説明

画像形成装置、画像形成システムおよび処理プログラム

【課題】低コスト化を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】色剤の収容器に設けられ画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段と、他の色剤の収容器に設けられ該第1の格納手段とは記憶容量を異にして画像形成に関する情報を格納する第2の格納手段とを判別する判別手段と、第1の格納手段または第2の格納手段から画像形成に関する情報を読み取る読取手段と、判別手段の判別結果に応じて、読取手段で読み取った画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択手段と、該選択手段で選択された制御態様に基づいて、収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システムおよび処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタなどの画像形成装置においては、その装置本体に対して着脱自在に構成されたトナーカートリッジ等の交換ユニットをユーザに装着させている。
【0003】
また、交換ユニットに不揮発性メモリ等の格納手段を設けて、この不揮発性メモリに予め記録される情報(例えばカートリッジのシリアル番号、メーカ名等の情報)を用いたり、使用に伴って生じる情報(トナーの残量、トナーの状態等の情報)を書き込むことで、装置本体や交換ユニットが適切に制御されるようにしている。
【0004】
ところで、プリンタ等の画像形成装置においては、価格競争等の激化により低コスト化が望まれている。
【0005】
このような低コスト化の要望は、上述のトナーカートリッジ等の交換ユニットについても例外ではなく、これらの交換ユニットに設けられる前記不揮発性メモリ等の格納手段に関しても一層の低廉化が要求されている。
【0006】
上述のような不揮発性メモリ等の格納手段を備えたトナーカートリッジ等の交換ユニットを用いる画像形成装置は種々提案されている。
【0007】
例えば、特許第4293229号公報には、RFIDタグを備える純正のトナーカートリッジ、RFIDタグを備えない純正のトナーカートリッジ及びその他のトナーカートリッジのそれぞれに対応した画像形成装置が開示されている。より具体的には、画像形成に関する値をカウントするカウンタと、トナー空センサと、RFIDタグリーダと、制御部とを備え、制御部は、トナーカートリッジが有ると判断し、カウンタでカウントした値が設定値を超え、かつRFIDタグリーダによりトナーカートリッジからデータが読み取れない場合には、その他のトナーカートリッジに対応した制御を行い、その他の場合には、純正のトナーカートリッジに対応した制御を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4293229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低コスト化を図ることのできる画像形成装置、画像形成システムおよび処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像形成装置は、色剤の収容器に設けられ画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段と、他の色剤の収容器に設けられ該第1の格納手段とは記憶容量を異にして画像形成に関する情報を格納する第2の格納手段とを判別する判別手段と、前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取手段と、前記判別手段の判別結果に応じて、前記読取手段で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択手段と、該選択手段で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明に係る画像形成装置は、請求項1に記載の発明について、前記判別手段は、前記第1の格納手段と前記第2の格納手段とにそれぞれ付される識別情報に基づいて判別することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明に係る画像形成装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記画像形成に関する情報は、前記画像形成手段による画像形成の実行回数に関する情報を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明に係る画像形成システムは、画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段を備えた色剤の収容器と、前記第1の格納手段とは記憶容量を異にする第2の格納手段を備えた他の色剤の収容器と、前記収容器の何れかが装着された際に、前記第1の格納手