説明

画像形成装置、システム、情報処理方法、情報処理プログラム、及び記録媒体

【課題】種々の情報処理を実行する画像形成装置について、当該画像形成装置に装備されている記憶手段を、当該画像形成装置だけでなく当該画像形成装置に接続された種々の機器までが利用できるようにして、当該情報処理の実行環境を好適化する。
【解決手段】特定の画像形成処理用のファイルを格納し、前記特定の画像形成処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の画像形成処理を実行する画像形成処理手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー/プリンタ/スキャナ/ファクシミリ/複合機/融合機等の画像形成装置と、システムと、情報処理方法と、情報処理プログラムと、CD−ROM等の記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機能とプリンタ機能とスキャナ機能とファクシミリ機能を備える複合機や融合機が市販されるようになった。複合機や融合機は、コピーやプリンタとして機能する場合には、画像を印刷用紙に印刷することになり、コピーやスキャナとして機能する場合には、画像を読取原稿から読み取ることになり、ファクシミリとして機能する場合には、画像を電話回線を介して他の機器と授受することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合機や融合機では、アプリケーションやプラットフォームと言った様々なプログラムにより様々な情報処理が実行される。当該情報処理に係る情報の記憶先として、複合機や融合機にはハードディスクドライブやメモリカードと言った様々な記憶手段が装備されているが、複合機や融合機に装備されたハードディスクドライブやメモリカードを、複合機や融合機だけでなく複合機や融合機に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)までが利用できるようにすれば、当該情報処理の実行環境がより好適なものとなる。
【0004】
本発明は、種々の情報処理を実行する画像形成装置について、当該画像形成装置に装備されている記憶手段を、当該画像形成装置だけでなく当該画像形成装置に接続された種々の機器までが利用できるようにして、当該情報処理の実行環境を好適化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置であって、特定の画像形成処理用のファイルを格納し、前記特定の画像形成処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の画像形成処理を実行する画像形成処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、上記画像形成装置において、前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でプリント処理を実行するプリント処理手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記画像形成装置において、前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でファクシミリ送信処理を実行するファクシミリ送信処理手段を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記画像形成装置において、外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置であって、特定の通信処理用のファイルを格納し、前記特定の通信処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の通信処理を実行する通信処理手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記画像形成装置において、前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル転送処理を実行するファイル転送処理手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記画像形成装置において、前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル更新処理を実行するファイル更新処理手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記画像形成装置において、前記通信処理手段として、前記ファイルが添付されたメールについてメール配信処理を実行するメール配信処理手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記画像形成装置において、前記分散ファイルシステムは、NFSの分散ファイルシステムであることを特徴とする。
【0013】
また、上記画像形成装置において、前記分散ファイルシステムは、sambaの分散ファイルシステムであることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、種々の情報処理を実行する画像形成装置について、当該画像形成装置に装備されている記憶手段を、当該画像形成装置だけでなく当該画像形成装置に接続された種々の機器までが利用できるようにして、当該情報処理の実行環境を好適化することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に該当する融合機を表す。
【図2】図1の融合機に係るハードウェア構成図である。
【図3】図1の融合機に係る外観図である。
【図4】オペレーションパネルを表す。
【図5】融合機起動部を表す。
【図6】SDメモリカード用スロットとSDメモリカードに係るソフトウェアを表す。
【図7】NFSに係る情報処理システムを表す。
【図8】NFSに係る情報処理の例について説明するためのフローチャートである。
【図9】dfコマンドによる表示結果の例である。
【図10】NFSの利用態様の具体例について説明するための図である。
【図11】プリント処理に係るシーケンス図である。
【図12】ファクシミリ送信処理に係るシーケンス図である。
【図13】プリント処理に係るシーケンス図である。
【図14】ファクシミリ送信処理に係るシーケンス図である。
【図15】ファイル転送処理に係るシーケンス図である。
【図16】ファイル更新処理に係るシーケンス図である。
【図17】メール配信処理に係るシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例に該当する融合機101を表す。図1の融合機101は、種々のハードウェア111と、種々のソフトウェア112と、融合機起動部113により構成される。
【0018】
融合機101のハードウェア111としては、撮像部121と、印刷部122と、その他のハードウェア123が存在する。撮像部121は、読取原稿から画像(画像データ)を読み取るためのハードウェアである。印刷部122は、画像(画像データ)を印刷用紙に印刷するためのハードウェアである。
【0019】
融合機101のソフトウェア112としては、種々のアプリケーション131と、種々のプラットフォーム132が存在する。これらのプログラムは、UNIX(登録商標)等のOS(オペレーティングシステム)によりプロセス単位で並列的に実行される。
【0020】
