説明

画像品質評価装置および方法

【課題】本発明では、写真品質を自動的に評価することができ、人的資源の消耗が低減され、娯楽機能が向上する。
【解決手段】本発明では、画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得するように適合された画像解析器と、所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて画像の品質を評価し、評価結果を生成するように適合された評価ユニットとを含む画像品質評価装置が開示される。本発明では、画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得すること、および所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて画像の品質を評価し、評価結果を生成することを含む画像品質評価方法が開示される。本発明では、画像品質評価の装置および方法を使用し、画像認識技術を用いて画像のパラメータを解析してパラメータ値が獲得され、次いで、所定の基準に準拠してパラメータ値が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月26日に出願された、中国特許出願第200810187310.3号明細書の優先権を主張するものであり、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はディジタル画像処理の分野に関し、詳細には、画像品質評価装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、生活のあらゆる態様においてディジタル製品が広く使用されており、ディジタルカメラは、パーティや旅行の際の必携品である。写真がディジタルカメラによって撮影されるときには、色飽和(color overload)、人物の赤目、露出過度、レイアウト不良、および/または鮮明度不足といった様々な理由で撮影写真の品質低下が生じ得る。したがって、写真の中には使用に適さない写真となるものもある。しかし、本発明の実施形態を実施する過程において発明者は、既存の技術には少なくとも、高品質の写真と低品質の写真を手作業の選択によってしか区別することができず、人々は何枚もの写真を選択するのに大いに不便を感じている、という問題があることに気付いた。すなわち、写真品質は既存の技術では評価することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で解決すべき技術的問題は、写真の品質を自動的に評価するための画像品質評価の装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では前述の技術的問題を解決する画像品質評価装置が提供される。この装置は、
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得するように適合された画像解析器と、
所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて画像の品質を評価し、評価結果を生成するように適合された評価ユニットと
を含む。
【0006】
本発明の一実施形態では画像品質評価方法が提供される。この方法は、
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得することと、
所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて品質評価を行い、評価結果を生成することと
を含む。
【0007】
本発明の一実施形態では、画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得し、次いで、所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて画像の品質を評価することによって写真品質を評価することができ、人的資源の消耗が低減される、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態において提供される画像品質評価装置を示すフローチャートである。
【図2】本発明の別の実施形態において提供される画像品質評価装置を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態において提供される画像品質評価方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の別の実施形態において提供される画像品質評価方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の項では、本発明の各実施形態を図面と併せて詳細に説明する。
【0010】
図1に、本発明の一実施形態において提供される画像品質評価装置のフローチャートを示す。図1に示すように、この画像品質評価装置は、
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得するように適合された画像解析器と、
所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて画像の品質を評価し、評価結果を生成するように適合された評価ユニットと
を含む。
【0011】
