説明

画像処理装置

【課題】異なる解像度及び/又は階調の画像が混在する場合でも、簡易な構成で高品質な画像の出力を可能とする。
【解決手段】プリンタコントローラ20の画像処理部22では、画像変換部221が印刷制御データに基づいて、階調値n1の文字又は線画の画像データ及び階調値n2(n2>n1)の写真画の画像データを生成する。その後、符号化部222が前記階調値n1の文字又は線画の画像データを符号化し、階調値n2の符号化データを生成する。属性付加部223は、前記階調値n2の文字又は線画の符号化データと、前記生成された階調値n2の写真画の画像データとについて、それぞれ画像の属性を示す属性データを生成し、各画像データに付加する。合成部224は前記属性データが付加された文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとを合成して、その合成データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高品質な画像を得るためには、写真画像については低解像度でもよいが多階調が求められる。一方、文字画像は低階調でも高解像度が求められる。このように画像の属性によって求められるデータの条件が異なるので、一つの画像に写真画像と文字画像が混在する場合、同一解像度や同一階調のデータ形式では全ての属性の画像について高品質な出力画像が得られない。
従来、写真と文字の画像部分を判別してそれぞれ別の処理を施すことで、写真画像の部分については低解像度、高階調とし、文字画像の部分については高解像度、低階調とする技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2000−242461号公報
【特許文献2】特開2004−320361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のように別々の処理を施す場合、各処理に応じて2系統の処理構成分(ハードウェア)を準備しなければならず、コストがかさむ。
【0004】
また、プリンタ等では出力する画像を一旦メモリに保存し、順次メモリから出力する画像を読み出す構成となっている。保存時にはなるべく多くの画像データを保存できるよう画像データに圧縮処理を施し、出力する際に伸張処理を施すが、圧縮率を挙げるために非可逆圧縮を利用することが多い。しかし、写真画像も文字画像も同じように非可逆圧縮すると、高解像度化した文字画像部分の形状が失われるという問題があった。
そのため、高解像度が必要な文字画像部分については可逆圧縮に切り替えたり、写真画像も文字画像も双方可逆圧縮を行う等の対策がとられていた。
【0005】
しかし、前者の場合は可逆圧縮用と非可逆圧縮用の処理系統が必要となるので、制御が複雑となるとともにコスト高となる問題が残る。また、後者の場合、非可逆圧縮に比して圧縮率が低下するため、プリンタで蓄積できる画像データ量が制限されるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、1つの画像に異なる解像度及び/又は階調の画像部分が混在する場合でも、簡易な構成で高品質な画像の出力を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
印刷制御データに基づいて、階調値n1の文字又は線画の画像データ及び階調値n2(n2>n1)の写真画の画像データを生成する画像変換手段と、
前記階調値n1の文字又は線画の画像データを符号化し、階調値n2の符号化データを生成する符号化手段と、
前記階調値n2の文字又は線画の符号化データと、前記生成された階調値n2の写真画の画像データとについて、それぞれ画像の属性を示す属性データを生成し、各画像データに付加する属性付加手段と、
前記属性データが付加された文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとを合成して、その合成データを出力する合成手段と、
を備える画像処理装置。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像変換手段は、前記文字又は線画の画像データの解像度を、前記写真画の画像データより高解像度とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記符号化手段は、前記文字又は線画の階調値n1の画像データの下位ビットに付加データを付加して階調値n2の画像データとし、これを符号化して階調値n2の符号化データを生成する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置により出力された合成データを圧縮処理し、圧縮データを生成する圧縮処理手段と、前記生成された圧縮データを記憶する画像記憶手段と、前記記憶された圧縮データに伸張処理を施して伸張された前記合成データを得る伸張手段と、を備えた画像処理装置において、
