説明

画像形成装置、そのUI画面統一用UIクライアント及び拡張コンソール付画像形成装置並びに設定値選択対処方法

【課題】統一UI画面上で設定不可の選択肢が画像形成装置側に存在したり、機種取替により設定不可の選択肢が変化したりしても、UIサーバ側でUI画面表示用細部データを変更することなく、対処できるようにする。
【解決手段】UIサーバ30がUI画面を1元管理するので、UI画面ファイルは全ての画像形成装置に対して同一である。これらのファイルに統一的に含まれるスクリプトにより、設定値更新要求がWebサービス(WS)クライアント602及びWSサーバ501を介して選択可否判定部503に伝達され、選択可否判定部503により設定状態ツリー504が用いられて選択可否が判定され、その結果がWSサーバ501及びWSクライアント602を介してWebブラウザ601に返答され、選択不可の場合にはその情報がタッチパネルに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、該画像形成装置の拡張コンソールであるUIクライアントと、該UIクライアントの画面遷移を管理するUIサーバとが、通信媒体を介して結合されたネットワークにおける画像形成装置、そのUI画面統一用UIクライアント、拡張コンソール付画像形成装置、UIクライアントの機能が組み込まれた画像形成装置並びにこのネットワークでの設定値選択対処方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メーカや型式(機種)の異なる複数の画像形成装置のUI画面を統一するために、各画像形成装置に、タッチパネル型液晶表示装置を備えたUIクライアントを外付けし、通信媒体を介しこれらとUIサーバとを結合してLANを構成し、このUIサーバからUIクライアントのWebブラウザがHTMLファイルを取得してこのタッチパネルにUI画面を表示する方法が用いられている(下記特許文献1、2)。
【0003】
この方法によれば、複数台の画像形成装置のUI画面が統一されるので、ユーザの操作性が向上する。
【特許文献1】特開2004−536513号公報
【特許文献2】特開2006−127503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、画像形成装置の機種により、例えばスキャナによる写真画像の読取解像度を自動モードに設定可能なものと不可能なものとがある。このような場合、選択不可の選択肢を表示させないように、UI(ユーザインターフェイス)画面表示用細部データを機種に応じてUIサーバ側で変更すると、細部において統一性が失われるとともに、機種に応じてUIサーバ側で対処しなければならいので、コスト高となる。また、このようなLAN(ローカルエリアネットワーク)で一部の機種を取り替えると、これに応じてUIサーバ側で対処しなければならい。
【0005】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、統一UI画面上で設定不可の選択肢が画像形成装置側に存在したり、機種取替により設定不可の選択肢が変化したりしても、UIサーバ側でUI画面表示用細部データを変更することなく、対処することが可能な、画像形成装置、そのUI画面統一用UIクライアント及び拡張コンソール付画像形成装置、UIクライアントの機能が組み込まれた画像形成装置並びにネットワークにおける設定値選択対処方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様では、画像形成装置と、該画像形成装置の拡張コンソールであるUIクライアントと、該UIクライアントの画面遷移を管理するUIサーバとが、通信媒体を介して結合されたネットワークにおける設定値選択対処方法において、
該画像形成装置の記憶手段に、選択不可の設定情報が格納され、
(a)該UIクライアントが、該UI画面を介した設定値選択又はその確定に応答して、設定値選択情報を該画像形成装置宛に送信し、
(b)該画像形成装置が、該設定値選択情報の受信に応答して、該選択不可の設定情報を参照して選択可否を判定し、否定判定した場合には、設定値選択不可であることを示す情報を該UIクライアント宛に送信する、
ステップを有する。
【0007】
本発明による設定値選択対処方法の第2態様では、第1態様において、
(c)該UIクライアントが、該設定値選択不可であることを示す情報の受信に応答して、この情報に対応したものを該UI画面に表示するステップをさらに有する。
【0008】
本発明による設定値選択対処方法の第3態様では、第1又は2態様において、該選択不可の設定情報は、該UI画面で選択可能な複数の設定状態の全てのうち選択不可の設定状態のみの情報である。
【0009】