この実施形態において、画像解析器は、それぞれ、画像の色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度を解析して関連するパラメータ値を獲得するように適合された、色解析器、位置解析器、レイアウト解析器、精度解析器、および鮮明度解析器のうちの少なくとも1つの解析器を含む。これに対応して評価ユニットは、それぞれ、画像の色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度のパラメータ値を評価して関連する評価結果を生成するように適合された、色評価ユニット、位置評価ユニット、レイアウト評価ユニット、精度評価ユニット、および鮮明度評価ユニットのうちの少なくとも1つの評価ユニットを含む。
【0012】
例えば、画像解析器は色解析器とすることができ、評価ユニットはこれに対応して色評価ユニットとすることができる。この場合、色解析器は、画像認識技術を用いて画像の色を解析し、画像の色量および色範囲、白バランス、人物に赤目が生じているかどうか指示するパラメータといった色のパラメータ値を生成するのに使用することができる。これに対応して色評価ユニットは、色解析器によって出力される色のパラメータに基づいて画像の品質を評価するのに使用することができる。例えば、画像の品質が低いとみなされるのは、色飽和により色量が多すぎるときや、色範囲が狭すぎたり広すぎたりするときや、色が単一であり、または均一に分布しているときや、白バランスの効果が適切でないときや、画像内の人物に赤目が生じているときなどである。逆に、画像の品質が高いとみなされるのは、色量が適切であるとき、色範囲が調和しているとき、白バランスがうまく使用されているとき、または人物に赤目が生じていないときである。1つまたは複数の前述の色のパラメータ値を使用して画像の色を評価することができる。
【0013】
画像解析器は位置解析器とすることができる。評価ユニットはこれに対応して位置評価ユニットとすることができる。位置解析器は、写真内の背景および/または人物の位置を解析して関連する結果を生成する。位置とは、画像認識技術による画像内の背景もしくは人物の位置、または背景に対する人物の位置をいう。位置評価ユニットは、位置評価のための所定の基準に準拠して、位置解析器によって生成されるパラメータ値に基づいて位置を評価するのに使用される。例えば、画像内の人物の位置が不適切であるとみなされるのは、人物が片側に、または真ん中に位置しているときである。位置が適切であるとみなされるのは、人物が画像内に適切に位置しているときである。背景の位置を評価する方法も人物の位置を評価する方法と同様である。
【0014】
画像解析器はレイアウト解析器とすることができる。評価ユニットはこれに対応してレイアウト評価ユニットとすることができる。レイアウト解析器は、画像認識技術を用いて画像のレイアウトを解析するのに使用することができ、次いで、レイアウト評価ユニットは、その画像と、いくつかの所定の典型的なレイアウト方式の基準による典型的なレイアウトとの差を評価するのに使用することができる。例えば、画像のレイアウト不適切であるとみなされるのは、画像のレイアウトは矩形パターンに基づくものであるが、典型的なレイアウトは三角形パターンのものであるときなどである。
【0015】
画像解析器は鮮明度解析器とすることができる。評価ユニットはこれに対応して鮮明度評価ユニットとすることができる。鮮明度解析器は、画像認識技術を用いて画像内の背景、人物、およびその他のオブジェクトの境界または輪郭を獲得することによって画像の鮮明度を解析するのに使用される。続いて鮮明度評価ユニットは、画像の鮮明度と所定の基準鮮明度値との差を評価するのに使用することができる。例えば、画像の品質が高いとみなされるのは、鮮明度解析器によって出力される結果が、画像内の所定数の画素と隣接する画素の間のグレースケール値が、基準鮮明度、すなわち所定の画素階調差より高いことを示す場合である。逆の場合には、画像の品質が低いとみなされる。鮮明度解析器は、写真の鮮明度、すなわち、写真の境界が認識可能であるかどうかを解析し、写真が撮影されるときの手の振動によって生じるぼやけた画像を認識するのに使用される。
【0016】
画像解析器は精度解析器とすることができる。評価ユニットはこれに対応して精度評価ユニットとすることができる。精度解析器は、画像の精度、すなわち、画像の画素数を区別するのに使用される。続いて精度評価ユニットは、所定の基準精度値に基づき、精度解析器によって出力される画像の精度を評価する。例えば、画像の精度が適切であるとみなされるのは、精度が5メガビットの場合であり、画像の精度が不適切であるとみなされるのは、基準精度値が3メガビットであるときに精度が1メガビットである場合である。
【0017】
前述の内容においては、評価ユニットは適切または不適切の評価のみを行う。画像解析器によって出力されるパラメータは、評価ユニットによって異なるレベルの基準値が設定されている場合には、より多くのレベルで評価され得ることを当業者は理解するはずである。例えば、良い、普通、および悪いという各段階を含む3段階評価や、非常に良い、良い、普通、悪い、非常に悪いという各段階を含む5段階評価といった定性評価を与えることもできる。また、5点、10点、100点評価といった定量評価を与えることもできる。評価段階が増えるほど、評価の精度も高くなる。
【0018】
