方式であるUSBバスパワー(VBUS)を利用して、当該機器から電力の供給を受ける機能を有する。
【0031】
電源ユニット230は、交流電源回路部231(第1の電源回路部)及び直流電源回路部232(第2の電源回路部)を備える。交流電源回路部231は、AC電源コンセントに接続されたAC電源コードを介して、AC電源ライン120から供給された交流電力(AC電力)を直流電力(DC電力)に変換する。さらに、交流電源回路部231は、得られたDC電力を、通常動作状態において画像処理装置101の回路200内の各デバイスに供給する。回路200内の各デバイスは、交流電源回路部231から供給されるDC電力によって駆動されうる。一方、省電力状態において、交流電源回路部231は、制御部201による制御により、AC電源ライン120から切断されてオフ状態となる。
【0032】
直流電源回路部232は、DC電源ライン110からDC電力の供給を受けうるか、又は逆にDC電源ライン110にDC電力を出力しうる。当該DC電力は、DC電源ライン110に接続された外部装置から供給されうる。また、画像処理装置101は、DC電源ライン110にDC電力を出力する場合、当該DC電力を、DC電源ライン110に接続された外部装置に対して供給しうる。
【0033】
画像処理装置101は、さらに、充電及び放電可能な2次電池213を備える。後述するように、直流電源回路部232は、2次電池213に接続されており、交流電源回路部231から供給される電力によって、2次電池213を充電しうるとともに、2次電池213から給電されうる。具体的には、直流電源回路部232は、通常動作状態において、交流電源回路部231においてAC電力から変換して出力されたDC電力の一部の供給を受け、当該供給されたDC電力によって2次電池を充電する。また、直流電源回路部232は、省電力状態においては、2次電池213に充電された電力によって、画像処理装置101が備える複数のデバイスのうちの一部のデバイスに給電可能である。
【0034】
<直流電源回路部の構成>
図3は、電源ユニット230内に設けられた直流電源回路部232の構成を示すブロック図である。図3に示す直流電源回路部232内の各デバイスは、制御部201による制御に従って動作する。直流電源回路部232は、画像処理装置101の外部のDC電源ライン110に接続されている。直流電源回路部232は、画像処理装置101の回路200内の各デバイス、又はDC電源ライン110に接続された外部装置102〜105に対する直流電源(DC電源)として機能する。
【0035】
直流電源回路部232は、受給電切替部310によって、DC電源ライン110から受電するか、DC電源ライン110に対して給電するかを切り替える。DC電源ライン110から受電するように受給電切替部310が設定された場合、DC/DC電圧変換部311は、DC電源ライン110から受給電切替部310を介して入力されたDC電圧を、画像処理装置101の動作に適合したDC電圧に変換する。DC/DC電圧変換部311は、変換後のDC電圧を回路200に出力する。一方、DC電源ライン110に対して給電するように受給電切替部310が設定された場合、DC/DC電圧変換部311は、交流電源回路部231によって生成されたDC電圧を、DC電源ライン110に適合したDC電圧に変換する。DC/DC電圧変換部311は、変換後の電圧をDC電源ライン110に出力する。
【0036】
DC/DC電圧変換部311は、2次電池213に接続されており、交流電源回路部231から供給される電力を利用して2次電池213を充電し、又は2次電池213から受電する機能も有する。
【0037】
制御部201は、DC電源ライン110を介して外部装置から受電できるか否か(即ち、DC電源ライン110の電圧が自装置の仕様に適合するか否か)を確認するために、DC電圧確認部320を利用する。DC電圧確認部320は、制御部201からの指示に応じて、短時間、相対的に低い抵抗値の抵抗を介して入力端をGNDに短絡する。さらに、DC電圧確認部320は、当該抵抗における降下電圧に基づいて、DC電源ライン110の電圧を確認し、その確認結果を制御部201に出力する。
【0038】
通信部330は、制御部201による制御下で、DC電源ライン110に接続された外部装置102〜105と電力線通信(PLC:Power Line Communications)によって通信することができる。具体的には、通信部330は、DC電源ライン110に接続された外部装置102〜105に送信する高周波の信号の生成及び送信と、当該外部装置102〜105からの信号の受信とを行う。通信部330からDC電源ライン110に出力される信号、及びDC電源ライン110側から通信部330に入力される信号は、コンデンサ340によってDC成分が除去される。これは、通信部330と外部装置102〜105の通信部との間でやりとりされる信号は、電力が伝送される直流成分(DC成分)よりも高い周波数で伝送されるためである。通信部330は、DC電源ライン110に接続された外部装置102〜105との間で、DC電源に関するプロパティ情報を送受信しうるとともに、DC電力の給電及び受電に関するネゴシエーションを行いうる。
