画像処理装置
【課題】 原稿の地色や地模様等の背景を除去することのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 輝度分布測定部301は、輝度を一定範囲ごとに所定数の段階に分けた輝度レベルを設け、画像データ前処理部20から入力されるカラー画像データの各画素を輝度に応じた輝度レベルに分け、各輝度レベルごとの画素数を計測する。ピーク検出部303は、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。基準値決定部305は、原稿に記載された文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度に基づいて、輝度レベルの最も高い白色に変換される輝度の基準値を決定する。背景除去部31は、基準値算出部30が算出した基準値より高い輝度の画素を印刷対象とならない白の画素に変換し、画像データ20により補正された画像から、背景除去が行われたモノクロ画像を生成する。
【解決手段】 輝度分布測定部301は、輝度を一定範囲ごとに所定数の段階に分けた輝度レベルを設け、画像データ前処理部20から入力されるカラー画像データの各画素を輝度に応じた輝度レベルに分け、各輝度レベルごとの画素数を計測する。ピーク検出部303は、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。基準値決定部305は、原稿に記載された文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度に基づいて、輝度レベルの最も高い白色に変換される輝度の基準値を決定する。背景除去部31は、基準値算出部30が算出した基準値より高い輝度の画素を印刷対象とならない白の画素に変換し、画像データ20により補正された画像から、背景除去が行われたモノクロ画像を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、更に詳しくは、画像の背景除去を行う画像処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
地色や地模様等の背景を有する原稿の読取を行う場合、背景がわずかな輝度や色相の違い等により表現されていると、原稿の読取又は印刷時に背景の輝度や色相が変化し、背景を正しく再現できずに背景と文字情報や画像等とが判別しにくくなることがある。例えば、新聞紙や車検証をモノクローム(以下「モノクロ」という)コピーする場合、色相の違いが反映されずに新聞紙の地色や車検証の地模様が文字情報等と判別しにくい態様で表示されるという問題がある。
【0003】
この様な原稿の読取画像は、背景を除去した方が、文字情報等が見やすくなることが多い。従って、原稿に記載された文字情報等を残しつつ、原稿の地色や地模様等の背景を判別して除去することが望ましい。
【0004】
背景を原稿の文字情報等と区別する方法として、この様な背景と文字情報等との輝度の差を利用する方法がある。一般に、原稿の地色や地模様等の背景は、原稿に記載される文字情報等よりも輝度が高いため、適切な輝度の基準値を決定すれば、輝度の違いにより文字情報等と区別できる。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の画像処理装置では、輝度の高い方から数えて、原稿全体の80〜90%の画素を地色とみなして印刷対象とならない白色に変換している。また、特許文献2に記載の画像処理装置では、輝度ごとに画素数をカウントしたヒストグラムを作成し、このヒストグラムにおいて、原稿の地色に対応するピークを特定し、この地色のピークの輝度が除去の対象になるように基準値を決定し、この基準値よりも輝度の高い画素を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭64−006588
【特許文献2】特開2009−049650
【特許文献3】特開平07−303188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原稿によっては、記載された文字情報等と地色や地模様等の背景との輝度の差が小さいことがある。この様な原稿では、特許文献1に記載のように、輝度の高い方から数えて原稿全体の所定割合の画素を地色とみなして除去する場合、文字情報等が一部切れたり、地模様等が一部残ったりすることがあるという問題があった。
【0008】
また、背景を構成する画素の輝度分布にある程度の広がりがあれば、特許文献2に記載のように地色のピークの輝度が除去の対象になるように基準値を決定しても、地模様等が一部除去されずに残ってしまうことがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、原稿の地色や地模様等の背景を除去することのできる画像処理装置を提供することを目的とする。特に、原稿の文字情報や画像等を明確に表示しつつ、原稿の地色や地模様等の背景を除去できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による画像処理装置は、入力画像について輝度レベルごとの画素数を求める輝度分布測定手段と、隣接する各輝度レベルに比べて画素数が多く、上記入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するピーク検出手段と、輝度が最も低い上記ピークの輝度レベルに基づいて、基準値を決定する基準値決定手段と、上記基準値以上の各画素の輝度を上げる背景除去手段とを備えるように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、輝度の最も低いピークに基づいて、背景除去の基準値が定められるので、原稿に用いられている文字情報や画像等の輝度の低い画素を残しつつ、輝度の高い原稿の地色や地模様等の背景を構成する画素を除去することができる。また、入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するので、ノイズ等がピークとして検出され、誤った基準値が決定されることを防止することができる。
【0012】
第2の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記基準値決定手段は、輝度の最も低い上記ピークの輝度レベルに対応する輝度範囲を超える輝度を基準値として決定するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、輝度の最も低いピークの輝度範囲を超える輝度を基準値とするので、当該ピークを構成する画素を除去することなく、背景除去を行うことができる。
【0014】
第3の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記基準値決定手段は、1つの上記ピークのみが検出された場合、輝度の低い順に画素数を数え、上記入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、上記基準値を決定するように構成される。
【0015】
この様な構成によれば、1つの上記ピークのみが検出された場合、入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、背景除去の基準値を決定するので、地色以外に顕著な輝度のピークがない場合でも画像の輝度分布に応じて基準値を定めることができる。また、地色が文字情報等のピークであると誤って判別され、地色を残すように基準値が決定されることがない。
【0016】
第4の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記背景除去手段は、上記基準値以上の各画素を最も高い輝度レベルの画素に変換するように構成される。
【0017】
このような構成によれば、背景を構成する画素を最も輝度レベルの高い画素に変換するので、背景除去後の画像が特に見やすくなる。
【0018】
第5の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記入力画像は、カラー画像として入力され、上記背景除去手段は、上記入力画像を構成する各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像に変換するように構成される。
【0019】
このような構成によれば、カラー画像をモノクロ画像に変換しつつ、背景を除去することができるので、例えば、モノクロ画像に変換する場合には、除去される方が望ましい背景等を除去することができ、利便性がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明による画像処理装置は、原稿の地色や地模様等の背景を除去することができる。特に、原稿の文字情報や画像等が薄く、原稿の地色や地模様等の背景との輝度の差が小さい場合であっても、原稿の文字情報や画像等を明確に表示し、背景を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1による画像処理装置の一例である複合機100を示した外観図である。
