説明

画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム

【課題】HDD(Hard Disc Drive)などの補助記憶部が搭載されていなくても、印刷データを蓄積してこれを再利用して印刷可能な画像形成技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データを情報処理装置から受信し、当該印刷データを用いて、ラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成し、当該画像データを用いて、ジョブを実行して、色剤を用いて画像を形成して、当該画像を転写紙に転写する。この画像形成装置は、描画前の第1の印刷データ及び描画後の第2の印刷データをジョブ毎に対応付けて記憶するものであり、第1の印刷データ及び画像を示す部分が削除された印刷データである第2の印刷データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、HDD(Hard Disc Drive)等の補助記憶部が搭載され、HDDにデータを蓄積可能な画像形成装置がある。例えば、特許文献1には、ユーザの指示に応じて印刷を行った際に用いた印刷データを蓄積し、再印刷や他のユーザからの印刷の指示時に、蓄積された印刷データを用いることで、効率的に印刷を行なうことのできる画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の画像形成装置では、HDDが搭載されていない場合、印刷データを蓄積してこれを再利用することは困難であった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、HDD(Hard Disc Drive)などの補助記憶部が搭載されていなくても、印刷データを蓄積してこれを再利用して印刷可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置であって、印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データを情報処理装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記印刷データを用いて、ラスタ形式の画像であるラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する描画手段と、前記描画手段が生成した前記画像データを用いて、ジョブを実行して、色剤を用いて画像を形成して、当該画像を転写紙に転写する画像形成手段と、描画前の第1の印刷データ及び描画後の第2の印刷データを前記ジョブ毎に対応付けて記憶する記憶手段であって、前記第1の印刷データ及び前記画像を示す部分が削除された印刷データである前記第2の印刷データを記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、受信手段と、描画手段と、画像形成手段と、記憶制御手段とを備える画像形成装置で実行される画像形成方法であって、前記受信手段が、印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データを情報処理装置から受信する受信ステップと、前記描画手段が、前記受信ステップで受信された前記印刷データを用いて、ラスタ形式の画像であるラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する描画ステップと、前記画像形成手段が、前記描画ステップで生成された前記画像データを用いて、ジョブを実行して、色剤を用いて画像を形成して、当該画像を転写紙に転写する画像形成ステップと、前記記憶制御手段が、描画前の第1の印刷データ及び描画後の第2の印刷データを前記ジョブ毎に対応付けて記憶する記憶手段であって、前記第1の印刷データ及び前記画像を示す部分が削除された印刷データである前記第2の印刷データを記憶手段に記憶させる記憶ステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の画像形成方法をコンピュータに実行させるための画像形成プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、HDD(Hard Disc Drive)などの補助記憶部が搭載されていなくても、印刷データを蓄積してこれを再利用して印刷可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、一実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を例示する図である。
【図2】図2は、画像形成装置1の機能的構成を例示する図である。
【図3】図3は、図2に例示される画像形成装置1の機能的構成において実現される印刷処処理の流れの概要を例示する図である。
【図4】図4は、画像形成装置1が行う印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、RAM12aのデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶される印刷データを例示する図である。
【図6】図6は、従来のジョブ管理領域に記憶される印刷データを例示する図である。
