説明

画像処理装置

【課題】ログの外部出力自体も、ログの登録対象事象とすることで、ログの不正な漏洩を迅速に検知する。
【解決手段】管理PC100から監査ログの要求があると、監査ログデータを送出すると共に、監査ログ要求を、監査ログの事象とする。このため、管理PC100のモニタ100Aで、監査ログの要求があったことも認識することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログ管理機能を持った画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信機器や制御機器等では、通信処理や制御実行の記録としてログ情報を残している。
【0003】
ログ情報の一部として監査ログを称されるものがある。
【0004】
監査ログは、障害や構成変更、ユーザ操作当、デバイスないで発生した事象(監査事象)を「いつ」「誰(何)が」「どうした」「その結果」というような項目の形式で、通常は時系列で記憶したものであり、監査ログIDで管理されている。
【0005】
なお、一般的に、監査ログは、画像処理装置とネットワーク接続されたPC等からのアクセスで画像処理装置内に記憶された監査ログ情報を遠隔から取り出し、画像処理装置の診断の要素として利用する。
【0006】
通常のログ情報の先行技術としては、ユーザの要望に応じてログ情報を動的に最適化するサービス連携システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1には、ユーザが、複合機の表示パネルを操作して、ログ最適化指示書を起動させ、複合機の一部(例えば、画像形成部等)のログ情報記憶数の条件設定等を行うことが記載されている。
【0008】
また、監査ログの先行技術として、デバイスから監査ログを収集する際に、その情報を損なうことなく、伝送する情報量を低下させることのできる監査ログ管理機能を持った画像処理装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−87186公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、監査ログは、通常、ネットワークを介して接続された管理PC等からの要求によって、当該管理PC(すなわち、画像処理装置の外部)に出力されるが、この監査ログの外部出力自体は、なんら履歴として残しておらず、不正なアクセスによる監査ログの漏洩があっても、これを検知することができない。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、ログの外部出力自体も、ログの登録対象事象とすることで、ログの不正な漏洩を迅速に検知することができる画像処理装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、画像データに対して画像処理を行う画像処理装置であって、前記画像処理で発生した事象をログ情報として登録するログ登録手段と、外部からの要求を受けて、前記ログ登録手段に登録された前記ログを読み出して出力するログ出力手段と、前記ログ出力手段により、前記ログ登録手段に登録された前記ログが出力された場合に、当該ログの出力自体を、前記ログの登録対象事象として登録するログ出力事象登録手段と、を有している。
【0012】
本発明によれば、外部、例えば、画像処理装置を管理する管理PCからネットワークを介して、画像処理装置に監査ログを要求する。
【0013】
ログ出力手段では、この要求を受けて、登録された前記ログを読み出して出力する。
【0014】
ログ出力事象登録手段では、ログ出力手段により、ログ登録手段に登録された前記ログが出力された場合に、当該ログの出力自体を、前記ログの登録対象事象として登録する。これにより、ログが不正に漏洩された場合を含め、外部への出力を迅速に検知することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した如く本発明によれば、ログの外部出力自体も、ログの登録対象事象とすることで、ログの不正な漏洩を迅速に検知することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10と、この画像処理装置10における画像形成処理状況等のログ(状況記録)を確認するための管理PC100とがネットワーク102介して接続されたシステム構成が示されている。
【0017】
(画像処理装置10の概略構成)
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10の概要が示されている。画像処理装置10には、画像形成部12、この画像形成部12の上方に設けられた原稿読取部14とで構成されている。原稿読取部14には、当該原稿読取部14の開閉蓋を兼用する原稿搬送装置16が設けられている。
【0018】