前記伸張された合成データを、文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとに分離し、この分離した文字又は線画の符号化データについては復号化を行い、当該復号化した文字又は線画の画像データ及び前記分離した写真画の画像データを出力する出力調整手段を備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像処理装置において、
前記出力調整手段は、前記合成データに含まれる属性データを検出し、当該属性データに基づいて前記合成データを文字又は線画の画像データと、写真画の画像データとに分離する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の画像処理装置において、
前記圧縮処理手段は、前記文字又は線画の画像データと前記写真画の画像データの何れにも同じ圧縮方式の圧縮処理を施す。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、1つの画像に文字又は線画と写真画とが異なる階調で含まれている場合であっても、階調値n2に統一するので、画像の属性に拘わらず画像データのデータ量(ビット数)を一致させることができる。よって、当該画像データを圧縮処理する際には同一の圧縮方式で処理することが可能となり、構成を簡易なものとすることができる。その結果、1つの画像に文字又は線画よりも高階調の写真画を混在させることができ、簡易な構成で高品質な出力画像を得ることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、文字又は線画を高解像度で出力することが可能となり、文字又は線画についても高品質な出力画像を得ることが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、付加データにより、画像に圧縮処理を施した際に生じるデータの変化を吸収することができ、高解像度が望まれる文字又は線画へのノイズの影響を低減させることができる。これにより、出力画像における文字又は線画の画質劣化を防止することができる。
【0016】
請求項4、5に記載の発明によれば、階調及び/又は解像度が異なる文字又は線画と写真画とをそれぞれの階調及び/又は解像度で出力することが可能となる。よって、簡易な構成で高品質な出力画像を得ることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、1つの画像に階調及び/又は解像度が異なる画像部分が含まれている場合であっても、同じ圧縮方式で圧縮処理を施すことができる。よって、圧縮処理に係る処理構成は1つの圧縮方式に応じたもののみ準備すればよく、簡易な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施形態では、画像処理装置の機能を、プリンタコントローラ及びMFP(Multi Function Peripheral)内の画像処理部に適用した例を説明する。
【0019】
まず、構成を説明する。
図1は、画像を印刷出力する印刷システム1を示す図である。
図1に示す印刷システム1は、PC(Personal Computer)10により作成された出力すべきデータ(以下、出力対象データという)を、プリンタコントローラ20が画像データに変換し、当該画像データに基づいてMFP30が画像を印刷出力するものである。
【0020】
PC10は、ワープロや描画、写真画の編集等に係るアプリケーションソフトウェアを備え、テキスト(文字)や線画、写真画等を含む様々な出力対象データの作成が可能である。
また、PC10はプリンタドライバソフトウェアを備え、このプリンタドライバソフトウェアによる処理により、上記アプリケーションソフトウェアによって作成された出力対象データを、印刷制御データに変換してプリンタコントローラ20に出力する。印刷制御データは例えばPDL(Page Description Language)等のページ記述言語によるデータである。
【0021】
プリンタコントローラ20は、印刷制御データから画像データを生成する画像処理部を含み、当該生成した画像データをMFP30に出力する。
MFP30は、画像処理部を含み、当該画像処理部により画像データに各種処理を施した後、処理後の画像データに基づいて印刷用紙上に画像を印刷出力する。
【0022】
以下、図2を参照して、本実施形態に係るプリンタコントローラ20及びMFP30について詳細に説明する。
図2に示すように、プリンタコントローラ20は、コントローラ制御部21、画像処理部22、画像メモリ23、NIC(Network Interface Card)24、I/F25を備えて構成されている。
MFP30は、本体制御部31、画像読取部32、操作表示部33、不揮発メモリ34、画像処理部35,画像メモリ36、プリンタ部37、I/F38を備えて構成されている。
