画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法
【課題】画像形成装置における、一連の複雑な操作を簡便に行う機能を提供すること。
【解決手段】着脱可能な不揮発性メモリを利用し、画像形成装置の一連の操作手順すなわち操作命令データをあらかじめ記憶させておく。画像形成装置に、不揮発性メモリを装着できるインターフェイスを設けておき、不揮発性メモリが装着されると、不揮発性メモリにあらかじめ記憶されていた一連の操作手順が、画像形成装置に表示される。ユーザは、表示された操作手順の一つを選択することにより、画像処理装置は、その処理を自動的に実行する。また、不揮発性メモリに記憶させておく一連の操作手順は、PCのエディタ等を利用することで、事前に作成しておくことができる。不揮発性メモリを装着するだけで、自動的に画像形成処理を実行させることも可能である。
【解決手段】着脱可能な不揮発性メモリを利用し、画像形成装置の一連の操作手順すなわち操作命令データをあらかじめ記憶させておく。画像形成装置に、不揮発性メモリを装着できるインターフェイスを設けておき、不揮発性メモリが装着されると、不揮発性メモリにあらかじめ記憶されていた一連の操作手順が、画像形成装置に表示される。ユーザは、表示された操作手順の一つを選択することにより、画像処理装置は、その処理を自動的に実行する。また、不揮発性メモリに記憶させておく一連の操作手順は、PCのエディタ等を利用することで、事前に作成しておくことができる。不揮発性メモリを装着するだけで、自動的に画像形成処理を実行させることも可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な不揮発性のメモリ装置にあらかじめ格納した一連の操作命令データにより、画像形成装置の一連の操作を自動的に実行させることにより、ユーザによる煩雑な操作を回避する機能を備えた、画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、一般的に操作部からの人間の手動入力により、濃度・枚数・拡大率等のプリント条件設定ならびに、省エネモード移行時間・ネットワークアドレス設定等のシステム設定が行われている。
【0003】
一方で近年、画像形成装置の高機能化に伴い、操作部からの手動入力によって種々の複雑な設定が可能になってきている。これに伴って操作キーの増大等による操作部形状の複雑化を避けるため、操作部画面表示に階層構造を持たせ、複数回のキー入力操作によって目的とする設定画面に誘導し、設定操作を行わせることが一般的になっている。
【0004】
このため上述の技術においては、操作部の初期画面からキー操作等によって、徐々に深い階層に入り込んで目的とする設定画面に到達した上で初めて設定操作が可能になるため、キー操作が煩雑になる。
【0005】
上述のような、階層化されキー入力操作によると、例えば複数枚の原稿のコピーをとる際に、原稿毎に個別に設定を変えてコピーを取りたい場合、コピー操作を行う毎に改めてメニューの深い階層に入り込んで設定をやり直す必要性が生じて、ユーザに不快感を与えてしまう。
【0006】
また、定型的なコピー操作を日常的に行う場合にも、毎回煩雑なキー操作を繰返す必要性からユーザに不快感を与えてしまう。このため、上述の従来技術では、一連のキー操作を記憶させておくことが行われていた。
【0007】
たとえば、このような煩雑さを回避するために、特許文献1に記載の従来の方法は、画像形成装置において、階層構造化されている設定項目を選択するための操作キーを備えると共に、前記操作キーの操作履歴情報を、記憶手段に記憶させるための操作履歴情報設定制御手段を備えている。この方法によれば、記憶手段に記憶されている操作履歴情報を再び呼び出せば、操作キーによって、毎回、その階層構造に従って設定項目を順次選択しなくても、所定の動作を容易に実行させることができる。特許文献2も、上記と同様の技術を開示している。
【特許文献1】特開2003-131526号公報
【特許文献2】特開平03-197062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術においては、一連の操作を記憶させる際には、画像形成装置そのものの操作キーを使用しなければならないため、操作を記憶させる際に、画像形成装置そのものを占有してしまうことになる。
【0009】
また、キー操作を誤ると、記憶操作をはじめからやり直さなければならない場合も発生し、ユーザの利便性が十分改善されているとは言い難い。
【0010】
また、複数のユーザが同一の画像形成装置を共有するため、画像形成装置に登録した操作履歴情報の数が増え、誰が登録した操作履歴情報か判別が難しくなる場合や、所望の操作履歴情報を呼び出すのに時間がかかってしまう場合等の不都合も生じていた。加えて、既に登録されている操作履歴情報を修正して、新たな操作を行わせることが不可能であった。また、仮に可能であっても、その修正に煩雑な操作を行わなければならないという問題があった。
本発明は上述した背景技術の問題点を解決するためになされたものであり、煩雑なキー操作を必要とせず、定型的な日常業務を自動的に処理可能な画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明で使用される画像形成装置は、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって実行する画像形成装置であって、
着脱可能な不揮発性メモリを装着するメモリ装着部と、
前記メモリ装着部に装着された前記不揮発性メモリに格納されている操作命令データを前記コマンドデータに変換する操作命令データ変換手段を有することを特徴の一つとする。
【0012】
また、本発明で使用される画像形成装置の制御プログラムは、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理と、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴の一つとする。
【0013】
加えて、本発明で使用される画像形成装置の制御方法は、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出すステップと、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
画像形成装置の一連の操作命令データを記憶した着脱可能な不揮発性メモリを利用することで、煩雑なキー操作を必要とせず、複雑な業務や定型的な業務を簡便な操作で処理可能な画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の画像形成システムのブロック図の例である。
画像形成システム101は、複数の異なるユニットから構成されて、全体の機能を実現している。本例においてはシステム制御及びネットワーク通信制御機能を実現するメインシステム102により画像形成システム101が統合制御される。画像形成システム101には、その機能を実現するため、光学系、走行体、走行体を駆動するモータなどにより構成され、原稿面を走査し、画像データを取り込むスキャナユニット103、作像システム、定着システム、紙搬送システムなど、複数のアクチュエータの組合せによりプリント機能を実現するプロッタユニット104などが組み込まれる。またスキャナユニット、ネットワークから入力された画像データへの各種画像処理を実施するサブシステム(画像処理システム)105やスキャナユニット、プロッタユニットのアクチュエータ、センサ信号制御を行うサブシステム(I/O制御システム)106、またユーザがコマンドを入力するためのキー入力機能、ユーザに機器情報を提供する表示機能(LCDパネル)などを備えるサブシステム(操作部制御システム)107により画像形成システムの機能が実現される。
