説明

画像処理装置

【課題】ジャムした原稿をセットし直す場合に、記憶される読取データの画像の向きが読み取りの中断前に得られた画像に対する向きの変化を把握する技術を提供する。
【解決手段】複合機は、読み取りの再開後に取得された再開後の画像が、読み取りの中断前に取得された中断前の画像と一致するかを判定し、一致すると判定された場合に、再開後の画像の中断前の画像に対する回転角度を取得し、読み取り再開後の画像の読み取り中断前の画像に対する向きの変化を把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って得られる読取データを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスキャナ機能を備えた複合機などにおいて、自動原稿供給装置(以下、ADFという)にセットされた原稿を一枚ずつ送り出してイメージスキャナで読み取り、得られた読取データを装置内の記憶部などに記憶させるものが知られている。こうした装置において、原稿の読み取り中にジャムが発生して読み取りが中断された場合には、ユーザがジャムした原稿を取り出し、その原稿を未だ読み取りの行われていない他の原稿とともにADFにセットし直し、読み取りを再開させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−217967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザがジャムした原稿をセットし直す際には、原稿の天地などの向きを誤ることがある。そのような状態で読み取りが行われた場合、従来の技術では、記憶される読取データの画像の向きが読み取りの中断前と再開後とで異なるなどの不都合が生じていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、読み取り再開後に得られた画像の読み取り中断前に得られた画像に対する向きの変化を把握する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像処理装置は、自動原稿供給装置によって供給される原稿をページ毎に読み取る読取部から読取データを取得して記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記読取部において前記原稿の読み取りが中断された後で再開された場合に、読み取りの再開後に取得された読取データに含まれる再開後の画像が、読み取りの中断前に取得された読取データに含まれる中断前の画像と一致するか否かを判定する一致判定部と、前記一致判定部によって前記再開後の画像が前記中断前の画像に対して一致すると判定された場合に、前記再開後の画像の前記中断前の画像に対する回転角度を取得する角度取得部と、を備える。
【0007】
また、上記画像処理装置は、前記記憶制御部が、前記再開後の画像が前記中断前の画像と一致すると判定された場合に、前記再開後の画像及び前記中断前の画像のうち一方の画像を前記回転角度だけ回転することによって他方の画像と向きを一致させた状態で記憶させる構成としてもよい。
【0008】
また、上記画像処理装置は、前記一致判定部が、前記読み取りの中断時に前記原稿の1つのページの途中まで読み取られた読み取り途中の画像が存在する場合に、前記読み取り途中の画像を前記中断前の画像として、前記再開後の画像が前記読み取り途中の画像に対して一致するか否かを判定する構成としてもよい。
【0009】
また、上記画像処理装置は、前記一致判定部が、前記読み取り途中の画像のデータ量が、所定の閾値以上のときに前記読み取り途中の画像に基づいて判定し、前記所定の閾値未満のときに前記読み取り途中の画像より前に読み取られた画像に基づいて判定する構成としてもよい。
【0010】
また、上記画像処理装置は、前記読み取り途中の画像のデータ量が前記所定の閾値未満の場合に、前記読み取り途中の画像が読み取られた原稿よりも前に読み取られた原稿の読み取りを行う旨をユーザに通知する第1通知部を備える構成としてもよい。
【0011】
また、上記画像処理装置は、前記記憶制御部が、前記一致判定部によって前記再開後の画像が前記中断後の画像と一致すると判定された場合に、前記一致すると判定された画像のうち一方の画像のみを前記記憶部に記憶させる構成としてもよい。
【0012】
また、上記画像処理装置は、前記読取部が、前記原稿の表裏を読み取った一対の画像を一定の順序で前記読取データとして出力するものであって、前記一致判定部は、前記読み取りの再開後に前記原稿の表を読み取った画像及び裏を読み取った画像の少なくとも一方が、前記読み取りの中断前に前記原稿の表を読み取った画像及び前記原稿の裏を読み取った画像の少なくとも一方と一致するか否かを判定し、前記記憶制御部は、前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の表裏が同じ場合に、前記再開後の画像と前記中断前の画像とをページ順序を変更せずに記憶させ、前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の表裏が異なる場合に、前記中断前の画像をページ順序を変更せずに記憶させ、前記再開後の画像をページ順序を逆にして記憶させる構成としてもよい。
【0013】
また、上記画像処理装置は、前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の向きが異なる場合に、前記原稿の向きが異なる旨をユーザに通知する第2通知部を備える構成としてもよい。
【0014】
また、上記画像処理装置は、前記一致判定部が、前記再開後の画像が前記中断前の画像に対して前記読み取り時の向きで一致するかを判定し、一致しない場合に前記再開後の画像及び前記中断前の画像のうち一方を前記読み取り時の向きに対して180度回転させて一致するかを判定し、一致しない場合に前記読み取り時の向きに直交する2つの角度のうち一方の角度に回転させて一致するかを判定し、一致しない場合に前記2つの角度のうち他方の角度に回転させて一致するかを判定する構成としてもよい。
【0015】
なお、この発明は、読取装置、読取装置と接続される端末装置、これらの装置を備える画像処理システム、画像処理方法、これらの装置やシステムの機能または方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像処理装置は、読み取りの再開後に取得された再開後の画像が、読み取りの中断前に取得された中断前の画像と一致するかを判定し、一致すると判定された場合に再開後の画像の中断前の画像に対する回転角度を取得する。これにより、読み取り再開後の画像の読み取り中断前の画像に対する向きの変化を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1〜3における複合機の電気的構成を示すブロック図
【図2】実施形態1〜4における読取部の概略構成を示す断面図
【図3】実施形態1におけるADF原稿読取処理のフローチャート
【図4】実施形態1におけるジャム処理のフローチャート
【図5】実施形態1におけるページ判定処理のフローチャート
【図6】実施形態1におけるジャムページ判定処理のフローチャート
【図7】実施形態1における重複ページ判定処理のフローチャート
【図8】実施形態2におけるページ判定処理のフローチャート
【図9】実施形態3における複合機の電気的構成を示すブロック図
【図10】実施形態3におけるADF原稿読取処理のフローチャート
【図11】実施形態3におけるジャム処理のフローチャート
【図12】実施形態3におけるページ判定処理のフローチャート
【図13】実施形態3におけるジャムページ判定処理のフローチャート
【図14】実施形態3における重複ページ判定処理のフローチャート
【図15】他の実施形態における端末装置の電気的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図7を参照して説明する。
本実施形態では、本発明の画像処理装置をスキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能等を備えた複合機10に適用する例を示す。
【0019】
(複合機の構成)
図1は、複合機10の電気的構成を示すブロック図である。
複合機10は、同図に示すように、制御部11、読取部12、印刷部13、操作部14、表示部15、HDD(ハードディスクドライブ)16、ネットワークインターフェース17を備えている。
【0020】
制御部11は、特定用途向け集積回路(ASIC)などにより構成されており、CPU21、ROM22、RAM23などを有している。ROM22は、後述するADF原稿読取処理など、複合機10の各種動作を実行するための制御プログラムを記憶している。CPU21(一致判定部、角度判定部の一例)は、ROM22から読み出したプログラムに従って各部の動作を制御する。RAM23(記憶部の一例)は、CPU21の作業領域として用いられる揮発性のメモリである。
【0021】
読取部12は、後述するように原稿30を読み取って読取データを制御部11に出力する。印刷部13は、インクやトナー等を用いて用紙等のシート(図示せず)に画像を印刷する。操作部14は、複数のボタンを備え、ユーザによる各種の指示の入力を受け付ける。表示部15(第1通知部、第2通知部の一例)は、ディスプレイやランプ等を備え、各種のメッセージや設定画面等を表示する。HDD16は、原稿30の読み取りによって得られる読取データなどを記憶する不揮発性のメモリである。ネットワークインターフェース17は、LANなどの通信回線に接続され、その通信回線上に接続された端末装置(図示せず)等との間で通信を行う。
