説明

画像形成装置、ジョブ実行方法、及びプログラム

【課題】蓄積されたジョブを実行させるための操作性を向上させること。
【解決手段】画像形成装置であって、当該画像形成装置の操作者の識別情報の入力を受け付ける操作者識別手段と、ネットワークを介して接続されているジョブ蓄積装置に蓄積されている、前記識別情報に係るジョブの一覧を取得するジョブ取得手段と、前記一覧の中に画像読取手段を利用するジョブが含まれているか否かに応じて自動実行するジョブの選択方法を変更して、前記自動実行の対象とする第一のジョブを選択し、前記第一のジョブ除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第一のジョブの次に自動実行する第二のジョブを選択して前記ジョブの実行順を決定する自動実行対象選択手段と、自動実行の対象として選択されたジョブを前記実行順で当該画像形成装置に実行させる実行制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、ジョブ実行方法、及びプログラムに関し、特に蓄積されたジョブを実行可能な画像形成装置、ジョブ実行方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クライアントPCと画像形成装置との間に位置し、クライアントPCより送信される印刷ジョブを蓄積しておき、画像形成装置からの要求に応じて蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置に転送するという印刷サーバが存在する(例えば、特許文献1)。このような印刷サーバを含む印刷システムにおいて、ユーザは、まず、クライアントPCにおいて印刷指示を入力する。クライアントPCは、印刷指示に応じた印刷ジョブを印刷サーバに送信する。印刷サーバは、印刷ジョブを直ちに画像形成装置には転送せず、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置に蓄積しておく。その後、ユーザは、画像形成装置を操作して、蓄積されている印刷ジョブの印刷を指示する。画像形成装置は、当該指示に応じて印刷サーバより印刷ジョブを取得し、印刷を行う。
【0003】
このような印刷システムによれば、ユーザは、出力先とする画像形成装置を出力時に選択できというメリットがある。また、出力結果としての印刷物が放置される可能性が低減され、セキュリティを適切に確保することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓄積されている印刷ジョブを実行する場合、一般的な印刷ジョブの実行手順に比較して、画像形成装置側におけるユーザの操作手順が複雑化するという問題がある。ここでいう、一般的な印刷ジョブとは、PC(Personal Computer)等のユーザ端末側で印刷指示を行えば、出力先の画像形成装置における操作指示等の入力が行われなくても印刷物の出力が自動的に実行される印刷ジョブをいう。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、蓄積されたジョブを実行させるための操作性を向上させることのできる画像形成装置、ジョブ実行方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、画像形成装置であって、当該画像形成装置の操作者の識別情報の入力を受け付ける操作者識別手段と、ネットワークを介して接続されているジョブ蓄積装置に蓄積されている、前記識別情報に係るジョブの一覧を取得するジョブ取得手段と、前記一覧の中に画像読取手段を利用するジョブが含まれているか否かに応じて自動実行するジョブの選択方法を変更して、前記自動実行の対象とする第一のジョブを選択し、前記第一のジョブ除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第一のジョブの次に自動実行する第二のジョブを選択して前記ジョブの実行順を決定する自動実行対象選択手段と、自動実行の対象として選択されたジョブを前記実行順で当該画像形成装置に実行させる実行制御手段とを有する。
【0007】
このような画像形成装置では、蓄積されたジョブを実行させるための操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄積されたジョブを実行させるための操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるユーザ端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】印刷ウィジェットへのジョブ投入時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】文書ファイルがメイン画面にドラッグ&ドロップされる様子を示す図である。
【図6】印刷設定画面の表示例を示す図である。
【図7】印刷ウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。
【図8】ウィジェット情報の送信時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図9】ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図10】スキャンウィジェットのメイン画面の表示例を示す図である。
【図11】スキャンウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。
【図12】画像形成装置におけるウィジェットに関するジョブの実行時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図13】ウィジェット管理サーバから画像形成装置に送信される印刷ウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。
【図14】ウィジェット管理サーバから画像形成装置に送信されるスキャンウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。
【図15】自動実行順の判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】ウィジェット選択画面の表示例を示す図である。
【図17】自動実行処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】予約処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】ダウングレード自動実行処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図20】印刷ウィジェットに係るウィジェット情報に基づく印刷ジョブの実行手順を説明するためのシーケンス図である。
【図21】スキャンウィジェットに係るウィジェット情報に基づくスキャンジョブの実行手順を説明するためのシーケンス図である。
【図22】予約対象の選択時に実行される処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。同図の情報処理システム1において、一台以上の画像形成装置10と、一台以上のユーザ端末20と、ウィジェット管理サーバ30とは、LAN(Local Area Network)等のネットワーク40(有線又は無線の別は問わない。)によって接続されている。
【0011】
ユーザ端末20は、ユーザが利用する個人端末であり、ソフトウェアプログラムのインストール及び実行が可能である。ユーザ端末20は、通信機能を有するものであれば、特定の装置に限定されない。ユーザ端末20の具体例として、デスクトップ型のPC(Personal Computer)、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistance)、又は携帯電話等が挙げられる。本実施の形態において、ユーザ端末20は、画像形成装置10との連携により所定のサービスを提供するアプリケーション(以下、「ウィジェット」という。)を有する。同図では、ウィジェットの一例として印刷ウィジェット21及びスキャンウィジェット22が示されている。印刷ウィジェット21は、ネットワーク40を介して通信可能な画像形成装置10に印刷ジョブを実行させるウィジェットであり、UI制御部211、ウィジェット情報送信部212、連携部213、印刷データ生成部214、及び属性情報管理ファイル215等を有する。
【0012】
UI制御部211は、印刷ウィジェット21に関する各種の表示画面をユーザ端末の表示装置に表示させる。ウィジェット情報送信部212は、印刷指示の入力に応じ印刷ウィジェット21のウィジェット情報の登録要求をウィジェット管理サーバ30に送信する。ウィジェット情報には、印刷ウィジェット21の実行に必要な情報が含まれる。印刷ウィジェット21のウィジェット情報は、画像形成装置10に対する印刷ジョブの実行要求に相当する。連携部213は、画像形成装置10との連携のためのコミュニケーション(情報のやりとり等)を制御する。印刷データ生成部214は、画像形成装置10に印刷させる文書ファイル(電子データ)の印刷データ(PDL(Page Description Language)データ)を、PC20にインストールされているプリンタドライバを利用して生成する。属性情報管理ファイル215は、印刷ウィジェット21の属性情報を格納するファイルである。属性情報には、例えば、印刷ウィジェット21の識別子(ウィジェットID)や、印刷ウィジェット21の所有者であるユーザのユーザIDや、印刷設定情報(印刷条件を示す情報)の初期値等が含まれる。
【0013】
一方、スキャンウィジェット22は、画像形成装置10においてスキャンされた画像データ(スキャン画像)に対して所定の処理(例えば、配信又は保存等)を実行するウィジェットである。スキャンウィジェット22は、UI制御部221、ウィジェット情報送信部222、連携部223、スキャンデータ処理部224、及び属性情報管理ファイル225等を有する。
【0014】
UI制御部221は、スキャンウィジェット22に関する各種の表示画面をユーザ端末の表示装置に表示させる。ウィジェット情報送信部222は、スキャンウィジェット22が起動されたときに、スキャンウィジェット22のウィジェット情報の登録要求をウィジェット管理サーバ30に送信する。ウィジェット情報にはスキャンウィジェット22の実行に必要な情報が含まれる。スキャンウィジェット22のウィジェット情報は、画像形成装置10に対するスキャンジョブの実行要求に相当する。連携部223は、画像形成装置10との連携のためのコミュニケーション(情報のやりとり等)を制御する。属性情報管理ファイル225は、スキャンウィジェット22に対する設定情報を格納するファイルである。スキャンデータ処理部224は、画像形成装置10においてスキャンされ、ユーザ端末20に転送された画像データに対して所定の処理(配信又は保存等)を実行する。属性情報管理ファイル225は、スキャンウィジェット22の属性情報を格納するファイルである。属性情報には、例えば、スキャンウィジェット22の識別子(ウィジェットID)や、スキャンウィジェット22の所有者であるユーザのユーザIDや、スキャン設定情報(スキャン条件を示す情報)の初期値等が含まれる。
【0015】
印刷ウィジェット21及びスキャンウィジェット22の属性情報管理ファイル215又は属性情報管理ファイル225において各ウィジェットの所有者のユーザIDが記録されていることからも分かるように、各ウィジェットはユーザに属する。したがって、同一のウィジェットであっても、各ウィジェットが属するユーザが異なる場合、各ウィジェットは異なるものとして区別される。例えば、ユーザAに属するウィジェットは、基本的にユーザAに対してのみ利用が許可される。ユーザBに属するウィジェットは、基本的にユーザBに対してのみ利用が許可される。但し、例えば、アクセス制御機能によって他のユーザに対して利用権限を与えることにより、他人が所有者であるウィジェットの利用を可能としてもよい。
