説明

画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】給紙動作時における電力消費量を削減する。
【解決手段】ASICのメモリ200内に、用紙(種類)がセットされているカセットの段数、何段目のモーターを駆動するかを登録しておく。印刷ジョブを実施する際に、テーブルに基づいてモーターを制御する。増設カセットの2段目にA4普通紙がセットされていて、印刷する場合、カセット2のローラーで給紙を開始し、用紙先端がカセット1のローラーに到達したとき、カセット1のローラーに切り替え、用紙先端が本体のローラーに到達したとき、本体のローラーに切り替える(112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力消費量を削減した画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、本体に搭載された給紙カセットの他に、増設のカセットを設置することができる。プリンタの増設カセットから用紙を給紙して印刷する際、用紙を送る側のカセット内にも用紙搬送用のモーターがあり、本体まで用紙を運ぶ。また、複数段のカセットを実装できるプリンタの場合、各カセットのモーターが同時に駆動する。増設カセットに搭載されているモーターは、比較的安価なものが採用されている場合が多く、効率も悪いので、消費電力が大きい。これに対し、本体側に搭載されたモーターは、使用頻度が高いことから、消費電力を考慮したモーターが選定される。例えば、特許文献1では、増設カセットから給紙する際のモーターの消費電力を削減するために、各モーターを異なる位相で駆動させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した増設カセットでは、給紙の際に不要な箇所のモーターも駆動させることから、電力が無駄に消費されるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、給紙動作時における電力消費量を削減した画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、用紙を積載した本体の積載手段と複数段の増設の積載手段から、前記用紙を給紙して印刷する画像形成装置において、前記用紙の種類と前記増設の積載手段の段数に応じて駆動する積載手段のモーターを登録する登録手段と、前記用紙を給紙して印刷するとき、前記登録手段を参照して前記駆動するモーターを選択する制御手段を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、用紙の種類に応じて、複数のモーター駆動が必要か否かを判定し、必要なカセットのモーターのみを動作させることができるので、増設カセットからの給紙動作時に、不要な電力の消費を削減することができる。また、A3の用紙などを給紙するときジャム防止のために、複数モーターを同時に駆動させて、各モーターの駆動トルクを最適に配分し、必要最低限の消費電力でモーターを駆動しているので、不要な電力の消費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用されるインクジェット記録装置(画像形成装置)を示す。
【図2】画像形成装置の制御部の構成を示す。
【図3】従来の給紙動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施例1のモーター制御テーブルを示す。
【図5】本発明の実施例2の構成を示す。
【図6】本発明の実施例3の動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施例4の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。本発明では、複数段に積み重ねた増設カセットから給紙する際に、駆動するモーターを自由に制御する。すなわち、増設カセットから給紙する際に、用紙が本体モーターに到達したことを検知し、増設カセット側のモーター駆動をいち早く停止させることで、消費電力の少ない印字動作を可能とする。
【0009】
図1、本発明が適用されるインクジェット記録装置(画像形成装置)を示す。図1(a)はその側面を示し、(b)はその平面を示す。図1において、フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モーターによりタイミングベルトを介して、図1(b)に矢印方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0010】
キャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド34を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0011】
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドは、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0012】
本発明では、全インク吐出口を同時に駆動させる以外に、時間的に分割して駆動させることができる。全インク吐出口を同時に駆動させると、各インク吐出口間のクロストークの影響による記録品位の低下や、一時的に大電流を必要とすることにより電源の大容量化などの問題が生じるが、時分割駆動することでこれらの問題を回避できる。
【0013】
記録ヘッド34にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。また、キャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のサブタンク35を搭載している。この各色のサブタンク35には、各色のインク供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニットが設けられ、また、インク供給チューブ36は、フレーム21を構成する後板21Cに係止部材25により保持されている。
【0014】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43、および給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラー46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0015】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラー52とテンションローラー53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0016】
搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラー56を備え、この帯電ローラー56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従って回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラー52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0017】
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57を配置し、このガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラー(搬送ローラー52とテンションローラー53)の接線よりも記録ヘッド34側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モーターによって搬送ローラー52が回転駆動されることによって搬送ベルト51が図1(b)のベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
