画像形成システム及び用紙搬送方法
【課題】画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得る。
【解決手段】用紙に対して画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施すステープラ及びステープラによって用紙を後処理している間、次用紙がステープルトレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させるプレスタック経路を備えた用紙後処理装置2と、を含む画像形成システムであって、画像形成装置1から用紙後処理装置2に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間(後処理時間T)を用紙後処理装置2から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき画像形成装置1から用紙後処理装置2に排出する用紙の排紙間隔を制御する。
【解決手段】用紙に対して画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施すステープラ及びステープラによって用紙を後処理している間、次用紙がステープルトレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させるプレスタック経路を備えた用紙後処理装置2と、を含む画像形成システムであって、画像形成装置1から用紙後処理装置2に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間(後処理時間T)を用紙後処理装置2から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき画像形成装置1から用紙後処理装置2に排出する用紙の排紙間隔を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙、記録紙、転写紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、単に「用紙」と称す)に対して画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置及び画像形成済みの用紙に対して所定の後処理を施す用紙後処理装置とからなる画像形成システム、並びに当該システムで実行される用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長い時間の後処理を行った場合でも極力生産性を低下させないように、用紙後処理装置の対応可能プレスタック枚数が増えてきている。例えば、後処理手段(ステープラ、ステープル整合トレイ)の前段の搬送路に1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段としてのプレスタック手段(プレスタック経路)を備え、このプレスタック手段に滞留させるプレスタック枚数を5枚とし、6枚目の用紙と重ね合わせてステープル整合トレイに排出する。この場合、用紙6枚通紙分の時間を稼ぐことができるため、時間のかかる2箇所綴じ等の処理を行っても生産性を低下させることなく後処理を行うことができるというものである。
【0003】
このようなプレスタック手段を備えた用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムでは、画像形成装置が用紙後処理装置に対して用紙情報,後処理情報を送信し、画像形成装置は送信された情報に基づき後処理時間を用紙後処理装置から受信し、受信した後処理時間に基づき用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する排紙間隔制御技術が、例えば特許文献1(特開2005−031382号公報)に開示されているように公知である。
【0004】
この発明は、後処理時間によって発生する生産性の低下を少なくする、あるいは、排紙予定に変更が生じた場合には適切に対応することを目的とし、画像形成装置が後処理装置に対して用紙情報,後処理情報を送信し、送信された情報に基づき後処理時間を後処理装置から受信し、受信した後処理時間に基づき後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御している。また、排紙予定に変更が生じた場合には画像形成装置が後処理装置に対してキャンセルを送信するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に記載されているような排紙間隔制御技術は、連続する用紙間の排紙間隔を通知し、その排紙間隔を制御することはできるが、複数枚を跨いだ用紙間の排紙間隔を通知し、制御することはできない。一方、プレスタック手段が後処理装置内の用紙整合を行う整合トレイの上流に設けられ、整合トレイで用紙を処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイに進入してこないように1又は複数枚の用紙を滞留させるように構成されているものでは、複数枚を跨いだ用紙間の排紙紙間を制御することが、最も生産性を高めることができる。
【0006】
すなわち、後処理時間を確保するために排紙間隔を長くする場合は、連続する用紙間の排紙間隔を長くして制御するのが普通であった。しかし、複数枚のプレスタックを行う場合、この方法では排紙間隔の制御が複雑化する。これはプレスタック枚数によって生産性が最適になる排紙間隔が変わってくるためである。これに対処するには、プレスタック枚数毎に排紙間隔の制御を変更する必要がある。しかし、このような制御を採用すると、制御が複雑化し、開発期間の増大やソフトバグの増大を招くことになる。
【0007】
他方、排紙間隔の制御をなるべく複雑にさせないようにするには長めの排紙間隔を設定することになるが、このように排紙間隔を設定すると、本来の機器能力に対して生産性が低下することになり、最適な生産性を実現することはできない。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、用紙後処理装置と画像形成装置を含む画像形成システムにおいて、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、を含む画像形成システムであって、前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を前記用紙後処理装置から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する制御手段を備えたこと特徴とする。
【0010】
第2の手段は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、これら各装置を制御する制御手段と、を含み、前記制御手段によって実行される用紙搬送方法であって、前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び後処理情報を送信する工程と、前記送信する工程で送信された情報に基づき前記用紙後処理装置から送信される複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を受信する工程と、受信する工程で受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する工程と、を備えたこと特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図3】プレスタック搬送路を使用したプレスタック動作の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における画像形成装置と用紙後処理装置間の送受信信号及び排紙紙間の制御シーケンスを示す図である。
【図5】プレスタック枚数が3枚の場合の実施形態における排紙間隔制御の一例を示す説明図である。
【図6】プレスタック枚数が1枚の場合の実施形態における排紙間隔制御の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における画像形成装置本体の用紙搬送制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態における後続束枚数が4枚の場合の後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態における後続束枚数が2枚の場合の後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【図10】図9の場合における画像形成装置本体の用紙搬送タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】Z折り装置を含む他の画像形成システムの一例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、画像形成装置と、画像形成装置から排紙された用紙に後処理を行う用紙後処理装置を含む画像形成システムにおいて、画像形成装置が用紙滞留手段と後処理手段を有する用紙後処理装置に対して用紙情報及び後処理情報を送信し、送信された情報に基づき複数枚を跨いだ用紙間の排紙間隔を後処理装置から受信し、受信した排紙間隔に基づき後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御することを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態に係る用紙後処理装置(シート処理装置)と画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成システムは、シート状の記録媒体である用紙に画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1から排紙された用紙に対して整合、綴じなどの各種後処理を行う用紙後処理装置2とから基本的に構成されている。画像形成装置1は、用紙に画像を形成する機能を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能が複合された複合機のいずれかからなる。本実施形態では、複写機として構成されている。
【0016】
図1に示した画像形成装置(複写機)1は、本体部100、給紙部110、読み取り部120及び原稿自動給送部(ADF)130から構成されている。本体部100は給紙部110の上部に位置し、読み取り部120は本体部100の上部に位置している。更に読み取り部120の上部にはADF130が設けられている。
【0017】
本実施形態に係る画像形成装置1は電子写真方式で作像するもので、本体部100には、感光体101、定着装置102、両面装置103及び排紙装置104が設けられている。感光体101の外周には、帯電ユニット105、現像ユニット106、転写ユニット107、クリーニングユニット108及び図示しない除電ユニットが配置されている。また、本体部100には、書き込みのための書き込みユニット109が設けられている。書き込みユニット109は画像書き込みを行うためのLD等の光デバイスとそれを駆動するためのドライバICなどから構成され、転送されてきたデータに応じて、光デバイスを駆動(点滅動作)し、感光体101に対して光書き込み動作を行う。
【0018】
給紙部110は5段の給紙段111,112,113,114,115を有し、指定された給紙段から給紙された用紙が給紙ローラを経て縦搬送路116からレジストローラ117を介して転写ユニット107に送られる。また、書き込みユニット109によって感光体101表面に光書き込みが行われ、静電潜像が形成され、現像ユニット106によってトナー現像が行われ、顕像化されたトナー画像が転写ユニット107で用紙に転写され、定着装置102で定着される。