【図2】図1の複合機100の内部構成の一例を示したブロック図である。
【図3】図2の画像データ前処理部20の一構成例を示したブロック図である。
【図4】図2の基準値算出部30の一構成例を示したブロック図である。
【図5】画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。
【図6】画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。
【図7】図1の複合機100で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2による画像処理装置の構成例を示したブロック図であり、複合機200内の機能構成の一例が示されている。
【図9】図8のガンマ補正特性変更部40の一構成例を示したブロック図である。
【図10】ガンマ補正曲線f1又はf2が選択された場合の画素の輝度の補正、及び、ガンマ補正曲線の選択方法を説明する説明図である。
【図11】図8の複合機200で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による画像処理装置の一例である複合機100を示した外観図である。複合機100は、本体1及びスキャナ部2から構成される。
【0023】
複合機100は、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)であり、これらの機能を選択的に実行させることができる。プリンタ機能は、画像データを用紙に印刷する機能である。スキャナ機能は、原稿を読み取って画像データを生成する機能である。ファクシミリ機能は、画像データを送受信する機能であり、例えば、原稿から読み取られた画像データが公衆電話送信網を介して他の通信装置へ送信される。
【0024】
本体1は、プリンタ機能を有しており、用紙に印刷を行うことができる。また、本体1には、通信回線を介して画像データを伝送するための送受信部等が備えられており、ユーザは、この送受信部によりファクシミリ通信を行うことができる。
【0025】
スキャナ部2は、スキャナ機能を有し、ADF(オートドキュメントフィーダ)3、原稿トレイ4を備えている。ユーザは、原稿トレイ4に原稿を載置し、ADF3によりADF方式の原稿読取を行うことができる。また、ユーザは、図示しないコンタクトガラスに原稿を載置し、フラットベッド方式の原稿読取を行うこともできる。
【0026】
図2は、図1の複合機100の内部構成の一例を示したブロック図である。複合機100は、イメージセンサ10、画像データ前処理部20、基準値算出部30及び背景除去部31により構成される。イメージセンサ10は、ADF方式又はフラットベッド方式により、原稿を光学的に読み取り、電気信号に変換するラインセンサである。イメージセンサ10は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などの受光素子を直線状に配置させた受光素子アレイを備え、受光量(輝度)を示すアナログ信号、例えば、電圧信号をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色ごとに生成する動作を行っている。
【0027】
画像データ前処理部20は、イメージセンサ10により読み取られたアナログ信号をカラーのデジタル画像に変換し、イメージセンサ10の光学特性による誤差等を補正するデータ修正手段であり、例えば、シェーディング補正、ガンマ補正及びラインずれ補正を行う。基準値算出部30は、画像データ前処理部20により補正されたデジタル画像の背景除去を行うための基準値を算出する。ここで、背景除去とは、原稿の地色や地模様等の背景を構成する画素の輝度を上げ、印刷対象とならない白の画素に変換することである。
【0028】
背景除去部31は、画像データ前処理部20により補正された画像から、背景除去を行うと共に、各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像を生成する。この時、基準値算出部30が算出した基準値以上に輝度の高い画素の輝度を上げ、印刷対象とならない白の画素に変換する。
【0029】
図3は、図2の画像データ前処理部20の一構成例を示したブロック図である。画像データ前処理部20は、AFE201、A/Dコンバータ202、シェーディング補正部203、ガンマ補正部204、ラインずれ補正部205及び色空間変換部206により構成される。AFE(Analog Front End:アナログフロントエンド)201は、イメージセンサ10から入力されたアナログ信号の電圧レベルを調整するアンプである。
【0030】
A/Dコンバータ202は、AFE201から入力されたアナログ信号を所定のサンプリングレートでサンプリングし、デジタルデータを生成する変換素子である。例えば、8ビット(256階調)のビットデータからなる輝度データが、R,G,Bの各色ごとに生成される。
【0031】
シェーディング補正部203は、イメージセンサ10による画素ごとの受光量の基準を揃えるために、輝度データの補正処理を行うデジタル処理回路である。例えば、CCDイメージセンサの場合、同じ光量を受信した場合であっても、画像の端部の受信レベルは低いのに対し、画像の中央部の受信レベルは高くなる。シェーディング補正部203は、この様なイメージセンサ10の特性による受信レベルの偏りを補正し、同じ光量を受信した場合には、受信レベルが一定になるように受信レベルを補正している。ガンマ補正部204は、シェーディング補正後の輝度データをガンマ補正用の変換テーブルに基づいて変換し、出力用の輝度データとして出力するデジタル処理回路である。
【0032】
ラインずれ補正部205は、ガンマ補正部204から入力されるR,G,Bの輝度データについて、R,G,Bの各受光素子の位置のずれに由来する各輝度データの原稿との対応位置のずれを補正するデジタル処理回路である。R,G,Bの各受光素子は、イメージセンサ10のわずかにずれた位置にそれぞれ配置されるため、原稿の同じ位置の読取はR,G,Bでそれぞれわずかに時間差を設けて行われる。ラインずれ補正部205は、R,G,Bの各受光素子で原稿の同じ位置を読み取ったデータ同士が合成されるように上記の時間差を補正する。
【0033】
色空間変換部206は、ガンマ補正部204から入力されるR,G,Bの輝度データについて、色空間を変換してカラー画像データを出力するデジタル処理回路である。具体的には、RGB色空間を輝度及び色相からなる色空間、例えば、YCbCr表色系に変換する処理が行われる。YCbCr表色系は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データなどに用いられる表色系であり、Yが輝度データを示し、CbCrが色度データをそれぞれ示している。この色度データCbCrでは、Cbが青の差分(色相成分)、Crが赤の差分(色相成分)をそれぞれ示している。この色空間変換部206により、ピクセルごとの輝度データ及び色度データからなるカラー画像データが生成される。
【0034】
上記のシェーディング補正、ガンマ補正、ラインずれ補正等は、イメージセンサ10の特性を補正するものであり、基準値算出部30が、イメージセンサ10の特性に影響されずに、背景除去のための正確な基準値を算出することを考慮し、基準値の算出前に上記の補正を行っている。色空間変換部206によるYCbCr表色系への色空間の変換は、R,G,Bの輝度データを合成した輝度データを得るために行っている。
【0035】
図4は、図2の基準値算出部30の一構成例を示したブロック図である。基準値算出部30は、輝度分布測定部301、地色判別部302、ピーク検出部303、累積画素数カウント部304及び基準値決定部305から構成される。
【0036】
輝度分布測定部301は、輝度を所定数の段階に分けた輝度レベルを設け、画像データ前処理部20から入力されるカラー画像データを構成する各画素を輝度に応じた輝度レベルに分け、各輝度レベルごとの画素数を求める。
【0037】
図5及び図6は、画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。縦軸に各輝度レベルの画素数、横軸に輝度を示す。輝度が高いほど白に近くなり、輝度が低いほど黒に近くなる。図5は、ピークを2つ有するヒストグラムの例であり、図6は、1つのピークのみを有するヒストグラムの例である。
【0038】
地色判別部302は、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、地色の輝度レベルを判別する。地色判別部302は、輝度の最も高いピークを地色であると判別する。ピークとは、隣接する各輝度レベルよりも画素数が多く、当該輝度レベルの画素数が原稿全体において一定の割合以上であることを指す。地色に対応する輝度レベルは、画素数が最も多く、ピークの中で輝度が最も高い。このため、地色判別部302は、輝度が最も高いピークを地色であると判別する。