段と前記第2の格納手段とを判別する判別手段と、前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取手段と、前記判別手段の判別結果に応じて、前記読取手段で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択手段と、該選択手段で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明に係る処理プログラムは、色剤の収容器に設けられ画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段と、他の色剤の収容器に設けられ該第1の格納手段とは記憶容量を異にして画像形成に関する情報を格納する第2の格納手段とを判別する判別過程と、前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取過程と、前記判別過程の判別結果に応じて、前記読取過程で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択過程と、該選択過程で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第2の格納手段または第1の格納手段の記憶容量を一方の記憶容量より小さくして、低コスト化を図る画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、識別情報で第2の格納手段または第1の格納手段を判別して、低コスト化を図る画像形成装置を提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、低コスト化を図りつつ利便性を向上させる画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第2の格納手段または第1の格納手段の記憶容量を一方の記憶容量より小さくして、低コスト化を図る画像形成システムを提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第2の格納手段または第1の格納手段の記憶容量を一方の記憶容量より小さくして、低コスト化を図る処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置PR1の概略構成を示す構成図である。
【図2】画像形成装置PR1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成システムS1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】トナーカートリッジT1、T2の構成例を示す斜視図である。
【図5】モード選択処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【図6】モード選択処理の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0023】
図1から図6を参照して、本発明についての実施の形態に係る画像形成システムS1および同システムに適用される画像形成装置PR1について説明する。
【0024】
図1は、画像形成装置PR1の一部の構成を示した模式図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置PR1は、タンデム方式によりトナーの現像を行う画像形成装置である。
【0026】
なお、本実施の形態に係る画像形成システムS1に適用される画像形成装置PR1はタンデム方式には限定されない。
【0027】
画像形成装置PR1は、用紙Pを収容する用紙収容部2、形成された画像を中間転写する中間転写ユニット3、転写ローラ4、形成された画像を用紙に定着させる定着装置5、画像を保持する感光体ドラム10Y、10M、10C、10K、トナーを収容し着脱自在なトナーカートリッジT1Y、T1M、T1C、T1Kとを備える。
【0028】
なお、感光体ドラム10Y、10M、10C、10KおよびトナーカートリッジT1Y、T1M、T1C、T1Kは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色に対応して設けられている(以降、感光体ドラムを総称して感光体ドラム10、トナーカートリッジを総称してトナーカートリッジT1と記す場合もある)。
【0029】
中間転写ユニット3は、感光体ドラム10によって形成されたトナー像を転写ローラ4に搬送する。
【0030】
転写ローラ4は、中間転写ユニット3によって搬送されたトナー像を、用紙収容部2より搬送された用紙Pに転写する。
【0031】
定着装置5は、転写ローラ4によって用紙に転写されたトナーを用紙Pに定着させる。
【0032】
各トナーカートリッジT1Y、T1M、T1C、T1Kは、書き込みされる不揮発性メモリ等で構成される第1の記憶装置M1Y、M1M、M1C、M1K(第1の格納手段の一例:以降、記憶装置M1とも記す)または第2の記憶装置M2Y、M2M、M2C、M2K(第2の格納手段の一例:以降、記憶装置M2とも記す)をそれぞれ備えている。なお、記憶装置M1、M2の詳細については後述する。
