説明

画像化を使用して容器内の液体レベルを測定するための方法および装置

試料のレベルを測定するための方法、システムおよび装置を提供する。画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む。画像から対象領域を抽出する。対象領域にフィルタを適用する。フィルタリングされた領域を一次元アレイに分画する。一次元アレイをマスクする。マスクされた一次元アレイに基づき、容器内の試料のレベルを測定する。多数の他の態様が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体体積の計測に関し、より具体的には、画像化を使用して容器内の液体のレベルを検出および計測するための方法および装置に関する。
【0002】
・背景
診断目的、日常治療、研究などのために試料上で様々な試験を実施することがある。医療分野では、試料は、例えば、血液、尿、DNA、糞便、組織などを包含することができる。他の分野、例えば、生物テロでは、試料は、例えば、空気、水、土壌などを包含することができる。往々にして、試験の一部として、試料を試薬と混合し、生成物を生じさせることがある。インビトロ環境では、混合は、例えば、患者身体の外部で行うことができる。加えて、異なる試験では、様々な容器に収集することができる、異なる分量の試料が要求されることがある。いくつかの事例では、容器は、特定の試験に対して必要を上回る試料容量を有することがある。例えば、添加する試薬の適切な量を測定するか、適切な計算を作成するか、液体レベルの自動的な確定として機能するか、規制上の要求に対応するため、容器内の試料の分量を把握することが望ましいことがある。
【0003】
本発明の発明者らは、インビトロ診断のための従来の自動的および非自動的な液体レベル検知における既存の問題として、従来の方法が複雑であり、したがって、コスト高であることができることを確認している。加えて、従来の液体レベル検知方法は、特に、試料の破壊または物理的な接触がない場合、次第により小さくなる体積の検出において不確実であることがある。例えば、観察者が試料を視認し、試料の液体レベルを記録する、従来の視覚的な方法は、不正確かつ時間浪費的であることがある。
【0004】
電気容量方法は、試料の液体レベルを検知するためのもう一つの従来の方法であるかもしれない。電気容量方法では、プローブを試料に挿入し、それにより、試料に接触させることがあり、ある程度、試料に対して破壊的であることがある。加えて、試料との接触により、試験される異なる試料間での持ち越し(キャリーオーバー)の可能性が増大することがある。換言すると、試験された第一の試料のいくつかは、例えば、容量方法で使用されたプローブ上に残存し、同じプローブによって試験された第二の試料に持ち越されることがある。電気容量方法では、順次、プローブ上のキャパシタンスの変化を生じさせる、試料との接触の時点におけるプローブの位置を計測することにより、試料のレベルを検出する。しかし、電気容量方法は、キャパシタンスの非常に小さい変化を検出することの困難性だけでなく、試料の液体レベルを検出するときの状況における不可避的なバルク寄生変化および干渉(すなわち、試料表面上の気泡もしくは塵埃または試料内の乱流)により、限定されることがある。
【0005】
圧力センサは、試料の液体レベルを検知するためのもう一つの従来の方式であるかもしれない。圧力センサは、圧力計が配置された各所で試料の圧力を計測する。電気容量方法で使用されるプローブと同様に、圧力センサの構成要素が試料に接触し、それにより、試料を破砕するか、結果的に相互汚染となることがある。加えて、圧力センサは、試料内の干渉、例えば、外来物体または固形物がセンサに干渉することがあるため、液体レベルを検出することに困難性を有することがある。
【0006】
試料の液体レベルを検知するためのもう一つの従来の方式は、音波パルスを試料に送波し、反射波が戻るまでの時間をセンサで検査する、超音波の使用であるかもしれない。電気容量方法および圧力センサとは違い、超音波では、試料との接触が必要ではない。しかし、超音波によるレベル検知は、温度および湿度に応じて変化することがある空気特性に依存するにつれ、具現化が困難なことがある。加えて、超音波によるレベル検知に伴う分解能は、相当に低いことがある。それゆえに、容器内の試料の量を測定するための改良された方法および装置が要望されている。
【0007】
・発明の概要
本発明の態様では、試料のレベルを測定するための方法を提供する。方法は、画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と;画像から対象領域を抽出する工程と;対象領域にフィルタを適用する工程と;フィルタリングされた領域を一次元アレイに分画する工程と;一次元アレイをマスクする工程と;マスクされた一次元アレイに基づき、容器内の試料のレベルを測定する工程とを含む。
【0008】