【0039】
図5のヒストグラムの例で言えば、輝度レベル「D」は、輝度の一段階低い輝度レベル「C」、及び、輝度の一段階高い輝度レベル「E」よりも画素数が多く、画素数が一定割合以上を占めるのでピークと判別される。更に、輝度レベル「D」は、輝度が高い側からみた最初のピークであり、地色判別部302により地色であると判別される。原稿の地色は通常、原稿の大半を占めるため、最も画素数の多い輝度レベルとなる。このため、地色判別部302は、最も画素数の多い輝度レベルを地色であると判別する構成であってもよい。また、輝度レベル「F」及び「0」では、隣接する輝度レベルがそれぞれ「E」、「1」のみなので、それぞれ輝度レベル「E」、「1」よりも画素数が多ければ、隣接する各輝度レベルよりも画素数が多いと判別される。
【0040】
ピーク検出部303は、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、原稿における各ピークを検出する。また、ピーク検出部303は、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。このピークは、地色の場合と同様に、両隣の輝度レベルよりも画素数が多く、当該画素数が原稿全体において一定の割合以上であることを指す。ただし、文字情報等のピークは地色に比べて原稿に占める割合が小さいので、原稿に占める割合は、地色のピークほど大きくなくてよい。例えば、原稿全体の1%を超える画素数があればよい。また、地色判別部302により地色であると判別されたものは、ピーク検出部による文字情報等のピークの判別において、判別対象から除外される。ピーク検出部303は、条件を満たすピークがない場合は、文字情報等に該当するピークがないと判別する。
【0041】
図5のヒストグラムの例で言えば、輝度レベル「2」は、輝度の一段階低い輝度レベル「1」、及び、輝度の一段階高い輝度レベル「3」よりも画素数が多く、画素数が一定割合以上を占める。このため、輝度レベル「2」は、輝度レベルが低い側から見た最初のピークとなり、ピーク検出部303により、文字情報等に対応するピークとして判別される。
【0042】
累積画素数カウント部304は、ピーク検出部303が、文字情報等に該当するピークがないと判別した場合に、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、輝度の低い順に画素数を数え、最初に画素数の合計が原稿全体の所定割合を超えたときの輝度レベルを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。従って、地色以外にピークがない場合は、輝度の低いものから累積された画素数により、文字情報等に対応する輝度レベルが判別される。
【0043】
図6のヒストグラムの例で言えば、輝度が低い側から画素数を累積していき、輝度レベル「8」及び「9」の画素数を合計すると、基準である原稿全体の2%を超えるため、累積画素数カウント部304は、合計が基準を超える時点での輝度レベルである輝度レベル「9」が原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。
【0044】
基準値決定部305は、ピーク検出部303又は累積画素数カウント部304により原稿に記載された文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度レベルに基づいて、輝度レベルが最も高い画素に変換される輝度の基準値を決定する。基準値決定部305は、文字情報等に対応すると判別される輝度レベルの輝度範囲を超える輝度を基準値として決定する。具体的には、文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度レベルの上限値に対し、所定の輝度を加算した値を基準値とする。例えば、図5のヒストグラムでは、輝度レベル「2」が文字情報等に対応する輝度であると判別され、基準値決定部305は、この輝度に所定の輝度を加算した輝度レベル「4」の輝度の上限値を背景除去のための基準値として決定する。また、図6のヒストグラムでは、輝度レベル「9」が文字情報等に対応する輝度であると判別され、基準値決定部305は、この輝度に所定の輝度を加算した輝度レベル「B」の輝度の上限値を背景除去のための基準値として決定する。基準値決定部305は、決定した基準値を背景除去部31へ出力する。
【0045】
この様に、基準値決定部305は、輝度レベルが最も低いピークにより背景除去の基準値を決定する。通常、輝度レベルが最も低いピークには、原稿に記載された文字情報又は画像等が該当するので、原稿に記載された文字情報等の輝度により背景除去の基準値が決定されることになる。このため、例えば、単一色又は輝度の近い複数色で印刷された原稿のように、記載された文字情報や画像等のピークが明確な原稿の場合、当該文字情報等の輝度に応じた背景除去の基準値を決定することができるので、原稿の文字情報等を除去することなく、原稿の地色や地模様等をきれいに除去することができる。例えば、新聞等の背景除去に好適である。また、地模様等を有する原稿で、地色のピークが複数あるか不明確であることにより、地色のピークから背景除去の基準値を決定しても地色や地模様等をきれいに除去することが難しい原稿、例えば、車検証等の背景除去においても顕著な効果がある。
【0046】
図7のステップS101〜S106は、図1の複合機100で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。まず、輝度分布測定部301が、原稿画像の輝度レベルごとの画素数を計測する(ステップS101)。
【0047】
次に、地色判別部302が、輝度が最も高いピークを地色のピークであると判別し(ステップS102)、更に、ピーク検出部303が、地色のピーク以外の最も輝度の低いピークを判別する(ステップS103)。地色のピーク以外のピークがない場合、累積画素数カウント部304が、輝度の低いものから画素数を累積してカウントしていき、画素数の合計が原稿全体の所定割合を超えたときの輝度レベルを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する(ステップS104)。
【0048】
基準値決定部305は、ステップS103又はS104において判別された輝度レベルの上限値に、所定の値を加えたものを原稿画像の背景除去のための基準値として決定する(ステップS105)。基準値が決定すれば、背景除去部31が、基準値検定部305の決定した基準値よりも輝度が高い画素の輝度を上げ、最も高い輝度レベルの白色に変換することにより背景を除去する。ステップS103において、ピーク検出部303は、地色以外のピークがある場合、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等の輝度に対応するピークであると判別し、ステップ105の処理に移る。
【0049】
本実施の形態により、原稿に記載された文字情報や画像等の輝度に応じて、背景除去のための基準値が決定されるので、原稿の文字情報や画像等と比較して輝度の高い地模様や地色等を除去することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、色空間変換部206が、RGB色空間をYCbCr表色系に変換する構成について説明した。しかし、本発明は、RGB色空間をYCbCr表色系に変換する構成に限定されない。例えば、YCbCr表色系に変換するのに代えて、均等色空間の1つであるLab表色系に変換するものであってもよい。Lab表色系では、Lが輝度データを示し、a,bが色度データをそれぞれ示している。この色度データa,bでは、a及びbがそれぞれ色相成分を示している。なお、Lab表色系におけるL成分は、通常、明度と呼ばれる。本明細書中における輝度データには、Lab表色系のL成分データ、すなわち、明度データが含まれるものとする。
【0051】
また、本実施の形態では、原稿の画像をイメージセンサ10で読み取る構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、カラー又はモノクロの画像ファイルから背景除去を行ったモノクロ画像ファイルを生成することもできる。
【0052】
また、本実施の形態では、地色判別部302が輝度の最も高いピークを地色であると判別する構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、ピークが一つしかない場合、地色判別部302がこのピークを地色であると判別する構成であってもよい。この場合、このピークはピーク検出部303による判別対象から除外され、ピーク検出部は、文字情報等に該当するピークがないと判別する。
【0053】
実施の形態2.