【0016】
なお、同図では、印刷ウィジェット21及びスキャンウィジェット22について、それぞれ一つずつが示されているが、複数の印刷ウィジェット21又はスキャンウィジェット22が一台のユーザ端末20にインストールされ、同時期に起動されてもよい。例えば、スキャンデータ処理部224の処理内容(すなわち、スキャン画像に関する処理フロー)が異なる複数のスキャンウィジェット22を起動し、ユーザは目的とする処理フローに応じてスキャンウィジェット22を使い分ける。
【0017】
また、同図では、一つのユーザ端末20のみが示されているが、複数のユーザ端末20がネットワーク40に接続されていてもよい。その場合、各ユーザ端末20が有するウィジェットの機能はそれぞれ異なっていてもよい。
【0018】
ウィジェット管理サーバ30は、ウィジェット情報登録部31、広告部32、ウィジェット情報提供部32、及び仲介部34等を有するコンピュータである。ウィジェット情報登録部31は、ユーザ端末20より送信されるウィジェット情報の登録要求を受信し、当該ウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル35に保存する。ウィジェット情報管理テーブル35は、ユーザごとにウィジェット管理サーバ30の記憶装置に生成される。すなわち、各ウィジェット情報管理テーブル35は、対応するユーザに属するウィジェットのウィジェット情報の一覧を管理する。広告部32は、ウィジェット情報登録部31によって受信されたウィジェット情報に含まれるユーザID等をネットワーク40上に広告(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。広告は、ユーザ単位(ユーザID単位)で行われる。具体的には、ユーザAに関して広告された後、ユーザAに属する新たなウィジェット情報が受信されたとしても当該ウィジェット情報に応じた広告は行われない。すなわち、広告部32による広告は、何らかのウィジェットを利用可能になったユーザが新たに発生したことを画像形成装置10に通知するための情報である。但し、ウィジェット情報単位で広告が行われてもよい。この場合、同一ユーザについて重複して広告が発行されることになるが、重複の排除は画像形成装置10側で行えばよい。ウィジェット情報提供部33は、画像形成装置10からの要求に応じ、ウィジェット情報管理テーブル35に登録されているウィジェット情報を画像形成装置10に提供(送信)する。仲介部34は、ウィジェットと画像形成装置10とのコミュニケーションを仲介する。
【0019】
なお、ユーザ端末20が、ウィジェット管理サーバ30を兼ねてもよい。ユーザ端末20に、ウィジェット情報登録部31、広告部32、ウィジェット情報提供部33、及び仲介部34等が実装されていてもよい。
【0020】
画像形成装置10は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX送受信等の機能を一台の筐体によって実現する複合機である。但し、スキャン機能を有さないいわゆるプリンタを画像形成装置10として用いてもよい。画像形成装置10は、ユーザ検知部121、UI制御部122、ウィジェット情報取得部123、ウィジェット連携部124、ジョブ実行制御部125、ユーザ管理テーブル126、自動実行対象選択部127、及び認証制御部128等を有する。
【0021】
ユーザ検知部121は、ウィジェット管理サーバ30より発行される広告に基づいて、ウィジェットを利用可能なユーザの存在を検知し、広告に含まれているユーザID等をユーザ管理テーブル126に登録する。ユーザ管理テーブル126は、利用可能なウィジェットがネットワーク40上に存在するユーザの一覧を管理するテーブルである。UI制御部122は、ユーザよりウィジェットの操作指示等の入力を受け付ける。すなわち、ウィジェットは、ユーザ端末20に配置されているが、画像形成装置10の操作パネルからも操作されうる。ウィジェット情報取得部123は、画像形成装置10に対するログインユーザに係るウィジェット情報(すなわち、ログインユーザと同一のユーザIDに係るユーザによって起動されたウィジェットのウィジェット情報)をウィジェット管理サーバ30より取得する。ウィジェット連携部124は、ウィジェットとのコミュニケーションを制御する。ジョブ実行制御部125は、ウィジェットから要求された機能に係るジョブの実行を制御する。例えば、ジョブ実行制御部125の制御により印刷ジョブ又はスキャンジョブ等が実行される。自動実行対象選択部127は、ウィジェット情報取得部123によって取得されたウィジェット情報(ジョブの実行要求)の中から、ユーザのログインに応じて自動実行の対象とするウィジェット情報を選択する。自動実行対象選択部127は、複数のウィジェット情報を自動実行の対象とすることが可能である場合は、ウィジェット情報の自動実行の順番を決定する。認証制御部128は、画像形成装置10に対するユーザのログイン時等において、ユーザの認証処理を制御する。
【0022】
続いて、各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、SDカードスロット17、及びカードリーダー18等のハードウェアを有する。
【0023】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記録される。
【0024】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタは13、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うめのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。カードリーダー18は、磁気カード又はICカードから情報を読み取るいわゆるカードリーダーである。カードリーダー18は、画像形成装置10の一部として組み込まれていてもよいし、画像形成装置10が備えるUSB(Universal Serial Bus)コネクタ又はシリアルインタフェース等を介して接続されていてもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態におけるユーザ端末のハードウェア構成例を示す図である。図3のユーザ端末20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205と、表示装置206と、入力装置207とを有する。
【0026】
ユーザ端末20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記録した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0027】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従ってユーザ端末20に係る機能を実現する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置206はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置207はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0028】
以下、情報処理システム1の処理手順について説明する。まず、ウィジェットごと(印刷ウィジェット21、スキャンウィジェット22ごと)に、それぞれのウィジェット情報がウィジェット管理サーバ30に登録される際の処理手順について説明する。
【0029】
図4は、印刷ウィジェットへのジョブ投入時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0030】
ユーザ端末20においてユーザによって入力される印刷ウィジェット21の起動指示に応じ、UI制御部211は、印刷ウィジェット21のメイン画面を表示装置206に表示させる(S101)。続いて、UI制御部211は、印刷対象とする文書ファイルの選択をユーザより受け付ける(S102)。文書ファイルの選択は、例えば、文書ファイルアイコンを印刷ウィジェット21のメイン画面にドラッグ&ドロップすることにより行われる。
【0031】
図5は、文書ファイルがメイン画面にドラッグ&ドロップされる様子を示す図である。同図では、表示装置206に表示されたメイン画面510に、ファイルAのアイコンがドラッグ&ドロップされる様子が示されている。なお、メイン画面510は単なる矩形によって示されているが、ツールバーやプルダウンメニュー等の表示部品を備えていてもよい。また、文書ファイルの選択は、ツールボタンやメニュー項目の選択によって表示されるファイルダイアログ(ファイルシステム上に存在するファイルを選択させるためのダイアログ)を介して行われてもよい。
【0032】
文書ファイルの選択に応じ、UI制御部211は、選択された文書ファイルのファイル名をメモリ装置203に記録しておく。続いて、UI制御部211は、選択された文書ファイルのアイコンをメイン画面510内に表示させると共に、印刷設定画面を表示装置206に表示させる(S103)。
【0033】
図6は、印刷設定画面の表示例を示す図である。同図において、印刷設定画面520は、メイン画面510の右隣に表示されている。印刷設定画面520の詳細な表示例は図中右側に示されている。同図の例では、印刷設定画面520において、印刷部数、印刷方向、カラーモード、両面印刷、集約印刷等の設定が可能とされている。但し、これらの設定項目はあくまでも例示であり、設定項目の種類は所定のものに限定されない。
【0034】
印刷設定画面510において各設定項目の値が設定されると、UI制御部211は、設定された情報(以下、「印刷設定情報」という。)をメモリ装置203に記録しておく(S105)。
【0035】
なお、印刷設定画面520の各項目に表示される初期値は、属性情報管理ファイル215より取得される。すなわち、属性情報管理ファイル215には、ユーザ所望の印刷設定情報が予め含まれている。したがって、必ずしも印刷設定画面520は表示されなくてもよい。印刷設定画面520を表示させない場合、属性情報管理ファイル215より取得された印刷設定情報がメモリ装置203にロードされればよい。
【0036】
続いて、印刷データ生成部214は、印刷対象とされた文書ファイルをメモリ装置203に記録されているファイル名に基づいて補助記憶装置202より取得し、当該文書ファイルの印刷データを印刷設定情報に基づいてプリンタドライバに生成させる(S106)。
【0037】
続いて、ウィジェット情報送信部211は、上記のステップにおいて取得された情報に基づいて印刷ウィジェット21のウィジェット情報を生成し、当該ウィジェット情報の登録要求をウィジェット管理サーバ30に送信する(S107)。なお、各ユーザ端末20には、予めウィジェット管理サーバ30と通信するための情報(例えば、IPアドレス又はホスト名等)が登録されている。
【0038】
図7は、印刷ウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。同図において、印刷ウィジェット21のウィジェット情報は、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、表示名、印刷設定情報、ファイル名、最終アクセス日時、及び印刷データ等を含む。
【0039】
ウィジェットIDは、各ウィジェットを一意に識別する識別情報である。ユーザIDは、印刷ウィジェット21の所有者であるユーザの識別情報である。連携機能識別子は、ウィジェットと連携する画像形成装置10が有している必要のある機能(換言すれば、ウィジェットが利用する機能)を識別するための情報である。連携機能識別子の一例として「print」、「scan」等が挙げられる。「print」は、印刷機能を示す。「scan」は、スキャン機能を示す。印刷ウィジェット21は、画像形成装置10の印刷機能を利用する。したがって、図7の例では、「print」が連携機能識別子とされている。ウィジェットアドレスは、ネットワーク通信において各ウィジェットを一意に識別するための識別情報(例えば、URL等)である。表示名は、ウィジェットの名前の表示用の文字列である。なお、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名は、例えば、属性情報管理ファイル215より取得される。
