説明

画像形成システム

【課題】通常の給紙トレイのみならず搬送経路付き給紙トレイに対しても、的確に用紙の補給時期をオペレータに知らせることのできる画像形成システムを提供すること。
【解決手段】搬送経路付き給紙トレイを含めた前記複数の給紙トレイについて、受け付けた複数のジョブの情報からそれぞれのジョブに使用する用紙を収納する給紙トレイごとの画像形成実行時間を演算し、当該画像形成実行時間と給紙トレイに用紙補給するに必要な時間とを比較して、用紙補給が必要となる給紙トレイについて当該給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算し、この時間帯情報に基づいて、用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示する画像形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、特には複数の給紙トレイを用いて画像形成を行う画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置や印刷装置を含む画像形成システムは、近年大いに発達し、オペレータが装置に原稿をセットして複写を行う形態のみならず、離れたところにあるパソコンなどからの電子データと一連のプリント情報を受け取ってプリントを行ったり、遠隔地からのFAXデータとFAX情報を受け取ってプリントしたりするようになっている。
【0003】
画像形成システムが受け取るプリント情報やFAX情報は、印字する用紙のサイズや種類、印字枚数、印字部数、後処理の設定情報、カラーかモノクロかの色情報などが含まれる。
【0004】
このような画像形成システムを管理する管理プログラムも、各種情報を含む多くのジョブを受け取ってその進行を自動的に管理するように様々な工夫がされてきた。
【0005】
しかしながら、画像形成システムにおいて、画像を形成するための用紙は、不足するとオペレータの手により補給されねばならない。プロダクションプリント分野や企業のプリンティングステーションなどでは、特にこのような用紙の不足でシステムがダウンするダウンタイムを発生させないようにすることが重要な課題となっている。
【0006】
このような用紙の不足を知らせるため、従来の画像形成システムには、その操作パネルなどに用紙の残量表示や補給時期が近くに到来する予告情報などを表示するものがある。
【0007】
特許文献1は、複数のジョブ(使用される用紙)と時間軸とのマトリックスでジョブの進行状況を表示して、オペレータがジョブの進行を概観できるようにし、進行中ジョブの終了時期や用紙の不足時期がいつごろ到来するかなどを視覚的に捉えることができる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−348713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プロダクションプリント分野などでは大量部数の出力や表紙用に別の紙種を用いるなど、多種多様な要求に応えるため、様々なサイズや紙種の用紙を大量に収容できる多段給紙装置を接続している場合が多い。このような多段給紙装置は、複数の給紙トレイを有するが、これらの給紙トレイは用紙補給のため、個別に引出せるように構成されている。
【0010】
また、画像形成システムには、ユーザーの要求に応じた数の給紙トレイをそろえるため、複数の多段給紙装置を連結して用いるように構成されているものがある。例えば、1つの多段給紙装置に3つの給紙トレイを有する場合、多段給紙装置を2つ連結すれば6つの給紙トレイを使えるわけである。
【0011】
複数の多段給紙装置を直列に連結させた場合、上流の多段給紙装置からの用紙は、下流の多段給紙装置の中を通って画像形成装置に供給されるが、その搬送経路は、下流の多段給紙装置の給紙トレイに設けられ、この給紙トレイと一体的に引出される構成が考えられる。すなわち、当該給紙トレイへの用紙補給のためと、搬送経路でジャムが生じた場合の処理のための引出しを兼用しているのである。
【0012】
ところが、このような上流からの用紙の搬送経路と一体の給紙トレイが用紙不足になったとき、用紙補給のために直ちに引出せるわけでは無い。すなわち、上流の多段給紙装置から用紙を供給している場合は、その給紙トレイの搬送経路を通って用紙が搬送されており、不用意に引出すとジャムを引き起こすことになるからである。
【0013】
