説明

画像処理装置及び撮像装置

【課題】周辺光量落ちや光学収差が大きい領域を切り出すことを防止できるようにする。
【解決手段】カメラ制御部105は、画像データの焦点距離、被写体距離、絞り値及びレンズIDの情報を取得する。そして、取得した焦点距離、被写体距離、絞り値及びレンズIDの情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する。そして、ユーザによって選択された切り出し領域に前記算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定の閾値を超えている警告領域を含む場合には、切り出し領域の中に警告領域が含まれている旨を表示部104に表示して警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、撮像装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、画像を切り出すために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周辺光量落ちが目立たないようにするために、光学ズームでズーミングする際に、周辺光量落ちが小さい領域を切り出す撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−115117号公報
【特許文献2】特開2007−67827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、前記特許文献1及び特許文献2では、光学ズームでズーミングする際に周辺光量落ちが小さい領域を切り出すことができる。ところが、画像の切り出し領域を自由に選択する場合には、周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれてしまうことがある。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、周辺光量落ちや光学収差が大きい領域を切り出すことを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、画像データ、及び前記画像データの撮像情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出手段と、ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された切り出し領域に前記算出手段によって算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記選択手段による選択を禁止または警告するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、選択した切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれている場合にユーザは容易に認識することができる。これにより、周辺光量落ちや光学収差が小さい領域を選択して切り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】切り出し領域に警告表示を行う動作例を示すフローチャートである。
【図3】禁止領域を含む場合に切り出し防止する動作例を示すフローチャートである。
【図4】光学ズームアウト及び画像縮小を行う動作例を示すフローチャートである。
【図5】切り出し領域に対して警告表示を行う例を示す図である。
【図6】光学ズームアウト及び画像縮小を行う様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施する最良の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の撮像装置1の構成例を示すブロック図である。本実施形態の撮像装置1の一例としては、例えば、デジタルカメラであり、CCD、CMOS等のイメージセンサを利用して画像を電気信号として取得し、デジタルデータ化する。そして、画像データのファイルとして少なくとも外部装置に出力したり記録媒体に記録したりすることが可能である。また、本実施形態の撮像装置1は、必要に応じて、現像処理や、画像データファイル形式に応じた圧縮符号化処理、ファイル生成処理等を行う。例えば、デジタルカメラの場合、画像データの形式としては、静止画の場合はRAW形式、JPEG形式、TIFF方式などが用いられ、動画の場合はMotionJPEG方式、MPEG方式などが用いられる。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の撮像装置1は、レンズ部101、撮像部102、記憶部103、表示部104、カメラ制御部105、データ処理部106及び入力部107を備えている。
【0011】
レンズ部101は、レンズや絞りといった光学系を備えており、レンズは着脱可能な交換式であってもよく、着脱不可であり、交換式でなくてもよい。撮像部102は、光学系によって結像された光束を画像信号として取り出すための撮像素子(イメージセンサ)、及び撮像素子が出力する画像信号をデジタルデータ化して出力するA/D変換器を有する。また、撮像部102は、自動焦点制御回路(AF)及び自動絞り制御回路(AE)を有している。撮像部102から出力される画像データは、データ処理部106により予め設定された形式に従った画像データファイルに変換される。
【0012】
データ処理部106は、設定された形式に応じて必要な画像処理、圧縮符号化処理、ファイル生成処理等を行う。具体的には、例えばJPEG形式の画像データファイルを生成する場合、まず、ホワイトバランス処理や色補間処理といった現像処理を行う。そして、現像処理を行った画像データをJPEG形式にするための圧縮符号化処理を行い、画像データファイルを、読み出し可能な記憶部103に記憶する。