【0040】
印刷設定情報は、印刷設定画面510において設定された印刷設定情報、又は属性情報管理ファイル215より取得された印刷設定情報である。ファイル名は、印刷対象とされた文書ファイルより取得され、メモリ装置203に記録されているファイル名である。最終アクセス日時は、印刷ウィジェット21が最後にアクセス(操作)された日時(時期)を示す情報である。ここでいう、アクセスとは、文書ファイルアイコンがメイン画面510にドロップされることでもよいし、印刷設定画面520を介して印刷設定情報の入力が行われることであってもよい。前者の場合は、印刷ウィジェット21を介してユーザによって印刷ジョブの入力が行われるたびに最終アクセス日時は更新される。後者の場合は、印刷設定情報が変更された場合に最終アクセス日時は更新される。なお、いずれの場合であっても、印刷ウィジェット21のUI制御部211は、該当する操作が行われた日時を属性情報管理ファイル215に記録しておく。ウィジェット情報送信部211は、属性情報管理ファイル215に記録された当該日時を印刷ウィジェット21のウィジェット情報に含める。印刷データは、印刷データ生成部214によって生成された印刷データである。
【0041】
続いて、ステップS107のウィジェット情報の送信によって実行される処理手順について説明する。図8は、ウィジェット情報の送信時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0042】
ステップS111において、ウィジェット情報送信部212より送信されたウィジェット情報は、ウィジェット管理サーバ30のウィジェット情報登録部31によって受信される。ウィジェット情報登録部31は、受信されたウィジェット情報に含まれているユーザIDに対応するウィジェット情報管理テーブル35に当該ウィジェット情報を登録する。当該ユーザIDに対応するウィジェット情報管理テーブル35が存在しない場合、ウィジェット情報登録部31は、当該ユーザIDに対応するウィジェット情報管理テーブル35を生成し、生成されたウィジェット情報管理テーブル35にウィジェット情報を登録する(S112)。
【0043】
ウィジェット情報管理テーブル35が新たに生成された場合(すなわち、受信されたウィジェット情報に含まれているユーザIDに係るユーザについて、初めてウィジェット情報が登録された場合)、広告部32は、受信されたウィジェット情報に含まれているユーザIDと、ウィジェット情報取得用URL(Uniform Resource Locator)とを含む広告をネットワーク40上に発行する(S113)。ウィジェット情報取得用URLとは、ウィジェット情報管理テーブル35ごとに一意なURLである。例えば、ウィジェット情報登録部31は、ウィジェット情報管理テーブル35を生成した際に、当該ウィジェット情報管理テーブル35に対するウィジェット情報取得用URLを生成する。ここで、ウィジェット情報管理テーブル35は、ユーザごとに生成される。したがって、ウィジェット情報取得用URLはユーザごとに一意となる。
【0044】
なお、ブロードキャストによる広告の到達範囲は、同一ネットワーク(同一セグメント)に接続されている画像形成装置10に限定されてしまう。しかし、異なるネットワークに接続されている画像形成装置10からもウィジェットを利用したい場合がある。このような場合は、当該画像形成装置10にユニキャストで広告を送信するようにすればよい。ユニキャストを利用する場合、広告部32は、当該画像形成装置10のIPアドレスを知っている必要がある。当該IPアドレスは、管理者等によってウィジェット管理サーバ30の記憶装置に記録されてもよいし、ユニキャストによる広告対象としての登録要求を当該画像形成装置10から送信させてもよい。ウィジェット管理サーバ30は、当該登録要求に含まれているIPアドレスをユニキャスト対象のIPアドレスとして記憶装置に記録しておけばよい。
【0045】
続いて、画像形成装置10のユーザ検知部121は、広告を受信すると、当該広告に含まれているユーザID及びウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126に登録する(S114)。
【0046】
図9は、ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、ユーザ管理テーブル126は、ユーザIDとウィジェット情報取得用URLとの組(ペア)を管理する。同図では、ユーザA及びユーザBについてレコードが登録されている例が示されている。なお、ユーザ管理テーブル126は、例えば、HDD114に記憶されている。
【0047】
上記のように、印刷ウィジェット21に関しては、印刷ジョブごとにウィジェット情報がウィジェット管理サーバ30に登録される。したがって、同一ユーザが、続けて他の文書ファイルアイコンをメイン画面510にドラッグ&ドロップした場合、当該文書ファイルに係るウィジェット情報がウィジェット管理サーバ30に登録される。但し、この場合、ウィジェット管理サーバ30の広告部32による広告は発行されない。当該ユーザに関する広告は既に発行されているからである。
【0048】
続いて、スキャンウィジェット22のウィジェット情報のウィジェット管理サーバ30への登録について説明する。
【0049】
ユーザ端末20においてユーザによって入力されるスキャンウィジェット22の起動指示に応じ、UI制御部221は、スキャンウィジェット22のメイン画面を表示装置206に表示させる。
【0050】
図10は、スキャンウィジェットのメイン画面の表示例を示す図である。同図において、スキャンウィジェット22のメイン画面530の右隣には、スキャン設定画面540が付属している。スキャン設定画面540の詳細な表示例は図中右側に示されている。同図の例では、スキャン設定画面540において、解像度、カラーモード(カラー又はモノクロの別)、及びスキャンされた画像データ(スキャン画像)の保存場所としてユーザ端末20のファイルシステム上におけるパス名等の設定が可能とされている。但し、これらの設定項目はあくまでも例示であり、設定項目の種類は所定のものに限定されない。
【0051】
スキャン設定画面540において各設定項目の値が設定されると、UI制御部221は、設定された情報(以下、「スキャン設定情報」という。)をメモリ装置203に記録しておく。
【0052】
なお、スキャン設定画面540の各項目に表示される初期値は、属性情報管理ファイル225より取得される。すなわち、属性情報管理ファイル225には、ユーザ所望のスキャン設定情報が予め含まれている。したがって、必ずしもスキャン設定画面540は表示されなくてもよい。スキャン設定画面540を表示させない場合、属性情報管理ファイル225より取得されたスキャン設定情報がメモリ装置203にロードされればよい。
【0053】
続いて、ウィジェット情報送信部222は、上記のステップにおいて取得された情報に基づいてスキャンウィジェット22のウィジェット情報を生成し、当該ウィジェット情報の登録要求をウィジェット管理サーバ30に送信する。
【0054】
図11は、スキャンウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。同図において、スキャンウィジェット22のウィジェット情報は、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、表示名、スキャン設定情報、及び最終アクセス日時等を含む。
【0055】
ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名の項目の意味については、印刷ウィジェット21のウィジェット情報(図7)と同様である。但し、ユーザIDを除く各項目の値は、印刷ウィジェット21とは異なる。具体的には、図11のウィジェットID、ウィジェットアドレス、表示名は、それぞれスキャンウィジェット22のウィジェットID、ウィジェットアドレス、表示名である。また、スキャンウィジェット22は、画像形成装置10のスキャン機能を利用する。したがって、連携識別子の値は「scan」とされている。
【0056】
スキャン設定情報は、スキャン設定画面540において設定されたスキャン設定情報、又は属性情報管理ファイル225より取得されたスキャン設定情報である。最終アクセス日時は、スキャンウィジェット22が最後にアクセス(操作)された日時(時期)を示す情報である。ここでいう、アクセスとは、メイン画面530が起動されることでもよいし、スキャン設定画面540を介してスキャン設定情報の入力が行われることであってもよい。前者の場合は、スキャンウィジェット22を介してユーザによってスキャンジョブの入力が行われるたびに最終アクセス日時は更新される。後者の場合は、スキャン設定情報が変更された場合に最終アクセス日時は更新される。なお、いずれの場合であっても、スキャンウィジェット22のUI制御部221は、該当する操作が行われた日時を属性情報管理ファイル225に記録しておく。ウィジェット情報送信部221は、属性情報管理ファイル225に記録された日時をスキャンウィジェット22のウィジェット情報に含める。
【0057】
スキャンウィジェット22のウィジェット情報送信部222によってウィジェット管理サーバ30に送信されたウィジェット情報(図11)は、図8において説明した処理手順と同様に処理される。すなわち、ウィジェット管理サーバ30のウィジェット情報登録部31によって当該ウィジェット情報に含まれているユーザIDに対応するウィジェット情報管理テーブル35に登録される。なお、当該ユーザIDに関して既に広告が発行されている場合、図8のステップS113における広告の発行は行われない。
【0058】
上記のように、スキャンウィジェット22に関しては、印刷ウィジェット21と異なり、ジョブ単位ではなくアプリケーション単位でウィジェット情報がウィジェット管理サーバ30に登録される。
【0059】
以上のようにして、印刷ウィジェット21のウィジェット情報(印刷ジョブの実行要求)又はスキャンウィジェット22のウィジェット情報(スキャンジョブの実行要求)は、ウィジェット管理サーバ30のウィジェット情報管理テーブル35に登録及び蓄積される。そこで、ユーザは、印刷ウィジェット21に係る印刷ジョブ又はスキャンウィジェット22に係るスキャンジョブを実行するために画像形成装置10の設置場所へ移動する。なお、複数の画像形成装置10がネットワーク40に接続されている場合、同一の広告が各画像形成装置10のユーザ検知部121によって受信され、それぞれの画像形成装置10のユーザ管理テーブル126にユーザID及びウィジェット情報取得用URLが登録される。したがって、ユーザは、複数の画像形成装置10のいずれを操作対象としても各ウィジェットに係るジョブを実行することができる。
【0060】
続いて、画像形成装置10におけるユーザによる操作に応じて実行される処理について説明する。
【0061】
図12は、画像形成装置におけるウィジェットに関するジョブの実行時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0062】
ステップS201において、操作対象とされた画像形成装置10の認証制御部128は、ログイン処理を実行する。ログイン処理によってユーザIDが特定される、ユーザIDの特定は、ユーザによってカードリーダー18にセットされたICカード又は磁気カード(以下、単に「カード」という。)に基づいて行われる。例えば、カードにユーザIDが記録されている場合は、カードリーダー18にカードを読み取らせることで、ユーザIDが特定される。また、ユーザIDと関連付けられている他の識別子(例えば、カードごとに一意な識別子(以下、「カードID」という。))がカードに記録されている場合には、カードより読み取られたカードIDと、HDD114又は外部記憶装置においてカードIDに関連付けられて記録されているユーザIDとに基づいてユーザIDが特定される。