原稿読取部14には、その上面に原稿を載せるための透明のガラス板で形成されたプラテンガラス(図示省略)が設置され、原稿読取領域となっている。また原稿読取部14には、ユーザが原稿読取、或いは複写指示等を入力操作するためのユーザインターフェイス24が配設されている。ユーザーインターフェイス24にはテンキーが設けられ、プリント枚数設定や倍率設定に利用されると共に、ファクシミリ送信時の電話機のダイヤルキーとしても利用される。すなわち、原稿読取部14は、コピー時の原稿読取機能と、ファクシミリ送信時の原稿読取機能とを併せ持っている。なお、コピー機能は前記画像形成部12と原稿読取部14との組合わせで実行可能である。
【0019】
原稿搬送装置16には、複写しようとする原稿を(複数枚の場合は重ねて)載せるフィーダートレイ20が設けられている。この原稿搬送装置16では、フィーダートレイ20上に載せられた原稿(複数枚重ねられている場合は、その最上層の原稿)を、原稿反転ユニット(図示省略)へ送り込むことで、反転しながらプラテンガラス上の読取領域を通過させ、フィーダートレイ20の下部に設けられた原稿排紙トレイ22上に排出されるように自動搬送して原稿読取動作を実行する。
【0020】
画像形成部12には、装置本体下部に3段に渡って配置された給紙トレイ26が設けられ、サイズが指定されることで、選択的に給紙トレイ26から記録シートが給紙装置によって1枚ずつ引き出され、画像形成部12に搬送されるようになっている。
【0021】
画像形成部12には、シート材に画像を形成する感光体ドラムが配設されている。なお、図示は省略したが、感光体ドラムの周囲には、帯電装置、光走査装置、現像装置、転写装置等が配設されている。感光体ドラムの周面は、一様に帯電された後、光走査装置によって画像データに基づく静電潜像が形成され、形成された静電潜像を現像装置によってトナー現像する。その後、転写装置を通過することで、感光体ドラム上のトナー画像がシート材に転写する構成となっている。画像が転写されたシート材は定着装置によって加熱、加圧処理され、画像が定着された状態で排出されるようになっている。
【0022】
図3に示される如く、画像処理装置10には、制御系の中心となるメインコントローラ104が設けられている。
【0023】
メインコントローラ104には、前記原稿読取部14の動作(スキャナとしての動作、ファクシミリとしての動作)を制御するスキャナコントローラ106及びファクシミリコントローラ108が接続されると共に、画像形成部12の動作を制御するプリントコントローラ110が接続されている。
【0024】
また、メインコントローラ104には、前述したユーザインターフェイス24が接続され、ユーザの操作によって画像形成等に関する指示がなされると共に、画像形成時等の情報をユーザへ報知するようになっている。
【0025】
さらに、このメインコントローラ104には、管理PC100とのネットワーク102が接続される外部I/F112が設けられており、ネットワーク102を介して画像データが入力されるようになっている。
【0026】
画像データが入力されると、メインコントローラ104では、例えば、画像データに含まれるプリント指示情報と、イメージデータとを解析し、画像形成部12(図2参照)に適合する形式(例えば、ビットマップデータ)に変換し、プリントコントローラ110へ画像データを送出する。なお、画像データは、前記原稿読取部14から入力(コピー入力)される場合、或いは、ネットワーク102とは別に設けた専用の電話回線から入力(ファクシミリ入力)される場合もある。
【0027】
ここで、本実施の形態の画像処理装置10のメインコントローラ104では、上記のような複合的な処理の全てを一括管理制御すると共に、当該複合的な処理状況をログ(以下、「監査ログ」という)として記録に残すようにしている。
【0028】
記録として残す監査ログは、ネットワーク102を介して接続された管理PC100から読み出すことができる。すなわち、管理PC100は、予め登録された監査ログ管理プログラムを起動させることで、モニタ100Aに、「Audit Log」と表記された監査ログ管理画面(図示省略)が表示されるようになっている。
【0029】
このモニタ100Aに表示された管理ログ管理画面には、選択項目として、「Export as text file」と表記されたリンク領域が存在し、このリンク領域をクリックすることで監査ログデータを読み出すことができるようになっている。
【0030】
以下、メインコトローラ104における監査ログに対応する事象を判別し、記録し、かつ指示に応じて送出する制御系について説明する。なお、この図2におけるメインコトローラ104内に示す各ブロックは、機能別に示したものであり、ハード構成を限定するものではない。
【0031】
メインコントローラ104は、前記ファクシミリコントローラ108、スキャナコントローラ106、プリントコントローラ110のそれぞれを制御する処理実行制御部114を備えている。
【0032】
処理実行制御部114は、システム管理部116及び前記外部I/F112とバス118によって接続され、互いに信号の送受信を行う。
【0033】
