説明

画像処理装置

【課題】 IDチップからの情報が読めなくなったとき、所定の印刷条件での印刷を可能にする画像処理装置を提供する。
【解決手段】 IDを含む情報が記録された第1の不揮発性メモリ22を有するプロセスカートリッジ2と、第1の不揮発性メモリ22から情報を読み取る読み取り手段7と、所定の印刷条件を記憶する第2の不揮発メモリ61を有する記憶手段6と、第1の不揮発性メモリ22からの情報が読めないとき、第2の不揮発メモリ61に記憶された印刷条件で印刷を行う制御手段4とを備えた画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機などの画像処理装置に関し、特にプロセスカートリッジのID読み取り不可ときの対応技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、カートリッジを識別する識別情報及び所定の画像プロセス情報を記憶する保持手段を有するプロセスカートリッジが提案されている。
特許文献2では、カートリッジメモリを有するカートリッジ、ユニットメモリを有する現像材供給ユニット、カートリッジ及び現像材供給ユニットを画像形成装置に対し取り外し可能に装着するための装着部、本体メモリ、装着部に現像材供給ユニットが装着された際に、現像材供給ユニットに現像材が再充填された可能性があることを検知する検知手段、検知結果をユニットメモリ及びカートリッジメモリに記憶させる記憶手段を有する画像形成装置が提案されている。
特許文献3では、出荷されたプロセスカートリッジをはじめて使用するときに、画像形成装置本体の認識コードを送信して、プロセスカートリッジに記憶し、本体は認識コードが合っているときのみ通信し、合っていないときは手動で認識コードを書き換える技術が提案されている。
特許文献4では、現像剤の品質を保証するコードデータを有し、装着されたとき本体の読み取り手段に接続可能な接続端子を備えた収容器と、現像剤の特性を示すデータと再利用回数を記憶する記憶手段を有し、記憶手段のデータが読み取れなかったとき本体の動作を禁止し、特性データに基づいて画像形成条件を変更する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平10−105021号公報
【特許文献2】特開2001−228691公報
【特許文献3】特開平11−305632号公報
【特許文献4】特開平06−149051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
感光体を中心にして、電子写真プロセスユニットをカートリッジ化したプロセスユニットにおいて、IDチップ、IDチップ情報読み取り手段、あるいはその伝達手段の異常などにより、IDチップからの情報が読めなくなってしまう場合がある。
本発明は、IDチップからの情報が読めなくなったとき、所定の印刷条件での印刷を可能にする画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、IDを含む情報が記録された第1の不揮発性メモリを有するプロセスカートリッジと、第1の不揮発性メモリから情報を読み取る読み取り手段と、所定の印刷条件を記憶する第2の不揮発メモリを有する記憶手段と、第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、第2の不揮発メモリに記憶された印刷条件で印刷を行う制御手段とを備えた画像処理装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、所定の枚数の印刷を行うように制御することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、それまでの使用履歴に応じた枚数の印刷を行うように制御することを特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、レポートのみ印刷を行うように制御することを特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、前記第2の不揮発メモリのそれまでとは異なる領域に使用履歴を記録することを特徴とする。
請求項6記載の発明では、複数の読み取り手段を装着し、制御手段は、一つの読み取り手段が第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、他の読み取り手段で読み取るよう制御する画像処理装置を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、制御手段は、第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、警告を通知あるいは表示する請求項1〜6のいずれかの画像処理装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、制御手段は、第1の不揮発性メモリから読み取ったデータが、一定の値の連続であった場合に第1の不揮発性メモリからの情報が読めないと判断する請求項1〜7のいずれかの画像処理装置を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1によれば、IDチップからの情報が読めなくなったとき、所定の印刷条件での印刷が行えるので、継続して装置を使用できる。
