説明

画像形成システム及び画像形成装置

【課題】有効記憶部付き画像形成媒体が無駄になることを抑制しつつ、当該有効記憶部付き画像形成媒体がない場合でも画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成システム10は、画像形成対象とされる画像形成媒体が、データ書込部38によりデータを書込み可能な有効記憶部付きであるとの肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に画像形成及びデータ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に画像形成を行い、作成部14による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面に画像が形成され、且つ、例えば管理データ等のデータが記憶された記憶部(RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの無線タグ)が付加された画像形成媒体を作成し、画像とデータとを共通の画像形成媒体にて一体的に取り扱うことを可能とする技術がある。このように画像及びデータを有する画像形成媒体を作成すれば、データに基づき画像形成媒体を管理できるなど、様々な態様に利用することができる。
【0003】
そのような技術の第1の例として、プリンタとタグラベル作成装置とを備える印刷管理システムがある(特許文献1参照)。この印刷管理システムでは、プリンタが、記憶部無しの普通紙に画像を形成して出力する一方で、タグラベル作成装置が、データが記憶された無線タグ付のタグラベルを作成する。そして、ユーザが当該タグラベルを画像形成済みの上記普通紙に貼り付けることで、画像及びデータを有する画像形成媒体を作成する。
【0004】
また、第2の例として、記憶部付画像形成媒体(例えばRFID付き用紙など)を利用する画像形成装置がある(特許文献2参照)。この画像形成装置では、予め記憶部付き画像形成媒体を画像形成装置にセットし、画像を当該記憶部付き画像形成媒体上に形成するとともに、データを記憶部に記憶することで、画像及びデータを有する画像形成媒体を作成する。
【特許文献1】特開2008−49683公報
【特許文献2】特開2008−84152公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記第1の例の印刷管理システムでは、仮にプリンタに記憶部付き画像形成媒体をセットしても、その記憶部が無駄になってしまう。一方、上記第2の例の画像形成装置では、データを書込み可能な記憶部付き画像形成媒体が準備できなければ画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することができない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、有効記憶部付き画像形成媒体が無駄になることを抑制しつつ、当該有効記憶部付き画像形成媒体がない場合でも画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成システムは、画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、データ書込部と、前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、データが記憶された記憶部付きで且つ画像形成媒体に付加可能な付加部材を、作成する作成部と、前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える。
【0008】
この発明によれば、画像形成対象とされる画像形成媒体が、データを書込み可能な有効記憶部付である場合には、記憶部付き画像形成媒体利用処理の実行により、有効記憶部付き画像形成媒体の記憶部にデータを記憶し、当該有効記憶部付き画像形成媒体に画像を形成する。これにより、画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することができる。一方、画像形成対象とされる画像形成媒体が有効記憶部無しである場合には、付加部材利用処理の実行により、データが記憶された記憶部を有する付加部材を作成し、有効記憶部無し画像形成媒体に画像を形成する。これにより、画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することができる。
従って、記憶部付画像形成媒体が無駄になることを抑制しつつ、当該記憶部付画像形成媒体がない場合でも画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することが可能である。
【0009】
(2)第2の発明は、第1の発明の画像形成システムであって、前記付加部材はシール部材であり、前記画像形成部は、前記付加部材利用処理において、前記シール部材の貼り付けを指示する指示画像を含んだ画像を、前記有効記憶部無し画像形成媒体に形成する。
【0010】