【0019】
読み取り部120はコンタクトガラス上に載置された原稿を副走査方向に走行しながら、あるいはADF130によって搬送される原稿を、走行体を停止させた状態で光学的に読み取る。前者はフラットベッド方式、後者はシートスルー方式と一般に称される。フラットベッド方式での読み取りは例えばブック原稿の場合に行われ、シートスルー方式での読み取りは例えば複数枚のシート原稿の場合に行われる。ADF130は、この実施例では、ARDFとも称される原稿を反転して読み取ることもできる循環式自動原稿給送装置である。
【0020】
用紙後処理装置2は、受入口2a、下搬送路2b,2c、上搬送路2f、プレスタック経路2d、用紙処理部18、排紙ローラ16、排紙口15及び排紙トレイ3から基本的に構成されている。受入口2aは用紙を画像形成装置1の排紙口から受け入れる開口であり、この受入口2aに続く用紙搬送路2gには入口センサS1と入口ローラ対4が設けられている。
【0021】
入口ローラ対4の下流側の用紙搬送路2gは用紙を用紙処理部18側に導く下搬送路2b,2c(以下、切換爪9が設けられた分岐点2hより上流側を第1の下搬送路2b、下流側を第2の下搬送路2cと称す)と、そのまま排紙口15側に導く上搬送路2f(図では詳細は省略している)とに分岐し、その分岐点に分岐爪2eが配されている。この分岐爪2eは図示しないステッピングモータによって駆動され、用紙の搬送経路を切り換える。
【0022】
第1の下搬送路2bには用紙搬送方向上流側から当該下搬送路2bで用紙を検知するセンサS2と第1の搬送ローラ5が設けられ、下端部にはプレスタック経路2dが用紙搬送方向と逆行する用紙を受け入れることができるような角度で分岐し、その分岐点に切換爪9が逆行するときのガイドとして機能するように設けられている。第2の下搬送路2cは前記分岐点2hから用紙処理部18に至る搬送路であり、第2及び第3の搬送ローラ対6,7が配されると共に、最下流側にはトレイ排紙ローラ8対が設けられている。なお、以下の説明では、ローラ対の「対」は省略する。
【0023】
用紙処理部18は、用紙が排紙され、積載されるステープルトレイ14、ステープルトレイ14に積載される用紙の用紙搬送方向と直交する方向を整合する整合フェンス10、用紙搬送方向を整合する後端フェンス11、ステープルトレイ14上に排出された用紙を後端フェンス11側に寄せる叩きコロ14a、ステープルトレイ14上で整合された用紙束を綴じるステープラ12、及びステープルトレイ14上で綴じられた用紙束を放出する放出ベルト13と一対の放出爪13a,13bとからなる放出機構から構成されている。放出ベルト13は放出ローラ19と従動ローラ19aとの間に張設され、用紙束を放出爪13a,13bのいずれかによって排紙口15から排紙トレイ3上に放出する。その際、支軸17aに揺動可能に支持された排紙レバー17の自由端側に設けられた排紙ローラ16を押し上げながら放出することにより、排紙ローラ16から所定の押圧力を受け、用紙束の搬送が確実に行われるようにしている。
【0024】
用紙後処理装置2は、前記整合や綴じ機能の他に穴明け、折りなどの機能を備えているものもあるが、これらは公知の構成であり、用紙後処理装置2の仕様に応じて適宜設定される。
【0025】
〈制御構成〉
図2は本実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。同図において、用紙後処理装置2の制御装置31は、CPU32、I/Oインターフェース33等を有するマイクロコンピュータからなり、入口センサS1、センサS2、その他の各センサからの信号がI/Oインターフェース33を介してCPU32へ入力される。CPU32は、入力された信号に基づいて、各種モータやソレノイドなどの制御を司る。また、ステープラ12も図示しないステープラ駆動モータやステープラ移動モータを制御することによりCPU32の指示によって用紙の所定の位置にステープル針を打ち込み、用紙束の綴じ動作を実行する。
【0026】
なお、用紙後処理装置2の制御は前記CPU32が図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。また、制御や処理に必要なデータは前記RAMの他にEPROMに記憶される。また、画像形成装置1本体側のCPU1aからの指示により動作制御を実行するように構成することも可能である。その際、用紙後処理装置31のCPU32と画像形成装置1のCPU1aとは通信I/F30を介して制御信号の送受が行われる。また、画像形成装置1本体にはユーザインターフェースとして操作パネル1bが設けられ、画像形成装置1及び用紙後処理装置2に対する入力操作が可能となっており、画像形成装置1及び用紙後処理装置2の状態、あるいは操作情報などは操作パネル1bの表示部に表示される。
【0027】
なお、通常システムのメインの制御装置は画像形成装置1本体部側のCPU1aであり、用紙後処理装置2側のCPU32はサブとして機能する。また、CPU1aによって行われる制御もCPU32と同様に図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。
【0028】
〈動作〉
《1部の場合》
画像形成装置1から出力された用紙は排紙口1a、受入口2aから用紙後処理装置2に搬入される。用紙後処理装置2に搬入された用紙は、入口センサS1により検知され、入口ローラ4によって用紙搬送路2gを搬送される。分岐爪2eは画像形成装置1のCPU1aから送信される用紙処理指示に応じて制御装置31のCPU32により切り換え方向が指示される。そこで、用紙処理部18側に用紙を搬送する場合には分岐爪2eを図示反時計方向(図1の状態)に切り替えることによりまず第1の下搬送路2bに用紙を導く。第1の下搬送路2bに導かれた用紙は、入口ローラ4及び第1の搬送ローラ5によって与えられる用紙の搬送力により切換爪9を図示反時計方向に切り替え、用紙の搬送スペースを確保する。これにより用紙は前述のようにして確保されたスペースから第2の下搬送路2c側に導かれ、第2及び第3の搬送ローラ6,7を経てトレイ排紙ローラ8によりステープルトレイ14へ排紙される(矢印A方向)。
【0029】
排紙された用紙はトレイ排紙ローラ8のニップから離れ、ステープルトレイ14に着地した後、一旦矢印B方向へ自重落下する。同時に叩きコロ14aによって下方に叩き落とされ、後端フェンス11で搬送方向の後端が揃えられる。そして、予め用紙の後端をセンサS2で検知し、用紙搬送方向が揃えられ得る時間の後、整合フェンス10により幅方向が揃えられる。この動作を繰り返すことにより多枚数の用紙が1枚ずつ整合される。
【0030】
《2部以上の場合》
1部の場合は以上のように動作するが、2部以上の場合には、以下のように動作する。 画像形成装置1から出力される用紙の間隔は一定でありジョブ間の間隔も一定に出力されてくる。画像形成装置1からは1部目が出力されるときに用紙のサイズ、枚数、搬送速度、処理モードなどの信号が送られてくる。その信号を用紙後処理装置2が受け取ることにより用紙をスタックさせる枚数や増速ポイント、増速線速、逆行ポイント、スタック時の停止ポイントが決定される。これらの決定は、前記CPU32によって行われる。なお、ジョブとは本実施形態では、画像形成装置1で実行される作業(仕事)の単位であり、ここでは1部以上の複写作業を行う際の1つの部の作成作業を意味する。
【0031】
図3はプレスタック搬送路2dを使用したプレスタック動作の一例を示す図である。同図において、画像形成装置1から出力されたジョブの先頭用紙P1が用紙後処理装置2の入口ローラ4、第1の搬送ローラ5により搬送され、用紙後端が切換爪9を通過して図3(a)の位置(分岐点2h(切換爪9のほぼ先端に対応)から距離α)まで搬送される。このとき画像形成装置1からの信号により用紙を逆行させる必要がある場合は、第2の搬送ローラ6及び第3の搬送ローラ7が一度停止し、更に図示時計方向に逆転をはじめる。その際、切換爪9が機能し、用紙はプレスタック経路2dに導かれ、プレスタックされる。切換爪9は常時低圧(前述のように用紙に押されて用紙が通過するに足るスペース分回動できる程度の圧力)で用紙逆送時にプレスタック経路が開放されるように弾性力が付与されている。
【0032】
このプレスタック経路2dに搬送される距離は、第1の搬送ローラ5の搬送方向に対して直前に配置されたセンサS2からのパルスカウントやタイマ等によって計測され、計測されたカウント数あるいは時間に基づいて制御タイミングをとり、用紙後端(逆送時の用紙搬送先端の)位置が同じ位置になるところで停止する。このとき、図3(b)に示すように用紙は第2の搬送ローラ6のニップに挟持され、ニップから数mm(距離β−5ミリ程度)飛び出した状態で停止している。
【0033】
次いで図3(c)に示すように第1の搬送ローラ5によって2枚目の用紙P2が搬送されてくる。そしてセンサS2の検知情報により2枚目の用紙先端が第2の搬送ローラ6から上流側に所定の距離、例えば20mmの位置まで搬送されると、第2及び第3の搬送ローラ6,7が反時計方向に回転し、第2の下搬送路2c及びスタック経路2dにスタックされていた用紙の搬送が開始される。ジョブの先頭用紙は第3の搬送ローラ7のニップに挟持された状態で図3(d)に示すように再搬送されるので、ジョブの先頭用紙の先端の方が2枚目の用紙先端よりも先行した状態で2枚同時にステープルトレイ14上に排出される。排出された用紙束は、放出ベルト13の対称な位置に設置された1対の放出爪13a,13bが矢印B方向に移動し、一方の放出爪13の背で突出した用紙の先端を叩き、用紙を2枚揃えて後端フェンス11まで落として搬送方向のずれが整合される。これにより画像形成装置1本体の生産性及び綴じ品質を落とさず後処理を行うことができる。なお、放出ベルト13はステープルトレイ14の中央部に設置されている。
【0034】
以上が2枚の場合の搬送状況である。ステープルトレイ14における処理内容によって2枚、3枚と用紙をスタック(積み重ね)しジョブ間を稼ぐ場合は、上記の動作を繰り返すことにより本体のCPMを落とすことなく後処理を行うことが可能である。
【0035】
このように、プレスタック動作は、生産性を低下させないようにするために画像形成装置1から用紙後処理装置2へ受入れた用紙を用紙処理部18の上流でバッファリングする動作である。プレスタック動作の目的は画像形成装置1本体の生産性を低下させずに後処理を行うことである。しかしながら、後処理にかかる時間又はプレスタックの可能枚数によってはプレスタックを行ったとしても画像形成装置1本体の生産性を全く低下させないと言うわけにはいかない。しかし、プレスタックを行わない場合より生産性を向上させることはできる。
【0036】
そこで、本実施形態では、プレスタックを行ったとしても画像形成装置1本体の生産性を多少低下させる必要がある場合に、必要以上に生産性が低下することのないようにした。
【0037】
図4は、本実施形態における、画像形成装置と用紙後処理装置間の送受信信号、及び排紙紙間の制御シーケンスを示す図である。画像形成装置1と用紙後処理装置2間の通信は、上述したように通信I/F30を介して行われる。また、この例では、P(j-1)1からP(j-1)nのn枚(nは4以上の整数)枚の用紙で1ジョブが構成されるものとして説明する。なお、nはここでは4枚以上の用紙を想定しているので、4以上の整数となっているが、一般には後述の図6から分かるようにnは2以上の整数である。
【0038】