【0022】
(読取部の構成)
図2は、読取部12の概略構成を示す断面図である。
読取部12は、原稿30を光学的に読み取るCIS(Contact Image Sensor)などのイメージセンサ31と、イメージセンサ31の読取位置Pに原稿30を搬送するADF(自動原稿供給装置)32とを備えている。
【0023】
複合機10が有する筐体34の上面には一対のプラテンガラス35,36が設けられており、それらの下方にイメージセンサ31が配置されている。ADF32は、筐体34の上部に取り付けられており、プラテンガラス35,36の上方を覆う閉姿勢とプラテンガラス35,36の上方を開放する開姿勢とに回動可能である。
【0024】
ADF32は、イメージセンサ31に読み取らせる複数の原稿30を積載可能な原稿トレイ38と、読み取り後の原稿30を積載する排出トレイ39とを備え、さらに原稿30を搬送するための機構として、ピックアップローラ41、分離ローラ42、搬送ローラ43,44,45、排出ローラ46、フラッパ47等を備えている。
【0025】
原稿トレイ38に積載される原稿30は、ピックアップローラ41、分離ローラ42によって一枚ずつ取り込まれ、搬送ローラ43,44によってプラテンガラス35上の読取位置Pに搬送される。イメージセンサ31は、読取位置Pの原稿30を主走査方向(図2の紙面直交方向)に1ラインずつ読み取り、読取データを出力する。
【0026】
なお、本複合機10は、原稿30を読み取る際の読取方式として、片面読み取りと両面読み取りとの2種類を選択的に行うことができる。片面読み取りの際には、読取位置Pにて片面を読み取られた後の原稿30が搬送ローラ45、排出ローラ46によって、表面を下にした状態で排出トレイ39上に排出される。
【0027】
両面読み取りの際には、読取位置Pにて表面を読み取られた後の原稿30の後端が搬送ローラ45を超えた後に、フラッパ47が上昇し、搬送ローラ45と排出ローラ46が逆回転することによって、その原稿30が後端側から反転路49に送られる。なお、反転路49は、原稿30の搬送路(図2に一転鎖線で示す)のうち、排出ローラ46から搬送ローラ44の上流側に至る部分である。そして、その原稿30は、搬送ローラ44によって表裏を反転した状態で再び読取位置Pに送られ、イメージセンサ31によって裏面を読み取られる。なお、原稿30が原稿トレイ38に載置されたときに上側になる面が表面になり、下側になる面が裏面になる。
【0028】
こうして裏面が読み取られた後、原稿30は、搬送ローラ45、排出ローラ46の反転によってもう一度反転路49に送られ、読み取りを行わずに読取位置Pを通過して搬送ローラ45、排出ローラ46によって排出トレイ39上に排出される。これにより原稿30が表面を下にした状態で排出トレイ39上に積載されるため、原稿30のページ順を揃えることができる。
【0029】
また、原稿トレイ38には、原稿30の有無を検知し、その有無に応じた検知信号を出力するトレイセンサ50が設けられている。さらに、ADF32内には、原稿30の搬送路上における複数箇所に、原稿30の有無を検知し、その有無に応じた検知信号を出力する原稿位置センサ51が設けられている。トレイセンサ50及び原稿位置センサ51としては、光学式のセンサや、アクチュエータを用いた接触式のセンサを用いることができる。
【0030】
(ADF原稿読取処理)
次にADF32から供給される原稿30を読み取るADF原稿読取処理の動作について説明する。図3は、ADF原稿読取処理のフローチャートである。
【0031】
このADF原稿読取処理は、ユーザが原稿トレイ38に原稿30をセットし、操作部14から読取開始の指示を入力することにより開始される。なお、ユーザは、読取開始の指示を入力する際に、操作部14を用いて読取方式や、読取データの保存先、ファイル形式など各種の条件を設定することができる。なお、本実施形態では、読取方式として片面読み取りが設定されている場合について説明する。
【0032】
CPU21は、図3のADF原稿読取処理において、まずADF32により原稿トレイ38から原稿30を1ライン分送り出す(S101)。続いて、原稿30のジャムが発生したか否かを判断する(S102)。
【0033】
なお、CPU21は、原稿30の搬送中に各原稿位置センサ51のオン・オフが切り替わるタイミングに基づいて原稿30の位置を検出する。そして、いずれかの原稿位置センサ51において、原稿30が到達するタイミングになっても原稿30が検知されない場合や、あるいは、原稿30が通過するタイミングになっても原稿30が検知されたままの場合には、ジャムが発生したと判断する。
【0034】
CPU21は、ジャムの発生が検知されない場合(S102:NO)には、原稿30が読取位置Pにあるかを前述の各原稿位置センサ51のオフ・オンが切り替わってからの経過時間に基づいて判断する(S103)。そして、読取位置Pにない場合(S103:NO)には、S101に戻り、原稿30の搬送を続ける。原稿30が読取位置Pにある場合(S103:YES)には、イメージセンサ31によって原稿30を1ライン分読み取る(S104)。そして、RAM23上に設けられたページメモリ23Aに読取部12から出力される1ライン分の読取データを保存する(S105)。
【0035】
なお、CPU21は、ADF原稿読取処理を実行する際に、図1に示すように、RAM23上にページメモリ23A、ジャムページメモリ23B、本体メモリ23Cを確保し、それぞれ読取データを記憶するための領域として用いる。
【0036】
続いてCPU21は、原稿30の1ページ分の読み取りが完了したかを判断し(S106)、完了していない場合(S106:NO)には、S101に戻り、原稿30の搬送を続ける。1ページ分の読み取りが完了した場合(S106:YES)には、ジャムが発生した後であるかを判断する(S107)。ここでは、このADF原稿読取処理の開始後に、S102にてジャムが発生したとの判断が1度でもなされている場合には、ジャムが発生した後であると判断し、そうでない場合にはジャムが発生した後ではないと判断する。
【0037】
CPU21は、ジャム発生後でない場合(S107:NO)には、ページメモリ23Aに記憶される1ページ分の読取データを本体メモリ23Cにコピーする(S108)。そして、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S109)、続いて全ての原稿30の読み取りが完了したかを判断する(S110)。ここで、トレイセンサ50によって原稿トレイ38の原稿30が検知される場合には、全ての原稿30の読み取りが完了していないと判断し(S110:NO)、S101に戻って次の原稿30を搬送する。
【0038】
また、トレイセンサ50によって原稿トレイ38の原稿30が検知されない場合には、全ての原稿30の読み取りが完了したと判断し(S110:YES)、本体メモリ23Cの読取データを設定されたファイル形式に変換した後、設定された保存先に保存し(S111)、このADF原稿読取処理を終了する。なお、読取データを保存するファイル形式としては、PDF、JPEG、TIFF等を用いることができる。また、読取データの保存先としては、HDD16や、ネットワークインターフェース17に接続された端末装置が有する記憶装置(図示せず)等を設定することができる。
【0039】
また、CPU21は、S102にてジャムが発生した場合(S102:YES)には、ジャム処理を実行する(S112)。図4は、ジャム処理のフローチャートである。
【0040】
CPU21は、図4のジャム処理を開始すると、まずADF32による原稿30の搬送を停止する(S201)。そしてページメモリ23Aにデータ量が所定の閾値以上の読取データが記憶されているかを判断する(S202)。この閾値は、ページメモリ23Aに記憶されているジャム時に読み取り途中であったページ(以下、ジャムページという)の読取データが、後述するジャムページ判定を行うために十分な量かを判断するための基準値である。データ量としては、読取データのデータサイズやライン数などを用いることができ、例えば閾値を1ページの2分の1に相当するライン数に設定することができる。
【0041】
CPU21は、ページメモリ23Aに上記閾値以上の読取データが記憶されている場合(S202:YES)には、その読取データをRAM23上のジャムページメモリ23Bにコピーする(S203)。続いて、原稿30のジャムが生じた旨をユーザに通知するメッセージを表示部15に表示させる(S204)。ここでは、ジャムした原稿30をADF32から取り出すようユーザに促すメッセージや、取り出した原稿30を原稿トレイ38にセットするように促すメッセージを表示させてもよい。
【0042】
ここで通常、ユーザは、ADF32からジャムした原稿30を取り出し、その原稿30を原稿トレイ38上に残った他の原稿30に重ね、読み取り再開の指示を操作部14から入力する。
【0043】
CPU21は、上記メッセージを表示した後、ジャムが解除されたかを判断する(S205)。ここでは、例えば、各原稿位置センサ51の検知信号がオフになり、操作部14から読み取り再開の指示を受け付けた場合にジャムが解除されたと判断する。そして、ジャムが解除されていない場合(S205:NO)には、S205を繰り返し、ジャムが解除されるのを待機する。ジャムが解除された場合(S205:YES)には、このジャム処理を終了する。
【0044】