本発明のもう一つの態様では、試料のレベルを測定するためのシステムを提供する。システムは、画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内の試料の画像を取り込むように適合されている、画像取り込み装置と;画像から対象領域を抽出し、対象領域にフィルタを適用し、フィルタリングされた対象領域を一次元アレイに分画し、一次元アレイにマスクを適用し、マスクされた一次元アレイに基づき、容器内の試料のレベルを測定するように適合されている、画像取り込み装置に連結された制御部とを包含する。
【0009】
本発明のもう一つの態様では、試料のレベルを測定するための方法を提供する。方法は、:画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と;画像から対象領域を抽出する工程と;対象領域にフィルタを適用する工程と;画像を複数のより狭い垂直アレイに分割する工程と;各垂直アレイをピークについて分析する工程と;分析からの結果的なピークを垂直単位当たりで計数および結合する工程と;結合されたピークからヒストグラムを形成する工程と;ヒストグラムをピーク集中について分析する工程と;分析に基づき、容器内の試料のレベルを測定する工程とを含む。
【0010】
本発明のなおもう一つの態様では、試料表面上における気泡の存在および量を測定するための方法を提供する。方法は、:画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と;画像から対象領域を抽出する工程と;対象領域にフィルタを適用する工程と;フィルタリングされた対象領域を一次元アレイに分画する工程と;一次元アレイをマスクする工程と;マスクされた一次元アレイに基づき、試料と周囲空気との界面を測定する工程と;界面から離れる少なくとも一つの方向の一次元アレイにおいて、連続集中が気泡である、ピークの連続集中の範囲を検出する工程とを含む。
【0011】
本発明の他の特徴および態様は、下記の詳細な説明、添付の請求項および付随する図面から、より詳しく明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明のいくつかの実施態様により、試料のレベルを測定するためのシステムを図示したブロック図である。
【図1B】図1Aに記載したシステムの概略図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施態様に従った方法例を表した、フローチャートである。
【図2B】本発明のいくつかの実施態様に従った、図2Aに記載した方法の斜視図である。
【図2C】本発明のいくつかの実施態様に従った、図2Aに記載した方法の斜視図である。
【図2D】本発明のいくつかの実施態様に従った、図2Aに記載した方法の斜視図である。
【図2E】本発明のいくつかの実施態様に従った、図2Aに記載した方法の斜視図である。
【図2F】本発明のいくつかの実施態様に従った、図2Aに記載した方法の斜視図である。
【図3】本発明のいくつかの実施態様に従った方法例を表した、フローチャートである。
【図4】本発明のいくつかの実施態様に従った方法例を表した、フローチャートである。
【0013】
・詳細な説明
本発明は、容器内の試料の液体レベルを検知するためのシステム、装置および方法を提供する。とりわけ、本発明は、容器内に維持された試料の画像を取り込む方法を提供する。画像は、任意の従来の手段(例えば、ビデオカメラ、デジタル静止カメラ、ラインスキャナなど)によって取り込むことができる。容器は、試料を通じた光の透過を可能とするため、透明な材料から作成することができる。試料の画像を取り込むことにより、試料に物理的に接触することなく、試料を観察/計測することができる。いくつかの実施態様では、画像を光強度の二次元アレイに変換することができる。
【0014】
その後、対象領域を二次元アレイから抽出または切り取ることができ、必要な場合、対象領域の形状寸法を調整することができる。対象領域は、容器の底部および試料と周囲空気との間の界面の両方を含む、容器内の試料を包含することができる。垂直軸が容器内の液体のレベルについての情報を含むにつれ、水平アレイ情報を無視し、垂直アレイ情報のみを分析することができるように、二次元アレイの形状寸法の調整が必要となることがある。垂直域の特徴(例えば、強度の変化、例えば、空気−試料界面または容器の底部)を強調または検出するため、その後、例えば、垂直域のハイパスまたは微分フィルタで二次元アレイを処理することができる。本出願にわたり、「微分フィルタ」という用語を使用する一方、特徴を検出するための他の方法、例えば、人工知能アルゴリズムを使用することができる。「微分フィルタ」という用語の使用は、単に例示的なものであり、いかなる方式においても、微分フィルタを使用するか、使用を要求することのみに本発明を限定しないことに留意する。本発明に従い、二次元アレイを処理する他の公知の手段を使用し、垂直域のフィーチャを強調または検出することができる。
【0015】