【0039】
<省電力状態への移行時の動作モードの決定処理>
次に、図4のフローチャートを参照して、画像処理装置101において、通常動作状態から省電力状態への移行時の動作モードを決定する処理について説明する。図4のフローチャートの各ステップに示す動作は、制御部201がROM202等の記憶装置に格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって、画像処理装置101において実現される。なお、画像処理装置101は、予めユーザによってDC電源ライン110及びAC電源ライン120に対して物理的に接続された状態になっているものとする。
【0040】
S401で、制御部201は、操作部205に設けられた電源スイッチがユーザの操作によってオフからオンに切り替わると、画像処理装置101を電源オフ状態から起動するための初期化処理を実行する。当該初期化処理が完了すると、画像処理装置101は、交流電源回路部231からの電力で通常動作を開始する。その後、S402において制御部201は、通常動作時においてスタンバイ状態(通常スタンバイ状態)に移行する。このスタンバイ状態は、画像処理装置101が何らかの機能又はジョブの実行指示を操作部205、PC105等から受付可能な待機状態に相当する。
【0041】
次に、制御部201は、S403で、DC電圧確認部320を制御して、DC電源ライン110の電圧を確認するとともに、S404で、確認されたDC電源ライン110の電圧が、自装置の仕様に適合するかどうかを判定する。即ち、制御部201は、DC電源ライン110を介して接続された外部装置102〜105のDC電源(例えば、電源ユニット230)を、自装置のDC電源として利用することが可能であるか否かを判定する。
【0042】
S404で、制御部201は、DC電源ライン110の電圧が、自装置の仕様に適合しないと判定した場合、S408に処理を進める一方で、適合すると判定した場合、S405に処理を進める。S405で、制御部201は、通信部330を制御して、DC電源ライン110を介したPLCにより、外部装置102〜105のDC電源に関するプロパティ情報を要求する。
【0043】
本実施形態において、プロパティ情報には、例えば、その外部装置のDC電源電圧、供給可能な電流値、供給する電力の変換効率(電源効率)、電力を供給可能なスケジュール、及び、当該外部装置自体の情報(外部装置が通常動作状態であるか省電力状態であるかを示す情報等)が含まれる。このプロパティ情報は、本実施形態において、画像処理装置又は外部装置の電力供給能力を示す情報に相当する。例えば、電源効率は、電源ユニット230における、商用電源から供給されるAC電力をDC電力に変換する際の変換効率である。電源効率が高いほど、電力の変換時に生じる損失が少なくなり、電力供給能力が高くなる。
【0044】
さらに、S406で、制御部201は、通信部330によって、DC電源ライン110に接続された外部装置102〜105の少なくとも1つから、プロパティ情報を取得できたか否かを判定する。ここで、制御部201は、プロパティ情報を取得できなかったと判定した場合、処理をS408に進める一方で、取得できたと判定した場合、処理をS407に進める。
【0045】
S407で、制御部201は、通常動作状態から省電力状態への移行時に、DC電源ライン110を介して何れかの外部装置からDC電力の供給を受ける連携モードで画像処理装置101を動作させることを決定して、処理を終了する。
【0046】
一方で、S404において、DC電源ライン110の電圧が自装置の仕様に適合しないと判定した場合、及び、S406において、プロパティ情報を取得できなかったと判定した場合には、制御部201はS408の処理を実行する。S408で、制御部201は、通常動作状態から省電力状態への移行時に、外部装置ではなく自装置内の2次電池213からDC電力の供給を受けるスタンドアロンモードで画像処理装置101を動作させることを決定して、処理を終了する。この場合、制御部201は、受給電切替部310を制御して、DC/DC電圧変換部311をDC電源ライン110から切り離す。
【0047】
<通常動作状態から省電力状態への移行処理>
