画像処理装置及び画像処理方法
【課題】画像を解析する処理を行う際に、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間の短縮を実現する。
【解決手段】撮影された被写体Hの原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定回路191と、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて原画像の解像度を変換する解像度変換回路192と、解像度変換回路192で変換された解像度変換画像から関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析回路193を備えるようにする。
【解決手段】撮影された被写体Hの原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定回路191と、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて原画像の解像度を変換する解像度変換回路192と、解像度変換回路192で変換された解像度変換画像から関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析回路193を備えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置及び画像処理方法、当該画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば医療用のX線撮影装置においては、デジタルのX線画像データを出力可能なデジタルX線撮影装置が普及してきており、このようなデジタルX線撮影装置では、原画像であるX線画像データの画像処理が必要不可欠となっている。このX線画像データの画像処理としては様々なものが適用されているが、その中でもX線画像データを診断し易い濃度(輝度)とコントラストに変換する階調変換処理は、重要な画像処理の1つである。
【0003】
図10は、一般的な階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
具体的に、図10には、階調変換処理に使用される関数の形状として、銀塩フィルムの特性曲線と同様のS字形状のものが示されており、このS字の特性曲線の作成方法については、例えば下記の特許文献1に示されている。
【0004】
また、X線画像データにおいてはその画像全体が必ずしも診断に必要なものではなく、その中の一部分の情報のみが必要である場合がある。そのため、画像全体から不要な領域を削除した領域(以下、「関心領域」という)が最適な濃度(輝度)とコントラストとなるように、S字曲線を撮影されたX線画像データの画素値に対応付けるのが一般的である。
【0005】
この具体的な方法としては、例えば図11及び図12に示すような方法がある。
図11は、一般的な1点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
図11には、被写体中の関心領域を代表する画素値(例えば、胸部正面画像の肺野内の最大画素値)が所定の出力値(例えば、濃度1.8Dに対応する画素値)となるように階調変換処理を行う方法(以下、「1点法」という)が示されている。
【0006】
図12は、一般的な2点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
図12には、画像中に含まれる関心領域の画素値分布(例えば、最小値から最大値)がそれぞれ一定範囲の出力値(例えば、最低濃度0.2Dから最高濃度3.2D)となるように階調変換処理を行う方法(以下、「2点法」という)が示されている。
【0007】
このように、図10に示すようなS字曲線をX線画像データの画素値に対応付ける具体的な方法としては、上述した1点法や2点法など、様々な方法がある。
【0008】
さらに、上述した1点法、2点法で使用される関心領域の代表値を自動で解析する方法が各種提案されている。例えば、下記の特許文献2には、画像の2次元的な構造を解析し関心領域の代表値として算出する方法が提案されており、また、下記の特許文献3には、画像のヒストグラムの形状を解析し関心領域の代表値を算出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−88688号公報
【特許文献2】特開2000−163562号公報
【特許文献3】特開平8−331385号公報
【特許文献4】特開2002−245453号公報
【特許文献5】特開2000−276605号公報
【特許文献6】特許第3631095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、X線撮影装置で取得されるX線画像データは、非常に高解像度な画像(例えば、画素ピッチ:160μm、画素数:720万画素)であるため、上述したような解析を行う場合に高精度な解析が行える反面、処理時間がかかるという課題がある。なお、このような課題を解決する手段として、特許文献3では、解析を行う際に解像度を低くした画像データ(間引きした画像データ)を用いることで処理時間を短縮することが開示されている。
【0011】
しかしながら、特許文献3では、解析すべき対象構造の大きさを考慮せずに画像データを間引きするため、撮影部位によっては十分な解析精度が得られない場合がある。例えば、図13(a)に示すような胸部正面画像に対して横軸方向のプロファイルから関心領域である肺野を解析する場合、対象構造である肺野は比較的大きな構造である。ここで、図13(b)及び図13(c)は、図13(a)に示す胸部正面画像のI−I'の位置における画素値を示している。図13(a)に示す大局的な構造を解析する場合、図13(b)のような高解像度の画像データのプロファイルを解析する必要は無く、図13(c)のようにサンプリングを粗くした低解像度の画像データのプロファイルを解析しても十分な解析精度が得られる。
【0012】
これに対して、例えば、図14(a)に示すような指画像に対して横軸方向のプロファイルから関心領域である指を解析する場合、対象構造である指は比較的小さな構造である。ここで、図14(b)及び図14(c)は、図14(a)に示す胸部正面画像のII−II'の位置における画素値を示している。図14(a)に示す局所的な構造を解析する場合、図14(c)のようにサンプリングを粗くした低解像度の画像データのプロファイルでは、対象構造である指の形状が表現できないため、精度良く指構造を解析することが困難になる。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、画像を解析する処理を行う際に、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間の短縮を実現する仕組みを適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像処理装置は、撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置であって、前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定手段と、前記所定領域設定手段で設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段で変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析手段とを有する。
【0015】
また、本発明は、上述した画像処理装置による画像処理方法、及び、当該画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、当該プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像を解析する処理を行う際に、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図4】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図5】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS202における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図10】一般的な階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