また、CPU21は、S202にて、ページメモリ23Aに記憶される読取データのデータ量が上記閾値未満である場合(S202:NO)には、本体メモリ23Cに最後に記憶されたページ、即ちジャムページの1つ前のページの読取データを本体メモリ23Cからジャムページメモリ23Bにコピーする(S206)。これにより、ページメモリ23Aに記憶された読取データの量が十分でない場合、ジャムページメモリ23Bにはジャムページの代わりにその一つ前のページの読取データが記憶される。そして、CPU21は、本体メモリ23Cから最後に記憶されたページの読取データを削除する(S207)。
【0045】
続いてCPU21は、ユーザにジャムが発生した旨を通知するとともに、ジャムページをADF32から取り出し、そのジャムページの一つ前のページから後のページを原稿トレイ38にセットするように促すメッセージを表示部15に表示する(S208)。
【0046】
ここで通常、ユーザは、ADF32からジャムした原稿30を取り出し、排出トレイ39からジャムした原稿30の1つ前の原稿30を取り出して、両原稿30を読み取りの行われていない他の原稿30とともに原稿トレイ38にセットし、読み取り再開の指示を操作部14から入力する。その後、CPU21は、S205にて、ジャムが解除されたかを判断し、ジャムが解除された場合(S205:YES)には、このジャム処理を終了する。
【0047】
CPU21は、図3のADF原稿読取処理において、S112にてジャム処理が行われた後、1ページ分の読み取りが完了する毎(S106:YES)に、S107にてジャム発生後であると判断し(S107:YES)、図5に示すページ判定処理を実行する(S113)。
【0048】
上記ジャム処理においては、ユーザが一旦原稿トレイ38上に残った原稿30を取り出し、取り出した原稿30をジャムした原稿30等と重ねて原稿トレイ38に戻すことがある。このような場合には、原稿30の天地や縦横の向きが読み取りの中断前と異なった状態で原稿30が原稿トレイ38にセットされる可能性がある。また、排出トレイ39に排出された読み取り済みの原稿30の一部または全部が他の原稿30に重ねて原稿トレイ38にセットされる可能性がある。ページ判定処理では、こうした事態に対処するための処理を行う。
【0049】
CPU21は、図5のページ判定処理において、まずページメモリ23Aに記憶された読取データがジャムページを読み取ったものであるかを判定するジャムページ判定処理を実行する(S301)。なお、既述のように、ジャムページのデータ量が閾値に満たないために、ジャムページメモリ23Bにジャムページの1つ前のページの読取データが記憶されている場合には、その1つ前のページをジャムページとみなしてページ判定処理を実行する。
【0050】
図6は、ジャムページ判定処理のフローチャートである。
CPU21は、図6のジャムページ判定処理において、まず直前に読み取られたページの読取データをページメモリ23AからRAM23上の所定の領域に読み出し(S401)、続いてジャムページメモリ23Bからジャムページの読取データを上記RAM23上の所定の領域に読み出す(S402)。そして、以下に示す手順で、ページメモリ23Aから読み出した読取データの画像(以下、再開後の画像ともいう)と、ジャムページメモリ23Bから読み出した読取データの画像(以下、中断前の画像ともいう)とを比較し、両画像が一致するか否か、即ち、同じページを読み取ったものであるか否かを判定する。
【0051】
CPU21は、まず両画像が読み取り時の向きのまま回転されない状態で一致するか、言い換えれば両画像の回転角度が0度の状態で一致するかを判断する(S403)。ここで、CPU21は、公知の画像マッチング技術により、例えば両画像から特徴箇所を抽出し、それらの一致度が基準以上である場合に両画像が一致すると判断し、同基準に満たない場合に一致していないと判断するようにしてもよい。
【0052】
なお、ジャムページメモリ23Bから読み出した中断前の画像がジャムページを読み取った画像である場合にはページの一部が欠けていることがある。CPU21は、中断前の画像がページの一部分である場合には、中断前の画像が再開後の画像の同じ部分の画像に一致する場合に両画像が一致すると判断する。
【0053】
次にCPU21は、両画像が読み取り時の向きで一致しない場合(S403:NO)には、RAM23上で中断前の画像を180度回転した画像を生成して元の画像と置き換え、その画像が再開後の画像と一致するか判断する(S404)。そして、両画像が一致しない場合(S404:NO)には、中断前の画像を読み取り時の向きに対して時計回りに90度回転させ、再開後の画像と比較する(S405)。さらに両画像が一致しない場合(S405:NO)には、中断前の画像を読み取りの向きから時計回りに270度回転させ、両画像が一致するか判断する(S406)。
【0054】
そしてCPU21は、中断前の画像を270度回転させても両画像が一致しない場合(S406:NO)には、ページメモリ23Aの再開後の画像がジャムページ(またはジャムページの1つ前のページ、以下省略)を読み取ったものではないと判定する(S407)。また、S403〜S406のいずれかにおいて両画像が一致すると判断した場合には、再開後の画像がジャムページを読み取ったものであると判定し、再開後の画像の中断前の画像に対する回転角度を取得する(S408)。
【0055】
即ち、中断前の画像を回転させずに両画像が一致した場合(S403:YES)には取得される回転角度が0度になり、中断前の画像を180度回転させて両画像が一致した場合(S404:YES)には回転角度が180度になる。また、中断前の画像を90度回転させて両画像が一致した場合(S405:YES)には回転角度が270度になり、270度回転させて一致した場合(S406:YES)には回転角度が90度になる。
【0056】
CPU21は、S407またはS408にて判定を行った後、ジャムページ判定処理を終了する。
【0057】
CPU21は、図5のS301にてジャムページ判定処理を行った後、ページメモリ23Aの読取データがジャムページを読み取ったものと判定されたか否かを判断する(S302)。そして、ジャムページを読み取ったものと判定された場合(S302:YES)には、ジャムページ判定処理において取得された回転角度を、読み取り再開後の画像に適用する回転角度として設定する(S303)。
【0058】
続いてCPU21は、ジャムページメモリ23Bの読取データを消去する(S304)。そしてページメモリ23Aに記憶された読取データの画像、即ち再開後の画像を設定された回転角度分だけ時計回りに回転させる(S305)。なお、設定角度が0度のときには再開後の画像は回転されない。
【0059】
そしてCPU21は、回転後のページメモリ23Aの読取データを本体メモリ23Cにコピーする(S306)。そして、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S307)、このページ判定処理を終了する。上述の処理によって、再開後に読み取られたジャムページの画像は、中断前に読み取られた画像と同じ向きで本体メモリ23Cに保存される。
【0060】
なお、図5のページ判定処理において、上記ジャムページ判定処理によってページメモリ23Aの読取データがジャムページを読み取ったものと判定された場合には、それ以降の実行時には、S301のジャムページ判定処理を省略し、S302にてジャムページを読み取ったものでないと判定することができる。
【0061】
CPU21は、S302においてページメモリ23Aの読取データがジャムページを読み取ったものではないと判定された場合(S302:NO)には、読み取りの再開時に原稿トレイ38から原稿30が取り出されたかを判断する(S308)。
【0062】
詳細には、図4のジャム処理の際に、CPU21は、S201からS205にて読み取り再開の指示が入力されるまでの間に、トレイセンサ50の検知信号がオンからオフになった後、再びオンになったか否かをRAM23に記憶する。そして、トレイセンサ50の検知信号が上述のように変化した場合には、本ページ判定処理のS308において、原稿トレイ38から原稿30が取り出されたと判断し、変化が検知されていない場合には、原稿30が取り出されていないと判断する。
【0063】
CPU21は、原稿トレイ38からの原稿30の取り出しが検知されていない場合(S308:NO)には、後述の重複ページ判定処理を行わずにS311に進み、回転角度が設定されているかを判断する。なお、重複ページ判定処理とは、読み取ったページが先に読み取ったページと重複する重複ページであるか否かを判定する処理である。
【0064】
即ち、原稿トレイ38から原稿30が取り出されていない場合には、ユーザがADF32からジャムした原稿30を取り出した後、その原稿30のみを原稿トレイ38上に残った他の原稿30に重ねて、再読み取りの指示を入力した可能性が比較的高いと考えられる。この場合には、重複ページ判定処理の必要性が低くなるため、図7の重複ページ判定処理を省略する。このように本実施形態によれば、重複ページ判定処理の必要性が低い場合にその処理を省略することによって処理負荷を軽減し、処理時間を抑制できる。
【0065】
また、CPU21は、原稿トレイ38からの原稿30の取り出しが検知された場合(S308:YES)には、重複ページ判定処理を実行する(S309)。原稿トレイ38からの原稿30の取り出しが検知された場合には、ユーザがADF32からジャムした原稿30と原稿トレイ38に残った原稿30とを一旦取り出した上で、排出トレイ39に排出された原稿30の一部または全部を重ねて揃え、原稿トレイ38にセットした可能性が比較的大きいため、重複ページ判定処理を省略せずに行う。
【0066】
図7は、重複ページ判定処理のフローチャートである。