アプリケーション131としては、コピー用のアプリケーションであるコピーアプリ141、プリンタ用のアプリケーションであるプリンタアプリ142、スキャナ用のアプリケーションであるスキャナアプリ143、ファクシミリ用のアプリケーションであるファクシミリアプリ144、ネットワークファイル用のアプリケーションであるネットワークファイルアプリ145が存在する。
【0021】
アプリケーション131は、専用のSDK(ソフトウェア開発キット)を使用して開発することができる。SDKを使用して開発したアプリケーション131をSDKアプリと呼ぶ。SDKは、プラットフォーム132の実行形式ファイル、プラットフォーム132の専用関数ライブラリ、C言語の標準関数ライブラリ、アプリケーション131のソースファイルをコンパイルすることでアプリケーション131のオブジェクトファイルを生成するコンパイラ、アプリケーション131のオブジェクトファイルを専用関数ライブラリや標準関数ライブラリにリンクさせることでアプリケーション131の実行形式ファイルを生成するリンカで構成されている。SDKのコンパイラには、ソースコード内の関数の入口や出口にデバッグ用検証コードである「タグ」を付加するオプション機能(デバッグオプション)が用意されている。デバッグ用検証コードである「タグ」を付加したSDKアプリを融合機101内で起動させると、融合機101に接続されたコンソールPC102等に、SDKアプリの変数値や関数引数や関数戻り値がメッセージと共に表示される。これにより、SDKアプリのデバッグ作業を効率的に実行することができるようになる。
【0022】
プラットフォーム132としては、種々のコントロールサービス151、システムリソースマネージャ152、種々のハンドラ153が存在する。コントロールサービス151としては、ネットワークコントロールサービス(NCS)161、ファクシミリコントロールサービス(FCS)162、デリバリコントロールサービス(DCS)163、エンジンコントロールサービス(ECS)164、メモリコントロールサービス(MCS)165、オペレーションパネルコントロールサービス(OCS)166、サーティフィケーションコントロールサービス(CCS)167、ユーザディレクトリコントロールサービス(UCS)168、システムコントロールサービス(SCS)169が存在する。ハンドラ153としては、ファクシミリコントロールユニットハンドラ(FCUH)171、イメージメモリハンドラ(IMH)172が存在する。
【0023】
NCS161のプロセスは、ネットワーク通信の仲介を行う。FCS162のプロセスは、ファクシミリのAPIを提供する。DCS163のプロセスは、蓄積文書の配信処理に関する制御を行う。ECS164のプロセスは、撮像部121や印刷部122に関する制御を行う。MCS165のプロセスは、メモリやハードディスクドライブに関する制御を行う。OCS166のプロセスは、オペレーションパネルに関する制御を行う。CCS167のプロセスは、認証処理や課金処理に関する制御を行う。UCS168のプロセスは、ユーザ情報の管理に関する制御を行う。SCS169のプロセスは、システムの管理に関する制御を行う。
【0024】
アプリケーション131とプラットフォーム132の仲介を行うソフトウェア112として、仮想アプリケーションサービス(VAS)135が存在する。VAS135は、アプリケーション131をクライアントとするサーバプロセスとして動作すると共に、プラットフォーム132をサーバとするクライアントプロセスとして動作する。VAS135は、アプリケーション131から見てプラットフォーム132を隠蔽するラッピング機能を備え、プラットフォーム132のバージョンアップによるバージョン差を吸収する役割等を担う。
【0025】
融合機起動部113は、融合機101の電源投入時に最初に実行される。これにより、UNIX(登録商標)等のOSが起動され、アプリケーション131やプラットフォーム132が起動される。これらのプログラムは、ハードディスクドライブやメモリカードに蓄積されており、ハードディスクドライブやメモリカードから再生されて、メモリに起動されることになる。
【0026】
図2は、図1の融合機101に係るハードウェア構成図である。融合機101のハードウェア111としては、コントローラ201と、オペレーションパネル202と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)203と、撮像部121と、印刷部122が存在する。
【0027】
コントローラ201は、CPU211、ASIC212、NB221、SB222、MEM−P231、MEM−C232、HDD(ハードディスクドライブ)233、メモリカードスロット234、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)241、USBデバイス242、IEEE1394デバイス243、セントロニクスデバイス244により構成される。
【0028】
CPU211は、種々の情報処理用のICである。ASIC212は、種々の画像処理用のICである。NB221は、コントローラ201のノースブリッジである。SB222は、コントローラ201のサウスブリッジである。MEM−P231は、融合機101のシステムメモリである。MEM−C232は、融合機101のローカルメモリである。HDD233は、融合機101のストレージである。メモリカードスロット234は、メモリカード235をセットするためのスロットである。NIC241は、MACアドレスによるネットワーク通信用のコントローラである。USBデバイス242は、USB規格の接続端子を提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス243は、IEEE1394規格の接続端子を提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス244は、セントロニクス仕様の接続端子を提供するためのデバイスである。
【0029】
オペレーションパネル202は、オペレータが融合機101に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、オペレータが融合機101から出力を得るためのハードウェア(表示部)である。
【0030】
図3は、図1の融合機101に係る外観図である。図3には、撮像部121の位置と、印刷部122の位置と、オペレーションパネル202の位置が図示されている。図3には更に、読取原稿のセット先となる原稿セット部301と、印刷用紙の給紙先となる給紙部302と、印刷用紙の排紙先となる排紙部303が図示されている。
【0031】
オペレーションパネル202は、図4のように、タッチパネル311と、テンキー312と、スタートボタン313と、リセットボタン314と、初期設定ボタン315により構成される。タッチパネル311は、タッチ操作で入力を行うためのハードウェア(タッチ操作部)であると共に、画面表示で出力を得るためのハードウェア(画面表示部)である。テンキー312は、キー操作で数字入力を行うためのハードウェアである。スタートボタン313は、ボタン操作でスタート操作を行うためのハードウェアである。リセットボタン314は、ボタン操作でリセット操作を行うためのハードウェアである。初期設定ボタン315は、ボタン操作で初期設定画面を表示させるためのハードウェアである。
【0032】
原稿セット部301は、ADF(自動原稿搬送装置)321と、フラットベッド322と、フラットベッドカバー323により構成される。給紙部302は、4個の給紙トレイにより構成される。排紙部303は、1個の排紙トレイにより構成される。
【0033】
(融合機起動部)
図1の融合機起動部113について説明する。