【図11】一般的な1点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
【図12】一般的な2点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
【図13】従来技術の課題を説明するための模式図である。
【図14】従来技術の課題を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下の本発明の各実施形態では、本発明に係る画像処理装置として、放射線の一種であるX線を用いて被写体の撮影を行うX線撮影装置を適用した例について説明を行う。また、本発明の各実施形態では、本発明に係る画像処理装置としてX線撮影装置を適用した例について説明を行うが、例えば、他の放射線(例えば、α線、β線、γ線など)を用いて被写体の撮影を行う放射線撮影装置を適用することも可能である。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明を行う。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。図1に示すX線撮影装置100は、撮影した被写体のX線画像データ(放射線画像データ)をフィルム上又はモニタ上に出力する際の効果的な画像処理を行う機能を有する装置である。
【0021】
図1に示すX線撮影装置100は、X線発生回路110、2次元X線センサ120、データ収集回路130、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180、画像処理回路190及びバスを有して構成されている。
【0022】
図1に示すX線撮影装置100において、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180及び画像処理回路190は、バス(CPUバス)に接続されている。また、X線撮影装置100において、前処理回路140はデータ収集回路130と接続されており、また、データ収集回路130はX線発生回路110及び2次元X線センサ120と接続されている。
【0023】
X線発生回路110は、例えばデータ収集回路130及び前処理回路140を介したCPU150の制御に基づいて、被写体Hに対してビーム状のX線(放射線)111aを放射する。
【0024】
2次元X線センサ120は、被写体Hを透過したX線111bを入力し、当該X線111bに基づくX線画像信号を出力する。この2次元X線センサ120には、例えば、撮影されるX線画像の各画素に対応する画素が2次元行列状に形成されている。
【0025】
データ収集回路130は、2次元X線センサ120から出力されたX線画像信号を所定のデジタル信号に変換して、これをX線画像データ(放射線画像データ)として前処理回路140に出力する。
【0026】
前処理回路140は、データ収集回路130から出力されたX線画像データに対して、オフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行う。そして、前処理回路140は、CPU150の制御に基づいて、前処理を行ったX線画像データを原画像データとして、バスを介して、メインメモリ160に一旦記憶するとともに、画像処理回路190に出力する。
【0027】
CPU150は、X線撮影装置100の各構成部を必要に応じて制御して、X線撮影装置100における動作を統括的に制御する。
【0028】
メインメモリ160は、CPU150の処理に必要なプログラムや各種のデータ及び各種の情報などを記憶するとともに、CPU150のワーキング・メモリとして機能する。
【0029】
操作パネル170は、ユーザ(操作者)が各種の指示をX線撮影装置100に対して行う際に操作されるものである。
【0030】
画像表示器180は、例えばCPU150の制御に基づいて、各種の画像や各種の情報などを表示する。
【0031】
画像処理回路190は、例えばCPU150の制御に基づいて、撮影されたX線画像データの画像処理を行う。この画像処理回路190は、所定領域設定回路191、解像度変換回路192、解析回路193及び階調変換回路194を含み構成されている。
【0032】
所定領域設定回路191は、X線画像データに基づくX線画像(原画像)上の所定領域を設定する処理を行う。
【0033】
解像度変換回路192は、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて、X線画像(原画像)の解像度を変換する処理を行う。ここで、解像度変換回路192は、解像度変換後のX線画像(解像度変換画像)における前記所定領域の総画素数が一定値になるように解像度を変換する。
【0034】
解析回路193は、解像度変換回路192で解像度が変換等されたX線画像(解像度変換画像等)から関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する処理を行う。
【0035】
階調変換回路194は、解析回路193で解析された代表値に基づいて、X線画像(解像度変換画像等)の階調変換処理を行う。
【0036】
X線撮影装置100のバス(CPUバス)は、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180及び画像処理回路190を、相互に通信可能に接続するためのものである。
【0037】
このように構成されたX線撮影装置100において、CPU150は、メインメモリ160の記憶されたプログラムや各種の情報等を用いて、操作パネル170からの操作指示に従って、X線撮影装置100全体の動作制御等を行う。これにより、X線撮影装置100は、以下のように動作する。
【0038】
まず、操作パネル170を介してユーザから撮影指示が入力されると、CPU150はこれを検知し、当該撮影指示を、前処理回路140を介してデータ収集回路130に送信する。データ収集回路130は、撮影指示を受けると、X線発生回路110及び2次元X線センサ120を制御してX線撮影を実行する。
【0039】
X線撮影では、まず、X線発生回路110が被写体Hに対してX線111aを放射し、2次元X線センサ120では、被写体H内を減衰しながら透過したX線111bを入力し、当該X線111bに基づくX線画像信号をデータ収集回路130に出力する。ここで、本実施形態においては、被写体Hを人体とする。即ち、2次元X線センサ120から出力されるX線画像信号は、人体画像に係る信号となる。
【0040】
そして、データ収集回路130では、2次元X線センサ120から出力されたX線画像信号を所定のデジタル信号に変換してX線画像データとして前処理回路140に出力する。そして、前処理回路140では、データ収集回路130からのX線画像データに対して、上述したオフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行って、前処理後のX線画像データを原画像データとして、メインメモリ160及び画像処理回路190に出力する。そして、画像処理回路190では、原画像データに対して所定の画像処理を行う。
【0041】
次に、以上のように構成されたX線撮影装置100の画像処理回路190による画像処理方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図2には、X線撮影装置100の画像処理回路190における画像処理方法の処理手順の一例が示されている。
【0042】
まず、図2の処理を開始する前に、画像処理回路190は、例えば前処理回路140から前処理後のX線画像データ(原画像データ)を受信する。
そして、原画像データを受信すると、ステップS101において、所定領域設定回路191は、例えば操作パネル170からの撮影部位情報に基づいて、原画像データに基づく原画像上の略関心領域を含む領域を所定領域として設定する。ここで、以下に、ステップS101の処理について具体的に説明する。
【0043】
図3、図4及び図5は、図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【0044】
ここで、被写体Hの撮影部位に応じて、関心領域が、原画像上(2次元X線センサ120上)のどの位置に存在するのかをおおよそ把握することが可能である。よって、ステップS101の処理では、所定領域設定回路191は、ユーザが撮影指示を行う際に予め操作パネル170から入力した撮影部位情報をメインメモリ160から取得し、当該撮影部位情報に応じて所定領域を適宜設定する。
【0045】