【図7】図7は、画像形成装置1がデータ蓄積領域121に記憶された印刷データを再利用して行う印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を例示する図である。画像形成装置1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を実現可能な複合機であり、コントローラ10とエンジン(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、画像形成装置1全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジン等であり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニット等である。なお、このエンジン部60には、プロッタ等のいわゆるエンジン分に加えて、誤差拡散やガンマ変換等の画像処理部分が含まれる。また、画像形成装置1には、エンジン部60が画像を形成する際に用いる色剤が搭載されている。色剤とは、例えば、トナーであり、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)等の各色の少なくとも1つの色の色剤が画像形成装置1には搭載される。
【0012】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。
【0013】
CPU11は、画像形成装置1の全体制御をおこなうものであり、NB13、MEM−P12及びSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0014】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いるシステムメモリであり、ROM(Read Only Memory)12aとRAM(Random Access Memory)12bとを有する。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリである。例えば、ROM12aは、画像の印刷を要求する印刷データに基づいて、エンジン部60に画像を印刷媒体に形成させるためのプリンタアプリを記憶する。RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。RAM12bは、データとして、後に詳述する印刷データや画像データを記憶する。
【0015】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部等も接続される。画像形成装置1は、このネットワークインターフェース部を介して、画像形成装置1の上位装置の情報処理装置であるホストと接続される。このホストから印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データが送信されると、ネットワークインターフェース部を介して受信されて、RAM12bに記憶されることになる。この印刷データは、例えば、PDL(page description language)形式で記述されたものである。
【0016】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD(Hard Disk Drive)18及びMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転等をおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介して操作表示部20、FCU(Fax Control Unit)30、NIC(Network Interface Card)70、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。
【0017】
操作表示部20は、ユーザからの操作が入力される操作キーや操作ボタン、マウスなどで構成される操作入力部と、情報を表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示部とが一体的に形成されたものである。MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリである。
【0018】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0019】
次に、画像形成装置1の機能的構成について図2〜3を用いて説明する。図2は、画像形成装置1の機能的構成を例示する図である。図3は、図2に例示される画像形成装置1の機能的構成において実現される印刷処理の流れの概要を例示する図である。画像形成装置1は、データ受信制御部100と、プリンタ制御部102と、画像描画部106と、メモリ制御部107と、エンジン制御部108とを有する。データ受信制御部100の機能は、CPU11がROM12bに記憶された各種プログラムを実行することと、ネットワークインターフェース部とにより実現される。プリンタ制御部102、画像描画部106及びエンジン制御部108の各機能は、CPU11がROM12bに記憶された各種プログラムを実行することと、ASIC16とにより実現される。メモリ制御部107の機能は、CPU11がROM12bに記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。また、図1を用いて説明したRAM12bには、受信データ格納領域120と、データ蓄積領域121とが各々確保される。データ蓄積領域121は、JOB管理領域122を有する。
【0020】
データ受信制御部100は、ホスト2との通信を制御するものであり、データ受信部101を有する。データ受信部101は、データ受信制御部100の制御の下、画像形成装置1に接続されるホスト2から印刷データを受信すると、メモリ制御部107を介して、当該印刷データと、当該印刷データを位置に識別するための印刷データIDとを対応付けて受信データ格納領域120に記憶させる。画像描画部106は、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを解釈して、当該印刷データによって示される画像及び印刷条件を用いて、エンジン部60に画像を形成させるためのラスタ形式の画像であるラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する。
【0021】