その後、微分的にフィルタリングされた二次元アレイを水平に分画し、垂直一次元アレイを形成することができる。一次元アレイの各要素は、二次元アレイのすべての線要素の正規化された和(または平均)であることができる。代替実施態様では、例えば、第一に二次元アレイを一次元アレイに分画し、その後、微分フィルタ等で一次元アレイを処理できることに留意する。他の実施態様では、例えば、単ライン光学センサ(ライン走査アレイ)を通じて画像を取り込むときに、円筒レンズを通じ、画像を水平に補間することができる。この場合、データが一次元のみで存在するが、これは、従来の視覚システムの場合に可能ではない。一次元微分アレイまたは信号にマスクを適用し、試料内にあることができるノイズ(例えば、塵埃、外来異物、泡)を明確にすることができる。結果的な信号をピークについて検査することができる。ピークの高さに基づくさらなる処理のため、あるピークを選択し、容器の底部および液体と周囲空気との界面/レベルを測定することができる。
【0016】
いくつかの事例では、物体(例えば、塵埃、気泡の泡など)が容器の全幅を覆うほどに大きいことができ、および/または周囲空気に対する物体のコントラストが主な液体−周囲空気界面のコントラストと同等である。後に記載するように、いくつかの実施態様では、物体が容器の全幅を覆うときに、物体を気泡と見なすことができる。いくつかの実施態様では、容器内の試料の量を計算するうえで有意なほどの試料を気泡が含有するにつれ、気泡の量を測定することが望ましいことができる。空気−液体界面がそれほどよく画定されていない事例では、本発明のもう一つの実施態様を使用し、試料の液体レベルを測定することができる。この実施態様では、特定のピーク高さに基づいてピークを選択する代わりに、後にさらに解説するように、垂直単位当たりのその出現頻度に基づき、ピークを選択することができる。この実施態様では、工程は、垂直次元の微分フィルタで二次元アレイを処理することができる工程までを包含する、第一の実施態様に対して先に記載した工程と同じである。その後、二次元アレイを「n」個のより狭い垂直アレイに分割することができ、「n」個の各垂直アレイをピークについて個別に分析することができる。その後、微分的にフィルタリングされた「n」個の二次元アレイを水平に分画し、「n」個の垂直一次元微分アレイを形成することができる。先に記載したように、微分フィルタで処理する前に、「n」個の二次元アレイを「n」個の一次元アレイに分画し、結果的に、「n」個の一次元微分アレイとすることができる。先のように、「n」個の一次元微分アレイにマスクを適用し、ノイズを明確にすることができる。結果的な「n」個の信号のピークを、例えば、ヒストグラムで結合および計数(垂直単位当たり)することができる。その後、結果的なヒストグラムをさらに処理し、容器の底部および液体と周囲空気との界面/レベル、気泡および/または他の物体の存在を測定することができる。
【0017】
加えて、先に記載したピーク頻度方法を使用し、試料表面上の物体(例を目的としてのみ、本明細書において、以降、「気泡」と呼ぶ)の存在およびサイズを検出することができる。第一にヒストグラムを検査し、容器の底部を除外したときに、ヒストグラム上の第一の主要なピークとして認識することができる、液体/周囲空気界面を検出することにより、気泡の存在およびサイズを測定することができる。その後、液体/周囲空気界面から(容器の上部および底部に向かう)両方の方向にヒストグラムを検査し、連続集中が少なくとも二つのピークであり、ピーク間の距離が泡の最大サイズによって画定される規定数(例を挙げれば、少なくとも二つのピクセル)よりも大きくない、ピークの連続集中を検出することができる。そのような範囲が判明した場合、その後、気泡として報告することができる。ピークの連続集中の範囲におけるピーク数は、予想される気泡サイズ、垂直アレイ数およびヒストグラムへのローパスフィルタの適用の関数であることができる。
【0018】
図1Aおよび1Bを参照すると、それぞれ、本発明のいくつかの実施態様により、試料のレベルを測定するためのシステム100を図示する、ブロック図および概略図を提供している。システム100は、容器106内に維持され、場合により、光源108によって照光される、試料104の画像を取り込むため、画像取り込み装置102を包含することができる。容器106内の試料104と周囲空気との間の界面110を識別するため、場合により、画像取り込み装置102を制御部112に連結し、動作させることができる。
【0019】
先に記載したように、画像取り込み装置102は、任意の従来の画像取り込み手段を包含することができる。例えば、画像取り込み装置102は、ビデオカメラ、デジタル静止カメラ、ラインスキャナ、CCDアレイなどであることができる。図1Bに示すように、システム100は、一つ以上の画像取り込み装置102を包含することができる。従来の視覚システムは、画像を二次元アレイとして取り込むことができる。他の実施態様では、例えば、単ライン光学センサ(例えば、ライン走査アレイ)を通じて画像を取り込むときに、円筒レンズを通じ、画像を水平に補間することができる。この場合、画像からのデータが一次元のみで存在する。
【0020】
