説明

画像判別システム、その方法及びそのプログラム

【課題】CGによる画像の特性を考慮した画像判別。
【解決手段】データ処理装置2は、見本となる期待画像と、判別対象である被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに、このピクセルを識別する数値を設定した期待画像と被検査画像との差分データを出力するデータ比較部21と、前記差分データ上で、識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、このピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算部22と、を備え、記憶装置3は、期待画像のデータを記憶する期待画像記憶部31と、被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶部32と、最大面積計算部22がピクセル数を計算する差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶部34と、を備え、最大面積計算部22は、領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に被検査画像を不具合のある画像と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CGの不具合を判別する画像判別システム、その方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2D、3Dグラフィックを描画する機能を持つLSI開発で、画像処理装置が出力する画像データが期待画像通りのデータかどうかを容易に判断できる方法が求められている。
【0003】
この方法により、CG(Computer Graphics)を作成する画像処理のボードやLSI等の開発評価時の不具合判断の時間を短縮することができる。
【0004】
ここで、不具合画像判断とは、期待画像が出力されないバグをチェックすることであるが、描画仕様との差分をチェックするコンフォーマンステストにも使用できる。例えば、図1のような、誤差と判断してよい画像と不具合としてチェックしなければならない画像を自動で判断できるようになる。
【0005】
しかしながら、CGによる画像の誤差画像と不具合画像を区別する計算方法がこれまでは存在せず、期待画像と出力画像が100%完全な一致でない場合は、人手で誤差画像か不具合画像かを判断していた。このため、完全な一致以外の画像は全て人手が必要になり、テスト効率が悪かった。
【0006】
そのため、特許文献1では、印刷物ではあるが、検査画像と基準画像との差分画像を求め、その差分画像から島状に点在する対象画素領域を抽出し、この対象画素領域の合計画素数が所定閾値以下である場合には、その対象画素領域を誤印刷部と判定する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−043235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明は、目視できないと認められる誤差については考慮せず、印刷物ではともかく、厳密性が求められるCGによる画像には適さないという問題点がある。
【0009】
また、特許文献1に開示された発明は、一般に正常な印刷部分は相互に隣接した位置にあることが多いという印刷物に固有の特性に鑑み、差分画像から抽出された対象画素領域の合計面積が大きい場合を正常と判断している。しかしながら、かかる判断手法は、CGによる画像においては、不適であるという問題点がある。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、CGによる画像の特性を考慮した画像判別システム、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の問題を解決するため、本発明に係る画像判別システムは、入力装置と、画像のデータを記憶する記憶装置と、該画像のデータを処理するデータ処理装置と、処理の過程及び結果を表示及び出力する出力装置とを有する画像判別システムであって、前記データ処理装置は、見本となる期待画像と、判別対象である被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較部と、前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算部と、を備え、前記記憶装置は、前記期待画像のデータを記憶する期待画像記憶部と、前記被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶部と、前記最大面積計算部がピクセル数を計算する前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶部と、を備え、前記最大面積計算部は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする。
【0012】
上述の問題を解決するため、本発明に係る画像判別方法は、見本となる期待画像のデータを記憶する期待画像記憶手順と、判別対象である被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶手順と、前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較手順と、前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶手順と、前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算手順と、を備え、前記最大面積計算手順は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする。