本発明による設定値選択対処方法の第4態様では、第2態様において、該UI画面はWebブラウザで表示され、ステップ(a)での送信対象はSOAPリクエストメッセージであり、ステップ(c)での送信対象はSOAPリスポンスメッセージである。
【発明の効果】
【0010】
上記第1態様の構成によれば、画像形成装置の記憶手段に、選択不可の設定情報が格納され、UIクライアントが、そのUI画面を介した設定値選択又はその確定に応答して、設定値選択情報を該画像形成装置宛に送信し、該画像形成装置がその受信に応答して、該選択不可の設定情報を参照して選択可否を判定し、否定判定した場合には、設定値選択不可であることを示す情報を該UIクライアント宛に送信するので、UIサーバ側でUI画面表示プログラムの細部を画像形成装置の機種に応じて設計変更することなく、対処することが可能となるという効果を奏する。特に、システム内の一部の画像形成装置を取り替えても、該UIサーバ側で該プログラムを設計変更することなく対処することが可能となるという効果を奏する。
【0011】
上記第2態様の構成によれば、該UIクライアントが、該設定値選択不可であることを示す情報の受信に応答して、この情報に対応したものを該UI画面に表示するので、該UIクライアント側での機種非依存の対処が簡単であるという効果を奏する。
【0012】
上記第3態様の構成によれば、該選択不可の設定情報が、該UI画面で選択可能な複数の設定状態の全てのうち選択不可の設定状態のみの情報であるので、設定可否判定のためのデータ量を大幅に削減できるという効果を奏する。
【0013】
上記第4態様の構成によれば、汎用技術を用いるので、開発コストを低減できるという効果を奏する。
【0014】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0015】
図7は、本発明の実施例1に係る画像形成システムの概略図である。
【0016】
このシステムでは、機種が互いに異なる拡張コンソール付画像形成装置10及び20と、UIサーバ30とが、LAN40に結合されている。簡単化のため、図7では複数の画像形成装置が2台である場合を記載している。UIサーバ30は、機種の異なる複数の画像形成装置のUI画面を統一するためのものであり、各画像形成装置のUI画面の遷移を管理する。この目的に為に、拡張コンソール付画像形成装置10では、画像形成装置50にUIクライアント60が外付けされている。UIクライアント60は、通常のコンピュータシステムであり、UIクライアント本体61にタッチパネル62が結合されて、画像形成装置50に対する拡張コンソールとして機能する。拡張コンソール付画像形成装置20についても装置10と同様である。
【0017】
以下、拡張コンソール付画像形成装置10とUIサーバ30との関係について説明するが、拡張コンソール付画像形成装置20とUIサーバ30との関係についても同様である。
【0018】
図8は、図7のシステムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0019】
画像形成装置50では、MPU51がインターフェイス52を介してPROM53、DRAM54、操作パネル55、スキャナ56、プリンタ57、FAXモデム58及びネットワークインターフェイス59に結合されている。図8では、簡単化のため、複数のインターフェイスを1つのブロックインターフェイス52で示している。
【0020】
PROM53は、例えばフラッシュメモリであり、これには、オペレーティングシステム(OS)と、各種ドライバと、OSの上層で動作する各種プログラムと、各種設定値とが格納されている。各種プログラムは、画像形成機能部と、Webサービスサーバ(WSサーバ)と、設定部とを含む。この画像形成機能には、コピー、スキャン、プリント、ファクシミリ送受信及び電子メール送受信がある。該WSサーバは、SOAP/HTTPプロトコルに則っている。該設定部は、設定値選択可否判定メソッドと、設定値選択可能と判定された場合に実行される設定値更新メソッドと、設定値選択可否判定に用いられる設定状態ツリーとを含んでいる。
【0021】
DRAM14は、ワークエリア用であり、描画データのビットマップ展開等に用いられる。
【0022】
操作パネル55は、表示部とキー入力部とを備えており、設定情報又は指示を入力し、選択画面や設定画面などを表示させるためのものである。本実施例では、通常、操作パネル55の替わりにUIクライアント60が使用され、システム故障時に操作パネル55が使用される。
【0023】
スキャナ56は、コピー及びファクシミリ送信での画像入力用である。
【0024】
プリンタ57は、プリントエンジン、トナーカートリッジ、定着器並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備えており、印刷データとして供給されるビットマップデータに基づきプリントエンジンの感光ドラムに静電潜像を形成し、これをトナーで現像し、用紙に転写し定着させた後に排紙する。