本発明の実施の形態1では、カラー画像から白から黒までの明暗で表現されたモノクロ画像を生成する際に、原稿の各画素の輝度と背景除去の基準値とを比較することにより、基準値よりも輝度の高い画素を除去する構成について説明した。これに対し、実施の形態2では、2度目のガンマ補正によって、各画素の輝度を基準値からみた相対的な輝度に応じた値に変更し、変更後の各画素の輝度と原稿によらず一定の閾値thとを比較することにより原稿の背景除去を行う構成について説明する。
【0054】
図8は、本発明の実施の形態2による画像処理装置の構成例を示したブロック図であり、複合機200内の機能構成の一例が示されている。複合機200は、イメージセンサ10、画像データ前処理部20、ガンマ補正特性変更部40、ガンマ補正部42及び背景除去部43により構成される。複合機100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ガンマ補正特性変更部40、ガンマ補正部42及び背景除去部43について説明する。
【0055】
ガンマ補正特性変更部40は画像データ前処理部20により補正されたデジタル画像の各画素の輝度を変更させるガンマ補正曲線を選択する。本実施の形態の複合機200では、背景除去に用いられる閾値thは原稿によらず一定であり、原稿の地色や地模様等の除去したい画素の輝度が背景除去の閾値thよりも高くなるように原稿の各画素の輝度を変更させるガンマ補正を行う。このため、ガンマ補正特性変更部40は、この様なガンマ補正を可能にするガンマ補正曲線を選択する。
【0056】
ガンマ補正部42は、ガンマ補正特性変更部40の選択したガンマ補正曲線により、画像データ前処理部20によって補正されたデジタル画像の2度目のガンマ補正を行う。
【0057】
背景除去部43は、ガンマ補正部42により2度目のガンマ補正が行われたデジタル画像の背景除去を行い、画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像を生成する。背景除去部43は、図2の背景除去部31と異なり、基準値決定部305により決定される基準値ではなく、一定の閾値thと各画素の輝度とを比較し、閾値thより高い輝度を有する画素を最も高い輝度レベルの白色に変換する。ガンマ補正部42によるガンマ補正を行った後に原稿の背景除去を行うことで、実質的に、背景除去に用いられる閾値thを原稿の輝度分布に応じて変更させる場合と同じ効果を得ることができる。
【0058】
図9は、図8のガンマ補正特性変更部40の一構成例を示したブロック図である。ガンマ補正特性変更部40は、輝度分布測定部301、地色判別部302、ピーク検出部303、累積画素数カウント部304、基準値決定部305及びガンマ補正曲線変更部401により構成される。図4の基準値算出部30と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、ガンマ補正曲線変更部401について説明する。
【0059】
ガンマ補正曲線変更部401は、ガンマ補正曲線の選択を行う。この選択は、ガンマ補正において、基準値決定部305が決定した基準値よりも輝度が高ければ背景除去に用いられる閾値thよりも輝度が高くなるように、原稿全体の画素の輝度を変更するガンマ補正曲線を選択する。この時、選択されたガンマ補正曲線によって、この基準値よりも輝度が低い画素は背景除去に用いられる閾値よりも輝度が低くなるように輝度が変更される。
【0060】
図10は、ガンマ補正曲線f1又はf2が選択された場合の画素の輝度の補正、及び、ガンマ補正曲線の選択方法を説明する説明図である。図10のガンマ補正曲線の説明図を用いてガンマ補正曲線変更部401によるガンマ補正曲線の選択方法を説明する。例えば、図10において、入力輝度aの画素にガンマ補正を行う場合を考える。ガンマ補正曲線f1が選択された場合、入力輝度aの画素は、ガンマ補正により、入力輝度aに対応するガンマ補正曲線f1上の点Pの縦軸上の位置である出力輝度b1に輝度が変更される。図10に示すように、出力輝度b1は、背景除去の閾値thよりも輝度が高いので、背景除去により輝度レベルの最も高い白色の画素に変換される。
【0061】
一方、ガンマ補正曲線f2が選択された場合、輝度aの画素は、入力輝度aに対応するガンマ補正曲線f2上の点Qの縦軸上の位置である出力輝度b2に輝度が変更される。図10に示すように、出力輝度b2は、背景除去の閾値thよりも輝度が低いので、背景除去により除去されることはない。
【0062】
ガンマ補正曲線変更部401は、基準値決定部305に決定された基準値が、ガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する。例えば、基準値が輝度cの場合、ガンマ補正曲線変更部401は、図10に示すように、入力輝度がc、出力輝度が背景除去の閾値thの点Rを通るガンマ補正曲線f3を選択する。
【0063】
ガンマ補正曲線は、傾斜が急に設定されており、特に、背景除去の閾値th近傍では、入力輝度がわずかに異なるだけで出力輝度が大幅に変化する。このため、入力輝度が基準値よりもわずかに低ければ、出力輝度は背景除去の閾値thよりも大幅に低くなり、黒に近い濃い色で明確に表示される。従って、原稿に記載された文字等が薄い場合であっても、当該文字等を黒に近い濃い色で明確に表示しつつ、原稿の地色や地模様を除去することができる。
【0064】
上記のように、ガンマ補正曲線変更部401が、基準値決定部305によって決定された基準値がガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する。このため、基準値よりも輝度の高い画素は、最も高い輝度レベルの白色に変換されるが、基準値よりも輝度の低い画素はこの様な変換が行われない点は、第1の実施の形態と同様である。
【0065】
図11のステップS201〜S207は、図8の複合機200で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。ステップS201〜S205は、図7のステップS101〜S105と同一であるため、説明を省略し、ステップS206〜S207について説明する。
【0066】
ステップS206において、ガンマ補正により、基準値より高い輝度を有する画素が、背景除去の閾値thより高い輝度を有するように原稿の各画素の輝度が変更される。ステップS207において、閾値thより高い輝度を有する画素が最も高い輝度レベルの白色に変換される背景除去が行われ、画素を輝度に応じて白から黒までの明暗で表現するモノクロ画像が生成される。
【0067】
なお、本実施の形態では、ガンマ補正曲線変更部401が、基準値決定部305によって決定された基準値がガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する構成について説明したが、基準値が閾値thに補正される必要はなく、基準値が閾値thに近い値に補正される構成であればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 本体
2 スキャナ部
3 ADF(オートドキュメントフィーダ)
4 原稿トレイ
10 イメージセンサ
20 画像データ前処理部
30 基準値算出部
31 背景除去部
40 ガンマ補正特性変更部
42 ガンマ補正部
43 背景除去部
100 複合機
200 複合機
201 AFE
202 A/Dコンバータ
203 シェーディング補正部
204 ガンマ補正部
205 ラインずれ補正部
206 色空間変換部
301 輝度分布測定部
302 地色判別部
303 ピーク検出部
304 累積画素数カウント部
305 基準値決定部
401 ガンマ補正曲線変更部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、更に詳しくは、画像の背景除去を行う画像処理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