【0013】
記憶部103は、データを書き込み可能な不揮発性メモリ、メディア、ハードディスクなどの記憶媒体であり、着脱可能であってもよい。表示部104は、例えばLCDであり、撮像装置1の各種設定を行ったり閲覧したりするためのメニュー画面、各種メッセージ、撮影画像等を表示するために用いられる。
【0014】
カメラ制御部105は、ユーザの操作に応じて入力部107から入力信号を受けると、レンズ部101、撮像部102、記憶部103、表示部104、データ処理部106及び入力部107の制御を行う。入力部107は、釦等の操作部材を有しており、撮像装置1に対してユーザから直接操作による入力を受け付ける。なお、本実施形態の撮像装置1が備えるレンズ部101、撮像部102、記憶部103、表示部104、カメラ制御部105、データ処理部106及び入力部107は、一部が複数の装置に分散していてもよい。
【0015】
次に、図2を参照しながら、前述した構成の撮像装置1によって、画像の切り出し領域を選択する際に、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれている場合に警告表示を行う動作例について説明する。ここで、撮像部102で撮像した画像をそのまま表示した場合と、記憶部103に記憶されている画像データファイルを再生して表示した場合とがある。図2に示すフローチャートでは、両方の場合について説明する。なお、図2での各処理は、撮像装置1のROMやハードディスク等に記憶された制御プログラムがRAMにロードされて、カメラ制御部105のCPUにより実行される。
【0016】
また、画像の切り出し領域を自由に選択する際に切り出す領域は、周辺光量落ちが小さい領域だけでなく、光学収差が小さい領域も対象とする。ここで光学収差とは、光学的に生じた歪みのことをいい、歪曲収差、倍率色収差、軸上色収差などを指す。
【0017】
図2において、まず、切り出しを行う全体画像を表示部104に表示することにより、処理を開始する。そして、ステップS200において、カメラ制御部105は、周辺光量落ちや光学収差を補正する光学歪み補正機能がオフであるかどうかを判定する。この判定の結果、光学歪み補正機能がオフである場合はステップS201に進む。一方、ステップS200の判定の結果、光学歪み補正機能がオンである場合は、周辺光量落ちや光学収差が補正されているので、ステップS208に進み、カメラ制御部105は、入力部107でのユーザによる直接操作に基づいて、画像の切り出し領域を選択する。そして、ステップS209に進む。
【0018】
ステップS201において、カメラ制御部105は取得手段として機能し、撮像装置1の焦点距離、被写体距離、絞り値、及びレンズ部101のレンズを識別するレンズIDの情報を取得する。なお、画像データファイルを再生して表示する場合には、画像データファイルに付加情報(撮像情報)として記録されている焦点距離、被写体距離、絞り値、及び撮影時に使用したレンズを識別するレンズIDの情報を取得する。
【0019】
次に、ステップS202において、カメラ制御部105は算出手段として機能する。そして、焦点距離、被写体距離、絞り値及びレンズIDの情報に基づいて、表示されている画像領域の中で、周辺光量落ち量、光学収差量が所定値(第1の閾値)よりも大きい警告領域を算出する。このとき、警告領域はレンズの種類や焦点距離、被写体距離、絞りによって変化する。一般的なレンズであれば、この警告領域は、画面の中央部ではなく周辺部に設定されることになる。
【0020】
次に、ステップS203において、カメラ制御部105は選択手段として機能し、入力部107でのユーザによる直接操作に基づいて、画像の切り出し領域を選択する。そして、ステップS204において、カメラ制御部105は、画像領域全体に対する、ステップS203で選択した切り出し領域の割合が所定値(第2の閾値)よりも小さいかどうかを判定する。この判定の結果、第2の閾値よりも小さい場合は、ステップS205に進む。一方、ステップS204の判定の結果、第2の閾値よりも大きい場合はステップS209に進む。
【0021】
本実施形態では、画像領域全体に対する切り出し領域の割合が予め設定された第2の閾値よりも小さい場合は、切り出し倍率が大きくなり、切り出し領域の位置によっては周辺光量落ちや光学収差がより目立つため、ステップS205の判定へ進む。逆に切り出し領域の割合が予め設定された第2の閾値よりも大きい場合は、切り出し倍率が小さくなり、周辺光量落ちや光学収差が比較的目立たないため、ステップS209へ進み、警告表示を行わない。
【0022】
次に、ステップS205において、カメラ制御部105は、ステップS203で選択した切り出し領域の中心が光学中心であるかどうかを判定する。この判定の結果、切り出し領域の中心が光学中心でない場合は、ステップS206に進む。一方、ステップS205の判定の結果、切り出し領域の中心が光学中心である場合は、周辺光量落ちや光学収差に偏りがなく、かつ、周辺光量落ちや光学収差の程度が小さいので、ステップS209に進む。
【0023】
次に、ステップS206において、カメラ制御部105は、ステップS203で選択した切り出し領域に、ステップS202で算出した警告領域が含まれるかどうかを判定する。上述したように、一般的なレンズであれば、この警告領域は画面の周辺部に設定されるため、切り出し領域の中心位置が光学中心から離れるほど、切り出し領域に警告領域に含まれやすくなる。この判定の結果、警告領域が含まれる場合はステップS207に進む。一方、ステップS206の判定の結果、警告領域が含まれない場合はステップS209に進む。
【0024】
次に、ステップS207において、カメラ制御部105は、ステップS203で選択した切り出し領域を表示部104に表示する際に警告表示し、処理を終了する。具体的には、図5に示すように、画像全体51から切り出した切り出し領域53にステップS202で算出した警告領域52が含まれていることを表示して警告し、処理を終了する。