取り込まれた画像は、容器106内に維持された試料104を描出することができる。図1Bに示すように、システム100は、その中に試料104を維持する、一つ以上の容器106を包含することができる。先に記載したように、試料は、例えば、血液、尿、DNA、糞便、組織、空気、水、土壌などを包含することができる。任意の他の好適な試料を使用することができる。容器106は、その中に試料を維持し、試料を通じた光の透過を許容するのに好適である、任意の容器であることができる。換言すると、例えば、容器106は、後により詳細に記載するように、容器106内の試料104の量を測定することができるように、それを通じた光の透過を許容するため、透明な材料から作成することができる。図1Bに描出するように、カルーセルまたは搬送装置上に設置された容器106に試料104を保持することができ、画像取り込み装置102は、試料の取り扱いおよび計測の自動化を促進するため、容器106が通過するにつれ走査するように配設されている。
【0021】
先に提示したように、いくつかの実施態様では、システム100は、さらに、光源108を包含することができる。光源108は、試料104を照光し、画像取り込み装置102のため、試料104と周囲空気との間の界面110をさらに目立たせることができる。容器106と同じ水平面上に光源108を概略的に描出している一方、他の方位を使用することができる。例えば、光源108を容器106の下方に位置付けることができ、界面110をよりよく目立たせることができる。後にさらに記載するように、空気/試料界面110を使用し、容器106内の試料104の量を測定することができる。
【0022】
先に提示したように、いくつかの実施態様では、システム100は、制御部112も包含することができる。いくつかの実施態様では、システム100の任意またはすべての様々な構成要素に連結し、ならびに/またはあるいは通信および/もしくは制御することができる、制御部112により、システム100を動作させることができる。後にさらに記載するように、画像取り込み装置102から画像データを受信してデータを分析し、容器106内の液体/試料レベルを測定し、試料104の高さを試料104の体積に換算するように、制御部112を適合させることもできる。制御部112は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、論理回路、コンピュータ、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の組み合わせ等を包含することができる。制御部112は、入力/出力ポート、キーボード、マウス、ディスプレイ、ネットワークアダプタなどを包含する、様々な通信設備を包含することができる。いくつかの実施態様では、本明細書において記載する本発明の方法を実施するためのプログラム指令を実行するように、制御部112を作動させることができる。
【0023】
図2Aを参照すると、本発明の方法例200を描出したフローチャートを提供している。先に記載したように、試料104を容器106内に含有することができる。工程S102では、画像取り込み装置102が試料104の画像を取り込む(図2B)。画像取り込み装置102によって取り込まれた画像は、光の異なる強度を提示する二次元アレイとして表すことができる(図2C)。工程S104では、画像を切り取り、画像から対象領域を抽出するように形状寸法を調整することができる(図2D)。先に提示したように、切り取られた画像が十分となるにつれ、形状寸法の調整は、任意とすることができる。切り取られた画像が十分でないことがある事例では、画像の水平情報を無視し、画像を単次元で分析することができるように、形状寸法を調整することができる。対象とする単次元は、容器106内の試料104の高さまたはレベルに関わる情報を含有する、垂直次元または軸であることができる。画像からの情報は、垂直または水平次元のいずれかでは、「信号」と呼ぶことができる。いくつかの実施態様では、水平軸を分析することができる。強度の二次元アレイとして表された画像(図2C)が歪んでいるか、いくつかの他の方式における実際の物理的な水平/垂直整列から逸脱している場合、垂直次元の対象信号を減衰および/または水平軸からの信号と混合することができる。この状態では、アレイに歪みおよび/または逸脱補正を適用し、観察可能または公知の変形を補償することが必要であることができる。例えば、大きい水平長さに及ぶことができ、画像内で歪んで見えることができる、高いコントラストを持つ二つの主要な可視フィーチャは、容器106の底部および空気/試料界面110であることができる。
【0024】