例えば、図3に示す胸部正面撮影(図3(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心から広い矩形範囲の領域、即ち関心領域である肺野を略含む領域を所定領域301(図3(b))として設定する。また、例えば、図4に示す胸椎正面撮影(図4(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心から上下方向に長い矩形範囲の領域、即ち関心領域である胸椎を略含む領域を所定領域401(図4(b))として設定する。また、例えば、図5に示す指撮影(図5(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心付近の狭い矩形範囲の領域、即ち関心領域である指を略含む領域を所定領域501(図5(b))として設定する。
【0046】
なお、本実施形態では、撮影部位情報に応じて所定領域を自動で設定する例について説明したが、例えば、ユーザが撮影部位ごとに予め設定した所定領域をメインメモリ160に記憶しておき、撮影時にその所定領域情報を用いて所定領域を設定する形態でもよい。
【0047】
ここで、再び、図2の説明に戻る。
ステップS101の処理が終了すると、ステップS102に進む。
ステップS102〜S104の処理は、解像度変換回路192において、所定領域の大きさに基づいて、原画像データに基づく原画像の解像度を変換する処理である。具体的に以下に説明する。
【0048】
まず、ステップS102において、解像度変換回路192は、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて、原画像データに基づく原画像の拡大/縮小率(倍率)Rを、以下の式(1)にて計算する。
R=(Rows×Columns×Pitch)/Tar ・・・ (1)
【0049】
(1)式において、Rowsは設定された所定領域の行方向の画素数(pixel)、Columnsは設定された所定領域の列方向の画素数(pixel)、Pitchは画素ピッチ(μm)であり、Tarは変換後の画像の解像度を規定するための定数である。また、拡大/縮小率Rは、1.0より小さい場合に画像の縮小を意味し、1.0より大きい場合に画像の拡大を意味する。なお、Tarは、例えば解析に必要な解像度を考慮して経験的に決定されるものであるが、本実施形態では、例えばTar=4500とする。
【0050】
ここで、(1)式の拡大/縮小率Rは、所定領域が大きくなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなる。前述したとおり所定領域は略関心領域を含む領域であり、所定領域が大きくなるほど、解析する対象構造も大きくなるものである。即ち、所定領域が大きくなるほど、縮小して解像度を低くしても十分な解析精度が得られるものであり、式(1)を用いることにより、解析すべき対象構造の大きさにあわせた拡大/縮小率が設定可能となる。
【0051】
なお、拡大/縮小率Rの算出方法は、(1)式に限定されるものではなく、所定領域が大きくなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなるような方法であればよい。例えば、所定領域の短辺方向の画像数(pixel)をminLとし、以下の(2)式を用いて拡大/縮小率Rを計算することも可能である。
R=(minL×Pitch)/Tar ・・・ (2)
この場合、所定領域の短辺が長くなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなる。
【0052】
続いて、ステップS103において、解像度変換回路192は、ステップS102で算出した拡大/縮小率Rが1.0よりも小さい縮小であるか否かを判断する。
【0053】
ステップS103の判断の結果、ステップS102で算出した拡大/縮小率Rが1.0よりも小さい縮小である場合には、ステップS104に進む。
ステップS104に進むと、解像度変換回路192は、原画像データに基づく原画像をR倍に縮小する処理を行って、原画像の解像度を変換する処理を行う。ここで、原画像の縮小方法は、特に限定されるものではないが、例えば、最近傍補間、線形補間、3次スプライン補間等を用いて補間縮小を行うことが可能である。なお、補間縮小に関する詳細については、既に公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0054】
ステップS104の処理が終了した場合、或いは、ステップS103で縮小でないと判断された場合には、ステップS105に進む。
【0055】
ステップS105に進むと、解析回路193は、解像度変換回路192で変換処理された解像度変換画像データ(或いは縮小処理されなかった原画像データ)から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を算出して、その解析を行う。
【0056】
ここで、ステップS105における解析方法については、特に限定されるものではないが、画像データのヒストグラムから認識する方法や画像データの2次元的な構造から関心領域を認識する方法等の様々な方法を用いることができる。なお、関心領域は、撮影部位ごとに異なるため、例えば操作パネル170で設定された撮影部位に基づいて、異なる方法によって解析処理を行ってもよい。具体的に、例えば、頚椎の場合には、本出願人より既に提案されている上記の特許文献4に記載された方法を用いることができる。この方法では、被写体領域内の首領域の輪郭線を抽出することで関心領域である頚椎の代表値を解析することができる。また、例えば、胸部の場合には、本出願人より既に提案されている上記の特許文献5に記載された方法を用いることができる。この方法では、画像の空間的な位置関係から領域を限定することで関心領域である肺野の代表値を解析することができる。
【0057】
続いて、ステップS106において、階調変換回路194は、解析回路193で解析された代表値に基づいて、ステップS105で代表値を算出した画像データに基づく画像の階調変換処理を行う。ここで、以下に、ステップS106の処理について具体的に説明する。
【0058】
図6は、本発明の第1の実施形態を示し、階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
具体的に、ステップS106では、例えば本出願人より既に提案されている上記の特許文献1に記載のS字曲線を用いて、図6に示すように、関心領域の代表値が操作パネル170を介して設定された所望の濃度とコントラストになるように階調変換処理を行う。なお、ステップS106の階調変換処理は、図6に示すようなS次曲線を用いたものに限定されるものではなく、例えば直線などを用いてもよい。
【0059】
以上説明したように、第1の実施形態のX線撮影装置100では、略関心領域を含む所定領域の大きさに基づいて原画像の解像度を変換(縮小)し、解像度を変換した解像度変換画像から関心領域の分布傾向を示す代表値を解析するようにしている。
かかる構成によれば、関心領域の大きさ(対象構造の大きさ)を考慮した解像度で解析処理を実行することができるため、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間を短縮することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明を行う。
【0061】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。ここで、図7に示すX線撮影装置200において、図1に示す第1の実施形態に係るX線撮影装置100と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0062】
具体的に、図7に示すX線撮影装置200は、図1に示すX線撮影装置100の構成に加えて、照射野認識回路291が追加されて構成されている。よって、図7では、照射野認識回路291を含む画像処理回路を「画像処理回路290」として記載している。
【0063】
照射野認識回路291は、原画像に対して、照射野領域(診断に不要な領域へのX線被曝の防止や散乱によるコントラストの低下を防止するために、診断に必要領域のみX線照射する所謂「照射野絞り」が行われた領域)を認識する処理を行う。即ち、照射野認識回路291は、原画像におけるX線(放射線)の照射野領域を認識する処理を行う。
【0064】
X線撮影装置200の画像処理回路290による画像処理方法について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図8には、X線撮影装置200の画像処理回路290における画像処理方法の処理手順の一例が示されている。また、図8に示すフローチャートの各ステップにおいて、図2に示すフローチャートのステップと同様のステップについては、同じステップ番号を付しており、その説明は省略する。