【0034】
融合機起動部113は、図5のように、メモリモニタ部501と、プログラム起動部502により構成される。
【0035】
図1の融合機101の電源を投入すると、メモリモニタ部501を構成するBIOSとブートローダが起動されて、これにより、UNIX(登録商標)等のOSが起動される。続いて、プログラム起動部502を構成する起動処理用プログラムが起動されて、これにより、アプリケーション131やプラットフォーム132が適宜起動される。なお、UNIX(登録商標)が起動される場合には、UNIX(登録商標)のカーネルが起動されて、ルートファイルシステムが展開されて、アプリケーション131やプラットフォーム132に係るファイルシステムがルートファイルシステムにマウントされることになる。
【0036】
(メモリカード)
図2のメモリカード用スロット234とメモリカード235について説明する。
【0037】
メモリカード用スロット234は、アプリケーション131やプラットフォーム132等のプログラムが記憶されたメモリカード235をセット(挿入)するためのスロットである。図1の融合機101においては、アプリケーション131やプラットフォーム132等のプログラムは、メモリカード用スロット234にセットされたメモリカード235等に蓄積されており、メモリカード用スロット234にセットされたメモリカード235等から再生されて、MEM−P231やMEM−C232に起動されることになる。
【0038】
メモリカード235としては、フラッシュメモリカードの一種であるSD(Secure Digital)メモリカードを採用することにする。SDメモリカードを採用することで例えば、大容量のメモリを安価で利用できるというメリットを享受できる。なお、メモリカード用スロット234としては、SDメモリカード用スロットが採用される。
【0039】
図1の融合機101には、図6のように、SDメモリカード用スロット601とSDメモリカード602(メモリカード用スロット234とメモリカード235に相当する)に係るソフトウェアとして、SDメモリカードアクセスドライバ(SDaccess)611と、SDメモリカードステータスドライバ(SDstates)612と、起動処理用プログラム613と、SDメモリカードチェックプログラム(SDcheck)614が存在する。
【0040】
SDaccess611は、SDメモリカード602の挿入・抜出を検知する等、SDメモリカード602に対するアクセス制御を実行するドライバである。SDstates612は、SDメモリカード602の挿入・抜出・マウント・アンマウントに関する情報を管理するドライバである。起動処理用プログラム613は、図5のプログラム起動部502を構成するプログラムである。SDcheck614は、SDメモリカード602のマウント・アンマウントを実行するプログラムである。
【0041】
SDメモリカード用スロット601にSDメモリカード602が挿入された場合、SDaccess611は、SDメモリカード602が挿入された事を検知(S1)すると共に、SDstates612にその事を通知(S2)する。これに応じて、SDstates612は、SDメモリカード602が挿入された旨の情報を管理することにすると共に、起動処理用プログラム613にその旨を通知(S3)する。これに応じて、起動処理用プログラム613は、SDメモリカード602のマウントを実行させるために、SDcheck614を起動(S4)させる。これに応じて、SDcheck614は、SDメモリカード602のマウントを実行(S5)すると共に、SDstates612にその事を通知(S6)する。これに応じて、SDstates612は、SDメモリカード602がマウントされた旨の情報を管理することにすると共に、起動処理用プログラム613等にその旨を通知(S7)する。
【0042】
SDメモリカード用スロット601からSDメモリカード602が抜き出された場合、SDaccess611は、SDメモリカード602が抜き出された事を検知(S1)すると共に、SDstates612にその事を通知(S2)する。これに応じて、SDstates612は、SDメモリカード602が抜き出された旨の情報を管理することにすると共に、起動処理用プログラム613にその旨を通知(S3)する。これに応じて、起動処理用プログラム613は、SDメモリカード602のアンマウントを実行させるために、SDcheck614を起動(S4)させる。これに応じて、SDcheck614は、SDメモリカード602のアンマウントを実行(S5)すると共に、SDstates612にその事を通知(S6)する。これに応じて、SDstates612は、SDメモリカード602がアンマウントされた旨の情報を管理することにすると共に、起動処理用プログラム613等にその旨を通知(S7)する。
【0043】
なお、SDメモリカードを採用することで、いわゆる活線挿抜が可能になるというメリットを享受できる。すなわち、SDメモリカード用スロット601にSDメモリカード602を挿入する操作と、SDメモリカード用スロット601からSDメモリカード602を抜き出す操作が、融合機101の起動後に実行可能になる。
【0044】
(NFS)
以上の説明を踏まえて、図1の融合機101を備える図7の情報処理システムについて説明する。図7の情報処理システムは、融合機101とPC(パーソナルコンピュータ)701によって構成されている。融合機101とPC701は、LAN(ローカルエリアネットワーク)702によってネットワーク接続されている。LAN702はここでは、イーサネット(登録商標)によって構築されている。
【0045】
図1の融合機101では、アプリケーション131やプラットフォーム132と言った様々なプログラムによって様々な情報処理が実行される。図1の融合機101には、当該情報処理に係る情報の記憶先(保存先)として、HDD233やSDメモリカード602と言った様々な記憶手段が装備されている。図7の情報処理システムでは、融合機101に装備されたHDD233やSDメモリカード602(SDメモリカードスロット601にセットされているSDメモリカード602)を、融合機101だけではなくPC701までもが利用できるようになっている。
【0046】
これを実現するための技術として、分散ファイルシステムを実現するための技術の一種であるNFS(ネットワークファイルシステム)が利用されている。融合機101に装備されたHDD233内のファイルシステムが、PC701の分散ファイルシステムとして利用されるのである。図7の情報処理システムでは、融合機101の情報処理に係る情報の記憶先(保存先)として、PC701の分散ファイルシステムに該当する融合機101のファイルシステムが利用されることになる。
【0047】
融合機101に装備されたHDD233には、OS136としてここではUNIX(登録商標)がインストールされており、融合機101は、NFSの分散ファイルシステムのサーバ(NFSサーバ)として機能することができる。PC701に装備されたHDD703にも、OS706としてここではUNIX(登録商標)がインストールされており、PC701は、融合機101とネットワーク接続されて使用されることで、NFSの分散ファイルシステムのクライアント(NFSクライアント)として機能することができる。NFS関連の情報処理である「vfs(仮想ファイルシステム)オペレーション」や「v−node(仮想ノード)オペレーション」関連の情報処理は、これらのUNIX(登録商標)によって実行される。
【0048】