地色や地模様等の背景を有する原稿の読取を行う場合、背景がわずかな輝度や色相の違い等により表現されていると、原稿の読取又は印刷時に背景の輝度や色相が変化し、背景を正しく再現できずに背景と文字情報や画像等とが判別しにくくなることがある。例えば、新聞紙や車検証をモノクローム(以下「モノクロ」という)コピーする場合、色相の違いが反映されずに新聞紙の地色や車検証の地模様が文字情報等と判別しにくい態様で表示されるという問題がある。
【0003】
この様な原稿の読取画像は、背景を除去した方が、文字情報等が見やすくなることが多い。従って、原稿に記載された文字情報等を残しつつ、原稿の地色や地模様等の背景を判別して除去することが望ましい。
【0004】
背景を原稿の文字情報等と区別する方法として、この様な背景と文字情報等との輝度の差を利用する方法がある。一般に、原稿の地色や地模様等の背景は、原稿に記載される文字情報等よりも輝度が高いため、適切な輝度の基準値を決定すれば、輝度の違いにより文字情報等と区別できる。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の画像処理装置では、輝度の高い方から数えて、原稿全体の80〜90%の画素を地色とみなして印刷対象とならない白色に変換している。また、特許文献2に記載の画像処理装置では、輝度ごとに画素数をカウントしたヒストグラムを作成し、このヒストグラムにおいて、原稿の地色に対応するピークを特定し、この地色のピークの輝度が除去の対象になるように基準値を決定し、この基準値よりも輝度の高い画素を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭64−006588
【特許文献2】特開2009−049650
【特許文献3】特開平07−303188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原稿によっては、記載された文字情報等と地色や地模様等の背景との輝度の差が小さいことがある。この様な原稿では、特許文献1に記載のように、輝度の高い方から数えて原稿全体の所定割合の画素を地色とみなして除去する場合、文字情報等が一部切れたり、地模様等が一部残ったりすることがあるという問題があった。
【0008】
また、背景を構成する画素の輝度分布にある程度の広がりがあれば、特許文献2に記載のように地色のピークの輝度が除去の対象になるように基準値を決定しても、地模様等が一部除去されずに残ってしまうことがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、原稿の地色や地模様等の背景を除去することのできる画像処理装置を提供することを目的とする。特に、原稿の文字情報や画像等を明確に表示しつつ、原稿の地色や地模様等の背景を除去できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明による画像処理装置は、入力画像について輝度レベルごとの画素数を求める輝度分布測定手段と、隣接する各輝度レベルに比べて画素数が多く、上記入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するピーク検出手段と、輝度が最も低い上記ピークの輝度レベルに基づいて、基準値を決定する基準値決定手段と、上記基準値以上の各画素の輝度を上げる背景除去手段とを備えるように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、輝度の最も低いピークに基づいて、背景除去の基準値が定められるので、原稿に用いられている文字情報や画像等の輝度の低い画素を残しつつ、輝度の高い原稿の地色や地模様等の背景を構成する画素を除去することができる。また、入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するので、ノイズ等がピークとして検出され、誤った基準値が決定されることを防止することができる。
【0012】
第2の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記基準値決定手段は、輝度の最も低い上記ピークの輝度レベルに対応する輝度範囲を超える輝度を基準値として決定するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、輝度の最も低いピークの輝度範囲を超える輝度を基準値とするので、当該ピークを構成する画素を除去することなく、背景除去を行うことができる。
【0014】
第3の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記基準値決定手段は、1つの上記ピークのみが検出された場合、輝度の低い順に画素数を数え、上記入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、上記基準値を決定するように構成される。
【0015】
この様な構成によれば、1つの上記ピークのみが検出された場合、入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、背景除去の基準値を決定するので、地色以外に顕著な輝度のピークがない場合でも画像の輝度分布に応じて基準値を定めることができる。また、地色が文字情報等のピークであると誤って判別され、地色を残すように基準値が決定されることがない。
【0016】
第4の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記背景除去手段は、上記基準値以上の各画素を最も高い輝度レベルの画素に変換するように構成される。
【0017】
このような構成によれば、背景を構成する画素を最も輝度レベルの高い画素に変換するので、背景除去後の画像が特に見やすくなる。
【0018】
第5の本発明による画像処理装置は、上記構成に加え、上記入力画像は、カラー画像として入力され、上記背景除去手段は、上記入力画像を構成する各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像に変換するように構成される。
【0019】
このような構成によれば、カラー画像をモノクロ画像に変換しつつ、背景を除去することができるので、例えば、モノクロ画像に変換する場合には、除去される方が望ましい背景等を除去することができ、利便性がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明による画像処理装置は、原稿の地色や地模様等の背景を除去することができる。特に、原稿の文字情報や画像等が薄く、原稿の地色や地模様等の背景との輝度の差が小さい場合であっても、原稿の文字情報や画像等を明確に表示し、背景を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1による画像処理装置の一例である複合機100を示した外観図である。
【図2】図1の複合機100の内部構成の一例を示したブロック図である。
【図3】図2の画像データ前処理部20の一構成例を示したブロック図である。
【図4】図2の基準値算出部30の一構成例を示したブロック図である。
【図5】画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。
【図6】画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。
【図7】図1の複合機100で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2による画像処理装置の構成例を示したブロック図であり、複合機200内の機能構成の一例が示されている。
【図9】図8のガンマ補正特性変更部40の一構成例を示したブロック図である。
【図10】ガンマ補正曲線f1又はf2が選択された場合の画素の輝度の補正、及び、ガンマ補正曲線の選択方法を説明する説明図である。
【図11】図8の複合機200で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による画像処理装置の一例である複合機100を示した外観図である。複合機100は、本体1及びスキャナ部2から構成される。