この発明によれば、画像形成対象とされる画像形成媒体が有効記憶部無しである場合に、付加部材利用処理においてシール部材の貼り付けを指示する指示画像を含んだ画像を、有効記憶部無し画像形成媒体に形成する。従って、ユーザは、その指示画像の有無に基づきシール部材を貼り付けるべきかどうかを視覚的に把握することができる。
【0011】
(3)第3の発明は、第2の発明の画像形成システムであって、前記指示画像には、ユーザ識別情報、前記シール部材の識別情報、前記データの内容、画像形成部の識別情報のうち少なくともいずれか1つを示す画像が含まれる。
【0012】
この発明によれば、画像形成媒体上にユーザ識別情報、画像の特定情報、データの特定情報のうち少なくともいずれか1つを示す画像が形成される。従って、例えばその画像形成媒体に貼り付けるべきシール部材が無いときに、どのようなシール部材を貼り付ける予定であったかなどを追跡する手掛りになる。
【0013】
(4)第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像形成システムであって、前記付加部材はシール部材であり、前記シール部材上に、当該シール部材を貼り付けるべき画像形成媒体との対応関係を示す関係画像を形成する関係画像形成部を備える。
【0014】
この発明によれば、付加部材利用処理において、シール部材には当該シール部材を貼り付けるべき画像形成媒体との対応関係を示す関係画像が形成される。従って、例えば画像形成済みの画像形成媒体及びシール部材を複数組作成した場合でも、上記関係画像から各シール部材をどの画像形成済み画像形成媒体に貼り付けるべきかを把握することができる。
【0015】
(5)第5の発明は、第1〜第4のいずれか一つの発明の画像形成システムであって、前記判断部が否定判断をする場合に、前記付加部材利用処理を実行するかどうかを選択する選択部を備える。
この発明によれば、画像形成対象とされる画像形成媒体が有効記憶部無しである場合に付加部材利用処理を実行するかどうかを必要に応じて選択することができる。
【0016】
(6)第6の発明に係る画像形成装置は、画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、データ書込部と、前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、データが記憶された記憶部付きで且つ画像形成媒体に付加可能な付加部材を、作成する作成部と、前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える。
【0017】
(7)第7の発明に係る画像形成装置は、データが記憶された記憶部付きの付加部材を作成する作成装置と通信可能な画像形成装置であって、画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、データ書込部と、前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有効記憶部付き画像形成媒体が無駄になることを抑制しつつ、当該有効記憶部付き画像形成媒体がない場合でも画像及びデータを有する画像形成媒体を作成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態について図1から図8を参照して説明する。
【0020】
1.画像形成システムの全体構成
図1は、本実施形態の画像形成システム10の全体構成を示すブロック図である。画像形成システム10は、複合機12(本発明の「画像形成装置」の一例)とラベル作成装置14(本発明の「作成部、作成装置」の一例)と備えて構成されている。
【0021】
(1−1)複合機
複合機12は、CPU18、ROM20、RAM22、NVRAM24(不揮発性メモリ)、操作部26、表示部28、レジストセンサ29、画像形成部30、読取ユニット32を備える。ROM20には、後述するデータ書込・画像形成処理など、この複合機12の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU18は、ROM20から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM22またはNVRAM24に記憶させながら各部の制御を行う。操作部26は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の入力操作が可能である。表示部28は、液晶ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。レジストセンサ29、画像形成部30、読取ユニット32については後述する。
【0022】
また、複合機12は、ネットワークインターフェイス34を備える。ネットワークインターフェイス34は、例えばUSBケーブル等のネットワーク回線16を介してラベル作成装置14に接続され、これにより相互のデータ通信が可能となっている。
【0023】
更に、CPU18は、原稿用RFIDリーダ36、シート用RFIDライタ38(本発明の「データ書込部」の一例)を制御する。
【0024】
(1−2)ラベル作成装置