画像形成装置1から用紙後処理装置2へ用紙Pxx毎に用紙情報が通知される(シーケンスQ1,Q2,Q3,Q5,Q6)。なお、Pj1は1ジョブの1枚目の用紙を、・・・Pj2は1ジョブ(ジョブはj)の2枚目の用紙(2は用紙の枚数)を意味する。用紙情報には、「用紙サイズ」「用紙種類」「排出先指定」等が含まれる。また、毎回前用紙から次用紙の紙間時間(前用紙の先端から次用紙の先端までの距離を搬送速度で除して得られた時間)が紙間情報として用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信される(シーケンスQ1a,Q2a,Q3a,Q5a,Q6a)。Q1a〜Q6aには、後処理時間待ちが必要か否かという情報を付ける(D1)。
【0039】
ステープル等の後処理情報は、ステープル枚数等に応じて適切なタイミングで画像形成装置1から用紙後処理装置2に通知される(D2)。本実施形態では、n枚目の用紙P(j-1)nが搬送されてくる際に用紙後処理情報が画像形成装置1から用紙後処理装置2に送信される(シーケンスQ4)。
【0040】
用紙後処理装置2は画像形成装置1から後処理情報を受信すると、後処理に要する時間を算出し、画像形成装置1へ通知する(シーケンスQ4a)。複数の用紙を跨ぐ時間管理が必要な場合に、後処理時間(この場合ステープル処理時間)Tを通知する。何枚か後の用紙の排紙間隔は本実施形態では、ジョブ最終紙P(j-1)nからの後処理時間が必要となる。何枚後かはシーケンスQ4aを受信した時点で決定することはできないので、該当用紙(2枚目Pj2)の紙間通知コマンドに後処理時間待ちの要否情報を追加する(D4)。この状態では、後処理時間待ちが必要となる(2枚目の用紙Pj2)。
【0041】
Q4送信の後、画像形成装置1は次のジョブの1枚目の用紙の用紙情報を送信し(シーケンスQ5)、用紙後処理装置2は、受信した用紙情報に基づいて前のジョブの最終紙の用紙P(j-1)n先端から次のジョブの1枚目の用紙Pj1先端の紙間情報を画像形成装置1に送信する(シーケンスQ5a)。この時点では、Pj1に対する後処理の待ち時間は不要である。次いで、画像形成装置1は2枚目の用紙Pj2の用紙情報を用紙後処理装置2に送信し(シーケンスQ6)、用紙後処理装置2は画像形成装置1に前ジョブ最終紙P(j-1)nの先端から2枚目の用紙Pj2先端間の紙間情報を送信する。
【0042】
その際、シーケンスQ4aで前ジョブ最終紙からx枚目までの後処理時間Tが用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信されているので、後処理時間待ちが必要な用紙が何枚目の用紙であるかが通知される。本実施形態では、前述の2枚目の用紙Pj2(x=2)がこれに相当し、2枚目の用紙Pj2が後処理に必要な時間分待たされることになる(D4)。
【0043】
その時間が経過すると、2枚目の用紙Pj2はプレスタック経路2dに送られずにそのまま図3(b)、(c)及び(d)に示したようにプレスタック経路2dでプレスタックされた1枚目の用紙Pj1と重ね合わされて搬送される。その際、待たされる用紙は2枚目の用紙Pj2のみとなる。なお、2枚目の用紙Pj2は1ジョブの最終紙である場合も、最終紙でない場合も同様である。
【0044】
図5及び図6は、本実施形態において、画像形成装置1が用紙後処理装置2に後処理時間待ち必要用紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【0045】
プレスタックされた用紙は、次に搬送されてくるプレスタックされない用紙と重ね合わせてステープルトレイ14に搬送される。従って、先行束の最終紙がステープルトレイ14に進入してから、次に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくるのは、後続束のプレスタック枚数+1枚目(プレスタック次用紙)の用紙とプレスタック経路2dで重ね合わされたプレスタック紙となる。このことより、先行束の最終紙から、後続束のプレスタック次用紙までの時間を規定時間(後処理時間)以上とすれば、先行束の後処理中に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくることはない。
【0046】
図5はプレスタック枚数が3枚の場合の例を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置1では、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束のプレスタック次用紙Pj4までの時間が元々規定時間(後処理時間T)以上である場合は、画像形成タイミングを変更することなく、そのまま同じタイミングで画像を形成し、用紙後処理装置2側に搬送することができる。これによりの用紙後処理装置2側では、画像形成装置1の生産性の低下を招くことなく後処理を行うことができる。
【0047】
なお、プレスタック枚数が3枚でも、後続束のプレスタック次用紙Pj4までの時間が元々規定時間(後処理時間T)に満たなければ、その分、後続束のプレスタック次用紙Pj4の用紙後処理装置2側への搬送を待たせる必要が生じることはいうまでもない。
【0048】
図6はプレスタック枚数が1枚の場合の例を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置1では、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束のプレスタック次用紙Pj2までの時間が規定時間(後処理時間T)未満であった場合は、規定時間(後処理時間T)以上となるようにプレスタック次用紙Pj2の送り出しタイミングを遅らせる。その際、遅らせる時間を規定時間(後処理時間T)と等しくすると最も生産性を向上させることができる。
【0049】
図7は本実施形態における画像形成装置本体の用紙搬送制御の制御手順を示すフローチャートであり、画像形成装置1のCPU1aにより実行される。
【0050】
同図において、まず、用紙搬送タイミングかどうかを判断し(ステップS101)、用紙搬送タイミングであると、受信した後処理時間待ち用紙情報を取得する(ステップS102)。搬送用紙が後処理処理時間待ち用紙であると(ステップS103)、タイマカウント値が後処理時間以上か否かを判断し、後処理時間以上になった時点(ステップS104:Y)で用紙搬送をスタートさせる(ステップS105)。次いで、排紙の最終紙か否かを判断し、最終紙であれば、そのまま処理を終える。
【0051】
最終紙でなければ、用紙後処理装置2のCPU32から受信した後処理時間を取得し(ステップS107)、後処理時間が通知された用紙か否かを判断する(ステップS108)。後処理時間が通知された用紙でなければ(ステップS108:N)、ステップS101に戻って、用紙搬送タイミングを待ち、用紙搬送タイミングになると、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0052】
後処理時間が通知された用紙であれば(ステップS108:Y)、後処理時間待ちのタイマのカウントをスタートさせ(ステップS109)、ステップS101以降の処理を繰り返す。後処理時間は図4においてシーケンスQ4aで送信され、後処理時間通知用紙はシーケンスQ6aで通知される後処理時間の排紙間隔が必要な用紙である。図4の例では、1ジョブの5枚目の用紙Pj5に相当する。
【0053】
ところで、用紙後処理装置2では、プレスタック経路2dに滞留させるプレスタック枚数は、例えば後処理種類及び/又は用紙サイズに応じて変更される。例えば2箇所綴じを行う場合には一般的に1箇所目と2箇所目の間でステープラを移動させる必要があり、処理時間が長くなる。処理時間が長い場合には多数枚のプレスタックを行わないと生産性が低下してしまう。
【0054】
後処理種類は、図11に示すようにZ折り装置200が画像形成システムに含まれている場合には、用紙後処理装置2の前段の後処理装置によって処理される後処理も含まれる。
【0055】
一方、1箇所綴じを行う場合には2箇所綴じに比べて処理時間が短くて済むので、プレスタック枚数も少なくてよい。また、例えば長手サイズの用紙の場合、1枚分のプレスタックで稼げる紙間隔が大きい。したがって、プレスタック枚数は少なくとも生産性が低下することはない。逆に短手の用紙の場合は多数枚のプレスタックを行わないと生産性が低下してしまう。他方、後処理の用紙整合性はプレスタック枚数が少ないほうが有利であるので、生産性と整合性の最適化を考慮すると後処理種類、用紙サイズ等によってプレスタック枚数を変えるようにすることもできる。
【0056】
更に、プレスタック経路2dに滞留させるプレスタック最大枚数は操作パネル1bから設定することができる。設定されたプレスタック最大枚数は図示しないメモリに記憶され、メモリに記憶されたプレスタック最大枚数を参照し、設定されたモードに基づいてプレスタック枚数を決定する。プレスタック最大枚数は初期設定としてはハード的な要素によって決定される。しかし、プレスタック経路2dはスペース的、コスト的面から、厚紙や特殊紙の搬送品質が悪くなる場合が多い。このように搬送品質が悪く、ジャムや用紙ダメージが発生する場合は、プレスタック枚数を少なくし、あるいはプレスタックを行わない(プレスタック枚数を0にする)方が良い。そこで、操作者が操作パネル1bからハード的なプレスタック最大枚数とは別に、これよりも少ないプレスタック最大枚数をソフト的に設定とすることによって搬送品質を向上させることができる。
【0057】
なお、プレスタック枚数が0の場合には、後続(後行)の用紙は、先行の用紙の次用紙に変更し、その間の後処理時間T分だけ排紙間隔時間を設ける。
【0058】
このように、プレスタック枚数が変化した場合でも、後処理用紙の部最終紙と、次の部のプレスタック次用紙の時間が規定時間(後処理時間)以上となるように、画像形成装置1本体の用紙供給タイミングを制御することによって、生産性の低下を最小限にすることができる。
【0059】
すなわち、本実施形態では、プレスタック枚数の変化に伴い、図4のシーケンスQ4aの「後処理時間」送信とは別にシーケンスQ6aで「後処理時間待ち必要用紙」を通知する。「後処理時間待ち必要用紙」は、図5の4枚目の用紙Pj4、図6の2枚目の用紙Pj2に通知されるもので、後処理種類、用紙サイズに応じて待たせる用紙が異なることから「後処理時間待ち必要用紙」の通知タイミングも異なり、
後処理時間待ち必要用紙=プレスタック次用紙
とする。
【0060】
図8及び図9は、本実施形態において、画像形成装置1本体が用紙後処理装置2に後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【0061】
束枚数が可能プレスタック枚数以下の場合は、プレスタックされた用紙は、次に搬送されてくる束最終紙Pjnと重ね合わされてステープルトレイ14に搬送される。従って、先行束の最終紙P(j-1)nがステープルトレイ14に進入してから、次に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくるのは、後続束の最終紙Pjn及び重ね合わせたプレスタック紙(Pj1〜Pj(n-1))となる。
【0062】
このことより、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjnまでの時間を規定時間(後処理時間T)以上とすれば、先行束P(j-1)の後処理中に後続束の用紙Pj1がステープルトレイ14に進入してくることはない。
【0063】
図8は後続束枚数が4枚の場合の例について示している。図8に示すように先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjn(Pj4)までの時間が元々規定時間(後処理時間T)以上である場合は、画像形成装置1は特に待つ必要なく画像形成を行って用紙後処理装置2側に搬送するので、画像形成装置1本体の生産性を低下させずに後処理を行うことができる。
【0064】
