説明

画像形成システム、画像形成装置およびコンピュータプログラム

【課題】 クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくする。
【解決手段】 画像形成装置1のSOAP処理部17は、通信処理部16により要求メッセージがクライアント装置3から受信されると、その要求メッセージで指定された文書データ21を含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる。クライアント装置3のSOAP処理部52は、文書データ21を指定した要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置へ送信させるとともに、通信処理部51により応答メッセージが画像形成装置1から受信されると、その応答メッセージから、要求メッセージで指定した文書データ21を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置およびコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クライアント装置と複合機との間で、SOAP(Simple Object Access Protocol)メッセージで、コマンドおよび応答データを送受するシステムがある(例えば特許文献1参照)。特許文献1のシステムでは、複合機に文書データが蓄積されており、クライアント装置から複合機へコマンドを送信することにより、文書データの操作を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−46817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなシステムにおいて、複合機からクライアント装置へ文書データをダウンロードする場合、複合機からクライアント装置へ文書データのダウンロード要求がSOAPメッセージで送信され、クライアント装置から複合機へ応答データがSOAPメッセージで送信される。応答データには、文書データのURL(Uniform Resource Locator)が含まれており、クライアント装置は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)などで、そのURLの文書データをダウンロードする。
【0005】
このように、クライアント装置と複合機との間の要求および応答のメッセージプロトコル(例えばSOAP)では文書データそのものを送信せずに、下位層の通信プロトコル(例えばHTTP)で文書データを送信している。
【0006】
しかしながら、文書データの送受に下位層の通信プロトコルを使用するため、クライアント装置におけるアプリケーションは、メッセージプロトコルによる通信の他に、下位層の通信プロトコルによる通信も管理する必要がある。このため、アプリケーションの開発が容易ではない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくすることができる画像形成システム、画像形成装置およびコンピュータプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像形成システムは、コンピュータネットワークに接続された画像形成装置と、コンピュータネットワークに接続されたクライアント装置とを備える。画像形成装置は、文書データを格納するデータ格納装置と、XMLで記述された要求メッセージを受信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを送信する第1の通信処理部と、第1の通信処理部により要求メッセージがクライアント装置から受信されると、その要求メッセージで指定された文書データを含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、第1の通信処理部にクライアント装置へ送信させる第1のメッセージ処理部とを有する。クライアント装置は、要求メッセージを送信するとともに応答メッセージを受信する第2の通信処理部と、文書データを指定した要求メッセージを、第2の通信処理部に画像形成装置へ送信させるとともに、第2の通信処理部により応答メッセージが画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、要求メッセージで指定した文書データを抽出する第2のメッセージ処理部とを有する。
【0010】
これにより、文書データの送受を要求および応答のメッセージプロトコルのみで行うことができるため、クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムに加え、次のようにしてもよい。この場合、第2のメッセージ処理部は、応答メッセージの生成を開始させる事前要求メッセージを、文書データの要求メッセージより先に、第2の通信処理部に画像形成装置へ送信させる。そして、第1のメッセージ処理部は、事前要求メッセージが第1の通信処理部により受信されると、応答メッセージの生成を事前に開始する。
【0012】
これにより、クライアント装置は非同期で文書データを取得することができるため、文書データを要求してから文書データを受信するまでの時間に、他の処理を行うことができ、結果としてクライアント装置の処理速度を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、要求メッセージおよび前記応答メッセージは、SOAPメッセージである。
【0014】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1のメッセージ処理部は、文書データがテキストデータではない場合には、所定のエンコード方式により文書データをテキストデータにエンコードし、エンコード後の文書データを応答メッセージに含める。第2のメッセージ処理部は、文書データがテキストデータではない場合には、抽出した文書データを、所定のエンコード方式により元の文書データにデコードする。
【0015】