【0016】
電源制御ユニット108は各ユニットが消費するDC電力を供給する。画像形成システムはメインシステムによって動作が制御され、各ユニットは通信制御線111によってメインシステムと接続される。メインシステムは通信制御線により各サブユニットに対するコマンドを送受信し、サブユニット制御を行うことで画像形成システムとしての機能を実現する。
【0017】
図2は、図1の操作制御システム107の詳細を示す図であり、これを用いて本発明の動作の概略を説明する。
【0018】
図2において、メモリ装着部220は、不揮発性メモリ211を装着するインターフェイスを備えており、不揮発性メモリ211とのデータの授受を行う。操作命令データ変換手段240は、メモリ装着部220を介し、不揮発性メモリ211に格納されている操作命令データを読み出し、コマンドデータに変換する手段である。コマンドデータ転送手段250は、コマンドデータをメインシステム102に転送する手段である。ユーザーインターフェース部260は、表示手段261,表示装置262、選択手段263及び選択装置264を有し、ユーザに対して、視覚的に各種情報を表示し、ユーザからの各種入力を受け付ける装置である。メモリ装着認識手段230は、不揮発性メモリ211が装着されたことを操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250、ユーザーインターフェース部260に伝達する手段である。操作変換手段270は、ユーザによって選択された指示をコマンドデータに変換する手段である。
【0019】
なお、操作命令データ作成手段400は、パーソナルコンピュータ(PC)等のテキストデータ等が作成できる機器である。
【0020】
画像形成装置101を利用するユーザは、この操作命令データ作成手段400に、不揮発性メモリ211を接続する。エディタ等のプログラムを用いて、画像形成装置101によって処理したい一連の処理を操作命令データとして記述し、テキストファイル等の形式で不揮発性メモリ211に格納する。
【0021】
次に、ユーザは、この不揮発性メモリ211を、メモリ装着部220に装着する。
【0022】
そうすると、メモリ装着部220に接続されているメモリ装着確認手段230が、不揮発性メモリの装着を認識する。
【0023】
該メモリ装着確認手段230は、操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250に接続されている。不揮発性メモリ211がメモリ装着部220に装着されたことがメモリ装着確認手段230に認識されると、該メモリ装着確認手段211は、その旨を操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250に伝達する。この伝達を契機として、操作命令データ変換手段240は、メモリ装着部220を介して、不揮発性メモリ211から、操作命令データを取得し、順次コマンドデータに変換する。変換されたコマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介して、通信制御線111を通じてメインシステム102に転送される。
【0024】
このように、メインシステム102に順次転送されたコマンドデータにより、メインシステム102は所望の画像形成処理の動作を、後述の各サブシステムに指示し、所望の画像形成処理が行われる。
【0025】
これにより、不揮発性メモリを画像形成装置に装着するだけで、自動的に所望の操作を行わせたり、複数の操作命令データを格納しておけば、複数の処理の中から所望の処理を選択し、実行させることもできる。
【0026】
加えて、不揮発性メモリに格納する操作命令データは、PC等のエディタを利用し記述することが可能であり、エディタを利用することで、キーボード入力やコピー&ペースト機能によって操作内容を容易に設定可能かつ容易に修正可能である。また、命令データを作成する際に、画像形成装置を占有してしまうことがないため、画像処理装置の効率的な活用が行える。
【0027】
以上が、処理の概略である。
【0028】
なお、複数の、操作命令データが不揮発性メモリ211に格納されている場合、メモリ装着確認手段230は、不揮発性メモリの装着の認識を契機として、ユーザーインターフェース部260に以下のような指示を行ってもよい。
【0029】
すなわち、ユーザーインターフェース部260は、メモリ装着部220を介して、不揮発性メモリ211に格納されている複数の操作命令データをアイコンやリストの形式で、表示手段261を介して表示手段262に表示する。操作者は、表示された操作命令データの一つを選択装置264で選択すると、ユーザーインターフェース部260の中の選択手段263は、どの操作命令データが選択されたかを認識する。この選択情報は、ユーザーインターフェース部260がコマンドデータ転送手段250に伝達する。すると、操作命令データ変換手段240があらかじめ変換しておいたコマンドデータのうち、選択された操作命令データに対応するコマンドデータをコマンドデータ転送手段250が選択し、メインシステムに転送する。
【0030】
なお、上記選択情報をユーザーインターフェース部260から操作命令データ変換手段240にも併せて通知することとしてもよい。この場合には、操作命令データ変換手段240は、選択された命令データのみをコマンドデータに変換すればよい。そして、コマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介し、通信制御線111を経由して、メインシステム102に送られる。
【0031】
こうして、メインシステム102は、所望の処理を実行すべく、周辺システムに指示し、画像形成処理が行われる。
【0032】
なお、ユーザーインターフェース部260は、ユーザからの指示を直接受け付けることももちろん可能である。ユーザーインターフェース部260が、ユーザから受けた指示は、操作変換手段270を介して、逐次コマンドデータに変換される。変換された該コマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介して、通信制御線111を経由して、メインシステム102に送られる。そして、メインシステム102は、所望の処理を実行すべく、周辺システムに指示し、画像形成処理が行われる。この処理は、従来から一般的に存在している画像形成装置が持っている機能と同じである。
【0033】
なお、図2に示す各構成要素は、図1及び後述する図4に示されるCPU201を含む各種ハードウエア及び図示しないソフトウエアにより実現されている。
【0034】
図3は、本発明の動作方法を示している。
【0035】
ステップS01は、画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理を行う。
【0036】
ステップS02は、ステップS01で読み出された操作命令データをコマンドデータに変換する。
【0037】
ステップS03は、変換されたコマンドデータに基づいて、画像を形成する処理を行う。
【0038】
以上が、本発明の動作方法の概略である。
(実施例の説明)
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0039】