図9は後続束枚数が2枚の場合の例について示している。図9に示すように先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjn(Pj2)までの時間が規定時間(後処理時間T)未満であった場合は、規定時間(後処理時間T)以上となるように後続束の最終紙Pjn(Pj2)の送り出しタイミングを遅らせる。その際、遅らせるタイミングを規定時間(後処理時間T)と等しくすると最も生産性を向上させることができる。
【0065】
この例では、後続束の最終紙Pjn(Pj4,Pj2)がシーケンスQ6aにおける「処理待ち時間必要用紙」となる。
【0066】
図8及び図9に示した例の場合も、画像形成装置1本体の用紙搬送制御手順は図7に示したフローチャートの制御手順と同様である。
【0067】
なお、前述の規定時間(後処理時間T)は、後処理の種類及び/又は用紙サイズに応じて決定される。この規定時間(後処理時間T)は、先行束の最終紙P(j-1)nから後続束の用紙Pjnがステープルトレイ14へ進入してくるまでの時間を規定するものであるので、後処理にかかる時間と略同じ値となる。つまりは後処理種類によって決まる時間である。
【0068】
また、規定時間(後処理時間T)は前述のように後処理の種類によってほぼ決まるが、後処理の詳細動作は用紙サイズによって若干変わる場合も多い。例えば、大サイズは小サイズに比べ用紙整合性が悪いため、揃え動作の回数を増やす場合がある。この場合、用紙サイズによって後処理時間が変わってくるので、それに合わせ規定時間(後処理時間T)も変わってくる。
【0069】
そこで、規定時間(後処理時間T)を後処理の種類に基づいて決定すると、様々な条件から規定時間(後処理時間T)を算出する必要がなくなり、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができる。また、規定時間(後処理時間T)を、用紙サイズ情報に基づいて決定すると、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができる。そのため、両者に基づいて規定時間(後処理時間T)を決定すると、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができることが分かる。
【0070】
図10は、図9の場合における画像形成装置本体の用紙搬送タイミングを示すタイミングチャートである。前述の規定時間(後処理時間T)は、画像形成装置1本体の用紙搬送を行う用紙搬送モータの駆動タイミングを遅延させることにより実現される。この場合、図9に示すように後続束のプレスタック用紙が1枚プレスタックなので、後続束のジョブの1枚目の用紙Pj1を搬送した後、先行束の最終紙P(j-1)nの搬送開始から規定時間(後処理時間T)経過した後に、後続束のプレスタック次用紙Pj2あるいは後続束の最終紙Pjnを搬送する。これにより、1枚プレスタックの場合に、後続束の次用紙Pj2あるいは後続束の最終紙Pjnがプレスタック経路2dに入ることなく、ステープルトレイ14に搬送される。
【0071】
その他、特に説明しない制御は、図5及び図6を参照して説明した通りである。
【0072】
図11は、Z折り装置を含む画像形成システムの例を示すシステム構成図である。この例では、用紙後処理装置2の前段に用紙折り装置200が設置されている。用紙折り装置200は、画像形成装置1からの指示によって2つ折り、Z折り、内3つ折り、4つ折りなどの各種の折り処理が可能である。
【0073】
このような用紙折り装置200を備えた画像形成システムでは、1つのジョブに折り処理された用紙、例えばZ折りされた用紙が含まれる場合がある。このような場合には、Z折りされた用紙とZ折りの前に搬送される用紙もプレスタックされない。そのため、後処理時間T内にZ折りの用紙がプレスタックされるタイミングで搬送されてくる場合には、当該Z折りの前の用紙から待たせることになる。なお、Z折りされた用紙とZ折りの前に搬送される用紙がプレスタックされないのは、プレスタック経路2dからZ及び前の用紙とZ折り用紙を共にステープルトレイ14に排紙することができないからである。
【0074】
この場合も、シーケンスQ6aで当該用紙に「後処理時間待ち必要用紙」であることを通知し、その用紙にシーケンスQ4aで送信した「後処理時間T」分待たせることになる。
【0075】
また、タブ紙もプレスタックできないのでタブ紙が後処理時間T内に搬送されてくる場合には、このタブ紙に「後処理時間待ち必要用紙」であることを通知し、その用紙をシーケンスQ4aで送信した「後処理時間T」分待たせることになる。なお、用紙に「後処理時間待ち必要用紙」を通知することはできないので、この通知は、当該用紙を送り出す画像形成装置1のCPU1aあるいはタブ紙を供給する用紙供給装置のCPUに対して実行される。
【0076】
これまでの説明で明らかなように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)画像形成装置1から用紙後処理装置2に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し(シーケンスQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6)、送信された情報に基づき用紙後処理装置2から送信される後処理時間(排紙間隔時間)Tを受信し(シーケンスQ4a)、この後処理時間(排紙間隔時間)に基づき、CPU1aが画像形成装置1から用紙後処理装置2に排出する複数の用紙を跨ぐ排紙間隔を制御するので、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることができる。
【0077】
2)先行の用紙(P(j-1)n)の指定タイミングと後行(後続)の用紙(Pj3)の指定タイミングが異なるので、先行の用紙束の用紙処理に必要な時間を考慮して後行の用紙を指定することができる。
【0078】
3)用紙後処理装置2は後処理時間Tを通知する後行の用紙の指定を、画像形成装置1から受信した後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき、プレスタック経路2d(用紙滞留手段)に滞留する用紙枚数とともに変更するので、用紙束の後処理時間Tとプレスタック枚数に応じて、待機する後行の用紙を的確に指定することができる。
【0079】
4)プレスタック経路2dに滞留する用紙の最大枚数を設定する操作パネル(設定手段)1bを備えているので、プレスタック経路2dにおける搬送不良の発生を防止し、搬送品質を向上させることができる。
【0080】
5)プレスタック経路2dに滞留する用紙の枚数が0となるときには、後続(後行)の用紙Pj1を先行の用紙P(j-1)nの次用紙に変更するので、簡単な制御で待機する後行の用紙を指定することができる。
【0081】
6)用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信する後処理情報の対象となる2枚の用紙を、先行する用紙P(j-1)nをステープル束の最終紙、後行する用紙を後続束の最終紙Pjn又はPj2とするので、1回のスタック経路2dへの滞留動作が1ジョブに対応し、最適な生産性を得ることができる。
【0082】
7)用紙後処理装置2から送信される後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき画像形成装置1から排紙される後続の用紙の排紙間隔を決定するので、後処理種類及び/又は用紙サイズに基づいて用紙後処理装置2に排出する用紙の排紙間隔を制御することができる。
【0083】
なお、特許請求の範囲における用紙は実施形態ではP1,P2,P(j-1)n、Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5,・・・Pjnに、画像形成装置は符号1に、後処理トレイはステープルトレイ14に、後処理手段はステープラ12に、用紙後処理装置は符号2に、用紙滞留手段はプレスラック経路2dに、制御手段はCPU1aに、先行する用紙束の最終紙は先行束最終紙P(j-1)n、後続紙は符号Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5に、設定手段は操作パネル1bに、後続束の最終紙は後続束最終紙PjnあるいはPj2に、それぞれ対応する。
【0084】
更に、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
1a CPU
1b 操作パネル
2 用紙後処理装置
2d プレスタック経路
12 ステープラ
14 ステープルトレイ
P1,P2,P(j-1)n、Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5,・・・Pjn 用紙
P(j-1)n 先行束最終紙
Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5 後続紙
Pjn,Pj2 後続束最終紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2005−031382号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙、記録紙、転写紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、単に「用紙」と称す)に対して画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置及び画像形成済みの用紙に対して所定の後処理を施す用紙後処理装置とからなる画像形成システム、並びに当該システムで実行される用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長い時間の後処理を行った場合でも極力生産性を低下させないように、用紙後処理装置の対応可能プレスタック枚数が増えてきている。例えば、後処理手段(ステープラ、ステープル整合トレイ)の前段の搬送路に1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段としてのプレスタック手段(プレスタック経路)を備え、このプレスタック手段に滞留させるプレスタック枚数を5枚とし、6枚目の用紙と重ね合わせてステープル整合トレイに排出する。この場合、用紙6枚通紙分の時間を稼ぐことができるため、時間のかかる2箇所綴じ等の処理を行っても生産性を低下させることなく後処理を行うことができるというものである。
【0003】
このようなプレスタック手段を備えた用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムでは、画像形成装置が用紙後処理装置に対して用紙情報,後処理情報を送信し、画像形成装置は送信された情報に基づき後処理時間を用紙後処理装置から受信し、受信した後処理時間に基づき用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する排紙間隔制御技術が、例えば特許文献1(特開2005−031382号公報)に開示されているように公知である。
【0004】
この発明は、後処理時間によって発生する生産性の低下を少なくする、あるいは、排紙予定に変更が生じた場合には適切に対応することを目的とし、画像形成装置が後処理装置に対して用紙情報,後処理情報を送信し、送信された情報に基づき後処理時間を後処理装置から受信し、受信した後処理時間に基づき後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御している。また、排紙予定に変更が生じた場合には画像形成装置が後処理装置に対してキャンセルを送信するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に記載されているような排紙間隔制御技術は、連続する用紙間の排紙間隔を通知し、その排紙間隔を制御することはできるが、複数枚を跨いだ用紙間の排紙間隔を通知し、制御することはできない。一方、プレスタック手段が後処理装置内の用紙整合を行う整合トレイの上流に設けられ、整合トレイで用紙を処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイに進入してこないように1又は複数枚の用紙を滞留させるように構成されているものでは、複数枚を跨いだ用紙間の排紙紙間を制御することが、最も生産性を高めることができる。