【0065】
まず、図8の処理を開始する前に、画像処理回路190は、例えば前処理回路140から前処理後のX線画像データ(原画像データ)を受信する。
そして、原画像データを受信すると、ステップS201において、照射野認識回路291は、原画像データに基づく原画像に対して、前記照射野領域を認識する処理を行う。ここで、照射野領域を認識する方法としては、例えば、本出願人より既に提案されている上記の特許文献6に記載された方法を用いることができる。この方法では、注目画素とその周辺画素の画素値のパターンにより照射野端らしさを点数化して、照射野領域の認識を行っている。
【0066】
続いて、ステップS202において、所定領域設定回路191は、照射野認識回路291で認識処理された照射野領域に基づいて、原画像データに基づく原画像上の略関心領域を含む領域を所定領域として設定する。ここで、以下に、ステップS202の処理について具体的に説明する。
【0067】
図9は、図8のステップS202における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。ここで、図9(a)には胸椎正面撮影における照射野領域901が示され、図9(b)には指撮影における照射野領域902が示されている。
【0068】
ここで、図9(a)及び図9(b)に示すように、照射野領域901及び902は、診断に不要な領域へのX線被曝を防止するために、略関心領域を含む範囲(領域)に限定される。よって、ステップS202の処理では、照射野認識回路291で認識処理された照射野領域(901及び902)を所定領域として設定する。なお、本例では、照射野領域と所定領域とを一致させるようにしているが、本発明においては、照射野領域と所定領域とを完全に一致させる必要はなく、例えば、照射野領域を内側に小さくした領域を所定領域として設定してもよい。即ち、照射野領域に含まれる範囲から所定領域を設定する形態を適用可能である。
【0069】
なお、本実施形態のステップS202の処理では、照射野領域に基づいて所定領域を設定するため、事前に所定領域を設定する手間を省ける効果がある。また、照射野領域は、2次元X線センサ120と被写体Hの位置関係や、被写体Hの体格にあわせて設定されるため、このような変動要素に対してロバストに所定領域を設定することが可能である。
【0070】
ステップS202の処理が終了すると、ステップS102に進む。
その後、図2に示すステップS102〜S106の処理を経ることにより、図8に示すフローチャートの処理が終了する。
【0071】
以上説明したように、第2の実施形態のX線撮影装置200では、原画像の照射野領域の認識処理を行い、当該照射野領域に基づいて原画像上の略関心領域を含む所定領域を設定するようにしている。
かかる構成によれば、第1の実施形態における効果に加えて、事前に所定領域を設定する手間を省けるとともに、最適な所定領域の設定を行うことが可能となる。
【0072】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の各実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法を示す図2及び図8の各ステップは、コンピュータのCPU(150)が記憶媒体(160)に記憶されているプログラムを実行することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0073】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0074】
なお、本発明は、前述した各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図2及び図8に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0075】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0076】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0077】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0078】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0079】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0080】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0081】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した各実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した各実施形態の機能が実現され得る。
【0082】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した各実施形態の機能が実現される。
【0083】
なお、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
100:X線撮影装置(画像処理装置)、110:X線発生回路、111a,111b:X線、120:2次元X線センサ、130:データ収集回路、140:前処理回路、150:CPU、160:メインメモリ、170:操作パネル、180:画像表示器、190:画像処理回路190、191:所定領域設定回路、192:解像度変換回路、193:解析回路、194:階調変換回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置及び画像処理方法、当該画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば医療用のX線撮影装置においては、デジタルのX線画像データを出力可能なデジタルX線撮影装置が普及してきており、このようなデジタルX線撮影装置では、原画像であるX線画像データの画像処理が必要不可欠となっている。このX線画像データの画像処理としては様々なものが適用されているが、その中でもX線画像データを診断し易い濃度(輝度)とコントラストに変換する階調変換処理は、重要な画像処理の1つである。
【0003】
図10は、一般的な階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
具体的に、図10には、階調変換処理に使用される関数の形状として、銀塩フィルムの特性曲線と同様のS字形状のものが示されており、このS字の特性曲線の作成方法については、例えば下記の特許文献1に示されている。
【0004】
また、X線画像データにおいてはその画像全体が必ずしも診断に必要なものではなく、その中の一部分の情報のみが必要である場合がある。そのため、画像全体から不要な領域を削除した領域(以下、「関心領域」という)が最適な濃度(輝度)とコントラストとなるように、S字曲線を撮影されたX線画像データの画素値に対応付けるのが一般的である。
【0005】
この具体的な方法としては、例えば図11及び図12に示すような方法がある。
図11は、一般的な1点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
図11には、被写体中の関心領域を代表する画素値(例えば、胸部正面画像の肺野内の最大画素値)が所定の出力値(例えば、濃度1.8Dに対応する画素値)となるように階調変換処理を行う方法(以下、「1点法」という)が示されている。
【0006】
図12は、一般的な2点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
図12には、画像中に含まれる関心領域の画素値分布(例えば、最小値から最大値)がそれぞれ一定範囲の出力値(例えば、最低濃度0.2Dから最高濃度3.2D)となるように階調変換処理を行う方法(以下、「2点法」という)が示されている。
【0007】
このように、図10に示すようなS字曲線をX線画像データの画素値に対応付ける具体的な方法としては、上述した1点法や2点法など、様々な方法がある。
【0008】