前述の内容において、一実施形態では、1台の画像解析器と1台の対応する評価ユニットだけが提供される。しかし、実際の適用例では、必要に応じてより多くの画像解析器を使用することもできる。すなわち、色解析器、位置解析器、レイアウト解析器、鮮明度解析器、および精度解析器を含む複数の解析器を使用することができ、例えば、色解析器と位置解析器、色解析器と位置解析器とレイアウト解析器、位置解析器とレイアウト解析器と鮮明度解析器などが使用される。画像品質評価装置が提供される本発明の別の実施形態では、図2に示すように、画像解析器は、色解析器、位置解析器、レイアウト解析器、鮮明度解析器、および精度解析器、ならびに対応する色評価ユニット、位置評価ユニット、レイアウト評価ユニット、精度評価ユニット、および鮮明度評価ユニットを含む。このように、異なる評価ユニットを使用して異なるパラメータの評価値を提供することができる。
【0019】
加えて、画像品質評価装置が提供される本発明の別の実施形態では、図2に示すように、重み演算ユニットを含めることもできる。異なる評価ユニットが均一な点数尺度で数値評価結果を提供するとき、各結果を所定の重みに従って計算することができ、総合的評価値として重み付き計算結果が生成される。例えば、100点尺度のモードでは、色評価ユニット、位置評価ユニット、レイアウト評価ユニット、精度評価ユニット、および鮮明度評価ユニットがそれぞれ、85、70、93、88、および86という結果を出力し、各評価値の重みが0.3、0.1、0.2、0.2、および0.2である場合、総合的評価値は85×0.3+70×0.1+0.2×(93+88+86)=85.9になる。必要に応じて、ごく簡単な重みを設定することもできる。
【0020】
図3に、本発明の一実施形態において提供される画像品質評価方法のフローチャートを示す。図3に示すように、この画像品質評価方法は、
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得することと、
所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて品質評価を行い、評価結果を生成することと
を含む。
【0021】
画像の色、位置、レイアウト、精度、および鮮明度が関与するパラメータのうちの少なくとも1つを解析することができる。画像の色、位置、レイアウト、精度、および鮮明度が関与する品質のうちの少なくとも1つの態様を、所定の基準に準拠して、パラメータ値に基づいて評価することができる。前述の画像解析プロセスおよび評価プロセスは、画像解析器および評価ユニットに関連する各項において説明されているため、ここではこれ以上詳述しない。
【0022】
各評価ステップにおいて獲得される結果は、前述の項において説明されている定性的または定量的評価結果とすることができる。
【0023】
加えて、所定の重みに従って、生成された定量的評価結果の重み付き計算を行うステップも含めることができる。このステップでの効果は、重み演算ユニットでの効果と同様である。したがって、ここではこれ以上詳述しない。
【0024】
図4に、本発明の別の実施形態において提供される画像品質評価方法のフローチャートを示す。図4に示すように、画像の色、位置、レイアウト、精度、および鮮明度が関与するパラメータを解析する手順が含まれる。また、所定の基準に準拠して、パラメータ値に従って、画像の色、位置、レイアウト、精度、および鮮明度が関与する品質を評価する手順も含まれる。加えて、総合的評価結果として重み計算結果を獲得する手順も含まれる。この結果は、所定の重みに従って、評価ステップにおいて出力される均一な点数尺度の値の重み付き計算を行うことによって獲得される。この方法を使用し、画像の色、位置、レイアウト、精度、および鮮明度の総合的な解析および評価を自動的に行って画像の総合的評価値を獲得することができる。
【0025】
本発明において処理される画像は、ディジタル写真、ビデオデータ、または別のディジタル画像とすることができる。本発明の一実施形態において提供される画像品質評価装置は、それだけに限らないが、ディジタルカメラ、カメラ付き電話機、ディジタル電話フレーム、またはこれらの製品の構成部品を含む独立した製品とすることができる。装置は、本発明の一実施形態において提供される装置が基本構成要素を備える場合に限り、本発明によって保護される。本発明は、画像の品質評価を自動的に獲得するのに使用することができ、画像の品質に関する定性的参照コメントを提供することができる。さらに、複数の画像を点数評価して定量的評価コメントを提供することもできる。このようにして、ユーザが自分または他人が撮影した写真を評価するために、ユーザが利用できる娯楽機能が提供される。
【0026】
前述の各実施形態は、本発明の実例として使用されているにすぎず、本発明を限定するためのものではない。本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲において確定されている。当業者は、本発明の基本的保護範囲内で本発明の改変または等価の置換を行うことができる。そのような改変または等価の置換はすべて本発明によって保護されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得するように適合された画像解析器と、
所定の基準に従い、前記パラメータ値に基づいて前記画像の品質を評価し、評価結果を生成するように適合された評価ユニットと
を備える画像品質評価装置。
【請求項2】
