説明

画像形成システム及び制御プログラム

【課題】コストを低減しつつ名寄せを行うことが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】送付物を封筒内に封入する封入機能と、前記送付物及び前記封筒にそれぞれ画像形成を行う画像形成機能と、住所を含む受取人情報と送付内容とが記された複数行からなる送付物リストが記憶された記憶手段3とを有し、記憶手段3の記憶内容に基づいて封筒及び送付物に画像形成を行った後に封筒内に送付物を封入する画像形成システム1において、住所をキーとして送付物リストをソートするソート機能を有し、ソート機能使用時において送付物リストの各行毎に住所を確認し、同一の住所に受取人が異なる複数の送付物がある場合には、各受取人名を封筒に画像形成すると共に受取人毎の各送付物の先頭に受取人名が画像形成された合紙をそれぞれ付加し、各送付物を封筒内にまとめて封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送付物を封筒に封入する際に、同じ受取人に送る内容物を各情報源から収集して1つの封筒にまとめる名寄せを行う画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送付物を封筒に封入する封入機を備え、封筒に対する画像形成と送付物に対する画像形成とを行い、封筒内に対応する送付物を封入した状態で出力する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、コスト低減及び顧客である受け取り側における通知に対する決済、応答、管理の容易化を目的とし、グループ企業の通知等をまとめて1つの封筒内に封入する技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の技術では、送り側の情報を1つの封筒内にまとめることができるが、同じ届け先であっても受取人が異なる場合には封筒を分ける必要があり、各封筒毎に送料が発生してコストが高くなってしまうという問題点がある。
本発明は上述の問題点を解決し、コストを低減しつつ名寄せを行うことが可能な画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、送付物を封筒内に封入する封入機能と、前記送付物及び前記封筒にそれぞれ画像形成を行う画像形成機能と、住所を含む受取人情報と送付内容とが記された複数行からなる送付物リストが記憶された記憶手段とを有し、前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記封筒及び前記送付物に画像形成を行った後に前記封筒内に前記送付物を封入する画像形成システムにおいて、住所をキーとして前記送付物リストをソートするソート機能を有し、前記ソート機能使用時において前記送付物リストの各行毎に住所を確認し、同一の住所に受取人が異なる複数の送付物がある場合には、各受取人名を前記封筒に画像形成すると共に受取人毎の各送付物の先頭に受取人名が画像形成された合紙をそれぞれ付加し、各送付物を前記封筒内にまとめて封入することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成システムにおいて、さらに前記ソート機能が受取人名をキーとして前記送付物リストをソートする機能を有し、同一受取人の場合には前記送付物が複数であっても該各送付物間に前記合紙を挿入しないことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成システムにおいて、さらに前記封筒に封入可能な前記送付物の許容枚数が設定可能であり、前記封筒内に封入しようとしている送付物の枚数が設定された前記許容枚数を超える場合には、前記送付物リストの行の替わり目において他の封筒に切り替えることを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成システムにおいて、さらに前記封筒に封入可能な前記送付物の許容枚数が設定可能であり、前記封筒内に封入しようとしている送付物の枚数が設定された前記許容枚数を超える場合には、前記送付物リストの受取人名の替わり目において他の封筒に切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の画像形成システムにおいて、さらに受取人毎の各送付物の内容が同一である場合には、前記合紙として全ての受取人名が列挙された回覧表を用い、送付物を1部のみ封入することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の全てに記載の動作を実行可能であり、何れの動作を行うかを切替可能な画像形成システムであることを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成システムに動作を行わせる制御プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同一住所であって受取人が異なる場合には送付物を1つの封筒にまとめることができ、郵送料金及び封筒代が節約できコストダウンを図ることができると共に、画像形成工程を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を採用した画像形成システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる画像形成システムの制御ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるストレージに格納されている送付物リストの一例を示す概略図である。