【0033】
特に限定されないが、記憶装置M1、M2には、予め記録される情報として、例えばカートリッジのシリアル番号、メーカ名等の情報を格納したり、使用に伴って生じる情報(トナーの残量、トナーの状態等の情報)が書き込まれる。
【0034】
また、記憶装置M1、M2への書き込みまたは読み出しの方式としては、有線式と無線式がある。本実施の形態では、低コスト化の観点から有線式を採用するが、これに限定されず、無線式を採用するようにしてもよい。
【0035】
また、図示は省略するが、感光体ドラム10の周囲には、帯電装置、露光装置などがそれぞれ設けられる。
【0036】
ここで、比較対象としての画像形成装置について説明をする。
【0037】
比較対象としての画像形成装置は、例えばY、M、C、Kの4色を用いた二成分現像方式であり、トナーカートリッジからトナーの補給を行う。
【0038】
当該装置は、工場出荷時からトナーカートリッジがセットされた状態で梱包されている。
【0039】
このように同梱されるトナーカートリッジは、当該装置の動作確認的な意義を持ち、例えば約1000枚の比較的短い寿命を持ったものとされ、低コスト化が図られている。
【0040】
一方で、同梱されるトナーカートリッジが備える記憶装置には、標準品のトナーカートリッジ(同梱されるトナーカートリッジを使い終わった後に、購入して装着されるトナーカートリッジ)と同じ記憶容量の記憶装置が設けられている。
【0041】
そして、ユーザは、何れかの色のトナーがなくなった際には、その色のトナーカートリッジを標準品のトナーカートリッジと交換することで、継続的に画像形成装置が使用される。
【0042】
この画像形成装置の制御装置は、印刷を行う毎に、コントローラから各色の画素数情報を入手し、この画素数情報から補給すべきトナー量を算出し、補給トナー量に相当する分だけトナーカートリッジに接続された供給装置を回転させる。
【0043】
制御装置は、前記記憶装置から情報を読み取り、これらの情報が更新された際に書き込みを行う。
【0044】
記憶装置には、そのトナーカートリッジに該当する色の画素数情報、供給時間情報、印刷枚数情報、トナー寿命に関する予告カウント値情報、限界カウント値情報が記録されている。
【0045】
画像形成装置の制御装置は、印刷毎に画素数情報、供給時間情報を更新し、供給時間情報がトナー寿命予告カウント情報に記録された数値に達すると、ディスプレイに「もうすぐトナーカートリッジの交換の時期です」という表示を行う。
【0046】
さらに供給時間情報が進み、限界カウント値情報に記録された数値に達すると、ディスプレイに「トナーカートリッジを交換してください」の表示を行い、ジョブを終了する。
【0047】
また、画像形成装置の供給装置のトナー搬送量にはある程度のばらつきが生じるため、同じ供給時間でも装置により供給トナー量が異なってくる。
【0048】
また、ユーザが印刷する印字密度によって、単位画素当りのトナー消費量が異なるため、同じ画素数でも使用トナー量が異なる。
【0049】
これらを放置すると、同じ供給時間でも供給するトナー量に差が生じるため、トナーカートリッジ内のトナーが足りなくなったり、過剰に余ったりしてしまう。
【0050】
これらの現象を抑制し、トナー寿命を安定化させるため、制御装置はトナーカートリッジの記憶装置に記録される情報に補正を行うようになっている。
【0051】
具体的には、画素数に対する供給トナー量(供給レート)が少ない場合、トナー濃度は印刷枚数が増えるにつれて低下するため、定期的に行うトナー濃度測定でトナー濃度が低下したと判定された場合に制御装置は追加のトナー補給を行う。
【0052】
そのため画素数に対する供給時間が長くなることになり、これを補償するために制御装置は予告カウント値情報及び限界カウント値情報に書かれている値を大きくする。供給レートが多い場合はこの逆の補正を行う。
【0053】
また、印字密度が低い場合は、画像余白部に載るトナーや線画像多いことによるパイルハイトの高さから単位画素数当りのトナー消費量が増加する。この場合は供給レートが増加したように見えるが、単純に上記の補正を行ってしまうとトナーカートリッジ内のトナーを消費し切ってもまだ寿命に達しないということが起きてしまう。
【0054】
印字密度が極端に高い場合もこれと逆の現象が起きるケースがある。したがって、印字密度に応じて上記補正の補正量を加減する必要が生じてくる。
【0055】
以上のように、比較対象における制御装置は、記憶装置に記録されている画素数情報、供給時間情報、印刷枚数情報及び定期的に採取するトナー濃度測定結果、画像濃度測定結果からトナー寿命が安定するように補正を行い、その補正結果をトナー寿命に関する予告カウント値情報及び限界カウント値情報に反映している。
【0056】
