説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】回路画像に回路部品や配線を識別するための情報が含まれていない場合であっても、回路部品と配線との接続に関する情報をユーザに提示できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】複数の回路部品を表す画像要素と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素と、を含む回路画像を取得し、取得した回路画像に含まれる画像要素により表される少なくとも一つの配線の中から、注目配線を選択し、選択した注目配線が各回路部品のいずれかと接続される接続点の回路画像上の位置を特定する画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンピュータ上で動作するCAD(Computer Aided Design)ソフトウェアなどを用いて、電子回路やプリント基板等の回路図面を表す画像データ(回路画像)が作成される場合がある。このような回路画像には、画像内における回路部品(LSIなど)や配線を表す画像要素を特定するための情報が含まれる場合がある。このような情報が回路画像に含まれる場合、当該回路画像を取得した画像処理装置は、例えばある配線がどの回路部品とどの位置で接続されているかなど、回路部品と配線との接続に関する情報を、ユーザの要求に応じて提示することができる。具体例として、特許文献1などに開示されている技術を用いて、回路部品と配線との接続点を拡大して画面上に表示することで、ユーザは容易に配線が回路部品のどの端子に接続されているかなどの情報を把握できる。
【特許文献1】特開平7−320085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば紙などの媒体上に形成された回路図面を表す画像をスキャナ等で読み取った場合、得られる回路画像は、例えばビットマップデータ形式などのラスタ画像データである。このようなラスタ画像データは、画像に含まれる各画素の画素値からなるデータであって、回路部品や配線などを識別するための情報は含まれていない。このような場合、画像処理装置は、回路画像に表されている配線と回路部品との接続に関する情報をユーザに提示することができない。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、回路画像に回路部品や配線を識別するための情報が含まれていない場合であっても、回路部品と配線との接続に関する情報をユーザに提示できる画像処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係る画像処理装置は、複数の回路部品を表す画像要素と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素と、を含む回路画像を取得する回路画像取得手段と、前記取得した回路画像に含まれる画像要素により表される少なくとも一つの配線の中から、注目配線を選択する注目配線選択手段と、前記選択した注目配線が前記各回路部品のいずれかと接続される接続点の前記回路画像上の位置を特定する接続点位置特定手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、上記画像処理装置において、前記回路画像取得手段は、前記回路画像としてラスタ画像データを取得し、前記注目配線選択手段は、いずれかの配線を表す画像要素上の注目画素を選択することで、当該注目画素を含む画像要素によって表される配線を前記注目配線として選択し、前記接続点位置特定手段は、前記注目画素と連結する画素を検索して前記注目配線を表す画像要素を構成する画素を特定し、当該特定した画素に基づいて、前記接続点の位置を特定することとしてもよい。
【0007】
さらに、上記画像処理装置は、前記取得した回路画像に含まれる前記回路部品を表す画像要素を構成する画素を特定する回路部品特定手段をさらに含み、前記接続点位置特定手段は、前記特定した回路部品を表す画像要素を構成する画素と、前記特定した注目配線を表す画像要素を構成する画素と、に基づいて、前記接続点の位置を特定することとしてもよい。
【0008】
また、上記画像処理装置において、前記注目配線取得手段は、前記取得した回路画像を表示し、当該表示した回路画像に対する利用者の指示に基づいて、前記注目配線を選択することとしてもよい。
【0009】
また、上記画像処理装置は、前記特定した接続点の位置に応じて、前記注目配線と前記回路部品との接続に関する情報を利用者に提示する接続情報提示手段をさらに含んでもよい。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、複数の回路部品を表す画像要素と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素と、を含む回路画像を取得する回路画像取得手段、前記取得した回路画像に含まれる画像要素により表される少なくとも一つの配線の中から、注目配線を選択する注目配線選択手段、及び前記選択した注目配線が前記各回路部品のいずれかと接続される接続点の前記回路画像上の位置を特定する接続点位置特定手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15と、を含んで構成されている。また、通信ネットワークを介して、画像読み取り装置2と相互にデータ通信可能に接続されている。