CPU21は、図7の重複ページ判定処理において、まずページメモリ23Aから読取データをRAM23上の所定の領域に読み出す(S501)。続いて本体メモリ23Cから読み取りの中断前に最後に記憶されたページの読取データを上記RAM23上の所定の領域に読み出す(S502)。そして、ページメモリ23Aから読み出した再開後の画像と、本体メモリ23Cから読み出した中断前の画像とを比較する。
【0067】
上記両画像の比較はジャムページ判定処理と同様の手順に行う。即ち、CPU21は、まず中断前の画像を回転させずに(回転角度0度で)両画像が一致するかを判断し(S503)、一致しない場合(S503:NO)には、中断前の画像を180度回転させて両画像が一致するかを判断する(S504)。そして、両画像が一致しない場合(S504:NO)には、中断前の画像を読み取り時の向きに対して時計回りに90度回転させて両画像が一致するかを判断し(S505)、一致しない場合(S505:NO)には、さらに中断前の画像を270度回転させて両画像が一致するかを判断する(S506)。
【0068】
CPU21は、中断前の画像を270度回転させても両画像が一致しない場合(S506:NO)には、S503〜S506で比較を行ったページよりも1つ前のページの読取データが本体メモリ23Cに存在するかを判断し(S507)、存在する場合(S507:YES)にはそのページの読取データを上記RAM23上の所定の領域に読み出す(S508)。そして、S503に戻り、先にS501においてページメモリ23Aから読み出した再開後の画像と、S502において本体メモリ23Cから読み出した前のページの画像とを同様の手順で比較する。
【0069】
上記重複ページ判定処理において、例えば、読み取りの中断時に本体メモリ23Cに1〜4ページの読取データが記憶されており、ページメモリ23Aには別のページを読み取った読取データが記憶されている場合には、その別のページの画像に対し4,3,2,1のページ順で本体メモリ23Cから読み出した画像の比較が行われる。
【0070】
CPU21は、S503〜S506で比較を行ったページよりも1つ前のページの読取データが本体メモリ23Cに存在しない場合(S507:NO)、すなわち、本体メモリ23Cに記憶された最初のページの画像をページメモリ23Aから読み出した画像と比較しても一致しない場合には、ページメモリ23Aから読み出した画像が重複ページの画像ではないと判定し(S509)、この重複ページ判定処理を終了する。また、S503〜S506のいずれかで両画像が一致すると判定された場合には、ページメモリ23Aから読み出した画像が重複ページの画像であると判定して、再開後の画像の中断前の画像に対する回転角度を取得し(S510)、この重複ページ判定処理を終了する。
【0071】
CPU21は、図5のS309において、重複ページ判定処理を行った後、重複ページと判定されたかを判断し(S310)、重複ページと判定された場合(S310:YES)には、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S307)、このページ判定処理を終了する。即ち、ページメモリ23Aの読取データが既に本体メモリ23Cに記憶された読取データと重複する場合には、その読取データが本体メモリ23Cに保存されずに消去される。
【0072】
また、CPU21は、重複ページ判定処理において重複ページでないと判定された場合(S310:NO)には、S303にて画像の回転角度が設定されているかを判断する(S311)。回転角度が設定されている場合(S311:YES)には、S305に進み、ページメモリ23Aの読取データを設定された回転角度分だけ回転させ、回転後の読取データを本体メモリ23Cにコピーする(S306)。これにより、読み取り再開後、ジャムした原稿30の後に新規に読み取られるページについては、本体メモリ23Cに中断前の画像と同じ向きで記憶される。
【0073】
また、CPU21は、回転角度が設定されていない場合(S311:NO)には、ページメモリ23Aの読取データを回転させずに本体メモリ23Cにコピーする(S306)。そして、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S307)、このページ判定処理を終了する。
【0074】
CPU21は、図3のS113にてページ判定処理を終えた後、全ての原稿30の読み取りが完了したかを判断し(S110)、既述のように全ての原稿30を読み取りが完了した場合(S110:YES)に、本体メモリ23Cの読取データを設定された保存先に保存して(S111)、このADF原稿読取処理を終了する。
【0075】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、複合機10は、読み取りの再開後に取得された再開後の画像が、読み取りの中断前に取得された中断前の画像と一致するかを判定し、一致すると判定された場合に再開後の画像の中断前の画像に対する回転角度を取得する(図6)。これにより、読み取り再開後の画像の読み取り中断前の画像に対する向きの変化を把握することができる。
【0076】
また、複合機10は、再開後の画像が中断前の画像に対し読み取り時と異なる向きで一致すると判定された場合に、再開後の画像を上記回転角度だけ回転させる(図5のS305)。これにより、ユーザが読み取りの再開時に原稿30を中断前と異なる向きで原稿トレイ38にセットした場合にも、再開後の画像の向きと中断前の画像の向きとを一致させることができる。
【0077】
また、複合機10は、読み取りの中断時に原稿30の1つのページの途中まで読み取られた読み取り途中の画像が存在する場合に、読み取り途中の画像を中断前の画像として、再開後の画像が読み取り途中の画像に対して一致するか否かを判定する(図6)。これにより、読み取りの中断時に、読み取り途中の原稿30と読み取りの行われていない原稿30とがADF32にセットされ読み取りが再開された場合に、読み取り途中の画像に基づいて向きの変化を把握することができる。
【0078】
また、複合機10は、読み取り途中の画像のデータ量が、所定の閾値以上のときに読み取り途中の画像に基づいて判定し、上記閾値未満のときに読み取り途中の画像より前に読み取られた画像に基づいて判定する(図4)。即ち、読み取り途中の画像のデータ量が少ない場合には、精度良く判定できないことがあるため、そのような場合には、読み取り途中の画像より前に取得した画像に基づいて判定することによって判定の精度を確保できる。
【0079】
また、複合機10は、再開後の画像が中断前の画像と一致すると判定された場合に、一致すると判定された画像のうち一方の画像のみを本体メモリ23Cに記憶させる(図5でS310:YES)。これにより、重複する画像が記憶されることを回避できる。
【0080】
また、一般に、読み取りの中断後、ユーザがADF32に原稿30をセットする際には、セットされる原稿30の向きが中断前の原稿30の向きに対して、0度、90度、180度、及び270度のいずれかになる可能性が高いと考えられる。そして、これらの角度のうち、0度、即ち原稿30が中断前と同じ向きでセットされる可能性が最も高く、次に180度異なる向きでセットされる可能性が高く、続いてこれらに直交する2つの角度のいずれかでセットされる可能性が高いと考えられる。複合機10では、画像が一致するか否かを可能性の高い順に判定するため(図6)、早い時期に判定の結果を得られる可能性が高く、それによって処理時間を抑制することができる。
【0081】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図8を参照して説明する。
本実施形態では、読み取りの再開時に原稿30の向きが変化した場合に、その旨をユーザに通知する例を示す。
【0082】
図8は、本実施形態におけるページ判定処理のフローチャートである。複合機10の構成は実施形態1と同様であり、以下の説明では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお、ページ判定処理を除き、ADF原稿読取処理(図3,図4,図6,図7)は実施形態1と同様である。
【0083】
CPU21は、図8のページ判定処理において、まずジャムページ判定処理を実行する(S701)。そしてページメモリ23Aから読み出した画像がジャムページの画像であると判定された場合(S702:YES)には、ジャムページメモリ23Bの読取データを消去する(S703)。そして、ジャムページ判定処理において取得される画像の回転角度が0度であるか、即ち、再開後の画像の向きが中断前の画像の向きと同じであるかを判断する(S704)。
【0084】
CPU21は、画像の回転角度が0度である場合(S704:YES)には、ページメモリ23Aの読取データを本体メモリ23Cにコピーし(S705)、ページメモリ23Aの読取データを消去して(S706)、このページ判定処理を終了する。従って、再開後の画像の向きと中断前の画像の向きとが同じ場合には、そのまま読み取りが続行される。
【0085】
また、CPU21は、画像の回転角度が0度でない場合(S704:NO)には、読み取り再開時に原稿トレイ38にセットされた原稿30の向きが読み取りの中断前の向きと異なっている旨をユーザに通知するメッセージと、直前に排出トレイ39に排出されたジャムページと判断されたページの原稿30を再度原稿トレイ38にセットするように促すメッセージとを表示部15に表示する(S707)。ここでは、読み取り画像の向きが中断前の画像と同じになるように、原稿30を原稿トレイ38にセットする向きを示すメッセージや画像を表示部15に表示してもよい。
【0086】