【0025】
FAXモデム58は、ファクシミリ送受信用である。ネットワークインターフェイス59は、LAN40に結合され、FAXモデム58は、不図示の公衆回線網に結合される。
【0026】
UIクライアント本体61では、MPU63がインターフェイス64を介してPROM65、DRAM66、HDD67、ネットワークインターフェイス68及びタッチパネル62に結合されている。
【0027】
PROM65には、BIOS(Basic Input/Output System)及びその設定値が格納されている。DRAM66は、仮想記憶方式における主記憶装置として用いられる。
【0028】
HDD67には、OSと、各種ドライバと、画像形成装置50のWSサーバに対するWebサービス(WS)クライアントと、OSのTCP層から受け取ったUI画面表示ファイル(HTML又はXHTMLファイル)をタッチパネル62に表示するためのWebブラウザとがインストールされている。
【0029】
同様に、UIサーバ30では、MPU33がインターフェイス34を介してPROM35、DRAM36、HDD37、ネットワークインターフェイス38及び会話型入出力装置32に結合されている。
【0030】
会話型入出力装置32は、入力装置としてキーボードとポインティンデバイスとを備え、出力装置として表示装置を備えている。
【0031】
PROM35には、BIOS及びその設定値が格納されている。DRAM36は、仮想記憶方式における主記憶装置として用いられる。
【0032】
HDD37には、OSと、各種ドライバと、各画像形成装置の各種設定値が格納されたデータベース(DB)と、このデータベースを管理(データの検索、更新及、追加、整合性チェック、排他ロック及び共有ロックを含む)するプログラム(DBMS)と、Webサーバと、Webアプリケーションとがインストールされている。このWebアプリケーションは、Webサーバからの指示に対し、該データベースのデータを用いてHTML又はXHTMLファイルを動的に生成し又は該データベースのデータを更新する。
【0033】
以下では、拡張コンソール付画像形成装置10に原稿をセットし、タッチパネル62を操作して原稿画像をスキャンする場合について説明する。
【0034】
タッチパネル62には、図4に示すようなUI画面70が表示されているとする。UI画面70には、設定値選択用のセレクトボックス71〜75と、制御用のスキャンボタン76及びスキャン停止ボタンと、メインメニュー画面に戻るためのボタン78とが表示されている。
【0035】
セレクトボックス71〜75は何れも、矢印部をタッチすると、ブラウザの機能により、ドロップダウンリストが現れてこれに複数の選択肢が表示される。これら選択肢の1つをタッチすると、ブラウザの機能により、ドロップダウンリストが消失してテキストボックスに選択した設定値が表示される。また、このタッチにより選択肢が変わると、onChangeイベントが発生して、後述の処理が行われる。
【0036】
セレクトボックス71はカラーモード設定用であり、その選択肢には図5(A)に示すように、カラーとモノクロとがある。
【0037】
セレクトボックス72は原稿タイプ設定用であり、その選択肢には図5(A)に示すように、テキストと写真とがある。
【0038】
セレクトボックス73は解像度設定用であり、図5(A)に示すように、カラーモードと原稿タイプとの組み合わせにより選択肢が異なる。
【0039】
セレクトボックス74は原稿の向き設定用であり、その選択肢には縦方向と横方向がある。セレクトボックス75は原稿サイズ設定用であり、その選択肢にはA3、A4、B4等がある。
【0040】
図4では、各スキャン設定項目の初期値が選択されているとする。この初期値は、図5(A)に示す設定状態ツリーのノード80(スキャナにおいて「モノクロ」、「テキスト」及び「600dpi」が選択されている設定状態)に対応している。図5(A)では簡単化のために、スキャンに関して最上位から4階層までの設定情報を示している。
【0041】
図4の初期設定値選択状態で、原稿タイプを「写真」にすると、設定状態は図5(A)のノード82で表される。次に、カラーモードを「カラー」にすると、図5(A)のノード83、84及び85が選択されたことになり、設定状態はノード85で表される。
【0042】
ここで、原稿タイプが写真である場合、原稿読取解像度を自動的に定める「Auto」が選択不可であるとする。タッチパネル62には、機種によらず統一UI画面が表示されるので、選択不可であってもその設定値が表示される。そこで、「Auto」が選択不可であることを示すために、「Auto=false」と記述されている。同様に、カラーモードがモノクロで原稿タイプが写真である場合、解像度1200dpiが選択不可であることを示すために、「1200dpi=false」と記述されている。
【0043】
