画像形成システム、画像処理方法、プログラム及び記録媒体
【課題】 外部機で色変換・階調処理しプリント出力に用いた画像をトナー・インク総量規制値が異なる自機で出力しても、同等の出力を行えるようにする。
【解決手段】 動作モード判定処理部274によって、処理対象の入力画像のトナー総量が自機のトナー総量規制値を超えると判定した場合、入力画像に濃度変換処理部273で総量規制を掛けて出力する。他方、トナー総量規制値の範囲内であると判定した場合、さらに入力画像がトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かを推定する閾値処理によってその判定を行い、総量規制を受けていない画像はそのまま出力し、総量規制を受けたと判定した画像については、自機のトナー総量規制値の範囲内でKMAXの値(入力画像の推定総量規制値)に応じた増量をする。この増量によって外部機でトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像をプリント出力に用いても、従来法により生じた画質の劣化を抑制できる。
【解決手段】 動作モード判定処理部274によって、処理対象の入力画像のトナー総量が自機のトナー総量規制値を超えると判定した場合、入力画像に濃度変換処理部273で総量規制を掛けて出力する。他方、トナー総量規制値の範囲内であると判定した場合、さらに入力画像がトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かを推定する閾値処理によってその判定を行い、総量規制を受けていない画像はそのまま出力し、総量規制を受けたと判定した画像については、自機のトナー総量規制値の範囲内でKMAXの値(入力画像の推定総量規制値)に応じた増量をする。この増量によって外部機でトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像をプリント出力に用いても、従来法により生じた画質の劣化を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な画像の入出力処理を行う複合機(MFP:Multi-Function Peripherals)と呼ばれる複数の画像形成装置からなる画像形成システムに関し、より詳しくは、外部機でプリント出力に用いた画像の入力を受けて、その画像のプリント出力を行う際に、画質の劣化を防ぎ、高画質の出力を行える画像処理手段を有する画像形成システム、画像処理方法及び該画像処理をコンピュータに行わせるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、普及しているデジタル複写機は、原稿から読み取られデジタル化された画像データをもとにコピーを作成する装置であり、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子より成るラインセンサを用いた読取装置やレーザー照射によるトナー書込装置等を用いたプロッタ(プリンタ)の開発、発展に支えられている。
デジタル複写機は、単機能の複写機だけではなく、画像データを扱う他の装置との親和性が高まり、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能等、様々な機能を複合した画像形成装置である。
【0003】
画像形成装置において、スキャナで読み取ったRGB画像をエンジンのトナー・インク特性に応じてCMYK色空間に変換・階調処理をして、即時に印刷するだけで無く、機器に内蔵するHDDやネットワークに接続された記憶装置に蓄積して、後から印刷・再印刷する技術が既に知られている。
しかし、今までの画像形成装置では、ある機器で色変換・階調処理して蓄積した画像を他の機器から出力する際に、そのまま出力できないか、もしくは出力できても画質が劣化するという問題があった。この問題が生じる一つの原因は、色変換後のプリント出力用CMYKの濃度、即ち、トナーあるいはインクの総量が、出力先の機器特性の違いに応じて異なる値をとる許容値の範囲に規制されるので、ある機器で適正出力が得られても、そのまま他の機器で出力した場合、適正な出力が保証されないためで、他の装置における総量の許容量を越えた場合、トナーではチリや剥離による画質劣化、インクでは用紙やエンジン自体を傷める恐れがある。また、逆にトナー総量規制値よりも低い場合には色再現域が狭くなることにより意図した画質にならない場合がある。
【0004】
トナー総量規制に関する従来例として挙げることができる特許文献1(特許第3787534号公報)に記載された画像形成装置では、トナー総量規制値が異なるカラープリンタ等の画像形成装置において適正な出力を可能とするために、トナー総量が段階的に異なる複数の色変換用ルックアップテーブルを持ち、その中から使用するカラープリンタ等の画像形成装置の許容トナー量に近いものを選択し、選択した色変換ルックアップテーブルを用いて色変換処理を行い、得られる画像データを用いてプリント出力を行う出力方式が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1により例示する上記従来技術は、色変換前の原画像を出力処理の対象とし、出力をする画像形成装置の許容トナー量に適合する色変換を選択し、適用するもので、あくまで色変換前の画像であり、上述した、ある装置ですでに色変換・階調処理して蓄積した後の画像が、トナー総量規制値の異なる別の装置で適正な出力が保証されず、画質が劣化することや意図した画質が得られない、という問題の解決手段を提案するものではない。
本発明は、トナー・インク総量規制値に対応して適正なプリント出力用のデータ処理を行う画像形成装置における上述の従来技術の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ある画像形成装置で色変換・階調処理して蓄積した後の画像を、その画像形成装置とはトナー・インク総量規制値が異なる画像形成装置で出力しても、同等の出力を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムであって、前記画像形成装置は、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定手段と、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定手段と、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が総量規制値の範囲の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定手段によって、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、当該入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する濃度変換を行う濃度変換手段とを有することを特徴とする。
本発明は、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおける画像処理方法であって、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定工程と、入力画像が記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定工程と、前記入力画像総量判定工程で、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定工程で、総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する変換を行う濃度変換工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおいて、ある画像形成装置で色変換・階調処理をしてプリント出力用のデータを作成し、蓄積した画像を、記録材の総量規制値が異なる別の画像形成装置から出力する際、画質が劣化すること、意図した画質が得られない、又は用紙やプロッタエンジンを傷めるといった問題を解消し、出力を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置を要素として構成する画像形成システムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の基本構成(実施形態1〜3)を示すブロック図である。
【図3】図2において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図4】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態1)を示すブロック図である。
【図5】トナー(記録材)総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する図である。
【図6】濃度変換コントローラにおける濃度変換モードの判定処理のフローを示す図である。
【図7】濃度変換コントローラにおける濃度変換処理のフローを示す図である。
【図8】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態2)を示すブロック図である。
【図9】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態3)を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態4)を示すブロック図である。
【図11】図10において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態5)を示すブロック図である。
【図13】図12において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態6)を示すブロック図である。
【図15】図14において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る画像形成システム及び画像形成システムにおける画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。
本発明に係る画像形成システムの以下に示す実施形態は、多様なパスを経て入力される画像のプリント出力を行うことが可能なMFP等の画像形成装置を例にする。画像形成装置は、通常、ネットワークに接続され、自機のスキャナを通して入力された画像のほか、ネットワーク経由でPC(Personal Computer)や同種の画像形成装置で生成された画像或いはネットワーク上に蓄積された画像を用いてプリント出力を行うことができる。プリント出力要求の対象となる画像には、外部機で出力に用いられ、出力時に蓄積された画像、即ち、既に出力用の濃度変換処理が施された画像も含まれる。
【0010】
プリント出力用の画像は、出力する機器に固有の特性の下で、適正な出力を得るために定められた条件に従って処理される。この条件の1つが、記録材(インク、トナー等)の総量規制値で、この値を超えると、トナーではチリや剥離による画質劣化、インクでは用紙やエンジン自体を傷める恐れがあり、超えない範囲内の総量の記録材でプリント出力を行うために、画像濃度に変換が施される。
ある画像形成装置でその機器に定められた総量規制値に収まるように画像に濃度変換を施し、プリント出力を行った後、そのプリント出力用の画像を用いて別の画像形成装置で再出力する場合について考えると、再出力を行う画像形成装置では、先に出力した画像形成装置と異なる総量規制値が定められているというケースが生じ得る。
【0011】
この場合、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値を超えるときは、規制が掛かり、適正な動作条件のもとでプリント出力が行われ、意図した出力を得ることができる。
ただ、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値の範囲内であると、従来から行われている方法では、入力画像をそのまま出力に用いる、という方法によっているために、入力画像の総量と再出力する画像形成装置の総量規制値のずれが大きくなり、色再現域が狭くなる結果を招くことになって、意図した画質にならない場合が生じてしまう。
そこで、この実施形態では、入力画像と再出力する画像形成装置の総量規制値とのずれを小さくするための増量を再出力する画像形成装置の濃度変換処理によって行うことにより、上述の問題を解消し、画質の向上を図る。
この濃度変換処理は、この発明の要旨となる点であり、プリント出力用の画像を処理する際、この濃度変換処理を行う画像形成装置の実施形態を以下に説明するが、先ず、本実施形態に係る画像形成装置の概要について説明する。
【0012】
この実施形態では、画像形成装置を、ネットワークで機器同士が接続され、相互に機器を利用可能としたシステム(以下「画像形成システム」という)の構成要素とする形態で用いる例を示す。
図1は、本発明に係る画像形成装置を要素として構成する画像形成システムの一例を示す図である。
図1に示す画像形成システムは、ネットワーク500に、画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002、NAS(Network Attached Storage)200及びクラウド300をそれぞれ接続して構成する。
【0013】
画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002は、それぞれスキャナで画像入力、プロッタで画像出力を行い、これに加え、下記1.〜3.の方法で取得する画像のプリント出力が可能である。
1.画像形成装置(1)1001に保存された画像をネットワーク500経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
2.ネットワーク500に接続されたNAS200に蓄積された画像をネットワーク500経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
3.クラウド300上に保存された画像をインターネット経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
【0014】
なお、同図示では、便宜上、画像形成装置(2)1002を出力機器としているが、画像形成装置(1)1001からも同様に出力可能である。
また、この画像形成システムにおいて、それぞれに蓄積・保存された画像は、画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002その他の画像形成装置(不図示)で入力、色変換、階調処理等のプリント出力用の処理が施された画像が含まれる。よって、プリント出力用の処理が施された画像の中には、総量規制を受けた画像もある。
画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002は、上記のような機能を持つ。
【0015】
次に、図1に例示した画像形成システムの要素となる本実施形態の画像形成装置内の構成について、画像処理に係る処理系を中心に説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理に係る処理系は、CPU(Central Processing Unit)1と、CPU1の制御下にこの処理系全体を制御する画像入出力コントローラ2と、画像入出力コントローラ2の制御下のRAM(Random Access Memory)3、HDD(Hard Disk Drive)4、スキャナエンジン5及びプロッタエンジン6と、を構成要素として有する。