工程S106では、例えば、微分フィルタを使用して垂直次元で対象領域をフィルタリングし、空気−試料界面および容器の底部を強調または検出することができる(図2E)。任意の好適な微分またはハイパスフィルタ等を使用することができる。例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、バターワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、ベッセルフィルタおよび/または楕円フィルタを使用することができる。当技術分野において周知であるように、デジタルフィルタ(例えば、FIR、バターワース、チェビシェフ、ベッセルおよび楕円)は、数学関数またはアルゴリズムとして表現することができる、多くのフィルタリング効果を実現することができる。
【0025】
工程S108では、フィルタリングされた対象領域を水平に分画し、垂直一次元微分アレイ、例えば、例示として、図2Fに示すグラフの線1(L1)とすることができる。微分フィルタを適用すると、結果的に、アレイは、正および負ピークの両方を有することに留意すべきである。本明細書において示すグラフ(図2F)では、すべてのピークが正であるように、微分一次元アレイの絶対値を使用している。しかし、他の実施態様では、負ピークで微分一次元アレイを分析することができる。先に提示したように、いくつかの実施態様では、微分フィルタの適用前に二次元アレイを一次元アレイに分画することができる。微分一次元アレイの各要素は、元の(二次元)アレイのすべての線要素の正規化された和(または平均)であることができる。
【0026】
グラフは、「上部」および「底部」が容器104の上部および底部を提示する、様々な光強度の垂直的な微分値を提示することができる。しかし、L1(元の一次元微分アレイであり、信号とも呼ぶ)は、システム内に存在することができ、界面の検出をより困難にすることができる、不可避的なノイズ/干渉/微小なフィーチャを包含することができる。したがって、工程S110では、ノイズについて補正するため、例えば、L1に閾値(例を挙げれば、比較関数)の結果を乗じることにより、L1をマスクすることができる。閾値は、元の一次元微分アレイおよび定数(L3)(細い鎖線)の移動平均(L2)(破線)の和であることができる。Llに閾値の結果を乗じたとき、結果的な信号は、マスクされているか、クリーンな信号(L4)(太い鎖線)である。
【0027】
工程S112では、結果的な信号に基づき、容器内の試料のレベルを測定する。例えば、ピーク高さに基づき、局所的なピークについて結果的な信号または(L4)を検索することができる。制御部112は、例えば、それらのピークを処理するためのアルゴリズムを包含することができる。アルゴリズムは、局所的なピークを測定するための単純な規則または論理を有することができる。例えば、図2Fに示すグラフに対し、底部に最も近接したピークは、容器の底部であることができ、底部からの第二のピークは、第一の空気/試料界面110であることができる。追加のピークは、試料表面上の物体(例を挙げれば、泡または塵埃)を表すことができる。例えば、図2Fに示すグラフでは、底部ピークから最も遠いピークは、試料内に存在することができる気泡または他の外来物体の上部であることができる。空気/試料界面110は、容器106内の試料104の高さまたはレベルを指示している。空気/試料界面110を測定することにより、アルゴリズムは、容器106が公知の寸法を有することを条件として、容器106内の試料104の高さから、容器106内の試料104の体積を計算することができる。この方法200は、試料および周囲空気が均一であり、空気/試料界面がよく画定されているときに、好ましいことができる。
【0028】
図3を参照すると、ピーク頻度を使用し、容器内の試料レベルを測定するための方法例300を表したフローチャートを提供している。この方法300は、誤った空気/試料界面に現れることがある物体を試料が含有するときに、好ましいことがある。この誤った空気/試料界面は、例えば、気泡、外来異物および/もしくは泡(変形フィーチャ)または他の異物の結果であることがある。例えば、変形フィーチャのサイズが容器104の全幅に近く、変形フィーチャのコントラストが主な空気/試料界面110のコントラストと同等である場合、その後、試料レベルの確実な検出が問題となることがある。したがって、これらの変形フィーチャを明確にするため、図2Aに対して先に記載した方法200は、本明細書において、図3に対して記載した方法300で追加の統計域に拡張することができる。
【0029】
図3の方法300で記載した追加の統計域では、方法200および図2Aで先に記載したような、ピーク高さに基づくピーク選択とは対照的に、ピーク選択が(後に記載するように)垂直単位当たりのピーク出現頻度に基づいている。このように、工程S202〜S206は、図2Aの工程S102〜S106に対して先に記載した工程と同じである。換言すると、工程S202では、画像取り込み装置102が試料104の画像を取り込む。その後、工程S204では、画像を切り取り、(必要な場合)画像から対象領域を抽出するように形状寸法を調整することができる。
【0030】