次に、図5のフローチャートを参照して、画像処理装置101において、上述の連携モードの使用が決定された場合に、通常動作状態から省電力状態へ移行する処理について説明する。図5のフローチャートの各ステップに示す動作は、制御部201がROM202等の記憶装置に格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって、画像処理装置101において実現される。
【0048】
制御部201は、例えば、複写、FAX、印刷等の何らかの機能に関連するジョブの実行が完了すると、S501で、画像処理装置101をスタンバイ状態(待機状態)に移行させる。その後、S502で、制御部201は、時計回路212から出力される時刻情報に基づいて、スタンバイ状態に移行してから所定時間が経過したか否かを判定する。ここで、制御部201は、所定時間が経過していないと判定する限り、S502の処理を繰り返す一方で、所定時間が経過したと判定すると、処理をS503に進める。
【0049】
S503で、制御部201は、スタンバイ状態から省電力状態へ移行する処理を開始する。まず、S504で、制御部201は、通信部330を制御して、DC電源ライン110を介してPLCにより外部装置のDC電源に関するプロパティ情報を要求して取得する。即ち、S504で、制御部201は取得手段として機能する。
【0050】
具体的には、通信部330は、DC電力を供給可能な外部装置を確認するための信号を、DC電源ライン110に送信する。DC電源ライン110に接続された外部装置102〜105のうち、DC電力をDC電源ライン110を介して供給する機能を有する外部装置は、当該信号を受信すると、DC電源に関するプロパティ情報を画像処理装置101に送信することで応答する。画像処理装置101の制御部201は、画像処理装置102から送信されたプロパティ情報を、DC電源ライン110を介して通信部330により受信する。
【0051】
次に、S505で、制御部201は、自装置の2次電池213の充電電圧を確認して、当該充電電圧が、2次電池213をDC電源として利用するために十分であるか否かを判定する。ここで、制御部201は、例えば2次電池213の充電電圧が所定の閾値電圧よりも高いか否かを判定することによって、充電電圧が十分であるか否かを判定する。S505で、制御部201は、2次電池213の充電電圧が十分ではないと判定した場合、S506に処理を進める。
【0052】
S506で、制御部201は、取得したプロパティ情報を参照して、DC電源ライン110を介して何れかの外部装置から受電可能か否かを判定する。ここで、制御部201は、受電可能ではないと判定した場合、2次電池213及び外部装置からのDC電力に何れも利用できず、省電力状態には移行できないため、処理をS501に戻す。これにより、画像処理装置101は、スタンバイ状態を継続しながら、交流電源回路部231からの電力で2次電池213を充電する。一方で、S506で、制御部201は、何れかの外部装置から受電可能であると判定すると、処理をS509に進める。
【0053】
また、S505で、制御部201は、2次電池213の充電電圧が十分であると判定した場合、S507に処理を進める。S507で、制御部201は、取得した外部装置のプロパティ情報に基づいて、外部装置のDC電源(電源ユニット230)による電力供給能力と、自装置の2次電池213を用いた電力供給能力とを比較する。S507で、制御部201は、自装置よりも(少なくとも何れかの)外部装置の方が電源供給能力が高いと判定した場合、処理をS509に進める一方で、高くないと判定した場合、処理をS508に進める。
【0054】
S506又はS507からS509に進んだ場合、S509で、制御部201は、画像処理装置101をスタンバイ状態(通常動作状態)から省電力状態に移行させる。ここで、制御部201は、通信部330を制御して、DC電源ライン110を介したDC電力の供給を外部装置102〜105に対して要求するための電力供給要求を、DC電源ライン110に送信する。本実施形態では、当該電力供給要求に応じて、画像処理装置102がDC電力を画像処理装置101に供給するものとする。
【0055】
まず、制御部201は、交流電源回路部231をオフ状態にして、AC電源ライン120から供給されるAC電力の使用を停止するとともに、DC電源ライン110を介して外部装置(画像処理装置102)からの受電を開始する。さらに、制御部201は、電源ユニット230を制御して、画像処理装置101が備える複数のデバイス(負荷)のうちで、一部の必要な負荷にのみ電力を供給させ、それ以外の負荷への電力の供給を停止させる。
【0056】