図4は、本発明に係る操作部制御システムの内部構造を示している。
CPU201は、操作部制御システムの中で各装置の制御やデータ処理を行う中枢部分である。この装置は、メモリに記憶されたプログラムを実行し、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算処理をした上で、出力装置や記憶装置に出力する。また、操作部システム全体を制御している。
【0040】
ROM202は、電源投入時に最初に実効されるブートプログラムが格納された不揮発性メモリであり、NOR型フラッシュメモリとしている。このメモリは着脱不能とする。
【0041】
RAM203は、CPU201のプログラムの実行、画像蓄積、編集を行うために利用されるランダムアクセス可能な揮発性メモリであり、電源を切ると内容は失われてしまう。
ROM204は、OSおよびアプリケーションプログラム等の機械立上げ時に展開されるべきデータおよびシステムの初期値や、設定値を保存するための不揮発性メモリであり、NAND型フラッシュメモリとする。
【0042】
通信制御部205は、メインシステムとのインターフェイスであり、送受信データの処理を行う。
【0043】
LCDコントローラ206は、CPU201の指示に従い、RAM203上の所定領域に格納された表示画像データをLCDパネル207に信号規定に合わせて出力するLCD表示制御を行う。
【0044】
キー入力装置208、タッチパネル209は、ユーザに対してユーザーインターフェースを提供するための装置であり、CPU201はIO制御モジュール210を介して入力状況を検出し、メインシステムに通知する。そしてメインシステムはその受信情報をもとにシステム全体を制御(サブユニットへの指示)する。
【0045】
ROM211は、一連の操作命令データが格納された着脱可能な不揮発性メモリであり、NOR型フラッシュメモリとしている。
【0046】
図5を用いて、操作部制御システムのブート動作について説明する。
【0047】
ステップS11は、ブートプログラムの起動を行うステップである。ACスイッチオン時に、CPU201はROM202に格納されたブートプログラムを読出し、ブートプログラムに従ってブート処理を開始する。
【0048】
ステップS12は、ROM204のデータをRAM203上に展開するステップである。処理は、ROM204に保存された設定値を利用して実行される。ROM204はNAND型フラッシュメモリのため、ランダムアクセスが不可である。このため、ROM204上の規定値を利用しやすいように、先ずROM204のデータをRAM203に展開する。
【0049】
ステップS13は、初期画面を表示するステップである。ステップS12において展開されたデータを使用して、LCDパネルに初期画面を表示する。
【0050】
ここで初期画面とは、システム利用のための操作を受け付ける設定画面である。すなわち、この初期画面は、例えばシステムのメニュー画面、あるいはコピー機能設定画面である。したがって、ロード中といったシステム動作中を通知する画面のことではない。
ステップS14は、指示待の待機状態である。メインシステムからの指示により、RAM203上のデータを書換えて、表示画面の描画や、表示の切り替え等の処理を行う。
【0051】
図6は、操作部制御システムの制御プログラムの実行動作を示している。図6のフローチャートは、着脱可能な不揮発性メモリに格納された一連の操作命令データをコマンドデータに変換し、メインシステムに転送する処理の流れを示している。
【0052】
ステップS21は、不揮発性メモリ(ROM211)の装着を確認するステップである。
【0053】
不揮発性メモリ(ROM211)には、一連の操作命令データがあらかじめ書き込まれている。このステップでは、不揮発性メモリ(ROM211)が操作部の専用ソケットに手動で装着されたことを確認し、装着の確認がなされると、次のステップに移行する。
【0054】
ステップS22は、不揮発性メモリ(ROM211)の内容をRAM203にDAM転送するステップである。
【0055】
ステップS23は、直前のステップにおけるDMA転送が正常に終了したか否かをチェックするステップである。データ転送が終了した時点で、RAM203の空き領域に転送されたデータ内容と、着脱可能な不揮発性メモリ(ROM211)を比較して差がないことを確認し、もし差分がある場合には再度ステップS22に戻ってデータ転送を再実施する。転送が正しく行われたことが確認できると、次のステップに移行する。
【0056】
ステップS24は、RAM203に転送された操作命令データを、先頭行から1つずつ読出すステップである。
【0057】
ステップS25は、操作命令データをコマンドデータに変換するステップである。RAM203に用意された変換テーブルを先頭から順次検索して、読出された操作命令データに対応するコマンドデータを呼出す。
【0058】
ステップS26は、検索が正常に行われたか否かをチェックするステップである。検索しても対応するコマンドが見つからない場合には、エラーと見なし、別途エラー処理(ステップS28)を実行する。
【0059】
ステップS27は、検索されたコマンドデータを通信制御部205を介してメインシステムに送信するステップである。
【0060】
ここで一連の操作命令データに関して説明する。
【0061】
図7は、操作命令データの具体例を示している。
【0062】
一連の操作命令データは、あらかじめPC等のエディタを利用して図7のように全てテキストデータで記述され、ファイルに格納されメモリ上に存在するものとする。
【0063】
ここでは、着脱可能なR0M211として、PCに直接接続して操作可能なUSBメモリを使用することとして、そのデータ管理を行うためのファイルシステムとしてFAT32を採用するものとする。もちろんNTFS等のファイルシステムを用いても構わない。
【0064】
さらに操作命令データが記述されたファイルであることを認識しやすくするために、ファイル名に特別な拡張子を持たせることとする。ここでは例えば、rsfという拡張子を持たせる。
【0065】
前述したステップS22のDMA転送において、自動的に拡張子を認識して、rsf拡張子のついたファイルの中味のみが転送されることとしても良い。
【0066】
一連の操作命令データは、プリント開始命令や、プリント枚数設定命令、繰返し命令、設定状態確認命令、条件分岐命令等で構成される。
【0067】
ここで例えば、テキストデータ「pon」がプリント開始命令、テキストデータ「mai 5」がプリント枚数命令(5枚)、テキストデータ「mail」がデータの自動メール送信命令といった意味を持たせておく。テキストデータを用いて、画像形成装置の動作を定義することが可能になる。
【0068】
そして図7のように、テキストデータから構成された一連の操作命令データが、操作命令データファイルとしてメモリ上に存在している。また、一連の操作命令データに該当するテキストデータは改行記号によって区切られて、区別される。
【0069】
ここで、プリントする対象ファイルや、メール送信する対象ファイルは、操作命令データファイルと共にUSBメモリに格納されたファイルであってももちろん構わない。
【0070】
また、前述した操作命令データのその他の具体例として、ネットからのデータダウンロード、プログラムのバージョンアップ、logデータの取得、機械のモード設定の実行等がある。各操作命令データに対応して、特定のテキストデータを定義すればよい。また、特定のテキストデータに繰返し制御、条件分岐等の意味を持たせても良い。
【0071】
次に、変換テーブルを説明する。
【0072】