【0025】
一方、ステップS209においては、カメラ制御部105は、ステップS203またはステップS208で選択した切り出し領域を表示部104に表示する際に警告は行わず、切り出し領域を通常表示し、処理を終了する。なお、本実施形態においては、図5に示すように警告領域だけを表示して警告してもよく、切り出し領域全体を警告領域として警告してもよい。また、それ以外の方法で警告してもよい。
【0026】
以上のように本実施形態によれば、画像の切り出し領域を自由に選択する場合に、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれていれば、警告表示を行うようにした。これにより、ユーザは選択した切り出した領域の中に、周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が存在するかどうかを知ることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態おける撮像装置の構成は第1の実施形態における撮像装置1の構成と同様であるので、構成についての説明は省略する。以下、図3を参照しながら、本実施形態の撮像装置1によって、画像の切り出し領域を自由に選択しようとする際に、周辺光量落ちや光学収差が大きい領域を切り出すことを禁止する動作例について説明する。また、図3においても、撮像部102で撮像した画像をそのまま表示した場合と、記憶部103に記憶されている画像データファイルを再生して表示した場合との両方の場合について説明する。なお、図3での各処理は、撮像装置1のROMやハードディスク等に記憶された制御プログラムがRAMにロードされて、カメラ制御部105のCPUにより実行される。
【0028】
図3において、ステップS300及びS301の処理はそれぞれ、図2のステップS200及びS201の処理と同様である。次に、ステップS302において、カメラ制御部105は、焦点距離、被写体距離、絞り値、レンズIDの情報に基づいて、表示されている画像領域の中で、周辺光量落ち量、光学収差量が予め設定されている第1の閾値よりも大きい切り出し禁止領域を算出する。本実施形態では、第1の実施形態のように警告領域が含まれていることを警告表示するのではなく、切り出し禁止領域を算出して、切り出し禁止領域を含む場合には切り出し処理を行うことができないようにする。なお、切り出し禁止領域はレンズの種類や焦点距離、被写体距離、絞りによって変化する。
【0029】
次に、ステップS303〜S306、ステップS308についてはそれぞれ、図2のステップS203〜S206、ステップS208の処理と同様である。但し、本実施形態では、警告領域ではなく切り出し禁止領域として処理を行う。
【0030】
そして、ステップS306の判定の結果、切り出し領域に切り出し禁止領域が含まれる場合は、ステップS307に進む。そして、ステップS307において、カメラ制御部105は、ステップS303で選択した切り出し領域を切り出せないように制御し、処理を終了する。
【0031】
一方、ステップS306の判定の結果、切り出し禁止領域が含まれない場合は、ステップS309に進む。そして、ステップS309において、カメラ制御部105は、ステップS303またはステップS308で選択した切り出し領域を切り出して、処理を終了する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、画像の切り出し領域を自由に選択する場合に、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれていれば、切り出し領域を選択して切り出すことを禁止するようにした。また、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれていれば、切り出し領域に切り出し禁止領域が含まれないように、自動的に切り出し領域の位置をずらすようにしてもよい。これにより、ユーザが選択した切り出した画像の中に、周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれることを防止することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態おける撮像装置の構成は第1の実施形態における撮像装置1の構成と同様であるので、構成についての説明は省略する。以下、図4を参照しながら、本実施形態の撮像装置1による動作例について説明する。本実施形態では、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれている場合に、光学ズームアウト及び切り出し領域の縮小処理により、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域を含まないようにする。したがって、図4においては、撮像部102で撮像した画像をそのまま表示した場合について説明する。なお、図4での各処理は、撮像装置1のROMやハードディスク等に記憶された制御プログラムがRAMにロードされて、カメラ制御部105のCPUにより実行される。
【0034】
図4において、ステップS400及びS401の処理はそれぞれ、図2のステップS200及びS201の処理と同様である。ここで、光学歪み補正機能がオンである場合は、周辺光量落ちや光学収差が補正されているので、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域を含まれないようにする処理は行わないこととなる。
【0035】
次に、ステップS402において、カメラ制御部105は、焦点距離、被写体距離、絞り値、レンズIDの情報に基づいて、表示されている画像領域の中で、周辺光量落ち量、光学収差量が予め設定されている第1の閾値よりも大きい光学歪み領域を算出する。本実施形態では、第2の実施形態のように切り出し禁止領域が含まれている場合に切り出しを禁止するのではなく、光学歪み領域を算出して、光学歪み領域を含む場合には切り出し領域を縮小する。なお、光学歪み領域はレンズの種類や焦点距離、被写体距離、絞りによって変化する。