請求項2によれば、IDチップからの情報が読めなくなったとき、所定の枚数の印刷が行えるので、継続して装置を使用できる。
請求項3によれば、IDチップからの情報が読めなくなったとき、それまでの使用量に応じて印刷が行えるので、使用量の多い使用者には、多くの記録可能枚数を提供でき、保守まで使用可能となる。
請求項4によれば、IDチップからの情報が読めなくなったとき、レポートの印刷ができるので、装置の状態を確認できる。
請求項5によれば、IDチップからの情報が読めなくなったときでも、第2の不揮発メモリのそれまでとは異なる領域に使用履歴を記録するので、IDチップからの情報が読めたときと読めなくなったときの履歴を別々に蓄積することができる。
請求項6によれば、IDチップからの情報が読めなくなったとき、警告を通知あるいは表示するので、IDチップからの情報が読めなくなったことを、使用者や管理者に警告できる。
請求項7によれば、複数の読み取り装置を装着しているので、一つの読み取り装置がIDチップからの情報が読めないときでも、他の読み取り装置で読み取ることができ、装置を常時使用するようにすることができる。
請求項8によれば、不揮発性メモリから読み取ったデータが、一定の値の連続であった場合に不揮発性メモリからの情報が読めないと判断しているので、プロセスカートリッジが変わった場合との判別ができ、対応を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。本画像処理装置1は、制御手段4、記録手段5、記憶手段6、コード読み取り/書き込み手段7、通信手段8、表示手段9より構成される。
各手段はシステムバスに接続され、制御手段4が全体を制御する。制御手段4には、算出手段41、計数手段42が備えられている。制御手段4は、プロセスカートリッジ2から読み取ったID情報に応じて印刷条件を設定し、記録手段5による印刷を制御する。
また制御手段4は、プロセスカートリッジ2に記憶された情報を記憶手段6の不揮発性メモリ61にコピーする。また、履歴情報を記憶手段6に記憶させる。さらに、IDなどの情報が読み取れなかったとき、算出手段41によって、それまでの使用枚数から印刷可能枚数の算出をし、計数手段42によって、残りの印刷可能枚数の計数を行う。
記録手段5にはプロセスカートリッジ2が備えられ、プロセスカートリッジ2には不揮発メモリ22が備えられている。さらに、不揮発メモリ22には、カートリッジIDなどの情報が記録されている。
記憶手段6には不揮発メモリ61が備えられ、読み取ったIDよりそのプロセスカートリッジ2に適した印刷条件と、プロセスカートリッジ2からの情報が読み取れなかったときに設定する所定の印刷条件が記憶されている。
コード読み取り/書き込み手段7は不揮発メモリ22の内容の読み取り、書き込みをする。通信手段8は通信回線に接続されており、制御手段4により装置異常の通知などの通信制御を行う。表示手段9は制御手段4によって制御され、装置の状態や、異常時の警告を表示する。
【0007】
図2は本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成図である。プロセスカードリッジ2は、画像処理装置1に着脱可能な形式で装着されている。画像処理装置1は、光学系1a、給紙コロ1b、記録紙3を収納する給紙カセット1c、転写ローラ1d、定着ローラ1e等で構成される。
一方、プロセスカートリッジ2は、帯電ローラ2a、現像手段及びトナー収納部2b、クリーニング手段及び廃トナー回収部2c、感光体2d等で構成されている。光学系1aは、ポリゴンモータ、ポリゴンミラー、Fθレンズ、レーザダイオード、ミラー等で構成される。
画像処理装置1の動作の概略を説明する。給紙カセット1cに収納された記録紙3は、給紙コロ1bにより感光体2dへ搬送される。感光体2dは時計方向に回転駆動され、その際、帯電ローラ2aによって帯電され、光学系1aからレーザー光が照射されて、感光体2d上に静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像手段及びトナー収納部2bを通る際に、トナーによって可視像化される。可視像は、転写ローラ1dにより、感光体2dへ搬送された記録紙3に転写される。記録紙3はその後定着ローラ1eに搬送され、記録紙3上の可視像は定着される。記録紙3はその後画像処理装置の1の外部に排出される。
図3はプロセスカートリッジの斜視図である。本プロセスカートリッジ2は、帯電ローラ2a、現像手段及びトナー収納部2b、クリーニング手段及び廃トナー回収部2c、感光体2dを一体(AIO)にしたものである。
図2に示す、プロセスカートリッジ2には不揮発メモリ22が実装されている。不揮発メモリ22には各感光体ユニット(プロセスカートリッジユニット)の制御に必要な情報、カートリッジID、製造年月日、使用開始年月日、リサイクル回数、コピー枚数、現在の年月日、図示しないトナー残量センサから得られたトナー残量情報等が記憶されている。不揮発メモリ22の変わりに、ICチップを搭載したプリント基板または非接触型ICチップを搭載したプリント基板を実装しても良い。
【0008】
図4は制御手段による第1の制御例を示すフロー図である。印刷開始動作を始めるとプロセスカートリッジ2からIDなどの情報を読む(S1)。読み取りデータが一定の値の場合(S2でY)、正しく読み取れていないと判定して警告を表示し(S3)、印刷条件を記憶手段6に記憶した所定の値に設定し(S4)、その設定条件で印刷を行う(S5)。正しく読み取れた場合には、そのプロセスカートリッジ2に適した印刷条件を設定し、その設定条件で印刷を行う(S6)。