変換テーブルは、メモリ上に存在するテキストデータから構成された一連の操作命令データをコマンドデータに変換するための対応表である。
【0073】
図8は、変換テーブルを示している。変換テーブルは、操作命令データと同様に、テキストデータで構成されている。変換テーブルは、ファイルとしてメモリ上に存在しているものとする。
【0074】
CPU201は、この変換テーブルを用いて、テキストデータから構成された一連の操作命令データを、コマンドデータに変換する。変換されたコマンドデータは、ユーザによって操作部にキー入力操作が行われた時に生成されるコマンドデータと同じである。
【0075】
図9は、図8の変換テーブルファイルを先頭から順次検索している様子を図示化したものである。
【0076】
上述の説明においては、変換テーブルがテキストデータで構成されているとしたが、もちろんそれに限らず、変換プログラムであってもよい。すなわち、テキストデータから構成された一連の操作命令データをコマンドデータに変換できるプログラムを利用しても構わない。また、テキストデータを先頭から逐次実行していくインタプリタ方式ではなく、テキストデータから構成された一連の操作命令データを一度に変換して別のメモリ領域に保持しておき、これを実行するコンパイラ方式であってもよい。
【0077】
ここでユーザによるキー入力操作と操作命令データによる操作を対応して説明する。
【0078】
図10は、キー入力操作と操作命令データによる操作を対比して図式化したものである。
【0079】
なお、複数の操作命令データがある場合には、実行したい操作命令データを画面に表示し、ユーザに選択させる構成としてもよい。
【0080】
図11及び図12は、複数の操作命令データを選択する画面を示している。この選択画面には、初期表示画面(コピー操作待機画面)からキー操作等で遷移することとしてもよい。あるいは、不揮発性メモリが画像形成装置に装着されたときに、この画面を表示することしてもよい。
【0081】
操作命令データの選択画面は、図11に示すように一連の操作命令データのファイル名(もしくはヘッダ名)等の名称が書かれたボックス型アイコンを表示し、その中から選択する構成とする。あるいは、図12に示すようにファイル名のリスト表示から選択する構成としてもよい。
【0082】
また、操作命令データを実行させる手段として、上記のような選択画面からのキー入力に限る必要はない。
【0083】
たとえば、CPU201によって、着脱可能な不揮発性メモリの装着を一定時間毎に常時確認してもよい。すなわち、不揮発性メモリの装着が確認されたことをトリガーとして、着脱可能な不揮発性メモリの内部に存在するファイル名、拡張子を手がかりに一連の操作命令データが記載されているファイルを自動認識する。選択画面への選択操作なしに、自動的に不揮発性メモリに格納された一連の操作命令データを実行する方法を採用することとしてもよい。
【0084】
また、本実施例では、着脱可能な不揮発性メモリはCPUバスを介して操作部制御装置のCPUと接続されるものとしたが、この例に限らず、例えばUSB,I2C,UARTのようなシリアル通信ポートで操作部制御装置のCPUと接続されたものであってもよい。
【0085】
さらには、シリアル通信ポートは、操作部制御装置内で分岐して、操作部制御装置のCPUとは別に、メインシステムのCPUに直接接続されるものであってもよい。
【0086】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の画像形成装置のブロック図である。
【図2】本発明の動作を説明する図である。
【図3】本発明の動作方法を説明するフロー図である。
【図4】操作部制御システムの内部構造を示す図である。
【図5】操作制御システムのブート動作を示す図である。
【図6】操作部制御システムの制御プログラムの実行動作を示す図である。
【図7】操作命令データの具体例の図である。
【図8】操作命令データの変換テーブルファイルの図である。
【図9】変換テーブルの検索の図である。
【図10】キー入力と操作命令データファイル操作の図である。
【図11】アイコンによる操作命令データの選択画面を示す図である。
【図12】ファイル名による操作命令データの選択画面を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
101 画像形成システム
102 メインシステム
103 スキャナユニット
104 プロッタユニット
105 サブシステム(画像処理システム)
106 サブシステム(I/O制御システム)
107 サブシステム(操作部制御システム)
108 電源制御ユニット
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 ROM
205 通信制御
206 LCDコントロール
207 LCDパネル
208 KEY
209 タッチパネル
210 I/O制御
220 メモリ装着部
230 メモリ装着確認手段
240 操作命令データ変換手段
250 コマンドデータ転送手段
260 ユーザーインターフェース部
261 表示手段
262 表示装置
263 選択手段
264 選択装置
270 操作変換手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な不揮発性のメモリ装置にあらかじめ格納した一連の操作命令データにより、画像形成装置の一連の操作を自動的に実行させることにより、ユーザによる煩雑な操作を回避する機能を備えた、画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、一般的に操作部からの人間の手動入力により、濃度・枚数・拡大率等のプリント条件設定ならびに、省エネモード移行時間・ネットワークアドレス設定等のシステム設定が行われている。
【0003】
一方で近年、画像形成装置の高機能化に伴い、操作部からの手動入力によって種々の複雑な設定が可能になってきている。これに伴って操作キーの増大等による操作部形状の複雑化を避けるため、操作部画面表示に階層構造を持たせ、複数回のキー入力操作によって目的とする設定画面に誘導し、設定操作を行わせることが一般的になっている。
【0004】
このため上述の技術においては、操作部の初期画面からキー操作等によって、徐々に深い階層に入り込んで目的とする設定画面に到達した上で初めて設定操作が可能になるため、キー操作が煩雑になる。
【0005】
上述のような、階層化されキー入力操作によると、例えば複数枚の原稿のコピーをとる際に、原稿毎に個別に設定を変えてコピーを取りたい場合、コピー操作を行う毎に改めてメニューの深い階層に入り込んで設定をやり直す必要性が生じて、ユーザに不快感を与えてしまう。
【0006】
また、定型的なコピー操作を日常的に行う場合にも、毎回煩雑なキー操作を繰返す必要性からユーザに不快感を与えてしまう。このため、上述の従来技術では、一連のキー操作を記憶させておくことが行われていた。
【0007】
たとえば、このような煩雑さを回避するために、特許文献1に記載の従来の方法は、画像形成装置において、階層構造化されている設定項目を選択するための操作キーを備えると共に、前記操作キーの操作履歴情報を、記憶手段に記憶させるための操作履歴情報設定制御手段を備えている。この方法によれば、記憶手段に記憶されている操作履歴情報を再び呼び出せば、操作キーによって、毎回、その階層構造に従って設定項目を順次選択しなくても、所定の動作を容易に実行させることができる。特許文献2も、上記と同様の技術を開示している。
【特許文献1】特開2003-131526号公報
