説明

画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】溶媒にトナーを分散した高粘度の液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を、記録材に転写し、定着するに際して、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制し、またトナー画像のオフセットも防止することができる画像形成装置、及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】現像されたトナー画像を、記録材に転写した後、定着する前に、溶媒を含むトナー画像を記録材の反対面側から加熱しながら、同時に温度上昇を制限された加圧部材を用いて、トナー画像面側から加圧することにより、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を記録材に転写し、定着する画像形成装置、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(感光ドラム)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリヤ液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
感光体表面の潜像は、液体現像剤の薄層で現像され、感光体表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、記録材に転写される。あるいは、一旦中間転写体などに一次転写された後、記録材に二次転写される。
【0006】
記録材に転写されたトナー画像は、定着装置により加圧、加熱されるなどして、通常は紙である記録材に定着される。しかしトナー画像は、元々はキャリヤ液にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像したものであり、トナーのみならず、トナー間、トナー紙間にはキャリヤ液が含まれている。しかもかなり高粘度である。
【0007】
高粘度のキャリヤ液の存在は、トナー画像定着時の定着性を阻害することが知られている。例えば、トナー画像と記録材がキャリヤ液によって濡れた状態になっているため、トナー画像の定着性を低下させる。また加圧定着時にトナー画像の一部が定着ローラにオフセットしたりすることもある。
【0008】
これに対して、定着前に未定着のトナー画像から溶媒(キャリヤ液)を除去しようとする技術が開発されてきた(例えば、特許文献1、2、3及び4参照)。
【0009】
特許文献1に記載の技術によれば、定着装置前に発熱源と、この発熱源からの熱線を記録材の表面に向けて集束照射させる熱線集束ミラーとを設けて、記録材上の溶媒を揮発させることで除去する。
【0010】
しかしながら、安全性や揮発した溶媒を捕集するシステムを準備する必要がある。また気化熱を供給するためのエネルギーが増大してしまうという課題もある。
【0011】
特許文献2に記載の技術によれば、ジョンセン−ラーベック効果により、すなわち記録材上に導電性の低いトナー層がある場合、これらの厚み方向の電界印加により、記録材とトナー間、あるいはトナー間の境界部に電気二重層が形成されて、静電力により記録材とトナー、及びトナー相互が強固に結びつく。
【0012】
しかしながら、溶媒の除去ということではない。電界をかけてトナーと記録材の付着力を高めても、溶媒自体が消滅するわけではなく、定着に対する阻害要因としては残ることになる。
【0013】
特許文献3に記載の技術によれば、記録材表面のトナー画像に、記録材裏面から加熱ローラにより一定温度を加え、トナーを定着、熱延展させるとともに溶媒を効率よく蒸発させ、定着させる。
【0014】
しかしながら、これも安全性や揮発した溶媒を捕集するシステム、そして気化熱を供給するためのエネルギーの増大という課題がある。
【0015】
特許文献4に記載の技術によれば、トナー画像中の溶媒を加熱により表面に析出させ、析出した溶媒をスクイズなどの除去手段で除去する。
【0016】
しかしながら、スクイズ工程で記録材を傷つけたり、画像乱れや荒れを発生させる危険がある。また溶媒も効果的に取り除くことは困難である。
【特許文献1】特開平7−319292号公報
【特許文献2】特開平9−281753号公報
【特許文献3】特開2000−19877号公報
【特許文献4】特開2003−167456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のように、定着前のトナー画像に含まれる高粘度の溶媒(キャリヤ液)による定着性の低下を抑制するため、定着前のトナー画像から溶媒を除去するための技術が開発されてきた。しかしながら、加熱による揮発は大きなエネルギーを要することや安全性の面からの問題がある。また定着前に加圧部材などで溶媒を記録材に浸透させようとしても、加熱して溶媒の粘度を低下させると、加圧部材にトナー画像がオフセットしやすくなる。
【0018】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、溶媒にトナーを分散した高粘度の液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を、記録材に転写し、定着するに際して、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進することで、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制し、またトナー画像のオフセットも防止することができる画像形成装置、及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有するものである。