プリンタコントローラ20及びMFP30はI/F25、38を介して互いにデータ通信が可能である。
【0023】
まず、プリンタコントローラ20について説明する。
コントローラ制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成されており、図示しない記憶部に記憶されているプログラムとの協働により、各種演算を行うとともに各部の動作を集中制御する。
【0024】
画像処理部22は、図3に示すように画像変換部221、符号化部222、属性付加部223、合成部224等から構成されている。画像変換部221は、PC10から入力される印刷制御データに基づいてラスタライズを行い、画像データを生成する。そして、生成された画像データから文字又は線画の画像データを抽出し、符号化部222へ出力する。一方、抽出した残りの写真画の画像データは属性付加部223へ出力する。符号化部222は、文字又は線画の画像データに対して符号化を行う。属性付加部223は写真画の画像データ、文字又は線画の符号化データのそれぞれに、画像の属性(写真画、文字又は線画)を示す属性データTAGを生成して付加する。合成部224は属性データTAGが付加された文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとを合成して出力する。
【0025】
画像メモリ23は、画像データを保存するための記憶手段である。
NIC24は、ネットワーク上のPC10等の外部装置と通信を行うインターフェイスである。
I/F25は、MFP30との間でデータのやりとりを仲介するインターフェイスである。
【0026】
次に、MFP30の各部について説明する。
本体制御部31は、CPU、RAM等からなり、不揮発メモリ34に記憶されたプログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の動作を集中制御する。
【0027】
画像読取部32は、ADF(Auto Document Feeder)、スキャナ等を備え、原稿面の画像を読み取り、その画像データを生成する処理を行う。読取処理により生成された画像データは、画像処理部35に出力される。
【0028】
操作表示部33は、ディスプレイと一体に構成されたタッチパネル等からなる。ディスプレイ上に設定画面等の各種操作画面を表示するとともに、操作に応じた操作信号を生成して本体制御部31に出力する。
【0029】
不揮発メモリ34は、ハードディスク等の記憶手段である。不揮発メモリ34は、本体制御部31で実行するプログラム、当該プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。
【0030】
画像処理部35は、図4に示すように圧縮処理部351、伸張処理部352、出力調整部353等から構成されている。圧縮処理部351は非可逆又は可逆の圧縮処理が可能である。伸張処理部352は圧縮処理された圧縮データに伸張処理を施す。出力調整部353は、伸張された画像データをその属性に応じて分離し、写真画の画像データはそのままプリンタ部37へ、文字又は線画の符号化データは復号化した後、プリンタ部37へ出力する。
【0031】
画像メモリ36は、ハードディスク等の大容量の画像記憶手段である。画像メモリ36は、圧縮処理された画像データを記憶する。
【0032】
プリンタ部37は、電子写真方式により画像データに基づいて印刷用紙上に画像を出力する。すなわち、プリンタ部37は露光部、転写ベルト、現像部、定着部等を備え、露光部のレーザ光源から感光ドラム上にレーザ光を照射して露光を行い、静電潜像を形成する。その後、これに現像部がトナーを吹き付けてできたトナー像を印刷用紙に転写して画像出力を行う。なお、印刷方式は他のものであってもよい。
プリンタ部37は、異なる解像度に対応することが可能である。例えば、600dpi対応の露光部と1200dpi対応の露光部を備え、それぞれ異なる解像度の画像の静電潜像を形成可能である。
【0033】
I/F38は、プリンタコントローラ20とのデータ通信のやりとりを仲介するインターフェイスである。
【0034】
次に、動作について説明する。
図5を参照して、PC10から出力対象データが入力された際に、プリンタコントローラ20により行われる処理について説明する。
【0035】
PC10からプリンタコントローラ20にNIC24を介して印刷制御データが入力されると、画像処理部22の画像変換部221はラスタライズ処理を行う。ラスタライズ処理は、印刷制御データから画像データを生成する処理である。具体的には、印刷制御データに含まれる印刷制御コマンド(PDLデータの場合はPDLコマンド)を解析し、描画すべき画像単位(これをオブジェクトという)毎に分類してディスプレイリストを生成する。ディスプレイリストは、描画すべきオブジェクトに関する情報が記述された中間データである。
【0036】