このような事情は、外部接続の多段給紙装置のみならず、画像形成装置に内蔵される複数の給紙トレイで搬送経路と一体的に引出す構造の場合においても同様である。
【0014】
ところで、給紙トレイに用紙を補給するには、ある程度の時間を要する。すなわち、用紙保管場所から用紙を運び、給紙トレイを開けて用紙を補給せねばならず、1000枚程度の給紙トレイの場合、数分の時間が必要である。
【0015】
このように画像形成システムにおける用紙補給については、考慮すべき様々な要因があるが、ジョブを中断すること無く用紙を補給できる時期をいかにオペレータに的確に知らせるかが重要となる。
【0016】
特許文献1などの従来の構成では、用紙の不足時期がいつ到来するかは分かるが、上記のような事情は考慮されておらず、上流の用紙を搬送する搬送経路と一体的に引出す搬送経路付き給紙トレイを用紙補給所要時間も考慮していつの時点で引出せるかを的確にオペレータに報知することはできなかった。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決し、通常の給紙トレイのみならず搬送経路付き給紙トレイに対しても、それぞれの給紙トレイへの用紙補給に必要な時間を考慮して、的確に用紙の補給可能時期をオペレータに知らせることのできる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は、次の本発明により達成される。すなわち、
1.用紙を収容する複数の給紙トレイを有し、そのうちの少なくとも一つの給紙トレイは、他の給紙トレイから搬送される用紙の搬送経路の一部と一体的に構成され、用紙補給時に該搬送経路ごと引出せるように構成される搬送経路付き給紙トレイであり、前記複数の給紙トレイから給紙される用紙に画像を形成する画像形成システムであって、
画像形成システムで実行される複数のジョブを受付け、ジョブ情報を取得するジョブ受付部と、
前記搬送経路付き給紙トレイを含めた前記複数の給紙トレイについて、各給紙トレイに用紙を補給するに必要な用紙補給所要時間を記憶する記憶部と、
前記ジョブ受付部が取得したジョブ情報から、それぞれのジョブに使用する用紙を収納する給紙トレイから給紙が行われるごとの給紙実行時間を演算し、当該給紙実行時間と前記用紙補給所要時間とを比較して、用紙補給が必要となる給紙トレイについて当該給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算する演算部と、
前記演算部で演算された時間帯に基づいて、用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示する表示部と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【0019】
さらに具体的には、
2.前記記憶部に記憶される用紙補給所要時間は、給紙トレイごとに任意に設定できるよう構成されることを特徴とする前記1に記載の画像形成システム。
3.前記表示部は、受け付けたジョブに対し各給紙トレイの使用状況を表示する表示画面を有し、当該表示画面で用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示することを特徴とする前記1または2に記載の画像形成システム。
4.前記表示部は、受け付けたジョブの実行予定を表示する表示画面を有し、当該表示画面で用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示することを特徴とする前記1または2に記載の画像形成システム。
5.前記演算部は、用紙補給が必要となる給紙トレイ上の用紙がエンプティになる時間に基づき、それ以前の時点で給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算することを特徴とする前記1から4のいずれか1に記載の画像形成システム。
6.前記演算部は、用紙補給が必要となる給紙トレイ上の用紙が所定枚数以下になる時間に基づき、それ以前の時点で給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算することを特徴とする前記1から4のいずれか1に記載の画像形成システム。