【0036】
次に、ステップS403〜S406、ステップS413についてはそれぞれ、図2のステップS203〜S206、ステップS208の処理と同様である。但し、本実施形態では、警告領域ではなく光学歪み領域として処理を行う。また、本実施形態では、図6(a)に示すような画像全体611から切り出し領域612を選択する例について、以下、動作を説明する。
【0037】
また、ステップS404で切り出し領域の割合が予め設定された第2の閾値よりも小さい場合は、切り出し倍率が大きくなり、切り出し領域の位置によっては周辺光量落ちや光学収差がより目立つため、ステップS405の判定へ進む。一方、切り出し領域の割合が予め設定された第2の閾値よりも大きい場合は、切り出し倍率が小さくなり、周辺光量落ちや光学収差が比較的目立たない。したがって、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差の大きい領域が含まれないようにする処理は行わない。
【0038】
そして、ステップS406の判定の結果、切り出し領域に光学歪み領域が含まれる場合は、ステップS407に進む。そして、ステップS407において、カメラ制御部105は、ステップS401で取得した情報に基づいて、レンズ部101のレンズの焦点距離がワイド端であるかどうかを判定する。この判定の結果、レンズの焦点距離がワイド端でない場合は、ステップS408に進む。一方、ステップS407の判定の結果、レンズの焦点距離がワイド端である場合は、ステップS412に進む。
【0039】
次に、ステップS403で選択した切り出し領域と同じ画角の領域が光学歪み領域を含まないようにする必要がある。そこで、ステップS408において、図6(b)に示す画像621のように、カメラ制御部105はレンズ部101を撮像制御し、光学ズームアウトにより、画角が広がるようにレンズの焦点距離を変更する。なお、光学ズームアウトの途中で、レンズの焦点距離がワイド端になった場合はその時点で光学ズームアウトを止める。これより、図6(b)に示すように、図6(a)に示す画像に含まれていた被写体は画像全体に対するサイズが小さくなる。この段階では、図6(b)に示すように、画像621に対する切り出し領域622の面積は変化していない。
【0040】
次に、ステップS409において、カメラ制御部105は、図6(c)に示す切り出し領域632のように、ステップS403で選択した切り出し領域と同じ画角になるように、画像の切り出し領域を縮小する。この段階では、図6(c)に示すように、画像631に対する切り出し領域632のサイズを縮小し、光学歪み領域633が含まれないようにする。
【0041】
次に、ステップS410において、カメラ制御部105は、レンズ部101のレンズの焦点距離がワイド端であるかどうかを判定する。この判定の結果、レンズの焦点距離がワイド端でない場合は、ステップS414に進む。一方、ステップS410の判定の結果、レンズの焦点距離がワイド端である場合は、ステップS411に進む。
【0042】
なお、ステップS410でレンズの焦点距離がワイド端であると判定される場合とは、ステップS408における光学ズームアウトの途中で、レンズの焦点距離がワイド端になった場合である。ステップS408では、画像の切り出し領域に光学歪み領域が含まれないようにするために、光学ズームアウトを行っている。ところが、光学ズームアウトの途中で焦点距離がワイド端になると、これ以上光学ズームアウトできなくなり、画像の切り出し領域に光学歪み領域が含まれたままの可能性がある。
【0043】
そこで、次に、ステップS411において、カメラ制御部105は、縮小した切り出し領域に、ステップS402で算出した光学歪み領域が含まれるかどうかを判定する。この判定の結果、光学歪み領域が含まれる場合は、ステップS412に進む。そして、ステップS412において、カメラ制御部105は、切り出し領域を表示部104に表示する際に警告表示し、処理を終了する。具体的には第1の実施形態と同様に、図5に示す切り出し領域53のように、ステップS402で算出した光学歪み領域が含まれていることを警告し、処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS411の判定の結果、光学歪み領域が含まれない場合は、ステップS414に進む。そして、ステップS414において、カメラ制御部105は、切り出し領域を表示部104に表示する際に警告は行わず、切り出し領域を通常表示し、処理を終了する。なお、本実施形態においては、図5に示したように、警告領域だけを表示して警告してもよく、切り出し領域全体を警告領域として警告してもよい。また、それ以外の方法で警告してもよい。
【0045】
以上のように本実施形態によれば、画像の切り出し領域を自由に選択する場合に、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まれていれば、光学ズームアウト及び切り出し領域の縮小処理を行うようにした。これにより、切り出し領域に周辺光量落ちや光学収差が大きい領域が含まないようにすることができる。
【0046】
(本発明に係る他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0047】