具体的には、制御部201は、表示部204、画像読取部208、画像処理部209、画像形成部210等の、省電力状態において使用することがないデバイスに対する、電源ユニット230からの電力供給を停止させる。一方で、制御部201は、制御部201、RAM203、操作部205、FAX通信部206、ネットワーク通信部207、USB通信部215等の、省電力状態からの復帰等のために必要最小限のデバイスに対して、電源ユニット230からの必要最小限の電力の供給を継続させる。
【0057】
また、省電力状態においては、制御部201は、通常動作状態よりも低消費電力で動作するようにするとともに、RAM203を、通常動作状態よりも低消費電力(例えばセルフリフレッシュモード)、又は低クロック周波数で動作させる。これにより、制御部201自体とRAM203の消費電力を低く抑える。制御部201は、複数のCPUを備える場合には、最も消費電力の少ないCPUのみを動作させた状態にする。
【0058】
省電力状態において、制御部201は、図6を用いて後述するように、所定の起動条件が満たされた場合に、画像処理装置101を省電力状態から通常動作状態(スタンバイ状態)に復帰させる。当該所定の条件としては、例えば、操作部205がユーザによって操作された場合、外部装置から何らかの情報(指示、ジョブ等)をネットワーク通信部207又はUSB通信部215が受信した場合、外部装置からFAX通信部206にFAX着信があった場合等が挙げられる。
【0059】
このように、S509においては、省電力状態への移行時に、電力供給能力の高い外部装置から供給される電力を使用して、自装置の2次電池213を使用することがない。このため、2次電池213の充放電の頻度を低減することが可能である。その結果、2次電池213の寿命を延ばすことが可能になる。
【0060】
一方、S507からS508に進んだ場合、S508で、制御部201は、外部装置からDC電源ライン110を介した電力供給要求があるか否かを判定する。ここで、制御部201は、DC電源ライン110に接続された外部装置に対して、かかる要求があるか否かを確認するための信号を、PLCによって送信する。即ち、制御部201は、応答した外部装置と、DC電力の供給に関するネゴシエーションを行う。その結果、制御部201は、かかる要求が受信されない場合には、処理をS510に進める一方で、受信された場合には、処理をS511に進める。例えば、現時点で画像処理装置102のDC電源(電源ユニット230)がDC電力をDC電源ライン110に出力している場合には、かかる要求は受信されないことになる。
【0061】
S510で、制御部201は、画像処理装置101をスタンバイ状態(通常動作状態)から省電力状態に移行させる。まず、制御部201は、交流電源回路部231をオフ状態にして、AC電力の使用を停止するとともに、受給電切替部310を制御して、受給電切替部310を制御して、DC/DC電圧変換部311をDC電源ライン110からを切り離す。さらに、DC/DC電圧変換部311を制御して、2次電池213から供給されるDC電力を、回路200内の一部の必要なデバイスに対してのみ供給させる。
【0062】
このように、S510では、制御部201は、外部装置から電力供給要求はなく、かつ、画像処理装置101が外部装置より高い電力供給能力を有しているため、外部装置のDC電源を利用せずに、画像処理装置101を省電力状態に移行させる。即ち、制御部201は、自装置の2次電池213をDC電源として利用して、画像処理装置101を省電力状態に移行させる。この場合、S407の決定によらず、画像処理装置101は省電力状態においてスタンドアロンモードで動作することになる。DC/DC電圧変換部311は、2次電池213から得られた電力から、省電力状態において動作すべきデバイスに適合した電圧を生成して、生成した電圧を当該デバイスに供給する。
【0063】
一方、S511で、制御部201は、画像処理装置101をスタンバイ状態(通常動作状態)から省電力状態に移行させることなく、DC電源ライン110を介して外部装置に給電する。即ち、制御部201は、自装置の電力供給能力が外部装置より高く、かつ、外部装置から電力供給要求を受けたため、当該外部装置に対してDC電源ライン110を介してDC電力を供給する。
【0064】
まず、制御部201は、受給電切替部310を制御して、直流電源回路部232からDC電源ライン110へのDC電力の供給をオン状態にする。この場合、直流電源回路部232は、交流電源回路部231から出力されたDC電力を、DC/DC電圧変換部311によって、S508において電力供給要求を送信してきた外部装置に適合した電圧に変換して、DC電源ライン110に出力する。これにより、画像処理装置101の電源ユニット230が、当該外部装置のDC電源として機能することになる。なお、外部装置に適合した電圧は、S504において取得されたプロパティ情報、及びS508におけるネゴシエーションに基づいて、DC電源ライン110に接続されている装置間で定められる。