プリンタ制御部102は、JOB制御部103と、PAGE制御部104と、データ管理部105とを有する。データ管理部105は、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを複製して、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与して、メモリ制御部107を介して、当該印刷データ及び印刷データIDを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶させる。また、複製した印刷データを描画前の印刷データとして、以下で説明するPAGE制御部104が生成した印刷データを描画後の印刷データとすると、データ管理部105は、描画前の印刷データ及び描画後の印刷データの対応関係を管理する。具体的には例えば、データ管理部105は、描画前の印刷データの印刷データIDと、描画後の印刷データの印刷データIDとを対応付けてRAM12bにおいて記憶する。
【0022】
PAGE制御部104は、画像描画部106が画像データの生成に用いた印刷データについて、当該印刷データのうち画像を示す部分を削除して、画像を示さずに印刷条件を示す印刷データを生成して、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与して、当該印刷データ及び印刷データIDを対応付けて、メモリ制御部107を介してデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶させる。この描画後の印刷データによって示される印刷条件とは、例えば、画像描画部106が画像データを生成することによって認識したもののみであっても良い。このような印刷条件としては、例えば、カラーで画像を形成するというものである。JOB管理領域122においては、同一の印刷ジョブについて、画像描画部106の描画前の印刷データと、画像描画部106の描画後にPAGE制御部104が生成した印刷データとが対応付けて記憶される。
【0023】
JOB制御部103は、データ蓄積領域121に記憶された印刷データを用いた印刷処理の実行を指示する印刷指示に応じて、印刷ジョブが実行されるよう、当該印刷データを受信データ格納領域120に記憶させる。
【0024】
エンジン制御部108は、画像描画部106が生成した画像データを用いて、印刷ジョブを実行して、エンジン部60に色剤を用いた画像を形成させて、当該画像を転写紙に転写させて、当該転写紙を排出する。
【0025】
メモリ制御部107は、RAM12bへのアクセスを制御するものであり、データ受信部101が受信した印刷データを受信データ格納領域120に記憶させたり、データ管理部105が複製した印刷データと、当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDとを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶させたりする。また、メモリ制御部107は、PAGE制御部104が生成した印刷データと、当該印刷データを一意に識別するための印刷IDとを対応付けてJOB管理領域122に記憶させる。このとき、メモリ制御部107は、同一の印刷ジョブについて、画像描画部106の描画前の印刷データと、画像描画部106の描画後にPAGE制御部104が生成した印刷データと対応付けてJOB管理領域122に記憶させる。尚、描画前の印刷データと描画後の印刷データとに各々対応付けられる印刷データIDは各々異なるものである。このため、同一の印刷ジョブに対応するこれらの印刷データについて印刷データIDによって区別することが可能である。
【0026】
以上のような構成において、画像形成装置1の行う印刷処理の概要について説明する。図3に例示されるように、データ受信部101が、ホスト2から送信された印刷データを受信すると、メモリ制御部107が、当該受信データを受信データ格納領域120に記憶させる。また、PAGE制御部104が、当該印刷データによって実行される印刷ジョブに対してデータ蓄積領域121のJOB管理領域122において領域を割り当て、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与して、メモリ制御部107が、当該印刷データ(描画前の印刷データ)及び印刷データIDを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122の当該領域に記憶させる。また、画像描画部106が、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを解釈して、当該印刷データによって示される画像及び印刷条件を用いて、ラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する。そして、PAGE制御部104が、画像データが生成された印刷データについて、当該印刷データのうち画像を示す部分を削除して、画像を示さずに印刷条件を示す印刷データを生成して、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与し、メモリ制御部107が、当該印刷データ(描画後の印刷データ)及び印刷データIDを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶させる。このとき、当該描画後の印刷データは、データ蓄積領域121のJOB管理領域122において当該印刷ジョブに割り当てられた領域に記憶された描画前の印刷データと対応付けて記憶される。データ管理部105は、描画前の印刷データの印刷データID及び描画後の印刷データの印刷データIDを対応付けてRAM12bに記憶する。
【0027】