【0012】
制御部11は、CPU等であって、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施形態においては、制御部11は、電子回路やプリント基板等の回路図面を表す回路画像を取得し、当該取得した回路画像に対して各種の画像処理を行う。本実施形態において制御部11が実行する処理の例については、後述する。
【0013】
記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持するコンピュータで読み取り可能な情報記憶媒体であって、RAMやROM等のメモリ素子と、ハードディスクドライブ等のディスクデバイスと、の少なくとも一方を含んで構成される。また、記憶部12は制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0014】
操作部13は、例えばキーボードやマウス等であり、ユーザの指示操作を受け付けて、当該指示操作の内容を制御部11に出力する。また、操作部13は、タッチパネルやタッチペン等のポインティングデバイスを含んでもよい。表示部14は、例えばディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って、情報の表示を行う。
【0015】
通信部15は、モデムやLANカード等のネットワークインタフェースであって、制御部11からの指示に従って、通信ネットワークを介して情報を送信する。また、通信部15は、通信ネットワークを介して到来する情報を受信して制御部11に出力する。
【0016】
画像読み取り装置2は、例えばスキャナや複合機等、紙などの媒体上に形成された画像を光学的に読み取る装置である。本実施形態において、画像読み取り装置2は、媒体上に形成された回路画像を読み取ってラスタ画像データを生成し、通信ネットワークを介して画像処理装置1に対して送信する。
【0017】
以下、本実施形態に係る画像処理装置1が実現する機能について説明する。画像処理装置1は、機能的に、図2に示すように、回路画像取得部21と、回路部品特定部22と、注目配線選択部23と、接続点位置特定部24と、接続情報提示部25と、を含んで構成されている。これらの機能は、例えば制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行することで実現できる。このプログラムは、インターネット等の電気通信回線を介して提供されてもよいし、DVD−ROMやCD−ROM等の各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0018】
回路画像取得部21は、回路図面を表す回路画像の画像データを取得し、記憶部12に格納する。回路画像は、複数の回路部品を表す画像要素(以下、部品画像要素という)と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素(以下、配線画像要素という)と、を含む画像である。ここで画像要素は、それぞれ回路部品や配線などの意味的にまとまりのある一つの画像を表す要素であって、これらの画像要素が画像内に配置されて全体として回路画像を構成している。
【0019】
図3は、このような回路画像の一例について、その一部分を示す図である。図3の例においては、回路画像を構成する画像要素として、回路部品Pa及びPbを表す部品画像要素と、複数の配線画像要素とが示されている。
【0020】
具体的に、例えば回路画像取得部21は、画像読み取り装置2が読み取って得られたラスタ画像データを通信ネットワーク経由で受信することで、回路画像を取得する。この場合の回路画像は、例えばビットマップデータ形式などの、画像内に含まれる各画素の画素値からなるラスタ画像データである。なお、本実施形態においては、回路画像は白黒2値の画素値を持つ画素からなる画像データであることとする。
【0021】
回路部品特定部22は、回路画像取得部21が取得した回路画像に含まれる、部品画像要素を構成する画素を特定する。具体例として、回路部品特定部22は、所定のパターン認識処理によって、回路画像の中から所定のパターンに合致する画像要素を検出することにより、部品画像要素を構成する画素を特定する。この場合、回路部品特定部22は、特定された画素に対して、部品画像要素を構成する画素であることを示す情報を記録する。なお、回路部品特定部22は、部品画像要素のうち、回路部品の枠(外周)などの所定の一部を表す画素のみを特定することとしてもよい。例えば、回路部品特定部22は、回路画像の中から矩形パターンを検出するパターン認識処理によって、回路部品の枠を表す画素を特定する。
【0022】
具体例として、画像処理装置1は、回路画像に含まれる各画素について、当該画素の画素値を示す情報とともに、当該画素が部品画像要素を構成する画素であることを示すフラグ情報(以下、部品要素フラグという)を記憶部12に保持することとする。図4は、回路画像の画像データに含まれる各画素について、記憶部12に記憶されるデータの一例を示す説明図である。図4に示されるように、各画素について、画素値のほかに、部品要素フラグの情報、注目配線フラグの情報、及び接続点フラグの情報が格納される。回路部品特定部22は、部品画像要素の一部として特定した画素について、この部品要素フラグの情報を、部品画像要素を構成する画素であることを示す値に更新する。
【0023】