【0065】
<省電力状態から通常動作状態への移行処理>
次に、図6のフローチャートを参照して、画像処理装置101において、省電力状態から通常動作状態へ復帰する処理について説明する。図6のフローチャートの各ステップに示す動作は、制御部201がROM202等の記憶装置に格納された制御プログラムをRAM203に展開して実行することによって、画像処理装置101において実現される。なお、図6において、画像処理装置101は予め省電力状態であるものとする。このため、画像処理装置101は、交流電源回路部231がオフ状態であり、省電力状態からの復帰等に必要な電力の供給を、DC電源ライン110又は2次電池213から受けている状態である。
【0066】
S601で、制御部201は、省電力状態において、上述した所定の起動条件が満たされたか否かを判定する。制御部201は、起動条件が満たされたと判定した場合には、処理をS603へ進める一方で、満たされていないと判定した場合、処理をS602へ進める。
【0067】
S602で、制御部201は、省電力状態において利用している2次電池213の電圧又はDC電源ライン110の電圧が低下したか否かを判定する。制御部201は、例えば、当該電圧が、所定の閾値電圧を下回ったか否かを判定することによって、当該電圧が低下したか否かを判定する。制御部201は、当該電圧が低下したと判定した場合には、処理をS603へ進める一方で、低下していないと判定した場合には、処理をS601に戻し、S601及びS602の処理を繰り返す。
【0068】
S603で、制御部201は、画像処理装置101を省電力状態からスタンバイ状態(通常動作状態)に移行させる処理を実行する。まず、制御部201は、商用のAC電源ライン120に接続された交流電源回路部231をオフ状態からオン状態に切り替えて、電源ユニット230から回路200への電力供給を、直流電源回路部232から交流電源回路部231に切り替える。また、制御部201は、省電力状態において電力供給が行われていなかったデバイスに対して、電源ユニット230からの電力供給を再開させる。
【0069】
制御部201は、さらに、制御部201自体を、低消費電力で動作している状態から通常の消費電力による動作状態に復帰させるとともに、RAM203のクロック周波数又は消費電力についても通常の動作状態のものに戻す。また、制御部201が複数のCPUを備えている場合には、停止しているCPUの動作を再開する。その後、制御部201は、システムの初期化処理を実行することで、画像処理装置101を省電力状態からスタンバイ状態へ移行させる処理を完了する。
【0070】
スタンバイ状態への移行後、S604で、制御部201は、S601において満たされた起動条件に応じた処理を実行する。例えば、S601において、LAN250経由でPC105から印刷ジョブを受信したことにより、省電力状態から起動(復帰)した場合には、制御部201は、受信したジョブに従った印刷動作を実行する。また、S601において、2次電池213の電圧の低下が検知されたことにより、省電力状態から起動(復帰)した場合には、制御部201は、スタンバイ状態のまま2次電池213を充電する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置は、通常動作状態から省電力状態に移行する際に、DC電源ラインを介して接続された外部装置から、電力供給能力を示す情報であるプロパティ情報を取得する。画像処理装置は、取得したプロパティ情報に基づいて、省電力状態において当該画像処理装置が備えるデバイスへの、電源ユニットからの電力供給を制御する。具体的には、画像処理装置は、外部装置の電力供給能力の方が当該画像処理装置の電力供給能力よりも高い場合には、当該外部装置からDC電源ラインを介して供給される電力によって、高くない場合には、2次電池から供給される電力によって、省電力状態においてデバイスに電力を供給する。
【0072】
このように、画像処理装置は、DC電源ラインを介して接続された外部装置のうちで、高い電力供給能力を有する外部装置が存在する場合には、省電力状態における動作に必要な電力の供給をその外部装置から受ける。これにより、省電力状態における2次電池の使用をできるだけ抑えることが可能になるため、2次電池の充放電の頻度を低減し、2次電池の寿命を長くすることが可能である。その結果、比較的少ない容量の2次電池を用いて省電力スタンバイ機能による省電力化が可能であるため、2次電池の使用に関連する装置コストを低減することが可能である。
【0073】