104 表示部、105 カメラ制御部、107 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ、及び前記画像データの撮像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出手段と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された切り出し領域に前記算出手段によって算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記選択手段による選択を禁止または警告するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像データの画像領域全体に対する前記切り出し領域の割合が所定値よりも小さい場合に前記選択手段による選択を禁止または警告するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記切り出し領域の中心が光学中心からずれている場合に前記選択手段による選択を禁止または警告するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、光学歪み補正が行われていない画像データに対して制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像データの撮像情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出手段と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された切り出し領域に、前記算出手段によって算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御する撮像制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記撮像制御手段は、前記画像データの画像領域全体に対する前記切り出し領域の割合が所定値よりも小さい場合に前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像制御手段は、前記切り出し領域の中心が光学中心からずれている場合に前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御することを特徴とする請求項5または6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像制御手段は、光学歪み補正を行われていない画像データに対して制御することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像制御手段は、前記光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含まないように、前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御することを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
画像データ、及び前記画像データの撮像情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出工程と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された切り出し領域に前記算出工程において算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記選択工程における選択を禁止または警告するように制御する制御工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
撮像手段によって生成された画像データの撮像情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出工程と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された切り出し領域に、前記算出工程において算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御する撮像制御工程とを備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
画像データ、及び前記画像データの撮像情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出工程と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された切り出し領域に前記算出工程において算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記選択工程における選択を禁止または警告するように制御する制御工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
撮像手段によって生成された画像データの撮像情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された撮像情報に基づいて、前記画像データの光学収差量または周辺光量落ち量を算出する算出工程と、
ユーザの操作に応じて前記画像データから切り出す切り出し領域を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された切り出し領域に、前記算出工程において算出された光学収差量または周辺光量落ち量が所定値を超えている領域を含む場合に、前記撮像手段の光学ズーム及び前記切り出し領域のサイズを変更するように制御する撮像制御工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−55361(P2011−55361A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204001(P2009−204001)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】