ラベル作成装置14は、RFIDデータRD(本発明の「データ」の一例)記憶済みのRFIDタグ40付きラベル42(本発明の「付加部材、シール部材」の一例)を作成する。ラベル作成装置14は、テープホルダ部44、画像形成ヘッド46、搬送部48、カッタ50、ラベル用RFIDライタ52、CPU54、ネットワークインターフェイス56を備える。
【0025】
テープホルダ部44は、複数のRFIDタグ40が所定間隔で配列されたタグテープ58を巻回したタグテープロール60を着脱可能に備える。画像形成ヘッド46(本発明の「関係画像形成部」の一例)は、テープホルダ部44から送り出されたタグテープ58のうちRFIDタグ40に対応した領域に後述する関係画像を形成する。関係画像が形成されたタグテープ58は搬送部48によりカッタ50側に搬送され、このカッタ50によって切断されることでラベル42が順次作成される。
【0026】
ラベル用RFIDライタ52は、図示しないアンテナから電波を発することにより、作成された各ラベル42のRFIDタグ40との間でデータの無線通信(データの読み取り、書き込み)が可能になっている。ネットワークインターフェイス56は、ネットワーク回線16を介して複合機12に接続され、CPU54は、複合機12から送信される指令に基づき上記画像形成ヘッド46等を制御してRFIDデータ記憶済みのラベル42を作成する、ラベル作成処理を実行する。
【0027】
2.複合機の構成
図2は、複合機12の内部構成の概要図である。
【0028】
(2−1)複合機12本体
複合機12の底部には、シート70(例えば用紙など 本発明の「画像形成媒体」の一例)が収納されるトレイ72が設けられている。なお、トレイ72に収納されるシート70には次のものが含まれ得る。
「データ書込み可能シート70A」:RFIDタグ74(本発明の「記憶部」の一例)付きのシート70であって、且つ、そのRFIDタグ74がデータ書込み可能であるもの
「データ書込み不能シート70B」:RFIDタグ付きのシート70であって、且つ、そのRFIDタグ74が書込み不能(データ読取専用)であるもの
「普通シート70C」:RFIDタグ74が付いていないシート70
なお、RFIDシート70A,70Bには、RFIDタグ74がシート70に埋設されたものや、RFIDタグ74がシート70の表面に付着されたものなどがある。
【0029】
トレイ72に収納されたシート70は、ピックアップローラ76によって1枚ずつ取り出されてレジストレーションローラ78,78へと搬送される。搬送されてきたシート70は、レジストレーションローラ78,78により姿勢が整えられつつ所定のタイミングで搬送ベルト80上に送り出される。レジストレーションローラ78,78の下流側(図1参照)には、レジストレーションローラ78,78に保持されたシート70を検知するためのレジストセンサ29が設けられている。
【0030】
画像形成部30は、搬送ベルト80によって搬送されるシート70に画像を形成する。画像が形成されたシート70は、定着器84の加熱ローラ86及び押圧ローラ88の間に挟まれつつ熱定着され、排出トレイ90上へと排出される。
【0031】
また、トレイ72と搬送ベルト80との間における搬送経路付近には、シート用RFIDライタ38が設けられている。シート用RFIDライタ38は、図示しないアンテナから電波を発することにより、搬送途中のRFIDシート70A,70BのRFIDタグ74との間でデータの無線通信(データの読み取り、書き込み)が可能になっている。
【0032】
(2−2)読取ユニット
複合機12本体の排出トレイ90の上方には、読取ユニット32が設けられている。この読取ユニット32には、原稿82がセットされる原稿トレイ92、及び、送り機構94が設けられている。原稿82には、RFIDタグ96付きのものと、RFIDタグ96が付いていないものとがある。
【0033】
原稿トレイ92とスキャナ部98の読取領域との間における搬送経路付近には原稿用RFIDリーダ36が設けられている。原稿用RFIDリーダ36は、搬送中の原稿82がRFIDタグ付きであれば、そのRFIDタグ96との間で無線通信によりデータのやり取りを行うことができる。
【0034】
3.データ書込・画像形成処理
図3は、複合機12のCPU18が実行するデータ書込・画像形成処理を示すフローチャートである。このデータ書込・画像形成処理の実行により、RFIDデータが記憶されたRFIDタグ付きで、且つ、画像形成済みのシート(本発明でいう「画像及びデータを有する画像形成媒体」の一例 以下、「画像及びRFIDデータを有するシート70D」という)を作成することができる。なお、RFIDデータRDの例としては、イメージ情報、テキスト情報など、様々な情報が挙げられる。また、各RFIDタグを有するシート70を識別するための固有情報、機密情報やユーザ識別情報など、安易な複製を禁止して唯一性を極力保持すべき情報などが含まれる。
【0035】
データ書込・画像形成処理は、例えばユーザが操作部26にてRFIDデータ書込みモードに設定してコピー機能を指示したことに基づき実行される。以下、ユーザが原稿82を原稿トレイ92にセットしてコピー機能を指示し、原稿画像をシート70に複製する場合を例に挙げて説明する。
【0036】