上述したように、トナー寿命を安定化させるためにはトナーカートリッジに装着した記憶装置の情報が必須であるが、装置に最初からセットされている同梱のトナーカートリッジでは、累積のばらつきがゼロからスタートすること、工場から出荷直後で供給レートのばらつきも小さいことが期待されることから、必ずしも上記の補正を行わなくても装置に支障を来すことは少ない。
【0057】
同様にトナー寿命が短い補給用トナーカートリッジについても、そのトナー寿命の短さから補正を行わなくてもばらつきが小さいことが期待される。
【0058】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置PR1では、同梱されるトナーカートリッジT1(収容器の一例:図3参照)については上述のような補正を行わないようにする。
【0059】
これにより、同梱されるトナーカートリッジT1に設けられる記憶装置M1(第1の格納手段の一例:図3参照)の記憶容量を削減して、標準品のトナーカートリッジT2(収容器の一例:図3参照)が備える記憶装置M2(第2の格納手段の一例:図3参照)よりも記憶容量を小さくし、より安価なメモリ素子を採用することでコストが抑制される。
【0060】
また、何れのトナーカートリッジT1、T2にも必ず記憶装置M1、M2が搭載されているので、記憶装置M1、M2が認識されるか否かでトナーカートリッジT1、T2がセットされているか否かが判断される。
【0061】
したがって、トナーカートリッジの有無検出手段が不要となり、さらに低コスト化が図られる。
【0062】
次に、図2を参照して、画像形成装置PR1の制御系の概要について述べる。
【0063】
画像形成装置PR1の制御系は、マイクロコンピュータ等で構成され各部の制御を行う制御部200と、画像の濃度を検出する濃度センサ201、印刷回数を計数するカウンタ202と、制御部200の作業領域や情報の格納を行うRAM等で構成されるメモリ203と、各種情報を表示するディスプレイ204と、トナーカートリッジT1、T2の記憶装置M1、M2から情報を読み込んだり、書き込んだりするインターフェイス(図示せず)等を備えている。
【0064】
次に、図3を参照して、画像形成システムS1の機能構成について説明する。
【0065】
画像形成システムS1では、画像形成に関する情報を格納する不揮発性メモリ等で構成される第1の記憶装置M1(第1の格納手段の一例:前出のM1Y、M1M、M1C、M1Kの何れか)を備えたトナー(色剤の一例)の同梱されるトナーカートリッジT1(収容器の一例)と、第1の記憶装置M1とは記憶容量を異にする(本実施の形態では、記憶装置M1の記憶容量より大きな記憶容量を有するものとする)不揮発性メモリ等で構成される第2の記憶装置M2(第2の格納手段の一例:M2Y、M2M、M2C、M2Kの何れか)を備えた色剤の標準品のトナーカートリッジT1(収容器の一例)が用いられる。
【0066】
画像形成装置PR1は、同梱されるトナーカートリッジT1または標準品のトナーカートリッジT2の何れかが装着された際に、第1の記憶装置M1と第2の記憶装置M2とを判別する記録装置の判別部300(判別手段の一例)と、第1の記憶装置M1または第2の記憶装置M2から画像形成に関する情報を読み取る情報読取部301(読取手段の一例)とを備える。
【0067】
また、記録装置の判別部300の判別結果に応じて、情報読取部301で読み取った画像形成に関する情報を用いた制御モード(制御態様の一例)を選択するモード選択部302(選択手段の一例)と、モード選択部302で選択された制御モードに基づいて、収容器T1、T2に収容されているトナーを用いた画像形成を行う画像形成部303(画像形成手段の一例)とを備える。
【0068】
また、判別部300は、第1の記憶装置M1と第2の記憶装置M2とにそれぞれ付される固有ID(識別情報の一例)に基づいて判別するようになっている。
【0069】
さらに、画像形成に関する情報は、画像形成部303による画像形成の実行回数(印刷回数)に関する情報を含むようにしてもよい。
【0070】
次に、図4を参照して、同梱されるトナーカートリッジT1または標準品のトナーカートリッジT2の構成例について説明する。
【0071】
なお、本実施の形態において、同梱されるトナーカートリッジT1および標準品のトナーカートリッジT2の構成における違いは、第1の記憶装置M1または第2の記憶装置M2の記憶容量の違いのみである。
【0072】
即ち、同梱されるトナーカートリッジT1および標準品のトナーカートリッジT2は、互換性を要するため、外形等については共通となっている。
【0073】
同梱されるトナーカートリッジT1および標準品のトナーカートリッジT2は、トナーを収容する収容部400と、収容部400の開口部を閉塞する蓋部402とから構成される。
【0074】
蓋部402には、画像形成装置PR1にセットされた際にトナーを供給する供給孔403や着脱用のレバー404等が設けられている。
【0075】
また、蓋部402には、端子500を備える第1の記憶装置M1または第2の記憶装置M2が設けられている。
【0076】