続いてCPU21は、操作部14から読み取り再開の指示を受け付けたかを判断し(S708)、読み取り再開の指示を受け付けていない場合(S708:NO)には、S708を繰り返し、指示の入力を待機する。そして、読み取り再開の指示を受け付けた場合(S708:YES)には、このページ判定処理を終了する。これにより、ユーザが、メッセージに従って原稿30を正しい向きにセットし直し、操作部14から読み取り再開の指示を入力すれば、中断前の画像と同じ向きで画像が読み取られる。
【0087】
CPU21は、ジャムページ判定処理によりページメモリ23Aの読取データがジャムページでないと判定された場合(S702:NO)には、重複ページ判定処理を行う(S709)。そして、ページメモリ23Aの読取データが重複ページと判定された場合(S710:YES)には、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S706)、重複する読取データを本体メモリ23Cに保存せずにこのページ判定処理を終了する。また、重複ページでないと判定された場合(S710:NO)には、ページメモリ23Aの読取データを本体メモリ23Cにコピーしてから(S705)、ページメモリ23Aの読取データを消去し(S706)、このページ判定処理を終了する。
【0088】
以上のように本実施形態によれば、複合機10は、再開後の画像が中断前の画像に対して読み取り時と異なる向きで一致すると判定された場合に、原稿30の向きが異なる旨をユーザに通知する。これにより、ユーザが原稿30の向きを合わせてADF32にセットし読み取りをやり直すことにより、読取データの画像の向きを揃えることができる。
【0089】
<実施形態3>
次に本発明の実施形態3について図9から図14を参照して説明する。
本実施形態では、原稿30の読取方式として両面読み取りが設定されている場合について説明する。
【0090】
図9は、本実施形態における複合機10の電気的構成を示すブロック図である。なお、複合機10の構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図9に示すように、CPU21は、本実施形態のADF原稿読取処理を実行する際に、RAM23上に、表面ページメモリ23D、裏面ページメモリ23E、表面ジャムページメモリ23F、裏面ジャムページメモリ23G、本体メモリ23Hの各記憶領域を確保する。
【0091】
図10は、ADF原稿読取処理のフローチャートである。
CPU21は、ADF原稿読取処理を開始すると、まずADF32によって原稿30を1ライン分搬送し(S801)、ジャムが発生したかを原稿位置センサ51の検知信号に基づいて判断する(S802)。ジャムが発生していない場合(S802:NO)には、原稿30が読取位置Pにあるかを判断し(S803)、読取位置Pにない場合(S803:NO)には、S801に戻って原稿30の搬送を続ける。
【0092】
また、CPU21は、原稿30が読取位置Pにある場合(S803:YES)には、イメージセンサ31により原稿30を1ライン分読み取る(S804)。続いて、読み取ったのが原稿30の表面であるかを判断する(S805)。なお、ここでは、原稿トレイ38から送り出された原稿30の2つの面のうち先に読み取られる面を表面とし、後に読み取られる面を裏面とする。
【0093】
そして、CPU21は、原稿30の表面を読み取った場合(S805:YES)には、得られた読取データを表面ページメモリ23Dに保存し(S806)、原稿30の裏面を読み取った場合(S805:NO)には、その読取データを裏面ページメモリ23Eに保存する(S807)。
【0094】
続いてCPU21は、一枚の原稿30の表裏の読み取りが完了したかを判断する(S808)。原稿30の表裏の読み取りが完了していない場合(S808:NO)には、S801に戻り、原稿30の搬送を続ける。原稿30の表裏の読み取りが完了した場合(S808:YES)には、ジャムの発生後であるかを判断する(S809)。ジャムの発生後でない場合(S809:NO)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データを本体メモリ23Hにコピーし(S810)、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データを消去する(S811)。
【0095】
そしてCPU21は、全ての原稿30の読み取りが完了したかを判断し(S812)、トレイセンサ50により原稿トレイ38の原稿30が検知される場合には、全ての原稿30の読み取りが完了していないと判断し(S812:NO)、S801に戻って原稿30の搬送を続ける。トレイセンサ50により原稿トレイ38の原稿30が検知されない場合には、全ての原稿30の読み取りが完了したと判断し(S812:YES)、本体メモリ23Hの読取データを設定された保存先に保存し(S813)、このADF原稿読取処理を終了する。
【0096】
また、CPU21は、S802にてジャムが発生したと判断した場合(S802:YES)には、ジャム処理を実行する(S814)。図11は、ジャム処理のフローチャートである。
【0097】
CPU21は、図11のジャム処理を開始すると、まず原稿30の搬送を停止する(S901)。そして、表面ページメモリ23Dの読取データを表面ジャムページメモリ23Fにコピーし(S902)、裏面ページメモリ23Eの読取データを裏面ジャムページメモリ23Gにコピーする(S903)。なお、原稿30の裏面を読み取る前にジャムが発生した場合には、裏面ページメモリ23E及び裏面ジャムページメモリ23Gは空の状態になる。
【0098】
続いてCPU21は、原稿30のジャムが生じた旨をユーザに通知するメッセージを表示部15に表示させる(S904)。そして、操作部14から読み取り再開の指示が入力されるのを待機し(S905)、同指示が入力された場合(S905:YES)にこのジャム処理を終了する。
【0099】
CPU21は、図10のS814にてジャム処理が行われた場合には、その後原稿30の表裏の読み取りが完了する毎(S808:YES)に、S809にてジャム発生後であると判断し(S809:YES)、図12に示すページ判定処理を実行する(S815)。
【0100】
上記ジャム処理においてユーザがジャムを解除する際には、一旦原稿トレイ38上に残った原稿30を取り出し、取り出した原稿30をジャムした原稿30等と重ねて原稿トレイ38に戻すことがある。このような場合に、原稿30の天地や縦横の向きが読み取りの中断前と異なった状態で原稿30が原稿トレイ38にセットされる可能性がある。また、排出トレイ39に排出された読み取り済みの原稿30の一部または全部が他の原稿30に重ねて原稿トレイ38にセットされる可能性がある。さらに、原稿30の裏表が中断前と異なった状態で原稿30がセットされる可能性がある。このページ判定処理では、こうした事態に対処するための処理を行う。
【0101】
CPU21は、図12のページ判定処理を開始すると、読み取った原稿30がジャムした原稿30であるかを判定する両面ジャムページ判定処理を実行する(S1001)。図13は、両面ジャムページ判定処理のフローチャートである。
【0102】
CPU21は、図13の両面ジャムページ判定処理において、まずジャムが原稿30の裏面の読み取り前に発生したか、即ち、裏面ジャムページメモリ23Gに読取データが記憶されていないかを判断する(S1101)。そして、ジャムが原稿30の裏面の読み取り前に発生した場合(S1101:YES)には、表面ページメモリ23D及び表面ジャムページメモリ23Fからそれぞれ読取データを読み出し(S1102)、両読取データの画像を比較し、一致するかを判断する(S1103)。
【0103】
ここでCPU21は、実施形態1と同様に、表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像を0度、180度、90度、270度の回転角度で回転させたときに、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と一致するかを順に判断する。そして、両画像がいずれかの回転角度で一致する場合(S1103:YES)には、表面ページメモリ23Dの読取データがジャムページを読み取ったものであると判定し、表面ページメモリ23Dから読み出した画像の表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像に対する回転角度を取得する(S1104)。
【0104】
また、ここでCPU21は、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とが一致することから、読み取りの中断前と再開後とで原稿30の表裏が同一の順序で読み取られた、即ち、原稿30の表裏が同じ状態でセットされたと判定する。
【0105】
また、CPU21は、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と、表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とが一致しない場合(S1103:NO)には、裏面ページメモリ23E及び表面ジャムページメモリ23Fから読取データを読み出し(S1105)、両読取データの画像を比較し、一致するかを判断する(S1106)。
【0106】
そして、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とがいずれかの回転角度で一致する場合(S1106:YES)には、裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムページを読み取ったものであると判定し、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像の表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像に対する回転角度を取得する(S1107)。