CPU18は、まず図3のS10でRFIDデータRDを取得または作成する。具体的には、送り機構94により原稿トレイ92から送り出された原稿82が、RFIDタグ付きであれば、そのRFIDタグ96内のRFIDデータRDを原稿用RFIDリーダ36により取得する。一方、原稿82がRFIDタグ付きでなければ、独自のRFIDデータRDを作成する。例えばコピー機能の実行日付・日時に基づき独自のRFIDデータRDを作成する。また、ユーザIDを入力した上でコピー機能の実行を許可する構成の場合には、ユーザIDに基づき、或いは、ユーザID及び実行日付・日時に基づき独自のRFIDデータRDを作成してもよい。次に、CPU18は、S12でスキャナ部98にて読み取られた原稿82上の原稿画像に基づく原稿画像データを取得し、S14に進む。
【0037】
S14では、画像形成部30にて画像形成対象とされるシート70が、シート用RFIDライタ38によりRFIDデータRDを書込み可能な有効RFIDタグ付きかどうかを判断する。本実施形態では、画像形成対象のシートが、書込み可能RFIDシート70Aかどうかを判断する。このとき、CPU18は本発明の「判断部」として機能し、また、データ書込み可能なRFIDタグ74が本発明の「有効記憶部」の一例である。
【0038】
具体的には、CPU18は、ピックアップローラ76によりトレイ72から1枚のシートを送り出し、そのシート70の先端部分がレジストレーションローラ78,78に保持されたときに、当該レジストレーションローラ78,78の回転駆動を停止させる。なお、シート70がレジストレーションローラ78,78に保持されたかどうかの判断は、上記レジストセンサ29の検出結果に基づき行う。
【0039】
次に、レジストレーションローラ78,78によって保持されたシート70がデータ書込み可能シート70Aかどうかを判断する。即ち、シート用RFIDライタ38により無線通信を試行し、無線通信が成功したかどうかに基づき、シートが書込み可能なRFIDタグ74を有しているかどうかを判断する。そして、判断結果に応じて「データ書込可能シート利用処理」と「ラベル利用処理」とを実行する。このとき、CPU18は本発明の「制御部」として機能する。以下、ラベル利用処理、データ書込可能シート利用処理の順で説明する。
【0040】
(3−1)ラベル利用処理(本発明でいう「付加部材利用処理」の一例)
CPU18は、画像形成対象のシート70が、データ書込み不能シート70B或いは普通シート70C(本発明の「有効記憶部無し画像形成媒体」の一例)であるために、データ書込み可能シート70Aで無いとの否定判断をした場合には(S14:NO)、S16で、ラベル利用処理を実行するかどうかを、例えば表示部28を通じてユーザに問い合わせる。
【0041】
ユーザが操作部26にてラベル利用処理を実行するとの入力操作がされたときには(S16:YES)、S22に進みラベル利用処理を実行する。しかし、ラベル利用処理を実行しないとの入力操作がされたときには(S16:NO)、ラベル利用処理を実行せず、S18で、例えば画像及びRFIDデータを有するシート70Dが作成できない旨を表示部28に表示させるなどの警告処理を行い、S20で画像形成処理を行う。即ち、単に原稿画像が形成されるだけで、RFIDデータRDを有しないデータ書込み不能シート70B或いは普通シート70Cが形成されることになる。このときCPU18は本発明の「選択部」として機能する。
【0042】
図4はS22で実行するラベル利用処理を示すフローチャートであり、図5は、ラベル利用処理による、画像及びRFIDデータを有するシート70Dの作成の流れ図である。このラベル利用処理は、データ書込み不能シート70B或いは普通シート70Cと、ラベル42とを利用して、画像及びRFIDデータを有するシートを作成するための処理である。
【0043】
CPU18は、S30で、画像形成部30により、原稿画像にラベル42の貼り付けを指示する指示画像を組み込んだ組込み画像を、シート70B、70Cに形成するためのデータ処理を行う。具体的には、上記原稿画像データと、例えばNVRAM24に予め記憶された指示画像データとに基づき組込み画像データを作成する。
【0044】
指示画像は、シート70B、70C上においてラベル42の貼り付けを意味する文字・図形・記号であり、図5には指示画像の一例として、ラベル42を貼り付ける位置に形成すべき枠画像71が示されている。更に、指示画像には、ユーザ識別情報(ユーザID)、ラベル42の識別情報(例えばラベルシリアル番号、製造番号など)、RFIDデータRDの内容(例えばRFIDデータRDの一部または全部に基づく文字等の画像など)が含まれている。図5にはラベル42の識別情報として星印が示されている。
【0045】
次にS32ではラベル作成装置14にラベル作成を指示する。すると、ラベル作成装置14は、表面に関係画像を形成し、RFIDタグ40にRFIDデータRDを書き込んだラベル42を作成し出力する(図5参照)。なお、関係画像データ及びRFIDデータRDは複合機12から送信されたものでも、ラベル作成装置14自身が記憶していたものであってもよい。
【0046】