これにより、文書データにバイナリデータが含まれていても、文書データの送受を要求および応答のメッセージプロトコルで行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、要求メッセージおよび応答メッセージは、SOAPメッセージであり、テキストデータにエンコードされた文書データは、応答メッセージにおけるSOAPエンベロープのボディ要素に含まれる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、応答メッセージにおけるSOAPエンベロープは、所定のエンコード方式を示す要素を含む。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、文書データを格納するデータ格納装置と、XMLで記述された要求メッセージを受信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを送信する通信処理部と、通信処理部により要求メッセージがクライアント装置から受信されると、その要求メッセージで指定された文書データを含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、通信処理部にクライアント装置へ送信させるメッセージ処理部とを備える。
【0019】
これにより、文書データの送受を要求および応答のメッセージプロトコルで行うことができるため、クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくすることができる。
【0020】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータネットワークを介して画像形成装置と通信可能なクライアント装置におけるコンピュータを、XMLで記述された要求メッセージを送信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを受信する通信処理部、および画像形成装置内のデータ格納装置に格納されている文書データを指定した要求メッセージを、通信処理部に画像形成装置へ送信させるとともに、通信処理部により応答メッセージが画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、要求メッセージで指定した文書データを抽出するメッセージ処理部として機能させる。
【0021】
これにより、文書データの送受を要求および応答のメッセージプロトコルで行うことができるため、クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、クライアント装置のアプリケーションを開発しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、画像形成装置1は、コンピュータネットワーク2に接続され、そのコンピュータネットワーク2にクライアント装置3が接続されている。画像形成装置1は、印刷機能、画像読取機能およびファクシミリ送受信機能のうちの少なくとも1つを有する装置である。コンピュータネットワーク2は、LAN、WANなどのネットワークである。クライアント装置3は、例えばパーソナルコンピュータである。
【0025】
画像形成装置1は、印刷装置11、画像読取装置12、ファクシミリ装置13、通信装置14、データ格納装置15、通信処理部16、SOAP処理部17および制御部18を有する。
【0026】
印刷装置11は、文書データに基づいて文書画像を印刷する印刷機能を有する内部装置である。画像読取装置12は、文書から文書画像を光学的に読み取り、文書画像の画像データを生成する内部装置である。ファクシミリ装置13は、送信すべき文書データからファクシミリ信号を生成し送信するとともに、ファクシミリ信号を受信し文書データに変換する内部装置である。
【0027】
通信装置14は、コンピュータネットワーク2に接続され、コンピュータネットワーク2に接続された他の装置(ここでは、クライアント装置3)との間でデータ通信を行う装置である。通信装置14としては、例えばネットワークインタフェースカードが使用される。
【0028】
データ格納装置15は、文書データ21および管理情報22を格納する装置である。データ格納装置15としては、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリなどが使用される。文書データ21は、画像読取装置12による画像読取で生成された画像データ、ファクシミリ装置13により受信されたファクシミリ信号から生成された画像データ、印刷装置11により印刷された画像のバックアップの画像データ、ファクシミリ装置13により送信された画像のバックアップの画像データなどである。また、ユーザごとあるいは部門ごとに設定されている文書ボックスの領域をデータ格納装置15に設け、その文書ボックスに文書データ21が格納されるようにしてもよい。管理情報22は、画像形成装置1の内部状態情報および動作設定情報を含む。
【0029】
通信処理部16は、通信装置14を制御して、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)でコンピュータネットワーク2を介してデータ通信を行う処理部である。さらに、通信処理部16は、HTTPのクライアントおよびサーバ機能を有する。
【0030】
SOAP処理部17は、通信処理部16を制御して、SOAPメッセージの送受を行う処理部である。SOAP処理部17は、通信処理部16により要求メッセージがクライアント装置1から受信されると、その要求メッセージで指定された文書データを含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置1へ送信させる。
【0031】
この実施の形態では、要求メッセージおよび応答メッセージは、SOAPメッセージである。また、この実施の形態では、SOAPの下位層プロトコルとしてHTTPがバインディングされ、画像形成装置1およびクライアント装置3のそれぞれにエンドポイントのURLが予め設定されており、通信相手のエンドポイントに対して、HTTPのPOSTコマンドでSOAPメッセージを送信する。
【0032】
制御部18は、印刷装置11、画像読取装置12、ファクシミリ装置13などの内部装置を制御し、クライアント装置3または図示せぬ操作パネルから要求されたジョブを実行させる処理部である。制御部18は、各種ジョブで生成された文書データ21をデータ格納装置15に格納するとともに、内部装置の状態を監視し、状態の変化に応じて管理情報22を更新する。
【0033】
なお、通信処理部16、SOAP処理部17および制御部18は、図示せぬ内蔵コンピュータで所定のプログラムが実行されることにより実現される。
【0034】
また、クライアント装置3は、通信装置31、データ格納装置32およびコンピュータ33を有する。
【0035】
通信装置31は、コンピュータネットワーク2に接続され、コンピュータネットワーク2に接続された他の装置(ここでは、画像形成装置1)と通信可能な装置である。通信装置31としては、例えばネットワークインタフェースカードが使用される。