【0107】
また、ここでCPU21は、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とが一致することから、読み取りの中断前と再開後とにおいて原稿30の表裏が逆の順序で読み取られた、即ちジャムした原稿30が表裏逆にセットされたと判定する。
【0108】
このようにジャムした原稿30が表裏逆にセットされたと判定される場合の例として、ジャムの発生時に、ジャムした原稿30と読み取りの行われていない原稿30(原稿トレイ38に残った原稿)とが合わせて表裏反転した状態で原稿トレイ38にセットされる場合が想定される。この場合、読み取りの再開後、まず読み取りの行われていない原稿30が最終ページから逆順で読み取られ、最後にジャムした原稿30が表裏逆順で読み取られる。
【0109】
また、別の場合として、ジャムした原稿30と読み取りの行われていない原稿30と先に読み取られた原稿30の一部または全部が合わせて表裏反転した状態で原稿トレイ38にセットされる場合も想定される。この場合、読み取りの再開後、まず読み取りの行われていない原稿30が最終ページから逆順で読み取られ、次にジャムした原稿30が表裏逆順で読み取られた後に、読み取り済みの原稿30が表裏逆順で読み取られる。
【0110】
さらにCPU21は、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とがいずれの回転角度でも一致しない場合(S1106:NO)には、裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムページを読み取ったものではないと判定する(S1108)。
【0111】
また、CPU21は、S1101にて、ジャムが裏面の読み取り前に発生したではないと判断した場合(S1101:NO)には、表面ページメモリ23D及び表面ジャムページメモリ23Fから読取データを読み出し(S1109)、両読取データの画像を比較し、一致するかを判断する(S1110)。
【0112】
そしてCPU21は、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とがいずれかの回転角度で一致する場合(S1110:YES)には、続いて裏面ページメモリ23E及び裏面ジャムページメモリ23Gから読取データを読み出す(S1111)。
【0113】
そしてCPU21は、裏面ジャムページメモリ23Gから読み出した画像を、同じ原稿30の表面の画像が一致した回転角度と同じ角度で回転させたときに両画像が一致するかを判断する(S1112)。この判断をするのは、例えば、綴じ方向が異なる同一内容の画像が異なる原稿に印刷されていた場合に、ジャムが発生した原稿ではないにもかかわらず、ジャムページであると判断されてしまうのを防ぐためである。具体的には、短編綴じで両面印刷されている原稿の読み取り中にジャムが発生した場合、長辺綴じで同一の画像が両面印刷されている原稿を読み取ると、表裏の画像をそれぞれ回転すればジャムが発生した原稿の画像が同一となるが、その回転角度が表裏で180度異なる。このような場合には、ジャムページではないと判断する。
【0114】
そしてCPU21は、両画像が一致する場合(S1112:YES)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データがそれぞれジャムページを読み取ったものであると判定し、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像の裏面ジャムページメモリ23Gから読み出した画像に対する回転角度を取得する(S1113)。さらに、ここでは読み取りの中断前と再開後とで原稿30の表裏が同じ順序で読み取られたと判定する。
【0115】
また、CPU21は、S1110にて、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像とがいずれの回転角度でも一致しない場合(S1110:NO)、あるいは、S1112にて裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で裏面ジャムページメモリ23Gから読み出した画像と一致しない場合(S1112:NO)には、表面ページメモリ23D及び裏面ジャムページメモリ23Gから読取データを読み出し(S1114)、両読取データの画像を比較し、一致するかを判断する(S1115)。
【0116】
そして、CPU21は、両画像がいずれかの回転角度で一致する場合(S1115:YES)には、裏面ページメモリ23E及び表面ジャムページメモリ23Fから読取データを読み出し(S1116)、表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像を裏面が一致した回転角度と同じ角度回転させ、両画像が一致するかを判断する(S1117)。
【0117】
そして、CPU21は、両画像が一致する場合(S1117:YES)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムした原稿30を読み取ったものであると判定し、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像の表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像に対する回転角度を取得する(S1118)。さらに、ここでは読み取りの中断前と再開後とで原稿30の表裏の読み取り順序が逆であると判定する。
【0118】
また、CPU21は、S1115にて、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と裏面ジャムページメモリ23Gから読み出した画像とがいずれの回転角度でも一致しない場合(S1115:NO)、あるいは、S1117にて、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で表面ジャムページメモリ23Fから読み出した画像と一致しない場合(S1117:NO)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムした原稿30を読み取ったものではないと判定する(S1119)。
【0119】
CPU21は、上記S1104,S1107,S1108,S1113,S1118,S1119にて判定を行った後、この両面ジャムページ判定処理を終了する。
【0120】
次にCPU21は、図12のS1001にて両面ジャムページ判定処理を実行した後、表面ページメモリ23Dまたは裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムした原稿30を読みと取ったもの、すなわち、ジャムページと判定されたかを判断する(S1002)。ジャムページと判定された場合(S1002:YES)には、上記両面ジャムページ判定処理において取得された回転角度を読み取り再開後の画像に適用する回転角度として設定する(S1003)。そして、表面ジャムページメモリ23F及び裏面ジャムページメモリ23Gの読取データを削除する(S1004)。
【0121】
続いてCPU21は、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データの画像を設定された回転角度分回転させる(S1005)。そして、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データを本体メモリ23Hにコピーし(S1006)、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データを消去する(S1007)。
【0122】
次にCPU21は、上記両面ジャムページ判定処理において、原稿30の表裏が逆の順序と判定されたかを判断し(S1008)、表裏が同一の順序と判定された場合(S1008:NO)には、このページ判定処理を終了する。
【0123】
例えば、原稿4枚、計8ページの両面読み取りを行う場合に、6ページ目の読み取り途中にジャムが発生した場合に、ジャム処理(図10のS814)が実行された時点では、本体メモリ23Hには「(1,2)(3,4)」の順で読取データが記憶されている(丸括弧内の2つの数字は、それぞれページ順を示す)。また、表面ジャムページメモリ23Fには5ページ目の読取データが記憶され、裏面ジャムページメモリ23Gには6ページ目の読み取り途中の読取データが記憶される。
【0124】
その後、ユーザがジャムした原稿30を取り出し、原稿トレイ38に原稿30を「(5,6)(7,8)」の順でセットして読み取りを再開させた場合には、最初の原稿30が読み取られたときに表面ページメモリ23Dに5ページ目、裏面ページメモリ23Eに6ページ目の読取データが記憶される。
【0125】
そして、それらの読取データが表面ジャムページメモリ23F及び裏面ジャムページメモリ23Gの読取データと比較され、ジャムページであると判定される(S1002:YES)と、回転角度が設定される(S1003)。そして、両ページの読取データが回転角度分回転されて本体メモリ23Hに記憶されることにより、本体メモリ23Hには「(1,2)(3,4)(5,6)」の読取データが記憶される。
【0126】