【図4】従来の封筒への送付物の封入を説明する概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における封筒への送付物の封入を説明する概略図である。
【図6】本発明における封筒への送付物の封入動作を説明する制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を採用した画像形成システムを示している。同図において画像形成システム1は、それぞれネットワーク2上に接続された封入機付複合機4と記憶手段としてのストレージ3とによって構成されており、ストレージ3には送付物の送付に必要な住所を含む複数の受取人情報と送付内容とが記された複数行からなる送付物リストが記憶されている。
【0014】
封入機付複合機4は、封筒及び封入物に画像形成を行う周知の電子写真方式の画像形成装置と封筒内に封入物を封入する周知の封入機とが一体的に接続されて構成されており、特許第3666284号公報に開示された技術と同様に、オンラインで画像形成動作及び封入動作が行われる。
【0015】
図2は、画像形成システム1の機能ブロック図である。封入機付複合機4の内部はコントローラ部5とメカ制御部6とに大別でき、コントローラ部5は形成する画像内容を決定して画像データ及び用紙の取り扱い方をメカ制御部6に指示し、メカ制御部6は用紙に画像を形成してコントローラ部5に指示された用紙の加工(後処理)を行う。本実施形態において、コントローラ部5はストレージ3から送付物リストを取得し、取得した送付物リストに基づいて画像形成動作及び封入動作をメカ制御部6に指示する。
【0016】
図3は、ストレージ3に記憶されている送付物リストの一例を示している。図3においてA,B,C,Dはそれぞれ受取人名を、X,Y,Zはそれぞれ送付先の住所を示しており、各受取人に対応して送付物であるファイルが格納されている。各ファイルは送付したい内容別に分類されており、1つのファイルで複数ページの場合もある。また、図3では受取人毎に1行ずつの送付物リストとなっているが、1人の受取人で複数行に跨る送付物リストの場合もある。
【0017】
図4は、従来の画像形成システムを用いて図3に示した送付物リストに基づいて画像形成動作及び封入動作を行った例を示している。この例では、4枚の封筒にそれぞれ異なる受取人名を画像形成し、各受取人に対応したファイルを対応する封筒内にそれぞれ封入している。しかし、図4に示した例では受取人Aと受取人Cとが同じ住所Xであり、同じ住所に送る送付物であっても受取人A用と受取人C用との2通必要であるため、封筒が2枚必要であると共に郵送料金も2通分必要となりコストアップしてしまう。また、2通分の封筒を作製するため、画像形成工程も長くなってしまう。
【0018】
本発明は、上述した問題点を解決してコストを低減しつつ名寄せを行うべく、第1の実施形態では図5に示す画像形成動作及び封入動作を行っている。この第1の実施形態では、先ず画像形成すべき内容をストレージ3に記憶された送付物リストより取得し、受取人情報が持つ住所をキーとして取得した内容をソートする。そして、同じ住所に複数の受取人が存在する場合(この例では住所Xに受取人Aと受取人C)には、1つの封筒に住所と各受取人名とを連名で画像形成し、この封筒内に受取人A宛のファイルと受取人C宛のファイルとをまとめて封入すると共に、各受取人のファイルの先頭に受取人名が画像形成された合紙を付加する。上述した制御プログラム動作を図6のフローチャートに示す。図6に示す動作では、送付物リストの行毎に住所をチェックし、同じ住所の行が続く限り同じ封筒内に封入する。このとき、受取人名が代わる毎に受取人名が画像形成された合紙を挿入する。
【0019】
上述の構成により、同一住所であって受取人が異なる場合には送付物を1つの封筒にまとめることができ、郵送料金及び封筒代が節約できコストダウンを図ることができると共に、画像形成工程を短縮することができる。また、受取人が同一であり送付物が複数(例えば図5に示す受取人D宛の封筒)の場合には、受取人が1人であるために各送付物間に合紙を挿入する必要はない。合紙挿入を省略することにより、工程短縮及び用紙コスト低減といった効果が望める。
【0020】
第1の実施形態において、封筒に封入可能な用紙枚数が例えば10枚の場合に、受取人A宛の送付物が例えば8枚、受取人C宛の送付物が例えば5枚であったとすると、1つの封筒内に各受取人A,C宛の送付物を同封することができなくなる。この場合、封入機付複合機4において封筒の封入許容枚数を設定しておき、この許容枚数を超える場合には別の封筒に切り替える構成とする。ここで第2の実施形態では、受取人A宛の送付物が8枚、受取人C宛の送付物が5枚であり共に10枚以下であることから、受取人の替わり目において封筒を切り替える。これにより、封筒の許容枚数を超えて送付物を封筒内に封入しようとして封筒や用紙が破損したり装置が故障したりする不具合の発生を防止することができる。