【0036】
データ格納装置32は、ドライバプログラム41およびアプリケーションプログラム42を格納する装置である。データ格納装置32としては、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリなどが使用される。なお、ドライバプログラム41を、CD−ROMなどの可搬性のある記録媒体に格納しておき、その記録媒体からドライバプログラム41を読み出す駆動装置をデータ格納装置32として使用するようにしてもよい。
【0037】
コンピュータ33は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備え、プログラムをRAMにロードし、CPUで実行することにより、各種処理部を実現する装置である。ドライバプログラム41がコンピュータ33で実行されることにより、通信処理部51およびSOAP処理部52が実現される。ドライバプログラム41は、コンピュータプログラムの一例である。また、アプリケーションプログラム42がコンピュータ33で実行されることにより、アプリケーション53が実現される。
【0038】
通信処理部51は、通信装置31を制御して、TCP/IPでコンピュータネットワーク2を介してデータ通信を行う処理部である。さらに、通信処理部51は、HTTPのクライアントおよびサーバ機能を有する。
【0039】
SOAP処理部52は、通信処理部51を制御して、SOAPメッセージの送受を行う処理部である。SOAP処理部52は、文書データを指定した要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させるとともに、通信処理部51により応答メッセージが画像形成装置1から受信されると、その応答メッセージから、要求メッセージで指定した文書データを抽出する。
【0040】
アプリケーション53は、画像形成装置1に格納されている文書データ21を取得する処理部である。
【0041】
次に、上記システムにおける各装置の動作について説明する。図2は、図1に示すシステムにおける文書データのダウンロード処理を説明する図である。
【0042】
クライアント装置3のアプリケーション53は、文書データのダウンロード要求のためにユーザにより行われた図示せぬ入力装置(キーボードなど)への入力操作を検出すると、SOAP処理部52に、入力操作で指定された文書データの取得を実行させる。
【0043】
クライアント装置3のSOAP処理部52は、まず、ダウンロード要求メッセージを生成し、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる(ステップS1)。ダウンロード要求メッセージはSOAPメッセージである。図3は、ダウンロード要求メッセージの一例を示す図である。図3に示すダウンロード要求メッセージには、ダウンロード要求メッセージであることを示すstartDownloadRequest要素と、文書データを指定するFileName要素が含まれている。FileName要素は、startDownloadRequest要素の子要素である。
【0044】
クライアント装置3の通信処理部51は、HTTPのPOSTコマンドで、そのメッセージを画像形成装置1へ送信する。そのメッセージは、通信装置31、コンピュータネットワーク2および通信装置14を介して伝送され、画像形成装置1の通信処理部16に受信される。
【0045】
画像形成装置1の通信処理部16は、HTTPで受信したダウンロード要求メッセージをSOAP処理部17に供給する。SOAP処理部17は、ダウンロード要求メッセージが受信されると、応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS2)。図4は、図3に示すダウンロード要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。図4に示す応答メッセージには、ダウンロード要求メッセージの応答メッセージであることを示すstartDownloadResponse要素と、応答内容を示すResponse要素が含まれている。Response要素は、startDownloadResponse要素の子要素である。
【0046】
画像形成装置1のSOAP処理部17は、ダウンロード要求メッセージに対する応答メッセージの送信後、ダウンロード要求メッセージで指定された文書データ21を含む応答メッセージの作成を開始する(ステップS3)。この応答メッセージは、SOAPメッセージである。応答メッセージの作成では、SOAP処理部17は、指定された文書データ21をデータ格納装置15から読み出し、その文書データ21を含む応答メッセージを作成する。また、文書データ21にバイナリデータが含まれる場合には、SOAP処理部17は、その文書データ21をテキストデータにエンコードし、エンコード後の文書データ21を応答メッセージに含める。文書データ21は、例えばBASE64方式でエンコードされる。
【0047】
他方、クライアント装置3では、通信処理部51は、ダウンロード要求メッセージに対する応答メッセージを受信すると、SOAP処理部52に供給する。SOAP処理部52は、その応答メッセージが受信されてから所定の時間が経過すると、定期的に、データ送信要求メッセージを生成し、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる(ステップS4)。データ送信要求メッセージはSOAPメッセージである。図5は、データ送信要求メッセージの一例を示す図である。図5に示すデータ送信要求メッセージには、データ送信要求メッセージであることを示すgetFileRequest要素と、文書データ21を指定するFileName要素が含まれている。FileName要素はgetFileRequest要素の子要素である。このメッセージは、HTTPで通信処理部51から通信処理部16へ送信される。画像形成装置1の通信処理部16は、データ送信要求メッセージを受信すると、SOAP処理部17に供給する。
【0048】
画像形成装置1のSOAP処理部17は、その時点で、ステップS3で開始した応答メッセージの作成がまだ完了していない場合には、準備中を示す応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS5)。この応答メッセージは、SOAPメッセージであり、文書データ21を含まない。図6は、図5に示すデータ送信要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。図6に示す応答メッセージには、データ送信要求メッセージの応答メッセージであることを示すgetFileResponse要素と、応答内容を示すResponse要素が含まれており、Response要素の内容は、準備中を示す文字列「Preparing」とされている。Response要素は、getFileResponse要素の子要素である。