【0013】
上述の問題を解決するため、本発明に係る画像判別プログラムは、見本となる期待画像のデータを記憶する期待画像記憶処理と、判別対象である被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶処理と、前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較処理と、前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶処理と、前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算処理と、をコンピュータに実行させ、前記最大面積計算処理は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に不具合のある画像と判断することにより、CGによる画像の特性を考慮した画像判別システム、その方法及びそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像判別方法の不具合差分画像と誤差差分画像を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像判別システムのデータ比較部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積計算部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積を計算する関数のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積を計算する関数のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積を計算する関数の入出力の仕様である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの期待画像記憶部、被検査画像記憶部、差分データ記憶部、最大面積計算用データ記憶部がそれぞれ記録するデータの模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積計算手順での差分画像の処理を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像判別システムの最大面積計算手順で処理される差分画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態]
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の実施の形態に係る画像判別方法の不具合差分画像と誤差差分画像を示す図である。
【0017】
この図1では、画像処理LSI評価時の出力画像である被検査画像と、そのときに期待される出力であり、見本となる期待画像とを比較し、画素値に差分があるピクセルを識別する数値として1を設定した期待画像と被検査画像との差分データである差分画像を作成する。
【0018】
このときの相違度計算は、単純にピクセルの値が一致していれば0を格納、不一致の場合には1を格納すると言う単純なアルゴリズムを使用する。そして、この差分画像の1のピクセルで互いに隣り合った領域のピクセル数、すなわち前述の値が1のピクセルが互いに隣り合って連続している領域の各々の面積を求め、最大の領域のピクセル数で散らばっている差分画像なのか、大きな領域の差分画像なのかを判断する。
【0019】
この差分画像の1つの領域が大きいほど不具合画像の可能性が高いという考えのもと、閾値を決める。この閾値を超える差分画像の領域を持つ出力画像は不具合と判断し、実施したテストでLSIに問題があると判断する。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像判別システムの構成図である。この図2では、本実施の形態は、マウス、キーボード等の入力装置1と、プログラム制御により動作するデータ処理装置2と、情報を記憶する記憶装置3と、ディスプレイ装置や印刷装置等の出力装置4とを含む。
【0021】
記憶装置3は、期待画像のデータを記憶する期待画像記憶部31と、被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶部32と、出力装置4に表示される差分データを記憶する差分データ記憶部33と、最大面積計算部22がピクセル数を計算する差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶部34を備えている。
【0022】
期待画像記憶部31と被検査画像記憶部32は、入力装置1で指定したファイルのデータを保持する。
【0023】
データ処理装置2は、期待画像と被検査画像との差分データを算出するデータ比較部21と、差分画像で前述の値が1とされたピクセルが互いに隣り合って連続している領域のピクセル数を計算し、ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算部22を備える。
【0024】
[実施の形態の動作]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る画像判別システムの動作について詳細に説明する。
【0025】
まず、図2を使用して概要を説明する。データ比較部21は、期待画像記憶部31と被検査画像記憶部32のデータを比較し、ピクセル単位の差分量を差分データ記憶部33に保存する。差分量の計算は一般的な差の絶対値の相違度計算を行う。このとき、差分データ記憶部33の値が0なら0、それ以外の場合は1を、最大面積計算用データ記憶部34に対応するピクセルへ同時に格納する。