例えば、ディスプレイリストには、描画座標、描画サイズ、描画論理、領域データ、色データ等が記述されている。描画座標は1ページの印刷範囲内におけるオブジェクトの印刷位置を示す座標値である。描画サイズはオブジェクトの縦横の大きさを示す数値である。描画論理は描画時の背景との演算(塗りつぶし等)を行うためのパラメータである。領域データはオブジェクトのデータ属性(フォント、ビットマップ、グラフィック)を示すデータであり、色データはオブジェクトの色を示すデータである。
【0037】
画像変換部221は、このディスプレイリストに基づいて、プリンタ部37で出力可能な色毎の画像データを生成する。画像データは、描画するオブジェクトについて画素を割り当て、この割り当てた画素毎に画素値を設定することにより生成する。画素の位置はディスプレイリストの描画座標と描画サイズ、領域データによって決定し、画素値は色データと描画論理を用いて決定する。
【0038】
同時に、画像変換部221はディスプレイリスト中の領域データにより示されたそのオブジェクトのデータ属性を元に画像データが文字、線画、写真画の何れに属するかを判別する(ステップS1)。すなわち、画像変換部221はそのオブジェクトがフォントであれば文字、ベクトルデータであれば線画、ビットマップであれば写真画と判別する。
【0039】
そして、ラスタライズ処理の際、画像変換部221は文字又は線画の画像データについては、写真画の画像データに比べて高解像度かつ低階調とする(ステップS2、S3)。つまり、文字又は線画の画像データの解像度をm1、階調値をn1と表し、写真画の画像データの解像度をm2、階調値をn2と表すと、m1>m2、n1<n2となるように画像データを生成する。これは、写真画については高階調の方が高品質な画質となる一方、文字や線画は階調性よりは解像度が高い方が高品質な画質となるからである。以下、写真画の画像データの解像度m2を600dpi、階調値n2を256値(8ビット)、文字又は線画の画像データの解像度m1を1200dpi、階調値n1を2値(1ビット)とする例を用いて説明する。
【0040】
この場合、1つの画像の中に異なる解像度の画像が含まれることとなる。文字又は線画の画像部分は写真画の画像部分の2倍の解像度を有するため、図6に示すように写真画の画像部分の1画素のサイズと、文字又は線画に係る2×2画素の合計4画素分のサイズとが同じになる。しかし、サイズは同じであっても、写真画の方が高階調であるため、写真画に係る1画素のデータ量が8ビットであるのに対し、文字又は線画の画像部分は4画素分で4ビットとデータ量が異なるものとなる。
【0041】
次いで、画像変換部221は生成した文字又は線画の画像データを符号化部222へ出力する。一方、写真画の画像データは属性付加部223へ出力する。写真画の画像データは、図7(a)に示すように階調値n2=256を示す8ビットの画像データである。
【0042】
符号化部222は、符号化処理を行って、文字又は線画の画像データを8ビットの符号化データ(すなわち、階調値n2の符号化データ)へと変換する(ステップS4)。符号化は4画素を1単位として行う。具体的には、図7(b)に示すように4画素のうち左上の画素から順(図7(b)中、1〜4の数字で示す順)に各画素のデータ値(画素値)を上位ビットから順に並べて4ビットのデータとする。そして、さらにその下位に4ビットの付加データを加えて合計8ビットのデータを作成し、これを符号化する。付加データを加えるのは、データ量を写真画のものと一致させるという理由と、圧縮処理によって生じる誤差を吸収するためという理由がある。
【0043】
後にMFP30側で画像データには非可逆の圧縮処理が施されるが、写真画と文字又は線画とのデータ量(ビット数)が異なると、それぞれのデータ量に応じた圧縮処理の構成が必要となる。そうすると、2系統の構成部を準備しなければならない。よって、画像の属性が何れであっても1つの画像に対し同じ圧縮方式による圧縮処理を可能とするため、データ量を一致させるものである。図7(a)に示すように写真画は1画素分の画像データが8ビットのデータとなる。よって、文字又は線画の4ビットのデータに、付加データを加えて写真画と同じ8ビットとする。
【0044】
また、非可逆の圧縮処理がなされた場合、伸張処理によって元の画像を完全に復元することは難しく、元の画像と誤差が生じる場合がある。写真画は階調値が256値=8ビットと大きいため、多少の誤差があっても視覚的に画像劣化として現れることは少ない。しかし、文字又は線画の場合、階調値が2値=1ビットと小さいため、多少の誤差であってもドットの現れ方が変化し、文字や線画の形状の崩れが目立ってしまう。そこで、文字又は線画については、画像部分である上位4ビットのデータに誤差が生じないように、誤差が現れやすい下位ビットに付加データを加えるものである。
付加データは何れの値であってもよいが、誤差は+側と−側の何れにも生じることが考えられるため、その何れにも対応させるのであれば「1000」(2進数)の値が好ましい。これにより、−1000〜+0111(2進数)の範囲内の誤差に対応することができる。