システム管理部116は、メインコトローラ104におけるソフト的な処理や、ハード構成の状態を一括管理するものであり、本実施の形態の特徴として、メモリデータアクセス認識部116A、HDDシステム立上げ認識部116B、ROMバージョン変更認識部116Cを備える。
【0034】
一方、前記ファクシミリコントローラ108、スキャナコントローラ106、プリントコントローラ110は、それぞれ処理実行関連情報入力部120に接続されている。処理実行関連情報入力部120には、前記前記ファクシミリコントローラ108、スキャナコントローラ106、プリントコントローラ110から各処理実行関連情報が入力される。
【0035】
処理実行関連情報入力部120は、処理情報解析部122と接続され、処理実行関連情報入力部120から処理実行関連情報を処理情報解析部122へ送出する。処理情報解析部122では、入力した処理実行関連情報(処理情報)を解析し、当該解析結果を監査ログ対象事象判定部124へ送出する。
【0036】
監査ログ対象事象判定部124では、解析された各事象が監査ログの対象となるか否かの判別を実行する。
【0037】
この監査ログ対象事象判定部124は、監査ログ作成部126に接続されている。
【0038】
監査ログ作成部126には、監査ログ対象事象判定部124において、監査ログの対象となる事象が入力されるようになっており、この入力順(時系列)に監査ログが作成される。
【0039】
表1は、監査ログを表形式で示したものであり、例えば、このような表が、管理PC100のモニタ100Aに表示される。この表1の監査ログの詳細については、詳細は図4を用いて後述する。
【0040】
【表1】

【0041】
前記監査ログ作成部126は、監査ログ記録先管理部128に接続されている。本実施の形態では、監査ログの記録先として、NVRAM130と、HDD132とを準備している。
【0042】
NVRAM130には、50件(表1の1行が1件)の監査ログが記録可能であり、いっぱい(50件)になると、1ファイルとしてHDD132に転送されるようになっている。HDD132には、300ファイル分の監査ログが記録可能であり、この結果、HDD132には、300×50=15000件の監査ログが記録可能である。
【0043】
なお、記録の方式は、所謂先入れ先出し(FIFO)で処理される。
【0044】
ここで、監査ログ作成部126はシステム管理部116に接続されている。システム管理部116において監査ログとして記録すべき4つの事象が認識されると、当該事象が監査ログ作成部にそれぞれ送出され、監査ログの1つとして、監査ログ記録先管理部128へ送出され、他の監査ログと同様に時系列で記録される。
【0045】
以下、このシステム管理部128における監査ログの事象を列挙する。
【0046】
(1) メモリデータアクセス認識部116Aからの監査ログ事象
画像処理装置10には、複数のメモリ領域が存在しており、これらのメモリには重要な情報が記憶されている場合がある。
【0047】
そこで、メモリへのアクセスを監視し、当該メモリへのアクセスがあった時点で事象として、監査ログ作成指示情報を監査ログ作成部126へ送出する。
【0048】
(2) HDDシステム立上げ認識部116Bからの監査ログ事象
HDD(HDD132を含み、全てのHDDを指すが、以下HDD132と称する)には、大量の画像データが記録されており、このHDD132が取り外されると、画像処理装置10としては、致命的となる。ところが、HDD132は、交換されたとしても、外観的には何ら変わりがないため、十分に管理する必要がある。
【0049】
そこで、例えば、装置起動時の度に、HDD132のシリアル番号等の識別符号を、起動前と比較照合し、識別符号に差異があったときに事象として、監査ログ作成指示情報を監査ログ作成部126へ送出する。
【0050】
(3) ROMバージョン変更認識部116Cからの監査ログ事象
画像処理装置10における各機能(ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリント機能)を含む全ての処理制御は、プログラムデータに基づいて実行される。このプログラムデータは、ROM化され、それぞれの制御系の基板に装着されている。このROMが交換されると、プログラムデータが変わるということであり、不正に交換されると、画像処理の各機能に重大な影響を及ぼす可能性がある。また、適正な交換(バージョンアップ等)であっても、交換履歴がなかったため、別途SE等が交換の履歴を記録しておく必要があった。
【0051】
そこで、例えば、装置起動時の度に、全てのROMのバージョン情報を起動前と比較照合し、バージョン情報に差異があったときに事象として、監査ログ作成指示情報を監査ログ作成部126へ送出する。
【0052】
前記NVRAM130又はHDD132に記録された監査ログは、前述のようにネットワーク102を介して接続された管理PC100からのアクセスによって取り出され、管理PC100のモニタ100Aに表示される。
【0053】
このため、外部I/F112には、監査ログ要求確認部134と監査ログデータ送信実行部136に接続されている。また、前記監査ログ記録先管理部128は、監査ログデータ読出部138に接続されている。