【0026】
最大面積計算部22は、最大面積計算用データ記憶部34の差分のあるピクセル(値が1)の互いに隣り合った連続した領域のピクセル数、すなわち各々の面積を求め、その最大領域のピクセル数を計算し、出力装置4へ出力する。
【0027】
なお、この最大面積計算部22とは別に、差分データ記憶部33のデータを画像イメージとして出力装置4で表示する機能も有する。これは、不具合画像からLSIをデバッグするために使用する機能である。
【0028】
次に、図1並びに図3、図4、図5及び図6の本発明の実施の形態に係る画像判別システムの動作を示すフローチャートを参照して本発明の実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0029】
まず、図2の入力装置1から与えられた図1の期待画像1を図2の期待画像記憶部31に、図1の不具合画像2を被検査画像として被検査画像記憶部32に記憶する。その後、図2のデータ比較部21で比較を行い、差分データを差分データ記憶部33へ記憶する。
【0030】
図3は、データ比較部21の動作を示すフローチャートである。まず、ステップA1とステップA6にて全ピクセルを1ピクセル毎にループする。
【0031】
ステップA2は、ピクセル単位で画素値が同一か否かの判断を行っている。同一の場合は、ステップA3にて0(RGBの場合は黒)の差分ピクセルを差分データ記憶部33に作成し、最大面積計算用データ記憶部34の該当ピクセルに0(差分なし)を格納する。
【0032】
違う場合は、ステップA4にて差の絶対値(差分を色として表現する)を差分データ記憶部33に作成し、ステップA5で最大面積計算用データ記憶部34の該当ピクセルに1(差分あり)を格納する。
【0033】
この差分データ記憶部33は、イメージ画像として、後に出力装置4で表示され、この例でのイメージは、図1の不具合差分画像3のことである。
【0034】
本実施の形態での期待画像記憶部31、被検査画像記憶部32、最大面積計算用データ記憶部34、差分データ記憶部33にそれぞれ記憶される画像データの不具合部分のみ拡大したピクセル値を図8に示す。このピクセル値は、モノクロ8ビットの16進数で示しているが、他のカラーフォーマットの場合も同様な動作となる。
【0035】
最大面積計算用データ記憶部34へのデータの記憶が完了すると、最大面積計算部22が動作を開始する。図4は、最大面積計算部22の動作を示すフローチャートである。まず、ステップB1にて最大面積の初期値を0ピクセルにする。次に、ステップB2とステップB5にて最大面積計算用データ記憶部34の全ピクセルを1ピクセル毎にループする。この1ピクセル単位に差分のある(値が1)互いに隣り合った連続した領域のピクセル数を計算する関数をステップB3で呼び出す。このステップB3は、1つの領域に対してのピクセル数が対象となり、ステップB2でのループで他の領域を計算した場合は、ステップB4にて最大面積値と比較して値を更新する。
【0036】
次に、ステップB3にて呼び出す最大面積を計算する関数を、図5及び図6にて説明する。ここで図5及び図6は、最大面積を計算する関数のフローチャートである。この関数は再帰的に呼び出され、ピクセル単位で差分をチェックする。まず初めて呼び出された(図4のステップB3からの呼び出しの)場合は、ステップC1の判断でステップC2にて今回計算する領域の面積を0ピクセルで初期化する。C3での計算対象ピクセルかの判断には、最大面積計算用データ記憶部34の該当ピクセルが1(差分有り)のときに計算対象として、ステップC4へ進む。計算対象でない場合は、関数を終える。
【0037】
ステップC4では、このピクセルをもう一度計算対象としないために、最大面積計算用データ記憶部34の該当ピクセルを2(差分有り&計算済み)に変更する。そして、ステップC5にて戻り値の計算面積を1ピクセルインクリメントする。その後は、8方向に隣接するピクセルに移動して計算を行うための処理であるステップC6からステップC21を行う。
【0038】
ステップC6では、ステップC7で左下への移動を行うために、現在の計算対象ピクセルが画像の左下端でないことのチェックと、計算過程の前回の計算対象ピクセルが左下でなかったかの判断を行っている。その後のステップC8からステップC21までは、同様に8方向全ての判断を行って、再帰呼び出しを行っている。
【0039】
具体的には、最大面積計算部22は、最大面積計算用データ記憶部34に記録されている差分データの先頭アドレスから順にピクセルをスキャンし、数値1のピクセルが互いに隣り合って連続する領域内(以下、連続する領域内)では、移動元が前記連続する領域内の左下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左下端でない場合は左下に移動してスキャンする。
【0040】
移動元が連続する領域内の下でなくかつ現在の座標が連続する領域内の下端でない場合は下に移動してスキャンする。
【0041】
移動元が連続する領域内の右下でなくかつ現在の座標が連続する領域内の右下端でない場合は右下に移動してスキャンする。
【0042】
移動元が連続する領域内の左でなくかつ現在の座標が連続する領域内の左端でない場合は左に移動してスキャンする。
【0043】
移動元が連続する領域内の右でなくかつ現在の座標が連続する領域内の右端でない場合は右に移動してスキャンする。
【0044】
移動元が連続する領域内の左上でなくかつ現在の座標が連続する領域内の左上端でない場合は左上に移動してスキャンする。
【0045】
移動元が連続する領域内の上でなくかつ現在の座標が連続する領域内の上端でない場合は上に移動してスキャンする。
【0046】
移動元が連続する領域内の右上でなくかつ現在の座標が連続する領域内の右上端でない場合は右上に移動してスキャンする。