【0020】
1. 溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を記録材に転写し、定着する画像形成装置において、前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、前記記録材のトナー画像面と逆側の面から加熱する定着前加熱手段と、前記記録材を挟んで前記定着前加熱手段と対向するよう配設され、前記記録材に転写されたトナー画像を、トナー画像面側から加圧する定着前加圧手段と、を有し、前記定着前加圧手段は、前記トナー画像と接触する表面の温度が所定の温度を越えないように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【0021】
2. 前記定着前加圧手段は、表面温度が所定の温度を越えないような熱容量と熱伝導率を有することを特徴とする1に記載の画像形成装置。
【0022】
3. 前記定着前加圧手段の表面温度が所定の温度を越えないように冷却する冷却手段を有することを特徴とする1または2に記載の画像形成装置。
【0023】
4. 前記冷却手段は、送風装置または冷却ローラであることを特徴とする3に記載の画像形成装置。
【0024】
5. 溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を記録材に転写し、定着する画像形成方法において、前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、前記記録材のトナー画像面と逆側の面から加熱する定着前加熱工程と、前記定着前加熱工程と併行して実行され、前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、該トナー画像と接触する表面の温度が所定の温度を越えない状態の加圧部材を用いて加圧する定着前加圧工程と、を備えることを特徴とする画像形成方法。
【0025】
6. 前記加圧部材は、表面温度が所定の温度を越えないような熱容量と熱伝導率を有することを特徴とする5に記載の画像形成方法。
【0026】
7. 前記定着前加圧工程と併行して実行され、前記加圧部材の表面温度が所定の温度を越えないように冷却する冷却工程を含むことを特徴とする5または6に記載の画像形成方法。
【0027】
8. 前記冷却工程では、送風装置または冷却ローラを用いて前記加圧部材が冷却されることを特徴とする7に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る画像形成装置、及び画像形成方法によれば、溶媒にトナーを分散した高粘度の液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を、記録材に転写した後、定着する前に、溶媒を含むトナー画像を記録材の反対面側から加熱し、記録材表面での溶媒の粘度を低下させながら、同時にトナー画像面側から加圧することにより、溶媒を記録材表面に押し付けることで、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進することができる。
【0029】
これにより溶媒を揮発させる必要もなく、安全で、省エネルギーで、かつ接触により記録材を傷つけたり、トナー画像を乱したりすることもなく、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制することができる。また定着前の加圧時に、用いる加圧部材の温度上昇を制限することにより、加圧部材へのトナー画像のオフセットも防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る実施形態を、図を参照して説明する。
【0031】
液体現像剤を用いる液体現像は、複写機、簡易印刷機、プリンタなどの画像形成装置に利用される。これらには、一般的に電子写真方式の画像形成プロセスが、共通して用いられている。まずその電子写真方式による湿式の画像形成部を、図1を参照して説明し、さらに液体現像剤を用いて現像され、記録材に転写された定着前のトナー画像を加熱する定着前加熱装置と、同じく加圧する定着前加圧装置とについて、その構成と機能動作を説明する(図2及び3参照)。
【0032】
(画像形成部の構成と機能動作)
図1を用いて、本実施形態の画像形成装置における画像形成部の構成例を説明する。図1は、湿式画像形成装置における画像形成部の概略構成例を示す断面図である。
【0033】
図1において、1は感光体ドラムであり、像担持体として機能する。画像形成部10はこの感光体ドラム1を中心に、その周囲に配設された、前記感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2、帯電した感光体ドラム1上にLEDまたはレーザビームを照射して静電潜像を形成する露光装置3、その静電潜像を液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4、現像されたトナー画像を転写材7に転写する転写装置5、そして転写後の感光体ドラムの表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6などを備える。