画像入出力コントローラ2は、RAM3に対する各コントローラのアクセスを調停するメモリアービタ21、RAM3を制御するメモリコントローラ23、HDD4を制御するHDDコントローラ24、スキャナエンジン5とのデータ交換を行うスキャナI/F(インターフェース)25、プロッタエンジン6とのデータ交換を行うプロッタI/F26、濃度変換コントローラ27及びネットワーク500とのデータ交換を行うネットワークコントローラ51を有する。
【0016】
なお、上記画像入出力コントローラ2は、CPU1、CPU1が駆動するプログラム(ソフトウェア)を格納するHDD4、プログラムを動作させるときのワークメモリとして使用するRAM3等のハードウェアを要素として構成するコンピュータによって構築することができる。
コンピュータによって画像入出力コントローラ2を構築する場合、例えば、プリント出力用の画像データを処理する等の画像処理を実行する処理手段(本実施形態ではその1つが濃度変換コントローラ27である)として機能させるためのプログラムをHDD4に記録、搭載し、このプログラムを当該コンピュータにより駆動することにより、これらの処理手段を実現する。
なお、画像入出力コントローラ2を構築するための上記プログラムを記録する媒体としては、HDD4に限らず、半導体ROM、CD(Compact Disk)−ROM,MO(Magneto Optical Disk)を含む各種記憶媒体を用いることができる。
【0017】
また、図2のスキャナエンジン5では、スキャナ入力画像(RGB色空間)を入力し、プロッタで用いる画像(CMYK色空間)への色変換および階調処理を行う。なお、“RGB”、“CMYK”は、カラーの構成色であり、前者は(R:レッド,G:グリーン,B:ブルー)、後者は(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)を表す。プロッタエンジン6は、プリント出力画像(CMYK色空間)を用いて紙媒体への印刷出力をする。
画像入出力コントローラ2は、スキャナエンジン5及びプロッタエンジン6にはそれぞれスキャナI/F25、プロッタI/F26を介して接続し、画像入出力の制御を行う。
スキャナI/F25は、スキャナエンジン5からの入力画像をRAM3へDMA(Direct Memory Access)転送する。プロッタI/F26は、プロッタエンジン6への出力画像をRAM3からDMA転送する。
濃度変換コントローラ27は、他の画像形成装置で入力された画像を自機でプリント出力する際の濃度変換を行う。RAM3から画像データを読み込み、処理した画像はRAM3上に書き込む。
【0018】
ネットワークコントローラ51は、ネットワーク500と接続し、受信パケットをRAM3へDMA転送し、送信パケットをRAM3からDMA転送する。
HDDコントローラ24は、RAM3上にある画像データをHDD4に保存し、またHDD4上の蓄積画像をRAM3に展開する。
メモリコントローラ23は、RAM3と接続し、RAM3に対するデータの書込み/読み込みの制御を行う。
メモリアービタ21は、RAM3にアクセスする各コントローラ等のアクセスを調停し、コリジョンの発生を防ぐ。
画像入出力コントローラ2をASIC(Application Specific Integrated Circuit)として搭載する場合、CPU1は、接続した画像入出力コントローラ2の制御および画像入出力コントローラ2に接続されているRAM3へアクセスし、画像処理を実行する処理部等の制御をソフトウェアで実施する。
【0019】
上記のように構成する本実施形態の画像形成システムを構成する画像形成装置におけるプリント出力動作の概要を説明する。
図3は、図2において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。ここに、プリント出力に用いる入力画像は、図1の画像形成システムにおける場合を例にすると、ネットワーク500に接続された外部の画像形成装置(自機が画像形成装置(2)1002であれば、画像形成装置(1)1001が外部機)もしくはNAS200、クラウド300から入力した画像である。
なお、本実施形態においては、自機が画像形成装置(1)1001であれば、画像形成装置(2)1002が外部機となってプリント出力に用いる入力画像を与える構成であってもかまわない。さらに、ネットワーク500に接続される画像形成装置は、3つ以上であってもかまわない。
図3の処理フローによると、先ず、ネットワークコントローラ51は、外部から送信されてくる画像データを含む受信パケットを受け取り、RAM3に書き込むことにより、外部からプリント出力対象の画像を受理する(ステップS1)。
次に、CPU1は、受信データの処理として、RAM3に書き込んだ受信パケットから画像データを抽出し、抽出した画像データをRAM3に書き戻す(ステップS2)。
【0020】
次に、濃度変換コントローラ27は、ステップS2で抽出したRAM3上の画像データを読み込む(ステップS3)。
次いで、濃度変換コントローラ27は、ステップS3で読み込んだ画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施す(ステップS4)。
次いで、濃度変換コントローラ27は、ステップS4で濃度変換を施した後のプリント出力用のデータをRAM3に書き込む(ステップS5)。
次に、HDDコントローラ24は、ステップS5で書き込まれたRAM3上のプリント出力用の画像データをバックアップ用に読み込む(ステップS6)。
次いで、HDDコントローラ24は、ステップS6で読み込んだ画像データをHDD4にバックアップ用に書き込む(ステップS7)。
次に、プロッタI/F26は、ステップS5で書き込まれたRAM3上のプリント出力用の画像データをRAM3から読み込む(ステップS8)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS8で読み込んだプリント出力用の画像データをプロッタエンジン6に出力し(ステップS9)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
【0021】
プリント出力を行う際の画像処理(図3、参照)における濃度変換について、詳細を説明する。
本実施形態では、出力対象の画像に総量規制を掛けて濃度変換を行うが、その際、自機とは別の画像形成装置(外部機)で総量規制が掛けられてプリント出力に用いられた画像を用い再出力するときに生じる場合がある画質の劣化を解消するための手段を装備する。
この画質の劣化の原因は、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値の範囲内であると、従来から行われている方法では、出力の対象とする外部機からの入力画像をそのまま出力に用いる、という方法によっているために、総量規制が掛けられていると、色再現域が狭くなるからである。
【0022】
そこで、この実施形態における濃度変換では、出力対象の画像について、自機における記録材の総量規制値の範囲内か否かを判定し、当該画像における記録材の総量が自機における記録材の総量規制値の範囲内である場合は、さらに当該画像が外部機で記録材の総量規制を受けた画像であるか否かを画像の濃度の特徴から判定する。この判定の結果、記録材の総量規制を受けたと判定した画像については、当該画像の濃度値から受けた総量規制値を推定し、推定値に対する自機における記録材の総量規制値との比率にもとづいて、出力対象の画像となる外部機からの入力画像の濃度を増大する。なお、判定の結果、総量規制を受けていない画像は、そのまま出力する。
また、出力対象の画像が自機における記録材の総量規制値の範囲を超えている場合には、総量規制を受けているか、否かの履歴の如何に拘らず、総量規制を掛ける。
このような濃度変換を出力に用いる画像に施すことで、総量規制が掛けられた画像を対象に自機で総量規制を掛けてプリント出力するときに生じる場合がある画質の劣化や、総量規制を掛けないために生じる場合がある用紙やプロッタエンジンを傷めるといった問題を解消することができる。
【0023】
〈実施形態1〉
次に、上述の濃度変換を実施する処理系の基本形態を説明する。なお、以下の実施形態では、電子写真方式により画像を形成する、即ちトナーを記録材として用いる画像形成装置を例示する。
先ず、濃度変換を実施する処理系の基本形態として、図2に示した濃度変換コントローラの内部構成を説明する。
【0024】
図4は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
図4に示す濃度変換コントローラは、入力側から出力側に順に、リードDMAC(DMAコントローラ)271、入力画像バッファ272、濃度変換処理部273、動作モードセレクタ275、出力画像バッファ276、ライトDMAC(DMAコントローラ)277を有する。また、入力画像バッファ272から分岐された経路に動作モード判定処理部274を設け、この判定結果を動作モードセレクタ275に出力する。
なお、濃度変換処理部273は、トナー総量規制273a、トナー総量緩和273bの各処理を行うための処理部を構成要素として有する。トナー総量規制273a、トナー総量緩和273bの各処理は、並列に動作させる方式或いは個別に動作させる方式のいずれでもよい。また、動作モード判定処理部274は、被総量規制画素カウンタ274a、被総量規制判定部274b及び総量規制判定部274cを構成要素として有する。
【0025】
図4に示す濃度変換コントローラの動作を説明すると、先ず、リードDMAC271は、RAM3から処理対象の画像データを読み込み、入力画像バッファ272に逐次蓄積する。
次に、濃度変換処理部273は、入力画像バッファ272から画像を読み出し、トナー総量規制273a及びトナー総量緩和273bの各処理を並列に行って、後段の動作モードセレクタ275に出力する。
動作モードセレクタ275は、トナー総量規制モード、トナー総量緩和モード及びスルーモードの3モードで動作し得る濃度変換処理部273から出力される画像の1つを選択して出力する機能を持つ。この選択機能は、後述する動作モード判定処理部274の判定結果を受けて、前段の濃度変換処理部273が行う3モードの動作のいずれかを選択する方法によるか、或いは、後述する変換係数の値を使用範囲におけるバリエーションとして予め定め、定められたバリエーションの各変換係数値で濃度変換された画像の中から判定結果に適合する画像を選択する方法である動作モードの判定と濃度変換を並行して行える方法によって実現することができる。
次に、ライトDMAC277は、出力画像バッファ276の画像を逐次RAM3に書き込む。
【0026】
動作モード判定処理部274は、濃度変換処理部273で処理される画像と同じ画像を入力画像バッファ272から読み込み、当該画像に適用する濃度変換が、動作モードセレクタ275で選択するモード、即ちトナー総量規制モード、トナー総量緩和モード及びスルーモードの3モードのいずれであるか、を判定する処理を行う。
被総量規制画素カウンタ274aは、判定の対象とする画像の画素のうち、外部機でトナー総量規制を受けたと推定される画素をカウントする。この被総量規制画素のカウンタ値を受け、被総量規制判定部274bは、外部機でトナー総量規制を受けた画像であるか否かを判定する。
他方、総量規制判定部274cは、判定の対象とする画像が自機におけるトナー総量規制値の範囲を超えているか否かを判定する。
被総量規制判定部274b及び総量規制判定部274cの判定結果は、いずれも動作モードセレクタ275に出力される。
【0027】
ここで、図4に示す濃度変換コントローラにおける濃度変換処理の具体例を処理フローにもとづいて説明する。
先ず、この実施形態で採用するトナー総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する。図5は、トナー総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する図で、図中(A)は総量規制前の各色版の濃度値、図中(B)は総量規制後の各色版の濃度値を示す棒グラフである。
図5において、図中(A)に示すように、総量規制前の画像は、CMYK各色版が濃度を持ち、またK版が機器に特有の値として定められる総量規制値(同図中に破線で示す)を超えた値を持つ。この画像に対し、総量規制を掛けて濃度変換処理を行うと、CMY版が総量規制値以内の場合、K版の濃度については、最大濃度が総量規制値となる値へ、またCMY版については、濃度を0にする変換が行われ、総量を規制する。
この変換の結果、図中(A)の画像は、同図中(B)に示すような濃度を総量規制値に抑えたK版のみの画像になる。したがって、同図中(B)に示す棒グラフの白抜き部分の量だけ減量される。
【0028】
次に、画像入出力コントローラ2(図2)の制御下で濃度変換コントローラ27(図4)が行う上記トナー総量規制(図5)を伴う濃度変換処理について、図6及び図7の処理フローにもとづいて説明する。
図6は、本実施形態においてトナー総量規制、トナー総量緩和、スルーの3モードからなる濃度変換モードの判定処理のフローを示す図である。なお、図6の処理フローは、図4の濃度変換コントローラ27における動作モード判定処理部274が行う処理の流れである。
また、図7は、濃度変換モードの判定結果を受けて行う濃度変換の処理フローを示す図である。なお、図6の処理フローは、図4の濃度変換コントローラ27における濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275が行う処理の流れである。
【0029】
ところで、本実施形態の濃度変換処理においては、外部機で受けたトナー総量規制と自機で行うトナー総量規制とは、同じ濃度変換処理方法にもとづいて行われる。つまり、総量規制値の値は、それぞれの機器に適合する値に定められるが、処理そのものは、図5に示したように、規制を掛ける場合、K版の濃度については、最大濃度が総量規制値となる値へ、またCMY版については、濃度を0にする設定条件で変換処理が行われる。
また、濃度変換モードの判定には、出力単位である1ページ分の画像が必要であるため、濃度変換処理を完了するまでに二度RAM3から画像の読み込みを行う。即ち、一度目に濃度変換モードの判定をするためにRAM3から画像を読み込んで判定処理を行い、その後、判定結果にもとづいて濃度変換をする際にRAM3から二度目に画像を読み込むことになる。以下の処理フローでは、この処理手順で動作を行うことを前提とする。
ただ、上述のように、動作モードセレクタ275の持つ選択機能や濃度変換処理部273の持つ処理機能によっては、濃度変換モードの判定と濃度変換を並行して行う方法を採用することもでき、この方法によってもよい。
【0030】
図6の処理フローによると、上位のコントローラである画像入出力コントローラ2は、先ず、濃度変換コントローラ27の起動時に、この処理フローの実行を管理するための情報・データとして用いる、総量規制超過フラグ、被総量規制画素カウント値及びKMAXを0に初期化する(ステップS101)。ここに、総量規制超過フラグは、出力対象の画像が自機のトナー総量規制値を超えた濃度値を持つことを示すフラグである。被総量規制画素カウント値は、出力対象の画像が外部機からの入力画像の場合もあることを前提に、当該画像がトナー総量規制を受けて出力された履歴を持つ画像かどうかを判定するための画素カウント値である。KMAXは、全K版画素の最大濃度値を求めていく過程におけるそれまでの最大濃度値である。入力順となるK版画素に対しそれまでの最大濃度値と比較する処理を行い、全K版画素についてこの処理を終えたときの最大濃度値は、入力画像が実際に図5の方法で総量規制を受けていれば、そのときの総量規制値に当たる値を示す。
【0031】