【0023】
複合機100は、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)であり、これらの機能を選択的に実行させることができる。プリンタ機能は、画像データを用紙に印刷する機能である。スキャナ機能は、原稿を読み取って画像データを生成する機能である。ファクシミリ機能は、画像データを送受信する機能であり、例えば、原稿から読み取られた画像データが公衆電話送信網を介して他の通信装置へ送信される。
【0024】
本体1は、プリンタ機能を有しており、用紙に印刷を行うことができる。また、本体1には、通信回線を介して画像データを伝送するための送受信部等が備えられており、ユーザは、この送受信部によりファクシミリ通信を行うことができる。
【0025】
スキャナ部2は、スキャナ機能を有し、ADF(オートドキュメントフィーダ)3、原稿トレイ4を備えている。ユーザは、原稿トレイ4に原稿を載置し、ADF3によりADF方式の原稿読取を行うことができる。また、ユーザは、図示しないコンタクトガラスに原稿を載置し、フラットベッド方式の原稿読取を行うこともできる。
【0026】
図2は、図1の複合機100の内部構成の一例を示したブロック図である。複合機100は、イメージセンサ10、画像データ前処理部20、基準値算出部30及び背景除去部31により構成される。イメージセンサ10は、ADF方式又はフラットベッド方式により、原稿を光学的に読み取り、電気信号に変換するラインセンサである。イメージセンサ10は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などの受光素子を直線状に配置させた受光素子アレイを備え、受光量(輝度)を示すアナログ信号、例えば、電圧信号をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色ごとに生成する動作を行っている。
【0027】
画像データ前処理部20は、イメージセンサ10により読み取られたアナログ信号をカラーのデジタル画像に変換し、イメージセンサ10の光学特性による誤差等を補正するデータ修正手段であり、例えば、シェーディング補正、ガンマ補正及びラインずれ補正を行う。基準値算出部30は、画像データ前処理部20により補正されたデジタル画像の背景除去を行うための基準値を算出する。ここで、背景除去とは、原稿の地色や地模様等の背景を構成する画素の輝度を上げ、印刷対象とならない白の画素に変換することである。
【0028】
背景除去部31は、画像データ前処理部20により補正された画像から、背景除去を行うと共に、各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像を生成する。この時、基準値算出部30が算出した基準値以上に輝度の高い画素の輝度を上げ、印刷対象とならない白の画素に変換する。
【0029】
図3は、図2の画像データ前処理部20の一構成例を示したブロック図である。画像データ前処理部20は、AFE201、A/Dコンバータ202、シェーディング補正部203、ガンマ補正部204、ラインずれ補正部205及び色空間変換部206により構成される。AFE(Analog Front End:アナログフロントエンド)201は、イメージセンサ10から入力されたアナログ信号の電圧レベルを調整するアンプである。
【0030】
A/Dコンバータ202は、AFE201から入力されたアナログ信号を所定のサンプリングレートでサンプリングし、デジタルデータを生成する変換素子である。例えば、8ビット(256階調)のビットデータからなる輝度データが、R,G,Bの各色ごとに生成される。
【0031】
シェーディング補正部203は、イメージセンサ10による画素ごとの受光量の基準を揃えるために、輝度データの補正処理を行うデジタル処理回路である。例えば、CCDイメージセンサの場合、同じ光量を受信した場合であっても、画像の端部の受信レベルは低いのに対し、画像の中央部の受信レベルは高くなる。シェーディング補正部203は、この様なイメージセンサ10の特性による受信レベルの偏りを補正し、同じ光量を受信した場合には、受信レベルが一定になるように受信レベルを補正している。ガンマ補正部204は、シェーディング補正後の輝度データをガンマ補正用の変換テーブルに基づいて変換し、出力用の輝度データとして出力するデジタル処理回路である。
【0032】
ラインずれ補正部205は、ガンマ補正部204から入力されるR,G,Bの輝度データについて、R,G,Bの各受光素子の位置のずれに由来する各輝度データの原稿との対応位置のずれを補正するデジタル処理回路である。R,G,Bの各受光素子は、イメージセンサ10のわずかにずれた位置にそれぞれ配置されるため、原稿の同じ位置の読取はR,G,Bでそれぞれわずかに時間差を設けて行われる。ラインずれ補正部205は、R,G,Bの各受光素子で原稿の同じ位置を読み取ったデータ同士が合成されるように上記の時間差を補正する。
【0033】
色空間変換部206は、ガンマ補正部204から入力されるR,G,Bの輝度データについて、色空間を変換してカラー画像データを出力するデジタル処理回路である。具体的には、RGB色空間を輝度及び色相からなる色空間、例えば、YCbCr表色系に変換する処理が行われる。YCbCr表色系は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データなどに用いられる表色系であり、Yが輝度データを示し、CbCrが色度データをそれぞれ示している。この色度データCbCrでは、Cbが青の差分(色相成分)、Crが赤の差分(色相成分)をそれぞれ示している。この色空間変換部206により、ピクセルごとの輝度データ及び色度データからなるカラー画像データが生成される。
【0034】
上記のシェーディング補正、ガンマ補正、ラインずれ補正等は、イメージセンサ10の特性を補正するものであり、基準値算出部30が、イメージセンサ10の特性に影響されずに、背景除去のための正確な基準値を算出することを考慮し、基準値の算出前に上記の補正を行っている。色空間変換部206によるYCbCr表色系への色空間の変換は、R,G,Bの輝度データを合成した輝度データを得るために行っている。
【0035】
図4は、図2の基準値算出部30の一構成例を示したブロック図である。基準値算出部30は、輝度分布測定部301、地色判別部302、ピーク検出部303、累積画素数カウント部304及び基準値決定部305から構成される。
【0036】
輝度分布測定部301は、輝度を所定数の段階に分けた輝度レベルを設け、画像データ前処理部20から入力されるカラー画像データを構成する各画素を輝度に応じた輝度レベルに分け、各輝度レベルごとの画素数を求める。
【0037】
図5及び図6は、画像データの各画素を輝度に応じて、0からFまで16段階の輝度レベルに分けた例を示すヒストグラムである。縦軸に各輝度レベルの画素数、横軸に輝度を示す。輝度が高いほど白に近くなり、輝度が低いほど黒に近くなる。図5は、ピークを2つ有するヒストグラムの例であり、図6は、1つのピークのみを有するヒストグラムの例である。
【0038】
地色判別部302は、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、地色の輝度レベルを判別する。地色判別部302は、輝度の最も高いピークを地色であると判別する。ピークとは、隣接する各輝度レベルよりも画素数が多く、当該輝度レベルの画素数が原稿全体において一定の割合以上であることを指す。地色に対応する輝度レベルは、画素数が最も多く、ピークの中で輝度が最も高い。このため、地色判別部302は、輝度が最も高いピークを地色であると判別する。
【0039】
図5のヒストグラムの例で言えば、輝度レベル「D」は、輝度の一段階低い輝度レベル「C」、及び、輝度の一段階高い輝度レベル「E」よりも画素数が多く、画素数が一定割合以上を占めるのでピークと判別される。更に、輝度レベル「D」は、輝度が高い側からみた最初のピークであり、地色判別部302により地色であると判別される。原稿の地色は通常、原稿の大半を占めるため、最も画素数の多い輝度レベルとなる。このため、地色判別部302は、最も画素数の多い輝度レベルを地色であると判別する構成であってもよい。また、輝度レベル「F」及び「0」では、隣接する輝度レベルがそれぞれ「E」、「1」のみなので、それぞれ輝度レベル「E」、「1」よりも画素数が多ければ、隣接する各輝度レベルよりも画素数が多いと判別される。