ここで、部品画像要素を構成する画素を特定するためのパターン認識処理の一例について、説明する。
【0024】
回路部品特定部22は、回路画像において横方向に並んだ画素列のそれぞれに対して、画像の最上段の画素列から下方向に向かって順に以下の処理を実行する。これによって、各画素について、回路部品の枠を表す画素であるか否かの判定を行う。
【0025】
まず回路部品特定部22は、各画素列に含まれる画素について、所定の主走査方向(ここでは、画像に対して向かって左から右に進む方向とする)に沿って、所定の判定条件により、1次判定を行う。この1次判定は、判定の対象となる画素(判定対象画素)の画素値と、その周囲の画素についての当該1次判定又は後述する2次判定の判定結果と、に基づいて、判定対象画素が回路部品の枠を表す画素又は回路部品の枠内の画素である可能性があるか否かを判断する判定である。
【0026】
1次判定の判定条件は、例えば図5のテーブルによって示される。図5において、フラグ値F1及びF2は、1次判定の結果、各画素について記憶されるフラグ情報を示している。ここで、フラグ値F1は、当該画素が回路部品の枠を表す画素と推定されることを示しており、フラグ値F2は、当該画素が回路部品の枠内の画素と推定されることを示している。また、フラグ値F3及びF4は、後述する2次判定の結果、各画素について記憶されるフラグ情報を示している。ここで、フラグ値F3は、当該画素が回路部品の枠を表す画素と判定されたことを示しており、フラグ値F4は、当該画素が回路部品の枠内の画素と判定されたことを示している。また、判定条件における「×」は当該画素に1次又は2次判定によるフラグ値が設定されていないことを示しており、判定結果における「×」は判定対象画素にフラグ値を設定しないことを示している。また、判定条件における「−」は、当該画素のフラグ値又は画素値は問わないことを示している。この図5のテーブルを用いて、判定対象画素及びその周囲の画素が判定条件の欄のいずれかの組み合わせに一致する場合、回路部品特定部22は、当該一致する判定条件に関連づけて判定結果の欄に示されているフラグ値を、1次判定の結果として当該判定対象画素について記憶する。
【0027】
続いて回路部品特定部22は、同じ画素列の各画素について、前述した主走査方向とは逆の方向(画像に対して向かって右から左に進む方向)に沿って、所定の判定条件により、2次判定を行う。この2次判定は、判定対象画素についての1次判定の結果と、その周囲の画素についての1次判定及び2次判定の結果と、に基づいて、判定対象画素が回路部品の枠を表す画素又は回路部品の枠内の画素であるか否かを判断する判定である。
【0028】
2次判定の判定条件は、例えば図6のテーブルによって示される。この図6のテーブルを用いて、判定対象画素及びその周囲の画素が判定条件の欄のいずれかの組み合わせに一致する場合、回路部品特定部22は、当該一致する判定条件に関連づけて判定結果の欄に示されるフラグ値を、2次判定の結果として当該判定対象画素について記憶する。この図5及び図6の例においては、最終的にフラグ値F3が記憶された画素が、回路部品の枠を表す画素であると判定され、当該画素に対して部品要素フラグが設定される。
【0029】
なお、以上説明した例においては、検索対象となる回路部品の枠は、回路画像内において水平に配置されていることを想定している。したがって、当該処理を実施する前に、予め回路画像を回転させてその傾きを補正したり、アフィン変換を施して歪みを補正したりする処理を実行してもよい。また、画像内の線を細線化する処理などを予め実行してもよい。また、以上説明した処理は例示であって、これとは異なる方法で部品画像要素を構成する画素を特定してもよい。
【0030】
注目配線選択部23は、回路画像取得部21が取得した回路画像に含まれる画像要素によって表される配線の中から、注目配線を選択する。ここでは具体例として、注目配線選択部23は、いずれかの配線画像要素上の注目画素を選択することで、当該注目画素を含む配線画像要素によって表される配線を注目配線として選択する。
【0031】
例えば注目配線選択部23は、記憶部12に格納されている回路画像を表示部14に表示し、当該表示した回路画像に対する利用者の指示に基づいて、注目配線を選択する。すなわち、ユーザは、マウスやタッチペン等の操作部13に対する指示操作によって、画面上に表示された回路画像の一点を指定する。これにより、注目配線選択部23は、当該指定された点に対応する画素を、注目画素として選択する。
【0032】
接続点位置特定部24は、注目配線選択部23が選択した注目配線が、回路画像に含まれる各回路部品のいずれかと接続される接続点の回路画像上の位置を特定する。具体例として、注目配線選択部23が注目画素を選択することで注目配線を選択している場合、接続点位置特定部24は、当該注目画素と連結する画素を検索することによって、まず注目配線を表す配線画像要素を構成する画素(注目配線画素)を特定する。さらに、当該特定した注目配線画素に基づいて、接続点の位置を特定する。この場合において、接続点位置特定部24は、回路部品特定部22が特定した部品画像要素を構成する画素(前述した例において、部品要素フラグが設定された画素)と、上述した注目配線画素と、に基づいて、接続点の位置を特定することとしてもよい。
【0033】
ここで、接続点位置特定部24が接続点の位置を特定する処理の具体例について、説明する。
【0034】