図1は、図8のシステムのソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0044】
画像形成装置50の通信部500、UIクライアント60の通信部600及びUIサーバ30の通信部300はいずれも、ネットワークインターフェイスのドライバ(データリンク層)並びにOSのTCP/IP層及びソケットレイヤのプログラムを備えている。
【0045】
画像形成装置50は、通信部500、WSサーバ501、画像形成機能部502及び設定部を備え、この設定部は、選択可否判定部503、設定状態ツリー504及び設定値更新部505を備えている。
【0046】
UIクライアント60は、通信部600、Webブラウザ601及びWSクライアント602を備えている。WSクライアント602は、Webブラウザ601に組み込まれていてもよい。Webブラウザ601のインタプリタ機能により解釈実行されるXHTMLファイル内スクリプトとWSクライアント602との組み合わせは、Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)の技術を用いている。
【0047】
UIサーバ30は、通信部300、Webサーバ301、Webアプリケーション302及びデータ管理部303を備えている。データ管理部(データベースサーバ)303は、各画像形成装置の設定状態値を格納したデータベース(DB)と、これに対するアクセスを管理するDBMS(データベースマネジメントシステム)とを備えている。
【0048】
Webアプリケーション302は、Webサーバ301からのHTTPリクエストメッセージの内容に応じて、管理部304をアクセスして画像形成装置の設定状態を更新し、Webブラウザ601に送信するためのUI画面ファイル(HTML又はXHTMLファイル)をDB内の設定状態を用いて動的に生成する。
【0049】
図4のUI画面70を表示するためのUI画面ファイルには、そのヘッダ部にイベントハンドラが記述され、そのFormに、セレクトボックス71〜75のそれぞれに対応した選択入力フィールド(Selectボックス)と、ボタン76〜78のそれぞれに対応した送信ボタンフィールドとが記述され、これらフィールドのそれぞれに、スクリプト(例えばJavaScript)によるイベントハンドラ呼出が記述されている。選択入力フィールドは、カラーモード、原稿タイプ、解像度、原稿の向き及び原稿サイズのそれぞれの設定値をリスト内から選択するものである。各選択入力フィールドについて、選択により設定値が変化するとonChangeイベントが発生し、これに応答する処理がイベントハンドラで行われる。また、各送信ボタンフィールドについて、onClickイベントが発生し、これに応答する処理がイベントハンドラで行われる。
【0050】
セレクトボックス71〜75のいずれかで設定値が変更されると、対応するイベントハンドラにより、図3(A)に示す処理が開始される。以下、括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0051】
(S10)動作名「設定値変更」及び動作対象の機能名「スキャナ」を示す識別子並びに動作対象の選択フィールドの名前(カラーモード等)及び値(変更された設定値)を含む、機種に依存しない設定値変更要求がWSクライアント602に対して行われる。
【0052】
WSクライアント602は、この要求に応答して、画像形成装置50から予め受信しておいたWSDL(Web Services Description Language)ファイル及びSOAPプロトコルに則ってSOAPリクエストメッセージを生成し、これをボディに含むHTTPリクエストメッセージを作成し、通信部600を介して送信する。このSOAPリクエストメッセージには、画像形成装置50の選択可否判定部503のURIと、オブジェクト名と、このオブジェクト内の設定値変更用メソッド名と、このメソッドの引数が含まれる。
【0053】
通信部500は、通信部600からのリクエストメッセージを受信してWSサーバ501に渡し、WSサーバ501は、このメッセージから情報を抽出し、この情報が「設定値更新」を意味している場合、選択可否判定部503にディスパッチする。
【0054】
これにより、図2に示す処理が開始される。図2は、主に選択可否判定部503による処理を示す概略フローチャートである。
【0055】
設定状態ツリー504には、現在の設定状態を識別する変数Sに、ノード識別子、例えば図5(A)のノード80の識別子が代入されている。
【0056】
(S0)選択可否判定部503の引数である上記動作対象、例えば「スキャナ」、「原稿タイプ」及び「写真」と、変数Sの内容とに基づいて、変数S、すなわち現在の設定状態を更新する。例えば、図5(A)に示すような、全ての設定状態を示す設定状態ツリー504上で、更新前に変数Sがノード80を示していた場合、この更新により変数Sがノード82を示す。