さらに、上述した1点法、2点法で使用される関心領域の代表値を自動で解析する方法が各種提案されている。例えば、下記の特許文献2には、画像の2次元的な構造を解析し関心領域の代表値として算出する方法が提案されており、また、下記の特許文献3には、画像のヒストグラムの形状を解析し関心領域の代表値を算出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−88688号公報
【特許文献2】特開2000−163562号公報
【特許文献3】特開平8−331385号公報
【特許文献4】特開2002−245453号公報
【特許文献5】特開2000−276605号公報
【特許文献6】特許第3631095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、X線撮影装置で取得されるX線画像データは、非常に高解像度な画像(例えば、画素ピッチ:160μm、画素数:720万画素)であるため、上述したような解析を行う場合に高精度な解析が行える反面、処理時間がかかるという課題がある。なお、このような課題を解決する手段として、特許文献3では、解析を行う際に解像度を低くした画像データ(間引きした画像データ)を用いることで処理時間を短縮することが開示されている。
【0011】
しかしながら、特許文献3では、解析すべき対象構造の大きさを考慮せずに画像データを間引きするため、撮影部位によっては十分な解析精度が得られない場合がある。例えば、図13(a)に示すような胸部正面画像に対して横軸方向のプロファイルから関心領域である肺野を解析する場合、対象構造である肺野は比較的大きな構造である。ここで、図13(b)及び図13(c)は、図13(a)に示す胸部正面画像のI−I'の位置における画素値を示している。図13(a)に示す大局的な構造を解析する場合、図13(b)のような高解像度の画像データのプロファイルを解析する必要は無く、図13(c)のようにサンプリングを粗くした低解像度の画像データのプロファイルを解析しても十分な解析精度が得られる。
【0012】
これに対して、例えば、図14(a)に示すような指画像に対して横軸方向のプロファイルから関心領域である指を解析する場合、対象構造である指は比較的小さな構造である。ここで、図14(b)及び図14(c)は、図14(a)に示す胸部正面画像のII−II'の位置における画素値を示している。図14(a)に示す局所的な構造を解析する場合、図14(c)のようにサンプリングを粗くした低解像度の画像データのプロファイルでは、対象構造である指の形状が表現できないため、精度良く指構造を解析することが困難になる。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、画像を解析する処理を行う際に、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間の短縮を実現する仕組みを適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像処理装置は、撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置であって、前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定手段と、前記所定領域設定手段で設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段で変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析手段とを有する。
【0015】
また、本発明は、上述した画像処理装置による画像処理方法、及び、当該画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、当該プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像を解析する処理を行う際に、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図4】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図5】図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS202における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【図10】一般的な階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
【図11】一般的な1点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
【図12】一般的な2点法による階調変換処理を説明するための模式図である。
【図13】従来技術の課題を説明するための模式図である。
【図14】従来技術の課題を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下の本発明の各実施形態では、本発明に係る画像処理装置として、放射線の一種であるX線を用いて被写体の撮影を行うX線撮影装置を適用した例について説明を行う。また、本発明の各実施形態では、本発明に係る画像処理装置としてX線撮影装置を適用した例について説明を行うが、例えば、他の放射線(例えば、α線、β線、γ線など)を用いて被写体の撮影を行う放射線撮影装置を適用することも可能である。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明を行う。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。図1に示すX線撮影装置100は、撮影した被写体のX線画像データ(放射線画像データ)をフィルム上又はモニタ上に出力する際の効果的な画像処理を行う機能を有する装置である。
【0021】
図1に示すX線撮影装置100は、X線発生回路110、2次元X線センサ120、データ収集回路130、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180、画像処理回路190及びバスを有して構成されている。
【0022】
図1に示すX線撮影装置100において、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180及び画像処理回路190は、バス(CPUバス)に接続されている。また、X線撮影装置100において、前処理回路140はデータ収集回路130と接続されており、また、データ収集回路130はX線発生回路110及び2次元X線センサ120と接続されている。
【0023】
X線発生回路110は、例えばデータ収集回路130及び前処理回路140を介したCPU150の制御に基づいて、被写体Hに対してビーム状のX線(放射線)111aを放射する。
【0024】
2次元X線センサ120は、被写体Hを透過したX線111bを入力し、当該X線111bに基づくX線画像信号を出力する。この2次元X線センサ120には、例えば、撮影されるX線画像の各画素に対応する画素が2次元行列状に形成されている。
【0025】
データ収集回路130は、2次元X線センサ120から出力されたX線画像信号を所定のデジタル信号に変換して、これをX線画像データ(放射線画像データ)として前処理回路140に出力する。
【0026】
前処理回路140は、データ収集回路130から出力されたX線画像データに対して、オフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行う。そして、前処理回路140は、CPU150の制御に基づいて、前処理を行ったX線画像データを原画像データとして、バスを介して、メインメモリ160に一旦記憶するとともに、画像処理回路190に出力する。
【0027】
CPU150は、X線撮影装置100の各構成部を必要に応じて制御して、X線撮影装置100における動作を統括的に制御する。
【0028】
メインメモリ160は、CPU150の処理に必要なプログラムや各種のデータ及び各種の情報などを記憶するとともに、CPU150のワーキング・メモリとして機能する。
【0029】
操作パネル170は、ユーザ(操作者)が各種の指示をX線撮影装置100に対して行う際に操作されるものである。
【0030】
画像表示器180は、例えばCPU150の制御に基づいて、各種の画像や各種の情報などを表示する。
【0031】
画像処理回路190は、例えばCPU150の制御に基づいて、撮影されたX線画像データの画像処理を行う。この画像処理回路190は、所定領域設定回路191、解像度変換回路192、解析回路193及び階調変換回路194を含み構成されている。