【0045】
次に、符号化について説明する。
符号化は、上位4ビットのデータ値に基づいて行う。図8に、上位4ビットのデータ値(10進数)と変換される符号(16進数)との対応関係を示す。4つの画素のデータ値の組合せは全部で16通りあることから、上位4ビットのデータ値も0〜15の値を取り得る。この上位4ビットの値に、下位4ビットの付加データのデータ値を加えたものを16進数で表したものが、変換後の符号である。例えば、図8に示すように上位4ビットのデータ値が「5」の場合、付加データのデータ値は「8」であるから、その符号は「58」となる。
なお、下位4ビットの付加データは上位4ビットの値に拘わらず、常に同じ値「8」となる。よって、階調を16段階に分けた際、変換後の符号は各段階のほぼ中央値となることとなる。図8に示す例では、8ビットの階調0〜FF(16進数)を、00〜10、10〜20…と16段階に分けた例を示している。各符号は08、18、28…と、各段階の中央値をとることが分かる。
【0046】
符号化後の符号化データは、属性付加部223に出力される。
属性付加部223は、画像変換部221から写真画の画像データが入力され、符号化部222から符号化データが入力されると、それぞれについて画像の属性を示す属性データTAG(1ビット)を生成して付加する。すなわち、画像変換部221から入力された8ビットの画像データに対しては、写真画であることを示すため、図7(a)に示すようにTAG=0に設定した属性データTAGを当該画像データに付加する(ステップS6)。一方、符号化部222から入力された8ビットの符号化データに対しては、当該符号化データが文字又は線画に属するものであることを示すため、図7(b)に示すようにTAG=1に設定した属性データTAGを画像データに付加する(ステップS5)。
【0047】
そして、属性付加部223は属性データTAGを付加した写真画の画像データと文字又は線画の画像データとを合成し(ステップS7)、1つの画像データを再構成すると、その合成データをI/F25を介してMFP30に出力する(ステップS8)。
【0048】
MFP30では、入力された画像データ(上記合成データ)を一旦、画像メモリ36に保存する。その後、画像メモリ36から当該画像データを読み出して印刷出力を行う。
このとき、画像処理部35により行われる処理について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、まず圧縮処理部351が画像データ及び属性データTAGに圧縮処理を施し、保存に要するデータ容量を低減する。このとき、画像データについてはデータ容量が大きいため、例えばJPEG2000等の非可逆の圧縮処理を施す。一方、属性データTAGは1ビットとデータ量が小さく、また正確に復元させることが必要であるため、可逆の圧縮処理を施す。圧縮処理部351はこうして圧縮処理を施した画像データ及び属性データTAGを、画像メモリ36に出力する。画像メモリ36はこれを記憶して保存する。
【0049】
この画像メモリ36に保存された画像データを印刷出力するタイミングがくると、伸張処理部352が印刷出力すべき画像データを画像メモリ36から読み出して伸張処理を施す。画像データ及び属性データTAGは上記したように圧縮処理の方式が異なるので、それぞれの方式に応じた伸張処理を施す。このとき、画像データについては非可逆の圧縮処理を経ているため、圧縮処理の前後で画像データに若干誤差が生じている場合がある。一方属性データTAGについては可逆の圧縮処理を施しているので、元のデータを正確に復元しているはずである。伸張処理部352は、伸張した画像データ及び属性データTAGを出力調整部353に出力する。
【0050】
出力調整部353は、入力された属性データTAGを検出し、当該属性データTAGに基づいて入力された画像データを、文字又は線画の画像データと写真画の画像データとに分離する。つまり、TAG=1の属性データTAGが付加されている画像データは文字又は線画であり、TAG=0の属性データTAGが付加されている画像データは写真画であると判断して分離する。
【0051】
そして、出力調整部353は、文字又は線画の画像データについては復号化処理を施す。図9に、符号(16進数)とそれを復号化した後の上位4ビットのデータ値(16進数)との対応関係を示す。図9に示すように、復号化は階調を16段階に分けたときに符号がどの段階の範囲にあるかによって、図7(b)に示した上位4ビットのデータ値に変換することにより行う。例えば、符号が「48」であった場合、当該符号は40〜4Fの範囲内にあるので、復号化後の上位4ビットのデータ値は「4」となる。非可逆の圧縮処理により符号「48」にノイズが加わった場合でも、ノイズによる変化量が下位4ビット内で収まるのであれば、必ず当該符号は40〜4Fの範囲内の値となるはずである。つまり、下位4ビット内の誤差であれば元の画像のデータを正確に再現することが可能となる。