7.前記所定枚数は、給紙トレイごとに任意に設定できるよう構成されることを特徴とする前記6に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搬送経路付き給紙トレイを含む各給紙トレイについて、用紙補給が必要となった給紙トレイをいつの時間帯で給紙位置から引出して用紙補給が完了できるかを表示することできるので、オペレータは的確に用紙補給を行うことができ、ダウンタイムを生じる恐れが無いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用する画像形成システムの構成を示す断面図。
【図2】上記画像形成システムの制御構成を示すブロック図。
【図3】本発明を操作パネルの画面によって説明する模式図。
【図4】本発明を操作パネルの画面によって説明する模式図。
【図5】本発明を操作パネルの画面によって説明する模式図。
【図6】本発明の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明を適用する画像形成システムの構成を示す断面図である。この画像形成システムは、画像形成装置GSと、その上部に載置された自動原稿搬送装置ADFと、直列に2連接続された多段給紙装置PFU1、PFU2とを有する。また、画像形成装置GSの上面には、支軸より回動可能の操作パネルOPが設けられている。操作パネルOPの上部はタッチパネル方式の液晶ディスプレイLCDが、下部にはテンキーなどの各種入力ボタンが配置されている。図示した画像形成装置GSは、タンデム方式のカラー複写装置であるが、他の方式のカラー複写装置やモノクロ複写装置にも本発明を適用できることは勿論である。
【0023】
画像形成装置GSは、その中央に縦長に巻回された中間転写ベルト1を有し、この中間転写ベルト1の右側にイエロー作像ユニット2Y、マゼンタ作像ユニット2M、シアン作像ユニット2C、ブラック作像ユニット2Kが上から順に配置されている。
【0024】
各作像ユニットの構成は同一であるので、イエロー作像ユニット2Yのみ説明するに、ユニットの左端に感光体ドラム3Yが中間転写ベルト1に接するよう配置されており、この感光体ドラム3Yの廻りに反時計方向に、帯電装置4Y、レーザー書込み装置5Y、現像装置6Y、一次転写ローラ7Y(中間転写ベルト1の裏側)、及びクリーニング装置8Yが順次配置されている。以降の説明で、各装置のY、M、C、Kを取った部品番号は各色共通の説明である。
【0025】
自動原稿搬送装置ADFと中間転写ベルト1の間には、画像読取部IRが配置され、自動原稿搬送装置ADFで読取位置に給送された原稿の画像、或いは原稿ガラス上に置かれた原稿の画像を画像読取部IRが読取ってレーザー書込み装置5に供給する。
【0026】
感光体ドラム3は、帯電装置4で一様帯電された後、レーザー書込み装置5で画像を書き込まれ、感光体ドラム3上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置6でトナー像とされ、一次転写ローラ7によって中間転写ベルト1に転写される。
【0027】
各色のトナー像が中間転写ベルト1上で重ね合わされると、このトナー像は、二次転写ローラ9により給紙装置10のいずれかの給紙トレイ10a、10b、10c、或いは後述する多段給紙装置PFU1、PFU2のいずれかの給紙トレイから給紙された用紙に転写される。転写後の中間転写ベルト1はベルトクリーニング装置11により清掃される。
【0028】
用紙に転写されたトナー像は、定着装置12により定着される。定着装置12の下流には、搬送路切換部材13が設けられ、用紙を排紙トレイ20に送るか、下方に搬送して両面搬送路に送るかの切換を行う。両面搬送路に送られた用紙は、再度転写位置に送られ裏面に画像が形成される。
【0029】
多段給紙装置PFU1は、複数の給紙トレイ30、40、50を有しており、各給紙トレイ30、40、50はそれぞれ昇降可能な用紙載置台31、41、51を有し、この用紙載置台31、41、51上に用紙Sを収納している。載置される用紙Sの上方には給紙ローラ32、42、52が設けられ、用紙Sを1枚ずつ供給する。送り出された用紙Sは給紙トレイ横に縦に配置される搬送路を経て、搬出ローラ95を通り、多段給紙装置PFU1から送り出される。
【0030】
各給紙トレイ30、40、50は、図示しないアキュライドレールにより図の手前方向に引出し可能に構成されている。また、用紙載置台31、41、51の側方にはセンサSEが配置されており、用紙載置台31、41、51の高さを検出する。用紙載置台31、41、51の高さと収容される用紙の坪量(厚み)から用紙の残量が算出できる。
【0031】