【0006】
すなわち、後処理時間を確保するために排紙間隔を長くする場合は、連続する用紙間の排紙間隔を長くして制御するのが普通であった。しかし、複数枚のプレスタックを行う場合、この方法では排紙間隔の制御が複雑化する。これはプレスタック枚数によって生産性が最適になる排紙間隔が変わってくるためである。これに対処するには、プレスタック枚数毎に排紙間隔の制御を変更する必要がある。しかし、このような制御を採用すると、制御が複雑化し、開発期間の増大やソフトバグの増大を招くことになる。
【0007】
他方、排紙間隔の制御をなるべく複雑にさせないようにするには長めの排紙間隔を設定することになるが、このように排紙間隔を設定すると、本来の機器能力に対して生産性が低下することになり、最適な生産性を実現することはできない。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、用紙後処理装置と画像形成装置を含む画像形成システムにおいて、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、を含む画像形成システムであって、前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を前記用紙後処理装置から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する制御手段を備えたこと特徴とする。
【0010】
第2の手段は、用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が前記用紙整合トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、これら各装置を制御する制御手段と、を含み、前記制御手段によって実行される用紙搬送方法であって、前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び後処理情報を送信する工程と、前記送信する工程で送信された情報に基づき前記用紙後処理装置から送信される複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を受信する工程と、受信する工程で受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する工程と、を備えたこと特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図3】プレスタック搬送路を使用したプレスタック動作の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における画像形成装置と用紙後処理装置間の送受信信号及び排紙紙間の制御シーケンスを示す図である。
【図5】プレスタック枚数が3枚の場合の実施形態における排紙間隔制御の一例を示す説明図である。
【図6】プレスタック枚数が1枚の場合の実施形態における排紙間隔制御の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における画像形成装置本体の用紙搬送制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態における後続束枚数が4枚の場合の後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態における後続束枚数が2枚の場合の後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【図10】図9の場合における画像形成装置本体の用紙搬送タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】Z折り装置を含む他の画像形成システムの一例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、画像形成装置と、画像形成装置から排紙された用紙に後処理を行う用紙後処理装置を含む画像形成システムにおいて、画像形成装置が用紙滞留手段と後処理手段を有する用紙後処理装置に対して用紙情報及び後処理情報を送信し、送信された情報に基づき複数枚を跨いだ用紙間の排紙間隔を後処理装置から受信し、受信した排紙間隔に基づき後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御することを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態に係る用紙後処理装置(シート処理装置)と画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成システムは、シート状の記録媒体である用紙に画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1から排紙された用紙に対して整合、綴じなどの各種後処理を行う用紙後処理装置2とから基本的に構成されている。画像形成装置1は、用紙に画像を形成する機能を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能が複合された複合機のいずれかからなる。本実施形態では、複写機として構成されている。
【0016】
図1に示した画像形成装置(複写機)1は、本体部100、給紙部110、読み取り部120及び原稿自動給送部(ADF)130から構成されている。本体部100は給紙部110の上部に位置し、読み取り部120は本体部100の上部に位置している。更に読み取り部120の上部にはADF130が設けられている。
【0017】
本実施形態に係る画像形成装置1は電子写真方式で作像するもので、本体部100には、感光体101、定着装置102、両面装置103及び排紙装置104が設けられている。感光体101の外周には、帯電ユニット105、現像ユニット106、転写ユニット107、クリーニングユニット108及び図示しない除電ユニットが配置されている。また、本体部100には、書き込みのための書き込みユニット109が設けられている。書き込みユニット109は画像書き込みを行うためのLD等の光デバイスとそれを駆動するためのドライバICなどから構成され、転送されてきたデータに応じて、光デバイスを駆動(点滅動作)し、感光体101に対して光書き込み動作を行う。
【0018】
給紙部110は5段の給紙段111,112,113,114,115を有し、指定された給紙段から給紙された用紙が給紙ローラを経て縦搬送路116からレジストローラ117を介して転写ユニット107に送られる。また、書き込みユニット109によって感光体101表面に光書き込みが行われ、静電潜像が形成され、現像ユニット106によってトナー現像が行われ、顕像化されたトナー画像が転写ユニット107で用紙に転写され、定着装置102で定着される。
【0019】
読み取り部120はコンタクトガラス上に載置された原稿を副走査方向に走行しながら、あるいはADF130によって搬送される原稿を、走行体を停止させた状態で光学的に読み取る。前者はフラットベッド方式、後者はシートスルー方式と一般に称される。フラットベッド方式での読み取りは例えばブック原稿の場合に行われ、シートスルー方式での読み取りは例えば複数枚のシート原稿の場合に行われる。ADF130は、この実施例では、ARDFとも称される原稿を反転して読み取ることもできる循環式自動原稿給送装置である。
【0020】
用紙後処理装置2は、受入口2a、下搬送路2b,2c、上搬送路2f、プレスタック経路2d、用紙処理部18、排紙ローラ16、排紙口15及び排紙トレイ3から基本的に構成されている。受入口2aは用紙を画像形成装置1の排紙口から受け入れる開口であり、この受入口2aに続く用紙搬送路2gには入口センサS1と入口ローラ対4が設けられている。
【0021】
入口ローラ対4の下流側の用紙搬送路2gは用紙を用紙処理部18側に導く下搬送路2b,2c(以下、切換爪9が設けられた分岐点2hより上流側を第1の下搬送路2b、下流側を第2の下搬送路2cと称す)と、そのまま排紙口15側に導く上搬送路2f(図では詳細は省略している)とに分岐し、その分岐点に分岐爪2eが配されている。この分岐爪2eは図示しないステッピングモータによって駆動され、用紙の搬送経路を切り換える。
【0022】
第1の下搬送路2bには用紙搬送方向上流側から当該下搬送路2bで用紙を検知するセンサS2と第1の搬送ローラ5が設けられ、下端部にはプレスタック経路2dが用紙搬送方向と逆行する用紙を受け入れることができるような角度で分岐し、その分岐点に切換爪9が逆行するときのガイドとして機能するように設けられている。第2の下搬送路2cは前記分岐点2hから用紙処理部18に至る搬送路であり、第2及び第3の搬送ローラ対6,7が配されると共に、最下流側にはトレイ排紙ローラ8対が設けられている。なお、以下の説明では、ローラ対の「対」は省略する。
【0023】
用紙処理部18は、用紙が排紙され、積載されるステープルトレイ14、ステープルトレイ14に積載される用紙の用紙搬送方向と直交する方向を整合する整合フェンス10、用紙搬送方向を整合する後端フェンス11、ステープルトレイ14上に排出された用紙を後端フェンス11側に寄せる叩きコロ14a、ステープルトレイ14上で整合された用紙束を綴じるステープラ12、及びステープルトレイ14上で綴じられた用紙束を放出する放出ベルト13と一対の放出爪13a,13bとからなる放出機構から構成されている。放出ベルト13は放出ローラ19と従動ローラ19aとの間に張設され、用紙束を放出爪13a,13bのいずれかによって排紙口15から排紙トレイ3上に放出する。その際、支軸17aに揺動可能に支持された排紙レバー17の自由端側に設けられた排紙ローラ16を押し上げながら放出することにより、排紙ローラ16から所定の押圧力を受け、用紙束の搬送が確実に行われるようにしている。
【0024】
用紙後処理装置2は、前記整合や綴じ機能の他に穴明け、折りなどの機能を備えているものもあるが、これらは公知の構成であり、用紙後処理装置2の仕様に応じて適宜設定される。
【0025】
〈制御構成〉
図2は本実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。同図において、用紙後処理装置2の制御装置31は、CPU32、I/Oインターフェース33等を有するマイクロコンピュータからなり、入口センサS1、センサS2、その他の各センサからの信号がI/Oインターフェース33を介してCPU32へ入力される。CPU32は、入力された信号に基づいて、各種モータやソレノイドなどの制御を司る。また、ステープラ12も図示しないステープラ駆動モータやステープラ移動モータを制御することによりCPU32の指示によって用紙の所定の位置にステープル針を打ち込み、用紙束の綴じ動作を実行する。
【0026】
なお、用紙後処理装置2の制御は前記CPU32が図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。また、制御や処理に必要なデータは前記RAMの他にEPROMに記憶される。また、画像形成装置1本体側のCPU1aからの指示により動作制御を実行するように構成することも可能である。その際、用紙後処理装置31のCPU32と画像形成装置1のCPU1aとは通信I/F30を介して制御信号の送受が行われる。また、画像形成装置1本体にはユーザインターフェースとして操作パネル1bが設けられ、画像形成装置1及び用紙後処理装置2に対する入力操作が可能となっており、画像形成装置1及び用紙後処理装置2の状態、あるいは操作情報などは操作パネル1bの表示部に表示される。