【0054】
管理PC100からの監査ログ要求コマンド信号は、監査ログ要求確認部134に入力される。この入力により、監査ログ要求確認部134は、前記監査ログデータ読出部138に対して、監査ログの読み出しを指示する。
【0055】
この指示により、監査ログデータ読出部138は、監査ログ記録先管理部128を介してNVRAM130又はHDD132に記録された監査ログを読み出し、監査ログデータ送信実行部136へ送出する。
【0056】
監査ログデータ送信実行部136では、監査ログデータを外部I/F112を介して管理PC100へ送出する。
【0057】
ところで、本実施の形態では、管理PC100から監査ログの要求があると、単純に記録されている監査ログデータを送出していた。言い換えれば、「監査ログの送出」という事象は監査ログの対象としていなかったため、不正に監査ログが取り出されたとしても、これを監視する手段がなかった。
【0058】
そこで、本実施の形態では、監査ログ要求確認部134に監査ログ要求があった時点で、これを事象として、監査ログ作成指示情報を監査ログ要求確認部134から監査ログ作成部126へ送出する。
【0059】
図4に示される如く、管理PC100のモニタ100Aには、監査ログが表形式で表示される。
【0060】
表形式の項目は、10項目に分類され、これらの項目で1行の監査ログデータとなる。
【0061】
項目は、「Log ID」、「Date」、「Time」、「Audit Event ID」、「Logged Events」、「User Name」、「Description」、「Status」、「Optionally Logged Items」、「Related/Owned」となっている。
【0062】
図4のLog ID:3は、メモリ(メモリに記憶された情報へのアクセス)交換有りを示す監査ログであり、「Description」が”Important Parts”、「Status」が”Replaced”となっていることで認識することができる。
【0063】
図4のLog ID:4は、プログラムデータの更新有りを示す監査ログであり、「Description」が”Software”、「Status」が”Update (ADF ROM)”となっていることで認識することができる。なお、ADF ROMは、原稿送り装置用のプログラムデータが欠き込まれたROMである。
【0064】
図4のLog ID:5は、HDD132の交換有りを示す監査ログであり、「Description」が”Hard Disc”、「Status」が” Replaced”となっていることで認識することができる。
【0065】
ここで、監査ログの項目の1つである「Related/Owned」とは、複数の監査ログの関連性を示すものであり、例えば複数あて先へのファクシミリ送信や、予め設定したマクロ(スクリプト)による複合された処理のそれぞれを関連付けて監査ログとして記録したものである。
【0066】
図4のLog ID:160〜163(以下、「第1の関連監査ログ」という)と、Log ID:180〜183(以下、「第2の関連監査ログ」という)がそれぞれ関連付けられた監査ログである。
【0067】
ここで、第1の関連監査ログにおいては、第1行〜第3行の「Related/Owned」の項が”Related”であり、最終行が”Owned”となっており、この最終行が親ジョブであり、第1行〜第3行が子ジョブとなり、親ジョブは全ての関連処理が終了したことを示す事象として監査ログとなる。
【0068】
このとき、親ジョブの「Status」の項目が”Complete”であるので、この第1の関連監査ログは全ての処理が成功したと認識できる。
【0069】
次に、第2の関連監査ログにおいては、第1行〜第3行の「Related/Owned」の項が”Related”であり、最終行が”Owned”となっており、この最終行が親ジョブであり、第1行〜第3行が子ジョブとなり、親ジョブは全ての関連処理が終了したことを示す事象として監査ログとなる。
【0070】
このとき、親ジョブの「Status」の項目が”Failed”であるので、この第2の関連監査ログの何れかでエラーが生じていると判断でき、結果としてエラーとなったジョブ(ここでは、第2行の子ジョブ)を検索すると、この子ジョブの「Status」の項目が”Failed”となっていることがわかる。このように、第2の関連監査ログの「Related/Owned」の項を見ることで容易に関連するジョブの状態を認識することができる。
【0071】
以下に本実施の形態の作用を図5乃至図7のフローチャートに従い説明する。
【0072】
図5は、画像処理装置10の起動時の監査ログ作成制御ルーチンであり、ステップ200では、起動したか否かが判断される。このステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行して、現在装着されているHDD132のシリアルNo.(識別可能なものであれば、シリアルNo.に限定されるものではない。)を読み取り、次いでステップ204へ移行して、前回起動時に更新記憶されたHDD132のシリアルNo.を読み出す。