【0021】
第2の実施形態では受取人A宛の送付物が8枚、受取人C宛の送付物が5枚であったが、例えば受取人A宛の送付物が3つのファイルで12枚あったとすると、1人分の送付物であっても封筒を分ける必要がある。この場合、例えば第1ファイルが5枚、第2ファイルが4枚、第3ファイルが3枚であったとすると、第2ファイルと第3ファイルとの間で封筒を分けることとなる。ここで、ストレージ3内に記憶されている送付物リストは、上述したように同一受取人であっても複数行に跨る場合があるが、1つの行には1つの封筒内に封入可能な枚数(本例では10枚以内)の送付物が格納されており、第3の実施形態では送付物リストの行の替わり目において封筒を切り替える。これにより第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、送付物リストの1つの行に1つの封筒内に封入可能な枚数を超える送付物が格納されている場合には、この送付物の途中で封筒を分けるか、送付物の内容を縮小する等して1つの封筒内に封入可能な枚数内に収まるようにすればよい。
【0022】
上述した各実施形態では、同一住所で受取人が異なりかつ送付内容が異なる場合を説明したが、同一住所で受取人が異なりかつ送付内容が同一である場合がある。この第4の実施形態では、第1の実施形態と同様に1つの封筒に住所と各受取人名とを連名で画像形成し、この封筒内に各受取人共通の送付物を1部のみ封入すると共に、各受取人名が列挙された回覧表を合紙として付加する。各受取人は1部の送付物を回覧表と共に回覧することで、その内容を知ることができる。これにより用紙及び封筒の消費を大幅に低減でき、工程短縮及び用紙コスト低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 画像形成システム
2 ネットワーク
3 記憶手段(ストレージ)
4 封入機付複合機
5 コントローラ部
6 メカ制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2002−56345号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送付物を封筒内に封入する封入機能と、前記送付物及び前記封筒にそれぞれ画像形成を行う画像形成機能と、住所を含む受取人情報と送付内容とが記された複数行からなる送付物リストが記憶された記憶手段とを有し、前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記封筒及び前記送付物に画像形成を行った後に前記封筒内に前記送付物を封入する画像形成システムにおいて、
住所をキーとして前記送付物リストをソートするソート機能を有し、前記ソート機能使用時において前記送付物リストの各行毎に住所を確認し、同一の住所に受取人が異なる複数の送付物がある場合には、各受取人名を前記封筒に画像形成すると共に受取人毎の各送付物の先頭に受取人名が画像形成された合紙をそれぞれ付加し、各送付物を前記封筒内にまとめて封入することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムにおいて、
前記ソート機能が受取人名をキーとして前記送付物リストをソートする機能を有し、同一受取人の場合には前記送付物が複数であっても該各送付物間に前記合紙を挿入しないことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成システムにおいて、
前記封筒に封入可能な前記送付物の許容枚数が設定可能であり、前記封筒内に封入しようとしている送付物の枚数が設定された前記許容枚数を超える場合には、前記送付物リストの行の替わり目において他の封筒に切り替えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の画像形成システムにおいて、
前記封筒に封入可能な前記送付物の許容枚数が設定可能であり、前記封筒内に封入しようとしている送付物の枚数が設定された前記許容枚数を超える場合には、前記送付物リストの受取人名の替わり目において他の封筒に切り替えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成システムにおいて、
受取人毎の各送付物の内容が同一である場合には、前記合紙として全ての受取人名が列挙された回覧表を用い、送付物を1部のみ封入することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1ないし5の全てに記載の動作を実行可能であり、何れの動作を行うかを切替可能であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成システムに動作を行わせる制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−114622(P2012−114622A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261054(P2010−261054)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】