【0027】
なお、通常システムのメインの制御装置は画像形成装置1本体部側のCPU1aであり、用紙後処理装置2側のCPU32はサブとして機能する。また、CPU1aによって行われる制御もCPU32と同様に図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。
【0028】
〈動作〉
《1部の場合》
画像形成装置1から出力された用紙は排紙口1a、受入口2aから用紙後処理装置2に搬入される。用紙後処理装置2に搬入された用紙は、入口センサS1により検知され、入口ローラ4によって用紙搬送路2gを搬送される。分岐爪2eは画像形成装置1のCPU1aから送信される用紙処理指示に応じて制御装置31のCPU32により切り換え方向が指示される。そこで、用紙処理部18側に用紙を搬送する場合には分岐爪2eを図示反時計方向(図1の状態)に切り替えることによりまず第1の下搬送路2bに用紙を導く。第1の下搬送路2bに導かれた用紙は、入口ローラ4及び第1の搬送ローラ5によって与えられる用紙の搬送力により切換爪9を図示反時計方向に切り替え、用紙の搬送スペースを確保する。これにより用紙は前述のようにして確保されたスペースから第2の下搬送路2c側に導かれ、第2及び第3の搬送ローラ6,7を経てトレイ排紙ローラ8によりステープルトレイ14へ排紙される(矢印A方向)。
【0029】
排紙された用紙はトレイ排紙ローラ8のニップから離れ、ステープルトレイ14に着地した後、一旦矢印B方向へ自重落下する。同時に叩きコロ14aによって下方に叩き落とされ、後端フェンス11で搬送方向の後端が揃えられる。そして、予め用紙の後端をセンサS2で検知し、用紙搬送方向が揃えられ得る時間の後、整合フェンス10により幅方向が揃えられる。この動作を繰り返すことにより多枚数の用紙が1枚ずつ整合される。
【0030】
《2部以上の場合》
1部の場合は以上のように動作するが、2部以上の場合には、以下のように動作する。 画像形成装置1から出力される用紙の間隔は一定でありジョブ間の間隔も一定に出力されてくる。画像形成装置1からは1部目が出力されるときに用紙のサイズ、枚数、搬送速度、処理モードなどの信号が送られてくる。その信号を用紙後処理装置2が受け取ることにより用紙をスタックさせる枚数や増速ポイント、増速線速、逆行ポイント、スタック時の停止ポイントが決定される。これらの決定は、前記CPU32によって行われる。なお、ジョブとは本実施形態では、画像形成装置1で実行される作業(仕事)の単位であり、ここでは1部以上の複写作業を行う際の1つの部の作成作業を意味する。
【0031】
図3はプレスタック搬送路2dを使用したプレスタック動作の一例を示す図である。同図において、画像形成装置1から出力されたジョブの先頭用紙P1が用紙後処理装置2の入口ローラ4、第1の搬送ローラ5により搬送され、用紙後端が切換爪9を通過して図3(a)の位置(分岐点2h(切換爪9のほぼ先端に対応)から距離α)まで搬送される。このとき画像形成装置1からの信号により用紙を逆行させる必要がある場合は、第2の搬送ローラ6及び第3の搬送ローラ7が一度停止し、更に図示時計方向に逆転をはじめる。その際、切換爪9が機能し、用紙はプレスタック経路2dに導かれ、プレスタックされる。切換爪9は常時低圧(前述のように用紙に押されて用紙が通過するに足るスペース分回動できる程度の圧力)で用紙逆送時にプレスタック経路が開放されるように弾性力が付与されている。
【0032】
このプレスタック経路2dに搬送される距離は、第1の搬送ローラ5の搬送方向に対して直前に配置されたセンサS2からのパルスカウントやタイマ等によって計測され、計測されたカウント数あるいは時間に基づいて制御タイミングをとり、用紙後端(逆送時の用紙搬送先端の)位置が同じ位置になるところで停止する。このとき、図3(b)に示すように用紙は第2の搬送ローラ6のニップに挟持され、ニップから数mm(距離β−5ミリ程度)飛び出した状態で停止している。
【0033】
次いで図3(c)に示すように第1の搬送ローラ5によって2枚目の用紙P2が搬送されてくる。そしてセンサS2の検知情報により2枚目の用紙先端が第2の搬送ローラ6から上流側に所定の距離、例えば20mmの位置まで搬送されると、第2及び第3の搬送ローラ6,7が反時計方向に回転し、第2の下搬送路2c及びスタック経路2dにスタックされていた用紙の搬送が開始される。ジョブの先頭用紙は第3の搬送ローラ7のニップに挟持された状態で図3(d)に示すように再搬送されるので、ジョブの先頭用紙の先端の方が2枚目の用紙先端よりも先行した状態で2枚同時にステープルトレイ14上に排出される。排出された用紙束は、放出ベルト13の対称な位置に設置された1対の放出爪13a,13bが矢印B方向に移動し、一方の放出爪13の背で突出した用紙の先端を叩き、用紙を2枚揃えて後端フェンス11まで落として搬送方向のずれが整合される。これにより画像形成装置1本体の生産性及び綴じ品質を落とさず後処理を行うことができる。なお、放出ベルト13はステープルトレイ14の中央部に設置されている。
【0034】
以上が2枚の場合の搬送状況である。ステープルトレイ14における処理内容によって2枚、3枚と用紙をスタック(積み重ね)しジョブ間を稼ぐ場合は、上記の動作を繰り返すことにより本体のCPMを落とすことなく後処理を行うことが可能である。
【0035】
このように、プレスタック動作は、生産性を低下させないようにするために画像形成装置1から用紙後処理装置2へ受入れた用紙を用紙処理部18の上流でバッファリングする動作である。プレスタック動作の目的は画像形成装置1本体の生産性を低下させずに後処理を行うことである。しかしながら、後処理にかかる時間又はプレスタックの可能枚数によってはプレスタックを行ったとしても画像形成装置1本体の生産性を全く低下させないと言うわけにはいかない。しかし、プレスタックを行わない場合より生産性を向上させることはできる。
【0036】
そこで、本実施形態では、プレスタックを行ったとしても画像形成装置1本体の生産性を多少低下させる必要がある場合に、必要以上に生産性が低下することのないようにした。
【0037】
図4は、本実施形態における、画像形成装置と用紙後処理装置間の送受信信号、及び排紙紙間の制御シーケンスを示す図である。画像形成装置1と用紙後処理装置2間の通信は、上述したように通信I/F30を介して行われる。また、この例では、P(j-1)1からP(j-1)nのn枚(nは4以上の整数)枚の用紙で1ジョブが構成されるものとして説明する。なお、nはここでは4枚以上の用紙を想定しているので、4以上の整数となっているが、一般には後述の図6から分かるようにnは2以上の整数である。
【0038】
画像形成装置1から用紙後処理装置2へ用紙Pxx毎に用紙情報が通知される(シーケンスQ1,Q2,Q3,Q5,Q6)。なお、Pj1は1ジョブの1枚目の用紙を、・・・Pj2は1ジョブ(ジョブはj)の2枚目の用紙(2は用紙の枚数)を意味する。用紙情報には、「用紙サイズ」「用紙種類」「排出先指定」等が含まれる。また、毎回前用紙から次用紙の紙間時間(前用紙の先端から次用紙の先端までの距離を搬送速度で除して得られた時間)が紙間情報として用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信される(シーケンスQ1a,Q2a,Q3a,Q5a,Q6a)。Q1a〜Q6aには、後処理時間待ちが必要か否かという情報を付ける(D1)。
【0039】
ステープル等の後処理情報は、ステープル枚数等に応じて適切なタイミングで画像形成装置1から用紙後処理装置2に通知される(D2)。本実施形態では、n枚目の用紙P(j-1)nが搬送されてくる際に用紙後処理情報が画像形成装置1から用紙後処理装置2に送信される(シーケンスQ4)。
【0040】
用紙後処理装置2は画像形成装置1から後処理情報を受信すると、後処理に要する時間を算出し、画像形成装置1へ通知する(シーケンスQ4a)。複数の用紙を跨ぐ時間管理が必要な場合に、後処理時間(この場合ステープル処理時間)Tを通知する。何枚か後の用紙の排紙間隔は本実施形態では、ジョブ最終紙P(j-1)nからの後処理時間が必要となる。何枚後かはシーケンスQ4aを受信した時点で決定することはできないので、該当用紙(2枚目Pj2)の紙間通知コマンドに後処理時間待ちの要否情報を追加する(D4)。この状態では、後処理時間待ちが必要となる(2枚目の用紙Pj2)。
【0041】
Q4送信の後、画像形成装置1は次のジョブの1枚目の用紙の用紙情報を送信し(シーケンスQ5)、用紙後処理装置2は、受信した用紙情報に基づいて前のジョブの最終紙の用紙P(j-1)n先端から次のジョブの1枚目の用紙Pj1先端の紙間情報を画像形成装置1に送信する(シーケンスQ5a)。この時点では、Pj1に対する後処理の待ち時間は不要である。次いで、画像形成装置1は2枚目の用紙Pj2の用紙情報を用紙後処理装置2に送信し(シーケンスQ6)、用紙後処理装置2は画像形成装置1に前ジョブ最終紙P(j-1)nの先端から2枚目の用紙Pj2先端間の紙間情報を送信する。
【0042】
その際、シーケンスQ4aで前ジョブ最終紙からx枚目までの後処理時間Tが用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信されているので、後処理時間待ちが必要な用紙が何枚目の用紙であるかが通知される。本実施形態では、前述の2枚目の用紙Pj2(x=2)がこれに相当し、2枚目の用紙Pj2が後処理に必要な時間分待たされることになる(D4)。
【0043】
その時間が経過すると、2枚目の用紙Pj2はプレスタック経路2dに送られずにそのまま図3(b)、(c)及び(d)に示したようにプレスタック経路2dでプレスタックされた1枚目の用紙Pj1と重ね合わされて搬送される。その際、待たされる用紙は2枚目の用紙Pj2のみとなる。なお、2枚目の用紙Pj2は1ジョブの最終紙である場合も、最終紙でない場合も同様である。
【0044】
図5及び図6は、本実施形態において、画像形成装置1が用紙後処理装置2に後処理時間待ち必要用紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【0045】
プレスタックされた用紙は、次に搬送されてくるプレスタックされない用紙と重ね合わせてステープルトレイ14に搬送される。従って、先行束の最終紙がステープルトレイ14に進入してから、次に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくるのは、後続束のプレスタック枚数+1枚目(プレスタック次用紙)の用紙とプレスタック経路2dで重ね合わされたプレスタック紙となる。このことより、先行束の最終紙から、後続束のプレスタック次用紙までの時間を規定時間(後処理時間)以上とすれば、先行束の後処理中に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくることはない。
【0046】
図5はプレスタック枚数が3枚の場合の例を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置1では、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束のプレスタック次用紙Pj4までの時間が元々規定時間(後処理時間T)以上である場合は、画像形成タイミングを変更することなく、そのまま同じタイミングで画像を形成し、用紙後処理装置2側に搬送することができる。これによりの用紙後処理装置2側では、画像形成装置1の生産性の低下を招くことなく後処理を行うことができる。
【0047】