【0018】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラー62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラー62の下方に排紙トレイ3を備え、排紙ローラー62と排紙コロ63との間から排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
【0019】
また、装置本体1の背面部には、両面ユニット71が着脱自在に装着され、この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度カウンタローラー46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0020】
さらに、図1(b)に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置し、この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という)82a〜82d(区別しないときは「キャップ82」という)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために、記録に寄与しない液滴を吐出させる、空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備え、キャップ82aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ82b〜82dは保湿用キャップとしている。
【0021】
この維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ82に排出されたインク、あるいはワイパーブレード83に付着してワイパークリーナで除去されたインク、空吐出受け84に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0022】
また、図1(b)に示すように、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために、記録に寄与しない液滴を吐出させる、空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
【0023】
さらに、装置本体1の内部後方側には、ホストとの間でデータを送受するためのUSBなどの通信回路部(インタフェース)が設けられるとともに、この画像形成装置全体を制御する制御回路の基板が設けられている。
【0024】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラー46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0025】
このとき、図示しない制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラー56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電され、このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0026】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0027】
また、印字(記録)待機中には、キャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」または「ヘッド吸引」という)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行い、これにより、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0028】
図2は、画像形成装置の制御部の構成を示す。この制御部は、画像形成装置全体を制御し、用紙の搬送動作、記録ヘッドの移動動作を制御するCPU301と、CPU301が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源とが遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理や入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
【0029】
また、制御部は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F306と、記録ヘッド34を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド34の圧力発生手段を選択駆動させる画像データや各種データをヘッドドライバ312に出力する印刷制御部308と、主走査モーター313を駆動するための主走査モーター駆動部309と、副走査モーター315を駆動するための副走査モーター駆動部311と、帯電ローラー56にACバイアスを供給するACバイアス供給部310と、リニアエンコーダ314、ホイールエンコーダ316からの検出パルス、その他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O307などを備えている。また、制御部には、画像形成装置に必要な情報の入力、表示を行うための操作パネル317が接続されている。
【0030】
制御部は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホストのプリンタドライバ318が生成した印刷データ等をケーブルあるいはネットを介してI/F306で受信する。そして、制御部のCPU301は、I/F306に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305において必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部308に転送し、印刷制御部308から所要のタイミングでヘッドドライバ312に画像データや駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM302にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバ318で画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。ここでは、プリンタドライバ318で行うようにしている。
【0031】
印刷制御部308の駆動波形生成部は、ROM302に格納されてCPU301で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器、増幅器等で構成され、1つの駆動パルスあるいは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ312に対して出力し、ヘッドドライバ312は、シリアルに入力される記録ヘッドの1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて印刷制御部308の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。なお、このヘッドドライバ312は、例えば、クロック信号、画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッドの圧力発生手段に印加する。
【0032】
図3は、従来の給紙動作を説明する図である。画像形成装置(プリンタ)101は、複数の増設カセットを装着できる。102、103は、それぞれ増設カセットである。各カセットには、予めユーザーが用紙104をストックしている。ユーザーが印刷を行う際に、用紙サイズや種類を設定すると、プリンタはどのカセットの用紙に印刷を行うかを自動で判断して、給紙を開始する。印刷ジョブが送られると、プリンタは、例えばモーターにより駆動する誘導ローラー105と、用紙を抑えるための受動ローラー106により給紙動作107を開始する。
【0033】