【0049】
クライアント装置3では、通信処理部51がその応答メッセージを受信すると、SOAP処理部52に供給する。SOAP処理部52は、準備中を示す応答メッセージを受信すると、データ送信要求メッセージの定期的な送信を引き続き行う。
【0050】
一方、画像形成装置1のSOAP処理部17は、文書データ21を含む応答メッセージの作成が完了した後に(ステップS6)、データ送信要求メッセージが受信されると、作成した応答メッセージを、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS7)。図7は、図5に示すデータ送信要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。図7に示す応答メッセージには、getFileResponse要素の子要素として、Response要素が含まれており、Response要素の内容は、メッセージ作成完了を示す文字列「OK」とされている。また、この応答メッセージは、文書データ21をテキストデータにエンコードした場合のエンコード方式を示すEncoding要素、およびテキストデータとなっている文書データ21を内容として有するFile要素を含む。これらの要素は、応答メッセージにおけるSOAPエンベロープのボディ要素に含まれる。
【0051】
クライアント装置3では、通信処理部51がその応答メッセージを受信すると、SOAP処理部52に供給するとともに、データ送信要求メッセージの定期的な送信を終了する。SOAP処理部52は、文書データ21を含む応答メッセージを受信すると、その応答メッセージから文書データ21を抽出し、アプリケーション53に供給する(ステップS8)。このとき、文書データ21がテキストデータにエンコーディングされている場合には、SOAP処理部52は、エンコードされている文書データ21をデコーディングし、元の文書データ21をアプリケーション53に供給する。
【0052】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像形成装置1のSOAP処理部17は、通信処理部16により要求メッセージがクライアント装置3から受信されると、その要求メッセージで指定された文書データ21を含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる。クライアント装置3のSOAP処理部52は、文書データ21を指定した要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置へ送信させるとともに、通信処理部51により応答メッセージが画像形成装置1から受信されると、その応答メッセージから、要求メッセージで指定した文書データ21を抽出する。
【0053】
これにより、文書データ21の送受を要求および応答のメッセージプロトコルで行うことができるため、クライアント装置3のアプリケーションを開発しやすくすることができる。
【0054】
また、HTTPで文書データ21を直接送受する場合には、文書データ21のURLに外部からアクセス可能であるが、本実施の形態では、文書データ21の送信に、HTTPなどの下位層の通信プロトコルを直接的に使用しないため、文書データ21のURLに外部からアクセスできないようにしておくことで、セキュリティも向上する。
【0055】
また、上記実施の形態によれば、クライアント装置3のSOAP処理部52は、応答メッセージの生成を開始させる事前要求メッセージを、文書データの要求メッセージより先に、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる。そして、画像形成装置1のSOAP処理部17は、事前要求メッセージが通信処理部16により受信されると、応答メッセージの生成を事前に開始する。
【0056】
これにより、クライアント装置3は非同期で文書データ21を取得することができるため、文書データを要求してから文書データ21を受信するまでの時間に、他の処理を行うことができ、結果としてクライアント装置3の処理速度を向上させることができる。
【0057】
また、上記実施の形態によれば、画像形成装置1のSOAP処理部17は、文書データ21がテキストデータではない場合には、所定のエンコード方式により文書データ21をテキストデータにエンコードし、エンコード後の文書データを応答メッセージに含める。SOAP処理部52は、文書データ21がテキストデータではない場合には、抽出した文書データ21を、所定のエンコード方式により元の文書データ21にデコードする。なお、エンコード、デコードの処理は、SOAP処理部17,52とは別の処理部が行ってもよい。
【0058】
これにより、文書データ21にバイナリデータが含まれていても、文書データ21の送受を要求および応答のメッセージプロトコルで行うことができる。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0060】
例えば、上記実施の形態において、ダウンロード要求メッセージに対する応答メッセージを生成する前に、ダウンロード要求メッセージにより指定された文書データ21が存在するか否か、ログイン中のユーザがその文書データ21をダウンロードする権限があるか否かなどを確認し、ダウンロードが可能な場合には、図4におけるResponse要素の内容を「OK」とし、ダウンロードが可能ではない場合には、図4におけるResponse要素の内容を、FileNonExist、NotAuthorizedなどといった原因を示す文字列とするようにしてもよい。この場合、クライアント装置3のSOAP処理部52は、Response要素の内容がOKである場合のみ、データ送信要求メッセージを送信する。
【0061】
また、上記実施の形態において、文書データ21を暗号化した後に応答メッセージに含めて、その応答メッセージを画像形成装置1からクライアント装置3へ送信するようにしてもよい。その場合、クライアント装置3では、応答メッセージから文書データ21が抽出された後に復号される。また、その場合、ダウンロード要求メッセージにおいて、この暗号通信に使用する暗号方式を指定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータと複合機とを含むネットワークシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すシステムにおける文書データのダウンロード処理を説明する図である。
