説明

画像形成システム

【課題】画像形成装置側の文書ボックス情報の変化に自動的に対処可能にするとともに、管理装置で各画像形成装置の文書ボックス使用状況を把握できるようにする。
【解決手段】画像形成装置でのボックス情報更新時(S0)にその内容を含むボックス情報が管理装置20に送信される(S1)。PC10でのボックス情報表示前処理としてPC10から管理装置20へボックス情報要求が行われ(S10)、その際に、管理装置20で要求元と要求先のボックス情報ファイルのタイムスタンプが比較され、その結果に基づいて返信される。PC10は、ボックス情報ファイルを受信すると(S14)、これで現ファイルを上書きし(S15)、その内容に基づいてボックス情報を表示させる(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に格納されているプリンタドライバのGUI画面で、画像形成装置の補助記憶装置に作成されている文書ボックスを選択して、これに印刷ジョブファイル又はこれに関係したファイルを保存させる機能を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成システムでは、従来、プリンタドライバのUI画面で、画像形成装置側の文書ボックス名を手操作で入力していたので、画像形成装置側の文書ボックスの追加、削除、名前変更などに対応した処理をユーザが手操作で行わなければならず、誤入力により両文書ボックス名が不一致となる虞があった。
【0003】
下記特許文献1には、画像形成装置のハードディスクに、個人又はグループで使用する文書ボックス(フォルダ)を作成し、画像形成装置に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)のドライバにより表示されるUI画面で、画像形成装置内のボックスを表示させ、選択されたボックスに印刷データを保存させるように指定し、この指定ファイルを画像形成装置に送信させるものが開示されている。
【0004】
一方、下記特許文献2には、ユーザが自己のIDとパスワードをPCから仲介サーバへ送信し、仲介サーバがクライアントとして各画像形成装置にこのIDとパスワードを送信して、このユーザがアクセス権を有するボックス情報をHTMLファイルとして取得し、複数の画像形成装置から受信したボックス情報をまとめて1つのHTMLファイルを作成し、このPCへ返信する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−067560号公報
【特許文献2】特開2006−135890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、ネットワーク経由で文書ボックス情報をPCが獲得してプリンタドライバに反映させることが開示されているが、どこからどのタイミングでこの処理を行うのかについて具体的な開示がない。
【0006】
また、引用文献2には、ボックス情報とプリンタドライバとの関係が全く開示されていない。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、画像形成装置側の文書ボックス情報の変化に自動的に対処できるとともに、管理装置で各画像形成装置の文書ボックス使用状況を把握できる画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様では、管理装置と、補助記憶装置を備えた画像形成装置と、複数の情報処理装置とがネットワークに結合された画像形成システムにおいて、
該管理装置は、該補助記憶装置に作成されている文書ボックスのパスを含むボックス情報を該画像形成装置から該ネットワークを介して取得し、該複数の情報処理装置のそれぞれに、該情報を直接又は所定の形式に変更して送信し、
該複数の情報処理装置はそれぞれ、受信したボックス情報を、該画像形成装置に対応したプリンタドライバが読み込めるようにする。
【0009】
本発明による画像形成システムの第2態様では、第1態様において、該画像形成装置は、該ボックス情報を該管理装置へ送信した後、該補助記憶装置内において文書ボックスが追加され削除され又はその名前が変更されたことに応答して、その編集内容を含むボックス情報を該管理装置に送信する。
【0010】
本発明による画像形成システムの第3態様では、第2態様において、該管理装置は、該画像形成装置からの要求に応答して、該画像形成装置に対応したボックス情報を該画像形成装置へ返信する。
【0011】
本発明による画像形成システムの第4態様では、第3態様において、該複数の情報処理装置はいずれも、該画像形成装置に対応したプリンタドライバの機能によるボックス情報の表示の前処理として、該管理装置にボックス情報を要求し、その応答として該管理装置からボックス情報を受信した後に、該ボックス情報で現ボックス情報を更新し、更新されたボックス情報に基づいてその内容を表示させる。
【0012】
本発明による画像形成システムの第5態様では、第4態様において、該複数の情報処理装置はいずれも、該管理装置にボックス情報を要求する際に現ボックス情報のファイルのタイムスタンプを該管理装置に送信し、