【0034】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設ける場合もある。ここでは、液体現像装置4の後に、現像されたトナー画像から余分な液体現像剤を除去するスクイズ装置91を設けている。
【0035】
転写材7は、そのまま記録用紙などの記録材であってもよいし、転写材7として中間転写ベルトなどを用いて、再度記録材に転写するような構成であってもよい。本実施形態では転写材7が記録材、すなわち記録紙であるとして説明する(以後、記録材7と呼ぶ)。
【0036】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41、現像ローラ41に当接して、その表面に液量調整された液体現像剤を転移させる搬送ローラ42、そしてその搬送ローラ42に当接して、その表面に現像剤槽44内の液体現像剤8を供給する供給ローラ43を備える。
【0037】
図1においては、液体現像装置4が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置されていてもよい。カラー現像の方式、中間転写の有無などは任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることができる。
【0038】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印A方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。帯電装置2より感光体ドラム回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0039】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0040】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、供給ローラ43によって搬送ローラ42表面に液体現像剤8が供給される。
【0041】
搬送ローラ42は液体現像剤8の薄層を搬送し、現像ローラ41に転移させる。そして現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。さらに現像ローラ41と感光体ドラム1の静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0042】
感光体ドラム1上の現像されたトナー画像(以後、単にトナー像という)は、トナーとキャリヤ液が含まれている。スクイズ装置91は、例えばスクイズローラであり、現像されたトナー像から余分なキャリヤ液を除去する。スクイズローラ上のキャリヤ液は、ブレード92で除去する。
【0043】
転写装置5(例えば、転写ローラ)では、感光体ドラム1の周速と同速度で搬送される記録材7に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が記録材7上に転写される。
【0044】
転写装置5の下流側には、感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6(例えば、クリーナブレード)が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0045】
転写装置5でトナー像が転写された記録材7は、定着前加熱装置93で加熱され、同時に定着前加圧装置94で加圧された後、定着ローラ対9a、9bからなる定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0046】
定着前のトナー画像の加熱と加圧についての詳細は、後述する。
【0047】
(現像剤の構成)
現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリヤ液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0048】
キャリヤ液としては、絶縁性の、常温で不揮発性の溶媒が用いられる。不揮発性の溶媒としては、例えばシリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、鉱物油等を上げることができる。
【0049】
トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録材に定着される際のバインダとしての機能がある。
【0050】
樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を複数、混合して用いてもよい。
【0051】
トナーの着色に用いる顔料及び染料も一般市販のものを用いることができる。例えば、顔料として、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシア人グリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0052】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。例えば、樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ロールミルなどを用いて溶融混練し、均一に分散させ、得られた分散体を、例えばジェットミルによって微粉砕する。さらに得られた微粉末を、例えば風力分級機などにより分級することで、所定の粒径の着色トナーを得ることができる。
