説明

画像処理装置

【課題】液晶パネルの輝度階調特性が滑らかでない部分でも、画像データをなめらかに表示することを課題とする。
【解決手段】画像処理装置は、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値それぞれとを比較し、画素値の差の最小値が閾値以下であるか否かを判定する。そして、画像処理装置は、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値の差の最小値が閾値よりも大きいと判定した後、入力された画素の画素値が階調補正したデータを表示する液晶の特性により定められた閾値よりも小さい場合には、階調補正手法としてディザ補正を用いると決定し、当該画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、階調補正手法としてフレームレートコントロールを用いると決定する。そして、画像処理装置は、画素ごとに決定された階調補正手法を、画素ごとに実施して階調補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力画像を階調補正して出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、RGB8bitの映像データをRGB6bitが主流の車載用TFT(Thin Film Transistor)に表示するには、車載用TFTにあわせて階調を減らす必要があった。
【0003】
このように車載用TFTにあわせて階調を減らす階調補正の手法としては、周りに誤差を分散させるディザ補正や、液晶パネルのフレームを高速で切替えて残像効果によって擬似的に色を表現するFRC(Frame Rate Control)などがある。具体的には、図6に示すように、ナビ画面、DVD、DTV(Digital Television)などから入力された8bit階調の映像データ(画像データ)に対して、階調補正を実施して6bit階調に変換し、変換した6bit階調の画像データをTFTパネルに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−506664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の技術は、液晶パネルの輝度階調特性が滑らかでない部分では、フリッカが目立つために、画像データをなめらかに表示することができないという課題があった。
【0006】
具体的には、ディザ補正は、周りに誤差を分散させるために、グレースケールのような規則的な映像を補正する場合には、補正をすることにより不要な模様などが表示されてしまう。また、FRCでは、フレームごとに画素値を変化させるために、フリッカ(ちらつき)が生じ易い。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液晶パネルの輝度階調特性が滑らかでない部分でも、画像データをなめらかに表示することが可能である画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、入力画像を階調補正して出力する画像処理装置であって、前記入力画像の各画素の画素値に応じて、画素ごとに階調補正手法を決定する補正決定手段と、前記補正決定手段により画素ごとに決定された階調補正手法を、前記画素ごとに実施して階調補正を行う補正実施手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力画像において、階調差の大きい画素値が小さい部分、階調差の小さい画素値が大きい部分のそれぞれに適した補正手法を画素単位で選択することができる結果、液晶パネルの輝度階調特性が大きい場合でも、画像データをなめらかに表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係る画像処理装置の概要を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、階調補正処理部の詳細な構成を示す図である。
【図4】図4は、閾値の設定手法の例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に係る画像処理装置における階調補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像処理装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例に係る画像処理装置の概要、画像処理装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像処理装置の概要]
最初に、図1を用いて、実施例1に係る画像処理装置の概要を説明する。図1は、実施例1に係る画像処理装置の概要を説明するための図である。
【0013】
この画像処理装置は、車両に搭載されるオーディオやカーナビなどのAVN、各種画像データなどを表示するTFTパネルと接続される装置であり、具体的には、AVNから出力された8bitの画像データを6bitに階調補正してTFTパネルに出力する。このような、画像処理装置は、特に、液晶パネルの輝度階調特性が滑らかでない部分でも、画像データをなめらかに表示することができる。
【0014】
具体的には、図1に示すように、画像処理装置は、入力画像の各画素の画素値に応じて、画素ごとに階調補正手法を決定する。例えば、画像処理装置は、入力された画素の画素値が所定の閾値以下(例えば、40)であれば、当該画素の階調補正手法を「ディザ補正」と決定して、「ディザ補正」で補正された画素をセレクタで選択して、TFTパネルに表示する。一方、画像処理装置は、入力された画素の画素値が所定の閾値より大きい(例えば、41以上)場合には、当該画素の階調補正手法を「FRC」と決定して、「FRC」で補正された画素をセレクタで選択して、TFTパネルに表示する。