次に、出力対象のCMYK画像を構成する画素を1画素ずつ判定処理の対象として、その画素の有する濃度値を入力する(ステップS102)。
次いで、ステップS102で入力した濃度値について、CMYKの総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過したか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、入力した画素の総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過した場合(ステップS103-YES)、濃度変換モードの1つである総量規制モードを判定結果とし、判定結果に従って処理を遂行するために必要な手順へ分岐する。このとき、入力画像の出力対象画像の1画素でも、自機のトナー総量規制値を超過した場合、総量規制モードを選択する判定をする。
分岐後の手順として、先ず、先に行った初期化で0にした総量規制超過フラグに1を立て(ステップS104)、また、後続する濃度変換処理における動作モードを総量規制モードに設定する(ステップS114)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
【0032】
ステップS103で、入力した画素の総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過しない場合(ステップS103-NO)、当該画素の濃度について、K版が0ではなく、CMYの各色版が0であるか否かを判定する(ステップS105)。
ここで、K版が0であるか、又はCMYのいずれかの色版が0ではない、という条件を満たす画素であれば(ステップS105-NO)、トナー総量規制を掛けた後の画像(図5(B)、参照)である可能性が少ないので、当該画素の判定を終え、次の画素の処理に移行するためにステップS110に進める。
他方、K版が0ではなく、CMYの各色版が0である、という条件を満たす画素であれば(ステップS105-YES)、トナー総量規制を掛けた後の画像(図5(B)、参照)である可能性がある。
この画素に対しては、さらにK版濃度が、KMAXよりも大きいか否か、即ち、これまでのKMAXを更新する最大濃度値であるか否かを確認し(ステップS106)、KMAXよりも大きい場合(ステップS106-YES)、KMAXを、ステップS106で最大濃度値と認めたKに更新するとともに、これまでの被総量規制画素カウント値を破棄し、0にする(ステップS108)。この場合は、更新したKMAXの画素分として、被総量規制画素カウント値をカウントアップする(ステップS109)。
【0033】
ステップS106で、KMAXを超えない濃度値を持つ画素である場合(ステップS106-NO)、当該画素のK版濃度がKMAXと等しいか否かを確認し(ステップS107)、KMAXと等しくなければ(ステップS107-NO)、トナー総量規制を受けた画像である可能性が少ないので、当該画素の判定を終え、次の画素の処理に移行するためにステップS110に進める。
また、ステップS107で、KMAXと等しければ(ステップS107-YES)、トナー総量規制を受けた画像である可能性が高いので、被総量規制画素カウント値をカウントアップする(ステップS109)。
この後、全画素の読み込みが完了しているか否かを確認し(ステップS110)、完了していなければ(ステップS110-NO)、ステップS102に戻り、次の画素に対し、これまでと同じ過程で処理を繰り返す。
【0034】
ステップS110で、全画素の読み込みの完了が確認できれば(ステップS110-YES)、被総量規制画素カウント値に対し、濃度変換モードを判定するために予め定めた閾値による閾値処理を行い(ステップS111)、この判定閾値を超える場合(ステップS111-YES)、後続する濃度変換処理における動作モードを総量緩和モードに設定する(ステップS112)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
なお、上記動作モードの判定に用いる閾値は、出力対象の画像が自機のトナー総量規制値を超えないK版濃度値でCMY版濃度が0値の画素を有することを前提とし、この画像に対し、総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かを推定するために定められるものである。本実施形態では、総量規制を受けた画像は、KMAXに等しい濃度値を有する画素が相当数以上あるという仮定のもとに、経験的に得られる画素数をこの閾値として用いる。
他方、ステップS111の閾値処理で判定閾値を超えない場合(ステップS111-NO)、濃度変換を必要としないので、動作モードを、濃度変換をせずそのまま出力するスルーモードに設定する(ステップS113)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
【0035】
次に、図7の処理フローにもとづいて、濃度変換処理における動作モードを判定する図6の処理フローの結果を受けて行う、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275が行う濃度変換処理の流れを説明する。
図7のフロー処理によると、先ず、濃度変換処理における動作モードがスルーモードであるか否か設定を確認し(ステップS201)、スルーモードであると確認された場合(ステップS201-YES)、濃度変換処理をせず、入力された画像をそのまま出力し、この処理を終了する。
ステップS201で、スルーモードではないと確認された場合(ステップS201-NO)、出力対象のCMYK画像を構成する画素を1画素ずつ濃度変換処理の対象として、その画素の有する濃度値を入力する(ステップS202)。
次いで、処理対象の画素に設定された濃度変換処理における動作モードが、トナー総量規制とトナー総量緩和の2モードのどちらであるか設定を確認し(ステップS203)、それぞれのモードの処理に分岐する。
【0036】
ステップS203で総量緩和モードと確認された場合、当該画素の濃度値に変換係数を乗算して総量を緩和する変換をする(ステップS204)。ここに、変換係数は、下記式(1)に示す値とする。
変換係数=自機のトナー総量規制値÷KMAX・・・式(1)
この変換係数の乗算により、KMAXが自機のトナー総量規制値より小さい場合にも、変換後の濃度値をトナー総量規制値の範囲内で増量することができる。
また、ステップS203でトナー総量規制モードと確認された場合、当該画素の濃度値に対し、既存の方法(図5、参照)によってトナー総量規制を掛けた変換をする(ステップS205)。
ステップS204又はステップS205の濃度変換を終えた後、変換後の画素を出力し(ステップS206)、次いで、全画素の濃度変換処理が完了しているか否かを確認する(ステップS207)。
ここで、全画素の処理が完了していなければ(ステップS207-NO)、ステップS202に戻り、次の画素に対し、これまでと同じ過程で処理を繰り返す。他方、全画素の処理が完了していれば(ステップS207-YES)、この濃度変換処理のフローを終了する。
【0037】
上記のように、処理対象として入力された画像のトナー総量が自機のトナー総量規制値の範囲内である場合、入力された画像がトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かが推定できる閾値処理によってその判定を行い、総量規制を受けていない画像はそのまま出力し、総量規制を受けたと判定した画像については、自機のトナー総量規制値の範囲内でKMAXに応じた増量をするので、外部機でトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像をプリント出力に用いても、従来法により生じた画質の劣化を抑制できる。
【0038】
〈実施形態2〉
上記〈実施形態1〉では、濃度変換を実施する処理系の基本形態を示したが、本実施形態では、さらに、処理対象として入力される画像が文字と絵柄の合成画像である場合に、それぞれの画像に適合する濃度変換を行うようにする処理系を構成する実施形態について、説明をする。
図8は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
なお、図8に示す濃度変換コントローラは、基本形態として先に説明した図4の処理系をもとに文字と絵柄の合成画像に適用する形態であり、基本的な構成要素は共通するので、異なる点のみ説明する。
【0039】
図8に示すように、入力画像バッファ272のすぐ後段に絵/文字分離部278と、出力画像バッファ276のすぐ前段に絵/文字再合成部279を有する。また、絵/文字分離部278と絵/文字再合成部279の間には、文字部と絵柄部それぞれの画像を処理するように、分離した各画像に対応して図4の基本処理系と同様の構成で、濃度変換処理部2731,2732、動作モード判定処理部2741,2742及び動作モードセレクタ2751,2752を並列に設ける。
【0040】
絵/文字分離部278は、入力画像の画素に表れる絵柄部、文字部それぞれの特徴を解析することにより絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に分離する。また、絵/文字再合成部279は、分離された絵柄部領域、文字部領域の各画素に濃度変換を施した後の画素を1枚の画像に再合成する。なお、絵/文字分離部278、絵/文字再合成部279の各処理手段そのものは、既存の技術を適用することにより実施することができる。
また、濃度変換処理部2731,2732及び動作モード判定処理部2741,2742は、絵/文字分離部278による分離後の絵柄部領域、文字部領域の各画素に対し、各画素が属する画像(絵柄部/文字部)の特性に応じた総量規制値及び総量規制を受けた画像の判定閾値を適用してそれぞれの処理を行う。
このように、絵柄部領域、文字部領域の各画素に対して、それぞれに適応した濃度変換処理をすることで、絵柄部と文字部の合成された当該画像のプリント出力において画質をより改善することができる。
【0041】
上記のように、分離した絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に適用する総量規制値及び総量規制を受けた画像の判定閾値は、それぞれの属する画像(絵柄部/文字部)によって異なるが、各画像に対する濃度変換処理方法は、基本的に同じである。
つまり、上記〈実施形態1〉における図6に示した動作モードを判定する処理フロー及び図7に示した濃度変換の処理フローにもとづいて、絵柄部領域の画素、文字部領域の画素に対し濃度変換の処理を通し、絵/文字再合成部279で1枚の画像に再合成するための画素出力を行うことができる。
ただ、処理の対象とする画像を分離する処理フロー(不図示)を、図6に示した動作モードを判定する処理フロー及び図7に示した濃度変換の処理フローの前段の処理として行い、図6及び図7のフローを通すために用意しておく必要がある。
これ以外の処理フローは、上記〈実施形態1〉と共通しているので、上記図6及び図7の説明を参照することにして、ここでは、処理フローの詳細な説明は省略する。
【0042】
〈実施形態3〉
本実施形態は、上記〈実施形態2〉と同様、文字と絵柄の合成画像が処理対象として入力される場合に適用する実施形態である。ここでは、入力画像に分離情報が付加されたデータ入力が行われる場合に、それぞれの画像に適合する濃度変換を行うようにする処理系を構成する。
図9は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
なお、図9に示す濃度変換コントローラは、基本形態として先に説明した図4の処理系をもとに文字と絵柄の合成画像に適用する形態であり、基本的な構成要素は共通し、さらに上記〈実施形態2〉の図8に示した構成とも共通するので、異なる点のみ説明する。
【0043】
図9に示すように、絵/文字分離部278’の前段には、画像用に上記各実施形態と同様、リードDMAC2711と入力画像バッファ2721を有するが、この外に分離情報が付加されたデータ用に、リードDMAC(分離用)2712と分離情報バッファ2722を有する。
絵/文字分離部278’は、リードDMAC(分離用)2712からの入力データから取り出した分離情報を解釈し、その結果に従い入力画像バッファ2721からの入力画像を絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に分離し、分離した絵柄部領域の画像、文字部領域の各画像をそれぞれの濃度変換処理の各部に出力する。以降の濃度変換処理の各部の構成は、上記〈実施形態2〉の図8に示した構成と変わらない。
【0044】
本実施形態の処理フローは、分離した絵柄部領域の画素と文字部領域の画素にそれぞれの属する画像(絵柄部/文字部)に適応する処理を通して、各画像に対する濃度変換処理を行う点で、上記〈実施形態2〉と共通するので、基本的に同じ処理フローとなり、処理の対象とする画像を分離する処理フロー(不図示)を、動作モードを判定する処理フロー及び濃度変換の処理フローの前段の処理として行い、後段の各処理フローを通すために用意しておく必要がある、という点でも、上記〈実施形態2〉と同様である。
【0045】
〈実施形態4〉
本実施形態は、上述の画像入出力コントローラ2に符号伸長コントローラを装備した実施形態である。
上記各実施形態における図2は、基本構成を有する処理系であり、符号化された画像を濃度変換処理の入力画像として処理することを考慮していない。よって、ネットワーク経由で入力される多くの画像が、実際は符号化されているので、処理ができない。
そこで、本実施形態では、処理対象として入力される画像が符号化されている場合に対応して処理を実施することを可能とする処理系を構成する。
【0046】
図10は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図10は、基本形態として先に説明した図2において、符号化された入力画像の処理に対応する形態であり、基本的な構成要素は共通するので、異なる点のみ説明する。
図10に示すように、画像入出力コントローラ2は、例えば、ネットワークコントローラ51を介して入力される画像が符号化されている場合、その画像の符号伸長を行う符号伸長コントローラ28を有する。
符号伸長コントローラ28は、入力側でメモリアービタ21に接続し、出力側で濃度変換コントローラ27に接続する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号伸長コントローラ28を付加した以外の構成は、図2に示した構成と変わらない。
【0047】
図11は、図10において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図11に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローにおいて、符号化された入力画像の処理に対応する形態であり、基本的な処理ステップは共通するので、異なる点のみ説明する。
図11の処理フローによると、CPU1は、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、この画像データをRAM3に書き込む(ステップS12)。
【0048】
次に、符号伸長コントローラ28は、ステップS12で保存したRAM3上の符号化された画像データを読み込む(ステップS13)。
次いで、符号伸長コントローラ28は、ステップS13で読み込んだ符号化された画像データに対し、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし(ステップS14)、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS15)。