該管理装置は、この要求に応答して、受信したタイムスタンプを、保有しているボックス情報のそれと比較し、両者が等しければ、ボックス情報を返信しない。
【発明の効果】
【0013】
上記第1態様の構成によれば、該複数の情報処理装置がそれぞれ、該画像形成装置から該管理装置を介し該画像形成装置のボックス情報を自動受信して、該画像形成装置に対応したプリンタドライバが読み込めるようにするので、画像形成装置側の文書ボックス情報の変化に自動的に対処できるとともに、管理装置で各画像形成装置の文書ボックス使用状況を把握できるという効果を奏する。
【0014】
上記第2態様の構成によれば、該画像形成装置でのボックス情報更新時にその内容を含むボックス情報が該管理装置に送信されるので、該管理装置で定期的に確認することなく、そのボックス情報を最新のものにすることができるという効果を奏する。
【0015】
上記第3態様の構成によれば、該管理装置は該画像形成装置から要求があった場合のみ、すなわち必要時のみ、ボックス情報を該画像形成装置へ返信すればよいという効果を奏する。
【0016】
上記第4態様の構成によれば、該情報処理装置でのボックス情報表示前処理として該要求が行われるので、該要求を必要最小限にするとともにボックス情報を最新のものにすることができるという効果を奏する。
【0017】
上記第5態様の構成によれば、該要求の際に要求元と要求先のボックス情報ファイルのタイムスタンプが比較され、その結果に基づいて返信されるので、該要求に対し無駄な応答が行われないという効果を奏する。
【0018】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0019】
図3は、本発明の実施例1に係る画像形成システムの概略図である。
【0020】
このシステムでは、ローカルなネットワークNWに、情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)10、管理装置20、画像形成装置30及び画像形成装置40が結合されている。図3では、簡単化のために、ネットワークNWにPC及び画像形成装置がそれぞれ1台及び2台のみ結合されている場合を示している。管理装置20は、ネットワークNWに結合された複数台の画像形成装置を一元管理するためのものである。
【0021】
図4は、主に図3中のPC10のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0022】
PC10は、通常のコンピュータシステムであり、CPU11に、インターフェイス12を介してPROM13、DRAM14、ハードディスクドライブ15、ネットワークインターフェイスカード16、入力装置17及び表示装置18が結合されている。ブロック12は、複数のインターフェイスをまとめて示す。ネットワークインターフェイスカード16は、ネットワークNWに結合されている。
【0023】
PROM13には、BIOS及びこれに関する設定値が格納されている。DRAM14は、仮想記憶方式における主記憶装置として用いられる。
【0024】
ハードディスクドライブ15には、OS(Operating System)、例えばWindows(登録商標)と、通信ドライバと、画像形成装置30及び40を選択的に利用するためのプリンタドライバと、アプリケーションと、これらに関係したデータとが格納される。このデータには、管理装置20から受信した後述のボックス情報ファイル301B及び401Bが含まれる。
【0025】
入力装置27及び表示装置28は会話型入出力装置として用いられ、入力装置27はキーボードとポインティンデバイスとを備えている。
【0026】
管理装置20は、ハードウェアとしてはPC10と同様に構成され、そのハードディスクドライブには、OSと、通信ドライバと、画像形成装置管理アプリケーションと、これらに関係したデータとが格納される。このデータには、画像形成装置30及び40から受信したボックス情報ファイル301A及び401Aが含まれる。
【0027】
画像形成装置30及び40はいずれも、ユーザによるその操作パネルの操作に応答して、そのハードディスクに、文書ファイル格納用のボックス(フォルダ)を作成し、作成したものを削除し又はその名前を変更するという編集を行うことができる。
【0028】
図1(A)は、画像形成装置30又は画像形成装置40でのボックスの編集及びその後処理を示す部分フローチャートである。
【0029】
ステップS0でこのようなボックスの編集が行われると、次にステップS1において、そのハードディスクに作成されているボックスのパスを含むボックス情報ファイルがその画像形成装置の名前とともに管理装置20へ送信される。この送信は、例えばHTTPプロトコル又はFTPプロトコルにより行われる。
【0030】
管理装置20は、このボックス情報ファイルを受信すると、このファイルに、送信元の装置名とボックス情報であることを示す識別コードとを含む名前、例えばMFP2_BoxInfo.txtを付けて、所定のフォルダに格納させる。
【0031】
なお、管理装置20は、受信したボックス情報301又は401をXML形式又はCSV形式に変換してボックス情報ファイル301A又は401Aとしてもよい。画像形成装置から管理装置20へ送信されるボックス情報は、編集された部分のみの情報であってもよく、この場合、管理装置20において、そのハードディスクに格納されているこの装置のボックス情報ファイル301A又は401Aを読み出して、この編集をボックス情報ファイル301A又は401Aに反映させる。