図5は制御手段による第2の制御例を示すフロー図である。印刷開始動作を始めるとプロセスカートリッジ2からIDなどの情報を読む(S11)。読み取りデータが一定の値の場合(S12でY)、正しく読み取れていないと判定して警告を通知し(S13)、データが正しく読み取れなかったときにセットするフラグ(FLAG A)をセットする(S14、S15)。これまでの使用枚数より、今後の印刷可能枚数を算出し(S16)、印刷可能枚数を設定する(S17)。また、履歴記入領域を記憶手段6の新たな領域に設定する(S18)。
印刷内容がレポート印刷でなく(S19でN)、印刷可能枚数がない場合には(S20でN)、印刷を中止する(S21)。レポート印刷や、印刷可能枚数がまだ残っている場合は、プロセスカートリッジ2に適した印刷条件を設定し印刷する(S23、S24)。読み取りデータが一定でない場合は(S12でN)、FLAG Aをリセットし(S22)、プロセスカートリッジ2に適した印刷条件を設定し印刷する(S23、S24)。
【0009】
図6は制御手段による第3の制御例を示すフロー図である。2つの読み取り手段を備えている場合である。印刷開始動作を始めるとプロセスカートリッジからIDなどの情報を読み取り手段Aで読む(S31、S32)。読み取りデータが一定の値の場合(S33でY)、読み取り手段Aが正しく読み取れていないと判定して、FLAG Aをセットする(S34)。
次に、プロセスカートリッジ2からIDなどの情報を読み取り手段Bで読む(S35)。さらに読み取りデータが一定の値の場合(S36でY)、読み取り手段Bが正しく読み取れていないと判定して、FLAG Bをセットし(S37)、故障と判定する。読み取りデータが一定でない場合は、プロセスカートリッジ2に適した印刷条件を設定し印刷する(S38、S39)。
本実施形態では、IDが読めなくなったときの印刷を可能にする条件を枚数としたが、期間とすることもできる。また、参照する使用履歴を使用頻度としてもよい。さらに、使用履歴を装置の使用履歴としてもよいし、プロセスカートリッジ2の使用履歴としてもよい。プロセスカートリッジ2の使用履歴を用いる場合には、使用量が多いほど多くしてもよいし、少なくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成図。
【図3】プロセスカートリッジの斜視図。
【図4】制御手段による第1の制御例を示すフロー図。
【図5】制御手段による第2の制御例を示すフロー図。
【図6】制御手段による第3の制御例を示すフロー図。
【符号の説明】
【0011】
2 プロセスカートリッジ、22 不揮発メモリ(第1の不揮発メモリ)、4 制御手段、6 記憶手段、61 不揮発メモリ(第2の不揮発メモリ)、7 コード読み取り/書き込み手段(読み取り手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDを含む情報が記録された第1の不揮発性メモリを有するプロセスカートリッジと、前記第1の不揮発性メモリから情報を読み取る読み取り手段と、所定の印刷条件を記憶する第2の不揮発メモリを有する記憶手段と、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、前記第2の不揮発メモリに記憶された印刷条件で印刷を行う制御手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、所定の枚数の印刷を行うように制御することを特徴とする請求項1の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、それまでの使用履歴に応じた枚数の印刷を行うように制御することを特徴とする請求項2の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、レポートのみ印刷を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、前記第2の不揮発メモリのそれまでとは異なる領域に使用履歴を記録することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数の読み取り手段を装着し、制御手段は、一つの読み取り手段が第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、他の読み取り手段で読み取るよう制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、第1の不揮発性メモリからの情報が読めないとき、警告を通知あるいは表示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の不揮発性メモリから読み取ったデータが、一定の値の連続であった場合に前記第1の不揮発性メモリからの情報が読めないと判断することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−20059(P2006−20059A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195647(P2004−195647)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】