なお、プレスタック枚数が3枚でも、後続束のプレスタック次用紙Pj4までの時間が元々規定時間(後処理時間T)に満たなければ、その分、後続束のプレスタック次用紙Pj4の用紙後処理装置2側への搬送を待たせる必要が生じることはいうまでもない。
【0048】
図6はプレスタック枚数が1枚の場合の例を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置1では、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束のプレスタック次用紙Pj2までの時間が規定時間(後処理時間T)未満であった場合は、規定時間(後処理時間T)以上となるようにプレスタック次用紙Pj2の送り出しタイミングを遅らせる。その際、遅らせる時間を規定時間(後処理時間T)と等しくすると最も生産性を向上させることができる。
【0049】
図7は本実施形態における画像形成装置本体の用紙搬送制御の制御手順を示すフローチャートであり、画像形成装置1のCPU1aにより実行される。
【0050】
同図において、まず、用紙搬送タイミングかどうかを判断し(ステップS101)、用紙搬送タイミングであると、受信した後処理時間待ち用紙情報を取得する(ステップS102)。搬送用紙が後処理処理時間待ち用紙であると(ステップS103)、タイマカウント値が後処理時間以上か否かを判断し、後処理時間以上になった時点(ステップS104:Y)で用紙搬送をスタートさせる(ステップS105)。次いで、排紙の最終紙か否かを判断し、最終紙であれば、そのまま処理を終える。
【0051】
最終紙でなければ、用紙後処理装置2のCPU32から受信した後処理時間を取得し(ステップS107)、後処理時間が通知された用紙か否かを判断する(ステップS108)。後処理時間が通知された用紙でなければ(ステップS108:N)、ステップS101に戻って、用紙搬送タイミングを待ち、用紙搬送タイミングになると、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0052】
後処理時間が通知された用紙であれば(ステップS108:Y)、後処理時間待ちのタイマのカウントをスタートさせ(ステップS109)、ステップS101以降の処理を繰り返す。後処理時間は図4においてシーケンスQ4aで送信され、後処理時間通知用紙はシーケンスQ6aで通知される後処理時間の排紙間隔が必要な用紙である。図4の例では、1ジョブの5枚目の用紙Pj5に相当する。
【0053】
ところで、用紙後処理装置2では、プレスタック経路2dに滞留させるプレスタック枚数は、例えば後処理種類及び/又は用紙サイズに応じて変更される。例えば2箇所綴じを行う場合には一般的に1箇所目と2箇所目の間でステープラを移動させる必要があり、処理時間が長くなる。処理時間が長い場合には多数枚のプレスタックを行わないと生産性が低下してしまう。
【0054】
後処理種類は、図11に示すようにZ折り装置200が画像形成システムに含まれている場合には、用紙後処理装置2の前段の後処理装置によって処理される後処理も含まれる。
【0055】
一方、1箇所綴じを行う場合には2箇所綴じに比べて処理時間が短くて済むので、プレスタック枚数も少なくてよい。また、例えば長手サイズの用紙の場合、1枚分のプレスタックで稼げる紙間隔が大きい。したがって、プレスタック枚数は少なくとも生産性が低下することはない。逆に短手の用紙の場合は多数枚のプレスタックを行わないと生産性が低下してしまう。他方、後処理の用紙整合性はプレスタック枚数が少ないほうが有利であるので、生産性と整合性の最適化を考慮すると後処理種類、用紙サイズ等によってプレスタック枚数を変えるようにすることもできる。
【0056】
更に、プレスタック経路2dに滞留させるプレスタック最大枚数は操作パネル1bから設定することができる。設定されたプレスタック最大枚数は図示しないメモリに記憶され、メモリに記憶されたプレスタック最大枚数を参照し、設定されたモードに基づいてプレスタック枚数を決定する。プレスタック最大枚数は初期設定としてはハード的な要素によって決定される。しかし、プレスタック経路2dはスペース的、コスト的面から、厚紙や特殊紙の搬送品質が悪くなる場合が多い。このように搬送品質が悪く、ジャムや用紙ダメージが発生する場合は、プレスタック枚数を少なくし、あるいはプレスタックを行わない(プレスタック枚数を0にする)方が良い。そこで、操作者が操作パネル1bからハード的なプレスタック最大枚数とは別に、これよりも少ないプレスタック最大枚数をソフト的に設定とすることによって搬送品質を向上させることができる。
【0057】
なお、プレスタック枚数が0の場合には、後続(後行)の用紙は、先行の用紙の次用紙に変更し、その間の後処理時間T分だけ排紙間隔時間を設ける。
【0058】
このように、プレスタック枚数が変化した場合でも、後処理用紙の部最終紙と、次の部のプレスタック次用紙の時間が規定時間(後処理時間)以上となるように、画像形成装置1本体の用紙供給タイミングを制御することによって、生産性の低下を最小限にすることができる。
【0059】
すなわち、本実施形態では、プレスタック枚数の変化に伴い、図4のシーケンスQ4aの「後処理時間」送信とは別にシーケンスQ6aで「後処理時間待ち必要用紙」を通知する。「後処理時間待ち必要用紙」は、図5の4枚目の用紙Pj4、図6の2枚目の用紙Pj2に通知されるもので、後処理種類、用紙サイズに応じて待たせる用紙が異なることから「後処理時間待ち必要用紙」の通知タイミングも異なり、
後処理時間待ち必要用紙=プレスタック次用紙
とする。
【0060】
図8及び図9は、本実施形態において、画像形成装置1本体が用紙後処理装置2に後続束最終紙を搬送するタイミングについて示す説明図である。
【0061】
束枚数が可能プレスタック枚数以下の場合は、プレスタックされた用紙は、次に搬送されてくる束最終紙Pjnと重ね合わされてステープルトレイ14に搬送される。従って、先行束の最終紙P(j-1)nがステープルトレイ14に進入してから、次に後続束の用紙がステープルトレイ14に進入してくるのは、後続束の最終紙Pjn及び重ね合わせたプレスタック紙(Pj1〜Pj(n-1))となる。
【0062】
このことより、先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjnまでの時間を規定時間(後処理時間T)以上とすれば、先行束P(j-1)の後処理中に後続束の用紙Pj1がステープルトレイ14に進入してくることはない。
【0063】
図8は後続束枚数が4枚の場合の例について示している。図8に示すように先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjn(Pj4)までの時間が元々規定時間(後処理時間T)以上である場合は、画像形成装置1は特に待つ必要なく画像形成を行って用紙後処理装置2側に搬送するので、画像形成装置1本体の生産性を低下させずに後処理を行うことができる。
【0064】
図9は後続束枚数が2枚の場合の例について示している。図9に示すように先行束の最終紙P(j-1)nから、後続束の最終紙Pjn(Pj2)までの時間が規定時間(後処理時間T)未満であった場合は、規定時間(後処理時間T)以上となるように後続束の最終紙Pjn(Pj2)の送り出しタイミングを遅らせる。その際、遅らせるタイミングを規定時間(後処理時間T)と等しくすると最も生産性を向上させることができる。
【0065】
この例では、後続束の最終紙Pjn(Pj4,Pj2)がシーケンスQ6aにおける「処理待ち時間必要用紙」となる。
【0066】
図8及び図9に示した例の場合も、画像形成装置1本体の用紙搬送制御手順は図7に示したフローチャートの制御手順と同様である。
【0067】
なお、前述の規定時間(後処理時間T)は、後処理の種類及び/又は用紙サイズに応じて決定される。この規定時間(後処理時間T)は、先行束の最終紙P(j-1)nから後続束の用紙Pjnがステープルトレイ14へ進入してくるまでの時間を規定するものであるので、後処理にかかる時間と略同じ値となる。つまりは後処理種類によって決まる時間である。
【0068】
また、規定時間(後処理時間T)は前述のように後処理の種類によってほぼ決まるが、後処理の詳細動作は用紙サイズによって若干変わる場合も多い。例えば、大サイズは小サイズに比べ用紙整合性が悪いため、揃え動作の回数を増やす場合がある。この場合、用紙サイズによって後処理時間が変わってくるので、それに合わせ規定時間(後処理時間T)も変わってくる。
【0069】
そこで、規定時間(後処理時間T)を後処理の種類に基づいて決定すると、様々な条件から規定時間(後処理時間T)を算出する必要がなくなり、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができる。また、規定時間(後処理時間T)を、用紙サイズ情報に基づいて決定すると、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができる。そのため、両者に基づいて規定時間(後処理時間T)を決定すると、簡単な制御によって生産性の低下を最小限にすることができることが分かる。
【0070】
図10は、図9の場合における画像形成装置本体の用紙搬送タイミングを示すタイミングチャートである。前述の規定時間(後処理時間T)は、画像形成装置1本体の用紙搬送を行う用紙搬送モータの駆動タイミングを遅延させることにより実現される。この場合、図9に示すように後続束のプレスタック用紙が1枚プレスタックなので、後続束のジョブの1枚目の用紙Pj1を搬送した後、先行束の最終紙P(j-1)nの搬送開始から規定時間(後処理時間T)経過した後に、後続束のプレスタック次用紙Pj2あるいは後続束の最終紙Pjnを搬送する。これにより、1枚プレスタックの場合に、後続束の次用紙Pj2あるいは後続束の最終紙Pjnがプレスタック経路2dに入ることなく、ステープルトレイ14に搬送される。
【0071】
その他、特に説明しない制御は、図5及び図6を参照して説明した通りである。
【0072】
図11は、Z折り装置を含む画像形成システムの例を示すシステム構成図である。この例では、用紙後処理装置2の前段に用紙折り装置200が設置されている。用紙折り装置200は、画像形成装置1からの指示によって2つ折り、Z折り、内3つ折り、4つ折りなどの各種の折り処理が可能である。
【0073】
このような用紙折り装置200を備えた画像形成システムでは、1つのジョブに折り処理された用紙、例えばZ折りされた用紙が含まれる場合がある。このような場合には、Z折りされた用紙とZ折りの前に搬送される用紙もプレスタックされない。そのため、後処理時間T内にZ折りの用紙がプレスタックされるタイミングで搬送されてくる場合には、当該Z折りの前の用紙から待たせることになる。なお、Z折りされた用紙とZ折りの前に搬送される用紙がプレスタックされないのは、プレスタック経路2dからZ及び前の用紙とZ折り用紙を共にステープルトレイ14に排紙することができないからである。
【0074】
この場合も、シーケンスQ6aで当該用紙に「後処理時間待ち必要用紙」であることを通知し、その用紙にシーケンスQ4aで送信した「後処理時間T」分待たせることになる。
【0075】
また、タブ紙もプレスタックできないのでタブ紙が後処理時間T内に搬送されてくる場合には、このタブ紙に「後処理時間待ち必要用紙」であることを通知し、その用紙をシーケンスQ4aで送信した「後処理時間T」分待たせることになる。なお、用紙に「後処理時間待ち必要用紙」を通知することはできないので、この通知は、当該用紙を送り出す画像形成装置1のCPU1aあるいはタブ紙を供給する用紙供給装置のCPUに対して実行される。
【0076】