【0063】
又は、画像形成装置10のUI制御部122が、ユーザ管理テーブル126に登録されている情報に基づいてユーザ選択画面(例えば、ユーザごとにユーザ名が付されたボタンが配置された画面)を操作パネル15に表示させ、当該ユーザ選択画面において選択されたボタンに応じてユーザIDが特定されてもよい。更に、認証制御部128が操作パネル15に表示させるログイン画面を介してユーザIDが入力されてもよい。
【0064】
いずれの場合においても、認証制御部128は、特定されたユーザIDをウィジェット情報取得部123に通知する。
【0065】
なお、本実施の形態において、画像形成装置10へのログインは、先着の他のユーザがログインし、画像形成装置10を使用中であっても可能である。認証制御部128は、ログイン操作(カードのセット等)が行われた際に、既にログインユーザが存在する場合は、当該ログイン操作に係るユーザは、ログイン予約ユーザとしてRAM112を利用して記憶する。
【0066】
また、ステップS201が実行されたユーザがログイン予約ユーザである場合に、ステップS202以降の処理は、ステップS201に続いて同期的に実行されてもよいし、現在のログインユーザがログアウトした後に実行されてもよい。同期的に実行される場合、ログインユーザの操作に応じた処理のバックグラウンドで実行される。以下、ステップS202以降の処理に係るユーザを「カレントユーザ」という。
【0067】
続いて、ウィジェット情報取得部123は、通知されたユーザIDに関連付けられているウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126より取得する。続いて、ウィジェット情報取得部123は、ウィジェット情報取得用URL宛に、ウィジェット情報の取得要求を送信する(S202)。ウィジェット情報の取得要求は、ウィジェット管理サーバ30のウィジェット情報提供部33によって受信される。ウィジェット情報提供部33は、ウィジェット情報取得用URLに対応するウィジェット情報管理テーブル35(すなわち、カレントユーザに対応するウィジェット情報管理テーブル35)に登録されている全てのウィジェット情報を取得し、取得されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する(S203)。ウィジェット情報の一覧の送信に際し、ウィジェット情報提供部33は、画像形成装置10とウィジェットとの通信を中継するためのURL(以下、「ウィジェット中継用URL」という。)をウィジェットごと(ウィジェット情報ごと)に一意に生成する。ウィジェット情報提供部33は、ウィジェットごとに生成されたウィジェット中継用URLを、各ウィジェットに対応するウィジェット情報に付加し、ウィジェット中継用URLが付加されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する。したがって、ステップS203において送信されるウィジェット情報は、例えば、図13や図14に示されるような構成を有する。
【0068】
図13は、ウィジェット管理サーバから画像形成装置に送信される印刷ウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。また、図14は、ウィジェット管理サーバから画像形成装置に送信されるスキャンウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。
【0069】
図13及び図14に示されるウィジェット情報は、図9又は図11のウィジェット情報に対してウィジェット中継用URLが付加されたものである。ステップS203では、同図に示されるようなウィジェット情報の一覧が送信される。ここでは、ウィジェット情報が一つしか含まれないものもウィジェット情報の一覧という。
【0070】
なお、ウィジェット中継用URLは、ウィジェット情報登録部31が、ウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル35に登録する際に生成しウィジェット情報に付加しておいてもよい。
【0071】
ウィジェット情報取得部123は、ウィジェット情報の一覧を受信すると、当該一覧をRAM112に記録しておく。続いて、自動実行対象選択部127は、受信されたウィジェット情報の一覧の中から自動実行させるウィジェット情報の順番(自動実行順)を判定する。自動実行対象選択部127は、自動実行の対象となりうるウィジェット情報が有る場合は、当該ウィジェット情報に基づくジョブの自動実行をジョブ実行制御部125に実行させる(S204)。但し、カレントユーザがログイン予約ユーザである場合、すなわち、先着の他のユーザがログイン中である場合、ジョブの自動実行は、当該先着の他のユーザのログアウト後に実行される。なお、「自動実行」とは、いずれのウィジェット情報を実行対象とするかについてカレントユーザによる指示を仰ぐことなく、カレントユーザが実行対象とする可能性の高いウィジェット情報を自動的に判定又は推測し、実行することをいう。すなわち、ステップS204までにおいて、カレントユーザが画像形成装置10に対して行った操作は、カードリーダー18へのカードのセット等、ユーザIDの入力操作だけである。したがって、カレントユーザから見ると、ユーザIDの入力操作を行っただけで、自動的にウィジェット情報に基づくジョブが実行されるように見える。
【0072】
続いて、ステップS204の詳細について説明する。図15は、自動実行順の判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0073】
ステップS401において、自動実行対象選択部127は、RAM112に記録されているウィジェット情報の一覧の中から、当該画像形成装置10が能力的に対応可能なウィジェット情報を抽出する。例えば、画像形成装置10がスキャナ12を有さない単なるプリンタである場合、スキャン系のウィジェットに係るウィジェット情報は、抽出対象から除外される。スキャン系のウィジェットとは、連携識別子に「scan」を含むウィジェット情報に係るウィジェットである。例えば、非図示のコピーウィジェットのウィジェット情報は、「scan」と「print」を連携識別子として含む。原稿よりスキャンした画像を印刷することでコピーが実現されるからである。したがって、コピーウィジェットについてもスキャン系ウィジェットとして扱われる。なお、以下の説明において「スキャンウィジェット22」というとき、その意味するところの範囲は、スキャン系ウィジェットと同じである。
【0074】
また、印刷設定情報又はスキャン設定情報に設定された設定値に基づいて対応の可否が判定されてもよい。例えば、当該画像形成装置10が対応していない用紙サイズ、解像度、カラー指定等を印刷設定情報又はスキャン設定情報に含むウィジェット情報は抽出対象から除外される。なお、ステップS401において抽出されたウィジェット情報を、以下「対応可能ウィジェット情報」という。
【0075】
少なくとも一つのウィジェット情報が対応可能ウィジェット情報として抽出された場合(S401でYes)、自動実行対象選択部127は、認証制御部128に問い合わせることにより、カレントユーザがログイン予約ユーザであるか否かを判定する。カレントユーザがログイン予約ユーザで無い場合、すなわち、現在画像形成装置10を操作中のユーザ(以下、単に「ログインユーザ」という。)である場合(S402でNo)、自動実行対象選択部127は、自動実行処理を実行する(S403)。自動実行処理では、対応可能ウィジェット情報の一覧の中から自動実行が可能なウィジェット情報が選択され、当該ウィジェット情報に基づいてジョブが自動実行される。但し、必ずしも自動実行可能なウィジェット情報が存在するとは(選択されるとは)限らない。自動実行処理の詳細は後述される。
【0076】
続いて、自動実行対象選択部127は、自動実行処理において自動実行の対象が選択されたか否か(すなわち、自動実行は行われたか否か)に応じて処理を分岐させる(S404)。自動実行の対象が選択されなかった場合(S404でNo)、自動実行対象選択部127は、ユーザにウィジェット情報を選択させるための画面(ウィジェット選択画面)の表示をUI制御部122に要求する。UI制御部122は、RAM112に記録されているウィジェット情報の一覧に基づいてウィジェット選択画面を操作パネル15へ表示させる(S413)。
【0077】
図16は、ウィジェット選択画面の表示例を示す図である。同図においてウィジェット選択画面620には、ウィジェット情報ごとにボタンが表示されている。同図では、スキャンウィジェット22のウィジェット情報に対応するボタン621と、ファイルAの印刷要求に係る印刷ウィジェット21のウィジェット情報に対応するボタン622と、ファイルBの印刷要求に係る印刷ウィジェット21のウィジェット情報に対応するボタン623とが表示されている。
【0078】
カレントユーザは、ウィジェット選択画面620に表示されたボタンを選択し、操作パネル15のスタートキーを押下することで、自動実行に続けて、任意に選択したウィジェット情報に基づくジョブを画像形成装置10に実行させることができる。
【0079】
一方、自動実行の対象が選択された場合(S404でYes)、自動実行対象選択部127は、自動実行の対象とされたウィジェット情報を対応可能ウィジェット情報の一覧より除去する(S405)。続いて、自動実行対象選択部127は、予約処理を実行する(S406)。予約処理では、次に自動実行の対象(予約の対象)とされるウィジェット情報が対応可能ウィジェット情報の一覧の中から選択され、選択されたウィジェット情報に基づくジョブが、ジョブ実行制御部125に登録される。但し、自動実行処理と同様、必ずしも予約可能なウィジェット情報が選択されるとは限らない。予約処理の詳細は後述される。なお、ステップS406の実行時には、ステップS402において自動実行の対象とされたジョブ(前のジョブ)が実行中である可能性が高い。したがって、カレントユーザがログインユーザであったとしても、ステップS406において選択されたジョブは直ちに実行されるとは限らない。特に、前のジョブと同じハードウェア(スキャナ12又はプリンタ13等)を利用する場合、ステップS406で選択されたジョブの実行は待機される。すなわち、ジョブは予約された状態となる。
【0080】
続いて、自動実行対象選択部127は、予約処理において予約の対象が選択されたか否か(すなわち、ジョブの予約が行われたか否か)に応じて処理を分岐させる(S407)。予約の対象が選択された場合(S407でYes)、自動実行対象選択部127は、予約の対象とされたウィジェット情報を対応可能ウィジェット情報の一覧より除去し(S408)、除去処理後の対応可能ウィジェット情報の一覧を入力情報として予約処理を再実行する(S406)。すなわち、更に次に自動実行するウィジェット情報の選択処理が実行される。ステップS406〜S408が予約の対象が選択されなくなるまで(自動実行可能なウィジェット情報が無くなるまで)繰り返されることにより、自動実行するウィジェット情報の実行順が決定される。
【0081】
予約処理において予約の対象が選択されなかった場合(S407でNo)、自動実行対象選択部127は、予約継続フラグの値がONであるか否かに応じて処理を分岐させる(S409)。予約継続フラグとは、予約処理において値が決定されるフラグ変数であり、「ON」又は「OFF」の値をとる。「ON」は、予約の対象が選択されなかった場合でも予約処理を継続すべきことを示す。「OFF」は、予約処理を終了すべきことを示す。なお、予約継続フラグは、図15の処理を実行するプロセスごとに設けられる。
【0082】
予約継続フラグの値が「ON」である場合(S409でYes)、自動実行対象選択部127は、残っている対応可能ウィジェット情報の一覧の中に、他の画像形成装置10(以下、「他機」という。)においてカレントユーザと同一ユーザに関して実行中又は既に予約されているウィジェット情報は有るか否かを判定する(S410)。当該判定は、いずれかの画像形成装置10においてウィジェット情報に基づくジョブの実行の開始又は予約が行われた際にウィジェット管理サーバ30より当該画像形成装置10に転送される通知に基づいて実行される。