融合機101とPC701がNFS関連のネットワーク通信を行うためのネットワークプロトコルとして、OSI参照モデルのネットワーク層(第3層)ではIPが、トランスポート層(第4層)ではUDPが、セッション層(第5層)ではRPCが、プレゼンテーション層(第6層)ではXDRが使用される。アプリケーション層(第7層)ではNFSである。トランスポート層ではTCPを使用してもよいが、ここでは信頼性より高速性を優先してUDPを使用するものとする。
【0049】
分散ファイルシステムを実現するための技術として、NFSに代えてsambaを利用するようにしてもよい。融合機101に装備されたHDD233には、OS136としてUNIX(登録商標)をインストールしておいて、融合機101を、sambaの分散ファイルシステムのサーバ(sambaサーバ)として機能させる。PC701に装備されたHDD703には、OS706としてWindows(登録商標)をインストールしておいて、PC701を、sambaの分散ファイルシステムのクライアント(sambaクライアント)として機能させる。sambaを利用することで、Windows(登録商標)マシンがUNIX(登録商標)マシンの共有ディレクトリを利用できるようになるのである。
【0050】
融合機101とPC701とがsamba関連のネットワーク通信を行うためのネットワークプロトコルとして、OSI参照モデルの第3層ではIPが、第4層ではTCPが、第5層ではNetBIOSが、第6層ではSMBが使用される。第7層ではsambaである。なお、第3層と第4層とでNetBEUIを、第5層でNetBIOSを使用してもよい。また、第3層でIPXを、第4層と第5層とでSPXを使用してもよい。Windows(登録商標)のフォルダ共有機能やファイル共有機能は第6層のSMBによってサポートされているため、sambaサーバをSMBサーバ、sambaクライアントをSMBクライアントと呼ぶこともできる。
【0051】
以上のように、分散ファイルシステムを実現するための技術としては「NFS」を利用しても「samba」を利用してもその他の技術を利用してもよいのだが、以下、説明の便宜上「NFS」を利用する場合について説明することにする。
【0052】
図8により、PC701のアプリケーション708が融合機101のファイルシステム内に格納されたファイルにアクセスする場合にPC701にて実行される情報処理の例について説明する。
【0053】
PC701のアプリケーション708は、融合機101のファイルシステム内に格納されたファイルにアクセスする場合、融合機101のファイルシステムについてmountシステムコール(S801)を行う。これに応じて、PC701のOS706は、融合機101のファイルシステムをPC701にマウント(S802)させて、融合機101のファイルシステムをPC701の分散ファイルシステムとしてアクセス可能にする。
【0054】
これに続いて、PC701のアプリケーション708は、上記ファイルシステムにPC701の分散ファイルシステムとしてアクセスする事によって、上記ファイルにアクセスする。
【0055】
PC701のアプリケーション708は、上記のファイルへのアクセスを開始する際には、上記のファイルについてopenシステムコール(S803)を行って、上記のファイルへのアクセスを終了する際には、上記のファイルについてcloseシステムコール(S806)を行う。上記のファイルについてのopenシステムコールによって、PC701のアプリケーション708は、上記のファイルのファイル記述子を取得して、PC701のOS706は、上記のファイルのファイルハンドルを取得する。
【0056】
PC701のアプリケーション708は、上記のファイルにアクセスする際には、上記のファイルについてファイル記述子によるシステムコール(S804)を行う。これに応じて、PC701のOS706は、上記のファイルについてのファイル記述子によるシステムコールを、上記のファイルについてのファイルハンドルによるNFSコールとして、融合機101のOS136へと送信(S805)する。これを受信して、融合機101のOS136は、上記のファイルについてNFSコールの内容を実行する。
【0057】
図9により、PC701のファイルシステムについて説明する。UNIX(登録商標)では、HDDの記憶領域を複数のパーティションに分割して管理するようになっている。UNIX(登録商標)の慣例では、パーティションはaからhまで存在する。aがルートファイルシステム「/」であり、bがSWAPであり、cが全領域であり、dからhまでが「/usr」等のファイルシステムである。図9は、UNIX(登録商標)であるOS706のdfコマンドにより、PC701のファイルシステムに関する情報を表示させた結果の例である。図9には、HDD703の「a」が「/」にマウントされている旨と、HDD703の「e」が「/usr」にマウントされている旨と、そしてさらには融合機101「host_a」のディレクトリ(ファイルシステム)である「/dir1」が、PC701のディレクトリ(マウントポイント)である「/host_a/dir1」にマウントされている旨が表示されている。
【0058】
図7の情報処理システムではこのように、分散ファイルシステムを実現するための技術の一種であるNFS(ネットワークファイルシステム)が利用できるようになっている。以下、図7の情報処理システムにおけるNFSの利用態様の具体例について説明する。
【0059】
(1)NFSの利用態様の具体例
図10は、NFSの利用態様の具体例について説明するための図である。
【0060】
図10のファイルシステム1001は、種々の機器の分散ファイルシステムとして種々の機器によりアクセスされる融合機101のファイルシステムである。
【0061】
PC701は、融合機101のファイルシステム1001にPC701の分散ファイルシステムとしてアクセスして、当該ファイルシステム1001内のプリント処理用のディレクトリ1011内にプリント処理用のファイル1021を格納することができる。同様にして、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012内にファクシミリ送信処理用のファイル1022を格納することができる。同様にして、プリント処理用のディレクトリ1013内にプリント処理用のファイル1023を格納することができる。同様にして、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014内にファクシミリ送信処理用のファイル1024を格納することができる。同様にして、ftp処理用のディレクトリ1015にftp処理用のファイル1025を格納することができる。同様にして、mail処理用のディレクトリ1016にmail処理用のファイル1026を格納することができる。
【0062】
上記ファイルシステム1001のパス名は、図10に示すパス名「*」の通りである。上記ディレクトリ1011,1012,1013,1014,1015,1016のパス名は、図10に示すパス名「A,B,C,D,E,F」の通りである。
【0063】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、プリント処理用のファイルを格納するためのディレクトリ1011内にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101でプリント処理を実行する。図1のアプリケーション131(図1のプリンタアプリ142又はSDKアプリ)がこれを実行する。格納されるファイルは例えば電子文書ファイルである。