【0053】
続いて、得られたトナーをキャリヤ液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0054】
トナーの体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナーの平均粒子径が0.1μmを下回ると現像性が大きく低下する。一方、平均粒子径が5μmを超えると画像の品質が低下する。
【0055】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。10%未満の場合、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題がある。また必要な画像濃度を得るため、多量の現像剤を供給する必要があり、紙上に付着するキャリヤ液が増加し、定着時に乾燥せねばならず、蒸気が発生し環境上の問題が生じる。50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も、また取り扱いも困難になる。
【0056】
液体現像剤の粘度は、25℃において0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が好ましい。10000mPa・s以上になると、キャリヤ液とトナーの撹拌が困難となり、均一な液体現像剤を得るための装置面での負担が大きい。
【0057】
(定着前加熱装置と定着前加圧装置について)
図2は、湿式画像形成装置における現像されたトナー像の転写から定着に至る装置構成を示す概略構成図である。図3は、湿式画像形成装置における記録材への、現像されたトナー像の転写から定着に至る流れを示すフローチャートである。
【0058】
図2及び図3を用いて、現像されたトナー像の転写から定着に至る装置構成とその機能動作について説明する。
【0059】
図2において、1は感光体ドラムであり、表面に液体現像装置4によって現像されたトナー像を担持する。5は転写装置であり、ここでは転写ローラである。転写ローラには、電源(不図示)によりトナー像を転写するための転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0060】
71は記録材7を搬送するための搬送装置(搬送ベルト)である。搬送ローラ72a、72bに張架され、少なくとも一方のローラによって駆動する。
【0061】
搬送装置71により、感光体ドラム1の回転と同期して記録材7が搬送されてくる(ステップS1)。記録材7が感光体ドラム1と転写装置5の間を通過する間に、トナー像は、転写装置5によって、記録材7に転写される(ステップS2)。
【0062】
転写装置5によってトナー像8aを転写された記録材7は、従来ならば、そのまま搬送装置71によって、定着装置(定着ローラ9a、9b)に送り込まれる。
【0063】
しかしながら、記録材7上のトナー像8aには、トナーのみならず溶媒としてのキャリヤ液が含まれている。
【0064】
液体現像装置4による現像後に感光体ドラム1上のトナー像は、スクイズ装置91によって、余分なキャリヤ液を除去されている。しかしトナー間に含まれるキャリヤ液までは十分に除去し去ることはできない。従ってそのトナー像を記録材7に転写した後も、記録材7に転写されたトナー像8aにはキャリヤ液が含まれている。
【0065】
溶媒としてのキャリヤ液を含んだトナー像8aを有する記録材7が定着装置(定着ローラ9a、9b)に送り込まれると、トナーの記録材7への定着を溶媒が阻害する要因となる。トナーの記録材7への定着性を低下させるのみならず、定着ローラによる加圧時にトナーを乱し、画像品質に影響を与えたり、またオフセットすることもある。
【0066】
本実施形態では、定着の前に、トナー像8aを転写された記録材7は、搬送装置71によって、互いに対向するよう配置された定着前加熱装置93と定着前加圧装置94の間に搬送され、送り込まれる(ステップS3)。
【0067】
従ってトナー像8aを転写された記録材7は、定着前に定着前加熱装置93によって加熱される(ステップS4の定着前加熱工程)。すなわち、定着前加熱装置93は定着前加熱手段として機能する。
【0068】
定着前加熱装置93は、例えば内部にヒータを有する加熱ローラであり、不図示の電源により所定の温度に加熱されるものとする(以降、定着前加熱装置を加熱ローラともいう)。加熱ローラ93は記録材7のトナー像8aのある面と逆の面から、接触回転し、記録材7を加熱し、その表面のトナー像8aを加熱する。
【0069】
加熱ローラ93を用いる場合においても、このように記録材7のトナー像8aのある面と逆の面に配置しているので、記録材7表面と接する側からトナー像8aを加熱することができ、接触によるトナー像のオフセットを引き起こしにくくする。
【0070】
また、加熱ローラの所定の温度は、安全面からキャリヤ液を揮発させることがないような温度に設定することが望ましい。
【0071】
また定着前加熱装置93による加熱と同時に、記録材7上のトナー像8aは、定着前加圧装置94によって加圧される(ステップS4の定着前加圧工程)。すなわち、定着前加圧装置94は定着前加圧手段として機能する。
【0072】