第1の記憶装置M1および第2の記憶装置M2の記憶容量は、特には限定されないが、例えば、同梱されるトナーカートリッジT1に設けられる第1の記憶装置M1の記憶容量を数バイト、標準品のトナーカートリッジT2に設けられる第2の記憶装置M2の記憶容量を数百キロバイトとされる。
【0077】
これにより、同梱されるトナーカートリッジT1に設けられる記憶装置M1に関するコストが、標準品のトナーカートリッジT2に設けられる第2の記憶装置M2の約半分に抑えられる。
【0078】
ここで、図5のフローチャートを参照しつつ、画像形成装置PR1の第1の実施例について説明する。
【0079】
本実施例に係る画像形成装置PR1は、トナーカートリッジT1、T2に装着されている記憶装置M1、M2の容量を判別し、それに応じてモード選択部302が制御モードを選択する機能を有するものである。
【0080】
第1の実施例に係る画像形成装置PR1は、装置に同梱されているトナーカートリッジT1のトナー寿命が約1000枚で、記憶装置M1として記憶容量が比較的小さい(上述のように例えば数バイト)簡易品が装着されているものとする。
【0081】
交換用のトナーカートリッジ(標準品のトナーカートリッジ)T2は、トナー寿命が約2500枚で、記憶装置M2として記憶容量が比較的大きい(上述のように例えば数百キロバイト)の標準品が装着されているものとする。
【0082】
記憶装置M2には各種情報がすべて書き込まれており、記憶装置M1には供給時間情報のみが書き込まれている。
【0083】
また、画像形成装置PR1内に同梱上限カウント値が記録されている。
【0084】
同梱上限カウント値は、標準品の記憶装置M2の限界カウント値に相当するものを装置PR1内に記録しておくもので、この値は読み出し専用とされる。
【0085】
図5に示すフローチャートに示すモード選択処理は、例えば画像形成装置PR1の電源が入れられた場合や、画像形成装置PR1に設けられたトナーカートリッジセット用のドアや、ジャムクリア用のドアが開閉された際に実行される。
【0086】
ステップS100で、画像形成装置PR1の電源が入れられた場合若しくは装置PR1の各種ドアが開閉されたことが認識されるとステップS101に移行する。
【0087】
ステップS101では、トナーカートリッジT1またはT2の記憶装置M1またはM2の認識の有無が判定される。記憶装置が認識されない場合はS109に移行して、「トナーカートリッジを装着してください」という表示を行い、処理を終了する。
【0088】
一方、記憶装置が有ると判定された場合はステップS102へ移行して、記憶装置の容量が標準品であるか否か(即ち、記憶装置M2であるか)が判定される。
【0089】
判定結果が「Yes」の場合にはステップS103に移行して、記憶装置M2内に書き込まれている供給時間(ディスペンス時間)情報と限界カウント値情報の比較をし、ディスペンス時間情報の方が小さい場合にはステップS105へ進んで、第1の制御モードを選択する。
【0090】
また、ディスペンス時間の方が大きい場合にはステップS104へ進んで、第3の制御モードを選択して処理を終了する。
【0091】
一方、ステップS102で「No」と判定された場合には、ステップS106に移行して、記憶装置M1内に書き込まれているディスペンス時間情報と、画像形成装置PR1内に記録されている同梱上限カウント値の比較を行う。
【0092】
そして、ディスペンス時間情報の方が小さい場合にはステップS107へ進んで第2の制御モードに選択し、ディスペンス時間情報の方が大きい場合にはステップS108へ進んで第4の制御モードに選択して処理を終了する。
【0093】
ここで、各制御モードが選択された場合の制御内容の例について述べる。
【0094】
第1の制御モードでは、前述の比較対象としての画像形成装置と同様の制御(所謂通常の制御)を行う。
【0095】
具体的には、トナー寿命の安定化のために、記憶装置M2内の各種カウンタ値及びトナー濃度情報、画像濃度情報から記憶装置内のトナー寿命に関する予告カウント値情報、限界カウント値情報の補正を行う。
【0096】
第2の制御モードでは、記憶装置M1内にディスペンス時間情報しかないので、第1の制御モードのようなトナー寿命安定化のための補正は行わないが、記憶装置M1内のディスペンス時間情報と画像形成装置PR1内に記録された同梱上限カウント値を比較することによりトナー残量の表示及びトナーカートリッジ交換の予告を表示する。
【0097】
第3の制御モードでは、ディスペンス時間情報が限界カウント値情報を超えているので、「トナーを交換してください」の表示がされ、そのままでは印刷されない。
【0098】
しかし、ユーザが自己責任でトナーを調達、補給して利用したい場合には、第3の制御モード内に設定されたカスタムモードに切り替えることにより継続して印刷される。
【0099】
この場合には、記憶装置M2内の各種カウント値の更新は行わず、定期的に実施するトナー濃度測定結果によりトナー濃度が設定値を下回るまで印刷される。但し、以降のトナー寿命の安定化は保証されないこととなる。
【0100】