前記画像解析器が、色解析器、位置解析器、レイアウト解析器、精度解析器、および鮮明度解析器のうちの少なくとも1つを含み、それぞれ、画像の色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度を解析して関連するパラメータ値を獲得するように適合されており、
これに対応して、前記評価ユニットが、色評価ユニット、位置評価ユニット、レイアウト評価ユニット、精度評価ユニット、および鮮明度評価ユニットのうちの少なくとも1つを含み、それぞれ、前記画像の前記色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度の前記パラメータ値を評価して関連する評価結果を生成するように適合されている
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項3】
各評価ユニットによって生成される前記評価結果が、均一な点数尺度によって決定される数値を含む請求項2に記載の画像品質評価装置。
【請求項4】
所定の重みに従って、前記評価ユニットによって前記均一な点数尺度で生成される前記数値を計算し、総合的評価結果として重み付き計算結果を生成するように適合された重み演算ユニット
をさらに備える請求項3に記載の画像品質評価装置。
【請求項5】
前記解析器が、前記画像認識技術を用いて前記画像の色を解析し、色の前記パラメータ値を生成するように適合された色解析器であり、
前記評価ユニットが、前記色解析器によって出力される色の前記パラメータに基づいて前記画像の前記品質を評価するように適合された色評価ユニットである
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項6】
前記解析器が、写真内の背景および/または人物の位置を解析して関連する結果を生成するように適合された位置解析器であり、
前記評価ユニットが、位置評価のための前記所定の基準に準拠して、前記位置解析器によって生成される前記パラメータ値に基づいて前記位置を評価するように適合された位置評価ユニットである
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項7】
前記解析器が、前記画像認識技術を用いて前記画像のレイアウトを解析するように適合されたレイアウト解析器であり、
前記評価ユニットが、前記画像と、いくつかの所定の典型的なレイアウト方式の前記基準による典型的なレイアウトとの差を評価するように適合されたレイアウト評価ユニットである
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項8】
前記画像解析器が、前記画像認識技術を用いて前記画像内の背景、人物、および他のオブジェクトの境界または輪郭を獲得することによって、前記画像の鮮明度を解析するように適合された鮮明度解析器であり、
前記評価ユニットが、前記画像の前記鮮明度と前記所定の基準の鮮明度値との差を評価するように適合された鮮明度評価ユニットである
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項9】
前記画像解析器が、前記画像の精度を区別するように適合された精度解析器であり、
前記評価ユニットが、前記所定の基準の精度値に基づいて、前記精度解析器によって出力される前記画像の前記精度を評価するように適合された精度評価ユニットである
請求項1に記載の画像品質評価装置。
【請求項10】
画像のパラメータを解析してパラメータ値を獲得することと、
所定の基準に従い、前記パラメータ値に基づいて前記画像の品質を評価し、評価結果を生成することと
を含む画像品質評価方法。
【請求項11】
前記画像の前記パラメータを解析することが、それぞれ、色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度を解析して関連するパラメータ値を獲得することに関連するものである、色解析、位置解析、レイアウト解析、精度解析、および鮮明度解析のうちの少なくとも1つを含み、
前記所定の基準に従い、前記パラメータ値に基づいて前記画像の前記品質を評価することが、それぞれ、前記画像の前記色、人物位置、レイアウト、精度、および鮮明度の前記パラメータ値を評価することに関連するものである色評価、位置評価、レイアウト評価、精度評価、および鮮明度評価のうちの少なくとも1つを含み、次いで関連する評価結果が出力される
請求項10に記載の画像品質評価方法。
【請求項12】
各評価ステップで生成される前記評価結果が均一な点数尺度によって決定される数値を指すものである請求項11に記載の画像品質評価方法。
【請求項13】
所定の重みに従って、前記評価ステップにおいて前記均一な点数尺度で生成される前記数値を計算し、総合的評価結果として重み付き計算結果を生成すること
をさらに含む請求項12に記載の画像品質評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−157238(P2010−157238A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297359(P2009−297359)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(509248235)ファーウェイ デバイス カンパニー リミテッド (33)
【Fターム(参考)】