【0040】
ピーク検出部303は、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、原稿における各ピークを検出する。また、ピーク検出部303は、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。このピークは、地色の場合と同様に、両隣の輝度レベルよりも画素数が多く、当該画素数が原稿全体において一定の割合以上であることを指す。ただし、文字情報等のピークは地色に比べて原稿に占める割合が小さいので、原稿に占める割合は、地色のピークほど大きくなくてよい。例えば、原稿全体の1%を超える画素数があればよい。また、地色判別部302により地色であると判別されたものは、ピーク検出部による文字情報等のピークの判別において、判別対象から除外される。ピーク検出部303は、条件を満たすピークがない場合は、文字情報等に該当するピークがないと判別する。
【0041】
図5のヒストグラムの例で言えば、輝度レベル「2」は、輝度の一段階低い輝度レベル「1」、及び、輝度の一段階高い輝度レベル「3」よりも画素数が多く、画素数が一定割合以上を占める。このため、輝度レベル「2」は、輝度レベルが低い側から見た最初のピークとなり、ピーク検出部303により、文字情報等に対応するピークとして判別される。
【0042】
累積画素数カウント部304は、ピーク検出部303が、文字情報等に該当するピークがないと判別した場合に、輝度分布測定部301が測定した輝度分布に基づいて、輝度の低い順に画素数を数え、最初に画素数の合計が原稿全体の所定割合を超えたときの輝度レベルを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。従って、地色以外にピークがない場合は、輝度の低いものから累積された画素数により、文字情報等に対応する輝度レベルが判別される。
【0043】
図6のヒストグラムの例で言えば、輝度が低い側から画素数を累積していき、輝度レベル「8」及び「9」の画素数を合計すると、基準である原稿全体の2%を超えるため、累積画素数カウント部304は、合計が基準を超える時点での輝度レベルである輝度レベル「9」が原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する。
【0044】
基準値決定部305は、ピーク検出部303又は累積画素数カウント部304により原稿に記載された文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度レベルに基づいて、輝度レベルが最も高い画素に変換される輝度の基準値を決定する。基準値決定部305は、文字情報等に対応すると判別される輝度レベルの輝度範囲を超える輝度を基準値として決定する。具体的には、文字情報又は画像等に対応すると判別された輝度レベルの上限値に対し、所定の輝度を加算した値を基準値とする。例えば、図5のヒストグラムでは、輝度レベル「2」が文字情報等に対応する輝度であると判別され、基準値決定部305は、この輝度に所定の輝度を加算した輝度レベル「4」の輝度の上限値を背景除去のための基準値として決定する。また、図6のヒストグラムでは、輝度レベル「9」が文字情報等に対応する輝度であると判別され、基準値決定部305は、この輝度に所定の輝度を加算した輝度レベル「B」の輝度の上限値を背景除去のための基準値として決定する。基準値決定部305は、決定した基準値を背景除去部31へ出力する。
【0045】
この様に、基準値決定部305は、輝度レベルが最も低いピークにより背景除去の基準値を決定する。通常、輝度レベルが最も低いピークには、原稿に記載された文字情報又は画像等が該当するので、原稿に記載された文字情報等の輝度により背景除去の基準値が決定されることになる。このため、例えば、単一色又は輝度の近い複数色で印刷された原稿のように、記載された文字情報や画像等のピークが明確な原稿の場合、当該文字情報等の輝度に応じた背景除去の基準値を決定することができるので、原稿の文字情報等を除去することなく、原稿の地色や地模様等をきれいに除去することができる。例えば、新聞等の背景除去に好適である。また、地模様等を有する原稿で、地色のピークが複数あるか不明確であることにより、地色のピークから背景除去の基準値を決定しても地色や地模様等をきれいに除去することが難しい原稿、例えば、車検証等の背景除去においても顕著な効果がある。
【0046】
図7のステップS101〜S106は、図1の複合機100で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。まず、輝度分布測定部301が、原稿画像の輝度レベルごとの画素数を計測する(ステップS101)。
【0047】
次に、地色判別部302が、輝度が最も高いピークを地色のピークであると判別し(ステップS102)、更に、ピーク検出部303が、地色のピーク以外の最も輝度の低いピークを判別する(ステップS103)。地色のピーク以外のピークがない場合、累積画素数カウント部304が、輝度の低いものから画素数を累積してカウントしていき、画素数の合計が原稿全体の所定割合を超えたときの輝度レベルを原稿に記載された文字情報又は画像等に対応する輝度であると判別する(ステップS104)。
【0048】
基準値決定部305は、ステップS103又はS104において判別された輝度レベルの上限値に、所定の値を加えたものを原稿画像の背景除去のための基準値として決定する(ステップS105)。基準値が決定すれば、背景除去部31が、基準値検定部305の決定した基準値よりも輝度が高い画素の輝度を上げ、最も高い輝度レベルの白色に変換することにより背景を除去する。ステップS103において、ピーク検出部303は、地色以外のピークがある場合、輝度レベルの最も低いピークを原稿に記載された文字情報又は画像等の輝度に対応するピークであると判別し、ステップ105の処理に移る。
【0049】
本実施の形態により、原稿に記載された文字情報や画像等の輝度に応じて、背景除去のための基準値が決定されるので、原稿の文字情報や画像等と比較して輝度の高い地模様や地色等を除去することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、色空間変換部206が、RGB色空間をYCbCr表色系に変換する構成について説明した。しかし、本発明は、RGB色空間をYCbCr表色系に変換する構成に限定されない。例えば、YCbCr表色系に変換するのに代えて、均等色空間の1つであるLab表色系に変換するものであってもよい。Lab表色系では、Lが輝度データを示し、a,bが色度データをそれぞれ示している。この色度データa,bでは、a及びbがそれぞれ色相成分を示している。なお、Lab表色系におけるL成分は、通常、明度と呼ばれる。本明細書中における輝度データには、Lab表色系のL成分データ、すなわち、明度データが含まれるものとする。
【0051】
また、本実施の形態では、原稿の画像をイメージセンサ10で読み取る構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、カラー又はモノクロの画像ファイルから背景除去を行ったモノクロ画像ファイルを生成することもできる。
【0052】
また、本実施の形態では、地色判別部302が輝度の最も高いピークを地色であると判別する構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、ピークが一つしかない場合、地色判別部302がこのピークを地色であると判別する構成であってもよい。この場合、このピークはピーク検出部303による判別対象から除外され、ピーク検出部は、文字情報等に該当するピークがないと判別する。
【0053】
実施の形態2.