【0015】
そして、画像処理装置は、上記した手法で、入力画像の全画素それぞれに対して階調補正手法を決定し、決定した階調補正を実施することで、8bit階調(R[7:0]、G[7:0]、B[7:0])の入力画像を6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])の画像データに変換して出力する。
【0016】
このようにすることで、実施例1に係る画像処理装置は、階調差の大きい画素値が小さい部分ではディザ補正を実施し、階調差の小さい画素値が大きい部分ではFRCを実施することができる。つまり、実施例1に係る画像処理装置は、輝度の差が大きくなる画素値が小さい黒色付近ではディザ補正を行い、輝度の差が小さい中間色や白色付近ではFRCを行うので、TFTパネルの輝度階調特性が急な場合であっても、フリッカなく、なめらかに表示することができる。
【0017】
[画像処理装置の構成]
次に、図2を用いて、図1に示した画像処理装置の構成を説明する。図2は、実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、この画像処理装置は、AVN10と、TFTパネル15と、ディスプレイパネル基板20とを有する。なお、ここで例示した装置は、あくまで例示であり、これに限定されるものではなく、画像処理装置には他の様々な装置が接続されている。
【0018】
AVN10は、8bit階調(R[7:0]、G[7:0]、B[7:0])の画像データをTFTパネル15に出力する車両に搭載されるオーディオや映像装置であり、特に、DTV10aと、DVD10bと、ナビ10cとを有する。DTV10aは、デジタルテレビ放送を受信する装置であり、受信したデジタルテレビを後述するディスプレイパネル基板20に出力する。DVD10bは、投入されたDVDを再生して、再生した画像データをディスプレイパネル基板20に出力する装置であり、ナビ10cは、高精度地図情報を有するとともに道路の登坂状態や交通渋滞情報を取得してディスプレイパネル基板20に出力する装置である。
【0019】
TFTパネル15は、ディスプレイパネル基板20から出力された6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])の画像データを表示出力する液晶ディスプレイである。例えば、TFTパネル15は、ディスプレイパネル基板20から出力された6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])の地図データ、映画などを表示出力する。
【0020】
ディスプレイパネル基板20は、AVN10から入力された8bit階調の画像データを6bit階調の画像データに階調補正してTFTパネル15に出力する処理部であり、特に、マイコン21と、バックライト/TFT電源部22と、映像処理部23とを有する。
【0021】
マイコン21は、ディプレイパネル基板20を制御する装置であり、具体的には、AVN10から出力された画像データを受け付けて映像処理部23に入力したり、映像処理部23からTFTパネル15に画像データを出力するためにタイミングコントローラ26を制御したり、ユーザのOn/OFF操作に基づいて、TFTパネル15の電源をON/OFFする制御信号をバックライト/TFT電源部22に出力したりする。
【0022】
バックライト/TFT電源部22は、TFTパネル15のバックライトや電源を制御する処理部であり、具体的には、マイコン21から電源ONの制御信号を受け付けた場合には、TFTパネル15の電源やバックライトをONにし、マイコン21から電源OFFの制御信号を受け付けた場合には、TFTパネル15の電源やバックライトをOFFにする。
【0023】
映像処理部23は、AVN10から入力された画像データに対して各種補正処理を行ってTFTパネル15に出力する処理部であり、特に、画質補正部24と、階調補正処理部25と、タイミングコントローラ26とを有する。
【0024】
画質補正部24は、AVN10から入力された画像データに対して、鮮鋭度や色合いを補正することで、高画質の画像データを生成する処理部であり、特に、コントラスト補正部24aと、明るさ補正部24bと、輪郭補正部24cとを有する。
【0025】
コントラスト補正部24aは、画像データのコントラストを補正する処理部であり、例えば、AVN10から入力された画像データの明暗等の際立ちを調整することにより、コントラストの下げすぎによるぼやけなどを抑止し、黒から白までを滑らかなトーンで表現した画像データに補正する。
【0026】
明るさ補正部24bは、画像データの明るさを補正する処理部であり、例えば、ヒストグラムやガンマ曲線を用いて、入力画素の画素(輝度)に対応する補正後の画素を特定して、AVN10から入力された画像データの明るさを補正する(例えば、自然な明るさに)。
【0027】
輪郭補正部24cは、画像データの輪郭を補正する処理部であり、例えば、AVN10から入力された画像データのエッジ部分(輪郭部分)を強調する補正を行うことで、メリハリのある画像データに補正する。
【0028】
階調補正処理部25は、AVN10から入力された画像データに対して、階調補正を実施して6bit階調の画像データを生成する処理部であり、図3に示すように、特に、判定部25aと、ディザ補正部25bと、FRC部25cと、切り捨て部25dと、セレクタ25eとを有する。なお、図3は、階調補正処理部の詳細な構成を示す図である。
【0029】