【特許文献2】特開平03-197062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術においては、一連の操作を記憶させる際には、画像形成装置そのものの操作キーを使用しなければならないため、操作を記憶させる際に、画像形成装置そのものを占有してしまうことになる。
【0009】
また、キー操作を誤ると、記憶操作をはじめからやり直さなければならない場合も発生し、ユーザの利便性が十分改善されているとは言い難い。
【0010】
また、複数のユーザが同一の画像形成装置を共有するため、画像形成装置に登録した操作履歴情報の数が増え、誰が登録した操作履歴情報か判別が難しくなる場合や、所望の操作履歴情報を呼び出すのに時間がかかってしまう場合等の不都合も生じていた。加えて、既に登録されている操作履歴情報を修正して、新たな操作を行わせることが不可能であった。また、仮に可能であっても、その修正に煩雑な操作を行わなければならないという問題があった。
本発明は上述した背景技術の問題点を解決するためになされたものであり、煩雑なキー操作を必要とせず、定型的な日常業務を自動的に処理可能な画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明で使用される画像形成装置は、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって実行する画像形成装置であって、
着脱可能な不揮発性メモリを装着するメモリ装着部と、
前記メモリ装着部に装着された前記不揮発性メモリに格納されている操作命令データを前記コマンドデータに変換する操作命令データ変換手段を有することを特徴の一つとする。
【0012】
また、本発明で使用される画像形成装置の制御プログラムは、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理と、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴の一つとする。
【0013】
加えて、本発明で使用される画像形成装置の制御方法は、画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出すステップと、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
画像形成装置の一連の操作命令データを記憶した着脱可能な不揮発性メモリを利用することで、煩雑なキー操作を必要とせず、複雑な業務や定型的な業務を簡便な操作で処理可能な画像形成装置、その制御プログラム及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の画像形成システムのブロック図の例である。
画像形成システム101は、複数の異なるユニットから構成されて、全体の機能を実現している。本例においてはシステム制御及びネットワーク通信制御機能を実現するメインシステム102により画像形成システム101が統合制御される。画像形成システム101には、その機能を実現するため、光学系、走行体、走行体を駆動するモータなどにより構成され、原稿面を走査し、画像データを取り込むスキャナユニット103、作像システム、定着システム、紙搬送システムなど、複数のアクチュエータの組合せによりプリント機能を実現するプロッタユニット104などが組み込まれる。またスキャナユニット、ネットワークから入力された画像データへの各種画像処理を実施するサブシステム(画像処理システム)105やスキャナユニット、プロッタユニットのアクチュエータ、センサ信号制御を行うサブシステム(I/O制御システム)106、またユーザがコマンドを入力するためのキー入力機能、ユーザに機器情報を提供する表示機能(LCDパネル)などを備えるサブシステム(操作部制御システム)107により画像形成システムの機能が実現される。
【0016】
電源制御ユニット108は各ユニットが消費するDC電力を供給する。画像形成システムはメインシステムによって動作が制御され、各ユニットは通信制御線111によってメインシステムと接続される。メインシステムは通信制御線により各サブユニットに対するコマンドを送受信し、サブユニット制御を行うことで画像形成システムとしての機能を実現する。
【0017】
図2は、図1の操作制御システム107の詳細を示す図であり、これを用いて本発明の動作の概略を説明する。
【0018】
図2において、メモリ装着部220は、不揮発性メモリ211を装着するインターフェイスを備えており、不揮発性メモリ211とのデータの授受を行う。操作命令データ変換手段240は、メモリ装着部220を介し、不揮発性メモリ211に格納されている操作命令データを読み出し、コマンドデータに変換する手段である。コマンドデータ転送手段250は、コマンドデータをメインシステム102に転送する手段である。ユーザーインターフェース部260は、表示手段261,表示装置262、選択手段263及び選択装置264を有し、ユーザに対して、視覚的に各種情報を表示し、ユーザからの各種入力を受け付ける装置である。メモリ装着認識手段230は、不揮発性メモリ211が装着されたことを操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250、ユーザーインターフェース部260に伝達する手段である。操作変換手段270は、ユーザによって選択された指示をコマンドデータに変換する手段である。
【0019】
なお、操作命令データ作成手段400は、パーソナルコンピュータ(PC)等のテキストデータ等が作成できる機器である。
【0020】
画像形成装置101を利用するユーザは、この操作命令データ作成手段400に、不揮発性メモリ211を接続する。エディタ等のプログラムを用いて、画像形成装置101によって処理したい一連の処理を操作命令データとして記述し、テキストファイル等の形式で不揮発性メモリ211に格納する。
【0021】
次に、ユーザは、この不揮発性メモリ211を、メモリ装着部220に装着する。
【0022】
そうすると、メモリ装着部220に接続されているメモリ装着確認手段230が、不揮発性メモリの装着を認識する。
【0023】
該メモリ装着確認手段230は、操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250に接続されている。不揮発性メモリ211がメモリ装着部220に装着されたことがメモリ装着確認手段230に認識されると、該メモリ装着確認手段211は、その旨を操作命令データ変換手段240、コマンドデータ転送手段250に伝達する。この伝達を契機として、操作命令データ変換手段240は、メモリ装着部220を介して、不揮発性メモリ211から、操作命令データを取得し、順次コマンドデータに変換する。変換されたコマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介して、通信制御線111を通じてメインシステム102に転送される。
【0024】
このように、メインシステム102に順次転送されたコマンドデータにより、メインシステム102は所望の画像形成処理の動作を、後述の各サブシステムに指示し、所望の画像形成処理が行われる。
【0025】
これにより、不揮発性メモリを画像形成装置に装着するだけで、自動的に所望の操作を行わせたり、複数の操作命令データを格納しておけば、複数の処理の中から所望の処理を選択し、実行させることもできる。
【0026】