【0057】
(S1)この設定状態に属する設定値に、選択不可のもの、本実施例では"=false"が含まれていれば、ステップS4へ進み、そうでなければステップS2へ進む。例えば、「スキャナ」、「モノクロ」、「テキスト」、「1200dpi」の設定状態で、「テキスト」を「写真」に変更した場合、「1200dpi=false」となる。
【0058】
(S2)選択可否判定部503の上記引数を引数として設定値更新部505を呼び出す。これにより、この名前の設定値が更新される。例えば、「スキャナ」の「原稿タイプ」が「テキスト」から「写真」に変更される。
【0059】
(S3)更新が成功したことを示す情報を、変数RV1に代入し、ステップS7へ進む。
【0060】
(S4)更新可能な設定値を更新する。上記ステップS1で述べた例の場合、「テキスト」を「写真」に変更することはできるので、上記ステップS2と同じ処理を行う。
【0061】
例えば、「スキャナ」、「モノクロ」、「写真」、「600dpi」の設定状態で、「600dpi」を「1200dpi」に変更した場合には、「1200dpi=false」であるので、設定値を更新しない。
【0062】
(S5)更新が失敗したことを示す情報を、変数RV1に代入する。
【0063】
(S6)ステップS1で検出された選択不可のものを示す選択不可情報、例えば上記の場合には「解像度1200dpi」を、変数RV2に代入する。
【0064】
(S7)変数R1及びR2の内容を戻り値とする。
【0065】
WSサーバ501は、これら戻り値R1及びR2の内容をメッセージボディに含むSOAPリスポンスメッセージを作成し、これにHTTPヘッダを付加してHTTPリスポンスメッセージを作成し、通信部500を介して送信する。
【0066】
通信部600は、通信部500からのリクエストメッセージを受信してWSクライアント602に渡し、WSクライアント602は、このメッセージから変数R1及びR2の内容を抽出し、これらを戻り値としてWebブラウザ601のイベントハンドラ内の呼出元へ渡す。このイベントハンドラは、これに応答して図3(A)に示すステップS11の処理を開始する。
【0067】
(S11)変数RV1の内容が設定値変更失敗を示している場合、ステップS12へ進み、そうでなければステップS14へ進む。
【0068】
(S12)現在表示しているXHTMLファイル内の所定テキストボックスに、RV2+"は選択できません。"を代入する。すなわち、XHTMLファイル内の一部を動的に変更する。これにより、上記の場合、図6(A)に示すように、UI画面上に「解像度1200dpiは選択できません。」と表示される。
【0069】
(S14)スクリプトの変数(スキャン禁止フラグ)Fiに、0を代入し、このイベントハンドラの処理を終了する。
【0070】
(S15)上記所定テキストボックスに、空文字""を代入する。
【0071】
(S16)スキャン禁止フラグFiに、1を代入し、このイベントハンドラの処理を終了する。これにより、例えば図6(B)に示すようなUI画面の表示が得られる。
【0072】
UIサーバ30がUI画面を1元管理するので、UI画面ファイルは全ての画像形成装置に対して同一である。本実施例1によれば、これらのファイルに統一的に含まれるスクリプトにより、設定値更新要求がWSクライアント602及びWSサーバ501を介して選択可否判定部503に伝達され、選択可否判定部503により設定状態ツリー504が用いられて選択可否が判定され、その結果がWSサーバ501及びWSクライアント602を介してWebブラウザ601に返答され、選択不可の場合にはその情報がタッチパネル62に表示される。これにより、UIサーバ30側でUI画面表示プログラムの細部を画像形成装置の機種に応じて設計変更することなく、対処することが可能となるという効果を奏する。特に、システム内の一部の画像形成装置を取り替えても、UIサーバ30側で該プログラムを設計変更することなく対処することが可能となるという効果を奏する。
【0073】
また、選択可否判定部503での選択可否判定方法が設定状態に依存しないので、機種に応じて設定状態ツリー504を作成するだけで、様々な設定可否を同一プログラムの選択可否判定部503で判定できるというという効果を奏する。
【0074】
タッチパネル62のUI画面70上でボタン76をタッチすると、図3(B)に示すイベントハンドラ(UI画面ファイル内のスクリプト)の処理が開始される。
【0075】
(S20)スキャン禁止フラグFiの値が1であれば、このイベントハンドラの処理を終了し、そうでなければステップステップS21へ進む。
【0076】
(S21)WSクライアント602に対してスキャンスタートを要求する。
【0077】