かかる判定部25aは、入力画像の各画素の画素値に応じて、画素ごとに階調補正手法を決定する。具体的には、判定部25aは、AVN10から出力された画像データを1画素ずつ受け付ける。そして、判定部25aは、受け付けた対象画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較した結果、画素値の差の最小値が閾値以下の場合に当該画素をエッジ部分と判断し、画素値の差の最小値が閾値以上の場合に当該画素をグラデーション部分と判断する。なお、対象画素の周囲の画素とは、対象画素の四方の画素でもよく、さらに広げて八方の画素でもよく、ユーザにより任意に設定することができる。
【0030】
続いて、判定部25aは、エッジ部分と判断した画素については、切り捨て部25dで処理された画素を選択するようにセレクタ25eに指示を出力し、グラデーション部分と判断した画素については、当該画素の画素値が所定の画素値より小さいか大きいかを判断する。そして、判定部25aは、グラデーション部分と判断した画素の画素値が所定の画素値以下の場合、ディザ補正部25bで処理された画素を選択するようにセレクタ25eに指示を出力し、グラデーション部分と判断した画素の画素値が所定の画素値より大きい場合、FRC部25cで処理された画素を選択するようにセレクタ25eに指示を出力する。
【0031】
ここで、図4を用いて、判定部25aがグラデーション部分と判断した画素についてディザ補正部25bかFRC部25cかを選択するための所定の画素値(閾値)の設定手法の例について説明する。なお、図4は、閾値の設定手法の例を示す図である。
【0032】
まず、図4の(a)に示すように、入力された画素の画素値を示す入力データと、当該入力データが実際にTFTパネルに表示されたときの画素値(輝度)とを対応付けたディスプレイ輝度特性グラフを作成する。そして、図4の(b)に示すように、輝度値Y[N]とY[N+1]との輝度変化率が1.5倍以上となる入力データ(図4では、入力データが「4」)を閾値として設定する。この例では、画素値「4」が閾値となる。
【0033】
図3に戻り、ディザ補正部25aは、表示可能な色を組み合わせて中間色を表現するディザリングを実施して、6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])の画像データを生成して、セレクタ25eに出力する。具体的には、ディザ補正部25aは、入力された画素に対してグラデーションが滑らかに見える補正を行う。特に、ディザ補正部25aは、判定部25aにグラデーション部分と判断された比較的画素値の小さい、階調差の大きい黒色付近の8bit階調の画素に対して、ディザリングを実施して、6bit階調の画像データを生成し、グラデーションが滑らかに見える補正を行って、セレクタ25eに出力する。
【0034】
FRC部25cは、フレームレートコントロールを実施して、6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])の画像データを生成して、セレクタ25eに出力する。具体的には、FRC部25cは、入力された画素に対してフレームレートコントロールを実施する。特に、FRC部25cは、判定部25aにグラデーション部分と判断された比較的画素値の大きい、階調差の小さい中間色や白色付近の8bit階調の画素に対して、TFTパネル15のフレームレートを高速で切り替え、残像効果によって擬似的に色を表現するフレームレートコントロールを実施して、6bit階調の画像データを生成して、セレクタ25eに出力する。
【0035】
切り捨て部25dは、下位2bitを切り捨てた画像データを生成して、セレクタ25eに出力する。具体的には、切り捨て部25dは、入力された画素に対して下位2bitを削除した6bit階調のデータを生成する。特に、切り捨て部25dは、判定部25aにエッジ部分と判断された画素に対して、8bit階調(R[7:0]、G[7:0]、B[7:0])のうち下位2bitを削除した6bit階調(R[5:0]、G[5:0]、B[5:0])のデータを生成して、セレクタ25eに出力する。
【0036】
セレクタ25eは、判定部25aの指示にしたがって、ディザ補正部25b、FRC部25c、切り捨て部25dのいずれかのデータを選択して、タイミングコントローラ26に出力する。
【0037】
なお、ここでは、判定部25aの指示にしたがって、セレクタ25eが補正されたデータを選択する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、判定部25aは、入力された画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較した結果、画素値の差の最小値が閾値以下の場合に当該画素をエッジ部分と判断し、画素値の差の最小値が閾値以上の場合に当該画素をグラデーション部分と判断する。そして、判定部25aは、エッジ部分と判断した画素については、切り捨て部25dのみに入力する。一方、判定部25aは、グラデーション部分と判断した画素の画素値が所定の画素値以下の場合、ディザ補正部25bのみに入力画素を入力し、グラデーション部分と判断した画素の画素値が所定の画素値より大きい場合、FRC部25cのみに入力画素を入力するようにしてもよい。つまり、セレクタ25eを用いずに、判定部25aは、入力画素について上記判定を行って、対応する補正部のみに入力画素を入力することもできる。
【0038】
図2に戻り、タイミングコントローラ26は、階調補正処理部25から入力された画像データを、マイコン21により制御されるタイミングでTFTパネル15に出力する。具体的には、タイミングコントローラ26は、階調補正処理部25から入力された階調補正後の各画素データを保持し、1フレーム分の画像データが入力されたところで、各画素データを組み合わせてTFTパネル15に出力する。また、タイミングコントローラ26は、階調補正後の画素データが階調補正処理部25から入力されるたびに、TFTパネル15に出力するようにしてもよい。
【0039】
[画像処理装置による処理]