【0032】
図4は、画像形成装置30及び40のハードディスクに作成されている情報がそれぞれボックス情報ファイル301及び401として抽出され、管理装置20によりそのまま又は加工された後に、そのハードディスクにそれぞれボックス情報ファイル301A及び401Aとして格納されることを概念的に示している。
【0033】
PC10において、アプリケーションプログラムで文書を作成し、そのファイルメニューの印刷項目をクリックして印刷ダイヤルボックスを表示装置18に表示させ、画像形成装置30又は画像形成装置40を選択して、文書を印刷し、又は/及び、画像形成装置30又は画像形成装置40のハードディスクドライブに作成されているボックスを選択して印刷ジョブファイル又はビットマップ展開後の画像データファイルを格納する。ボックスの選択は、PC10において図2に示すような印刷ダイヤルボックスのBOXタブをポインティングデバイスでクリックした後に行われる。
【0034】
このクリックにより、ボックスタブクリックイベントハンドラの動作が開始される。図1(B)は、このイベントハンドラの動作を示すフローチャートである。以下、括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0035】
ここで、図2の印刷ダイヤルボックスは、画像形成装置40と対応付けられており、その属性として、画像形成装置名MFP2と、この装置に対応したボックス情報ファイル名MFP2_BoxInfo.txtとを有するものとする。
【0036】
(S10)PC10は、ボックス情報ファイル要求であることを示す情報と、ボックス情報ファイル401Bの名前と、PC10でのこのファイルのタイムスタンプとを管理装置20に送信する。これらの情報は、例えば、HTTPリクエストメッセージにおけるリクエストURIで/BoxInfo.cgi?FileName=MFP2_BoxInfo.txt&DateTime=20080324103228と表される。
【0037】
管理装置20では、このファイルタイムスタンプを、自身のハードディスクに格納されているボックス情報ファイル401Aのそれと比較し、受信したファイルタイムスタンプの方が古ければ、ボックス情報ファイル401A(更新ファイル)を、受信したファイル名"MFP2_BoxInfo.txt"とともにPC10へ返信し、そうでなければ、ファイルの更新が不要であることを示す情報をPC10へ返信する。
【0038】
(S11)ボックスタブのシートを表示させる処理を行う。
【0039】
(S12)S10での要求に対する応答待ちであればS13へ進み、応答があればS14へ進む。
【0040】
(S13、S17)予め設定されたタイムアウト時間を越えていなければS12へ戻り、超えていればタイムアウトであることを示す情報をポップアップ表示させ、S16へ進む。
【0041】
(S14)管理装置20から更新ファイルを受け取った場合にはS15へ進み、そうでなければS16へ進む。
【0042】
(S15)自己の対応するファイル401Bを更新ファイルで上書きする。
【0043】
(S16)ボックス情報ファイル401Bの内容に基づいてボックス情報をボックスタブのシートにグラフィック表示させる。
【0044】
このシート上のボックスアイコンをポインティングデバイスでクリックすると、そのアイコンが図示のように反転表示されて選択状態となる。
【0045】
次に設定タブをポインティングデバイスでクリックすると、そのシート上に、選択したボックスの名前が表示され、不図示の印刷実行ボタンをポインティングデバイスでクリックすると、文書ファイルが、OSのGDIを介してプリンタドライバへ供給され、プリンタドライバにより、画像形成装置40が解釈可能なPDLデータに変換され、これに、プリンタドライバにより表示される印刷ダイアログボックスで設定された情報が付加され、ジョブデータとして画像形成装置30に送信される。
【0046】
画像形成装置30は、このジョブデータに、ボックスへの格納指示情報が含まれていれば、前記パスで指定されたボックスにジョブデータ又はビットマップ展開した後の画像データをファイルとして格納する。
【0047】
管理装置20は、その入力装置27からの指示入力に応答して、画像形成装置30及び40のボックス情報ファイル301及び401の内容及び更新履歴をその表示装置28に表示させる。
【0048】
本実施例1によれば、PC10が画像形成装置30又は40から管理装置20を介し画像形成装置30又は40のボックス情報を自動受信して、これを、画像形成装置に対応したプリンタドライバが読み込めるようにするので、画像形成装置側の文書ボックス情報の変化に自動的に対処できるとともに、管理装置20で各画像形成装置の文書ボックス使用状況を把握できるという効果を奏する。
【0049】
また画像形成装置30又は40でのボックス情報更新時にその内容を含むボックス情報が管理装置20に送信されるので、管理装置20で定期的に確認することなく、そのボックス情報を最新のものにすることができるという効果を奏する。