【0052】
出力調整部353は、復号化後の文字又は線画の画像データをプリンタ部37へ出力する。一方、文字又は線画の画像データと分離した写真画の画像データについては、符号化を行っていないため復号は行わずにプリンタ部37へ出力する。プリンタ部37では、1つの感光ドラム上において、1200dpi対応の露光部により文字又は線画の画像データの露光を行い、写真画の画像データについては600dpi対応の露光部により露光を行って感光ドラム上に1つの静電潜像を形成し、これを現像して1つの画像を出力する。なお、1200dpiに対応できる露光部のみの場合等は、出力調整部353により600dpiの写真画の画像データを1200dpiに解像度変換した後、1200dpiの文字又は線画の画像データと合成して画像出力を行うこととしてもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、ラスタライズ処理時に、写真画の画像データの階調値n2を文字又は線画の画像データの階調値n1より高階調とし、かつ文字又は線画の解像度m1を写真画の画像データの解像度m2よりも高解像度とする。そして、文字又は線画の4画素分の画像データに4ビットの付加データを付加してn2値の画像データとし、符号化する。また、文字又は線画の画像データ、写真画の画像データのそれぞれについて画像の属性を示す属性データTAGを生成し、これを文字又は線画の符号化データと、写真画の画像データに付加する。その後、これらを合成してMFP30に出力する。
【0054】
これにより、文字又は線画と写真画とで異なる解像度、階調として画像データを生成したにも拘わらず、圧縮処理時には画像データのデータ量を同じくすることができる。よって、MFP30においては異なる圧縮方式に対応するためハードウェアを準備する必要もなく、同一の圧縮方式で圧縮処理を施すことが可能となる。また、文字又は線画については高解像度で、写真画については高階調で画像の印刷出力を行うことができ、高品質な出力画像を得ることができる。従って、1つの画像に階調及び/又は解像度が異なる画像部分を混在させて、高品質な出力画像を得ることが可能となる。また、これを簡易な構成で実現することができる。
【0055】
また、文字又は線画の4画素分の画像データの下位ビットに付加データを付加することにより、非可逆の圧縮処理を行った結果、ノイズが生じた場合でも下位ビットの付加データからデータが変動するので、上位ビットの画像データへの影響を抑えることができる。画像データは一般にデータ量が大きいため、高圧縮率を図るべく非可逆の圧縮処理がなされることが多い。このような場合でも、ノイズによって画質が劣化しやすい文字又は線画部分を高解像度で正確に再現することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態によれば、MFP30において合成データを圧縮処理し、これを画像メモリ36に保存する。印刷出力時には、画像メモリ36から合成データを読み出して、伸張処理する。伸張されたデータのうち、属性データTAGに基づいて文字又は線画の画像データと写真画の画像データとに分離すると、写真画の画像データについてはそのまま、文字又は線画の画像データについては復号化を行った後、プリンタ部37へ出力する。これにより、写真画、文字又は線画のそれぞれの解像度、階調で印刷出力を行うことができ、階調及び/又は解像度が異なる画像部分が混在する画像であっても、簡易な構成で高品質な出力画像を得ることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態は、本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、Y(黄)、M(マジェンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色でカラー印刷を行う場合、各色の画像データについて上記説明した処理を行うこととしてもよい。これにより、各色の画像について高品質な出力画像を得ることが可能となる。また、視覚的に最も文字又は線画の解像度に影響するKの画像データのみに上記処理を行って、他のY、M、Cの色の画像データについては処理を行わずに600dpiの画像データとして印刷出力を行うこととしてもよい。この場合、文字又は線画部分の高解像度を保持し、Y、M、Cの画像データに係る処理時間が不要となるので処理効率が良い。
【0058】