工程S206では、対象領域に微分フィルタを適用することができる。その後、工程S208では、微分二次元アレイを「n」個のより狭い垂直アレイに分割または細分化することができる。図2Aに対して先に記載した方法200のように、工程S210では、「n」個の各微分二次元アレイを水平に分画し、「n」個の一次元微分アレイとすることができる。先にも記載したように、いくつかの実施態様では、微分フィルタの適用前に、「n」個の二次元アレイを「n」個の一次元アレイに分画することができる。微分一次元アレイの各要素は、細分化された元の(二次元)アレイのすべての線要素の正規化された和(または平均)であることができる。先のように、微分一次元アレイは、ノイズを包含することができる。方法200のように、工程S212では、微分一次元アレイに閾値の結果を乗じることにより、マスクを介してノイズを補正することができる。工程S214では、制御部112は、アルゴリズムを用い、結果的な「n」個のマスクされた各微分一次元アレイを個別に分析し、ピークの存在を測定することができる。
【0031】
工程S216では、結果的なピークを結合および計数(垂直単位当たり)し、ヒストグラムを形成する。その後、工程S218では、ヒストグラムにローパスフィルタおよび追加のマスクを適用し、ノイズについて補正することができる。工程S220では、結果的なヒストグラムを分析し、空気/試料界面110を測定することができる。例えば、数「n」に一部依存する、同じ垂直地点の二つ以上のピークは、容器104の底部を除外した後、空気/試料界面110、気泡/試料界面または気泡/空気界面であるかもしれない、主要な界面を指示することができる。空気/試料界面110は、容器106内の試料104の高さまたはレベルを指示する。方法200および図2Aに対して先に記載したように、容器106が公知の寸法を有することを条件として、空気/試料界面110を測定することにより、アルゴリズムは、容器106内の試料104の高さから、容器106内の試料104の体積を計算することができる。
【0032】
図4を参照すると、試料104の表面上の気泡の存在および量を測定するための例示的な方法400を図示する、フローチャートを提供している。気泡の存在および量を検出するための方法400は、図3に対して先に記載したピーク頻度方法300を使用する。換言すると、工程S102(画像の取り込み)〜S106およびS208〜S218(ヒストグラムの形成)は、本明細書において、方法400の第一の一部として包含される。その後、工程S302では、制御部112は、アルゴリズムを用い、空気/試料界面110の点から容器の上部および底部の両方に向かう結果的なヒストグラムを検査し、特定の値を上回るスパイク/ピークの連続集中の範囲/スパンを検出することができる。特定の値は、例えば、予想される気泡サイズ、数「n」およびヒストグラムへのローパスフィルタの適用に基づくことができる。
【0033】
工程S304では、範囲が判明した場合、気泡として報告することができる。ピークの連続集中の範囲/スパンは、気泡の幅を提示することができる。いくつかの事例では、気泡は、容器の水平幅に及ぶことがある。そのような事例では、気泡の高さが変動するにつれ、気泡の体積も変動することがある。いくつかの実施態様では、気泡が有意な量の試料を含有するにつれ、気泡の体積を計算してもよい。いくつかの事例では、より小さい物体、例えば、例示として、外来物体および泡が容器の水平幅の小さい区分に及ぶことがあり、したがって、気泡として分類されないことがある。
【0034】
前述の説明は、本発明の例示的な実施態様のみを開示している。本発明の範囲内にある、先に開示した装置および方法の変形は、当業者には容易に明らかである。
【0035】
それゆえに、本発明をその例示的な実施態様に関連して開示した一方、下記の請求項によって画定されるように、他の実施態様が本発明の本質および範囲内にあることができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のレベルを測定するための方法であって、
画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と、
画像から対象領域を抽出する工程と、
対象領域にフィルタを適用する工程と、
フィルタリングされた領域を一次元アレイに分画する工程と、
一次元アレイをマスクする工程と、
マスクされた一次元アレイに基づき、容器内の試料のレベルを測定する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
対象領域をフィルタリングする工程が試料内の空気−試料界面を強調する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フィルタが微分フィルタである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一次元アレイをマスクする工程が試料内のノイズを明確にし、ノイズが試料表面上の気泡または塵埃および試料内の乱流の少なくとも一つを包含することができる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
画像から対象領域を抽出する工程がさらに、