定着前加圧装置94は、例えば加圧ローラである(以降、定着前加圧装置を加圧ローラ、あるいは加圧部材ともいう)。加圧ローラ94は加熱ローラ93と対向して配設され、加熱ローラ93との間にトナー像8aを転写された記録材7を挟み込んで加圧することになる。つまり、対向する加熱ローラ93も定着前加圧手段の一部として機能してもよい。
【0073】
加熱ローラ93と加圧ローラ94はバネなどを用いた不図示の加圧機構により互いに圧接され、圧接ニップ部を形成する。例えば、加熱ローラ93の回転駆動に伴い、圧接ニップ部での摩擦力により、加圧ローラ94が従動回転する。
【0074】
加熱ローラ93は、例えばアルミ等熱伝導率の良好な金属製芯金の外周に、ニップ幅確保のためのシリコンゴム層と、表面の離型性を高めるために、例えばPTFEやPFAなどの厚さ10〜50μmのフッ素系樹脂製離型層を設けたローラである。
【0075】
加圧ローラ94は、例えば金属製芯金の外周に、断熱層としてのシリコンゴムスポンジ層と、表面の離型性を高めるために、例えばPTFEやPFAなどの厚さ10〜50μmのフッ素系樹脂製離型層を設けたローラである。
【0076】
これらの定着前加熱装置93による加熱と、定着前加圧装置94による加圧とを同時に行うことによって、すなわち定着前加熱工程と定着前加圧工程とを併行して実行することにより、記録材7上のトナー像8aに含まれる溶媒を紙である記録材7に浸透させる(ステップS4)。
【0077】
これにより、トナー間、及びトナーと記録材間の溶媒を極力減少させ、上記の定着性への悪影響を抑制する。記録材への溶媒浸透については、後述する。
【0078】
また定着前加熱工程と定着前加圧工程の実行に際しては、熱と圧力をかけるため、加圧ローラ94へのトナー像8aのオフセットが起こる危険性がある。それを避けるため、加圧ローラの上限温度を設定するが、ステップS4において、定着前加熱工程と定着前加圧工程に併行して、冷却手段を用いて加圧ローラ94を冷却する冷却工程を設けてもよい。冷却手段とそれを用いた加圧ローラ94の温度上昇制限についての詳細は後述する。
【0079】
定着前加熱装置93と、定着前加圧装置94とを通過した、トナー像8aに含まれる溶媒を浸透させた記録材7は、そのまま搬送装置71で、回転する定着ローラ9aと9b間に送り込まれる(ステップS5)。定着ローラ9aと9bは、少なくとも一方が内部にヒータを有する、加熱ローラであり、図示しない電源により表面が所定の温度になるよう制御されている。
【0080】
記録材7は定着ローラ9aと9b間を圧接されながら通過し、記録材7上のトナー像8aは、熱と圧力により、記録材7に溶融定着される(ステップS5)。定着された記録材7は、排紙トレイなどへ搬出される(ステップS6)。
【0081】
(溶媒の記録材への浸透効果)
図4は、図3のステップS4、すなわち定着前加熱工程と定着前加圧工程とにおける、トナー像に含まれる溶媒の記録材への浸透の過程を模式的に示す図である。図4を用いて、定着前の加熱と加圧によりトナー像に含まれる溶媒が記録材へと浸透していく過程を説明する。
【0082】
図4(a)は、記録材7にトナー像8aが転写された状態(図3のステップS3)を模式的に示す断面図である。
【0083】
トナー像8aはトナー粒子81とキャリヤ液82とからなり、記録材7の表面に付着している。トナー像8aの内部において、トナー粒子81の周囲はキャリヤ液82により覆われており、トナー粒子81の間も、トナー粒子81と記録材7の間も、キャリヤ液82が充満している。
【0084】
このまま加熱、加圧による定着が行われると、既述したように、定着時にキャリヤ液82が揮発しきらず、定着性の低下、オフセットの発生などが起こり得る。
【0085】
すなわち、トナー像8a中に存在するキャリヤ液82がトナー粒子81間の凝集力、トナー粒子81と記録材7間の付着力を阻害し、結果としてオフセットを増加させるとともに定着性を低下させる。またトナー画像8aに含まれるキャリヤ液82が多いほど、オフセットは増加し、定着性は低下する。
【0086】
よって、定着品質を得るためには、定着前に記録材7に転写されたトナー像8a中のキャリヤ液82を十分に減らす必要がある。またトナー像8a中のキャリヤ液量が多いほど、定着時の加熱量も多く必要となる。
【0087】
高粘度で不揮発性のキャリヤ液を用いた液体現像剤では、現像から転写に至る過程でトナー像中のキャリヤ液を低減できる量には限りがある。従って記録材に転写されたトナー像に対して、キャリヤ液を除去する必要があるが、加熱による揮発には熱エネルギーの増大や安全面での課題がある。また物理的に除去しようとしても、トナー像の品質を乱したり、またトナー間のキャリヤ液まで十分に除去するのは困難である。
【0088】
本実施形態では、定着前にキャリヤ液82を記録材7に浸透させることで、除去する。そのために定着前の加熱と加圧とを行う。
【0089】
図4(b)は、記録材7上のトナー像8aが、定着前加熱装置(加熱ローラ)93により加熱されながら、同時に定着前加圧装置(加圧ローラ)94により加圧されている状態(図3のステップS4)を模式的に示す断面図である。図の下方より定着前加熱ローラ93により熱が与えられるとともに、上方から定着前加圧ローラ94により加圧されている。
【0090】
トナー像8aにおいては、記録材7の下方からの加熱により、記録材7とともにキャリヤ液82も加熱される。記録材7の表面に接するキャリヤ液82の粘度は低下し、記録材7の表面からキャリヤ液82が記録材7へと浸透していく。
【0091】
一方キャリヤ液82は、上方からの加圧により記録材7側へ向かっての圧力が掛かり、キャリヤ液82は流動して、記録材7の表面に移動し、押し付けられる。それにつれてトナー粒子81間、あるいはトナー粒子81と記録材7間のキャリヤ液82も移動し、記録材7へと浸透していく。