まず、接続点位置特定部24は、注目配線選択部23が選択した注目画素に対して、注目配線画素であることを示すフラグ情報(以下、注目配線フラグという)を設定する。具体的には、当該注目画素について、図4に例示されるデータのうち、注目配線フラグの情報を、注目配線画素であることを示す値に更新する。
【0035】
続いて、接続点位置特定部24は、回路画像に含まれる各画素について、所定の判定条件を用いて、当該画素が注目配線画素であるか否かの判定(配線画素判定)を行う。この配線画素判定は、判定対象画素が、注目配線画素と連結する画素であるか否かによって行われる。すなわち、判定対象画素の画素値が1(黒色)であって、かつ注目配線画素と隣接している場合に、当該判定対象画素は注目配線画素と連結しており、判定対象画素も注目配線画素であると判定する。
【0036】
配線画素判定の判定条件は、例えば図7のテーブルによって示される。図7において、判定条件の欄の「○」は判定対象画素に隣接する各隣接画素に注目配線フラグが設定されていることを示しており、「×」は注目配線フラグが設定されていないことを示している。また、「−」は当該隣接画素を判定に用いないことを示している。さらに、判定結果の欄の「○」は、判定対象画素が注目配線画素であることを示している。接続点位置特定部24は、配線画素判定の結果、注目配線画素であると判定された画素に対して、注目配線フラグを設定する。
【0037】
また、この配線画素判定を行う際に、判定対象画素が注目配線画素であると判定され、かつ部品画像要素を構成する画素(部品要素フラグが設定された画素)と隣接する場合には、接続点位置特定部24は、当該判定対象画素を注目配線の終端(すなわち、注目配線が回路部品と接続する接続点)であると判定する。そして、当該画素に対して、接続点の位置であることを示すフラグ情報(以下、接続点フラグという)を設定する。具体的には、当該画素について、図4に例示されるデータのうち、接続点フラグの情報を、接続点位置を表す画素であることを示す値に更新する。これにより、接続点位置特定部24は、回路画像中における接続点の位置を特定したこととなる。
【0038】
この配線画素判定は、回路画像に含まれる各画素に対して、判定順序を変えて繰り返される。すなわち、まず主走査方向を回路画像に向かって左から右に向かう方向、副走査方向を上から下に向かう方向として、回路画像に含まれる各画素に対して配線画素判定を実行したとする。この場合、注目画素と連結する画素のうち、注目画素に対して右下方向に伸びる線上の画素については、注目配線画素であると判定できる。しかし、逆方向に伸びている線上の画素については、注目配線画素であると判定できない。また、注目配線が途中でT字を形成して分岐している場合などにおいても、注目配線を表す全ての画素に対して注目配線フラグを設定することができなくなる。そこで、二種類の主走査方向(左から右、又は右から左)と、二種類の副走査方向(上から下、又は下から上)と、の組み合わせを変えて、回路画像に含まれる各画素に対する配線画素判定を計4回繰り返すことによって、注目配線を表す全ての画素に対して、注目配線フラグを設定していくことが可能となる。
【0039】
なお、以上説明した判定条件の例においては、最初に選択された注目画素と連結する画素については、全て注目配線画素であると判定することとしているが、これとは異なる判定条件によって、注目配線画素か否かの判定を行ってもよい。例えば回路画像の種類によっては、画素がT字型のパターンを形成する箇所は、注目配線が3方向に分岐していることを表しているが、十字型のパターンを形成する箇所は、注目配線が4方向に分岐しているのではなく、2本の配線が電気的に接続されずに単に交差していることを表す場合がある。このような場合、接続点位置特定部24は、判定対象画素を含む所定範囲の画素が所定のパターンに合致するか否かによって、当該判定対象画素が注目配線画素か否かを判定してもよい。これにより、判定対象画素が注目配線と電気的に接続された配線を表すものか否かを判断できる。
【0040】
なお、このような判定条件は、ユーザの操作部13に対する指示操作等によって、変更されることとしてもよい。これにより、回路画像の種類や記述方法に応じて、接続点位置の特定方法を変更することができる。また、接続点位置特定部24は、回路画像中の所定の条件に合致する領域(部品画像要素内の領域や、所定のパターンに合致する領域など)を、接続点位置を検索する対象から除外することとしてもよい。これにより、より少ない処理で接続点位置を表す画素を特定することができる。
【0041】
接続情報提示部25は、接続点位置特定部24が特定した接続点の位置に応じて、注目配線と回路部品との接続に関する情報を利用者に提示する。例えば接続情報提示部25は、接続点の位置近傍の所定の範囲を拡大した画像を表示部14に表示することによって、注目配線が回路部品のどの端子と接続されているかなどの情報をユーザに提示することとしてもよい。
【0042】
また、接続情報提示部25は、注目配線を識別するための配線識別記号(数字、アルファベット、記号等)を示す画像を、回路画像中の接続点位置の近傍の所定位置に合成することとしてもよい。このようにして生成された配線識別記号を合成した回路画像が、表示部14に表示されることで、ユーザは容易に各配線によってどの回路部品とどの回路部品とが接続されているかを把握することができる。また、このような配線識別記号を合成した回路画像は、画像処理装置1に接続されたプリンタ等の画像形成装置によって、紙などの媒体上に形成されてもよい。図8は、図3の回路画像に対して、接続点の位置の近傍に配線識別記号を示す画像が合成された回路画像の一例を示す図である。