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施す(ステップS15.1)。
この濃度変換コントローラ27の処理以降、最終段のプロッタ出力(ステップS30)までの処理フローは、先の図3のフローと変わらない。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化によりデータサイズを小さくし転送性能を向上させた画像データに対しても適応することが可能になり、画像形成システムのパフォーマンスを高めることができる。
【0049】
〈実施形態5〉
本実施形態は、上述の図2の画像入出力コントローラ2に符号化コントローラを装備した実施形態である。
上記実施形態1〜3における図2で示される一例は、基本構成を有する処理系であり、プリント出力に用いるために濃度変換処理を施した画像を符号化することを考慮していない。よって、データサイズが大きいままで画像を扱うために、メモリ資源の有効利用を損ない、またネットワークへ転送するデータ量の増加を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、プリント出力用に濃度変換処理を施した画像を符号化する処理を実施することを可能とする処理系を構成する。
【0050】
図12は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図12は、基本形態として先に説明した図2をもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として上記〈実施形態4〉に示した構成に、さらに符号化コントローラを付加したものであり、基本的な構成要素は図2と共通し、符号伸長コントローラ28は実施形態4の図10と共通するので、異なる点のみ説明する。
図12に示すように、画像入出力コントローラ2は、濃度変換処理を施した画像を符号化する符号化コントローラ29を有する。
符号化コントローラ29は、入力側で濃度変換コントローラ27に接続し、出力側でメモリアービタ21に接続する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29を付加した以外の構成は、図10に示した構成と変わらない。
【0051】
図13は、図12において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図13に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローをもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として示した上記〈実施形態4〉における図11の処理フローに、さらに濃度変換処理を施した画像を符号化するステップを加えたものであり、基本的な処理ステップは図3と、また符号伸長ステップは図10と共通するので、異なる点のみ説明する。
図13の処理フローによると、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、RAM3に書き込まれた画像データに対し、符号伸長コントローラ28は、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS35)。
【0052】
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施し(ステップS35.1)、変換後の画像データを符号化コントローラ29に出力する(ステップS35.2)。
次いで、符号化コントローラ29は、濃度変換コントローラ27から受け取った画像データを符号化し、データサイズを小さくし(ステップS35.2.1)、符号化した画像データをRAM3に書き込む(ステップS35.2.2)。
この後、RAM3に書き込まれた符号化画像データは、プリント出力に用いるほか、バックアップ用にHDD4にも保存、蓄積される。
【0053】
そこで、HDDコントローラ24は、前段で書き込まれたRAM3上の符号化された画像データをバックアップ用に読み込む(ステップS36)。
次いで、HDDコントローラ24は、前段で読み込んだ符号化された画像データをHDD4にバックアップ用に書き込む(ステップS37)。
また、プロッタI/F26は、ステップS35.2.2で書き込まれたRAM3上の符号化されたプリント出力用画像データをRAM3から読み込む(ステップS38)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS38で読み込んだ符号化されたプリント出力用画像データに伸長処理を施し(ステップS39)、後段のプロッタ出力処理で扱える復号された画像データとした後、プロッタエンジン6に出力し(ステップS40)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化によりデータサイズを小さくすることで、メモリ資源の有効利用を図り、またネットワークへ転送するデータ量の増加を抑制することが可能になり、画像形成システムのパフォーマンスを高めることができる。
【0054】
〈実施形態6〉
本実施形態は、上述の図2の画像入出力コントローラ2に符号化コントローラを装備するとともに、符号化コントローラからHDDコントローラへの出力経路を設けた実施形態である。
上記実施形態1〜3における図2で示される一例は、基本構成を有する処理系であり、プリント出力に用いるために濃度変換処理を施した画像を符号化することを考慮していない。よって、データサイズが大きいままで画像を扱うために、メモリ資源の有効利用を損ない、またネットワークへ転送するデータ量の増加を招いてしまう。
この問題点を解決する手段として、上記実施形態5では符号伸張コントローラ28を装備することで、データ量を縮減している。
【0055】
ただ、図13の処理フローに示したように、符号化したプリント出力用画像データは、プロッタエンジン6で出力に用いるためのデータとして出力されるほか、HDD4へ蓄積するためにも出力され、この2経路で符号化データを出力する際、RAM3を経由して行うため、同時処理はできず、処理に時間が掛かってしまう。
そこで、本実施形態では、RAM3を経由することなく、符号化コントローラ29からHDD4に蓄積する符号化データの転送を行えるようにすべく、符号化コントローラ29から直接転送を行えるHDDコントローラ24への出力経路を設けるようにすることで、同時処理を可能とする処理系の構成とする。
【0056】
図14は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図14は、基本形態として先に説明した図2の系をもとに、符号伸長コントローラ28及び符号化コントローラ29を付加した上記〈実施形態5〉に示した構成に、さらに符号化コントローラ29からHDDコントローラ24への出力経路を付加したものであり、基本的な構成要素は図2と共通し、符号伸長コントローラ28は実施形態4の図10と共通し、符号化コントローラ29は実施形態5の図12と共通するので、異なる点のみ説明する。
図14に示すように、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路を有する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路を付加した以外の構成は、図12に示した構成と変わらない。
【0057】
図15は、図14において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図15に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローをもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として示した上記〈実施形態4〉における図11の処理フローに、さらに濃度変換処理を施した画像を符号化するステップを加えたものであり、基本的な処理ステップは図3と、また符号伸長ステップは図10と共通するので、異なる点を主に説明する。
図15の処理フローによると、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、RAM3に書き込まれた画像データに対し、符号伸長コントローラ28は、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS55)。
【0058】
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施し(ステップS55.1)、変換後の画像データを符号化コントローラ29に出力する(ステップS55.2)。
次いで、符号化コントローラ29は、濃度変換コントローラ27から受け取った画像データを符号化し、データサイズを小さくし(ステップS55.2.1)、符号化した画像データをRAM3に書き込む(ステップS55.2.2)。
この後、RAM3に書き込まれた符号化画像データは、プリント出力に用いる。
【0059】
また、符号化コントローラ29は、ステップS55.2.1で符号化した画像データを符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路に出力する(ステップS55.2.3)。
HDDコントローラ24は、符号化コントローラ29から直接転送されてくる符号化された画像データを受け取り、受け取った符号化データをバックアップ用にHDD4に書き込み、保存、蓄積する(ステップS56)。
【0060】
また、プロッタI/F26は、ステップS55.2.2で書き込まれたRAM3上の符号化されたプリント出力用画像データをRAM3から読み込む(ステップS57)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS57で読み込んだ符号化されたプリント出力用画像データに伸長処理を施し(ステップS58)、後段のプロッタ出力処理で扱える復号された画像データとした後、プロッタエンジン6に出力し(ステップS59)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化したプリント出力用画像データを符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ、RAM3を経由することなく、直接転送できるようにしたので、プロッタ出力への符号化データの処理との同時処理が可能となって、処理性能を向上することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・CPU、2・・画像入出力コントローラ、3・・RAM、4・・HDD、5・・スキャナエンジン、6・・プロッタエンジン、23・・メモリコントローラ、24・・HDDコントローラ、25・・スキャナI/F、26・・プロッタI/F、27・・濃度変換コントローラ、273・・濃度変換処理部、273a・・トナー総量規制、273b・・トナー総量緩和、274・・動作モード判定処理部、275・・動作モードセレクタ、278・・絵/文字分離部、279・・絵/文字再合成部、2722・・分離情報バッファ、28・・符号伸長コントローラ、29・・符号化コントローラ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特許第3787534号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な画像の入出力処理を行う複合機(MFP:Multi-Function Peripherals)と呼ばれる複数の画像形成装置からなる画像形成システムに関し、より詳しくは、外部機でプリント出力に用いた画像の入力を受けて、その画像のプリント出力を行う際に、画質の劣化を防ぎ、高画質の出力を行える画像処理手段を有する画像形成システム、画像処理方法及び該画像処理をコンピュータに行わせるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、普及しているデジタル複写機は、原稿から読み取られデジタル化された画像データをもとにコピーを作成する装置であり、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子より成るラインセンサを用いた読取装置やレーザー照射によるトナー書込装置等を用いたプロッタ(プリンタ)の開発、発展に支えられている。
デジタル複写機は、単機能の複写機だけではなく、画像データを扱う他の装置との親和性が高まり、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能等、様々な機能を複合した画像形成装置である。
【0003】
画像形成装置において、スキャナで読み取ったRGB画像をエンジンのトナー・インク特性に応じてCMYK色空間に変換・階調処理をして、即時に印刷するだけで無く、機器に内蔵するHDDやネットワークに接続された記憶装置に蓄積して、後から印刷・再印刷する技術が既に知られている。
しかし、今までの画像形成装置では、ある機器で色変換・階調処理して蓄積した画像を他の機器から出力する際に、そのまま出力できないか、もしくは出力できても画質が劣化するという問題があった。この問題が生じる一つの原因は、色変換後のプリント出力用CMYKの濃度、即ち、トナーあるいはインクの総量が、出力先の機器特性の違いに応じて異なる値をとる許容値の範囲に規制されるので、ある機器で適正出力が得られても、そのまま他の機器で出力した場合、適正な出力が保証されないためで、他の装置における総量の許容量を越えた場合、トナーではチリや剥離による画質劣化、インクでは用紙やエンジン自体を傷める恐れがある。また、逆にトナー総量規制値よりも低い場合には色再現域が狭くなることにより意図した画質にならない場合がある。
【0004】
トナー総量規制に関する従来例として挙げることができる特許文献1(特許第3787534号公報)に記載された画像形成装置では、トナー総量規制値が異なるカラープリンタ等の画像形成装置において適正な出力を可能とするために、トナー総量が段階的に異なる複数の色変換用ルックアップテーブルを持ち、その中から使用するカラープリンタ等の画像形成装置の許容トナー量に近いものを選択し、選択した色変換ルックアップテーブルを用いて色変換処理を行い、得られる画像データを用いてプリント出力を行う出力方式が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1により例示する上記従来技術は、色変換前の原画像を出力処理の対象とし、出力をする画像形成装置の許容トナー量に適合する色変換を選択し、適用するもので、あくまで色変換前の画像であり、上述した、ある装置ですでに色変換・階調処理して蓄積した後の画像が、トナー総量規制値の異なる別の装置で適正な出力が保証されず、画質が劣化することや意図した画質が得られない、という問題の解決手段を提案するものではない。
本発明は、トナー・インク総量規制値に対応して適正なプリント出力用のデータ処理を行う画像形成装置における上述の従来技術の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ある画像形成装置で色変換・階調処理して蓄積した後の画像を、その画像形成装置とはトナー・インク総量規制値が異なる画像形成装置で出力しても、同等の出力を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムであって、前記画像形成装置は、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定手段と、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定手段と、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が総量規制値の範囲の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定手段によって、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、当該入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する濃度変換を行う濃度変換手段とを有することを特徴とする。