CPU21は、図12のページ判定処理において、表面ページメモリ23Dまたは裏面ページメモリ23Eの読取データがジャムページを読み取ったものではないと判定された場合(S1002:NO)には、それらが重複ページであるかを判定する両面重複ページ判定処理を実行する(S1009)。図14は、両面重複ページ判定処理のフローチャートである。
【0127】
CPU21は、両面重複ページ判定処理において、まずジャム発生時までに読み取りが完了した原稿30の枚数をカウンタNにセットする(S1201)。例えば、6ページ目の読み取り途中でジャムが発生した場合には、カウンタNに2がセットされる。なお、CPU21は、図10のADF原稿読取処理の開始時から読み取り済みの原稿30の数を数えるためのカウンタをRAM23上に設け、S808で原稿30の表裏の読み取りが完了する毎にそのカウンタをインクリメントする。そして、S802でジャムが発生した場合には上記カウンタの値をRAM23上に別に記憶し、その値を上記S1201でジャム発生時までに読み取りが完了した原稿30の枚数としてカウンタNにセットする。
【0128】
続いてCPU21は、表面ページメモリ23Dの読取データを読み出し、さらに本体メモリ23HからN枚目の原稿30の表面の読取データを読み出す(S1202)。例えばNが2の場合は、2枚目の原稿30の表面である3ページ目の読取データが読み出される。
【0129】
そして、CPU21は、読み出した両読取データの画像を既述の手順で比較し、一致するかを判断する(S1203)。両画像が0度、180度、90度、270度のいずれかの回転角度で一致した場合(S1203:YES)には、続いて裏面ページメモリ23Eの読取データを読み出し、さらに本体メモリ23HからN枚目の原稿30の裏面の読取データを読み出す(S1204)。そして、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で本体メモリ23Cから読み出した画像と一致するか判断し(S1205)、両画像が一致する場合(S1205:YES)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの画像が重複して読み取られた重複ページであると判定し(S1206)、この両面重複ページ判定処理を終了する。
【0130】
また、CPU21は、S1203にて、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と本体メモリ23Hから読み出したN枚目の原稿30の表面の画像とが一致しない場合(S1203:NO)、または、S1205にて、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で本体メモリ23Hから読み出したN枚目の原稿30の裏面の画像と一致しない場合(S1205:NO)には、表面ページメモリ23Dから読取データを読み出し、本体メモリ23HからN枚目の原稿30の裏面の読取データを読み出す(S1207)。
【0131】
CPU21は、読み出した両画像を比較し(S1208)、両画像がいずれかの回転角度で一致する場合(S1208:YES)には、裏面ページメモリ23Eから読取データを読み出し、本体メモリ23HからN枚目の原稿30の表面の読取データを読み出す(S1209)。そして、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で本体メモリ23Hから読み出した画像と一致するかを判断し(S1210)、一致する場合(S1210:YES)には、S1206に進み、両画像が重複ページであると判定する。
【0132】
また、CPU21は、S1208にて、表面ページメモリ23Dから読み出した画像と本体メモリ23Hから読み出したN枚目の原稿30の裏面の画像とが一致しない場合(S1208:NO)、または、S1210にて、裏面ページメモリ23Eから読み出した画像が表面と同じ回転角度で本体メモリ23Hから読み出したN枚目の原稿30の表面の画像と一致しない場合(S1210:NO)には、カウンタNから1を引く(S1211)。そして、カウンタNが0より大きい場合(S1212:YES)には、S1202に戻る。従ってこの場合、本体メモリ23Hから一つ前の原稿30の表裏の画像が読み出され、以下同様の手順で、表面ページメモリ23Dまた裏面ページメモリ23Eの画像と比較される。
【0133】
CPU21は、カウンタNが0の場合(S1212:NO)、即ち、表面ページメモリ23Dまたは裏面ページメモリ23Eの画像が、本体メモリ23Hから1枚目の原稿30の表面または裏面の画像と一致しなかった場合には、両画像が重複ページではないと判定し(S1213)、この両面重複ページ判定処理を終了する。
【0134】
次に、CPU21は、図12のページ判定処理に戻り、上記S1009の両面重複ページ判定処理により、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eに記憶された読取データが重複ページと判定された場合(S1010:YES)には、それらの読取データを保存せずに消去する(S1011)。これにより、重複するページの読取データの一方のみが本体メモリ23Hに残されることになる。
【0135】
また、CPU21は、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eに記憶された読取データが重複ページではないと判定された場合(S1010:NO)には、S1003において回転角度が設定されているかを判断する(S1012)。回転角度が設定されている場合(S1012:YES)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データの画像をそれぞれ設定角度分回転させ(S1013)、回転させた読取データを本体メモリ23Hにコピーする(S1014)。なお、設定角度が0度である場合には、画像を回転させない。
【0136】
また、CPU21は、回転角度が設定されていない場合(S1012:NO)には、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データの画像を回転させずに本体メモリ23Cにコピーする(S1014)。その後、表面ページメモリ23D及び裏面ページメモリ23Eの読取データを消去し(S1011)、このページ判定処理を終了する。
【0137】
前述の8ページの両面読み取りを行う例において、ジャム発生後、ユーザが原稿トレイ38に全ての原稿30「(1,2)(3,4)(5,6)(7,8)」を順にセットし読み取りを再開した場合には、1〜4ページ目の読取データは、重複ページと判定され、消去される。5,6ページ目の読取データは、ジャムページと判定され、その向きに基づいて回転角度が設定された後、設定された回転角度分回転され、本体メモリ23Hに記憶される。7,8ページ目の読取データは、重複ページでないと判定され、設定された回転角度分回転され、本体メモリ23Hに記憶される。これにより、本体メモリ23Hには、「(1,2)(3,4)(5,6)(7,8)」の読取データが順に記憶される。
【0138】
また、CPU21は、S1008にて、上記両面ジャムページ判定処理で原稿30の表裏が逆の順序と判定された場合(S1008:YES)には、本体メモリ23Hに記憶される読取データのうち、ジャムページを除きジャム発生後に記憶されたページを設定された回転角度分回転する(S1015)。続いて、本体メモリ23Hに記憶される読取データのうち、ジャム発生後に記憶されたページの順序を反転し(S1016)、このページ判定処理を終了する。
【0139】
前述の8ページの両面読み取りを行う例において、ジャム発生後、ユーザが原稿トレイ38に全ての原稿30を表裏逆にセットして読み取りを再開した場合には、「(8,7)(6,5)(4,3)(2,1)」のページ順で読み取られる。この場合、本体メモリ23Hにはジャム発生時には「(1,2)(3,4)」の読取データが記憶されており、そこに8,7ページ目の読取データが回転されない状態でコピーされる。続いて6,5ページ目の読取データがジャムページと判定され、その向きに基づいて回転角度が設定された後、設定角度分回転され、本体メモリ23Hに記憶される。
【0140】
これにより本体メモリ23Hには、「(1,2)(3,4)(8,7)(6,5)」のページ順で読取データが記憶される。続いて、ジャムページである6,5ページ目が逆順と判定される(S1008:YES)ために、8,7ページ目の向きが回転され(S1015)、これにより全ページの画像の向きが一致する。続いて、ジャム発生後のページの順序が反転される(S1016)ために、本体メモリ23Hの読取データは、「(1,2)(3,4)(5,6)(7,8)」のページ順序で記憶される。その後、4,3,2,1ページ目が読み取られると、それらの読取データは重複ページとして消去される。
【0141】
以上のように本実施形態によれば、読み取りの再開後の画像と中断前の画像とが一致すると判定された場合(S1002:YES)に、一致すると判定された画像同士の表裏が同じ場合に、再開後の画像と中断前の画像とをページ順序を変更せずに記憶させ(S1008:NO)、一致すると判定された画像同士の表裏が異なる場合に、中断前の画像をページ順序を変更せずに記憶させ、再開後の画像をページ順序を逆にして記憶させる(S1008:YES)。これにより、読み取りの再開時と中断前とで、原稿30の表裏が逆にセットされた場合であっても、画像の順序を合わせた状態で記憶させることができる。
【0142】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0143】