【0064】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、ファクシミリ送信処理用のファイルを格納するためのディレクトリ1012内にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101でファクシミリ送信処理を実行する。図1のアプリケーション131(図1のファクシミリアプリ144又はSDKアプリ)がこれを実行する。格納されるファイルは例えばスキャン画像ファイルである。
【0065】
このように、融合機101は、プリント処理用のディレクトリ1011やファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012等の特定の画像形成処理用のディレクトリ1011,1012にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101でプリント処理やファクシミリ送信処理等の特定の画像形成処理を実行する。画像形成機能を備える融合機101ならではのNFSの利用態様である。ディレクトリにファイルを格納すると言った簡単な処理で画像形成処理(ローカル)を実施することができるのである。
【0066】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、プリント処理用のファイルを格納するためのディレクトリ1013内にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101以外の画像形成装置(例えば、プリンタ装置/複合機/融合機等)にプリント処理を実行させる。図1のアプリケーション131(図1のプリンタアプリ142又はSDKアプリ)がこれを実行させる。格納されるファイルは例えば電子文書ファイルである。
【0067】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、ファクシミリ送信処理用のファイルを格納するためのディレクトリ1014内にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101以外の画像形成装置(例えば、ファクシミリ装置/複合機/融合機)にファクシミリ送信処理を実行させる。図1のアプリケーション131(図1のファクシミリアプリ144又はSDKアプリ)がこれを実行させる。格納されるファイルは例えばスキャン画像ファイルである。
【0068】
このように、融合機101は、プリント処理用のディレクトリ1013やファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014等の特定の画像形成処理用のディレクトリ1013,1014にファイルが格納されると、当該ファイルについて当該融合機101以外の画像形成装置にプリント処理やファクシミリ送信処理等の特定の画像形成処理を実行させる。情報処理機能の高度化に伴って分散処理的な画像形成機能を備えるに至った融合機101ならではのNFSの利用態様である。ディレクトリにファイルを格納すると言った簡単な処理で画像形成処理(リモート)を実施することができるのである。
【0069】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、ftp処理用ファイルを格納するためのディレクトリ1015内にファイルが格納されると、当該ファイルについてftp(ファイルトランスファプロトコル)によるファイル転送処理やファイル更新処理等のftp処理を実行する。図1のアプリケーション131(図1のネットワークファイルアプリ145又はSDKアプリ)がこれを実行する。
【0070】
融合機101は、融合機101のファイルシステム1001内において、mail処理用のファイルを格納するためのディレクトリ1016内にファイルが格納されると、当該ファイルを添付ファイルとして添付したメールについてメール配信処理等のmail処理を実行する。図1のアプリケーション131(図1のネットワークファイルアプリ145又はSDKアプリ)がこれを実行する。
【0071】
このように、融合機101は、ftp処理用のディレクトリ1015やmail処理用のディレクトリ1016と言った特定の通信処理用のディレクトリ1015,1016にファイルが格納されると、当該ファイルについてftp処理やmail処理と言った特定の通信処理を実行する。情報処理機能の高度化に伴ってPCにも匹敵する高度な通信機能を備えるに至った融合機101ならではのNFSの利用態様である。ディレクトリにファイルを格納すると言った簡単な処理で高度な通信処理を実施することができるのである。
【0072】
(2)プリント処理用のディレクトリ1011
プリント処理用のディレクトリ1011について詳説する。
【0073】
図11は、プリント処理に係るシーケンス図である。融合機101において、プリンタアプリ142は、daemonプロセスとして起動(S11)されて、プリント処理用のディレクトリ1011内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S12)する。プリンタアプリ142は、プリント処理用のディレクトリ1011内でファイルが検索されると、MCS165によって、当該ファイルからRAWファイル(画像形成処理用のファイル)を生成(S13)する。続いて、プリンタアプリ142からECS164に、当該RAWファイルに係るプリント要求が送信(S14)されて、ECS164が、当該RAWファイルに係るプリント処理を実行(S15)して、ECS164からプリンタアプリ142に、当該RAWファイルに係るプリント応答が送信(S16)される。続いて、プリンタアプリ142は、MCS165によって、当該RAWファイルを削除(S17)する。
【0074】
(3)ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012
ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012について詳説する。
【0075】
図12は、ファクシミリ送信処理に係るシーケンス図である。融合機101において、ファクシミリアプリ144は、daemonプロセスとして起動(S21)されて、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S22)する。ファクシミリアプリ144は、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012内でファイルが検索されると、MCS165によって、当該ファイルからRAWファイル(画像形成処理用のファイル)を生成(S23)する。続いて、ファクシミリアプリ144からFCS162に、当該RAWファイルに係るファクシミリ送信要求が送信(S24)されて、FCS162が、当該RAWファイルに係るファクシミリ送信処理を実行(S25)して、FCS162からファクシミリアプリ144に、当該RAWファイルに係るファクシミリ送信応答が送信(S26)される。続いて、ファクシミリアプリ144は、MCS165によって、当該RAWファイルを削除(S27)する。
【0076】
図12のファクシミリ送信処理のファクシミリ送信先について説明する。ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1012内には、図10に示すパス名「B1」の通り、ディレクトリ「03−1234−5678」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「03−1234−5678」にファイルが格納されると、当該ファイルについてファクシミリ電話番号「03−1234−5678」向けのファクシミリ送信処理を実行する。融合機101はこのように、特定のファクシミリ送信先向けのファクシミリ送信処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルについて特定のファクシミリ送信先向けのファクシミリ送信処理を実行する。ファクシミリ送信先の情報は、S22で取得されてS24で授受されてS25で利用される。