給紙トレイ30、40、50のうち、給紙トレイ40が搬送路付き給紙トレイである。この搬送路90は、給紙トレイ40の用紙載置台41の下に設けられており、搬送ローラ91、92、93、94、及び図示しない搬送ガイドからなる。
【0032】
多段給紙装置PFU2も同様の構成であるので、同一の部品番号にダッシュ「′」を付して構成の説明は省略するが、多段給紙装置PFU2の給紙トレイからの用紙Sは、多段給紙装置PFU1の給紙トレイ40の下の搬送路90を通って搬出ローラ95に搬送され、画像形成装置GSに供給される。
【0033】
図2は本発明の画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。図2では画像データの処理を中心に記載し、シーケンス制御などの構成は簡略化して示している。
【0034】
図2において、画像形成装置GSは、画像処理制御部100、プリンタ制御部110、スキャナ制御部120、操作パネル制御部130を有し、各制御部は、画像形成装置GSに接続されるADF制御部140、PFU1制御部150、PFU2制御部160と点線で示すシリアル通信回線で接続されて画像形成システムを構成している。なお、図2においては、画像処理制御部100のみCPU(画像制御CPU)やプログラムを格納するメモリを示したが、上記の各制御部も夫々図示しないCPUやメモリを有し、これらがシリアル通信回線を通じて連携しながらシーケンス制御を行う。
【0035】
また、図の200は、画像形成装置GSに接続されるプリンタコントローラであり、外部のコンピュータPCとLAN回線で結ばれ、コンピュータPCからのプリントデータを受け取り、画像処理を行う。プリンタコントローラ200は、本体に対し外付けでも内部に基板として設置されてもよい。
【0036】
コンピュータPCで作成されるプリントデータは、PS、PCLなどのページ記述言語で記述されるので、プリンタコントローラ200は、このプリントデータを解析し、ビットマップデータに変換する機能を有する。また、プリンタコントローラ200は、スクリーン処理など画像を調整する処理、文字データの内蔵フォントへの変換などを実行する。このような処理は、コントローラ制御CPUの制御の下に、DRAM制御IC1がDRAMをメモリとして実行される。なお、ハードディスクHDD1はデータを一時保存するメモリである。
【0037】
プリンタコントローラ200のDRAM制御IC1は、画像処理制御部100のDRAM制御IC2とPCIバス(太線で示す)で接続され、変換された画像データ及びコンピュータPCのプリンタドライバで設定された各種情報を転送する。
【0038】
画像処理制御部100の画像制御CPUの制御の下に、DRAM制御IC2は、受け取ったデータをバッファとしてのページメモリに一旦保存し、圧縮ICに送ってデータを圧縮した上で、DRAMの圧縮メモリに保存する。
【0039】
圧縮メモリのデータは、各ジョブの制御シーケンスに従って伸張ICに送られて伸張され、書込み処理部を経て画像書込み用のレーザーダイオードLDに供給される。
【0040】
一方、画像読取部IRのCCDで読取られた原稿の画像データは、読取り処理部、圧縮ICを経て、同様に圧縮メモリに保存され、プリントデータと同様に伸張IC、書込み処理部からレーザーダイオードLDに供給される。原稿を画像読取部IRで読取る場合の各種設定情報は操作パネルOPから入力され、パネル制御部130から転送される。なお、図において細実線は、各構成部品、回路を結ぶデータの転送ラインである。
【0041】
このように、コンピュータPCからのプリント画像データ、或いは原稿を読取った原稿画像データは、各種処理を受け圧縮伸張されて、最終的にレーザーダイオードLDによって感光体3上に書き込まれる。また、コンピュータPCや操作パネルOPから入力される各ジョブの情報は、ハードディスクHDD2に保存され、点線のシリアル通信回線によってシーケンス制御情報とともに各部の制御部に送られる。これらのジョブ情報は、ジョブ単位で送られ、少なくとも、使用する用紙の情報(サイズ、坪量、紙種など)、画像の枚数、プリント部数などの情報を含んでいる。
【0042】
また、多段給紙装置PFU1、PFU2の各給紙トレイに収容される用紙の設定情報(サイズ、坪量、紙種など)は、操作パネルOPからあらかじめ入力され、HDD2に保存されている。また、PFU1制御部150、PFU2制御部160からは、各給紙トレイのセンサ信号に基づいて用紙残量の情報が画像処理制御部100に送られ、後述する制御に用いられる。