次に、図5を用いて、画像処理装置による処理を説明する。図5は、実施例1に係る画像処理装置における階調補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図5に示すように、実施例1に係る画像処理装置は、1画素毎に映像(画像データ)が入力されると(ステップS101肯定)、階調補正方法を自動判定すると設定されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0041】
なお、ここでは、入力された画素に応じて階調補正手法を変更するか、または、全ての画素に対して予め定めた階調補正手法を実施するかを判定する。また、ここでの設定は、ユーザにより任意に設定することができる。
【0042】
そして、画像処理装置は、階調補正方法を自動判定すると設定されている場合(ステップS102肯定)、グラデーション部分のみを階調補正するか否かを判定する(ステップS103)。
【0043】
ここでは、画像処理装置は、受け付けた対象画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較した結果、画素値の差の最小値が閾値以下の場合に当該画素をエッジ部分と判断し、画素値の差の最小値が閾値以上の場合に当該画素をグラデーション部分と判断する。そして、画像処理装置は、階調補正の効果がよく現れるグラデーション部分と判断された画素についてのみ階調補正を行うのか、または、グラデーション部分とエッジ部分の両方について階調補正を行うのかを判定する。また、ここでの設定は、ユーザにより任意に設定することができる。
【0044】
続いて、画像処理装置は、グラデーション部分のみを階調補正すると設定されている場合(ステップS103肯定)、受け付けた対象画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較し、画素値の差の最小値が設定値(閾値)以下であるか否かを判定する(ステップS104)。なお、グラデーション部分のみを階調補正すると設定されていない場合、言い換えれば、グラデーション部分とエッジ部分の両方について階調補正を行う場合(ステップS103否定)、ステップS104を飛ばしてステップS105の処理を実行する。
【0045】
そして、画像処理装置は、受け付けた対象画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較した結果、画素値の差の最小値が設定値(閾値)以下である場合(ステップS104肯定)、当該対象画素の画素値が所定の画素値(閾値)より小さいか否かを判定する(ステップS105)。
【0046】
その後、画像処理装置は、当該対象画素の画素値が所定の画素値(閾値)より小さい場合(ステップS105肯定)、当該対象画素に対してディザ補正処理されたデータを選択し(ステップS106)、当該対象画素の画素値が所定の画素値(閾値)より大きい場合(ステップS105否定)、当該対象画素に対してFRC処理されたデータを選択する(ステップS107)。
【0047】
一方、ステップS104に戻り、画像処理装置は、受け付けた対象画素の画素値と周囲の画素の画素値とを比較した結果、画素値の差の最小値が設定値(閾値)より大きい場合(ステップS104否定)、当該対象画素に対して下位2bitを切り捨てる処理されたデータを選択する(ステップS108)。
【0048】
また、ステップS102に戻り、階調補正方法を自動判定すると設定されていない場合(ステップS102否定)、画像処理装置は、ディザ補正処理されたデータを選択すると設定されているのか(ステップS109)、またはFRC処理されたデータを選択すると設定されているのか(ステップS110)を判定する。
【0049】
そして、画像処理装置は、ディザ補正処理されたデータを選択すると設定されている場合(ステップS109肯定)、当該対象画素に対してディザ補正処理されたデータを選択し(ステップS106)、ディザ補正処理されたデータを選択すると設定されておらず(ステップS109否定)、FRC処理されたデータを選択すると設定されている場合(ステップS110肯定)、当該対象画素に対してFRC処理されたデータを選択する(ステップS107)。
【0050】
また、画像処理装置は、ディザ補正処理されたデータを選択すると設定されておらず(ステップS109否定)、さらに、FRC処理されたデータを選択すると設定されていない場合(ステップS110否定)、当該対象画素に対して下位2bitを切り捨てる処理されたデータを選択する(ステップS108)。
【0051】
そして、画像処理装置は、入力画像の全画素に対して、上記したステップS101〜ステップS110の処理を実行する。
【0052】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、入力画像の各画素の画素値に応じて、画素ごとに階調補正手法を決定し、画素ごとに決定された階調補正手法を画素ごとに実施して階調補正を行うことができる。その結果、入力画像において、階調差の大きい画素値が小さい部分、階調差の小さい画素値が大きい部分のそれぞれに適した補正手法を画素単位で選択することができる結果、液晶パネルの輝度階調特性が大きい場合でも、画像データをなめらかに表示することが可能である。
【0053】
また、実施例1によれば、入力画像の各画素の画素値が階調補正したデータを表示する液晶の特性により定められた閾値よりも小さい場合には、階調補正手法としてディザ補正を用いると決定し、入力画像の各画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、階調補正手法としてフレームレートコントロール(FRC)を用いると決定することができる。その結果、輝度の差が大きくなる画素値が小さい黒色付近ではディザ補正を行い、輝度の差が小さい中間色や白色付近ではFRCを行うので、TFTパネルの輝度階調特性が急な場合であっても、フリッカなく、なめらかに表示することができる。