【0073】
次のステップ206では、前記ステップ202及びステップ204で読み出したそれぞれのシリアルNo.を比較・照合し、ステップ208へ移行する。ステップ208では、比較・照合の結果が一致したか否かが判断される。このステップ208で否定判定されると、HDD132が交換されたと判断し、ステップ210へ移行して監査ログへ、事象として、「HDDの交換有り」情報を書き込み(例えば、図4の中では、Log ID:5に該当する。)、ステップ212へ移行する。
【0074】
また、ステップ208で肯定判定された場合には、HDDに交換はないと判断し、ステップ208からステップ212へ移行する。
【0075】
ステップ212では、現在装着されているROMのバージョン(識別可能なものであれば、バージョンに限定されるものではない。)を読み取り、次いでステップ214移行して、前回起動時に更新記憶されたROMのバージョンを読み出す。
【0076】
次のステップ216では、前記ステップ212及びステップ214で読み出したそれぞれのバージョンを比較・照合し、ステップ218へ移行する。ステップ218では、比較・照合の結果が一致したか否かが判断される。このステップ218で否定判定されると、ROMが交換されたと判断し、ステップ220へ移行して監査ログへ、事象として、「ROMの交換有り(プログラムデータ更新有り)」情報を書き込み(例えば、図4の中では、Log ID:4に該当する。)、このルーチンは終了する。
【0077】
また、ステップ218で肯定判定された場合には、ROMに交換はない(プログラムデータに変化なし)と判断し、このルーチンは終了する。
【0078】
次に、図6のフローチャートに従い、通常画像処理動作時の監査ログ作成制御ルーチンを説明する。
【0079】
ステップ222では、メモリにアクセスがあったか否かが判断され、否定判定されるとこのルーチンは終了する。
【0080】
ステップ222で肯定判定されると、ステップ224へ移行して監査ログへ、事象として、「メモリアクセス有り」情報を書き込み(例えば、図4の中では、Log ID:3に該当する。)、ステップ226へ移行する。
【0081】
ステップ226では、画像処理動作が終了したか否かが判断され、否定判定の場合には、このルーチンは終了する。また、ステップ226で肯定判定されると、ステップ228へ移行し、現在終了した画像処理動作のジョブは複数の画像処理としてまとめられる関連ジョブか否かが判断される。
【0082】
このステップ228で否定判定されると、単独のジョブであると判断し、ステップ230へ移行して、図4の項目の1つである「Related/Owned」に”Owned”を付与し、ステップ236へ移行する。
【0083】
また、ステップ228で肯定判定されると、ステップ232へ移行して、関連ジョブのショブ種が親ジョブか子ジョブかが判断される。なお、関連ジョブの最後のジョブが親ジョブである。
【0084】
このステップ232で子ジョブと判定されると、ステップ234へ移行して、図4の項目の1つである「Related/Owned」に”Related”を付与し、ステップ232へ戻り、子ジョブの数だけステップ232、ステップ234を繰り返す。
【0085】
また、ステップ232で親ジョブと判定されると、ステップ230へ移行して、図4の項目の1つである「Related/Owned」に”Owned”を付与し、ステップ236へ移行する。
【0086】
ステップ236では、監査ログの対象から否かの判別、監査ログの作成、監査ログの書き込み(記録)が実行され、このルーチンは終了する。
【0087】
次に、図7のフローチャートに従い、監査ログ要求時監査ログ作成制御ルーチンを説明する。
【0088】
ステップ238では、管理PC100から監査ログの要求があったか否かが判断される。このステップ238で否定判定された場合には、このルーチンは終了する。
【0089】
また、ステップ238で肯定判定されると、ステップ240へ移行して監査ログデータ読出ブ138により監査ログデータを読み出し、次いでステップ242で監査ログデータ送信実行部136により監査ログデータをネットワーク102を介して管理PC100へ送出する。
【0090】
次のステップ244では、監査ログ要求確認部134から監査ログ作成部126へ信号を送出し、監査ログの事象として、「監査ログデータ送出」情報を監査ログとして書き込み(記録し)、このルーチンは終了する。
【0091】
(本実施の形態の特徴1)
管理PC100のモニタ100Aに監査ログが表形式で表示されるので、オペレータは、このモニタ100Aに表示される監査ログによって画像処理装置10の状況を認識することができる。
【0092】
本実施の形態では、監査ログの対象事象として、新たに、図4のLog ID:3のような事象を追加した。すなわち、メモリ交換有りを示す監査ログである。
【0093】
また、図4のLog ID:4のような事象を追加した。プログラムデータの更新有りを示す監査ログである。