本発明は、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおける画像処理方法であって、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定工程と、入力画像が記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定工程と、前記入力画像総量判定工程で、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定工程で、総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する変換を行う濃度変換工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおいて、ある画像形成装置で色変換・階調処理をしてプリント出力用のデータを作成し、蓄積した画像を、記録材の総量規制値が異なる別の画像形成装置から出力する際、画質が劣化すること、意図した画質が得られない、又は用紙やプロッタエンジンを傷めるといった問題を解消し、出力を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置を要素として構成する画像形成システムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の基本構成(実施形態1〜3)を示すブロック図である。
【図3】図2において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図4】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態1)を示すブロック図である。
【図5】トナー(記録材)総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する図である。
【図6】濃度変換コントローラにおける濃度変換モードの判定処理のフローを示す図である。
【図7】濃度変換コントローラにおける濃度変換処理のフローを示す図である。
【図8】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態2)を示すブロック図である。
【図9】図2に示す濃度変換コントローラの内部構成(実施形態3)を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態4)を示すブロック図である。
【図11】図10において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態5)を示すブロック図である。
【図13】図12において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の構成(実施形態6)を示すブロック図である。
【図15】図14において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る画像形成システム及び画像形成システムにおける画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。
本発明に係る画像形成システムの以下に示す実施形態は、多様なパスを経て入力される画像のプリント出力を行うことが可能なMFP等の画像形成装置を例にする。画像形成装置は、通常、ネットワークに接続され、自機のスキャナを通して入力された画像のほか、ネットワーク経由でPC(Personal Computer)や同種の画像形成装置で生成された画像或いはネットワーク上に蓄積された画像を用いてプリント出力を行うことができる。プリント出力要求の対象となる画像には、外部機で出力に用いられ、出力時に蓄積された画像、即ち、既に出力用の濃度変換処理が施された画像も含まれる。
【0010】
プリント出力用の画像は、出力する機器に固有の特性の下で、適正な出力を得るために定められた条件に従って処理される。この条件の1つが、記録材(インク、トナー等)の総量規制値で、この値を超えると、トナーではチリや剥離による画質劣化、インクでは用紙やエンジン自体を傷める恐れがあり、超えない範囲内の総量の記録材でプリント出力を行うために、画像濃度に変換が施される。
ある画像形成装置でその機器に定められた総量規制値に収まるように画像に濃度変換を施し、プリント出力を行った後、そのプリント出力用の画像を用いて別の画像形成装置で再出力する場合について考えると、再出力を行う画像形成装置では、先に出力した画像形成装置と異なる総量規制値が定められているというケースが生じ得る。
【0011】
この場合、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値を超えるときは、規制が掛かり、適正な動作条件のもとでプリント出力が行われ、意図した出力を得ることができる。
ただ、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値の範囲内であると、従来から行われている方法では、入力画像をそのまま出力に用いる、という方法によっているために、入力画像の総量と再出力する画像形成装置の総量規制値のずれが大きくなり、色再現域が狭くなる結果を招くことになって、意図した画質にならない場合が生じてしまう。
そこで、この実施形態では、入力画像と再出力する画像形成装置の総量規制値とのずれを小さくするための増量を再出力する画像形成装置の濃度変換処理によって行うことにより、上述の問題を解消し、画質の向上を図る。
この濃度変換処理は、この発明の要旨となる点であり、プリント出力用の画像を処理する際、この濃度変換処理を行う画像形成装置の実施形態を以下に説明するが、先ず、本実施形態に係る画像形成装置の概要について説明する。
【0012】
この実施形態では、画像形成装置を、ネットワークで機器同士が接続され、相互に機器を利用可能としたシステム(以下「画像形成システム」という)の構成要素とする形態で用いる例を示す。
図1は、本発明に係る画像形成装置を要素として構成する画像形成システムの一例を示す図である。
図1に示す画像形成システムは、ネットワーク500に、画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002、NAS(Network Attached Storage)200及びクラウド300をそれぞれ接続して構成する。
【0013】
画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002は、それぞれスキャナで画像入力、プロッタで画像出力を行い、これに加え、下記1.〜3.の方法で取得する画像のプリント出力が可能である。
1.画像形成装置(1)1001に保存された画像をネットワーク500経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
2.ネットワーク500に接続されたNAS200に蓄積された画像をネットワーク500経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
3.クラウド300上に保存された画像をインターネット経由で画像形成装置(2)1002に転送入力し、画像形成装置(2)1002で、この入力画像を用いてプリント出力を行う。
【0014】
なお、同図示では、便宜上、画像形成装置(2)1002を出力機器としているが、画像形成装置(1)1001からも同様に出力可能である。
また、この画像形成システムにおいて、それぞれに蓄積・保存された画像は、画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002その他の画像形成装置(不図示)で入力、色変換、階調処理等のプリント出力用の処理が施された画像が含まれる。よって、プリント出力用の処理が施された画像の中には、総量規制を受けた画像もある。
画像形成装置(1)1001、画像形成装置(2)1002は、上記のような機能を持つ。
【0015】
次に、図1に例示した画像形成システムの要素となる本実施形態の画像形成装置内の構成について、画像処理に係る処理系を中心に説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理に係る処理系は、CPU(Central Processing Unit)1と、CPU1の制御下にこの処理系全体を制御する画像入出力コントローラ2と、画像入出力コントローラ2の制御下のRAM(Random Access Memory)3、HDD(Hard Disk Drive)4、スキャナエンジン5及びプロッタエンジン6と、を構成要素として有する。
画像入出力コントローラ2は、RAM3に対する各コントローラのアクセスを調停するメモリアービタ21、RAM3を制御するメモリコントローラ23、HDD4を制御するHDDコントローラ24、スキャナエンジン5とのデータ交換を行うスキャナI/F(インターフェース)25、プロッタエンジン6とのデータ交換を行うプロッタI/F26、濃度変換コントローラ27及びネットワーク500とのデータ交換を行うネットワークコントローラ51を有する。
【0016】
なお、上記画像入出力コントローラ2は、CPU1、CPU1が駆動するプログラム(ソフトウェア)を格納するHDD4、プログラムを動作させるときのワークメモリとして使用するRAM3等のハードウェアを要素として構成するコンピュータによって構築することができる。
コンピュータによって画像入出力コントローラ2を構築する場合、例えば、プリント出力用の画像データを処理する等の画像処理を実行する処理手段(本実施形態ではその1つが濃度変換コントローラ27である)として機能させるためのプログラムをHDD4に記録、搭載し、このプログラムを当該コンピュータにより駆動することにより、これらの処理手段を実現する。
なお、画像入出力コントローラ2を構築するための上記プログラムを記録する媒体としては、HDD4に限らず、半導体ROM、CD(Compact Disk)−ROM,MO(Magneto Optical Disk)を含む各種記憶媒体を用いることができる。
【0017】
また、図2のスキャナエンジン5では、スキャナ入力画像(RGB色空間)を入力し、プロッタで用いる画像(CMYK色空間)への色変換および階調処理を行う。なお、“RGB”、“CMYK”は、カラーの構成色であり、前者は(R:レッド,G:グリーン,B:ブルー)、後者は(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)を表す。プロッタエンジン6は、プリント出力画像(CMYK色空間)を用いて紙媒体への印刷出力をする。
画像入出力コントローラ2は、スキャナエンジン5及びプロッタエンジン6にはそれぞれスキャナI/F25、プロッタI/F26を介して接続し、画像入出力の制御を行う。
スキャナI/F25は、スキャナエンジン5からの入力画像をRAM3へDMA(Direct Memory Access)転送する。プロッタI/F26は、プロッタエンジン6への出力画像をRAM3からDMA転送する。
濃度変換コントローラ27は、他の画像形成装置で入力された画像を自機でプリント出力する際の濃度変換を行う。RAM3から画像データを読み込み、処理した画像はRAM3上に書き込む。
【0018】
ネットワークコントローラ51は、ネットワーク500と接続し、受信パケットをRAM3へDMA転送し、送信パケットをRAM3からDMA転送する。
HDDコントローラ24は、RAM3上にある画像データをHDD4に保存し、またHDD4上の蓄積画像をRAM3に展開する。
メモリコントローラ23は、RAM3と接続し、RAM3に対するデータの書込み/読み込みの制御を行う。
メモリアービタ21は、RAM3にアクセスする各コントローラ等のアクセスを調停し、コリジョンの発生を防ぐ。
画像入出力コントローラ2をASIC(Application Specific Integrated Circuit)として搭載する場合、CPU1は、接続した画像入出力コントローラ2の制御および画像入出力コントローラ2に接続されているRAM3へアクセスし、画像処理を実行する処理部等の制御をソフトウェアで実施する。
【0019】
上記のように構成する本実施形態の画像形成システムを構成する画像形成装置におけるプリント出力動作の概要を説明する。
図3は、図2において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。ここに、プリント出力に用いる入力画像は、図1の画像形成システムにおける場合を例にすると、ネットワーク500に接続された外部の画像形成装置(自機が画像形成装置(2)1002であれば、画像形成装置(1)1001が外部機)もしくはNAS200、クラウド300から入力した画像である。
なお、本実施形態においては、自機が画像形成装置(1)1001であれば、画像形成装置(2)1002が外部機となってプリント出力に用いる入力画像を与える構成であってもかまわない。さらに、ネットワーク500に接続される画像形成装置は、3つ以上であってもかまわない。
図3の処理フローによると、先ず、ネットワークコントローラ51は、外部から送信されてくる画像データを含む受信パケットを受け取り、RAM3に書き込むことにより、外部からプリント出力対象の画像を受理する(ステップS1)。
次に、CPU1は、受信データの処理として、RAM3に書き込んだ受信パケットから画像データを抽出し、抽出した画像データをRAM3に書き戻す(ステップS2)。
【0020】
次に、濃度変換コントローラ27は、ステップS2で抽出したRAM3上の画像データを読み込む(ステップS3)。
次いで、濃度変換コントローラ27は、ステップS3で読み込んだ画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施す(ステップS4)。
次いで、濃度変換コントローラ27は、ステップS4で濃度変換を施した後のプリント出力用のデータをRAM3に書き込む(ステップS5)。
次に、HDDコントローラ24は、ステップS5で書き込まれたRAM3上のプリント出力用の画像データをバックアップ用に読み込む(ステップS6)。
次いで、HDDコントローラ24は、ステップS6で読み込んだ画像データをHDD4にバックアップ用に書き込む(ステップS7)。
次に、プロッタI/F26は、ステップS5で書き込まれたRAM3上のプリント出力用の画像データをRAM3から読み込む(ステップS8)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS8で読み込んだプリント出力用の画像データをプロッタエンジン6に出力し(ステップS9)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
【0021】
プリント出力を行う際の画像処理(図3、参照)における濃度変換について、詳細を説明する。
本実施形態では、出力対象の画像に総量規制を掛けて濃度変換を行うが、その際、自機とは別の画像形成装置(外部機)で総量規制が掛けられてプリント出力に用いられた画像を用い再出力するときに生じる場合がある画質の劣化を解消するための手段を装備する。