【0054】
また、実施例1によれば、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値それぞれとを比較し、画素値の差の最小値が閾値以下であるか否かを判定し、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値の差の最小値が閾値よりも大きいと判定された入力画素に対してのみ、階調補正手法を決定することができる。その結果、階調補正により特段の効果が得られると期待できるグラデーション部分の画素についてのみ、階調補正を処理することができるので、入力画像の全画素について階調補正を行う場合と比較して、階調補正後のデータも遜色なく鮮明に保ったまま、補正処理を高速に実行することができる。
【0055】
また、実施例1によれば、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値の差の最小値が閾値以下であると判定された前記入力された画素に対して、当該入力画素の下位2ビットを切り捨てる切り捨て処理を行うことができる。その結果、階調補正が重要でない、階調補正後の画像データと階調補正前の画像データとがあまり変化がない矩形やエッジ部分に対しても、画像の鮮度を保ちつつ、階調を減らすことができるとともに、補正処理を高速に実行することができる。
【実施例2】
【0056】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)階調補正手法、(2)処理内容、(3)システム構成等、(4)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0057】
(1)階調補正手法
例えば、実施例1では、実行する階調補正手法として、ディザ補正とFRCとを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、小さな画素値に対してより自然に階調補正できる手法や、大きな画素値に対してより自然に階調補正できる手法など他の補正手法を用いることもできる。
【0058】
また、本願が開示する画像処理装置は、入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値の差の最小値が閾値より大きいと判定された入力された画素に対して、当該入力画素の下位2ビットを切り捨てる切り捨て処理を階調補正手法として決定することもできる。
【0059】
(2)処理内容
また、実施例1のフローチャートでは、階調補正を自動判定するか否かと予め定めた階調補正を実施するか否かとの両方を判定するフローについて場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、常に、階調補正を自動判定するように、予めユーザにより設定することもできる。
【0060】
また、実施例1では、入力画像の各画素の画素値を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力画像の各画素の輝度値についても同様に処理することができる。
【0061】
(3)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、各種閾値など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、画質補正部と階調補正処理部とを統合したり、階調補正処理部を判定部とその他の処理部とに分割したりするなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0063】
(4)プログラム
なお、本実施例で説明した階調補正方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る画像処理装置は、入力画像を階調補正して出力することに有用であり、特に、液晶パネルの輝度階調特性が大きい場合でも、画像データをなめらかに表示することに適する。
【符号の説明】
【0065】
10 AVN
10a DTV
10b DVD
10c ナビ
15 TFTパネル
20 ディスプレイパネル基板
21 マイコン
22 バックライト/TFT電源部
23 映像処理部
24 画質補正部
24a コントラスト補正部
24b 明るさ補正部
24c 輪郭補正部
25 階調補正処理部
25a 判定部
25b ディザ補正部
25c FRC部
25d 切り捨て部
25e セレクタ
26 タイミングコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を階調補正して出力する画像処理装置であって、
前記入力画像の各画素の画素値に応じて、画素ごとに階調補正手法を決定する補正決定手段と、
前記補正決定手段により画素ごとに決定された階調補正手法を、前記画素ごとに実施して階調補正を行う補正実施手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値それぞれとを比較し、画素値の差の最小値が閾値よりも小さいか否かを判定する画素値判定手段をさらに備え、
前記補正決定手段は、前記画素値判定手段により入力された画素の画素値と当該画素の周辺画素の画素値の差の最小値が閾値よりも小さいと判定された前記入力された画素に対してのみ、前記階調補正手法を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−176082(P2010−176082A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21514(P2009−21514)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】