【0032】
所定領域設定回路191は、X線画像データに基づくX線画像(原画像)上の所定領域を設定する処理を行う。
【0033】
解像度変換回路192は、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて、X線画像(原画像)の解像度を変換する処理を行う。ここで、解像度変換回路192は、解像度変換後のX線画像(解像度変換画像)における前記所定領域の総画素数が一定値になるように解像度を変換する。
【0034】
解析回路193は、解像度変換回路192で解像度が変換等されたX線画像(解像度変換画像等)から関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する処理を行う。
【0035】
階調変換回路194は、解析回路193で解析された代表値に基づいて、X線画像(解像度変換画像等)の階調変換処理を行う。
【0036】
X線撮影装置100のバス(CPUバス)は、前処理回路140、CPU150、メインメモリ160、操作パネル170、画像表示器180及び画像処理回路190を、相互に通信可能に接続するためのものである。
【0037】
このように構成されたX線撮影装置100において、CPU150は、メインメモリ160の記憶されたプログラムや各種の情報等を用いて、操作パネル170からの操作指示に従って、X線撮影装置100全体の動作制御等を行う。これにより、X線撮影装置100は、以下のように動作する。
【0038】
まず、操作パネル170を介してユーザから撮影指示が入力されると、CPU150はこれを検知し、当該撮影指示を、前処理回路140を介してデータ収集回路130に送信する。データ収集回路130は、撮影指示を受けると、X線発生回路110及び2次元X線センサ120を制御してX線撮影を実行する。
【0039】
X線撮影では、まず、X線発生回路110が被写体Hに対してX線111aを放射し、2次元X線センサ120では、被写体H内を減衰しながら透過したX線111bを入力し、当該X線111bに基づくX線画像信号をデータ収集回路130に出力する。ここで、本実施形態においては、被写体Hを人体とする。即ち、2次元X線センサ120から出力されるX線画像信号は、人体画像に係る信号となる。
【0040】
そして、データ収集回路130では、2次元X線センサ120から出力されたX線画像信号を所定のデジタル信号に変換してX線画像データとして前処理回路140に出力する。そして、前処理回路140では、データ収集回路130からのX線画像データに対して、上述したオフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行って、前処理後のX線画像データを原画像データとして、メインメモリ160及び画像処理回路190に出力する。そして、画像処理回路190では、原画像データに対して所定の画像処理を行う。
【0041】
次に、以上のように構成されたX線撮影装置100の画像処理回路190による画像処理方法について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図2には、X線撮影装置100の画像処理回路190における画像処理方法の処理手順の一例が示されている。
【0042】
まず、図2の処理を開始する前に、画像処理回路190は、例えば前処理回路140から前処理後のX線画像データ(原画像データ)を受信する。
そして、原画像データを受信すると、ステップS101において、所定領域設定回路191は、例えば操作パネル170からの撮影部位情報に基づいて、原画像データに基づく原画像上の略関心領域を含む領域を所定領域として設定する。ここで、以下に、ステップS101の処理について具体的に説明する。
【0043】
図3、図4及び図5は、図2のステップS101における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。
【0044】
ここで、被写体Hの撮影部位に応じて、関心領域が、原画像上(2次元X線センサ120上)のどの位置に存在するのかをおおよそ把握することが可能である。よって、ステップS101の処理では、所定領域設定回路191は、ユーザが撮影指示を行う際に予め操作パネル170から入力した撮影部位情報をメインメモリ160から取得し、当該撮影部位情報に応じて所定領域を適宜設定する。
【0045】
例えば、図3に示す胸部正面撮影(図3(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心から広い矩形範囲の領域、即ち関心領域である肺野を略含む領域を所定領域301(図3(b))として設定する。また、例えば、図4に示す胸椎正面撮影(図4(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心から上下方向に長い矩形範囲の領域、即ち関心領域である胸椎を略含む領域を所定領域401(図4(b))として設定する。また、例えば、図5に示す指撮影(図5(a))では、2次元X線センサ120上(原画像上)の中心付近の狭い矩形範囲の領域、即ち関心領域である指を略含む領域を所定領域501(図5(b))として設定する。
【0046】
なお、本実施形態では、撮影部位情報に応じて所定領域を自動で設定する例について説明したが、例えば、ユーザが撮影部位ごとに予め設定した所定領域をメインメモリ160に記憶しておき、撮影時にその所定領域情報を用いて所定領域を設定する形態でもよい。
【0047】
ここで、再び、図2の説明に戻る。
ステップS101の処理が終了すると、ステップS102に進む。
ステップS102〜S104の処理は、解像度変換回路192において、所定領域の大きさに基づいて、原画像データに基づく原画像の解像度を変換する処理である。具体的に以下に説明する。
【0048】
まず、ステップS102において、解像度変換回路192は、所定領域設定回路191で設定された所定領域の大きさに基づいて、原画像データに基づく原画像の拡大/縮小率(倍率)Rを、以下の式(1)にて計算する。
R=(Rows×Columns×Pitch)/Tar ・・・ (1)
【0049】
(1)式において、Rowsは設定された所定領域の行方向の画素数(pixel)、Columnsは設定された所定領域の列方向の画素数(pixel)、Pitchは画素ピッチ(μm)であり、Tarは変換後の画像の解像度を規定するための定数である。また、拡大/縮小率Rは、1.0より小さい場合に画像の縮小を意味し、1.0より大きい場合に画像の拡大を意味する。なお、Tarは、例えば解析に必要な解像度を考慮して経験的に決定されるものであるが、本実施形態では、例えばTar=4500とする。
【0050】
ここで、(1)式の拡大/縮小率Rは、所定領域が大きくなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなる。前述したとおり所定領域は略関心領域を含む領域であり、所定領域が大きくなるほど、解析する対象構造も大きくなるものである。即ち、所定領域が大きくなるほど、縮小して解像度を低くしても十分な解析精度が得られるものであり、式(1)を用いることにより、解析すべき対象構造の大きさにあわせた拡大/縮小率が設定可能となる。
【0051】
なお、拡大/縮小率Rの算出方法は、(1)式に限定されるものではなく、所定領域が大きくなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなるような方法であればよい。例えば、所定領域の短辺方向の画像数(pixel)をminLとし、以下の(2)式を用いて拡大/縮小率Rを計算することも可能である。
R=(minL×Pitch)/Tar ・・・ (2)
この場合、所定領域の短辺が長くなるほど、拡大/縮小率Rが小さくなる。
【0052】
続いて、ステップS103において、解像度変換回路192は、ステップS102で算出した拡大/縮小率Rが1.0よりも小さい縮小であるか否かを判断する。
【0053】
ステップS103の判断の結果、ステップS102で算出した拡大/縮小率Rが1.0よりも小さい縮小である場合には、ステップS104に進む。
ステップS104に進むと、解像度変換回路192は、原画像データに基づく原画像をR倍に縮小する処理を行って、原画像の解像度を変換する処理を行う。ここで、原画像の縮小方法は、特に限定されるものではないが、例えば、最近傍補間、線形補間、3次スプライン補間等を用いて補間縮小を行うことが可能である。なお、補間縮小に関する詳細については、既に公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0054】