また、プリンタコントローラ20において、文字又は線画の画像データについて符号化を行ったが、符号化はMFP30において圧縮処理を行う前にすることとしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では図7(b)に示したように600dpiの写真画の1画素に対して、1200dpiの文字又は線画の4画素が対応するので、文字又は線画の画像データについては4画素を1単位として符号化を行ったが、まとめて符号化する画素数は特に限定しない。例えば、文字又は線画の1画素のデータ(1ビット)に、7ビットの付加データを付加して符号化することとしてもよい。符号化する画素数は、符号化後のデータ量や文字又は線画部分の解像度との関係から適宜決定すればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、階調値n1=2値、階調値n2=256値の例で説明したが、n1<n2の条件下であれば何れの階調値n1、n2の場合も適用可能である。また、解像度m1、m2についても1200dpi、600dpiの例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】印刷システム1を示す図である。
【図2】本実施形態に係るプリンタコントローラ及びMFPの機能的構成を示す図である。
【図3】プリンタコントローラの画像処理部の機能的構成を示す図である。
【図4】MFPの画像処理部の機能的構成を示す図である。
【図5】プリンタコントローラの画像処理部の処理の流れを示す図である。
【図6】解像度及び階調が異なる写真画と文字又は線画の部分が混在する画像例を示す図である。
【図7】(a)写真画のデータと属性データとを示す図である。(b)文字又は線画のデータと属性データとを示す図である。
【図8】符号化するデータと符号の対応関係を示す図である。
【図9】復号化する符号と復号化されたデータとの対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 PC
20 プリンタコントローラ
22 画像処理部
221 画像変換部
222 符号化部
223 属性付加部
224 合成部
30 MFP
35 画像処理部
351 圧縮処理部
352 伸張処理部
353 出力調整部
36 画像メモリ
37 プリンタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷制御データに基づいて、階調値n1の文字又は線画の画像データ及び階調値n2(n2>n1)の写真画の画像データを生成する画像変換手段と、
前記階調値n1の文字又は線画の画像データを符号化し、階調値n2の符号化データを生成する符号化手段と、
前記階調値n2の文字又は線画の符号化データと、前記生成された階調値n2の写真画の画像データとについて、それぞれ画像の属性を示す属性データを生成し、各画像データに付加する属性付加手段と、
前記属性データが付加された文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとを合成して、その合成データを出力する合成手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記画像変換手段は、前記文字又は線画の画像データの解像度を、前記写真画の画像データより高解像度とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記符号化手段は、前記文字又は線画の階調値n1の画像データの下位ビットに付加データを付加して階調値n2の画像データとし、これを符号化して階調値n2の符号化データを生成する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置により出力された合成データを圧縮処理し、圧縮データを生成する圧縮処理手段と、前記生成された圧縮データを記憶する画像記憶手段と、前記記憶された圧縮データに伸張処理を施して伸張された前記合成データを得る伸張手段と、を備えた画像処理装置において、
前記伸張された合成データを、文字又は線画の符号化データと写真画の画像データとに分離し、この分離した文字又は線画の符号化データについては復号化を行い、当該復号化した文字又は線画の画像データ及び前記分離した写真画の画像データを出力する出力調整手段を備える画像処理装置。
【請求項5】
前記出力調整手段は、前記合成データに含まれる属性データを検出し、当該属性データに基づいて前記合成データを文字又は線画の画像データと、写真画の画像データとに分離する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記圧縮処理手段は、前記文字又は線画の画像データと前記写真画の画像データの何れにも同じ圧縮方式の圧縮処理を施す請求項4又は5に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−27336(P2009−27336A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187019(P2007−187019)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】