この画質の劣化の原因は、再出力に用いる画像の濃度が、再出力する画像形成装置の総量規制値の範囲内であると、従来から行われている方法では、出力の対象とする外部機からの入力画像をそのまま出力に用いる、という方法によっているために、総量規制が掛けられていると、色再現域が狭くなるからである。
【0022】
そこで、この実施形態における濃度変換では、出力対象の画像について、自機における記録材の総量規制値の範囲内か否かを判定し、当該画像における記録材の総量が自機における記録材の総量規制値の範囲内である場合は、さらに当該画像が外部機で記録材の総量規制を受けた画像であるか否かを画像の濃度の特徴から判定する。この判定の結果、記録材の総量規制を受けたと判定した画像については、当該画像の濃度値から受けた総量規制値を推定し、推定値に対する自機における記録材の総量規制値との比率にもとづいて、出力対象の画像となる外部機からの入力画像の濃度を増大する。なお、判定の結果、総量規制を受けていない画像は、そのまま出力する。
また、出力対象の画像が自機における記録材の総量規制値の範囲を超えている場合には、総量規制を受けているか、否かの履歴の如何に拘らず、総量規制を掛ける。
このような濃度変換を出力に用いる画像に施すことで、総量規制が掛けられた画像を対象に自機で総量規制を掛けてプリント出力するときに生じる場合がある画質の劣化や、総量規制を掛けないために生じる場合がある用紙やプロッタエンジンを傷めるといった問題を解消することができる。
【0023】
〈実施形態1〉
次に、上述の濃度変換を実施する処理系の基本形態を説明する。なお、以下の実施形態では、電子写真方式により画像を形成する、即ちトナーを記録材として用いる画像形成装置を例示する。
先ず、濃度変換を実施する処理系の基本形態として、図2に示した濃度変換コントローラの内部構成を説明する。
【0024】
図4は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
図4に示す濃度変換コントローラは、入力側から出力側に順に、リードDMAC(DMAコントローラ)271、入力画像バッファ272、濃度変換処理部273、動作モードセレクタ275、出力画像バッファ276、ライトDMAC(DMAコントローラ)277を有する。また、入力画像バッファ272から分岐された経路に動作モード判定処理部274を設け、この判定結果を動作モードセレクタ275に出力する。
なお、濃度変換処理部273は、トナー総量規制273a、トナー総量緩和273bの各処理を行うための処理部を構成要素として有する。トナー総量規制273a、トナー総量緩和273bの各処理は、並列に動作させる方式或いは個別に動作させる方式のいずれでもよい。また、動作モード判定処理部274は、被総量規制画素カウンタ274a、被総量規制判定部274b及び総量規制判定部274cを構成要素として有する。
【0025】
図4に示す濃度変換コントローラの動作を説明すると、先ず、リードDMAC271は、RAM3から処理対象の画像データを読み込み、入力画像バッファ272に逐次蓄積する。
次に、濃度変換処理部273は、入力画像バッファ272から画像を読み出し、トナー総量規制273a及びトナー総量緩和273bの各処理を並列に行って、後段の動作モードセレクタ275に出力する。
動作モードセレクタ275は、トナー総量規制モード、トナー総量緩和モード及びスルーモードの3モードで動作し得る濃度変換処理部273から出力される画像の1つを選択して出力する機能を持つ。この選択機能は、後述する動作モード判定処理部274の判定結果を受けて、前段の濃度変換処理部273が行う3モードの動作のいずれかを選択する方法によるか、或いは、後述する変換係数の値を使用範囲におけるバリエーションとして予め定め、定められたバリエーションの各変換係数値で濃度変換された画像の中から判定結果に適合する画像を選択する方法である動作モードの判定と濃度変換を並行して行える方法によって実現することができる。
次に、ライトDMAC277は、出力画像バッファ276の画像を逐次RAM3に書き込む。
【0026】
動作モード判定処理部274は、濃度変換処理部273で処理される画像と同じ画像を入力画像バッファ272から読み込み、当該画像に適用する濃度変換が、動作モードセレクタ275で選択するモード、即ちトナー総量規制モード、トナー総量緩和モード及びスルーモードの3モードのいずれであるか、を判定する処理を行う。
被総量規制画素カウンタ274aは、判定の対象とする画像の画素のうち、外部機でトナー総量規制を受けたと推定される画素をカウントする。この被総量規制画素のカウンタ値を受け、被総量規制判定部274bは、外部機でトナー総量規制を受けた画像であるか否かを判定する。
他方、総量規制判定部274cは、判定の対象とする画像が自機におけるトナー総量規制値の範囲を超えているか否かを判定する。
被総量規制判定部274b及び総量規制判定部274cの判定結果は、いずれも動作モードセレクタ275に出力される。
【0027】
ここで、図4に示す濃度変換コントローラにおける濃度変換処理の具体例を処理フローにもとづいて説明する。
先ず、この実施形態で採用するトナー総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する。図5は、トナー総量規制による濃度変換処理方法の概念を説明する図で、図中(A)は総量規制前の各色版の濃度値、図中(B)は総量規制後の各色版の濃度値を示す棒グラフである。
図5において、図中(A)に示すように、総量規制前の画像は、CMYK各色版が濃度を持ち、またK版が機器に特有の値として定められる総量規制値(同図中に破線で示す)を超えた値を持つ。この画像に対し、総量規制を掛けて濃度変換処理を行うと、CMY版が総量規制値以内の場合、K版の濃度については、最大濃度が総量規制値となる値へ、またCMY版については、濃度を0にする変換が行われ、総量を規制する。
この変換の結果、図中(A)の画像は、同図中(B)に示すような濃度を総量規制値に抑えたK版のみの画像になる。したがって、同図中(B)に示す棒グラフの白抜き部分の量だけ減量される。
【0028】
次に、画像入出力コントローラ2(図2)の制御下で濃度変換コントローラ27(図4)が行う上記トナー総量規制(図5)を伴う濃度変換処理について、図6及び図7の処理フローにもとづいて説明する。
図6は、本実施形態においてトナー総量規制、トナー総量緩和、スルーの3モードからなる濃度変換モードの判定処理のフローを示す図である。なお、図6の処理フローは、図4の濃度変換コントローラ27における動作モード判定処理部274が行う処理の流れである。
また、図7は、濃度変換モードの判定結果を受けて行う濃度変換の処理フローを示す図である。なお、図6の処理フローは、図4の濃度変換コントローラ27における濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275が行う処理の流れである。
【0029】
ところで、本実施形態の濃度変換処理においては、外部機で受けたトナー総量規制と自機で行うトナー総量規制とは、同じ濃度変換処理方法にもとづいて行われる。つまり、総量規制値の値は、それぞれの機器に適合する値に定められるが、処理そのものは、図5に示したように、規制を掛ける場合、K版の濃度については、最大濃度が総量規制値となる値へ、またCMY版については、濃度を0にする設定条件で変換処理が行われる。
また、濃度変換モードの判定には、出力単位である1ページ分の画像が必要であるため、濃度変換処理を完了するまでに二度RAM3から画像の読み込みを行う。即ち、一度目に濃度変換モードの判定をするためにRAM3から画像を読み込んで判定処理を行い、その後、判定結果にもとづいて濃度変換をする際にRAM3から二度目に画像を読み込むことになる。以下の処理フローでは、この処理手順で動作を行うことを前提とする。
ただ、上述のように、動作モードセレクタ275の持つ選択機能や濃度変換処理部273の持つ処理機能によっては、濃度変換モードの判定と濃度変換を並行して行う方法を採用することもでき、この方法によってもよい。
【0030】
図6の処理フローによると、上位のコントローラである画像入出力コントローラ2は、先ず、濃度変換コントローラ27の起動時に、この処理フローの実行を管理するための情報・データとして用いる、総量規制超過フラグ、被総量規制画素カウント値及びKMAXを0に初期化する(ステップS101)。ここに、総量規制超過フラグは、出力対象の画像が自機のトナー総量規制値を超えた濃度値を持つことを示すフラグである。被総量規制画素カウント値は、出力対象の画像が外部機からの入力画像の場合もあることを前提に、当該画像がトナー総量規制を受けて出力された履歴を持つ画像かどうかを判定するための画素カウント値である。KMAXは、全K版画素の最大濃度値を求めていく過程におけるそれまでの最大濃度値である。入力順となるK版画素に対しそれまでの最大濃度値と比較する処理を行い、全K版画素についてこの処理を終えたときの最大濃度値は、入力画像が実際に図5の方法で総量規制を受けていれば、そのときの総量規制値に当たる値を示す。
【0031】
次に、出力対象のCMYK画像を構成する画素を1画素ずつ判定処理の対象として、その画素の有する濃度値を入力する(ステップS102)。
次いで、ステップS102で入力した濃度値について、CMYKの総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過したか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、入力した画素の総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過した場合(ステップS103-YES)、濃度変換モードの1つである総量規制モードを判定結果とし、判定結果に従って処理を遂行するために必要な手順へ分岐する。このとき、入力画像の出力対象画像の1画素でも、自機のトナー総量規制値を超過した場合、総量規制モードを選択する判定をする。
分岐後の手順として、先ず、先に行った初期化で0にした総量規制超過フラグに1を立て(ステップS104)、また、後続する濃度変換処理における動作モードを総量規制モードに設定する(ステップS114)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
【0032】
ステップS103で、入力した画素の総量濃度値が自機のトナー総量規制値を超過しない場合(ステップS103-NO)、当該画素の濃度について、K版が0ではなく、CMYの各色版が0であるか否かを判定する(ステップS105)。
ここで、K版が0であるか、又はCMYのいずれかの色版が0ではない、という条件を満たす画素であれば(ステップS105-NO)、トナー総量規制を掛けた後の画像(図5(B)、参照)である可能性が少ないので、当該画素の判定を終え、次の画素の処理に移行するためにステップS110に進める。
他方、K版が0ではなく、CMYの各色版が0である、という条件を満たす画素であれば(ステップS105-YES)、トナー総量規制を掛けた後の画像(図5(B)、参照)である可能性がある。
この画素に対しては、さらにK版濃度が、KMAXよりも大きいか否か、即ち、これまでのKMAXを更新する最大濃度値であるか否かを確認し(ステップS106)、KMAXよりも大きい場合(ステップS106-YES)、KMAXを、ステップS106で最大濃度値と認めたKに更新するとともに、これまでの被総量規制画素カウント値を破棄し、0にする(ステップS108)。この場合は、更新したKMAXの画素分として、被総量規制画素カウント値をカウントアップする(ステップS109)。
【0033】
ステップS106で、KMAXを超えない濃度値を持つ画素である場合(ステップS106-NO)、当該画素のK版濃度がKMAXと等しいか否かを確認し(ステップS107)、KMAXと等しくなければ(ステップS107-NO)、トナー総量規制を受けた画像である可能性が少ないので、当該画素の判定を終え、次の画素の処理に移行するためにステップS110に進める。
また、ステップS107で、KMAXと等しければ(ステップS107-YES)、トナー総量規制を受けた画像である可能性が高いので、被総量規制画素カウント値をカウントアップする(ステップS109)。
この後、全画素の読み込みが完了しているか否かを確認し(ステップS110)、完了していなければ(ステップS110-NO)、ステップS102に戻り、次の画素に対し、これまでと同じ過程で処理を繰り返す。
【0034】
ステップS110で、全画素の読み込みの完了が確認できれば(ステップS110-YES)、被総量規制画素カウント値に対し、濃度変換モードを判定するために予め定めた閾値による閾値処理を行い(ステップS111)、この判定閾値を超える場合(ステップS111-YES)、後続する濃度変換処理における動作モードを総量緩和モードに設定する(ステップS112)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
なお、上記動作モードの判定に用いる閾値は、出力対象の画像が自機のトナー総量規制値を超えないK版濃度値でCMY版濃度が0値の画素を有することを前提とし、この画像に対し、総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かを推定するために定められるものである。本実施形態では、総量規制を受けた画像は、KMAXに等しい濃度値を有する画素が相当数以上あるという仮定のもとに、経験的に得られる画素数をこの閾値として用いる。
他方、ステップS111の閾値処理で判定閾値を超えない場合(ステップS111-NO)、濃度変換を必要としないので、動作モードを、濃度変換をせずそのまま出力するスルーモードに設定する(ステップS113)。この設定は、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275に対する動作条件の設定として行い、後述する図7の処理に反映させる。
このモード設定を済ませた後、この判定処理のフローを終了する。
【0035】
次に、図7の処理フローにもとづいて、濃度変換処理における動作モードを判定する図6の処理フローの結果を受けて行う、濃度変換処理部273及び動作モードセレクタ275が行う濃度変換処理の流れを説明する。
図7のフロー処理によると、先ず、濃度変換処理における動作モードがスルーモードであるか否か設定を確認し(ステップS201)、スルーモードであると確認された場合(ステップS201-YES)、濃度変換処理をせず、入力された画像をそのまま出力し、この処理を終了する。
ステップS201で、スルーモードではないと確認された場合(ステップS201-NO)、出力対象のCMYK画像を構成する画素を1画素ずつ濃度変換処理の対象として、その画素の有する濃度値を入力する(ステップS202)。
次いで、処理対象の画素に設定された濃度変換処理における動作モードが、トナー総量規制とトナー総量緩和の2モードのどちらであるか設定を確認し(ステップS203)、それぞれのモードの処理に分岐する。
【0036】
ステップS203で総量緩和モードと確認された場合、当該画素の濃度値に変換係数を乗算して総量を緩和する変換をする(ステップS204)。ここに、変換係数は、下記式(1)に示す値とする。
変換係数=自機のトナー総量規制値÷KMAX・・・式(1)
この変換係数の乗算により、KMAXが自機のトナー総量規制値より小さい場合にも、変換後の濃度値をトナー総量規制値の範囲内で増量することができる。
また、ステップS203でトナー総量規制モードと確認された場合、当該画素の濃度値に対し、既存の方法(図5、参照)によってトナー総量規制を掛けた変換をする(ステップS205)。