【0083】
なお、他機においてカレントユーザと同一ユーザに関して実行中又は既に予約されているウィジェットが発生する場合としては、例えば、カレントユーザが、オフィスに有る複数の画像形成装置10に対して同時期にログイン又はログインの予約をしているような場合である。
【0084】
他機で実行中又は予約中のウィジェット情報が有る場合(S410でYes)、自動実行対象選択部127は、当該ウィジェット情報を対応可能ウィジェット情報の一覧より除去する。続いて、自動実行対象選択部127は、除去処理後の対応可能ウィジェット情報の一覧を入力情報として予約処理を再実行する(S406)。後述される予約処理の処理手順より明らかになるが、対応可能ウィジェット情報の一覧の中に予約可能なウィジェット情報が存在しなかった場合であっても、いずれかのウィジェット情報を当該一覧より除去することにより、他のウィジェット情報について予約が可能となる場合があるからである。他機で予約又は実行中であるウィジェット情報については、ユーザが他機で実行することを選択したものであると考えられる。そうすると、他機で予約又は実行中であるウィジェット情報に基づいて、当機(当該画像形成装置10)においてジョブを実行してしまうのは、ユーザの意図に反する可能性がある。そこで、自動実行対象選択部127は、他機において実行中又は予約中であるウィジェット情報を対応可能ウィジェット情報の一覧から除去して予約処理をリトライするのである。
【0085】
一方、予約継続フラグがOFFである場合(S409でNo)、又は予約継続フラグはONであるが、他機で実行中若しくは予約中のウィジェット情報が無い場合(S410でNo)、カレントユーザがログイン予約ユーザでなければ(S412No)、RAM112に記録されているウィジェット情報の一覧に基づいてウィジェット選択画面620がUI制御部122によって表示される(S413)。カレントユーザがログイン予約ユーザである場合(S412でYes)、ウィジェット選択画面620は表示されない。操作パネル115は、現在のログインユーザによって占有されているからである。
【0086】
一方、ステップS402において、カレントユーザがログイン予約ユーザであると判定された場合(S402でYes)、自動実行対象選択部127は、自動実行処理は実行しない。すなわち、ステップS403〜S405は実行されずにステップS406以降が実行される。先着の他のユーザがログインして画像形成装置10を使用している最中に、カレントユーザのジョブが実行されるのは適切ではないからである。
【0087】
また、ステップS401において、対応可能ウィジェット情報が一つも抽出されなかった場合(S401でNo)、自動実行対象選択部127は、ダウングレード自動実行処理を実行する(S414)。ダウングレードとは、所定の条件が満たされる場合に設定情報(印刷設定情報又はスキャン設定情報)について、画像形成装置10が対応可能な範囲の態様に変更することをいう。ダウングレードの典型的な例としては、カラー印刷又はカラースキャンが要求されている場合に、モノクロ印刷又はモノクロスキャンを実行するような場合である。
【0088】
続いて、ステップS403の自動実行処理の詳細について説明する。図17は、自動実行処理を説明するためのフローチャートである。
【0089】
ステップS502において、自動実行対象選択部127は、対応可能ウィジェット情報の一覧の中にスキャンウィジェット22のウィジェット情報は含まれているか否かを判定する(S502)。スキャンウィジェット22のウィジェット情報が含まれている場合(S502でYes)、自動実行対象選択部127は、原稿フラグの値は「ON」であるか否かを判定する(S503)。原稿フラグとは、画像形成装置10の圧板又はADF(Auto Document Feeder)に原稿がセットされたときにセンサによる検知に基づいてONに設定されるフラグ変数であり、例えば、RAM112に記録される。したがって、ステップS503では、実質的に原稿のセットの有無が判定される。なお、原稿フラグは、一台の画像形成装置10において一つ設けられる。したがって、同一の原稿フラグが、複数のユーザ(ログインユーザ又はログイン予約ユーザ)に関して並列的又は直列的に実行される複数のプロセスによって参照又は更新される。
【0090】
対応可能ウィジェット情報の一覧にスキャンウィジェット22のウィジェット情報が含まれており、原稿フラグが「ON」である場合(S503でYes)、カレントユーザが実行対象としたいのはスキャンウィジェット22に係るジョブである可能性が高い。そこで、自動実行対象選択部127は、対応可能ウィジェット情報の一覧の中で、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報は一つであるか否かを判定する(S504)。スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が一つである場合(S504でYes)、自動実行対象選択部127は、当該一つのスキャンウィジェット22に係るウィジェット情報を自動実行の対象とする(S505)。一方、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が複数である場合(S504でNo)、カレントユーザがいずれのウィジェット情報を実行対象としたいのかは必ずしも明確ではない。そこで、自動実行対象選択部127は、当該複数のウィジェット情報の中でアクセス日時が所定期間内(例えば、1時間以内等)であるものの有無を判定する(S506)。アクセス日時が所定期間内のウィジェット情報がある場合(S506でYes)、自動実行対象選択部127は、該当するウィジェット情報の中で、アクセス日時が最近である一つのウィジェット情報を実行対象として選択する(S507)。アクセス日時が最近であるということは、ユーザの関心が相対的に高いウィジェット情報であると考えられるからである。
【0091】
ステップS505又はS507に続いて、自動実行対象選択部127は、ジョブ実行制御部125に、自動実行の対象として選択された一つのウィジェット情報に基づくスキャンジョブの実行を要求する(S508)。ジョブ実行制御部125は、要求されたスキャンジョブを画像形成装置10に実行させる。その結果、ウィジェット選択画面620におけるボタンの選択操作及びスタートキーの押下の2つの操作ステップが省略される。
【0092】
続いて、自動実行対象選択部127は、原稿フラグの値を「OFF」とする(S509)。スキャンジョブの実行によりセットされていた原稿が無くなるからである。なお、ステップS509の処理は、ステップS508においてジョブ実行制御部125に要求されたジョブの実行の完了を待機せずに(ジョブの実行とは非同期に)実行される。但し、ジョブの実行の完了が待機されてもよい。
【0093】
なお、ステップS506において、アクセス日時が所定期間内のウィジェット情報が無い場合(S506でNo)、自動実行は行われない。
【0094】
ステップS503において、原稿フラグが「OFF」である(すなわち、原稿がセットされていない)場合(S503でNo)、カレントユーザがスキャンウィジェット22に係るジョブを操作対象の画像形成装置10において実行対象としたいか否かは断定できない。また、そもそも、原稿がセットされていない状態ではスキャンジョブを自動実行することはできない。そこで、自動実行対象選択部127は、対応可能ウィジェット情報の一覧の中でアクセス日時が所定期間内(例えば、1時間以内等)であるウィジェット情報の有無を判定する(S506)。アクセス日時が所定期間内のウィジェット情報が有る場合(S507でYes)、自動実行対象選択部127は、該当するウィジェット情報の中で、アクセス日時が最近である一つのウィジェット情報を選択対象とする(S512)。ここで選択対象とされるのはスキャンウィジェット22のウィジェット情報に限られない。印刷ウィジェット21のウィジェット情報も選択対象となりうる。なお、選択対象とされたウィジェット情報は、自動実行の対象とはされないが、ウィジェット選択画面620の表示時において、対応するボタンが選択状態とされる。すなわち、図15のステップS413において、UI制御部122は、選択対象とされたウィジェット情報に対応するボタンを選択状態(すなわち、実行対象)としてウィジェット選択画面620を表示させる。したがって、この場合、選択状態とされたボタンが、ユーザが実行対象として所望するウィジェット情報に対応するものであれば、ユーザは、スタートキーを押下するだけで当該ウィジェット情報に基づくジョブを画像形成装置10に実行させることができる。その結果、ウィジェット選択画面620における操作ステップを省略することができる。
【0095】
なお、ステップS511において、アクセス日時が所定期間内のウィジェット情報が無い場合(S506でNo)、自動実行対象又は選択対象の判定は行われない。したがって、この場合、その後に表示されるウィジェット選択画面620では、いずれのボタンも選択状態とはされない。
【0096】
ステップS502において、対応可能ウィジェット情報の一覧の中にスキャンウィジェット22のウィジェット情報が含まれていない場合(すなわち、印刷ウィジェット21に関するウィジェット情報のみが含まれている場合)(S502でNo)、自動実行対象選択部127は、画像形成装置10がスキャン12を有していないか否か、すなわち、画像形成装置10は、複合機ではなく単なるプリンタであるか否かを判定する(S521)。当該判定は、例えば、当該画像家形成装置10のモデル名(機種名)等に基づいて行えばよい。モデル名は、例えば、画像形成装置10のROM113又はHDD114に記録されており、所定のAPI(Application Program Interface)を介して取得可能である。
【0097】
画像形成装置10が単なるプリンタである場合(スキャナ12を有していない場合)(S521でYes)、自動実行対象選択部127は、全ての対応可能ウィジェット情報を自動実行の対象として選択する。したがって、ジョブ実行制御部125は、全ての対応可能ウィジェット情報に基づいて、印刷ジョブを連続的に実行する(S522)。
【0098】
すなわち、全ての対応可能ウィジェット情報が印刷ウィジェット21に係るものであるような状況において、ユーザが、単なるプリンタを操作対象としたということは、当該ウィジェット情報の全てを実行対象としたいと考えている可能性が高いからである。
【0099】
一方、画像形成装置10が単なるプリンタでない場合(スキャナ12及びプリンタ13の双方を備えた複合機である場合)(S521でNo)、自動実行対象選択部127は、対応可能ウィジェット情報の一覧におけるウィジェット情報の配列順において先頭から順に印刷枚数が所定の閾値以下であるウィジェット情報を検索する(S523〜S526)。ウィジェット情報の配列順は、例えば、ウィジェット管理サーバ30におけるウィジェット情報管理テーブル35への登録順に従う。印刷枚数は、例えば、印刷対象の印刷データの印刷ページ数に、印刷設定情報に含まれている印刷部数を乗ずることにより算出される。印刷枚数が所定の閾値以下であるウィジェット情報が検索された場合(S524)、自動実行対象選択部127は、検索された一つのウィジェット情報を実行対象として選択し、残りのウィジェット情報について検索は行わない。したがって、ジョブ実行制御125は、選択された一つウィジェット情報に基づいて印刷ジョブを実行する(S527)。
【0100】
一方、印刷枚数が所定の閾値以下であるウィジェット情報が一つも無い場合(S525でNo)、自動実行対象選択部127は、対応可能ウィジェット情報の一覧におけるウィジェット情報の配列順において、先頭のもの選択対象とする(S528)。但し、選択対象とするウィジェット情報は必ずしも先頭のものでなくてもよい。例えば、印刷枚数等、ウィジェット情報に含まれるパラメータの比較に基づいて選択対象とするウィジェット情報が決定されてもよい。この場合も、UI制御部122は、選択対象とされたウィジェット情報に対応するボタンを選択状態としてウィジェット選択画面620を表示させる(図15のステップS413)。