ステップS104の処理が終了した場合、或いは、ステップS103で縮小でないと判断された場合には、ステップS105に進む。
【0055】
ステップS105に進むと、解析回路193は、解像度変換回路192で変換処理された解像度変換画像データ(或いは縮小処理されなかった原画像データ)から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を算出して、その解析を行う。
【0056】
ここで、ステップS105における解析方法については、特に限定されるものではないが、画像データのヒストグラムから認識する方法や画像データの2次元的な構造から関心領域を認識する方法等の様々な方法を用いることができる。なお、関心領域は、撮影部位ごとに異なるため、例えば操作パネル170で設定された撮影部位に基づいて、異なる方法によって解析処理を行ってもよい。具体的に、例えば、頚椎の場合には、本出願人より既に提案されている上記の特許文献4に記載された方法を用いることができる。この方法では、被写体領域内の首領域の輪郭線を抽出することで関心領域である頚椎の代表値を解析することができる。また、例えば、胸部の場合には、本出願人より既に提案されている上記の特許文献5に記載された方法を用いることができる。この方法では、画像の空間的な位置関係から領域を限定することで関心領域である肺野の代表値を解析することができる。
【0057】
続いて、ステップS106において、階調変換回路194は、解析回路193で解析された代表値に基づいて、ステップS105で代表値を算出した画像データに基づく画像の階調変換処理を行う。ここで、以下に、ステップS106の処理について具体的に説明する。
【0058】
図6は、本発明の第1の実施形態を示し、階調変換処理に使用される関数の一例を示す模式図である。
具体的に、ステップS106では、例えば本出願人より既に提案されている上記の特許文献1に記載のS字曲線を用いて、図6に示すように、関心領域の代表値が操作パネル170を介して設定された所望の濃度とコントラストになるように階調変換処理を行う。なお、ステップS106の階調変換処理は、図6に示すようなS次曲線を用いたものに限定されるものではなく、例えば直線などを用いてもよい。
【0059】
以上説明したように、第1の実施形態のX線撮影装置100では、略関心領域を含む所定領域の大きさに基づいて原画像の解像度を変換(縮小)し、解像度を変換した解像度変換画像から関心領域の分布傾向を示す代表値を解析するようにしている。
かかる構成によれば、関心領域の大きさ(対象構造の大きさ)を考慮した解像度で解析処理を実行することができるため、その解析精度を落とすことなくその解析処理にかかる処理時間を短縮することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明を行う。
【0061】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)の概略構成の一例を示す模式図である。ここで、図7に示すX線撮影装置200において、図1に示す第1の実施形態に係るX線撮影装置100と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0062】
具体的に、図7に示すX線撮影装置200は、図1に示すX線撮影装置100の構成に加えて、照射野認識回路291が追加されて構成されている。よって、図7では、照射野認識回路291を含む画像処理回路を「画像処理回路290」として記載している。
【0063】
照射野認識回路291は、原画像に対して、照射野領域(診断に不要な領域へのX線被曝の防止や散乱によるコントラストの低下を防止するために、診断に必要領域のみX線照射する所謂「照射野絞り」が行われた領域)を認識する処理を行う。即ち、照射野認識回路291は、原画像におけるX線(放射線)の照射野領域を認識する処理を行う。
【0064】
X線撮影装置200の画像処理回路290による画像処理方法について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図8には、X線撮影装置200の画像処理回路290における画像処理方法の処理手順の一例が示されている。また、図8に示すフローチャートの各ステップにおいて、図2に示すフローチャートのステップと同様のステップについては、同じステップ番号を付しており、その説明は省略する。
【0065】
まず、図8の処理を開始する前に、画像処理回路190は、例えば前処理回路140から前処理後のX線画像データ(原画像データ)を受信する。
そして、原画像データを受信すると、ステップS201において、照射野認識回路291は、原画像データに基づく原画像に対して、前記照射野領域を認識する処理を行う。ここで、照射野領域を認識する方法としては、例えば、本出願人より既に提案されている上記の特許文献6に記載された方法を用いることができる。この方法では、注目画素とその周辺画素の画素値のパターンにより照射野端らしさを点数化して、照射野領域の認識を行っている。
【0066】
続いて、ステップS202において、所定領域設定回路191は、照射野認識回路291で認識処理された照射野領域に基づいて、原画像データに基づく原画像上の略関心領域を含む領域を所定領域として設定する。ここで、以下に、ステップS202の処理について具体的に説明する。
【0067】
図9は、図8のステップS202における所定領域の設定方法の一例を示す模式図である。ここで、図9(a)には胸椎正面撮影における照射野領域901が示され、図9(b)には指撮影における照射野領域902が示されている。
【0068】
ここで、図9(a)及び図9(b)に示すように、照射野領域901及び902は、診断に不要な領域へのX線被曝を防止するために、略関心領域を含む範囲(領域)に限定される。よって、ステップS202の処理では、照射野認識回路291で認識処理された照射野領域(901及び902)を所定領域として設定する。なお、本例では、照射野領域と所定領域とを一致させるようにしているが、本発明においては、照射野領域と所定領域とを完全に一致させる必要はなく、例えば、照射野領域を内側に小さくした領域を所定領域として設定してもよい。即ち、照射野領域に含まれる範囲から所定領域を設定する形態を適用可能である。
【0069】
なお、本実施形態のステップS202の処理では、照射野領域に基づいて所定領域を設定するため、事前に所定領域を設定する手間を省ける効果がある。また、照射野領域は、2次元X線センサ120と被写体Hの位置関係や、被写体Hの体格にあわせて設定されるため、このような変動要素に対してロバストに所定領域を設定することが可能である。
【0070】
ステップS202の処理が終了すると、ステップS102に進む。
その後、図2に示すステップS102〜S106の処理を経ることにより、図8に示すフローチャートの処理が終了する。
【0071】
以上説明したように、第2の実施形態のX線撮影装置200では、原画像の照射野領域の認識処理を行い、当該照射野領域に基づいて原画像上の略関心領域を含む所定領域を設定するようにしている。
かかる構成によれば、第1の実施形態における効果に加えて、事前に所定領域を設定する手間を省けるとともに、最適な所定領域の設定を行うことが可能となる。
【0072】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の各実施形態に係るX線撮影装置(画像処理装置)による画像処理方法を示す図2及び図8の各ステップは、コンピュータのCPU(150)が記憶媒体(160)に記憶されているプログラムを実行することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0073】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0074】
なお、本発明は、前述した各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図2及び図8に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0075】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0076】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0077】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0078】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0079】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0080】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0081】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した各実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した各実施形態の機能が実現され得る。