これまでの説明で明らかなように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)画像形成装置1から用紙後処理装置2に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し(シーケンスQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6)、送信された情報に基づき用紙後処理装置2から送信される後処理時間(排紙間隔時間)Tを受信し(シーケンスQ4a)、この後処理時間(排紙間隔時間)に基づき、CPU1aが画像形成装置1から用紙後処理装置2に排出する複数の用紙を跨ぐ排紙間隔を制御するので、画像形成から用紙処理までを含めて簡単な制御で最適な生産性を得ることができる。
【0077】
2)先行の用紙(P(j-1)n)の指定タイミングと後行(後続)の用紙(Pj3)の指定タイミングが異なるので、先行の用紙束の用紙処理に必要な時間を考慮して後行の用紙を指定することができる。
【0078】
3)用紙後処理装置2は後処理時間Tを通知する後行の用紙の指定を、画像形成装置1から受信した後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき、プレスタック経路2d(用紙滞留手段)に滞留する用紙枚数とともに変更するので、用紙束の後処理時間Tとプレスタック枚数に応じて、待機する後行の用紙を的確に指定することができる。
【0079】
4)プレスタック経路2dに滞留する用紙の最大枚数を設定する操作パネル(設定手段)1bを備えているので、プレスタック経路2dにおける搬送不良の発生を防止し、搬送品質を向上させることができる。
【0080】
5)プレスタック経路2dに滞留する用紙の枚数が0となるときには、後続(後行)の用紙Pj1を先行の用紙P(j-1)nの次用紙に変更するので、簡単な制御で待機する後行の用紙を指定することができる。
【0081】
6)用紙後処理装置2から画像形成装置1に送信する後処理情報の対象となる2枚の用紙を、先行する用紙P(j-1)nをステープル束の最終紙、後行する用紙を後続束の最終紙Pjn又はPj2とするので、1回のスタック経路2dへの滞留動作が1ジョブに対応し、最適な生産性を得ることができる。
【0082】
7)用紙後処理装置2から送信される後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき画像形成装置1から排紙される後続の用紙の排紙間隔を決定するので、後処理種類及び/又は用紙サイズに基づいて用紙後処理装置2に排出する用紙の排紙間隔を制御することができる。
【0083】
なお、特許請求の範囲における用紙は実施形態ではP1,P2,P(j-1)n、Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5,・・・Pjnに、画像形成装置は符号1に、後処理トレイはステープルトレイ14に、後処理手段はステープラ12に、用紙後処理装置は符号2に、用紙滞留手段はプレスラック経路2dに、制御手段はCPU1aに、先行する用紙束の最終紙は先行束最終紙P(j-1)n、後続紙は符号Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5に、設定手段は操作パネル1bに、後続束の最終紙は後続束最終紙PjnあるいはPj2に、それぞれ対応する。
【0084】
更に、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
1a CPU
1b 操作パネル
2 用紙後処理装置
2d プレスタック経路
12 ステープラ
14 ステープルトレイ
P1,P2,P(j-1)n、Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5,・・・Pjn 用紙
P(j-1)n 先行束最終紙
Pj1,Pj2,Pj3,Pj4,Pj5 後続紙
Pjn,Pj2 後続束最終紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2005−031382号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が後処理トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、
を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を前記用紙後処理装置から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する制御手段を備えたこと
と特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置は前記先行及び後行の2枚の用紙を異なるタイミングで指定すること
を特徴とする画像形成装置システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成システムであって、
前記先行の用紙は前記後処理手段で後処理する用紙束の最終紙であり、前記後行の用紙は前記用紙滞留手段に滞留する用紙の後続紙であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置は前記後行の用紙の指定を、前記画像形成装置から受信した後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づいて前記用紙滞留手段に滞留する用紙枚数とともに変更すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成システムであって、
前記用紙滞留手段に滞留する用紙の最大枚数を設定する設定手段を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の画像形成システムであって、
前記用紙滞留手段に滞留する用紙の枚数が0となるときには、
前記後行の用紙は、前記先行の用紙の次用紙に変更すること
を特徴とする画像形成システム
【請求項7】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置から前記画像形成装置に送信する前記後処理情報の対象となる前記2枚の用紙は、先行する用紙が前記後処理手段で後処理する先行束の最終紙であり、後行する用紙が後続束の最終紙であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記制御手段は、前記用紙後処理装置から送信される後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき前記排紙間隔を決定すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が後処理トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、
これら各装置を制御する制御手段と、
を含み、前記制御手段によって実行される用紙搬送方法であって、
前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び後処理情報を送信する工程と、
前記送信する工程で送信された情報に基づき前記用紙後処理装置から送信される複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を受信する工程と、
受信する工程で受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する工程と、
を備えたこと特徴とする用紙搬送方法。
【請求項1】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が後処理トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、
を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び/又は後処理情報を送信し、送信された情報に基づいて設定された複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を前記用紙後処理装置から受信し、受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する制御手段を備えたこと
と特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置は前記先行及び後行の2枚の用紙を異なるタイミングで指定すること
を特徴とする画像形成装置システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成システムであって、
前記先行の用紙は前記後処理手段で後処理する用紙束の最終紙であり、前記後行の用紙は前記用紙滞留手段に滞留する用紙の後続紙であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置は前記後行の用紙の指定を、前記画像形成装置から受信した後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づいて前記用紙滞留手段に滞留する用紙枚数とともに変更すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成システムであって、
前記用紙滞留手段に滞留する用紙の最大枚数を設定する設定手段を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の画像形成システムであって、
前記用紙滞留手段に滞留する用紙の枚数が0となるときには、
前記後行の用紙は、前記先行の用紙の次用紙に変更すること
を特徴とする画像形成システム
【請求項7】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記用紙後処理装置から前記画像形成装置に送信する前記後処理情報の対象となる前記2枚の用紙は、先行する用紙が前記後処理手段で後処理する先行束の最終紙であり、後行する用紙が後続束の最終紙であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記制御手段は、前記用紙後処理装置から送信される後処理種類情報及び/又は用紙サイズ情報に基づき前記排紙間隔を決定すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から出力される画像形成後の用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段及び前記後処理手段によって用紙を後処理している間、次用紙が後処理トレイへ進入しないように1枚以上の用紙を滞留させる用紙滞留手段を備えた用紙後処理装置と、
これら各装置を制御する制御手段と、
を含み、前記制御手段によって実行される用紙搬送方法であって、
前記画像形成装置から用紙後処理装置に用紙情報及び後処理情報を送信する工程と、
前記送信する工程で送信された情報に基づき前記用紙後処理装置から送信される複数枚を跨いだ先行及び後行の2枚の用紙間の排紙間隔時間を受信する工程と、
受信する工程で受信した排紙間隔時間に基づき前記画像形成装置から前記用紙後処理装置に排出する用紙の排紙間隔を制御する工程と、
を備えたこと特徴とする用紙搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−50708(P2013−50708A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155803(P2012−155803)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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