ステップS204又はステップS205の濃度変換を終えた後、変換後の画素を出力し(ステップS206)、次いで、全画素の濃度変換処理が完了しているか否かを確認する(ステップS207)。
ここで、全画素の処理が完了していなければ(ステップS207-NO)、ステップS202に戻り、次の画素に対し、これまでと同じ過程で処理を繰り返す。他方、全画素の処理が完了していれば(ステップS207-YES)、この濃度変換処理のフローを終了する。
【0037】
上記のように、処理対象として入力された画像のトナー総量が自機のトナー総量規制値の範囲内である場合、入力された画像がトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像であるか否かが推定できる閾値処理によってその判定を行い、総量規制を受けていない画像はそのまま出力し、総量規制を受けたと判定した画像については、自機のトナー総量規制値の範囲内でKMAXに応じた増量をするので、外部機でトナー総量規制を受けた履歴を持つ画像をプリント出力に用いても、従来法により生じた画質の劣化を抑制できる。
【0038】
〈実施形態2〉
上記〈実施形態1〉では、濃度変換を実施する処理系の基本形態を示したが、本実施形態では、さらに、処理対象として入力される画像が文字と絵柄の合成画像である場合に、それぞれの画像に適合する濃度変換を行うようにする処理系を構成する実施形態について、説明をする。
図8は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
なお、図8に示す濃度変換コントローラは、基本形態として先に説明した図4の処理系をもとに文字と絵柄の合成画像に適用する形態であり、基本的な構成要素は共通するので、異なる点のみ説明する。
【0039】
図8に示すように、入力画像バッファ272のすぐ後段に絵/文字分離部278と、出力画像バッファ276のすぐ前段に絵/文字再合成部279を有する。また、絵/文字分離部278と絵/文字再合成部279の間には、文字部と絵柄部それぞれの画像を処理するように、分離した各画像に対応して図4の基本処理系と同様の構成で、濃度変換処理部2731,2732、動作モード判定処理部2741,2742及び動作モードセレクタ2751,2752を並列に設ける。
【0040】
絵/文字分離部278は、入力画像の画素に表れる絵柄部、文字部それぞれの特徴を解析することにより絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に分離する。また、絵/文字再合成部279は、分離された絵柄部領域、文字部領域の各画素に濃度変換を施した後の画素を1枚の画像に再合成する。なお、絵/文字分離部278、絵/文字再合成部279の各処理手段そのものは、既存の技術を適用することにより実施することができる。
また、濃度変換処理部2731,2732及び動作モード判定処理部2741,2742は、絵/文字分離部278による分離後の絵柄部領域、文字部領域の各画素に対し、各画素が属する画像(絵柄部/文字部)の特性に応じた総量規制値及び総量規制を受けた画像の判定閾値を適用してそれぞれの処理を行う。
このように、絵柄部領域、文字部領域の各画素に対して、それぞれに適応した濃度変換処理をすることで、絵柄部と文字部の合成された当該画像のプリント出力において画質をより改善することができる。
【0041】
上記のように、分離した絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に適用する総量規制値及び総量規制を受けた画像の判定閾値は、それぞれの属する画像(絵柄部/文字部)によって異なるが、各画像に対する濃度変換処理方法は、基本的に同じである。
つまり、上記〈実施形態1〉における図6に示した動作モードを判定する処理フロー及び図7に示した濃度変換の処理フローにもとづいて、絵柄部領域の画素、文字部領域の画素に対し濃度変換の処理を通し、絵/文字再合成部279で1枚の画像に再合成するための画素出力を行うことができる。
ただ、処理の対象とする画像を分離する処理フロー(不図示)を、図6に示した動作モードを判定する処理フロー及び図7に示した濃度変換の処理フローの前段の処理として行い、図6及び図7のフローを通すために用意しておく必要がある。
これ以外の処理フローは、上記〈実施形態1〉と共通しているので、上記図6及び図7の説明を参照することにして、ここでは、処理フローの詳細な説明は省略する。
【0042】
〈実施形態3〉
本実施形態は、上記〈実施形態2〉と同様、文字と絵柄の合成画像が処理対象として入力される場合に適用する実施形態である。ここでは、入力画像に分離情報が付加されたデータ入力が行われる場合に、それぞれの画像に適合する濃度変換を行うようにする処理系を構成する。
図9は、図2に示す濃度変換コントローラ27の内部構成を示すブロック図である。
なお、図9に示す濃度変換コントローラは、基本形態として先に説明した図4の処理系をもとに文字と絵柄の合成画像に適用する形態であり、基本的な構成要素は共通し、さらに上記〈実施形態2〉の図8に示した構成とも共通するので、異なる点のみ説明する。
【0043】
図9に示すように、絵/文字分離部278’の前段には、画像用に上記各実施形態と同様、リードDMAC2711と入力画像バッファ2721を有するが、この外に分離情報が付加されたデータ用に、リードDMAC(分離用)2712と分離情報バッファ2722を有する。
絵/文字分離部278’は、リードDMAC(分離用)2712からの入力データから取り出した分離情報を解釈し、その結果に従い入力画像バッファ2721からの入力画像を絵柄部領域の画素と文字部領域の画素に分離し、分離した絵柄部領域の画像、文字部領域の各画像をそれぞれの濃度変換処理の各部に出力する。以降の濃度変換処理の各部の構成は、上記〈実施形態2〉の図8に示した構成と変わらない。
【0044】
本実施形態の処理フローは、分離した絵柄部領域の画素と文字部領域の画素にそれぞれの属する画像(絵柄部/文字部)に適応する処理を通して、各画像に対する濃度変換処理を行う点で、上記〈実施形態2〉と共通するので、基本的に同じ処理フローとなり、処理の対象とする画像を分離する処理フロー(不図示)を、動作モードを判定する処理フロー及び濃度変換の処理フローの前段の処理として行い、後段の各処理フローを通すために用意しておく必要がある、という点でも、上記〈実施形態2〉と同様である。
【0045】
〈実施形態4〉
本実施形態は、上述の画像入出力コントローラ2に符号伸長コントローラを装備した実施形態である。
上記各実施形態における図2は、基本構成を有する処理系であり、符号化された画像を濃度変換処理の入力画像として処理することを考慮していない。よって、ネットワーク経由で入力される多くの画像が、実際は符号化されているので、処理ができない。
そこで、本実施形態では、処理対象として入力される画像が符号化されている場合に対応して処理を実施することを可能とする処理系を構成する。
【0046】
図10は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図10は、基本形態として先に説明した図2において、符号化された入力画像の処理に対応する形態であり、基本的な構成要素は共通するので、異なる点のみ説明する。
図10に示すように、画像入出力コントローラ2は、例えば、ネットワークコントローラ51を介して入力される画像が符号化されている場合、その画像の符号伸長を行う符号伸長コントローラ28を有する。
符号伸長コントローラ28は、入力側でメモリアービタ21に接続し、出力側で濃度変換コントローラ27に接続する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号伸長コントローラ28を付加した以外の構成は、図2に示した構成と変わらない。
【0047】
図11は、図10において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図11に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローにおいて、符号化された入力画像の処理に対応する形態であり、基本的な処理ステップは共通するので、異なる点のみ説明する。
図11の処理フローによると、CPU1は、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、この画像データをRAM3に書き込む(ステップS12)。
【0048】
次に、符号伸長コントローラ28は、ステップS12で保存したRAM3上の符号化された画像データを読み込む(ステップS13)。
次いで、符号伸長コントローラ28は、ステップS13で読み込んだ符号化された画像データに対し、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし(ステップS14)、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS15)。
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施す(ステップS15.1)。
この濃度変換コントローラ27の処理以降、最終段のプロッタ出力(ステップS30)までの処理フローは、先の図3のフローと変わらない。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化によりデータサイズを小さくし転送性能を向上させた画像データに対しても適応することが可能になり、画像形成システムのパフォーマンスを高めることができる。
【0049】
〈実施形態5〉
本実施形態は、上述の図2の画像入出力コントローラ2に符号化コントローラを装備した実施形態である。
上記実施形態1〜3における図2で示される一例は、基本構成を有する処理系であり、プリント出力に用いるために濃度変換処理を施した画像を符号化することを考慮していない。よって、データサイズが大きいままで画像を扱うために、メモリ資源の有効利用を損ない、またネットワークへ転送するデータ量の増加を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、プリント出力用に濃度変換処理を施した画像を符号化する処理を実施することを可能とする処理系を構成する。
【0050】
図12は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図12は、基本形態として先に説明した図2をもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として上記〈実施形態4〉に示した構成に、さらに符号化コントローラを付加したものであり、基本的な構成要素は図2と共通し、符号伸長コントローラ28は実施形態4の図10と共通するので、異なる点のみ説明する。
図12に示すように、画像入出力コントローラ2は、濃度変換処理を施した画像を符号化する符号化コントローラ29を有する。
符号化コントローラ29は、入力側で濃度変換コントローラ27に接続し、出力側でメモリアービタ21に接続する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29を付加した以外の構成は、図10に示した構成と変わらない。
【0051】
図13は、図12において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図13に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローをもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として示した上記〈実施形態4〉における図11の処理フローに、さらに濃度変換処理を施した画像を符号化するステップを加えたものであり、基本的な処理ステップは図3と、また符号伸長ステップは図10と共通するので、異なる点のみ説明する。
図13の処理フローによると、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、RAM3に書き込まれた画像データに対し、符号伸長コントローラ28は、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS35)。
【0052】
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施し(ステップS35.1)、変換後の画像データを符号化コントローラ29に出力する(ステップS35.2)。
次いで、符号化コントローラ29は、濃度変換コントローラ27から受け取った画像データを符号化し、データサイズを小さくし(ステップS35.2.1)、符号化した画像データをRAM3に書き込む(ステップS35.2.2)。
この後、RAM3に書き込まれた符号化画像データは、プリント出力に用いるほか、バックアップ用にHDD4にも保存、蓄積される。
【0053】
そこで、HDDコントローラ24は、前段で書き込まれたRAM3上の符号化された画像データをバックアップ用に読み込む(ステップS36)。
次いで、HDDコントローラ24は、前段で読み込んだ符号化された画像データをHDD4にバックアップ用に書き込む(ステップS37)。
また、プロッタI/F26は、ステップS35.2.2で書き込まれたRAM3上の符号化されたプリント出力用画像データをRAM3から読み込む(ステップS38)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS38で読み込んだ符号化されたプリント出力用画像データに伸長処理を施し(ステップS39)、後段のプロッタ出力処理で扱える復号された画像データとした後、プロッタエンジン6に出力し(ステップS40)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化によりデータサイズを小さくすることで、メモリ資源の有効利用を図り、またネットワークへ転送するデータ量の増加を抑制することが可能になり、画像形成システムのパフォーマンスを高めることができる。
【0054】
〈実施形態6〉
本実施形態は、上述の図2の画像入出力コントローラ2に符号化コントローラを装備するとともに、符号化コントローラからHDDコントローラへの出力経路を設けた実施形態である。
上記実施形態1〜3における図2で示される一例は、基本構成を有する処理系であり、プリント出力に用いるために濃度変換処理を施した画像を符号化することを考慮していない。よって、データサイズが大きいままで画像を扱うために、メモリ資源の有効利用を損ない、またネットワークへ転送するデータ量の増加を招いてしまう。
この問題点を解決する手段として、上記実施形態5では符号伸張コントローラ28を装備することで、データ量を縮減している。
【0055】
ただ、図13の処理フローに示したように、符号化したプリント出力用画像データは、プロッタエンジン6で出力に用いるためのデータとして出力されるほか、HDD4へ蓄積するためにも出力され、この2経路で符号化データを出力する際、RAM3を経由して行うため、同時処理はできず、処理に時間が掛かってしまう。
そこで、本実施形態では、RAM3を経由することなく、符号化コントローラ29からHDD4に蓄積する符号化データの転送を行えるようにすべく、符号化コントローラ29から直接転送を行えるHDDコントローラ24への出力経路を設けるようにすることで、同時処理を可能とする処理系の構成とする。
【0056】
図14は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図14は、基本形態として先に説明した図2の系をもとに、符号伸長コントローラ28及び符号化コントローラ29を付加した上記〈実施形態5〉に示した構成に、さらに符号化コントローラ29からHDDコントローラ24への出力経路を付加したものであり、基本的な構成要素は図2と共通し、符号伸長コントローラ28は実施形態4の図10と共通し、符号化コントローラ29は実施形態5の図12と共通するので、異なる点のみ説明する。