本発明の実施の形態1では、カラー画像から白から黒までの明暗で表現されたモノクロ画像を生成する際に、原稿の各画素の輝度と背景除去の基準値とを比較することにより、基準値よりも輝度の高い画素を除去する構成について説明した。これに対し、実施の形態2では、2度目のガンマ補正によって、各画素の輝度を基準値からみた相対的な輝度に応じた値に変更し、変更後の各画素の輝度と原稿によらず一定の閾値thとを比較することにより原稿の背景除去を行う構成について説明する。
【0054】
図8は、本発明の実施の形態2による画像処理装置の構成例を示したブロック図であり、複合機200内の機能構成の一例が示されている。複合機200は、イメージセンサ10、画像データ前処理部20、ガンマ補正特性変更部40、ガンマ補正部42及び背景除去部43により構成される。複合機100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ガンマ補正特性変更部40、ガンマ補正部42及び背景除去部43について説明する。
【0055】
ガンマ補正特性変更部40は画像データ前処理部20により補正されたデジタル画像の各画素の輝度を変更させるガンマ補正曲線を選択する。本実施の形態の複合機200では、背景除去に用いられる閾値thは原稿によらず一定であり、原稿の地色や地模様等の除去したい画素の輝度が背景除去の閾値thよりも高くなるように原稿の各画素の輝度を変更させるガンマ補正を行う。このため、ガンマ補正特性変更部40は、この様なガンマ補正を可能にするガンマ補正曲線を選択する。
【0056】
ガンマ補正部42は、ガンマ補正特性変更部40の選択したガンマ補正曲線により、画像データ前処理部20によって補正されたデジタル画像の2度目のガンマ補正を行う。
【0057】
背景除去部43は、ガンマ補正部42により2度目のガンマ補正が行われたデジタル画像の背景除去を行い、画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像を生成する。背景除去部43は、図2の背景除去部31と異なり、基準値決定部305により決定される基準値ではなく、一定の閾値thと各画素の輝度とを比較し、閾値thより高い輝度を有する画素を最も高い輝度レベルの白色に変換する。ガンマ補正部42によるガンマ補正を行った後に原稿の背景除去を行うことで、実質的に、背景除去に用いられる閾値thを原稿の輝度分布に応じて変更させる場合と同じ効果を得ることができる。
【0058】
図9は、図8のガンマ補正特性変更部40の一構成例を示したブロック図である。ガンマ補正特性変更部40は、輝度分布測定部301、地色判別部302、ピーク検出部303、累積画素数カウント部304、基準値決定部305及びガンマ補正曲線変更部401により構成される。図4の基準値算出部30と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、ガンマ補正曲線変更部401について説明する。
【0059】
ガンマ補正曲線変更部401は、ガンマ補正曲線の選択を行う。この選択は、ガンマ補正において、基準値決定部305が決定した基準値よりも輝度が高ければ背景除去に用いられる閾値thよりも輝度が高くなるように、原稿全体の画素の輝度を変更するガンマ補正曲線を選択する。この時、選択されたガンマ補正曲線によって、この基準値よりも輝度が低い画素は背景除去に用いられる閾値よりも輝度が低くなるように輝度が変更される。
【0060】
図10は、ガンマ補正曲線f1又はf2が選択された場合の画素の輝度の補正、及び、ガンマ補正曲線の選択方法を説明する説明図である。図10のガンマ補正曲線の説明図を用いてガンマ補正曲線変更部401によるガンマ補正曲線の選択方法を説明する。例えば、図10において、入力輝度aの画素にガンマ補正を行う場合を考える。ガンマ補正曲線f1が選択された場合、入力輝度aの画素は、ガンマ補正により、入力輝度aに対応するガンマ補正曲線f1上の点Pの縦軸上の位置である出力輝度b1に輝度が変更される。図10に示すように、出力輝度b1は、背景除去の閾値thよりも輝度が高いので、背景除去により輝度レベルの最も高い白色の画素に変換される。
【0061】
一方、ガンマ補正曲線f2が選択された場合、輝度aの画素は、入力輝度aに対応するガンマ補正曲線f2上の点Qの縦軸上の位置である出力輝度b2に輝度が変更される。図10に示すように、出力輝度b2は、背景除去の閾値thよりも輝度が低いので、背景除去により除去されることはない。
【0062】
ガンマ補正曲線変更部401は、基準値決定部305に決定された基準値が、ガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する。例えば、基準値が輝度cの場合、ガンマ補正曲線変更部401は、図10に示すように、入力輝度がc、出力輝度が背景除去の閾値thの点Rを通るガンマ補正曲線f3を選択する。
【0063】
ガンマ補正曲線は、傾斜が急に設定されており、特に、背景除去の閾値th近傍では、入力輝度がわずかに異なるだけで出力輝度が大幅に変化する。このため、入力輝度が基準値よりもわずかに低ければ、出力輝度は背景除去の閾値thよりも大幅に低くなり、黒に近い濃い色で明確に表示される。従って、原稿に記載された文字等が薄い場合であっても、当該文字等を黒に近い濃い色で明確に表示しつつ、原稿の地色や地模様を除去することができる。
【0064】
上記のように、ガンマ補正曲線変更部401が、基準値決定部305によって決定された基準値がガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する。このため、基準値よりも輝度の高い画素は、最も高い輝度レベルの白色に変換されるが、基準値よりも輝度の低い画素はこの様な変換が行われない点は、第1の実施の形態と同様である。
【0065】
図11のステップS201〜S207は、図8の複合機200で原稿画像の背景除去処理の一例を示したフローチャートである。ステップS201〜S205は、図7のステップS101〜S105と同一であるため、説明を省略し、ステップS206〜S207について説明する。
【0066】
ステップS206において、ガンマ補正により、基準値より高い輝度を有する画素が、背景除去の閾値thより高い輝度を有するように原稿の各画素の輝度が変更される。ステップS207において、閾値thより高い輝度を有する画素が最も高い輝度レベルの白色に変換される背景除去が行われ、画素を輝度に応じて白から黒までの明暗で表現するモノクロ画像が生成される。
【0067】
なお、本実施の形態では、ガンマ補正曲線変更部401が、基準値決定部305によって決定された基準値がガンマ補正により背景除去の閾値thに補正されるようなガンマ曲線を選択する構成について説明したが、基準値が閾値thに補正される必要はなく、基準値が閾値thに近い値に補正される構成であればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 本体
2 スキャナ部
3 ADF(オートドキュメントフィーダ)
4 原稿トレイ
10 イメージセンサ
20 画像データ前処理部
30 基準値算出部
31 背景除去部
40 ガンマ補正特性変更部
42 ガンマ補正部
43 背景除去部
100 複合機
200 複合機
201 AFE
202 A/Dコンバータ
203 シェーディング補正部
204 ガンマ補正部
205 ラインずれ補正部
206 色空間変換部
301 輝度分布測定部
302 地色判別部
303 ピーク検出部
304 累積画素数カウント部
305 基準値決定部
401 ガンマ補正曲線変更部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像について輝度レベルごとの画素数を求める輝度分布測定手段と、
隣接する各輝度レベルに比べて画素数が多く、上記入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するピーク検出手段と、
輝度が最も低い上記ピークの輝度レベルに基づいて、基準値を決定する基準値決定手段と、
上記基準値以上の各画素の輝度を上げる背景除去手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記基準値決定手段は、輝度の最も低い上記ピークの輝度レベルに対応する輝度範囲を超える輝度を基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記基準値決定手段は、1つの上記ピークのみが検出された場合、輝度の低い順に画素数を数え、上記入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、上記基準値を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記背景除去手段は、上記基準値以上の各画素を最も高い輝度レベルの画素に変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記入力画像は、カラー画像として入力され、
上記背景除去手段は、上記入力画像を構成する各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像に変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項1】
入力画像について輝度レベルごとの画素数を求める輝度分布測定手段と、
隣接する各輝度レベルに比べて画素数が多く、上記入力画像全体に占める画素数の割合が一定値以上の輝度レベルをピークとして検出するピーク検出手段と、
輝度が最も低い上記ピークの輝度レベルに基づいて、基準値を決定する基準値決定手段と、
上記基準値以上の各画素の輝度を上げる背景除去手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記基準値決定手段は、輝度の最も低い上記ピークの輝度レベルに対応する輝度範囲を超える輝度を基準値として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記基準値決定手段は、1つの上記ピークのみが検出された場合、輝度の低い順に画素数を数え、上記入力画像の全体に占める画素数の割合が一定値以上となる輝度に基づいて、上記基準値を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記背景除去手段は、上記基準値以上の各画素を最も高い輝度レベルの画素に変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記入力画像は、カラー画像として入力され、
上記背景除去手段は、上記入力画像を構成する各画素を輝度に応じて、白から黒までの明暗で表現したモノクロ画像に変換することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−55304(P2011−55304A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203113(P2009−203113)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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