【0047】
最大面積を計算する関数の入出力の仕様は、図7に示したようになっている。入力は、計算対象座標(x、y)と、計算対象ピクセルを移動する際の移動方向情報(v)と、現在の計算面積(nr_pixels)である。戻り値は、計算結果の面積を返し、単位はピクセルである。移動情報(v)は、初めて呼び出された(図4のステップB3からの呼び出し)場合には、中央の座標(図7の“0”の位置)を指定し、その後は、図7に示すように移動対象のピクセルの位置で指定する。
【0048】
本実施の形態での期待画像記憶部31、被検査画像記憶部32、差分データ記憶部33、最大面積計算用データ記憶部34が記録するデータは、図8のそれぞれで示す状態となっている。
【0049】
最大面積計算用データ記憶部34は、図8中の0の部分が差分なし、1の部分が差分有りのピクセルを表している。この差分有りの1のピクセルのみを抽出した説明が、図9である。ここで、図9は、本実施の形態に係る最大面積計算手順22での差分画像の処理を示す図である。
【0050】
最大面積計算用データ記憶部34に記録されている差分データの先頭アドレスから順にピクセルをスキャンすると、対応する画像の座標では、図9のように左下からX軸を右に進み、画像の右端まで到達した後にY軸を1つ上に進んで行く位置になる(図4のループ)。このような順序で最大面積計算用データ記憶部34の差分有りの部分を検索すると、本実施の形態では、図9で示す1のピクセルにて初めて差分の有るピクセルを検出する。次に、差分のある領域の面積値を計算する関数(図5及び図6)は、再帰呼び出しにて2に移動する。同じ動作を8まで繰り返すと、右側の差分がなくなるので、左上の9に移動する。その後、13まで左へ移動すると8方向全部が差分なし、または処理済みとなる。この場合、再帰呼び出しなので、関数リターンを11まで繰り返し、14に移動できることを検出して移動する。その後は同様に20まで繰り返し、同じく8方向全ての移動ができなくなり、19に戻ってから21へ移動する。22に到達すると、移動可能ピクセルがなくなるので、1まで関数リターンを繰り返し、図4のステップB3へ戻ることになり、計算面積である戻り値は22ピクセルとなる。
【0051】
次に図4のループ(最大面積計算用データ記憶部34の差分有りのピクセル検索)で検出する次のピクセルは、図9の2となる。このとき、差分のある領域の面積値を計算する関数が呼び出された場合は、前回の呼び出しのステップC4で計算実施済みピクセルとなっているので、ステップC3にて計算面積を0ピクセルとして関数を終える。その後の計算済みピクセルについても同様の動作である。
【0052】
これら一連の動作から、最大面積計算部22で最大面積計算用データ記憶部34の差分のあるピクセルで互いに隣り合った領域の各々のピクセル数が求まり、その最大値を得ることができる。計算が完了すると、最後に計算結果の最大面積を出力装置4に出力し、差分データ記憶部33のデータを画像として出力装置4に出力する。
【0053】
不具合画像と誤差画像の判断には、この出力装置4の最大面積に閾値を決めておき、最大面積計算部22は、最大面積が単純にある値以上の場合は、警告を発行するようにしておけばよい。警告を検出した場合には、差分データ記憶部33から出力装置4へ出力されたイメージ画像で、差分位置と値の差を色調にて確認することが可能である。
【0054】
以上に示してきたように、本実施の形態では、差分画像の互いに隣り合った連続した領域の最大面積に、不具合画像と判断する閾値を設定することにより、不具合のある画像を判別でき、人的作業を減らすことが可能となる。
【0055】
又、本実施の形態では、データ比較部21で行っている計算が、単純な一致不一致の2値によるものであり、複雑な相違度計算を行わないので、処理の高速化が実現可能である。ここで、差分データ記憶部33の差の絶対値を計算する処理は、あくまで不具合画像解析用のデータなので、高速化のためには不具合画像検出後でも良い。
【0056】
更に、本実施の形態では、不具合画像の警告が発行された場合に、差分画像が確認できる。これにより、不具合箇所の特定を判断する材料になり、不具合原因特定の時間短縮が可能となる。
【0057】
[実施の形態における誤差画像の処理]
次に、本発明の実施の形態として、誤差画像の場合について詳細に説明する。
【0058】
誤差画像の場合も不具合画像のときと同様に、まず、図2の入力装置1から与えられた図1の期待画像1を図2の期待画像記憶部31に、図1の誤差画像4を被検査画像として図2の被検査画像記憶部32に記憶する。
【0059】
その後、データ比較部21で比較を行い、差の絶対値を差分データ記憶部33へ、差分の有無の情報を最大面積計算用データ記憶部34へ記憶する。この動作は、実施の形態の不具合画像の場合の例と同様である。
【0060】
本実施の形態での最大面積計算用データ記憶部34に記録されるデータのうち、図10で示す領域が差分有りのピクセルとなっている。この領域が、画像判別システム22の最大面積計算手順で処理される差分画像となる。
【0061】
ピクセルをスキャンする順序は、不具合画像の例と同様に、左下から開始してX軸を右に進み、画像の右端まで到達した後にY軸を1つ上に進んで行く。
【0062】
本実施の形態では、図10の1のピクセルにて初めて差分ピクセルを検出する。次に、最大面積を計算する関数は、再帰呼び出しにて2に移動する。この次に移動するピクセルが存在しないので関数呼び出しは1に戻り、面積を2ピクセルとして関数を終える。図4のループ(上記の画像左下からの検索)で、次に図5のステップC3で計算対象ピクセルと判断される箇所は、図10の3のピクセルである。この場合も同様に、面積を2ピクセルとして関数を終える。同様に5のピクセルの場合は、面積が3ピクセルとなり、8と10のピクセルの場合は面積が2ピクセルとなる。これらの面積の最大値は5、6、7の連続した領域の面積の3ピクセルなので、差分領域の最大面積は3ピクセルとなって、図4の最大面積計算部22を終える。