この要求は、上記同様にしてWSクライアント602、通信部600、通信部500及びWSサーバ501を介し、画像形成機能部502へ伝達される。画像形成機能部502はこれに応答して、現在の設定状態で、スキャン機能を実行する。
【0078】
タッチパネル62のUI画面70上でボタン77をタッチすると、同様にしてその情報が画像形成機能部502へ伝達され、画像形成機能部502がスキャン機能の実行を停止する。
【0079】
タッチパネル62のUI画面70上でボタン78をタッチすると、UIサーバ30に対しメインUI画面のファイルが要求され、その応答によりタッチパネル62にメインUI画面が表示される。
【0080】
本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、上述の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。例えば、本発明には以下のような変形例が含まれる。
【0081】
(1)設定状態ツリーは、あるノード以下に選択不可のノードがなければ、該あるあるノード以下を省略してもよい。
【0082】
(2)図5(A)に示す設定状態ツリーの替わりに、図5(B)に示すような、選択不可の設定状態のみ含む不可設定状態ツリーを用い、変数Sの替わりに、現在の設定状態を記憶する構造体変数を用い、現在の設定状態が不可設定状態ツリーに含まれているかどうかを図2のステップS1で判定する構成であってもよい。この構成によれば、設定可否判定のためのデータ量を大幅に削減できるという効果を奏する。
【0083】
(3)UI画面用HTML又はXHTMLファイルの記述を上記実施例のものから変えて、確定ボタンをFormに備え、確定ボタンをタッチした時に、現在の設定状態(設定値の組)を上記のようにして選択可否判定部503へ送信し、上記同様の処理を行うようにしてもよい。
【0084】
(4)WSクライアント602を用いずに、XHTML内のスクリプトでWSクライアント602の機能を実行する構成であってもよい。
【0085】
(5)画像形成機能の実行はスキャン実行に限定されず、コピー、プリント、ファクシミリ送信又は電子メール送信の実行であってもよい。
【0086】
(6)Webサービスで用いるプロトコルは、SOAPに限定されず、Webサービスを実現できるものであればよい。
(7)WSDLファイルを用いずに、WSクライアント602から画像形成装置50のWSサーバ501を介しデバイスドライバ、スキャナの場合は例えばTwainドライバに対し、デバイスの機種に非依存の設定値又は制御指令を与える構成であってもよい。
【0087】
(8)UIクライアント60を備える替わりにそのプログラムを画像形成装置50の記憶手段に格納し、タッチパネル62の替わりに操作パネル55を用いる構成であってもよい。この場合、通信部600、WSクライアント602及びWSサーバ501を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図8のシステムのソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図4のセレクトボックス71〜75のいずれかで設定値が変更されたときに図1の選択可否判定部503で実行が開始される処理を示すフローチャートである。
【図3】(A)は、図4中のセレクトボックス71〜75のいずれかでの設定値変更に応答して開始されるイベントハンドラの処理を示すフローチャートであり、(B)は図に応答して開始されるイベントハンドラの処理を示すフローチャートである。
【図4】スキャナ設定及びスキャン実行のUI画面説明図である。
【図5】(A)は全設定状態を含む設定状態ツリーの説明図であり、(B)は選択不可の設定状態のみ含む設定状態ツリーの説明図である。
【図6】(A)及び(B)は、図3(A)の処理結果をWebブラウザで表示したときのUI画面説明図である。
【図7】本発明の実施例1に係る画像形成システムの概略図である。
【図8】図7のシステムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
10 拡張コンソール付画像形成装置
30 UIサーバ
31 UIサーバ本体
32 会話型入出力装置
33、51、63 MPU
34、52、64 インターフェイス
35、53、65 PROM
36、54、66 DRAM
37、67 HDD
38、59、68 ネットワークインターフェイス
50 画像形成装置
55 操作パネル
56 スキャナ
57 プリンタ
58 FAXモデム
60 UIクライアント
61 UIクライアント本体
62 タッチパネル
70 UI画面
71〜75 セレクトボックス
76〜78 ボタン
80〜85 ノード
300、500、600 通信部
301 Webサーバ
302 Webアプリケーション
303 データ管理部
501 WSサーバ
502 画像形成機能部
503 選択可否判定部
504 設定状態ツリー