【0082】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した各実施形態の機能が実現される。
【0083】
なお、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
100:X線撮影装置(画像処理装置)、110:X線発生回路、111a,111b:X線、120:2次元X線センサ、130:データ収集回路、140:前処理回路、150:CPU、160:メインメモリ、170:操作パネル、180:画像表示器、190:画像処理回路190、191:所定領域設定回路、192:解像度変換回路、193:解析回路、194:階調変換回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置であって、
前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定手段と、
前記所定領域設定手段で設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換手段と、
前記解像度変換手段で変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記解像度変換手段は、解像度変換後の前記解像度変換画像における前記所定領域の総画素数が一定値になるように前記解像度を変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定領域設定手段は、前記原画像の前記被写体における撮影部位に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原画像における放射線の照射野領域を認識する照射野認識手段を更に有し、
前記所定領域設定手段は、前記照射野認識手段で認識された照射野領域に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定領域設定手段は、前記照射野領域に含まれる範囲から前記所定領域を設定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記解析手段で解析された代表値に基づいて、前記解像度変換画像の階調を変換する階調変換手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
撮影された被写体の原画像を処理する画像処理方法であって、
前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定ステップと、
前記所定領域設定ステップで設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換ステップと、
前記解像度変換ステップで変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記解像度変換ステップでは、解像度変換後の前記解像度変換画像における前記所定領域の総画素数が一定値になるように前記解像度を変換することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記所定領域設定ステップでは、前記原画像の前記被写体における撮影部位に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記原画像における放射線の照射野領域を認識する照射野認識ステップを更に有し、
前記所定領域設定ステップでは、前記照射野認識ステップで認識された照射野領域に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記所定領域設定ステップでは、前記照射野領域に含まれる範囲から前記所定領域を設定することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記解析ステップで解析された代表値に基づいて、前記解像度変換画像の階調を変換する階調変換ステップを更に有することを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
撮影された被写体の原画像を処理する画像処理装置であって、
前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定手段と、
前記所定領域設定手段で設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換手段と、
前記解像度変換手段で変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記解像度変換手段は、解像度変換後の前記解像度変換画像における前記所定領域の総画素数が一定値になるように前記解像度を変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定領域設定手段は、前記原画像の前記被写体における撮影部位に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原画像における放射線の照射野領域を認識する照射野認識手段を更に有し、
前記所定領域設定手段は、前記照射野認識手段で認識された照射野領域に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定領域設定手段は、前記照射野領域に含まれる範囲から前記所定領域を設定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記解析手段で解析された代表値に基づいて、前記解像度変換画像の階調を変換する階調変換手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
撮影された被写体の原画像を処理する画像処理方法であって、
前記原画像における関心領域を含む所定領域を設定する所定領域設定ステップと、
前記所定領域設定ステップで設定された所定領域の大きさに基づいて前記原画像の解像度を変換する解像度変換ステップと、
前記解像度変換ステップで変換された解像度変換画像から前記関心領域の分布傾向を示す少なくとも1つの代表値を解析する解析ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記解像度変換ステップでは、解像度変換後の前記解像度変換画像における前記所定領域の総画素数が一定値になるように前記解像度を変換することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記所定領域設定ステップでは、前記原画像の前記被写体における撮影部位に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記原画像における放射線の照射野領域を認識する照射野認識ステップを更に有し、
前記所定領域設定ステップでは、前記照射野認識ステップで認識された照射野領域に基づいて、前記所定領域を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記所定領域設定ステップでは、前記照射野領域に含まれる範囲から前記所定領域を設定することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記解析ステップで解析された代表値に基づいて、前記解像度変換画像の階調を変換する階調変換ステップを更に有することを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載の画像処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−259540(P2010−259540A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111342(P2009−111342)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]