【0092】
これにより定着時の定着性低下を抑制できるが、定着前の加熱及び加圧自体ではトナー像を定着させる必要はない。よって浸透を促進させるため粘度を低下させるだけであり、加熱量は少なくてよい。しかしながら同時に加圧することで、定着時のオフセット発生の代わりに、この定着前の加熱と加圧によりオフセットが起こる危険性も考えられる。オフセットの防止については後述する。
【0093】
図4(c)は、記録材7上のトナー像8aが、定着前加熱装置93による加熱と定着前加圧装置94による加圧を経た後、定着に向かう前の状態(図3のステップS5)を模式的に示す断面図である。
【0094】
トナー像8aの内部において、トナー粒子81の周囲のキャリヤ液82は極めて微量となり、表面を薄く覆っている。トナー粒子81の間も、またトナー粒子81と記録材7の間も、充填されるキャリヤ液82はかなり少なくなっている。キャリヤ液82が減少した分は、記録材7に浸透したものである。83は、記録材7に浸透したキャリヤ液を表している。
【0095】
このようにして、記録材にトナー像が転写された後、定着前に、定着前加熱手段による記録材の反対面側からの加熱(定着前加熱工程)と定着前荷電手段によるトナー画像面側からの加圧(定着前加圧工程)とが併行して実行されることにより、記録材表面での溶媒(キャリヤ液)の粘度を低下させるとともに、記録材表面に押し付けることで、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進することができる。
【0096】
これにより記録材上のトナー像を定着させるに際して、溶媒を揮発させる必要もなく、安全で、省エネルギーで、かつ接触により記録材を傷つけたり、トナー画像を乱したりすることもなく、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制することができる。
【0097】
(オフセットの防止)
上述したように、定着前に、定着前加熱工程と定着前加圧工程とを併行して実行することにより、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進させることができ、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制することができる。
【0098】
しかしながら、上記定着前加熱工程と定着前加圧工程の実行時には、定着前のトナー画像に含まれる溶媒量はまだ多く、しかも加熱により溶媒の粘度は低下し、さらに加圧により、加圧部材(加圧ローラ)側へのトナー画像のオフセットが生じる危険性がある。
【0099】
これを防止するためには、トナー画像中に含まれる溶媒の温度を上昇させないことが効果的である。しかし、溶媒の記録材への浸透を促進させようとすれば、溶媒の温度を上げて、粘度を下げる必要がある。
【0100】
本実施形態では、定着前加熱ローラにより記録材のトナー画像面と逆側の面から加熱することにより、定着前加圧ローラと接する部分の溶媒の粘度低下を抑制し、また溶媒と接触する加圧ローラ側の温度上昇も抑制して、所定の温度以下の状態を保つことで、トナー画像のオフセットを防止している。
【0101】
図5は、加圧部材(定着前加圧ローラ)の表面温度とトナー画像のオフセット量との関係を実験的に調べた例を示すグラフである。
【0102】
この実験例の場合でいうと、定着前加圧ローラの表面温度が80℃以下であると、全くオフセットを検知することができなかった。実際の装置状況、使用する液体現像剤の状況などにより、実験的に定着前加圧ローラの表面温度の変化を調べて、維持すべき所定の温度を設定するようにすればよい。
【0103】
加圧ローラの表面温度を所定の温度以下に保つことがオフセット防止に効果的である理由について説明する。
【0104】
一つには、温度が低く、トナー像に含まれる溶媒が高粘度のままの状態では、加圧ローラ表面との密着性が低く、流動性も低いことが想定される。これが、加圧ローラ表面の離型性が高いこととの相互作用で、オフセットを発生しにくくするように働く。
【0105】
もう一つは、加圧ローラとの接触部周辺でのトナー像中の溶媒の温度が低く、粘度が高い状態では、加圧ローラに付随していく溶媒は微量であることが想定される。トナー像中の溶媒の付随量が少なければ、トナーの付随も少なく、オフセットは発生しにくい。
【0106】
オフセット防止のため、加圧ローラの表面温度は低い方が望ましいが、溶媒の記録材への浸透を促進させるためには、記録材の温度は高い方が望ましい。また、記録材との接触部周辺の溶媒の温度も高い方が望ましい。
【0107】
したがって、加圧ローラの表面温度は所定の温度以下に保ちながら、加熱ローラと加圧ローラのニップ部における記録材の温度は可能な限り高くすることが必要である。
【0108】
このために、いくつかの手段が考えられる。
【0109】
<加圧部材の材料特性>
加熱ローラからの加熱により、記録材が加熱され、対向して圧接する加圧ローラにも熱量が供給される。ニップ部を通過し、温度上昇した加圧ローラ表面が、周回して再度ニップ部に到達する間の表面温度低下を考慮して、記録材が連続して通過する場合にも、ニップ部到達時の表面温度が所定の温度以下になる条件を考える。
【0110】
画像形成時の加圧ローラの回転数をnでカウントし、その表面の特定の位置での温度がnとともにどう変化するかを考える。
【0111】