【0063】
最後に計算結果の最大面積である3ピクセルを出力装置4に出力し、差分データ記憶部33のデータを画像として出力装置4に出力する。不具合画像と誤差画像の判断には、この出力装置4の差分画像の差分のあるピクセルの互いに隣り合った連続した領域の最大の面積に閾値を決めており、3は十分小さいと考えられるので、今回の画像は計算精度誤差の差分画像と判断される(図1の誤差差分画像5)。
【0064】
本実施の形態では誤差差分画像なので警告は発行されないが、差分データ記憶部33と最大面積は出力装置4へ出力されているので、後で確認することは可能である。
【0065】
本実施形態による画像判別システムは、ハードウェアによっても実現することもできるが、コンピュータをその画像判別システムとして機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータで読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することが出来る。
【0066】
又、本実施の形態による画像判別方法は、ハードウェアによっても実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータで読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、画像処理装置が出力する画像データが期待画像通りのデータかどうかを容易に判断できるので、CGによる画像描画系LSI開発時に利用することができる。又、統一規格の合否判断として、差分図形の互いに隣り合った連続した領域の面積の最大値に閾値を設け、合格基準判断に使用するといった用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 入力装置
2 データ処理装置
3 記憶装置
4 出力装置
21 データ比較部
22 最大面積計算部
31 期待画像記憶部
32 被検査画像記憶部
33 差分データ記憶部
34 最大面積計算用データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置と、画像のデータを記憶する記憶装置と、該画像のデータを処理するデータ処理装置と、処理の過程及び結果を表示及び出力する出力装置とを有する画像判別システムであって、
前記データ処理装置は、
見本となる期待画像と、判別対象である被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較部と、
前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算部と、
を備え、
前記記憶装置は、
前記期待画像のデータを記憶する期待画像記憶部と、
前記被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶部と、
前記最大面積計算部がピクセル数を計算する前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶部と、
を備え、
前記最大面積計算部は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする画像判別システム。
【請求項2】
前記最大面積計算部は、前記最大面積計算用データ記憶部に記録されている前記差分データの先頭アドレスから順にピクセルをスキャンし、
前記連続する領域内では、移動元が前記連続する領域内の左下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左下端でない場合は左下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の下端でない場合は下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右下端でない場合は右下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左端でない場合は左に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右端でない場合は右に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左上端でない場合は左上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の上端でない場合は上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右上端でない場合は右上に移動してスキャンすることを特徴とする請求項1に記載の画像判別システム。
【請求項3】
前記データ比較部は、前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が一致する部分は0の数値、画素値が異なる部分は前記識別する数値として1の数値を設定して、前記差分データを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像判別システム。
【請求項4】
前記出力装置に表示する前記差分データを記憶する差分データ記憶部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像判別システム。
【請求項5】
見本となる期待画像のデータを記憶する期待画像記憶手順と、
判別対象である被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶手順と、