【0094】
さらに、図4のLog ID:5のような事象を追加した。HDD132の交換有りを示す監査ログである。
【0095】
なお、監査ログとして、メモリへのアクセス、プログラムデータが記憶されたROMの交換、或いはHDDの交換を新たに監査ログの事象としたが、上記の他、時刻設定(ローカルタイムの変更)操作、親展ボックスの開設、解除、ユーザーのログイン、ログアウト等を監査ログの事象としてもよい。
【0096】
また、重要パーツとしてHDD132を例にとり説明したが、NVRAM130等、他の記録媒体も重要パーツとしてもよい。
【0097】
(本実施の形態の特徴2)
管理PC100のモニタ100Aに監査ログが表形式で表示されるので、オペレータは、このモニタ100Aに表示される監査ログによって画像処理装置10の状況を認識することができる。
【0098】
監査ログの項目に複数の監査ログの関連性を示す「Related/Owned」を設けた。図4のLog ID:160〜163(以下、「第1の関連監査ログ」という)と、Log ID:180〜183(以下、「第2の関連監査ログ」という)がそれぞれ関連付けられた監査ログである。
【0099】
第2の関連監査ログにおいて、親ジョブの「Status」の項目が”Failed”であるので、この第2の関連監査ログの何れかでエラーが生じていると判断でき、結果として第2行の子ジョブの「Status」の項目が”Failed”となっている。このように、第2の関連監査ログの「Related/Owned」の項を見ることで容易に関連するジョブの状態を認識することができる。このため、予め設定したジョブに含まれる複数の監査ログの事象が、互いに関連していることを、表示される監査ログから容易に追っていくことができる。
【0100】
(本実施の形態の特徴3)
管理PC100から監査ログの要求があると、監査ログデータを送出すると共に、監査ログ要求を、監査ログの事象とする。このため、管理PC100のモニタ100Aで、監査ログの要求があったことも認識することが可能となる。すなわち、監査ログの外部出力自体も、監査ログの登録対象事象とすることで、監査ログの不正な漏洩を迅速に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置と管理PCとのネットワーク接続関係を示す概略図である。
【図2】本実施の形態に係る画像処理装置の外観図である。
【図3】本実施の形態に係る画像処理装置の制御系を示し、メインコトローラでの機能を主体とした機能ブロック図である。
【図4】管理PCのモニタ上に表示される表形式にフォーマットされた監査ログの一例を示す正面図である。
【図5】本実施の形態に係る起動時監査ログ作成制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る通常画像処理動作時監査ログ作成制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】監査ログ要求時監査ログ作成制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
10 画像処理装置
100 管理PC
102 ネットワーク
12 画像形成部
14 原稿読取部
16 原稿搬送装置
24 ユーザインターフェイス
20 フィーダートレイ
22 原稿排紙トレイ
26 給紙トレイ
104 メインコントローラ
106 スキャナコントローラ
108 ファクシミリコントローラ
110 プリントコントローラ
112 外部I/F
100A モニタ
114 処理実行制御部
116 システム管理部
118 バス
116A メモリデータアクセス認識部
116B HDDシステム立上げ認識部
116C ROMバージョン変更認識部
120 処理実行関連情報入力部
122 処理情報解析部
124 監査ログ対象事象判定部
126 監査ログ作成部
128 監査ログ記録先管理部
130 NVRAM
132 HDD
134 監査ログ要求確認部
136 監査ログデータ送信実行部
138 監査ログデータ読出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して画像処理を行う画像処理装置であって、
前記画像処理で発生した事象をログ情報として登録するログ登録手段と、
外部からの要求を受けて、前記ログ登録手段に登録された前記ログを読み出して出力するログ出力手段と、
前記ログ出力手段により、前記ログ登録手段に登録された前記ログが出力された場合に、当該ログの出力自体を、前記ログの登録対象事象として登録するログ出力事象登録手段と、
を有する画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−269001(P2008−269001A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107067(P2007−107067)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】