【0043】
本発明は、搬送経路付き給紙トレイを含む各給紙トレイについて、用紙補給が必要となった給紙トレイをいつの時点で給紙位置から引出して用紙補給を完了できるかを表示するものである。この表示の態様の第1実施形態として、給紙トレイごとの用紙使用状況と用紙の不足時期の到来を示すスケジュール画面の説明を図3で行う。
【0044】
図3は、タッチパネル方式の操作パネルOPの画面であり、一番上のコラム200は表示する画面を選択する欄である。ここでは、4つの画面「機械状態」「ジョブリスト」「コピー」「スキャン」のうち、網掛けで表示される「ジョブリスト」が選択されている。
【0045】
コラム200の下は、情報表示欄201である。この欄の左側には画面の操作に関する情報が表示され、右側には、現在ジョブを「出力中」であるという装置の状態と、処理の完了した部数及び枚数の情報が表示されている。
【0046】
次のコラム202は、ジョブリスト画面の中のさらに下位展開した画面を選択する部分である。ここでは、「出力予約ジョブ」「スケジュール」「出力履歴」「送信履歴」「未出力履歴」の5つのタブのうち、「スケジュール」タブが選択され、網掛け表示されている。
【0047】
さらに下のコラム203が、各給紙トレイの使用状況と用紙不足を表示する画面で、最上段に時間軸が表示され、その下に9つの表示行が、給紙トレイごとに設けられている。各表示行の一番左の番号が給紙トレイの番号を示し、図1の画像形成システムでは、番号1〜3が給紙装置10の3つの給紙トレイ10a、10b、10cに、番号4〜6が多段給紙装置PFU1の給紙トレイ30、40、50に、番号7〜9が多段給紙装置PFU2の給紙トレイ30′、40′、50′に対応する。給紙トレイの番号の右に各トレイに収容される用紙の情報(サイズ、縦横の区別、坪量、用紙の種類、用紙残量を概略示す絵表示)が表示されている。なお、最下段の「*該当用紙無し」の欄は、受け付けたジョブに用いる用紙が無い場合にこの欄にジョブを登録するものである。
【0048】
各表示行は、使用される給紙トレイが変わるごとに縦の点線で区切られており、各給紙トレイと時間軸のマトリックスにより順次使用される給紙トレイを網掛けで表示している。丸付き数字は、本発明の説明のために順番に使用される給紙トレイを示すものである。網掛け表示の幅は、その給紙トレイの用紙を用いて画像形成する時間に対応しており、この表示によりそれぞれの給紙トレイから用紙が給紙されている時間を把握することができる。
【0049】
また、各給紙トレイ上の用紙残量は、センサ情報から把握されており、この用紙残量とその用紙を用いる各ジョブの情報から用紙が不足するかが制御手段により算出され、図示の例では給紙トレイ5の丸数字3の途中から用紙が不足に近いことを警告表示A(斜線ハッチング)で示しており、丸数字10の途中でエンプティになることを警告表示B(黒塗りつぶし)で示している。この警告表示Aと警告表示Bとは、表示行の上半分に表示される。
【0050】
本発明の適用される画像形成システムでは、給紙していなくても引出せない給紙トレイがある。すなわち、給紙トレイ5(図1で40)は上流の多段給紙装置PFU2からの用紙の搬送経路を一体的に有しているので、多段給紙装置PFU2から用紙を給紙しているときは、給紙トレイ5を引出すことはできない。図3で給紙トレイ7(図1で30′)から給紙を行う丸数字9及び11の時間帯は、給紙トレイ5は使われていないが、引出せない状態である。
【0051】
このような用紙が不足することが近い給紙トレイ、或いはエンプティの給紙トレイがいつ引出し可能かを図3の実施形態では表示行の下半分に縦縞の引出し可能表示Cで示している。すなわち、給紙トレイ5は、丸数字7で示す給紙トレイ4からの給紙中、丸数字10のエンプティになってからの時間帯は引出し可能である。一方、給紙トレイ7からの給紙中である丸数字9及び11の時間帯は、引出せないので、引出し可能表示Cは表示されない。
【0052】
給紙トレイ9(図1で50′)は、すでにエンプティ状態であるが、この給紙トレイは最上流の多段給紙装置PFU2のものであるので、いつでも引出すことができ、引出し可能表示Cが連続して表示されている。
【0053】
なお、操作パネルOPがカラー表示できるときは、用紙不足が起きずに実行できる時間帯を青色で、警告表示Aを黄色で、警告表示Bを赤色で、引出し可能表示Cを緑でというようなカラー表示としても良い。
【0054】