関係画像は、ラベル42を貼り付けるべきシート70B、70Cとの対応関係を示す画像であり、例えば対応するシート70B、70Cの識別情報(頁番号、シリアル番号など)や、対応するシート70B、70Cに形成される原稿画像の縮小画像や簡略画像、原稿画像データのデータ名など)が例として挙げられる。また、対応するシート70B、70C上に形成される画像(文字・図形・記号)と同一または関連する画像であってもよい。図5にはシート70B、70Cに枠画像71内に形成された上記星印と同じ星印を関係画像としてラベル42に形成した例が示されている。
【0047】
CPU18は、S32の後にラベル利用処理を終了し、図3のS20に進む。S20では、上記レジストレーションローラ78,78の回動駆動を再開し、画像形成部30により、原稿画像データに基づき原稿画像をシート70B、70C上に形成し出力する。
【0048】
以上により、ユーザは、プリンタ1から原稿画像が形成済みのシート70B、70Cを取得し、ラベル作成装置14からRFIDデータ記憶済みのラベル42を取得する。そして、図5に示すように、シート70B、70Cの枠画像71内にラベル42を貼り付けることにより、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することができる。
【0049】
(3−2)データ書込可能シート利用処理(本発明でいう「記憶部付き画像形成媒体利用処理」の一例)
CPU18は、画像形成対象のシートが書込み可能RFIDシート70Aで有るとの肯定判断をした場合には(S14:YES)、S24でデータ書込可能シート利用処理を実行する。
【0050】
図6はデータ書込可能シート利用処理を示すフローチャートであり、図7、図8は、データ書込可能シート利用処理による、画像及びRFIDデータを有するシート70Dの作成の流れ図である。このデータ書込可能シート利用処理は、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74を利用して、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成するための処理である。
【0051】
CPU18は、まず図6のS40で、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74に、RFIDデータRDを全て記憶できる空き容量があるかどうかを判断する。RFIDデータRDを全て記憶できる空き容量が有ると判断した場合には(S40:YES)、S42で、シート用RFIDライタ38により、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74にRFIDデータRDを全て書き込んで本データ書込可能シート利用処理を終了し、図3のS20に進む。
【0052】
S20では、画像形成部30により、原稿画像データに基づき原稿画像をデータ書込み可能シート70A上に形成する。これにより、図7に示すように、データ書込み可能シート70Aから、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することができる。
【0053】
一方、RFIDデータRDを全て記憶できる空き容量が無いと判断した場合には(S40:NO)、RFID分割処理を実行する。RFID分割処理では、RFIDデータを分割し、RFIDデータの一部分を書込み可能RFIDシート70AのRFIDタグ74に書込み、RFIDデータの残り部分をRFIDタグ40に書き込んだラベル42をラベル作成装置14に作成させる。
【0054】
具体的には、CPU18は、S44でRFIDデータRDを、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74の空き容量内に収まる書込み可能部分Rと、収まらない書込み不能部分Dとに分割する。そして、S46でシート用RFIDライタ38により、RFIDデータの書込み可能部分Rを、書込み可能RFIDシート70AのRFIDタグ74に書き込む。
【0055】
次に、S48、S50では、RFIDデータRDの書込み不能部分Dについて上記ラベル利用処理と同様の処理を行う。具体的には、S48で画像形成部30により、原稿画像に上記組込み画像を、シート70Aに形成するためのデータ処理を行う。次にS50ではラベル作成装置14にラベル作成を指示する。すると、ラベル作成装置14は、表面に関係画像を形成し、RFIDタグ40にRFIDデータRDの書込み不能部分Dを書き込んだラベル42を作成し出力する(図8中段参照)。そして、本データ書込可能シート利用処理を終了し、図3のS20で、画像形成部30により、原稿画像データに基づき原稿画像をデータ書込み可能シート70A上に形成する。
【0056】
以上により、ユーザは、プリンタ1から、RFIDデータRDの書込み可能部分Rが書き込まれ原稿画像が形成済みのシート70Aを取得し、ラベル作成装置14から、RFIDタグ40にRFIDデータRDの書込み不能部分Dを書き込んだラベル42を取得する。そして、図8下段に示すように、シート70Aの枠画像71内にラベル42を貼り付けることにより、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することができる。
【0057】
4.本実施形態の効果