【0050】
さらに、管理装置20は画像形成装置30又は40から要求があった場合のみ、すなわち必要時のみ、ボックス情報を受信すればよいという効果を奏する。
【0051】
また、PC10でのボックス情報表示前処理として該要求が行われるので、該要求を必要最小限にするとともにボックス情報を最新のものにすることができるという効果を奏する。
【0052】
さらにまた、該要求の際に要求元と要求先のボックス情報ファイルのタイムスタンプが比較され、その結果に基づいて返信されるので、該要求に対し無駄な応答が行われないという効果を奏する。
【0053】
以上においては、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、各構成要素の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。
【0054】
例えば、管理装置20によるボックス情報の取得は、画像形成装置30及び40に対し定期的にボックス情報ファイル301A及び401Aのタイムスタンプとともに更新ファイルの要求を行い、画像形成装置30及び40がそのタイムスタンプを、自身が保有するボックス情報のそれと比較し、その結果に基づいてをボックス情報ファイルを返信する構成であってもよい。
【0055】
また、補助記憶装置はハードディスクドライブに限定されず、USBフラッシュメモリであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(A)は、画像形成装置でのボックスの編集及びその後処理を示す部分フローチャートであり、(B)は、PCにおいて印刷ダイヤルボックスのBOXタブをポインティングデバイスでクリックしたことに応答して開始されるボックス情報更新・表示処理を示すフローチャートである。
【図2】PCにおいてアプリケーションプログラムで文書を作成しそのファイルメニューの印刷項目をクリックしBOXタブをクリックして表示される印刷ダイヤルボックスを示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像形成システムの概略図である。
【図4】主に図3中のPC10のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
10 PC
20 管理装置
30、40 画像形成装置
301、401 ボックス情報ファイル
11 CPU
12 インターフェイス
13 PROM
14 DRAM
15 ハードディスクドライブ
16 ネットワークインターフェイスカード
17、27 入力装置
18、28 表示装置
NW ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、補助記憶装置を備えた画像形成装置と、複数の情報処理装置とがネットワークに結合された画像形成システムにおいて、
該管理装置は、該補助記憶装置に作成されている文書ボックスのパスを含むボックス情報を該画像形成装置から該ネットワークを介して取得し、該複数の情報処理装置のそれぞれに、該情報を直接又は所定の形式に変更して送信し、
該複数の情報処理装置はそれぞれ、受信したボックス情報を、該画像形成装置に対応したプリンタドライバが読み込めるようにする、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
該画像形成装置は、該ボックス情報を該管理装置へ送信した後、該補助記憶装置内において文書ボックスが追加され削除され又はその名前が変更されたことに応答して、その編集内容を含むボックス情報を該管理装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
該管理装置は、該画像形成装置からの要求に応答して、該画像形成装置に対応したボックス情報を該画像形成装置へ返信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
該複数の情報処理装置はいずれも、該画像形成装置に対応したプリンタドライバの機能によるボックス情報の表示の前処理として、該管理装置にボックス情報を要求し、その応答として該管理装置からボックス情報を受信した後に、該ボックス情報で現ボックス情報を更新し、更新されたボックス情報に基づいてその内容を表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
該複数の情報処理装置はいずれも、該管理装置にボックス情報を要求する際に現ボックス情報のファイルのタイムスタンプを該管理装置に送信し、
該管理装置は、この要求に応答して、受信したタイムスタンプを、保有しているボックス情報のそれと比較し、両者が等しければ、ボックス情報を返信しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−282588(P2009−282588A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131469(P2008−131469)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】