【0077】
(4)プリント処理用のディレクトリ1013
プリント処理用のディレクトリ1013について詳説する。
【0078】
図13は、プリント処理に係るシーケンス図である。融合機101において、プリンタアプリ142は、daemonプロセスとして起動(S31)されて、プリント処理用のディレクトリ1013内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S32)する。プリンタアプリ142は、プリント処理用のディレクトリ1013内でファイルが検索されると、NCS161により、当該ファイルと当該ファイルに係るプリントジョブ実行要求を当該融合機101以外の画像形成装置1031に送信(S33,34)する。これに応じて、当該融合機101以外の画像形成装置1031は、当該ファイルに係るプリントジョブを実行(S35)する。
【0079】
図13のプリント処理の実行要求先について説明する。プリント処理用のディレクトリ1013内には、図10に示すパス名「C1」の通り、ディレクトリ「192.168.0.2」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「192.168.0.2」にファイルが格納されると、当該ファイルについてIPアドレス「192.168.0.2」の画像形成装置1031にプリント処理を実行させる。融合機101はこのように、特定の画像形成装置によるプリント処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルについて特定の画像形成装置にプリント処理を実行させる。プリント処理の実行要求先の情報は、S32で取得されてS33で授受されてS34で利用される。
【0080】
(5)ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014
ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014について詳説する。
【0081】
図14は、ファクシミリ送信処理に係るシーケンス図である。融合機101において、ファクシミリアプリ144は、daemonプロセスとして起動(S41)されて、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S42)する。ファクシミリアプリ144は、ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014内でファイルが検索されると、NCS161により、当該ファイルと当該ファイルに係るファクシミリ送信ジョブ実行要求を当該融合機101以外の画像形成装置1032に送信(S43,S44)する。これに応じて、当該融合機101以外の画像形成装置1032は、当該ファイルに係るファクシミリ送信ジョブを実行(S45)する。
【0082】
図14のファクシミリ送信処理の実行要求先とファクシミリ送信先について説明する。ファクシミリ送信処理用のディレクトリ1014には、図10に示すパス名「D1」の通り、ディレクトリ「192.168.0.2/03−1234−5678」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「192.168.0.2/03−1234−5678」にファイルが格納されると、当該ファイルについてIPアドレス「192.168.0.2」の画像形成装置1032にファクシミリ電話番号「03−1234−5678」向けのファクシミリ送信処理を実行させる。融合機101はこのように、特定の画像形成装置による特定のファクシミリ送信先向けのファクシミリ送信処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルについて特定の画像形成装置に特定のファクシミリ送信先向けのファクシミリ送信処理を実行させる。ファクシミリ送信処理の実行要求先の情報は、S42で取得されてS43で授受されてS44で利用される。ファクシミリ送信先の情報は、S42で取得されてS43とS44で授受されてS45で利用される。
【0083】
(6)ftp処理用のディレクトリ1015
ftp処理用のディレクトリ1015について詳説する。
【0084】
ftp処理用のディレクトリ1015内には、図10に示したパス名「E1」の通り、ディレクトリ「192.168.0.2/put」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「192.168.0.2/put」にファイルが格納されると、当該ファイルについてIPアドレス「192.168.0.2」のftpサーバへのファイル転送処理を実行する。ftp処理用のディレクトリ1015内には、図10に示したパス名「E3」の通り、ディレクトリ「ftp.ricoh.co.jp/put」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「ftp.ricoh.co.jp/put」にファイルが格納されると、当該ファイルについてドメイン「ftp.ricoh.co.jp」のftpサーバへのファイル転送処理を実行する。融合機101は、このように、特定のファイル転送先へのファイル転送処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルについて特定のファイル転送先へのファイル転送処理を実行する。ファイル転送先の情報については、S52で取得されてS53で利用される。
【0085】
ftp処理用のディレクトリ1015内には、図10に示したパス名「E2」の通り、ディレクトリ「192.168.0.2/get」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「192.168.0.2/get」にファイルが格納されると、当該ファイルについてIPアドレス「192.168.0.2」のftpサーバからのファイル取得処理に基づくファイル更新処理を実行する。ftp処理用のディレクトリ1015内には、図10に示したパス名「E4」の通り、ディレクトリ「ftp.ricoh.co.jp/get」が存在する。融合機101は、ディレクトリ「ftp.ricoh.co.jp/get」にファイルが格納されると、当該ファイルについてドメイン「ftp.ricoh.co.jp」のftpサーバからのファイル取得処理に基づくファイル更新処理を実行する。融合機101は、このように、特定のファイル取得先(ファイル更新先)からのファイル取得処理に基づくファイル更新処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルについて特定のファイル取得先(ファイル更新先)からのファイル取得処理に基づくファイル更新処理を実行する。ファイル取得先(ファイル更新先)の情報については、S62で取得されてS63で利用される。
【0086】
図15は、ファイル転送処理に係るシーケンス図である。融合機101において、ネットワークファイルアプリ145は、daemonプロセスとして起動(S51)されて、ftp処理用のディレクトリ1015内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S52)する。ネットワークファイルアプリ145は、ftp処理用のディレクトリ1015内のputディレクトリ内でファイルが検索されると、NCS161により、当該ファイルをftpサーバ1041に転送するファイル転送処理を実行(S53)する。