本実施形態によれば、画像形成対象のシート70が、データ書込み可能シート70Aである場合には、データ書込可能シート利用処理の実行により、シート70AのRFIDタグ74にRFIDデータRDを記憶し、シート70Aに原稿画像を形成する。これにより、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することができる。
【0058】
一方、画像形成対象のシート70が、データ書込み可能シート70Aでない場合には、ラベル利用処理の実行により、RFIDデータRDを記憶済のラベル42を作成し、シート70B、70Cに原稿画像を形成する。これにより、画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することができる。
従って、データ書込み可能シート70Aが無駄になることを抑制しつつ、当該データ書込み可能シート70Aが準備できない場合でも画像及びRFIDデータを有するシート70Dを作成することが可能である。
【0059】
ラベル利用処理では、原稿画像にラベル42の貼り付けを指示する枠画像71を組み込んだ組込み画像を、シート70B、70C上に形成する。このため、ユーザは、その枠画像71の有無に基づきラベル42を貼り付けるべきかどうかを視覚的に把握することができる。更に、枠画像71の形成位置に基づきラベル42をシート70B、70C上のどの位置に貼り付けるべきかを把握することができる。
【0060】
更に、枠画像71内には、ユーザ識別情報(ユーザID)、ラベル42の識別情報(例えばラベルシリアル番号、製造番号など)、RFIDデータRDの内容が形成される。従って、例えばシート70B、70Cに貼り付けるべきラベル42が無いときには、シート70B、70C上に形成されたユーザ識別情報等が、どのようなラベル42を貼り付ける予定であったかなどを追跡する手掛りになる。また、ユーザ識別情報等、他人に容易に開示すべきでない秘密情報がシート70B、70C上に形成されていれば、その秘密情報を隠すようにラベル42の貼り付けることをユーザに間接的に強制することができる。
【0061】
また、ラベル利用処理では、ラベル42を貼り付けるべきシート70B、70Cとの対応関係を示す関係画像(星印)をラベル42上に形成する(図5参照)。このため、例えば原稿画像形成済みのシート70B、70C及びラベル42を複数組作成した場合でも、上記関係画像から各ラベル42をどのシート70B、70Cに貼り付けるべきかを容易に把握することができる。
【0062】
画像形成対象のシートが、データ書込み可能シート70Aで無いとの否定判断をした場合に(S14:NO)、ユーザが操作部26にてラベル利用処理を実行するかどうかを選択する。このため、ラベル42を利用したくない場合にも柔軟に対応することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態では、複合機12とラベル作成装置14とを備えて構成された画像形成システム10を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限られない。例えばラベル作成機能を内蔵した画像形成装置であってもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、ラベル利用処理において、RFIDタグ付きのラベル42を作成しシート70に貼り付けたが、本発明はラベルのようなシール部材に限られない。例えば記憶部付きのステープル(ホッチキスの針)をシートに付加してもよい。要するに、記憶部付きでシートに付加可能な付加部材であればよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、データ書込・画像形成処理は、コピー機能が指示されることで実行されたが、本発明はこれに限られない。例えば複合機12が外部のコンピュータやファクシミリ装置(図示せず)とデータ通信可能に接続された構成において、コンピュータからの画像データやファクシミリ装置からのファクシミリデータを受信したことに基づきデータ書込・画像形成処理を実行するようにしてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、図3のS14において、シート用RFIDライタ38を利用して、画像形成対象のシート70が、データ書込可能シート70Aかどうかを判断したが、本発明はこれに限られない。例えばトレイ72にセットされるシートの種類を予め設定する構成では、その設定情報に基づき判断してもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、シート70がデータ書込み可能シート70Aかどうかを判断したが、本発明はこれに限られない。例えばデータ書込み可能で、且つ、RFIDデータRDを全て記憶可能な容量を有するRFID付きかどうかを判断するようにしてもよい。要するに、シート用RFIDライタ38によりRFIDデータRDの全部または一部を書込み可能な有効RFIDタグ付きかどうかを判断する構成であればよい。更に、シート70のサイズエラーなど画像形成条件に対するエラーの有無も含めて判断してもよい。
【0068】