ところで、それぞれの給紙トレイに収容される用紙の補給量は、用紙の使用頻度や保管場所の違いなどで異なる。例えば、その画像形成システムで最も多用される用紙は、大量に補給しなければならないが、少量しか使用されない表紙用の色紙などは、当座のジョブに間に合う量の補給で済むことがある。このように紙種の違いにより補給に要する時間も異なる。また、オペレータの習熟度によっても用紙補給時間は異なってくる。
【0055】
本発明では、各給紙トレイに用紙を補給するに必要な所要時間を任意に設定することができ、さらに給紙トレイ内の用紙残量がいくらになれば警告表示Aを表示して補給対象トレイとするかも設定できるようになっている。
【0056】
図4は、上記の設定を行う操作パネルOPの画面であり、図3に示すコラム200「機械状態」のタブからこの画面を呼び出して行う。図4において、まず左側の給紙トレイ選択部204で設定する給紙トレイを選択する。そして、中央の用紙補給所要時間設定部205、及び右の用紙補給対象紙残量部206でそれぞれ用紙補給に何分要するか、用紙が何%になればその給紙トレイを補給対象とするかをアップダウンキーで設定する。
【0057】
設定された用紙補給所要時間及び用紙補給対象紙残量は、図2の不揮発性メモリに保存される。なお、システムの初期時、及びオペレータがこれらの設定を行わないときはディフォルト値、例えば用紙補給所要時間は5分、用紙補給対象紙残量は20%の値を用いて制御する。このディフォルト値も図2の不揮発性メモリに保存されている。
【0058】
このような設定が行われている場合、図3に戻って、丸数字2、4、6、8の時間帯は給紙トレイ5は使用されていないが、給紙トレイ4から給紙している時間が、設定された用紙補給所要時間より短いため引出し可能表示Cは表示されていない。また、丸数字3の給紙中に現れる警告表示Aは、給紙トレイ5の用紙残量が設定された用紙補給対象紙残量になった時点から表示される。
【0059】
以上のように、本発明では、用紙の不足が近くなる時間、用紙がエンプティになる時間に加えて用紙を補給するために給紙トレイを引出しできる時間帯を表示したので、オペレータは的確に用紙を補給できるものである。
【0060】
図5のフローチャートは、本発明の給紙トレイを引出し可能な時間帯を決定・表示するサブルーチンを示すものである。このサブルーチンは、各ジョブの実行開始時と給紙トレイの用紙情報が変更された時とに実行されるものであり、図2のプリンタ制御部110、パネル制御部130、PFU1制御部150、PFU2制御部160での処理を一括して示している。
【0061】
図5において、まず、ステップS1で全給紙トレイの使用状況を予測する。この予測は、実行中と予約中の全てのジョブに用いられる用紙の情報と各給紙トレイに設けられたセンサからの用紙残量情報とにより演算される。この予測により、図3に示す如きどの給紙トレイがどの時間帯に給紙を行っているかが決定される。すなわち、このステップで使用される各給紙トレイの給紙が行われるごとの給紙実行時間が算出される。
【0062】
続くステップS2では、給紙トレイを1つずつ選択する。そして、選択した給紙トレイについてステップS3からステップS5の判断・決定を行う。まず、ステップS3で設定された紙残量(或いはディフォルト値)以下になる場合があるかどうか判断し、Yesの場合ステップS4で設定値以下になる時間を算出する。続いてステップS5でその給紙トレイがエンプティになる時間を算出する。この設定値以下になる時間が警告表示Aを出す時間であり、エンプティになる時間が警告表示Bを出す時間である。ステップS3でNoの場合は次のステップS6にジャンプする。
【0063】
ステップS5に続いて、ステップS6で、全ての給紙トレイについて判断が終了したか判定し、判断していない給紙トレイがあればステップS2に戻って同様の処理を行う。全ての給紙トレイの判断が終了すると、ステップS7に進み、当該給紙トレイが引出し可能な時間帯を算出する。この時間帯の算出には、当該給紙トレイから給紙していないことと、搬送経路付きの給紙トレイの場合は上流の給紙トレイからの給紙も無いことが条件になる。そしてこの条件を満たした時間帯(給紙実行時間)が設定された用紙補給所要時間(或いはディフォルト値)より長い場合に引出し可能とする。
【0064】
続いてステップS8に進み、表示画面の更新を行う。これにより表示画面は最新の状態で図3のような表示を行うことができる。
【0065】