加えて、不揮発性メモリに格納する操作命令データは、PC等のエディタを利用し記述することが可能であり、エディタを利用することで、キーボード入力やコピー&ペースト機能によって操作内容を容易に設定可能かつ容易に修正可能である。また、命令データを作成する際に、画像形成装置を占有してしまうことがないため、画像処理装置の効率的な活用が行える。
【0027】
以上が、処理の概略である。
【0028】
なお、複数の、操作命令データが不揮発性メモリ211に格納されている場合、メモリ装着確認手段230は、不揮発性メモリの装着の認識を契機として、ユーザーインターフェース部260に以下のような指示を行ってもよい。
【0029】
すなわち、ユーザーインターフェース部260は、メモリ装着部220を介して、不揮発性メモリ211に格納されている複数の操作命令データをアイコンやリストの形式で、表示手段261を介して表示手段262に表示する。操作者は、表示された操作命令データの一つを選択装置264で選択すると、ユーザーインターフェース部260の中の選択手段263は、どの操作命令データが選択されたかを認識する。この選択情報は、ユーザーインターフェース部260がコマンドデータ転送手段250に伝達する。すると、操作命令データ変換手段240があらかじめ変換しておいたコマンドデータのうち、選択された操作命令データに対応するコマンドデータをコマンドデータ転送手段250が選択し、メインシステムに転送する。
【0030】
なお、上記選択情報をユーザーインターフェース部260から操作命令データ変換手段240にも併せて通知することとしてもよい。この場合には、操作命令データ変換手段240は、選択された命令データのみをコマンドデータに変換すればよい。そして、コマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介し、通信制御線111を経由して、メインシステム102に送られる。
【0031】
こうして、メインシステム102は、所望の処理を実行すべく、周辺システムに指示し、画像形成処理が行われる。
【0032】
なお、ユーザーインターフェース部260は、ユーザからの指示を直接受け付けることももちろん可能である。ユーザーインターフェース部260が、ユーザから受けた指示は、操作変換手段270を介して、逐次コマンドデータに変換される。変換された該コマンドデータは、コマンドデータ転送手段250を介して、通信制御線111を経由して、メインシステム102に送られる。そして、メインシステム102は、所望の処理を実行すべく、周辺システムに指示し、画像形成処理が行われる。この処理は、従来から一般的に存在している画像形成装置が持っている機能と同じである。
【0033】
なお、図2に示す各構成要素は、図1及び後述する図4に示されるCPU201を含む各種ハードウエア及び図示しないソフトウエアにより実現されている。
【0034】
図3は、本発明の動作方法を示している。
【0035】
ステップS01は、画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理を行う。
【0036】
ステップS02は、ステップS01で読み出された操作命令データをコマンドデータに変換する。
【0037】
ステップS03は、変換されたコマンドデータに基づいて、画像を形成する処理を行う。
【0038】
以上が、本発明の動作方法の概略である。
(実施例の説明)
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0039】
図4は、本発明に係る操作部制御システムの内部構造を示している。
CPU201は、操作部制御システムの中で各装置の制御やデータ処理を行う中枢部分である。この装置は、メモリに記憶されたプログラムを実行し、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算処理をした上で、出力装置や記憶装置に出力する。また、操作部システム全体を制御している。
【0040】
ROM202は、電源投入時に最初に実効されるブートプログラムが格納された不揮発性メモリであり、NOR型フラッシュメモリとしている。このメモリは着脱不能とする。
【0041】
RAM203は、CPU201のプログラムの実行、画像蓄積、編集を行うために利用されるランダムアクセス可能な揮発性メモリであり、電源を切ると内容は失われてしまう。
ROM204は、OSおよびアプリケーションプログラム等の機械立上げ時に展開されるべきデータおよびシステムの初期値や、設定値を保存するための不揮発性メモリであり、NAND型フラッシュメモリとする。
【0042】
通信制御部205は、メインシステムとのインターフェイスであり、送受信データの処理を行う。
【0043】
LCDコントローラ206は、CPU201の指示に従い、RAM203上の所定領域に格納された表示画像データをLCDパネル207に信号規定に合わせて出力するLCD表示制御を行う。
【0044】
キー入力装置208、タッチパネル209は、ユーザに対してユーザーインターフェースを提供するための装置であり、CPU201はIO制御モジュール210を介して入力状況を検出し、メインシステムに通知する。そしてメインシステムはその受信情報をもとにシステム全体を制御(サブユニットへの指示)する。
【0045】
ROM211は、一連の操作命令データが格納された着脱可能な不揮発性メモリであり、NOR型フラッシュメモリとしている。
【0046】
図5を用いて、操作部制御システムのブート動作について説明する。
【0047】
ステップS11は、ブートプログラムの起動を行うステップである。ACスイッチオン時に、CPU201はROM202に格納されたブートプログラムを読出し、ブートプログラムに従ってブート処理を開始する。
【0048】
ステップS12は、ROM204のデータをRAM203上に展開するステップである。処理は、ROM204に保存された設定値を利用して実行される。ROM204はNAND型フラッシュメモリのため、ランダムアクセスが不可である。このため、ROM204上の規定値を利用しやすいように、先ずROM204のデータをRAM203に展開する。
【0049】
ステップS13は、初期画面を表示するステップである。ステップS12において展開されたデータを使用して、LCDパネルに初期画面を表示する。
【0050】
ここで初期画面とは、システム利用のための操作を受け付ける設定画面である。すなわち、この初期画面は、例えばシステムのメニュー画面、あるいはコピー機能設定画面である。したがって、ロード中といったシステム動作中を通知する画面のことではない。
ステップS14は、指示待の待機状態である。メインシステムからの指示により、RAM203上のデータを書換えて、表示画面の描画や、表示の切り替え等の処理を行う。
【0051】
図6は、操作部制御システムの制御プログラムの実行動作を示している。図6のフローチャートは、着脱可能な不揮発性メモリに格納された一連の操作命令データをコマンドデータに変換し、メインシステムに転送する処理の流れを示している。
【0052】
ステップS21は、不揮発性メモリ(ROM211)の装着を確認するステップである。
【0053】
不揮発性メモリ(ROM211)には、一連の操作命令データがあらかじめ書き込まれている。このステップでは、不揮発性メモリ(ROM211)が操作部の専用ソケットに手動で装着されたことを確認し、装着の確認がなされると、次のステップに移行する。
【0054】
ステップS22は、不揮発性メモリ(ROM211)の内容をRAM203にDAM転送するステップである。
【0055】