(6)上記実施形態では、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74に、全RFIDデータRDを記憶できる空き容量が無いと判断した場合には(S30:NO)、RFIDデータRDの書込み可能部分RをRFIDタグ74に書き込む、RFID分割処理を実行したが、本発明はこれに限られない。例えば、データ書込み可能シート70AのRFIDタグ74には書き込まずに、全RFIDデータをRFIDタグ40に書き込んだラベル42をラベル作成装置14に作成させてもよい。
【0069】
(7)上記実施形態では、ラベル利用処理において1枚のラベル42を作成する例を説明したが、本発明はこれに限られず、例えばRFIDデータRDのデータ量に対して各ラベル42の記憶容量が小さいときには複数のラベル42を作成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図
【図2】複合機の内部構成の概要図
【図3】データ書込・画像形成処理を示すフローチャート
【図4】ラベル利用処理を示すフローチャート
【図5】画像及びRFIDデータを有するシートの作成の流れ図(ラベル利用処理)
【図6】データ書込可能シート利用処理を示すフローチャート
【図7】画像及びRFIDデータを有するシート70Dの作成の流れ図(データ書込可能シート利用処理)
【図8】画像及びRFIDデータを有するシート70Dの作成の流れ図(データ書込可能シート利用処理・RFID分割処理)
【符号の説明】
【0071】
10...画像形成システム
12...複合機(画像形成装置)
14...ラベル作成装置(作成部、作成装置)
18...CPU(判断部、制御部、選択部)
26...操作部(選択部)
30...画像形成部
38...シート用RFIDライタ(データ書込部)
42...ラベル(付加部材、シール部材)
46...画像形成ヘッド(関係画像形成部)
70...シート(画像形成媒体)
71...枠画像(指示画像)
74...RFIDタグ(記憶部)
RD...RFIDデータ(データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、
データ書込部と、
前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、
データが記憶された記憶部付きで且つ画像形成媒体に付加可能な付加部材を、作成する作成部と、
前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記付加部材はシール部材であり、
前記画像形成部は、前記付加部材利用処理において、前記シール部材の貼り付けを指示する指示画像を含んだ画像を、前記有効記憶部無し画像形成媒体に形成する。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成システムであって、
前記指示画像には、ユーザ識別情報、前記シール部材の識別情報、前記データの内容、画像形成部の識別情報のうち少なくともいずれか1つを示す画像が含まれる。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記付加部材はシール部材であり、
前記シール部材上に、当該シール部材を貼り付けるべき画像形成媒体との対応関係を示す関係画像を形成する関係画像形成部を備える。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記判断部が否定判断をする場合に、前記付加部材利用処理を実行するかどうかを選択する選択部を備える。
【請求項6】
画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、
データ書込部と、
前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、
データが記憶された記憶部付きで且つ画像形成媒体に付加可能な付加部材を、作成する作成部と、
前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項7】
データが記憶された記憶部付きの付加部材を作成する作成装置と通信可能な画像形成装置であって、
画像形成媒体に画像を形成する画像形成部と、
データ書込部と、
前記画像形成部の画像形成対象とされる画像形成媒体が、前記データ書込部によりデータを書込み可能な有効記憶部付きか否かを判断する判断部と、
前記判断部が肯定判断をする場合に、有効記憶部付き画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成及び前記データ書込部によるデータ書込を行う記憶部付き画像形成媒体利用処理を実行し、前記判断部が否定判断をする場合に、有効記憶部無し画像形成媒体に前記画像形成部による画像形成を行い、前記作成部による作成動作を行う付加部材利用処理を実行する制御部と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−154032(P2010−154032A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327824(P2008−327824)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】