【0101】
このように、操作対象の画像形成装置10が複合機である場合は、対応可能ウィジェット情報の全てについては印刷ジョブは実行されない。これは、一般的なユーザ環境における複合機の利用方法を考慮したためである。
【0102】
一般的に、複合機と単なるプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)との課金体系は異なる場合が多い。具体的には、複合機は、従量制(1ページ当たりいくら)が採用され、プリンタについては、メンテナンス及び消耗品が主な課金対象とされる。ユーザは、このような課金体系の相違に基づいて、コストができるだけ抑制されるように複合機とプリンタとを目的に応じて使い分ける傾向にある。具体的には、通常の印刷ジョブにはプリンタを利用し、カラー印刷等の特定の印刷ジョブやスキャナ機能を必要とするジョブ(コピージョブ又はスキャンジョブ)については複合機を利用する傾向にある。
【0103】
プリンタと複合機とがこのように使い分けられている実情に鑑みると、操作対象とされた画像形成装置10が複合機である場合に、全ての対応可能ウィジェット情報が印刷ウィジェット21に係るものであるからといって、全ての対応可能ウィジェットの印刷ジョブを自動的に実行してしまうのは、ユーザの意図に沿わない可能性がある。ユーザは、従量制の課金体系を考慮して、複合機における実行対象を所定のウィジェット情報に係るものに限定したいと考えている可能性が有るからである。そこで、上記では、印刷枚数が所定の閾値以下であることをユーザの意図に沿うための判断基準として採用した。なお、所定の閾値は、画像形成装置10の性能等に応じて変化してもよい。例えば、高速機であれば閾値を相対的に高くし、低速機であれば閾値を相対的に低くしてもよい。
【0104】
また、視点を変えて、複合機において自動実行対象とするウィジェット情報を以下のように選択してもよい。例えば、一つのオフィスに配置されるプリンタと複合機との組み合わせにおいて、プリンタよりも複合機の方が高速機である(印刷性能が高い)ケースが多い。そうすると、ユーザは、蓄積されているウィジェット情報(印刷ジョブ)について、印刷枚数の多いものは高速機に実行させ、それと並行して印刷枚数の少ないものは低速機に実行させることで、ジョブ全体の実行時間を短縮させたいと考える可能性も認められる。そこで、自動実行対象選択部127は、操作対象の画像形成装置10の印刷性能(例えば、所定時間当たりの印刷枚数)が所定値以上である場合は、印刷枚数が所定枚数以上であるウィジェット情報を実行対象として選択する。印刷性能と印刷枚数の閾値とについて複数の組み合わせを設定可能としてもよい。そうすることで、例えば、画像形成装置10が、低速機、中速機、又は高速機であるかに応じて、性能に応じた印刷枚数の印刷ジョブを画像形成装置10に自動実行させることができる。
【0105】
なお、図17において、ステップS509、S522、又はS527が実行された場合は、図15の処理において、自動実行の対象は選択されたものと判断される。
【0106】
続いて、図15のステップS406の詳細について説明する。図18は、予約処理を説明するためのフローチャートである。予約処理の処理手順は、その大部分が自動実行処理(図17)と共通する。そこで、図18において図17と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0107】
予約処理では、自動実行処理において、自動実行の対象として選択されるウィジェット情報が予約対象として選択される(S505a、S507a、S522a、S527a)。また、予約対象とされたジョブは即時的には実行されない。したがって、ステップS508は存在しない。
【0108】
また、予約処理では、ウィジェット選択画面620において選択状態とするウィジェット情報の判定も行われない。したがって、ステップS503でNoの場合、又はステップS525でNoの場合は何も実行されない。
【0109】
更に、予約処理では、ステップS502の実行前に、予約継続フラグがOFFに初期化される(S501)。予約継続フラグは、ステップS506においてアクセス日時が所定期間内のウィジェット情報が無いと判定された場合(S506でNo)に、自動実行対象選択部127によって「ON」に設定される(S515)。この場合、原稿フラグは「ON」である(S503でYes)。したがって、スキャンジョブを実行可能な環境は整っている。但し、対応可能ウィジェット情報の一覧の中にスキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が複数含まれている(S504でNo)ために予約対象を特定することができない。しかし、対応可能ウィジェット情報の一覧の中に含まれているスキャンウィジェット22に係る複数のウィジェット情報の一部が他機によって実行中又は既に予約中であれば、当機において自動実行の対象として予約する必要性は低い。むしろ、当機において予約されて自動実行されてしまうとユーザの意図に沿わない可能性がある。
【0110】
ユーザの意図に沿わない典型例として、当機がカラー機で他機がモノクロ機であるとする。また、対応可能ウィジェット情報の一覧に含まれているスキャンウィジェット22に係る複数のウィジェット情報は、カラー指定のウィジェット情報と、モノクロ指定のウィジェット情報との二つであるとする。更に、当該二つのウィジェット情報のアクセス時期は、所定期間外であるとする。
【0111】
この場合、当機では、二つのウィジェット情報は実行可能なものであるため、ステップS504でNoと判定され、更にステップS506においてNoと判定される。一方、他機では、カラー指定のウィジェット情報は対応不可能であるため、対応可能ウィジェット情報には含まれない。したがって、モノクロ指定のウィジェット情報がステップS505aにおいて予約対象とされる。又は、当該ウィジェット情報は、図17のステップS505及びS508によって自動実行される。そうすると、ユーザの意図は、モノクロ指定のウィジェット情報に係るスキャンジョブについてはもともと他機において実行することであると考えることができる。また、カラー指定のウィジェット情報に係るスキャンジョブについては当機で実行させるのがユーザの意図であると考えることができる。
【0112】
そこで、本実施の形態においては、このような状況において、カラー指定のウィジェット情報を自動実行の予約の対象とすることができるよう、ステップS515において予約継続フラグが「ON」にされるのである。予約継続フラグが「ON」にされることにより、モノクロ指定のウィジェット情報に係るジョブが他機で実行中又は予約中であれば(図15のS410でYes)、当該モノクロ指定のウィジェット情報は、当機における対応可能ウィジェット情報の一覧より除去される(S411)。その結果、再度予約処理が実行された際に、カラー指定のウィジェット情報がステップS505aにおいて予約対象として選択される。
【0113】
他の例として、対応可能ウィジェット情報の一覧にスキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が複数含まれており、更に、印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報が含まれている場合に、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報に係るジョブが他機で実行中又は予約中であれば、印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報が予約の対象として選択される可能性も有る。
【0114】
なお、予約処理(図18)において、ステップS503の原稿フラグの確認処理の処理内容は、自動実行処理(図17)のステップS503と同じであるが、その意義は異なる。すなわち、自動実行処理は、カレントユーザがログインユーザ、すなわち現在の操作者である場合に実行される処理である。したがって、原稿フラグがONであるということは、カレントユーザによって実際に原稿がセットされている状態であることを示す。一方、予約処理は、自動実行処理の後、又はカレントユーザがログイン予約ユーザである場合に実行される処理である。したがって、実際に原稿がセットされている場合であっても、原稿フラグは「OFF」である場合がある。具体的には、カレントユーザに関して、前回のループにおいて実行された予約処理のステップS509において原稿フラグが「OFF」された場合である。また、カレントユーザがログイン予約ユーザである場合は、先着の他のユーザに関する予約処理によって原稿フラグがOFFにされた場合である。すなわち、原稿フラグとは、現在画像形成装置10にセットされている原稿が既にいずれかのスキャンジョブに割り当てられてしまったか否かを判断するためのフラグである。
【0115】
続いて、図15のステップS414の詳細について説明する。図19は、ダウングレード自動実行処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0116】
ステップS601において、自動実行対象選択部127は、カレントユーザはログイン予約ユーザであるか否かを判定する(S601)。カレントユーザがログイン予約ユーザでない場合、すなわち、カレントユーザがログインユーザである場合(S601でNo)、自動実行対象選択部127は、RAM112に記録されているウィジェット情報の一覧(以下、「ウィジェット情報一覧」という。)に含まれているウィジェット情報は、一つであるか、又はユニキャストによって転送された広告に基づいて取得されたウィジェット情報であるか否かを判定する(S602)。
【0117】
いずれか一方に該当する場合(S602でYes)、自動実行対象選択部127は、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報は含まれているか否かを判定する(S603)。スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が含まれている場合(S603でYes)、自動実行対象選択部127は、原稿フラグはONであるか否か、すなわち、原稿がセットされているか否かを判定する(S604)。原稿フラグがONである場合(S604でYes)、自動実行対象選択部127は、原稿フラグをOFFにし(S605)、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報に基づくジョブの実行をジョブ実行制御部125に要求する。ジョブ実行制御部125は、当該ウィジェット情報に含まれているスキャン設定情報のパラメータのうち、画像形成装置10において対応できないパラメータについては、無視又は対応可能な値(例えば、処理結果が近似又は類似する値)に変更して(すなわち、ダウングレードして)要求されたスキャンジョブを実行する(S606)。すなわち、画像形成装置10が対応可能な範囲の態様でジョブが実行される。なお、スキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が複数有る場合は、図17のステップS506及びS507と同じ処理で、自動実行の対象を一つに限定すればよい。
【0118】
一方、ウィジェット情報一覧にスキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が含まれていない場合、すなわち、全てが印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報である場合(S603でYes)、自動実行対象選択部127は、印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報に基づくジョブの実行をジョブ実行制御部125に要求する。ジョブ実行制御部125は、当該ウィジェット情報に含まれている印刷設定情報のパラメータのうち、当該画像形成装置10において対応できないパラメータについては、ダウングレードして要求された印刷ジョブを実行する(S606)。印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報が複数有る場合は、全てのウィジェット情報に係るジョブを自動実行すればよい。