ステップS23は、直前のステップにおけるDMA転送が正常に終了したか否かをチェックするステップである。データ転送が終了した時点で、RAM203の空き領域に転送されたデータ内容と、着脱可能な不揮発性メモリ(ROM211)を比較して差がないことを確認し、もし差分がある場合には再度ステップS22に戻ってデータ転送を再実施する。転送が正しく行われたことが確認できると、次のステップに移行する。
【0056】
ステップS24は、RAM203に転送された操作命令データを、先頭行から1つずつ読出すステップである。
【0057】
ステップS25は、操作命令データをコマンドデータに変換するステップである。RAM203に用意された変換テーブルを先頭から順次検索して、読出された操作命令データに対応するコマンドデータを呼出す。
【0058】
ステップS26は、検索が正常に行われたか否かをチェックするステップである。検索しても対応するコマンドが見つからない場合には、エラーと見なし、別途エラー処理(ステップS28)を実行する。
【0059】
ステップS27は、検索されたコマンドデータを通信制御部205を介してメインシステムに送信するステップである。
【0060】
ここで一連の操作命令データに関して説明する。
【0061】
図7は、操作命令データの具体例を示している。
【0062】
一連の操作命令データは、あらかじめPC等のエディタを利用して図7のように全てテキストデータで記述され、ファイルに格納されメモリ上に存在するものとする。
【0063】
ここでは、着脱可能なR0M211として、PCに直接接続して操作可能なUSBメモリを使用することとして、そのデータ管理を行うためのファイルシステムとしてFAT32を採用するものとする。もちろんNTFS等のファイルシステムを用いても構わない。
【0064】
さらに操作命令データが記述されたファイルであることを認識しやすくするために、ファイル名に特別な拡張子を持たせることとする。ここでは例えば、rsfという拡張子を持たせる。
【0065】
前述したステップS22のDMA転送において、自動的に拡張子を認識して、rsf拡張子のついたファイルの中味のみが転送されることとしても良い。
【0066】
一連の操作命令データは、プリント開始命令や、プリント枚数設定命令、繰返し命令、設定状態確認命令、条件分岐命令等で構成される。
【0067】
ここで例えば、テキストデータ「pon」がプリント開始命令、テキストデータ「mai 5」がプリント枚数命令(5枚)、テキストデータ「mail」がデータの自動メール送信命令といった意味を持たせておく。テキストデータを用いて、画像形成装置の動作を定義することが可能になる。
【0068】
そして図7のように、テキストデータから構成された一連の操作命令データが、操作命令データファイルとしてメモリ上に存在している。また、一連の操作命令データに該当するテキストデータは改行記号によって区切られて、区別される。
【0069】
ここで、プリントする対象ファイルや、メール送信する対象ファイルは、操作命令データファイルと共にUSBメモリに格納されたファイルであってももちろん構わない。
【0070】
また、前述した操作命令データのその他の具体例として、ネットからのデータダウンロード、プログラムのバージョンアップ、logデータの取得、機械のモード設定の実行等がある。各操作命令データに対応して、特定のテキストデータを定義すればよい。また、特定のテキストデータに繰返し制御、条件分岐等の意味を持たせても良い。
【0071】
次に、変換テーブルを説明する。
【0072】
変換テーブルは、メモリ上に存在するテキストデータから構成された一連の操作命令データをコマンドデータに変換するための対応表である。
【0073】
図8は、変換テーブルを示している。変換テーブルは、操作命令データと同様に、テキストデータで構成されている。変換テーブルは、ファイルとしてメモリ上に存在しているものとする。
【0074】
CPU201は、この変換テーブルを用いて、テキストデータから構成された一連の操作命令データを、コマンドデータに変換する。変換されたコマンドデータは、ユーザによって操作部にキー入力操作が行われた時に生成されるコマンドデータと同じである。
【0075】
図9は、図8の変換テーブルファイルを先頭から順次検索している様子を図示化したものである。
【0076】
上述の説明においては、変換テーブルがテキストデータで構成されているとしたが、もちろんそれに限らず、変換プログラムであってもよい。すなわち、テキストデータから構成された一連の操作命令データをコマンドデータに変換できるプログラムを利用しても構わない。また、テキストデータを先頭から逐次実行していくインタプリタ方式ではなく、テキストデータから構成された一連の操作命令データを一度に変換して別のメモリ領域に保持しておき、これを実行するコンパイラ方式であってもよい。
【0077】
ここでユーザによるキー入力操作と操作命令データによる操作を対応して説明する。
【0078】
図10は、キー入力操作と操作命令データによる操作を対比して図式化したものである。
【0079】
なお、複数の操作命令データがある場合には、実行したい操作命令データを画面に表示し、ユーザに選択させる構成としてもよい。
【0080】
図11及び図12は、複数の操作命令データを選択する画面を示している。この選択画面には、初期表示画面(コピー操作待機画面)からキー操作等で遷移することとしてもよい。あるいは、不揮発性メモリが画像形成装置に装着されたときに、この画面を表示することしてもよい。
【0081】
操作命令データの選択画面は、図11に示すように一連の操作命令データのファイル名(もしくはヘッダ名)等の名称が書かれたボックス型アイコンを表示し、その中から選択する構成とする。あるいは、図12に示すようにファイル名のリスト表示から選択する構成としてもよい。
【0082】
また、操作命令データを実行させる手段として、上記のような選択画面からのキー入力に限る必要はない。
【0083】
たとえば、CPU201によって、着脱可能な不揮発性メモリの装着を一定時間毎に常時確認してもよい。すなわち、不揮発性メモリの装着が確認されたことをトリガーとして、着脱可能な不揮発性メモリの内部に存在するファイル名、拡張子を手がかりに一連の操作命令データが記載されているファイルを自動認識する。選択画面への選択操作なしに、自動的に不揮発性メモリに格納された一連の操作命令データを実行する方法を採用することとしてもよい。
【0084】
また、本実施例では、着脱可能な不揮発性メモリはCPUバスを介して操作部制御装置のCPUと接続されるものとしたが、この例に限らず、例えばUSB,I2C,UARTのようなシリアル通信ポートで操作部制御装置のCPUと接続されたものであってもよい。
【0085】
さらには、シリアル通信ポートは、操作部制御装置内で分岐して、操作部制御装置のCPUとは別に、メインシステムのCPUに直接接続されるものであってもよい。
【0086】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の画像形成装置のブロック図である。
【図2】本発明の動作を説明する図である。
【図3】本発明の動作方法を説明するフロー図である。
【図4】操作部制御システムの内部構造を示す図である。
【図5】操作制御システムのブート動作を示す図である。
【図6】操作部制御システムの制御プログラムの実行動作を示す図である。
【図7】操作命令データの具体例の図である。
【図8】操作命令データの変換テーブルファイルの図である。
【図9】変換テーブルの検索の図である。
【図10】キー入力と操作命令データファイル操作の図である。