前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較手順と、
前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶手順と、
前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算手順と、
を備え、
前記最大面積計算手順は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする画像判別方法。
【請求項6】
前記最大面積計算手順は、前記最大面積計算用データ記憶手順で記録した前記差分データの先頭アドレスから順にピクセルをスキャンし、
前記連続する領域内では、移動元が前記連続する領域内の左下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左下端でない場合は左下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の下端でない場合は下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右下端でない場合は右下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左端でない場合は左に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右端でない場合は右に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左上端でない場合は左上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の上端でない場合は上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右上端でない場合は右上に移動してスキャンすることを特徴とする請求項5に記載の画像判別方法。
【請求項7】
前記データ比較手順は、前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が一致する部分は0の数値、画素値が異なる部分は前記識別する数値として1の数値を設定して、前記差分データを出力することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像判別方法。
【請求項8】
見本となる期待画像のデータを記憶する期待画像記憶処理と、
判別対象である被検査画像のデータを記憶する被検査画像記憶処理と、
前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が異なるピクセルに該ピクセルを識別する数値を設定した前記期待画像と前記被検査画像との差分データを出力するデータ比較処理と、
前記差分データを記憶する最大面積計算用データ記憶処理と、
前記差分データ上で、前記識別する数値が設定されたピクセルが互いに隣り合って連続する領域のピクセル数を計算し、該ピクセル数が最大のものを決定する最大面積計算処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記最大面積計算処理は、前記領域のピクセル数が、所定の閾値以上の場合に前記被検査画像を不具合のある画像と判断することを特徴とする画像判別プログラム。
【請求項9】
前記最大面積計算処理は、前記最大面積計算用データ記憶処理で記録した前記差分データの先頭アドレスから順にピクセルをスキャンし、
前記連続する領域内では、移動元が前記連続する領域内の左下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左下端でない場合は左下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の下端でない場合は下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右下でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右下端でない場合は右下に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左端でない場合は左に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右端でない場合は右に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の左上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の左上端でない場合は左上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の上端でない場合は上に移動してスキャンし、
移動元が前記連続する領域内の右上でなくかつ現在の座標が前記連続する領域内の右上端でない場合は右上に移動してスキャンすることを特徴とする請求項8に記載の画像判別プログラム。
【請求項10】
前記データ比較処理は、前記期待画像と、前記被検査画像とを比較し、画素値が一致する部分は0の数値、画素値が異なる部分は前記識別する数値として1の数値を設定して、前記差分データを出力することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−271904(P2010−271904A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123005(P2009−123005)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】