画像を切り取る工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
画像から対象領域を抽出する工程がさらに、
画像の形状寸法を調整する工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
一次元アレイをマスクする工程がさらに、
閾値が一次元アレイと一次元アレイに対する定数との加算を含む、閾値をマスクとして適用する工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
容器内の試料のレベルを測定する工程がさらに、
マスクされた信号を局所的なピークについて検索する工程
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
容器内の試料のレベルを測定する工程がさらに、
容器の底部および試料−空気界面を測定する工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
試料のレベルを測定するためのシステムであって、
画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内の試料の画像を取り込むように適合されている、画像取り込み装置と、
画像から対象領域を抽出し、対象領域にフィルタを適用し、フィルタリングされた対象領域を一次元アレイに分画し、一次元アレイにマスクを適用し、マスクされた一次元アレイに基づき、容器内の試料のレベルを測定するように適合されている、画像取り込み装置に連結された制御部と、
を含む、システム。
【請求項11】
フィルタが微分フィルタである、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
システムが一つ以上の容器内の試料の画像を取り込むように適合されている、一つ以上の画像取り込み装置を包含する、請求項10記載のシステム。
【請求項13】
試料のレベルを測定するための方法であって、
画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と、
画像から対象領域を抽出する工程と、
対象領域にフィルタを適用する工程と、
画像を複数のより狭い垂直アレイに分割する工程と、
各垂直アレイをピークについて分析する工程と、
分析からの結果的なピークを垂直単位当たりで計数および結合する工程と、
結合されたピークからヒストグラムを形成する工程と、
ヒストグラムをピーク集中について分析する工程と、
分析に基づき、容器内の試料のレベルを測定する工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
容器内の試料のレベルを測定する工程がさらに、
容器の底部および試料−空気界面を測定する工程
を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
画像から対象領域を抽出する工程がさらに、
画像の形状寸法を調整する工程
を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
試料表面上における気泡の存在および量を測定するための方法であって、
画像が光の強度の二次元アレイとして表される、容器内に収容された試料の画像を取り込む工程と、
画像から対象領域を抽出する工程と、
対象領域にフィルタを適用する工程と、
フィルタリングされた対象領域を一次元アレイに分画する工程と、
一次元アレイをマスクする工程と、
マスクされた一次元アレイに基づき、試料と周囲空気との界面を測定する工程と、
界面から離れる少なくとも一つの方向の一次元アレイにおいて、連続集中が気泡である、ピークの連続集中の範囲を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
ピークの連続集中が特定の値以上である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
さらに、
ピークの連続集中の範囲の幅および気泡の高さに基づき、気泡の量を測定する工程
を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ピークの連続集中が距離によって個別化され、距離が規定数以下である、請求項16記載の方法。
【請求項20】
規定数が泡の最大サイズによって画定されている、請求項19記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−514751(P2012−514751A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545359(P2011−545359)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/067645
【国際公開番号】WO2010/080340
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】