【図11】アイコンによる操作命令データの選択画面を示す図である。
【図12】ファイル名による操作命令データの選択画面を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
101 画像形成システム
102 メインシステム
103 スキャナユニット
104 プロッタユニット
105 サブシステム(画像処理システム)
106 サブシステム(I/O制御システム)
107 サブシステム(操作部制御システム)
108 電源制御ユニット
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 ROM
205 通信制御
206 LCDコントロール
207 LCDパネル
208 KEY
209 タッチパネル
210 I/O制御
220 メモリ装着部
230 メモリ装着確認手段
240 操作命令データ変換手段
250 コマンドデータ転送手段
260 ユーザーインターフェース部
261 表示手段
262 表示装置
263 選択手段
264 選択装置
270 操作変換手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって実行する画像形成装置であって、
着脱可能な不揮発性メモリを装着するメモリ装着部と、
前記メモリ装着部に装着された前記不揮発性メモリに格納されている操作命令データを前記コマンドデータに変換する操作命令データ変換手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メモリ装着部に前記不揮発性メモリが装着されたことを認識するメモリ装着認識手段を有し、
前記不揮発性メモリが前記メモリ装着部に装着されたことを前記メモリ装着認識手段が認識した場合、前記コマンドデータに基づいて画像形成に関連する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリが、複数の前記操作命令データを有する場合、
前記不揮発性メモリに格納された複数の前記操作命令データを、ユーザが選択できるよう表示する表示手段と、
表示された前記操作命令データから実行すべき1つの操作命令データをユーザに選択させる選択手段と
を有することを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記不揮発性メモリに格納された前記操作命令データは、操作命令データ作成手段により作成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理と、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。
【請求項6】
前記メモリ装着部に前記不揮発性メモリが装着されたことを認識する認識処理と、
前記認識処理によって前記不揮発性メモリが装着されたことを認識した場合、前記コマンドデータに基づいて画像形成に関連する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置の制御プログラム。
【請求項7】
前記不揮発性メモリが、複数の前記操作命令データを有する場合、
前記不揮発性メモリに格納された複数の前記操作命令データを、ユーザが選択できるよう表示する処理と、
表示された前記操作命令データから実行すべき1つの操作命令データをユーザに選択させる処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項5ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御プログラム。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出すステップと、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換するステップと
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項1】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって実行する画像形成装置であって、
着脱可能な不揮発性メモリを装着するメモリ装着部と、
前記メモリ装着部に装着された前記不揮発性メモリに格納されている操作命令データを前記コマンドデータに変換する操作命令データ変換手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メモリ装着部に前記不揮発性メモリが装着されたことを認識するメモリ装着認識手段を有し、
前記不揮発性メモリが前記メモリ装着部に装着されたことを前記メモリ装着認識手段が認識した場合、前記コマンドデータに基づいて画像形成に関連する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリが、複数の前記操作命令データを有する場合、
前記不揮発性メモリに格納された複数の前記操作命令データを、ユーザが選択できるよう表示する表示手段と、
表示された前記操作命令データから実行すべき1つの操作命令データをユーザに選択させる選択手段と
を有することを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記不揮発性メモリに格納された前記操作命令データは、操作命令データ作成手段により作成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出す処理と、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。
【請求項6】
前記メモリ装着部に前記不揮発性メモリが装着されたことを認識する認識処理と、
前記認識処理によって前記不揮発性メモリが装着されたことを認識した場合、前記コマンドデータに基づいて画像形成に関連する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置の制御プログラム。
【請求項7】
前記不揮発性メモリが、複数の前記操作命令データを有する場合、
前記不揮発性メモリに格納された複数の前記操作命令データを、ユーザが選択できるよう表示する処理と、
表示された前記操作命令データから実行すべき1つの操作命令データをユーザに選択させる処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項5ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御プログラム。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
画像形成に関連する所定の処理をコマンドデータによって制御する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置のメモリ装着部に装着された不揮発性メモリに格納されている操作命令データを読み出すステップと、
読み出された前記操作命令データを前記コマンドデータに変換するステップと
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−41506(P2010−41506A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203341(P2008−203341)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]