【0087】
図16は、ファイル更新処理に係るシーケンス図である。融合機101において、ネットワークファイルアプリ145は、daemonプロセスとして起動(S61)されて、ftp処理用のディレクトリ1015内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S62)する。ネットワークファイルアプリ145は、ftp処理用のディレクトリ1015内のgetディレクトリ内でファイルが検索されると、NCS161により、当該ファイルと同一のファイルをftpサーバ1041から取得するファイル取得処理を実行(S63)すると共に、当該ファイルを当該ファイルと同一のファイルに基づいて更新するファイル更新処理を実行(S64)する。
【0088】
(7)mail処理用のディレクトリ1016
mail処理用のディレクトリ1016について詳説する。
【0089】
mail処理用のディレクトリ1016内には、図10に示すパス名「F1」の通り、ディレクトリ「admin@ricoh.co.jp」等が存在する。融合機101は、ディレクトリ「admin@ricoh.co.jp」にファイルが格納されると、当該ファイルが添付ファイルとして添付されたメールについてメールアドレス「admin@ricoh.co.jp」に係るmailサーバへのメール配信処理を実行する。融合機101は、このように、特定のメール配信先へのメール配信処理用のディレクトリにファイルが格納されると、当該ファイルが添付ファイルとして添付されたメールについて特定のメール配信先へのメール配信処理を実行する。メール配信先の情報については、S72で取得されてS73で利用される。
【0090】
図17は、メール配信処理に係るシーケンス図である。融合機101において、ネットワークファイルアプリ145は、daemonプロセスとして起動(S71)されて、mail処理用のディレクトリ1016内を一定時間毎(例えば3分毎)に検索(S72)する。ネットワークファイルアプリ145は、mail処理用のディレクトリ1016内でファイルが検索されると、NCS161によって、当該ファイルが添付ファイルとして添付されたメールをmailサーバ1042に配信するメール配信処理を実行(S73)する。
【0091】
(8)cron
図11等において、プリンタアプリ142等を起動(S11等)させてプリンタアプリ142等にディレクトリ内を検索(S12等)させる代わりに、UNIX(登録商標)のcron機能によりディレクトリ内を検索させるようにしても構わない。プリンタアプリ142等は、UNIX(登録商標)のcron機能によりファイルが検索されてから起動されるようにする。なお、検索処理を実施する時間間隔については例えば、融合機101により配信されるWebページにおいて設定できるようにしておいてもよいだろう。
【0092】
(変形例)
図1の融合機101は、本発明「画像形成装置」の実施例に該当するものであり、図1の融合機101にて実行される情報処理は、本発明「情報処理方法」の実施例に該当するものである。図1のアプリケーション131は、本発明「情報処理プログラム」の実施例に該当するものであり、図1のアプリケーション131が記録されたSDメモリカードやCD−ROMは、本発明「記録媒体」の実施例に該当するものである。
【符号の説明】
【0093】
101 融合機
102 コンソールPC
111 ハードウェア
112 ソフトウェア
113 融合機起動部
121 撮像部
122 印刷部
123 その他のハードウェア
131 アプリケーション
132 プラットフォーム
133 アプリケーションプログラムインタフェース
134 エンジンインタフェース
135 仮想アプリケーションサービス
136 オペレーティングシステム
141 コピーアプリ
142 プリンタアプリ
143 スキャナアプリ
144 ファクシミリアプリ
145 ネットワークファイルアプリ
151 コントロールサービス
152 システムリソースマネージャ
153 ハンドラ
161 ネットワークコントロールサービス
162 ファクシミリコントロールサービス
163 デリバリコントロールサービス
164 エンジンコントロールサービス
165 メモリコントロールサービス
166 オペレーションパネルコントロールサービス
167 サーティフィケーションコントロールサービス
168 ユーザディレクトリコントロールサービス
169 システムコントロールサービス
171 ファクシミリコントロールユニットハンドラ
172 イメージメモリハンドラ
201 コントローラ
202 オペレーションパネル
203 ファクシミリコントロールユニット
211 CPU
212 ASIC
221 NB
222 SB
231 MEM−P
232 MEM−C
233 HDD
234 メモリカード用スロット
235 メモリカード
241 NIC
242 USBデバイス
243 IEEE1394デバイス
244 セントロニクスデバイス
301 原稿セット部
302 給紙部
303 排紙部
311 タッチパネル
312 テンキー
313 スタートボタン
314 リセットボタン
315 初期設定ボタン
321 ADF
322 フラットベッド
323 フラットベッドカバー
501 メモリモニタ部
502 プログラム起動部
601 SDメモリカード用スロット
602 SDメモリカード
611 SDメモリカードアクセスドライバ
612 SDメモリカードステータスドライバ
613 起動処理用プログラム
614 SDメモリカードチェックプログラム
701 PC
702 LAN
703 HDD
704 SDメモリカード用スロット
705 SDメモリカード
706 オペレーティングシステム
707 プラットフォーム
708 アプリケーション
1001 ファイルシステム
1011 ディレクトリ
1012 ディレクトリ
1013 ディレクトリ
1014 ディレクトリ
1015 ディレクトリ
1016 ディレクトリ
1021 ファイル
1022 ファイル
1023 ファイル
1024 ファイル
1025 ファイル
1026 ファイル
1031 画像形成装置
1032 画像形成装置
1041 ftpサーバ
1042 mailサーバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2002−84383号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置であって、
特定の画像形成処理用のファイルを格納し、前記特定の画像形成処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、
前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の画像形成処理を実行する画像形成処理手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でプリント処理を実行するプリント処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でファクシミリ送信処理を実行するファクシミリ送信処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置であって、