以上述べたように、本実施例によれば、記憶装置M1、M2が認識される否かによりトナーカートリッジの有無が判断されるため、トナーカートリッジ有無検出手段が不要となる。
【0101】
また、同梱トナーカートリッジT1を寿命に達する前に他のトナーカートリッジT2と交換し、後にまた画像形成装置PR1に戻して使用した場合にも本来のトナー寿命まで使用される。
【0102】
次に、図6のフローチャートを参照しつつ、第2の実施例に係る画像形成装置PR1で実行されるモード選択処理について説明する。
【0103】
第2の実施例に係る画像形成装置PR1は、装置に同梱されているトナーカートリッジT1のトナー寿命が約1000枚で、記憶装置M1として記憶容量が比較的小さい(上述のように例えば数バイト)簡易品が装着されているものとする。
【0104】
交換用のトナーカートリッジT2はトナー寿命が約2500枚で、記憶装置M2として記憶容量が比較的大きい(上述のように例えば数百キロバイト)の標準品が装着されているものとする。
【0105】
また、標準品の記憶装置M2には各種情報が書き込まれており、簡易品の記憶装置M1には各トナーカートリッジに固有の固有IDのみが記録されているものとする。なお、この記憶装置M1は読み出しのみされる。
【0106】
画像形成装置PR1内には固有IDを記録する固有ID値情報、同梱トナーカートリッジT1の供給時間を記録するための同梱供給時間情報、同梱上限カウント値が記録されている。なお、同梱上限カウント値は第1の実施例と同様である。
【0107】
図6に示すフローチャートに示すモード選択処理は、ステップS203までは第1の実施例におけるステップS102までと同じである。
【0108】
また、ステップS203へ進んだ場合は、第1の実施例におけるステップS103〜ステップS105と同様である。
【0109】
ステップS206へ進んだ場合には、画像形成装置PR1内に固有ID情報が記録されているか否かが判定される。
【0110】
そして、固有IDが記録されていない場合にはステップS207へ移行し、記憶装置M1内の固有IDを画像形成装置PR1内にコピーする。
【0111】
なお、画像形成装置PR1が出荷される際には、画像形成装置PR1内に固有ID情報は記録されておらず、初めて装置PR1の電源を入れた場合が前記処理に相当する。
【0112】
固有ID情報が記録されている場合にはステップS208に移行して、画像形成装置PR1内の固有IDと記憶装置内の固有IDが一致するか否かが判定される。
【0113】
そして、固有IDが一致しない場合には、ステップS212に移行して、装置PR1に同梱されていたトナーカートリッジT1とは異なる同梱トナーカートリッジT2がセットされていると判断されるので、トナーカートリッジT1をセットしてもらうために「トナーカートリッジを装着してください」との表示を行って処理を終了する。
【0114】
一方、固有IDが一致する場合にはステップS209に移行する。
【0115】
ステップS209へ進んだ場合は、第1の実施例においてステップS106で記憶装置M2内の供給時間情報と限界カウント値情報を比較した代わりに、画像形成装置PR1内の同梱供給時間情報と同梱上限カウント値の比較を行う。なお、以降の処理は第1の実施例と同様である。
【0116】
以上説明したように、第2の実施例によれば、記憶装置M1、M2が認識されるか否かによりトナーカートリッジの有無が判断されるため、トナーカートリッジ有無検出手段が不要となる。
【0117】
また、最初に装置PR1にセットした同梱トナーカートリッジT1以外の同梱トナーカートリッジは使用されないが、同梱トナーカートリッジT1を寿命に達する前に他のトナーカートリッジT2と交換し、後にまた元の画像形成装置PR1に戻して使用した場合にも、本来のトナー寿命まで使用される。
【0118】
次に、第3の実施例に係る画像形成装置PR1について説明する。
【0119】
ここでは、装置PR1に同梱されているトナーカートリッジT1のトナー寿命が約1000枚で、記憶装置M1として記憶容量が比較的小さい(上述のように例えば数バイト)簡易品が装着されているものとする。
【0120】
また、交換用のトナーカートリッジT2は、トナー寿命の長いものと短いものの2種類が用意されており、ユーザの使用頻度により選択されるものとする。
【0121】
例えば、トナー寿命は長いものが約2500枚で、記憶装置M2として標準品が装着され、短いものは約1000枚で、記憶装置M1として同梱品と同じ簡易品が装着されているものとする。
【0122】
また、標準品の記憶装置M2には各種情報が書き込まれており、簡易品の記憶装置M1には供給時間情報のみが書き込まれているものとする。
【0123】
さらに、画像形成装置PR1内に同梱上限カウント値が記録されている。
【0124】
同梱上限カウント値は、標準品の記憶装置M2の限界カウント値に相当するものを装置PR1内に記録しておくもので、この値は読み出し専用であるものとする。
【0125】
なお、処理手順は図5に示すフローチャートと同じである。
【0126】