また、DC電源ラインを介して接続された複数の画像処理装置が、省電力スタンバイ機能を実行する際に、より電源効率の外部装置から相互に電力の供給を受けて、省電力状態に移行できる。このため、複数の画像処理装置からなるシステム全体の消費電力を効率的に低減することが可能になる。
【0074】
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、DC電源ライン110を、商用のAC電源ライン120、ローカルエリアネットワーク(LAN)、加入者電話回線等とは独立して新たに設ける例について説明してきた。しかし、DC電源ライン110として、DC電源ライン110として既存のインタフェース規格に基づくラインを用いてもよい。例えば、加入者電話回線240のインタフェース規格によれば、モジュラジャックのピン数は6ピンであり、日本国内では通常、当該6ピンのうち中央の2ピンのみが電話及びFAX通信に使用されており、両端の2ピンは未使用である。そこで、電話回線用のモジュラジャック(端子)が備えるピンのうちの未使用の両端のピンに対応するラインを、DC電源ラインとして使用してもよい。
【0075】
また、DC電源ライン110として、USBインタフェース規格のUSBケーブルケーブルを用いてもよい。USBインタフェース規格では、USBケーブルのホスト側コネクタに接続された装置(ホスト)が、USBケーブルのデバイス側コネクタに接続された装置(デバイス)に対して、USBバスパワー(VBUS)により+5Vの電圧を供給しうる。そこで、複数の画像処理装置をUSBケーブルで相互に接続して、USBケーブルをDC電源ライン110として用いることで、USBバスパワーにより相互に電力を融通し合ってもよい。
【0076】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
通常動作状態において、商用電源から供給される電力によって、前記画像処理装置が備える複数のデバイスに電力を供給するとともに、前記画像処理装置が備える2次電池を充電し、前記通常動作状態よりも消費電力を低減する省電力状態において、前記2次電池からの電力によって、前記複数のデバイスのうちの一部のデバイスに電力を供給可能な電源ユニットと、
前記画像処理装置が前記通常動作状態から前記省電力状態に移行する際に、前記商用電源から電力が伝送される商用電源ラインと異なる電源ラインを介して接続された他の画像処理装置の電力供給能力を示す情報を、当該電源ラインを介して取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された情報が示す前記他の画像処理装置の電力供給能力が、前記画像処理装置の電力供給能力よりも高いか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記他の画像処理装置の電力供給能力が前記画像処理装置の電力供給能力よりも、高いと判定された場合には、前記他の画像処理装置から前記電源ラインを介して供給される電力によって、高くないと判定された場合には、前記2次電池からの電力によって、前記省電力状態において前記一部のデバイスに電力を供給するように、前記電源ユニットを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置又は前記他の画像処理装置の電力供給能力は、前記電源ユニット又は前記他の画像処理装置が備える電源ユニットにおける、前記商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する際の変換効率であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置又は前記他の画像処理装置の電力供給能力は、前記画像処理装置又は前記他の画像処理装置が前記通常動作状態であるか前記省電力状態であるかに対応し、
前記判定手段は、
前記取得手段によって取得された情報が、前記他の画像処理装置が前記通常動作状態であることを示す場合には、前記他の画像処理装置の電力供給能力が前記画像処理装置よりも高いと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記判定手段によって、前記他の画像処理装置の電力供給能力が前記画像処理装置よりも高いと判定された場合に、電力供給要求を前記電源ラインを介して前記他の画像処理装置に送信する要求手段を備え、