【0043】
なお、注目配線選択部23、接続点位置特定部24、及び接続情報提示部25による以上説明した処理が繰り返されることによって、複数の注目配線のそれぞれについて、接続点位置の近傍に配線識別記号を示す画像が合成されることとしてもよい。この場合、接続情報提示部25は、それぞれの注目配線ごとに、配線識別記号が重複しないように配線識別記号を示す画像を合成することとする。これにより、ユーザは複数の配線を区別して、それぞれの配線によって接続されている回路部品を把握することができる。
【0044】
以上説明した本実施の形態によれば、選択された注目配線が各回路部品のいずれかと接続される接続点の回路画像上の位置を特定することにより、回路画像に配線や回路部品を識別するための情報が含まれない場合であっても、回路部品と配線との接続に関する情報をユーザに提示できる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、画像処理装置1は、画像読み取り装置2によって読み取られたものに限らず、例えば通信ネットワーク等を介して、他の方法で回路画像を取得することとしてもよい。また、注目配線選択部23は、ユーザの指示によらずに、予め定められた条件によって注目配線を選択することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の機能の一例を表す機能ブロック図である。
【図3】回路画像の一例を示す図である。
【図4】回路画像に含まれる各画素について、画像処理装置に記憶されるデータの一例を示す図である。
【図5】回路部品特定部が実行する判定処理の判定条件を示す説明図である。
【図6】回路部品特定部が実行する別の判定処理の判定条件を示す説明図である。
【図7】接続点位置特定部が実行する判定処理の判定条件を示す説明図である。
【図8】配線識別記号を示す画像が合成された回路画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 画像処理装置、2 画像読み取り装置、11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示部、15 通信部、21 回路画像取得部、22 回路部品特定部、23 注目配線選択部、24 接続点位置特定部、25 接続情報提示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路部品を表す画像要素と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素と、を含む回路画像を取得する回路画像取得手段と、
前記取得した回路画像に含まれる画像要素により表される少なくとも一つの配線の中から、注目配線を選択する注目配線選択手段と、
前記選択した注目配線が前記各回路部品のいずれかと接続される接続点の前記回路画像上の位置を特定する接続点位置特定手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記回路画像取得手段は、前記回路画像としてラスタ画像データを取得し、
前記注目配線選択手段は、いずれかの配線を表す画像要素上の注目画素を選択することで、当該注目画素を含む画像要素によって表される配線を前記注目配線として選択し、
前記接続点位置特定手段は、前記注目画素と連結する画素を検索して前記注目配線を表す画像要素を構成する画素を特定し、当該特定した画素に基づいて、前記接続点の位置を特定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記取得した回路画像に含まれる前記回路部品を表す画像要素を構成する画素を特定する回路部品特定手段をさらに含み、
前記接続点位置特定手段は、前記特定した回路部品を表す画像要素を構成する画素と、前記特定した注目配線を表す画像要素を構成する画素と、に基づいて、前記接続点の位置を特定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記注目配線取得手段は、前記取得した回路画像を表示し、当該表示した回路画像に対する利用者の指示に基づいて、前記注目配線を選択する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記特定した接続点の位置に応じて、前記注目配線と前記回路部品との接続に関する情報を利用者に提示する接続情報提示手段をさらに含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
複数の回路部品を表す画像要素と、当該各回路部品に接続される少なくとも一つの配線を表す画像要素と、を含む回路画像を取得する回路画像取得手段、
前記取得した回路画像に含まれる画像要素により表される少なくとも一つの配線の中から、注目配線を選択する注目配線選択手段、及び
前記選択した注目配線が前記各回路部品のいずれかと接続される接続点の前記回路画像上の位置を特定する接続点位置特定手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−90785(P2008−90785A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273958(P2006−273958)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】