505 設定値更新部
601 Webブラウザ
602 WSクライアント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、該画像形成装置の拡張コンソールであるUIクライアントと、該UIクライアントの画面遷移を管理するUIサーバとが、通信媒体を介して結合されたネットワークにおける設定値選択対処方法において、
該画像形成装置の記憶手段に、選択不可の設定情報が格納され、
(a)該UIクライアントが、該UI画面を介した設定値選択又はその確定に応答して、設定値選択情報を該画像形成装置宛に送信し、
(b)該画像形成装置が、該設定値選択情報の受信に応答して、該選択不可の設定情報を参照して選択可否を判定し、否定判定した場合には、設定値選択不可であることを示す情報を該UIクライアント宛に送信する、
ステップを有することを特徴とする設定値選択対処方法。
【請求項2】
(c)該UIクライアントが、該設定値選択不可であることを示す情報の受信に応答して、この情報に対応したものを該UI画面に表示する、
ステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の設定値選択対処方法。
【請求項3】
該選択不可の設定情報は、該UI画面で選択可能な複数の設定状態の全てのうち選択不可の設定状態のみの情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の設定値選択対処方法。
【請求項4】
該UI画面はWebブラウザで表示され、
ステップ(a)での送信対象はSOAPリクエストメッセージであり、
ステップ(c)での送信対象はSOAPリスポンスメッセージである、
ことを特徴とする請求項2に記載の設定値選択対処方法。
【請求項5】
プロセッサと、プログラムとデータとが格納された記憶手段と、通信インターフェイスと、操作パネルとを備え、該通信インターフェイスに通信媒体を介して、拡張コンソールであるUIクライアントと、該UIクライアントのUI画面の遷移を管理するUIサーバとが結合される画像形成装置において、
該データは、選択不可の設定情報を含み、
該プログラムは該プロセッサに対し、
該UIクライアントからの設定値選択情報の受信に応答して、該選択不可の設定情報を参照させて選択可否を判定させ、
否定判定した場合には、設定値選択不可であることを示す情報を該UIクライアント宛に送信させる、
ステップを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
該選択不可の設定情報は、該UI画面で選択可能な複数の設定状態の全てのうち選択不可の設定状態のみの情報であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
プロセッサと、プログラムとデータとが格納された記憶手段と、通信インターフェイスと、操作パネルとを備え、該通信インターフェイスに、通信媒体を介して、該操作パネルのUI画面の遷移を管理するUIサーバが結合される画像形成装置において、
該データは、選択不可の設定情報を含み、
該プログラムは該プロセッサに対し、
該操作パネルを介した設定値選択に応答して、該選択不可の設定情報を参照させて選択可否を判定させ、
否定判定した場合には、該設定値選択が不可であることを示す情報を該UI画面に表示させる、
ステップを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
プロセッサと、プログラムが格納された記憶手段と、通信インターフェイスと、会話型入出力手段とを備え、該通信インターフェイスに通信媒体を介して、画像形成装置と、該会話型入出力手段のUI画面の遷移を管理するUIサーバとが結合され、該画像形成装置の拡張コンソールとして機能する画像形成装置用UIクライアントにおいて、
該プログラムは該プロセッサに対し、
(a)該UI画面を介した設定値選択又はその確定に応答して、設定値選択情報を該画像形成装置宛に送信させ、
(b)該画像形成装置からの、設定値選択不可であることを示す情報の受信に応答して、この情報に対応したものを該UI画面に表示させる、
ステップを有することを特徴とする画像形成装置用UIクライアント。
【請求項9】
請求項5又は6に記載の画像形成装置と、
該画像形成装置に外付けされた、請求項8に記載の画像形成装置用UIクライアントと、
を有することを特徴とする拡張コンソール付画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−187161(P2009−187161A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24760(P2008−24760)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】