以上の実施形態は給紙トレイの使用状況を示すスケジュール画面に本発明の表示を行う例であるが、ジョブ表示画面で同様の表示を行うこともできる。図6はこのジョブ表示画面を示すもので、コラム202の「出力予約ジョブ」を選択すると、図3のコラム203が図6の画面に切り替わって表示される画面である。
【0066】
コラム203の最上段の行には、「動作中」「モード」「枚数」「部数」「残枚数」「時間」「ユーザー名」「紙補給可能トレイ」の各表題が表示され、その下の各行にジョブごとのそれぞれの情報が表示されている。
【0067】
ここで、「紙補給可能トレイ」の欄には、そのジョブを実行中に用紙を補給できるトレイを表示しており、例えば、ジョブ番号0012のジョブ実行中はトレイ2に用紙が補給できることが分かる。また、ジョブ番号0014のジョブ実行中は用紙を補給できるトレイが無いことが分かる。この表示画面はジョブ単位ではあるが、給紙トレイを引出して用紙を補給できるタイミングをオペレータに知らせることができるものである。
【符号の説明】
【0068】
GS 画像形成装置
PFU1、PFU2 多段給紙装置
OP 操作パネル
10a、10b、10c 本体内蔵の給紙トレイ
30、40、50、30′、40′、50′ 多段給紙装置の給紙トレイ
90 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収容する複数の給紙トレイを有し、そのうちの少なくとも一つの給紙トレイは、他の給紙トレイから搬送される用紙の搬送経路の一部と一体的に構成され、用紙補給時に該搬送経路ごと引出せるように構成される搬送経路付き給紙トレイであり、前記複数の給紙トレイから給紙される用紙に画像を形成する画像形成システムであって、
画像形成システムで実行される複数のジョブを受付け、ジョブ情報を取得するジョブ受付部と、
前記搬送経路付き給紙トレイを含めた前記複数の給紙トレイについて、各給紙トレイに用紙を補給するに必要な用紙補給所要時間を記憶する記憶部と、
前記ジョブ受付部が取得したジョブ情報から、それぞれのジョブに使用する用紙を収納する給紙トレイから給紙が行われるごとの給紙実行時間を演算し、当該給紙実行時間と前記用紙補給所要時間とを比較して、用紙補給が必要となる給紙トレイについて当該給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算する演算部と、
前記演算部で演算された時間帯に基づいて、用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示する表示部と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記記憶部に記憶される用紙補給所要時間は、給紙トレイごとに任意に設定できるよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記表示部は、受け付けたジョブに対し各給紙トレイの使用状況を表示する表示画面を有し、当該表示画面で用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記表示部は、受け付けたジョブの実行予定を表示する表示画面を有し、当該表示画面で用紙補給が必要で且つ給紙位置から引出すことが可能な給紙トレイを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記演算部は、用紙補給が必要となる給紙トレイ上の用紙がエンプティになる時間に基づき、それ以前の時点で給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記演算部は、用紙補給が必要となる給紙トレイ上の用紙が所定枚数以下になる時間に基づき、それ以前の時点で給紙トレイが使用されず且つ給紙位置から引出すことが可能な時間帯を演算することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記所定枚数は、給紙トレイごとに任意に設定できるよう構成されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−11681(P2012−11681A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150864(P2010−150864)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】