【0119】
なお、カレントユーザがログイン予約ユーザである場合(S601でYes)、又はステップS602の条件が満たされていない場合(S602でNo)は、自動実行対象選択部127は、ダウングレードによるジョブの自動実行は行わない。
【0120】
以上のように、ダウングレードによるジョブの自動実行は、ウィジェット情報が一つである場合又は広告がユニキャストによって受信された場合等、極めて限定された場合に許可される。本来の設定情報の少なくとも一部を変更してジョブが実行されるため、ジョブの結果がユーザの意図とは異なる可能性があるからである。それにも拘わらずウィジェット情報が一つである場合にダウングレードによるジョブの自動実行を許可するのは、ウィジェット情報が一つしか無い場合に操作対象とされた画像形成装置10は、ユーザが当該ウィジェット情報に関するジョブの実行先として意図的に選択したものであると考えられるからである。
【0121】
また、ユニキャストによって広告が受信された場合にダウングレードによるジョブの自動実行を許可するのは、ユニキャストによって広告が受信された画像形成装置10は、ジョブの実行先するユーザの意図が他の画像形成装置10に比べて強いと考えられるからである。
【0122】
なお、ダウングレードは、必ずしもジョブ実行制御部125が意識する必要はない。一般的な画像形成装置では、対応不可能な設定情報を含む印刷データが受信された場合は、自動的にダウングレードする機能を有するからである。但し、ジョブ実行制御部125において、予め設定情報を加工(変更)してもよい。設定情報の加工は、HDD114に予め記録されたダウングレード情報に基づいて行われればよい。ダウングレード情報は、例えば、設定項目(設定情報のパラメータ)ごとに、ダウングレード前の値とダウングレード後の値が定義された情報である。
【0123】
続いて、ウィジェット情報に基づくジョブの実行手順について説明する。ジョブの実行手順については、実行対象のウィジェット情報に係るウィジェットの種別(印刷ウィジェット21であるかスキャンウィジェット22であるかの別)によって異なる。したがって、印刷ウィジェット21に係るウィジェット情報が実行対象である場合とスキャンウィジェット22に係るウィジェット情報が実行対象である場合とに分けてその実行手順を説明する。なお、図20又は図21において「実行対象とされたウィジェット情報」とは、自動実行(予約による自動実行、及びダウングレードによる自動実行も含む。)の対象として選択されたウィジェット情報、又はウィジェット選択画面620において対応するボタンが選択されたウィジェット情報をいう。したがって、「実行対象とされたウィジェット情報」が自動実行の対象とされたウィジェット情報である場合、図20及び図21は、図17におけるステップS508、S522、S527、又は図17のステップS606の内容を詳細に説明したものに該当する。但し、ステップS522の場合は、実行対象とされたウィジェット情報の数に応じて、図20の処理が繰り返し実行される。また、「実行対象とされたウィジェット情報」がウィジェット選択画面620において対応するボタンが選択されたウィジェット情報である場合、図20及び図21は、図15のステップS413に続いて実行される処理に該当する。
【0124】
図20は、印刷ウィジェットに係るウィジェット情報に基づく印刷ジョブの実行手順を説明するためのシーケンス図である。同図において、画像形成装置10aは、操作対象とされている画像形成装置10以外の他の一以上の画像形成装置10である。図21においても同様である。
【0125】
操作対象とされている画像形成装置10のジョブ実行制御部125は、実行対象とされたウィジェット情報(以下、「カレントウィジェット情報」という。)に含まれている連携機能識別子(「print」)に基づいて、印刷ジョブを実行すべきことを判断する(S211)。続いて、ウィジェット連携部124は、カレントウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛に印刷ジョブの開始通知を送信する(S212)。当該開始通知に応じ、ウィジェット管理サーバ30の仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報に対してジョブの実行中であることを示すデータ(以下、「ジョブ実行中フラグ」という。)を記録する。
【0126】
続いて、仲介部34は、当該ウィジェット情報に対して登録されているウィジェット情報の取得先の各画像形成装置10aにジョブの開始通知を送信する(S213)。ジョブの開始通知には、当該ウィジェット情報のウィジェット中継用URL等、実行対象とされたウィジェット情報を特定可能な識別情報が含まれていればよい。なお、例えば、図12のステップS202において、アプリ情報提供部33は、ウィジェット情報の取得要求の送信元の識別情報(IPアドレス等)を、当該取得要求の宛先であるウィジェット情報取得用URLに対応するウィジェット情報管理テーブル35に記録されている各ウィジェット情報に関連付けて記録しておけばよい。仲介部34は、ウィジェット情報提供部33によって記録された識別情報に係る画像形成装置10aをジョブの開始通知の送信先とすればよい。
【0127】
ジョブの開始通知を受信した各画像形成装置10aのネットアプリ連携部124は、当該開始通知に含まれているウィジェット情報中継用URLを含むウィジェット情報のステータス情報を「実行中」とする。なお、ステータス情報は、ウィジェット情報ごとに当該ウィジェット情報の状態を示すデータとしてRAM112に記録される。
【0128】
続いて、ジョブ実行制御部125は、カレントウィジェット情報に含まれている印刷データに基づく印刷の実行をプリンタ13に実行させる(S214)。続いて、ウィジェット連携部124は、印刷ジョブの実行結果(成否)を示す情報(実行結果情報)を、カレントウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛に送信する(S215)。ウィジェット中継用URL宛の実行結果情報は、ウィジェット管理サーバ30の仲介部34によって受信される。
【0129】
仲介部34は、実行結果情報の受信に応じ、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報にその識別情報(IPアドレス等)が関連付けられている各画像形成装置10aに、ジョブの終了通知を送信する(S216)。ジョブの終了通知には、当該ウィジェット情報のウィジェット中継用URL等、実行対象とされたウィジェット情報を特定可能な識別情報が含まれていればよい。ジョブの終了通知を受信した画像形成装置10aのネットアプリ連携部124は、当該終了通知に含まれているウィジェット情報中継用URLを含むウィジェット情報のステータス情報を「待機中」とする。
【0130】
続いて、仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報に対して記録されているジョブ実行中フラグを削除する。仲介部34は、また、当該実行結果情報を、当該ウィジェット中継用URLに関連付けて記憶しておく。仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応する印刷ウィジェット21からの問い合わせ(ポーリング)に応じて、当該実行結果情報を返信する(S217)。
【0131】
図21は、スキャンウィジェットに係るウィジェット情報に基づくスキャンジョブの実行手順を説明するためのシーケンス図である。
【0132】
操作対象とされている画像形成装置10のジョブ実行制御部125は、実行対象とされたウィジェット情報(以下、「カレントウィジェット情報」という。)に含まれている連携機能識別子(「scan」)に基づいて、スキャンジョブを実行すべきことを判断する(S301)。続いて、ウィジェット連携部124は、カレントウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛にスキャンジョブの開始通知を送信する(S302)。当該開始通知に応じ、ウィジェット管理サーバ30の仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報に対してジョブ実行中フラグを記録する。
【0133】
続いて、仲介部34は、当該ウィジェット情報の取得先の各画像形成装置10aにジョブの開始通知を送信する(S303)。当該開始通知の内容は、図20のステップS213におけるものと同様でよい。ジョブの開始通知を受信した各画像形成装置10aのネットアプリ連携部124は、当該開始通知に含まれているウィジェット情報中継用URLを含むウィジェット情報のステータス情報を「実行中」とする。
【0134】
続いて、ジョブ実行制御部125は、カレントウィジェット情報に含まれているスキャン設定情報に基づいて原稿からの画像データの読み取りを制御する(S304)。より詳しくは、ジョブ実行制御部125は、画像形成装置10にセットされている原稿に対するスキャンをスキャナ12に実行させ、その結果得られる画像データをウィジェット連携部124に出力する。ウィジェット連携部124は、当該画像データをカレントウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛に送信する(S305)。ウィジェット中継用URL宛に送信された画像データは、ウィジェット管理サーバ30の仲介部34によって受信される。
【0135】
仲介部34は、画像データの受信に応じ、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報にその識別情報(IPアドレス等)が関連付けられている各画像形成装置10aに、ジョブの終了通知を送信する(S306)。当該終了通知の内容は、図20のステップS217におけるものと同様でよい。ジョブの終了通知を受信した各画像形成装置10aのネットアプリ連携部124は、当該終了通知に含まれているウィジェット情報中継用URLを含むウィジェット情報のステータス情報を「待機中」とする。
【0136】
続いて、仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報に対して記録されているジョブ実行中フラグを削除する。
【0137】
一方、スキャンウィジェット22は、ウィジェット情報を送信した後、画像形成装置10において画像データがスキャンされたことを確認するためのポーリングを一定間隔ごとに行っている。具体的には、スキャンウィジェット22の連携部223は、スキャンされた画像データ(スキャン画像)の取得要求をウィジェット管理サーバ30の仲介部34に送信する(S311)。仲介部34は、当該取得要求に対する応答を行う(S312)。ステップS305より前の段階では、画像データはスキャンされていないため、スキャン画像は無いことを示す応答が返信される。
【0138】
スキャン画像の受信後にスキャン画像の取得要求が連携部223より受信されると(S313)、仲介部34は、ステップS305において受信されたスキャン画像を連携部223に返信する(S314)。連携部223は、当該スキャン画像をスキャンデータ処理部224に入力する。スキャンデータ処理部224は、当該スキャン画像を処理対象として、自らに実装されている処理(ロジック)を実行する(S315)。例えば、スキャンデータ処理部224は、属性情報管理ファイル225に設定されている保存先に当該スキャン画像を保存する。スキャン画像データに対する処理が完了すると、連携部223は、次のスキャンの実行に備えてポーリングを再開する(S316、S317)。
【0139】
なお、ジョブ実行制御部125は、ジョブキューにウィジェット情報が蓄積されている場合は(すなわち、予約されているジョブが有る場合は)、ジョブキューに蓄積された順に(古いウィジェット情報から順に)ウィジェット情報を取り出し、当該ウィジェット情報に関して図20又は図21の処理を繰り返す。その結果、予約されたジョブが自動的に実行される。なお、ジョブキューについては後述される。