各カセットのモーター駆動は、プリンタ本体101のASIC305において制御するが、信号線の集約やハーネスの削減から、動作不要なカセットの誘導ローラーも動作している場合がある。一般的に、プリンタには、用紙の先端と後端を検知するためのセンサ108、109、110が搭載されている。センサの検知により、用紙の移動状態を判断することが可能であり、印刷中に用紙が詰まったときなどに、用紙ジャムの発生箇所を検知できる。
【実施例1】
【0034】
図4は、実施例1に係る、モーターを制御するテーブルを示す。実施例1では、図4に示すように、カセットの何段目に用紙(種類)がセットされ、何段目のモーターをどの程度のトルクで駆動するかを、予めASIC305のメモリ200内にテーブルとして登録しておき、ユーザーが印刷ジョブを実施する際に、ASIC305は、テーブルを参照してモーターを制御する。
【0035】
用紙の種類によって、モーターの負荷が異なるので、極力最低限のトルクで給紙することで、無駄な消費電力を抑制することができる。例えば、増設カセットの2段目(図2の103)には、A4普通紙がセットされていて、印刷する場合は、まず、カセット2のローラー(モーター)105、106で給紙を開始し、用紙の先端がカセット1のローラー105、106に到達したとき、センサ109が用紙の先端を検出し、カセット1のローラー(モーター)に切り替え、用紙の先端が本体のローラーに到達したとき、本体のローラー(モーター)に切り替えるという動作112を行う。
【0036】
また、A3ハイグレード紙の場合は、カセット2のローラーで給紙を開始し、用紙の先端がカセット1のローラーに到達したとき、カセット1とカセット2の両方のローラー(モーター)を駆動し、本体のローラーに到達したとき、本体のローラーとカセット1の両方のローラー(モーター)を駆動する。これにより、用紙種類に応じた適切なローラー(モーター)の駆動が行われるので、無駄な消費電力が抑制されるとともに、トルク不足による用紙ジャムの発生を防止することができる。このように、実施例1によれば、モーター駆動が最適化され、消費電力を抑制することができる。
【実施例2】
【0037】
図5は、本発明の実施例2の構成を示す。図5に示すように、プリンタ本体にPSoC(Programmable SoC)204を搭載し、PSoC204は、本体カセットモーター202と、増設カセットモーター203の電源の電力を測定する。モーターは、一般的に効率にばらつきがあり劣化するので、PSoC204がモーター202、203の消費電力を確認し、その結果を、ASIC201を介してメモリ200内のテーブル(図4)に反映させる。
【0038】
具体的なフィードバック方法を以下に説明する。まず、PSoC204に予め電流監視用のプログラムを搭載しておき、PSoC204が、本体のカセットモーター202、増設カセットモーター203に流れる電流値を測定し、その測定結果を、プリンタに搭載したメモリ200へ格納する。PSoC204による電流測定は、プリンタ出荷前の検査で実施してもよいし、プリンタドライバからユーザーが実施してもよい。
【0039】
フィードバック後は、モーターの効率の善し悪しがわかっているので、ジャムが発生しない範囲で、効率の良いモーターと効率の悪いモーターへ、トルクを適切に配分することで、より消費電力の少ない給紙動作を行うことが可能となる。このように、実施例2では、実測定に基づいて、より正確なテーブルを作成することができる。
【実施例3】
【0040】
図6は、本発明の実施例3の動作を説明する図である。各カセットにストックされた用紙種類が同一であり、プリンタの用紙選択が自動選択の場合において、連続印刷を行う際に、本体カセットの用紙がなくなり、増設カセットの構成が2段である状況で説明する。
【0041】
PSoC204で確認した増設トレイのモーターの効率が、上段の増設トレイ102のモーターの効率よりも、下段の増設トレイ103のモーターの方が良い場合、1段目(102)の用紙115を給紙するよりも、2段目(103)の用紙114を給紙した方が、結果的に消費電力が少なくなるので、下段の増設トレイ103から給紙を行なうようにする。
【0042】
また、モーターは、発熱すると効率が低下する特性があるので、適宜動作を分担させることにより発生する熱を低下させることで、その結果として消費電力が少なくなる。さらに、ジョブ量に応じて、給紙動作を分散させることにより、消費電力を少なくすることが可能となる。分散動作は、例えば予めプリンタの設計段階でモーターの温度と効率をメモリ200にテーブル化しておき、実動作時に、モーターに設置した温度サーミスタで検出したモーター温度と照合することにより分散動作を行なう。
【0043】
このように、実施例3では、連続動作時の熱によるモーター効率の変化に対応して、消費電力を軽減することが可能である。
【実施例4】
【0044】
図7は、本発明の実施例4の構成を示す。ユーザーは、どの給紙カセットモーターの効率がよいのか、また、稼働率がどの程度であるかわからない。そこで、実施例4では、操作パネル317(図2)やパソコンの画面上に、プリンタのドライバからユーザーに対して給紙カセット情報を通知する。例えば、図7に示すように、給紙トレイの稼働率と効率を表示すると共に、ユーザーへのアドバイスを表示し、ユーザーがその表示内容(給紙カセット情報)を参照して、トレイを選択することにより、より消費電力を抑制することが可能となる。このように、実施例4では、ユーザーが省エネ対策を簡単に実施することができる。
【0045】
本発明は、前述した実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。また、本発明の実施例の機能等を実現するためのプログラムは、ネットワークを介した通信によってサーバから提供されるものでも良い。
【符号の説明】
【0046】
200 メモリ
201 ASIC
202 本体カセットモーター
203 増設カセットモーター
204 PSoC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開平8−156354号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載した本体の積載手段と複数段の増設の積載手段から、前記用紙を給紙して印刷する画像形成装置において、前記用紙の種類と前記増設の積載手段の段数に応じて駆動する積載手段のモーターを登録する登録手段と、前記用紙を給紙して印刷するとき、前記登録手段を参照して前記駆動するモーターを選択する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記積載手段のモーターの消費電力を測定する測定手段を備え、前記制御手段は、前記測定手段の測定結果が登録された前記登録手段を参照して前記測定された消費電力に基づいて前記駆動するモーターを選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙を連続給紙して印刷するとき、前記増設の積載手段から交互に給紙することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記積載手段のモーターの効率と稼働率を前記積載手段毎に表示する表示手段を備え、ユーザーに対して前記積載手段の効率的な使用情報を提示することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙を積載した本体の積載手段と複数段の増設の積載手段から、前記用紙を給紙して印刷する画像形成方法において、前記用紙の種類と前記増設の積載手段の段数に応じて駆動する積載手段のモーターを登録する登録工程と、前記用紙を給紙して印刷するとき、前記登録工程を参照して前記駆動するモーターを選択する制御工程を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項5記載の画像形成方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−184072(P2012−184072A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47966(P2011−47966)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】