加圧ローラの最初の回転時において、ニップ部入り口での加圧ローラの表面温度をA1(℃)、その後ニップ部通過による加圧ローラ表面温度の上昇をB1(℃)、ニップ部を出てから次に再度ニップ部入り口に到達するまでの周回における加圧ローラ表面温度の低下をC1(℃)とすると、次のニップ部入り口到達時における加圧ローラ表面温度A2(℃)は、A1+B1−C1(℃)となる。
【0112】
すなわち、加圧ローラのn回転時においては、A(n+1)=A(n)+B(n)−C(n)である。
【0113】
連続して画像形成する場合、すなわち回転数nが増加して行くにつれて、最初からB1<C1の場合を除いて、Anは徐々に上昇し、やがてある温度に飽和する。これは、通常はB1>C1であるものの、基本的にA(n)の上昇にしたがってB(n)は低下し、C(n)は増加していくので、B(n)とC(n)の差が小さくなっていくためである。
【0114】
よって、連続した画像形成時におけるニップ部入り口の飽和表面温度をAn、ニップ部通過による表面温度の上昇の飽和値をBnとすれば、オフセットの発生を防止するためには、下記の式を満たす必要がある。
【0115】
An≦Tu
但し、Tuはオフセットが発生しないニップ部入り口での表面温度の上限値である。
【0116】
または、次のようにしてもよい。
【0117】
An+Bn≦Tu
但し、このときのTuは、オフセットが発生しないニップ部出口での表面温度の上限値である。いずれの場合も、Tuは加圧ローラを所定の温度以下に保持すべき、その所定の温度である。
【0118】
AnもしくはAn+Bnは上式を満たすような値でなければならず、そのためには、A(n)の上昇にしたがって、より早くB(n)が低下しC(n)が増加するようにする必要がある。そのための一つの手段として、加圧ローラの材料特性を熱容量と熱伝導率の観点から選択し、設定することが考えられる。すなわち、加圧ローラの熱容量と熱伝導率のバランスによって、上記のB(n)とC(n)のバランスをより適切な方向に設定することが望ましい。
【0119】
<加圧部材の冷却>
加圧部材の適切な材料選択に加えて、あるいはそれ以外に、加圧部材(加圧ローラ)に対する冷却手段を導入することで、上述した放熱による温度低下Cを増大させることも効果的である。
【0120】
図6は、図2において、加圧部材の冷却手段として送風装置を設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【0121】
加圧ローラ94に対する冷却手段として送風装置95を設けることにより、上述した式のCを増大させることができるので、その分Bが大きくても式を満たすことができる。すなわち、加熱ローラ93による記録材7裏側からの供給熱量を増やすことができ、トナー像8a中の溶媒(キャリヤ液)の記録材7への浸透をより促進させることができる。そうして、溶媒をより多く除去することで、定着時の定着性の低下をより抑制することが可能となる。
【0122】
図7は、図2において、加圧部材の冷却手段として冷却ローラを設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【0123】
冷却ローラ96を設けることにより、加圧ローラ94からの放熱量、すなわち上述した式のCを増大させることができ、やはりその分Bが大きくても式を満たすことができる。冷却ローラ96としては熱容量の大きい金属ローラが適している。
【0124】
送風装置95の場合と同様、加熱ローラ93による記録材7裏側からの供給熱量を増やすことができ、トナー像8a中の溶媒の記録材7への浸透をより促進させることができる。
【0125】
また冷却手段は複数設けてもよいし、上記の冷却ローラ96と送風装置95を併用してもよい。いずれにせよ、トナー像8a中の溶媒の記録材7への浸透をより促進させることができ、溶媒をより多く除去することで、定着時の定着性の低下をより抑制することが可能となる。
【0126】
図8は、図2において、加圧部材のクリーニング手段を設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【0127】
加圧ローラ94の表面には、記録材7上のトナー像がオフセットしないとしても、微量の溶媒が付着する。これが蓄積することによって、溶媒の除去機能に悪影響を及ぼす可能性もある。加圧ローラ94からの溶媒のクリーニング手段を設けることが好ましい。
【0128】
図8においては、クリーナブレード97を設けている。クリーナブレード97に代えて、図7における冷却ローラ96をクリーニング手段として機能させるようにしてもよい。いずれにせよ、溶媒除去のためのクリーニング手段と冷却手段とを同一の部材で兼用できれば、より好ましい。
【0129】
このように加圧部材(加圧ローラ)の適切な材料を設定する、加圧部材の冷却手段を設ける、などの設定を行うことにより、連続した画像形成時にも加圧部材が所定の温度を超えないようにすることができ、記録材への溶媒浸透を促進させながら、加圧部材へのトナー像オフセットも防止できる。
【0130】
すなわち、本実施形態に係る画像形成装置、及び画像形成方法によれば、溶媒にトナーを分散した高粘度の液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を、記録材に転写した後、定着する前に、溶媒を含むトナー画像を記録材の反対面側から加熱し、記録材表面での溶媒の粘度を低下させながら、同時にトナー画像面側から加圧することにより、溶媒を記録材表面に押し付けることで、定着前のトナー画像に含まれる溶媒の記録材への浸透を促進することができる。