特定の通信処理用のファイルを格納し、前記特定の通信処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、
前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の通信処理を実行する通信処理手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル転送処理を実行するファイル転送処理手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル更新処理を実行するファイル更新処理手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通信処理手段として、前記ファイルが添付されたメールについてメール配信処理を実行するメール配信処理手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記分散ファイルシステムは、NFSの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記分散ファイルシステムは、sambaの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
外部機器と画像形成装置とを含み構成されるシステムであって、
前記画像形成装置は、
特定の画像形成処理用のファイルを格納し、前記特定の画像形成処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、
前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の画像形成処理を実行する画像形成処理手段と、
を備え、
前記外部機器は、
前記特定の画像形成処理用のファイルを記憶した記憶手段を有し、
当該外部機器の前記記憶手段に、前記共有手段により前記画像形成装置の前記記憶手段をマウントし、当該外部機器の前記記憶手段に記憶した特定の画像形成処理用のファイルを、マウントされた前記画像形成装置の前記記憶手段のファイル格納先に格納すること、
を特徴とするシステム。
【請求項11】
前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でプリント処理を実行するプリント処理手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像形成処理手段として、前記ファイルについて当該画像形成装置でファクシミリ送信処理を実行するファクシミリ送信処理手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
外部機器と画像形成装置とを含み構成されるシステムであって、
前記画像形成装置は、
特定の通信処理用のファイルを格納し、前記特定の通信処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段と、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有手段と、
前記共有手段により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の通信処理を実行する通信処理手段と、
を備え、
前記外部機器は、
前記特定の通信処理用のファイルを記憶した記憶手段を有し、
当該外部機器の前記記憶手段に、前記共有手段により前記画像形成装置の前記記憶手段をマウントし、当該外部機器の前記記憶手段に記憶した特定の通信処理用のファイルを、マウントされた前記画像形成装置の前記記憶手段のファイル格納先に格納すること、
を特徴とするシステム。
【請求項14】
前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル転送処理を実行するファイル転送処理手段を備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記通信処理手段として、前記ファイルについてファイル更新処理を実行するファイル更新処理手段を備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記通信処理手段として、前記ファイルが添付されたメールについてメール配信処理を実行するメール配信処理手段を備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記分散ファイルシステムは、NFSの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記分散ファイルシステムは、sambaの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置における情報処理方法であって、
前記画像形成装置は、特定の画像形成処理用のファイルを格納し、前記特定の画像形成処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段を有し、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有段階と、
前記共有段階により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の画像形成処理を実行する画像形成処理段階と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項20】
外部機器とネットワークを介し接続される画像形成装置における情報処理方法であって、
前記画像形成装置は、特定の通信処理用のファイルを格納し、前記特定の通信処理を実行するアプリケーションと対応付けられた複数のファイル格納先を有する記憶手段を有し、
分散ファイルシステムとして、前記記憶手段を前記外部機器に利用可能に共有させる共有段階と、
前記共有段階により前記外部機器から操作され、前記ファイル格納先に前記ファイルが格納されると、前記ファイル格納先に格納された前記ファイルを検索する検索段階と、
前記検索段階により前記ファイル格納先に前記ファイルが検索されると、当該画像形成装置において、当該ファイル格納先に対応付けられているアプリケーションにより、特定の通信処理を実行する通信処理段階と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項21】
前記分散ファイルシステムは、NFSの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項19又は20記載の情報処理方法。
【請求項22】
前記分散ファイルシステムは、sambaの分散ファイルシステムであることを特徴とする請求項19又は20記載の情報処理方法。
【請求項23】
請求項19乃至22のいずれか1項に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項24】
請求項13記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−263638(P2010−263638A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144361(P2010−144361)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【分割の表示】特願2004−213188(P2004−213188)の分割
【原出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】