前記要求手段によって送信された前記電力供給要求に応じて前記他の画像処理装置から前記電源ラインを介して供給される電力によって、前記省電力状態において前記一部のデバイスに電力を供給するように、前記電源ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記他の画像処理装置から前記電源ラインを介して前記電力供給要求を受信する受信手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記他の画像処理装置の電力供給能力が前記画像処理装置よりも高くないと前記判定手段によって判定され、かつ、前記他の画像処理装置から前記電力供給要求が前記受信手段によって受信された場合には、前記画像処理装置を前記通常動作状態から前記省電力状態に移行させずに、前記他の画像処理装置に対して前記電源ラインを介して電力を供給するように、前記電源ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記電源ユニットは、
前記通常動作状態において、前記商用電源から前記商用電源ラインを介して交流電力の供給を受けて、当該交流電力を直流電力に変換して、前記複数のデバイスに当該直流電力を供給し、前記省電力状態において、前記商用電源ラインから切断されてオフ状態となる第1の電源回路部と、
前記通常動作状態において、前記第1の電源回路部から前記直流電力の一部の供給を受け、当該供給された直流電力によって前記2次電池を充電し、前記省電力状態において、前記2次電池に充電された電力を前記一部のデバイスに供給可能な第2の電源回路部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の電源回路部は、
前記通常動作状態において、前記第1の電源回路部から供給される直流電力によって、前記2次電池を充電するとともに、前記制御手段による制御に応じて前記他の画像処理装置に対して前記電源ラインを介して電力を供給する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置と前記他の画像処理装置との間で前記電源ラインを介して伝送される電力は、直流電力であり、
前記取得手段及び前記要求手段は、前記直流電力の周波数よりも高い周波数の信号で、前記電源ラインを介して前記他の画像処理装置との通信を行う
ことを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の画像処理装置は、
電話回線を介して相互に接続されており、前記電話回線のケーブルに含まれる複数のラインのうちで、電話又はファクシミリの通信に未使用のラインを前記電源ラインとして使用することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記複数の画像処理装置は、
USBケーブルを介して相互に接続されており、前記USBケーブルを前記電源ラインとして使用するとともに、USBバスパワーによって前記USBケーブルを介して電力を相互に伝送することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理装置は、通常動作状態において、商用電源から供給される電力によって、前記画像処理装置が備える複数のデバイスに電力を供給するとともに、前記画像処理装置が備える2次電池を充電し、前記通常動作状態よりも消費電力を低減する省電力状態において、前記2次電池からの電力によって、前記複数のデバイスのうちの一部のデバイスに電力を供給可能な電源ユニットを備え、
前記制御方法は、
前記画像処理装置の取得手段が、前記画像処理装置が前記通常動作状態から前記省電力状態に移行する際に、前記商用電源から電力が伝送される商用電源ラインと異なる電源ラインを介して接続された他の画像処理装置の電力供給能力を示す情報を、当該電源ラインを介して取得する工程と、
前記画像処理装置の判定手段が、前記取得する工程において取得された情報が示す前記他の画像処理装置の電力供給能力が、前記画像処理装置の電力供給能力よりも高いか否かを判定する判定する工程と、
前記画像処理装置の制御手段が、前記判定する工程において、前記他の画像処理装置の電力供給能力が前記画像処理装置の電力供給能力よりも、高いと判定された場合には、前記他の画像処理装置から前記電源ラインを介して供給される電力によって、高くないと判定された場合には、前記2次電池からの電力によって、前記省電力状態において前記一部のデバイスに電力を供給するように、前記電源ユニットを制御する工程と
を含むことを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−54463(P2013−54463A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191073(P2011−191073)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】