【0131】
これにより溶媒を揮発させる必要もなく、安全で、省エネルギーで、かつ接触により記録材を傷つけたり、トナー画像を乱したりすることもなく、溶媒によるトナー画像の定着性低下を抑制することができる。また定着前の加圧時に、用いる加圧部材の温度上昇を制限することにより、加圧部材へのトナー画像のオフセットも防止することができる。
【0132】
なお本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、それらの変更された形態もその範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る画像形成装置の画像形成部の概略構成例を示す断面図である。
【図2】図1における現像されたトナー像の転写から定着に至る装置の概略構成例を示す配置図である。
【図3】図2における記録材への、現像されたトナー像の転写から定着に至る流れを示すフローチャートである。
【図4】図3の定着前加熱工程と定着前加圧工程とにおける、トナー像に含まれる溶媒の記録材への浸透の過程を模式的に示す図である。
【図5】加圧部材の表面温度とトナー画像のオフセット量との関係を実験的に調べた例を示すグラフである。
【図6】図2において、加圧部材の冷却手段として送風装置を設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【図7】図2において、加圧部材の冷却手段として冷却ローラを設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【図8】図2において、加圧部材のクリーニング手段を設けた場合の、装置の概略構成例を示す配置図である。
【符号の説明】
【0134】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 転写装置(転写ローラ)
6 クリーニング装置(クリーナブレード)
7 転写材(記録材)
8 液体現像剤
8a 転写されたトナー像
9a、9b 定着装置(定着ローラ)
10 画像形成部
41 現像ローラ(現像剤担持体)
42 搬送ローラ
43 供給ローラ
44 現像剤槽
45 規制部材
46 除去部材
71 搬送装置(搬送ベルト)
72a、72b 搬送ローラ
81 トナー粒子
82 キャリヤ液(溶媒)
83 記録材に浸透したキャリヤ液
91 スクイズローラ
92 ブレード
93 定着前加熱装置(加熱ローラ)
94 定着前加圧装置(加圧ローラ、加圧部材)
95 送風装置
96 冷却ローラ
97 クリーナブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を記録材に転写し、定着する画像形成装置において、
前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、前記記録材のトナー画像面と逆側の面から加熱する定着前加熱手段と、
前記記録材を挟んで前記定着前加熱手段と対向するよう配設され、前記記録材に転写されたトナー画像を、トナー画像面側から加圧する定着前加圧手段と、を有し、
前記定着前加圧手段は、前記トナー画像と接触する表面の温度が所定の温度を越えないように構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着前加圧手段は、表面温度が所定の温度を越えないような熱容量と熱伝導率を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着前加圧手段の表面温度が所定の温度を越えないように冷却する冷却手段を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、送風装置または冷却ローラである
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて現像されたトナー画像を記録材に転写し、定着する画像形成方法において、
前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、前記記録材のトナー画像面と逆側の面から加熱する定着前加熱工程と、
前記定着前加熱工程と併行して実行され、前記記録材に転写された定着前のトナー画像を、該トナー画像と接触する表面の温度が所定の温度を越えない状態の加圧部材を用いて加圧する定着前加圧工程と、を備える
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記加圧部材は、表面温度が所定の温度を越えないような熱容量と熱伝導率を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記定着前加圧工程と併行して実行され、前記加圧部材の表面温度が所定の温度を越えないように冷却する冷却工程を含む
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記冷却工程では、送風装置または冷却ローラを用いて前記加圧部材が冷却される
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−86415(P2009−86415A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257366(P2007−257366)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】