第3の実施例によれば、トナーカートリッジ有無検出手段が不要となり、同梱トナーカートリッジT1で使用する安価な記憶装置をより広範囲で使用され、コストが一層抑制される。
【0127】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0128】
また、本発明に係る技術的思想をLED等の発光素子を用いた照明装置等に応用することも考えられる。即ち、照明装置等を構成するLEDモジュールの各LEDの発光回数を計数し、その累積値によって再利用の可否を判定することが考えられる。
【0129】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0130】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0131】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0132】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0133】
さらには、画像形成装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明による画像形成装置、画像形成システムおよび処理プログラムは、プリンタや複合機等に適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
S1 画像形成システム
PR1 画像形成装置
T1、T2 トナーカートリッジ
M1、M2 記憶装置
2 用紙収容部
3 中間転写ユニット
4 転写ローラ
5 定着装置
10 感光体ドラム
200 制御部
201 濃度センサ
202 カウンタ
203 メモリ
204 ディスプレイ
300 判別部
301 情報読取部
302 モード選択部
303 画像形成部
400 収容部
402 蓋部
403 供給孔
404 レバー
500 端子
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色剤の収容器に設けられ画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段と、他の色剤の収容器に設けられ該第1の格納手段とは記憶容量を異にして画像形成に関する情報を格納する第2の格納手段とを判別する判別手段と、
前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取手段と、
前記判別手段の判別結果に応じて、前記読取手段で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択手段と、
該選択手段で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別手段は、
前記第1の格納手段と前記第2の格納手段とにそれぞれ付される識別情報に基づいて判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成に関する情報は、前記画像形成手段による画像形成の実行回数に関する情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段を備えた色剤の収容器と、
前記第1の格納手段とは記憶容量を異にする第2の格納手段を備えた他の色剤の収容器と、
前記収容器の何れかが装着された際に、前記第1の格納手段と前記第2の格納手段とを判別する判別手段と、
前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取手段と、
前記判別手段の判別結果に応じて、前記読取手段で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択手段と、
該選択手段で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
色剤の収容器に設けられ画像形成に関する情報を格納する第1の格納手段と、他の色剤の収容器に設けられ該第1の格納手段とは記憶容量を異にして画像形成に関する情報を格納する第2の格納手段とを判別する判別過程と、
前記第1の格納手段および前記第2の格納手段から前記画像形成に関する情報を読み取る読取過程と、
前記判別過程の判別結果に応じて、前記読取過程で読み取った前記画像形成に関する情報を用いた制御態様を選択する選択過程と、
該選択過程で選択された制御態様に基づいて、前記収容器に収容されている色剤を用いた画像形成を行う画像形成過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−68485(P2012−68485A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213988(P2010−213988)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】