【図3】ダウンロード要求メッセージの一例を示す図である。
【図4】図3に示すダウンロード要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。
【図5】データ送信要求メッセージの一例を示す図である。
【図6】図5に示すデータ送信要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。
【図7】図5に示すデータ送信要求メッセージに対する応答メッセージの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置(画像形成装置の一例)
2 コンピュータネットワーク(コンピュータネットワークの一例)
3 クライアント装置(クライアント装置の一例)
15 データ格納装置(データ格納装置の一例)
21 文書データ(文書データの一例)
16 通信処理部(通信処理部の一例,第1の通信処理部の一例)
17 SOAP処理部(メッセージ処理部の一例,第1のメッセージ処理部の一例)
41 ドライバプログラム(コンピュータプログラムの一例)
51 通信処理部(通信処理部の一例,第2の通信処理部の一例)
52 SOAP処理部(メッセージ処理部の一例,第2のメッセージ処理部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークに接続された画像形成装置と、
前記コンピュータネットワークに接続されたクライアント装置とを備え、
前記画像形成装置は、
文書データを格納するデータ格納装置と、
XMLで記述された要求メッセージを受信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを送信する第1の通信処理部と、
前記第1の通信処理部により前記要求メッセージが前記クライアント装置から受信されると、その要求メッセージで指定された前記文書データを含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、前記第1の通信処理部に前記クライアント装置へ送信させる第1のメッセージ処理部とを有し、
前記クライアント装置は、
前記要求メッセージを送信するとともに前記応答メッセージを受信する第2の通信処理部と、
前記文書データを指定した前記要求メッセージを、前記第2の通信処理部に前記画像形成装置へ送信させるとともに、前記第2の通信処理部により前記応答メッセージが前記画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、前記要求メッセージで指定した文書データを抽出する第2のメッセージ処理部とを有すること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第2のメッセージ処理部は、前記応答メッセージの生成を開始させる事前要求メッセージを、前記文書データの前記要求メッセージより先に、前記第2の通信処理部に前記画像形成装置へ送信させ、
前記第1のメッセージ処理部は、前記事前要求メッセージが前記第1の通信処理部により受信されると、前記応答メッセージの生成を事前に開始すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記要求メッセージおよび前記応答メッセージは、SOAPメッセージであることを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1のメッセージ処理部は、前記文書データがテキストデータではない場合には、所定のエンコード方式により前記文書データをテキストデータにエンコードし、エンコード後の前記文書データを前記応答メッセージに含め、
前記第2のメッセージ処理部は、前記文書データがテキストデータではない場合には、抽出した前記文書データを、前記所定のエンコード方式により元の前記文書データにデコードすること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記要求メッセージおよび前記応答メッセージは、SOAPメッセージであり、
テキストデータにエンコードされた前記文書データは、前記応答メッセージにおけるSOAPエンベロープのボディ要素に含まれること、
を特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記応答メッセージにおけるSOAPエンベロープは、前記所定のエンコード方式を示す要素を含むことを特徴とする請求項5記載の画像形成システム。
【請求項7】
コンピュータネットワークを介してクライアント装置と通信可能な画像形成装置において、
文書データを格納するデータ格納装置と、
XMLで記述された要求メッセージを受信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを送信する通信処理部と、
前記通信処理部により前記要求メッセージが前記クライアント装置から受信されると、その要求メッセージで指定された前記文書データを含むXMLで記述された応答メッセージを生成し、前記通信処理部に前記クライアント装置へ送信させるメッセージ処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータネットワークを介して画像形成装置と通信可能なクライアント装置におけるコンピュータを、
XMLで記述された要求メッセージを送信するとともに、XMLで記述された応答メッセージを受信する通信処理部、および
前記画像形成装置内のデータ格納装置に格納されている文書データを指定した前記要求メッセージを、前記通信処理部に前記画像形成装置へ送信させるとともに、前記通信処理部により前記応答メッセージが前記画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、前記要求メッセージで指定した文書データを抽出するメッセージ処理部、
として機能させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−26847(P2010−26847A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188228(P2008−188228)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】