(1)上記実施形態では、本発明の画像処理装置を複合機10に適用した例を示したが、これに限らず、本発明は、読取機能のみを備える読取装置にも適用できる。また、本発明は、複合機10において、RAM23上に読取データを記憶した後、その読取データを印刷データに変換して印刷部13に印刷する場合にも適用することができる。また、本発明は、読取データを記憶部に記憶させた後、その読取データをファクシミリデータに変換して送信するファクシミリ装置にも適用することができる。
【0144】
さらに本発明は、例えば図17に示すように、読取装置80に接続された端末装置70にも適用することができる。この端末装置70は、CPU71、ROM72、RAM73(記憶部の一例)、HDD74、第1USBインターフェース75、第2USBインターフェース76、操作部77、表示部78(通知部の一例)を備えている。CPU71(一致判定部、角度判定部の一例)は、HDD74に記憶されたスキャナドライバ等のプログラムに従って読取装置80を制御することによってADF原稿読取処理に概ね相当する処理を実行する。
【0145】
即ち、CPU71は、読取装置80によって原稿を読み取った読取データを第1USBインターフェース75を介して取得してRAM73に記憶させ、その読取データを例えば第2USBインターフェース76に接続されたUSBメモリ81に書き込む。なお、端末装置70は、第1USBインターフェース75の代わりにネットワークインターフェースを備え、LAN等のネットワーク回線を介して読取装置80と接続されてもよい。
【0146】
(2)再開後の画像と中断前の画像とが一致するか否かを判別する手順は、適宜変更することができる。例えば、両画像のうち一方を0度、90度、180度、270度と順に回転させて比較してもよい。また、両画像が0度または180度で一致するかを判定し、90度及び270度は判定しなくてもよい。また、原稿トレイ38に載置される原稿30の向き若しくはサイズを検知するセンサを設け、そのセンサにより読み取りの再開時に原稿30の向きの変化が検知された場合のみ両画像が90度及び270度の回転角度で一致するかを判定し、検知されない場合には90度及び270度の回転角度で一致するかの判定を省略してもよい。
【0147】
(3)上記実施形態では、読み取り再開後の読取データに対して、ジャムページ判定の処理及び重複ページ判定処理を行うものを示したが、本発明は、ジャムページ及び重複ページの一方のみで画像が一致するかの判定を行い、回転角度を取得するものにも適用できる。また、上記実施形態では、ジャムページの判定に基づいて画像の回転角度を取得し、読み取り再開後の画像を回転するものを示したが、本発明によれば、重複ページの判定に基づいて画像の回転角度を取得し、読み取り再開後の画像を回転してもよい。
【0148】
(4)回転角度を取得した後に画像を比較する場合には、取得された回転角度のみ一致するかを判定するようにしてもよい。例えば、先にジャムページ判定処理で回転角度90度が取得された後は、重複ページ判定処理において再開後の画像が中断前の画像に対して回転角度90度で一致するか否かを判定すればよく、他の回転角度の判定を省略してもよい。
【0149】
(5)排出トレイ39の原稿30の有無を検知するセンサを設け、ジャム発生時に、排出トレイ39からの原稿30の取り出しが検知された場合には、読み取り済みの原稿30が原稿トレイ38にセットされる可能性が比較的高いため、再開後に重複ページ判定処理を実行し、排出トレイ39からの原稿30の取り出しが検知された場合には、読み取り済みの原稿30が原稿トレイ38にセットされる可能性が比較的低いため、重複ページ判定処理を省略してもよい。
【0150】
(6)上記実施形態1では、原稿トレイ38からの原稿30の取り出しが検知されない場合(図5のS308:NO)に重複ページ判定処理を省略するものを示したが、この処理を省略することができる。即ち、S302においてページメモリ23Aの読取データがジャムページを読み取ったものではないと判定された場合(S302:NO)に、常に重複ページ判定処理を行う(S309)ようにしてもよい。
【0151】
(7)上記実施形態では、ユーザに通知する手段として表示部15にメッセージを表示するものを示したが、これに限らず、例えば、画像処理装置にスピーカ等の発声部を設けて音声によってユーザに通知してもよい。
【0152】
(8)上記実施形態では、一致判定部、角度判定部を同じCPUによって実現する例を示したが、本発明によれば、これらは、互いに別のCPU、若しくはASICやその他の回路によって構成することができる。
【符号の説明】
【0153】
10…複合機、12…読取部、15…表示部、21…CPU、23…RAM、30…原稿、32…ADF、70…端末装置、71…CPU、73…RAM、78…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動原稿供給装置によって供給される原稿をページ毎に読み取る読取部から読取データを取得して記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記読取部において前記原稿の読み取りが中断された後で再開された場合に、読み取りの再開後に取得された読取データに含まれる再開後の画像が、読み取りの中断前に取得された読取データに含まれる中断前の画像と一致するか否かを判定する一致判定部と、
前記一致判定部によって前記再開後の画像が前記中断前の画像に対して一致すると判定された場合に、前記再開後の画像の前記中断前の画像に対する回転角度を取得する角度取得部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記記憶制御部は、前記再開後の画像が前記中断前の画像と一致すると判定された場合に、前記再開後の画像及び前記中断前の画像のうち一方の画像を前記回転角度だけ回転することによって他方の画像と向きを一致させた状態で記憶させる、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記一致判定部は、前記読み取りの中断時に前記原稿の1つのページの途中まで読み取られた読み取り途中の画像が存在する場合に、前記読み取り途中の画像を前記中断前の画像として、前記再開後の画像が前記読み取り途中の画像に対して一致するか否かを判定する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記一致判定部は、前記読み取り途中の画像のデータ量が、所定の閾値以上のときに前記読み取り途中の画像に基づいて判定し、前記所定の閾値未満のときに前記読み取り途中の画像より前に読み取られた画像に基づいて判定する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
前記読み取り途中の画像のデータ量が前記所定の閾値未満の場合に、前記読み取り途中の画像が読み取られた原稿よりも前に読み取られた原稿の読み取りを行う旨をユーザに通知する第1通知部を備える、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記記憶制御部は、前記一致判定部によって前記再開後の画像が前記中断後の画像と一致すると判定された場合に、前記一致すると判定された画像のうち一方の画像のみを前記記憶部に記憶させる、画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記読取部は、前記原稿の表裏を読み取った一対の画像を一定の順序で前記読取データとして出力するものであって、
前記一致判定部は、前記読み取りの再開後に前記原稿の表を読み取った画像及び裏を読み取った画像の少なくとも一方が、前記読み取りの中断前に前記原稿の表を読み取った画像及び前記原稿の裏を読み取った画像の少なくとも一方と一致するか否かを判定し、
前記記憶制御部は、前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の表裏が同じ場合に、前記再開後の画像と前記中断前の画像とをページ順序を変更せずに記憶させ、前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の表裏が異なる場合に、前記中断前の画像をページ順序を変更せずに記憶させ、前記再開後の画像をページ順序を逆にして記憶させる、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記一致判定部によって一致すると判定された画像同士の向きが異なる場合に、前記原稿の向きが異なる旨をユーザに通知する第2通知部を備える、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記一致判定部は、前記再開後の画像が前記中断前の画像に対して前記読み取り時の向きで一致するかを判定し、一致しない場合に前記再開後の画像及び前記中断前の画像のうち一方を前記読み取り時の向きに対して180度回転させて一致するかを判定し、一致しない場合に前記読み取り時の向きに直交する2つの角度のうち一方の角度に回転させて一致するかを判定し、一致しない場合に前記2つの角度のうち他方の角度に回転させて一致するかを判定する、画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−26766(P2013−26766A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158718(P2011−158718)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】