図14に示すように、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路を有する。
なお、画像入出力コントローラ2は、符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路を付加した以外の構成は、図12に示した構成と変わらない。
【0057】
図15は、図14において、外部からの入力画像を用いてプリント出力を行う際の画像処理のフローを示す図である。なお、図15に示す処理フローは、基本形態として先に説明した図3のプリント出力を行う際の画像処理のフローをもとに、符号化された入力画像の処理に対応する形態として示した上記〈実施形態4〉における図11の処理フローに、さらに濃度変換処理を施した画像を符号化するステップを加えたものであり、基本的な処理ステップは図3と、また符号伸長ステップは図10と共通するので、異なる点を主に説明する。
図15の処理フローによると、ネットワークコントローラ51を介して外部から送信されてくる符号化された画像データを受け取り、受信処理を経て、RAM3に書き込まれた画像データに対し、符号伸長コントローラ28は、伸長処理を施し、後段の処理で扱える復号された画像データとし、得られる画像データを次段の濃度変換コントローラ27に出力する(ステップS55)。
【0058】
符号伸長コントローラ28からの画像データを受け取る濃度変換コントローラ27は、当該画像データに対し、プロッタエンジン6で行うプリント出力に適用するデータとするための濃度変換を施し(ステップS55.1)、変換後の画像データを符号化コントローラ29に出力する(ステップS55.2)。
次いで、符号化コントローラ29は、濃度変換コントローラ27から受け取った画像データを符号化し、データサイズを小さくし(ステップS55.2.1)、符号化した画像データをRAM3に書き込む(ステップS55.2.2)。
この後、RAM3に書き込まれた符号化画像データは、プリント出力に用いる。
【0059】
また、符号化コントローラ29は、ステップS55.2.1で符号化した画像データを符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ直接データ転送を行う出力経路に出力する(ステップS55.2.3)。
HDDコントローラ24は、符号化コントローラ29から直接転送されてくる符号化された画像データを受け取り、受け取った符号化データをバックアップ用にHDD4に書き込み、保存、蓄積する(ステップS56)。
【0060】
また、プロッタI/F26は、ステップS55.2.2で書き込まれたRAM3上の符号化されたプリント出力用画像データをRAM3から読み込む(ステップS57)。
次いで、プロッタI/F26は、ステップS57で読み込んだ符号化されたプリント出力用画像データに伸長処理を施し(ステップS58)、後段のプロッタ出力処理で扱える復号された画像データとした後、プロッタエンジン6に出力し(ステップS59)、プリント出力を行う際の画像処理のフローを終える。
このように、本実施形態の処理によれば、符号化したプリント出力用画像データを符号化コントローラ29からHDDコントローラ24へ、RAM3を経由することなく、直接転送できるようにしたので、プロッタ出力への符号化データの処理との同時処理が可能となって、処理性能を向上することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・CPU、2・・画像入出力コントローラ、3・・RAM、4・・HDD、5・・スキャナエンジン、6・・プロッタエンジン、23・・メモリコントローラ、24・・HDDコントローラ、25・・スキャナI/F、26・・プロッタI/F、27・・濃度変換コントローラ、273・・濃度変換処理部、273a・・トナー総量規制、273b・・トナー総量緩和、274・・動作モード判定処理部、275・・動作モードセレクタ、278・・絵/文字分離部、279・・絵/文字再合成部、2722・・分離情報バッファ、28・・符号伸長コントローラ、29・・符号化コントローラ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特許第3787534号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定手段と、
入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定手段と、
前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が総量規制値の範囲の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定手段によって、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、当該入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する濃度変換を行う濃度変換手段と
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成システムにおいて、
前記濃度変換手段は、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲を超えていると判定されたときのみ、自機の総量規制値内の濃度で出力するための変換を行い、また、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が自機の記録材の総量規制値の範囲内であると判定されても、前記総量規制適用履歴判定手段によって総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されなかったとき、当該入力画像そのままを出力する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成システムにおいて、
前記総量規制適用履歴判定手段は、CMYK色の濃度を有する入力画像の構成画素のうち、CMY濃度が0でK色濃度が最大である画素数が、CMY濃度が0でK色濃度が最大でない画素数よりも多い画像を、記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成システムにおいて、
前記濃度変換手段は、記録材の総量規制値の範囲内で増量する前記濃度変換を、入力画像のCMY濃度が0でK色のみ濃度がある画素の最大濃度が濃度変換手段で用いる記録材の総量規制値の最大値になる濃度への変換とする
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像の画素を解析することにより、当該画像を文学部と絵柄部に分離する画像分離手段と、
前記画像分離手段によって分離された文字部、絵柄部の画像それぞれに対応する前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段及び前記濃度変換手段と、
文字部、絵柄部それぞれに対する前記濃度変換手段の出力段に設けた、濃度変換後の文字部と絵柄部の画像を合成する画像合成手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像に添付された文字部と絵柄部の識別情報を取得することにより、当該画像を文宇部と絵柄部に分離する画像分離手段と、
前記画像分離手段によって分離された文字部、絵柄部の画像それぞれに対応する前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段及び前記濃度変換手段と、
文字部、絵柄部それぞれに対する前記濃度変換手段の出力段に設けた、濃度変換後の文字部と絵柄部の画像を再合成する画像再合成手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像が符号化されているときに、当該画像を伸長処理する符号伸長部を前記濃度変換手段の前段に備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力画像を符号化する符号化手段を前記濃度変換手段の後段に備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載された画像形成システムにおいて、
処理の対象とする画像を記憶するメモリ及びHDDと、前記符号化手段により符号化された画像を前記メモリに書き込むと同時に前記HDDに書き込む記億部制御手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおける画像処理方法であって、
入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定工程と、
入力画像が記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定工程と、
前記入力画像総量判定工程で、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定工程で、総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する変換を行う濃度変換工程
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1に記載された画像形成システムが有する前記濃度変換手段、前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項1】
ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定手段と、
入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定手段と、
前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が総量規制値の範囲の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定手段によって、入力画像が総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、当該入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する濃度変換を行う濃度変換手段と
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成システムにおいて、
前記濃度変換手段は、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲を超えていると判定されたときのみ、自機の総量規制値内の濃度で出力するための変換を行い、また、前記入力画像総量判定手段によって、入力画像における記録材の総量が自機の記録材の総量規制値の範囲内であると判定されても、前記総量規制適用履歴判定手段によって総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されなかったとき、当該入力画像そのままを出力する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成システムにおいて、
前記総量規制適用履歴判定手段は、CMYK色の濃度を有する入力画像の構成画素のうち、CMY濃度が0でK色濃度が最大である画素数が、CMY濃度が0でK色濃度が最大でない画素数よりも多い画像を、記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成システムにおいて、
前記濃度変換手段は、記録材の総量規制値の範囲内で増量する前記濃度変換を、入力画像のCMY濃度が0でK色のみ濃度がある画素の最大濃度が濃度変換手段で用いる記録材の総量規制値の最大値になる濃度への変換とする
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像の画素を解析することにより、当該画像を文学部と絵柄部に分離する画像分離手段と、
前記画像分離手段によって分離された文字部、絵柄部の画像それぞれに対応する前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段及び前記濃度変換手段と、
文字部、絵柄部それぞれに対する前記濃度変換手段の出力段に設けた、濃度変換後の文字部と絵柄部の画像を合成する画像合成手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像に添付された文字部と絵柄部の識別情報を取得することにより、当該画像を文宇部と絵柄部に分離する画像分離手段と、
前記画像分離手段によって分離された文字部、絵柄部の画像それぞれに対応する前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段及び前記濃度変換手段と、
文字部、絵柄部それぞれに対する前記濃度変換手段の出力段に設けた、濃度変換後の文字部と絵柄部の画像を再合成する画像再合成手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力対象となる入力画像が符号化されているときに、当該画像を伸長処理する符号伸長部を前記濃度変換手段の前段に備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成システムにおいて、
出力画像を符号化する符号化手段を前記濃度変換手段の後段に備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載された画像形成システムにおいて、
処理の対象とする画像を記憶するメモリ及びHDDと、前記符号化手段により符号化された画像を前記メモリに書き込むと同時に前記HDDに書き込む記億部制御手段を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおける画像処理方法であって、
入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であるか否かを判定する入力画像総量判定工程と、
入力画像が記録材の総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であるか否かを判定する総量規制適用履歴判定工程と、
前記入力画像総量判定工程で、入力画像における記録材の総量が自機の総量規制値の範囲内であると判定され、且つ前記総量規制適用履歴判定工程で、総量規制値内の濃度で出力するための変換を受けた画像であると判定されたとき、入力画像における記録材の総量を自機の記録材の総量規制値の範囲内で増量する変換を行う濃度変換工程
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1に記載された画像形成システムが有する前記濃度変換手段、前記入力画像総量判定手段、前記総量規制適用履歴判定手段の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−186556(P2012−186556A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46826(P2011−46826)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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