【0140】
また、認証制御部128は、ログインユーザのログアウトを検知した際に、ログイン予約ユーザが記憶されている場合は、当該ログイン予約ユーザに関するジョブの実行をジョブ実行制御部125に要求する。ジョブ実行制御部125は、認証制御部128からの要求に応じ、ジョブキューに蓄積されたウィジェット情報に基づいて、図20又は図21の処理を実行する。
【0141】
また、図15のステップS410において、他機において実行中のウィジェット情報の有無を判定する際には、各ウィジェット情報に関連付けられているステータス情報が利用される。すなわち、ステータス情報の値が「実行中」であるウィジェット情報は、他機において実行中であると判定される。
【0142】
続いて、予約処理における予約対象の選択時(図18のステップS505a、S507a、S522a、S527a)に実行される処理について説明する。図22は、予約対象の選択時に実行される処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。なお、同図における画像形成装置10aの意味は、図20又は図21と同様である。
【0143】
ステップS701において、自動実行対象選択部127は、予約の対象として選択されたウィジェット情報に係るジョブの実行要求をジョブ実行制御部125に入力する。ジョブ実行制御部125は、入力されたウィジェット情報をジョブキューに登録する。なお、ジョブキューは、FIFO(First-In First-Out)方式によってウィジェット情報を記憶する記憶領域であり、例えば、RAM112に確保される。続いて、自動実行対象選択部127は、ウィジェット連携部124を介して、当該ウィジェット情報のウィジェット中継用URL宛に予約通知を送信する(S702)。当該予約通知に応じ、ウィジェット管理サーバ30の仲介部34は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報の取得先の各画像形成装置10aにジョブの予約通知を送信する(S703)。ジョブの予約通知には、当該ウィジェット情報のウィジェット中継用URL等、予約対象とされたウィジェット情報を特定可能な識別情報が含まれていればよい。ジョブの予約通知を受信した各画像形成装置10aのネットアプリ連携部124は、当該予約通知に含まれているウィジェット情報中継用URLを含むウィジェット情報のステータス情報を「予約中」とする(S704)。
【0144】
なお、図15のステップS410において、他機において予約中のウィジェット情報の有無を判定する際には、各ウィジェット情報に関連付けられているステータス情報が利用される。すなわち、ステータス情報の値が「予約中」であるウィジェット情報は、他機において予約中であると判定される。
【0145】
ところで、本実施の形態では、ウィジェット管理装置30がユーザ端末20と画像形成装置10との間を仲介する例について説明した。斯かる形態は、画像形成装置10と通信する装置をウィジェット管理装置30に集約することで、画像形成装置10との間の通信プロトコルの対応をウィジェット管理装置30に限定することができるといった利点がある。また、画像形成装置10への通信量を低減させることができるといった利点がある。但し、各ユーザ端末20と画像形成装置10とが直接やりとりするようにしてもよい。この場合、各ユーザ端末20がウィジェット管理装置30の機能を有していればよい。
【0146】
上述したように、本実施の形態の画像形成装置10は、ウィジェット管理サーバ30に蓄積されたウィジェット情報(ジョブの実行要求)の中から、当該画像形成装置10の能力又は性能等や、蓄積されているウィジェット情報の組み合わせに照らしてユーザの意図を推測し、推測結果に基づいて自動実行に適したウィジェット情報を選択する。また、更に自動実行が可能なウィジェット情報が存在する場合は、当該ウィジェット情報についても自動実行の予約を行う。更に、自動実行の予約に関しては、他の先着のユーザが画像形成装置10にログイン中であっても可能である。したがって、蓄積されたジョブ(ウィジェット情報)の実行に関して、画像形成装置10に対するユーザによる操作ステップを削減することができる。
【0147】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 情報処理システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
18 カードリーダー
20 ユーザ端末
21 印刷ウィジェット
22 スキャンウィジェット
30 ウィジェット管理サーバ
31 ウィジェット情報登録部
32 広告部
33 ウィジェット情報提供部
34 仲介部
40 ネットワーク
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
121 ユーザ検知部
122 UI制御部
123 ウィジェット情報取得部
124 ウィジェット連携部
125 ジョブ実行制御部
126 ユーザ管理テーブル
127 自動実行対象選択部
128 認証制御部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
206 表示装置
207 入力装置
211 UI制御部
212 ウィジェット情報送信部
213 連携部
214 印刷データ生成部
215 属性情報管理ファイル
221 UI制御部
222 ウィジェット情報送信部
223 連携部
224 スキャンデータ処理部
225 属性情報管理ファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特開2007−200284号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
当該画像形成装置の操作者の識別情報の入力を受け付ける操作者識別手段と、
ネットワークを介して接続されているジョブ蓄積装置に蓄積されている、前記識別情報に係るジョブの一覧を取得するジョブ取得手段と、
前記一覧の中に画像読取手段を利用するジョブが含まれているか否かに応じて自動実行するジョブの選択方法を変更して、前記自動実行の対象とする第一のジョブを選択し、前記第一のジョブ除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第一のジョブの次に自動実行する第二のジョブを選択して前記ジョブの実行順を決定する自動実行対象選択手段と、
自動実行の対象として選択されたジョブを前記実行順で当該画像形成装置に実行させる実行制御手段とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ蓄積装置より送信される、他の前記画像形成装置において前記自動実行の対象とするジョブが選択されたこと、又は前記ジョブの実行が開始されることを示す通知を受信する連携手段を有し、
前記自動実行対象選択手段は、前記画像読取手段を利用する複数のジョブが前記一覧に含まれている場合に、前記複数のジョブのうち前記通知に係るジョブを除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第二のジョブを選択する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記自動実行対象選択手段は、当該画像形成装置が対応可能なジョブが前記一覧に含まれていない場合は、前記一覧に含まれているジョブが一つであれば当該ジョブを前記自動実行の対象として選択し、
前記実行制御手段は、当該画像形成装置が対応可能な範囲の態様で前記自動実行の対象として選択されたジョブを実行させる請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれておらず印刷手段を利用するジョブが含まれている場合に、当該画像形成装置が前記画像読取手段及び前記印刷手段を有するときは、前記ジョブの印刷枚数と所定値との比較に基づいて、前記自動実行の対象とするジョブを選択する請求項1乃至3いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれておらず、印刷手段を利用するジョブが含まれている場合に、当該画像形成装置が前記画像読取手段を有さないときは、前記印刷手段を利用する全てのジョブを前記自動実行の対象として選択する請求項1乃至4いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれており、前記画像読取手段に原稿がセットされている場合は、前記画像読取手段を利用するジョブのいずれかを前記自動実行の対象として選択する請求項1乃至5いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれており、前記画像読取手段に原稿がセットされている場合に、当該ジョブが一つであるときは、当該ジョブを前記自動実行の対象として選択する請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ジョブ取得手段は、前記ジョブがユーザによって最後に操作された時期を示す情報を前記ジョブごとに取得し、
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれており、前記画像読取手段に原稿がセットされている場合に、当該ジョブが複数であるときは、前記時期に基づいて前記自動実行の対象とするジョブを選択する請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブ取得手段は、前記ジョブがユーザによって最後に操作された時期を示す情報を前記ジョブごとに取得し、
前記自動実行対象選択手段は、前記一覧の中に前記画像読取手段を利用するジョブが含まれており、前記画像読取手段に原稿がセットされていない場合は、前記時期に基づいて前記自動実行の対象とするジョブを選択する請求項1乃至8いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置が実行するジョブ実行方法であって、
当該画像形成装置の操作者の識別情報の入力を受け付ける操作者識別手順と、
ネットワークを介して接続されているジョブ蓄積装置に蓄積されている、前記識別情報に係るジョブの一覧を取得するジョブ取得手順と、
前記一覧の中に画像読取手段を利用するジョブが含まれているか否かに応じて自動実行するジョブの選択方法を変更して、前記自動実行の対象とする第一のジョブを選択し、前記第一のジョブ除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第一のジョブの次に自動実行する第二のジョブを選択して前記ジョブの実行順を決定する自動実行対象選択手順と、
自動実行の対象として選択されたジョブを前記実行順で実行する実行制御手順とを有するジョブ実行方法。
【請求項11】
画像形成装置に、
当該画像形成装置の操作者の識別情報の入力を受け付ける操作者識別手順と、
ネットワークを介して接続されているジョブ蓄積装置に蓄積されている、前記識別情報に係るジョブの一覧を取得するジョブ取得手順と、
前記一覧の中に画像読取手段を利用するジョブが含まれているか否かに応じて自動実行するジョブの選択方法を変更して、前記自動実行の対象とする第一のジョブを選択し、前記第一のジョブ除いた前記一覧に対して前記選択方法を適用して前記第一のジョブの次に自動実行する第二のジョブを選択して前記ジョブの実行順を決定する自動実行対象選択手順と、
自動実行の対象として選択されたジョブを前記実行順で実行する実行制御手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−101253(P2011−101253A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255324(P2009−255324)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】