そして、RAM12bに記憶された印刷データを再利用した印刷を指示する印刷指示があった場合、メモリ制御部107が、データ蓄積領域121に記憶されている描画前の印刷データを読み出し、当該印刷データを用いて実行する新たな印刷ジョブに対してデータ蓄積領域121のJOB管理領域122において新たな領域を割り当て、当該印刷データに対して当該印刷データを当該領域に記憶させる。そして、JOB制御部103が、メモリ制御部107の機能を介して、当該印刷データを受信データ格納領域120に記憶させて、画像描画部106が、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを解釈して、当該印刷データによって示される画像及び印刷条件を用いて、ラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する。そして、エンジン制御部108が、生成された画像データを用いて、印刷ジョブを実行して、エンジン部60に画像を形成させて、印刷媒体に画像を転写させて、当該印刷媒体を排出する。
【0028】
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置1の行う印刷処理の詳細な手順について図4を用いて説明する。画像形成装置1は、データ受信部101の機能により、ホスト2から送信された印刷データを受信すると(ステップS1)、メモリ制御部107の機能により、当該受信データを受信データ格納領域120に記憶させる。また、画像形成装置1は、当該印刷データによって実行される印刷ジョブに対してデータ蓄積領域121のJOB管理領域122において領域を割り当て、PAGE制御部104の機能により、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与して、メモリ制御部107の機能により、当該印刷データ(描画前の印刷データ)及び印刷データIDを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122の当該領域に記憶させる(ステップS2)。また、画像形成装置1は、画像描画部106の機能により、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを解釈して、当該印刷データによって示される画像及び印刷条件を用いて、ラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する(ステップS3)。そして、画像形成装置1は、ステップS4で画像データが生成された印刷データについて、PAGE制御部104の機能により、当該印刷データのうち画像を示す部分を削除して、画像を示さずに印刷条件を示す印刷データを生成して(ステップS4)、当該印刷データに対して当該印刷データを一意に識別するための印刷データIDを付与して、メモリ制御部107の機能により、当該印刷データ(描画後の印刷データ)及び印刷データIDを対応付けてデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶させる。このとき、画像形成装置1は、当該描画後の印刷データを、ステップS2でデータ蓄積領域121のJOB管理領域122において当該印刷ジョブに割り当てられた領域に記憶された描画前の印刷データと対応付けて記憶させる(ステップS5)。尚、画像形成装置1は、データ管理部105の機能より、描画前の印刷データの印刷データID及び描画後の印刷データの印刷データIDを対応付けてRAM12bに記憶する。
【0029】
図5は、RAM12aのデータ蓄積領域121のJOB管理領域122に記憶される印刷データを例示する図である。同図においては、印刷ジョブとしてJOBA及びJOBBに対してそれぞれ、画像及び印刷条件を示す描画前の印刷データ及び画像を示さず印刷条件を示す描画後の印刷データが対応付けられて記憶されていることが示されている。このようにして、描画前の印刷データ及び描画後の印刷データをRAM12aに記憶させることにより、HDDに記憶させる場合と同等の操作性を実現することが可能になる。また、描画前の印刷データをRAM12aに記憶させることで、印刷条件を適宜変更して当該印刷データを用いた印刷処理を再度実行することが可能になる。また、記憶させる描画後の印刷データが、画像を示さないものであることにより、RAM12aに記憶させる印刷データのデータ量を低減することが可能になる。従って、記憶容量が比較的小さいRAM12aにおいて、より多くの印刷データを記憶させることが可能になる。一方、従来の技術においては、図6に例示されるように、RAM12aでは、印刷ジョブ毎に印刷データを記憶する領域が割り当てられて、印刷ジョブ毎に描画前の印刷データ及び描画後の印刷データが対応付けられて記憶されるのではなく、描画前か描画後かによって領域が割り当てられて、描画前の印刷データと、描画後の印刷データとが別々の領域に記憶されていた。
【0030】
図4の説明に戻る。画像形成装置1は、ステップS3で生成された画像データを用いて、エンジン制御部108の機能により、印刷ジョブを実行して、エンジン部60に画像を形成させて、当該画像を印刷媒体に転写させて、当該印刷媒体を排出する。以上のようにして画像形成装置1は画像形成処理を行う。
【0031】
次に、上述のようにしてデータ蓄積領域121に記憶された印刷データを再利用して行う画像形成処理の手順について図7を用いて説明する。例えば、画像形成装置1は、RAM12bに記憶された印刷データを再利用した印刷を指示する印刷指示を受け付けると(ステップS20)、当該印刷データをデータ蓄積領域121から読み出す(ステップS21)。当該印刷指示は、例えば、操作表示部20を介したユーザからの操作入力によって行われたり、ホスト2から受信されるものであったりする。当該印刷指示では、RAM12bに記憶された描画後の印刷データが特定されて印刷が指示される。
【0032】
例えば、操作表示部20を介して印刷指示を受け付ける場合、画像形成装置1は、印刷データを再利用した印刷処理をユーザが指示するための操作画面として、データ蓄積領域121に各々記憶されている描画後の印刷データによって示される各印刷条件の一覧を操作表示部20に表示させ、当該操作表示部20を介していずれかの印刷条件を選択する操作入力が行われると、当該操作入力に応じて、印刷データを再利用した印刷を指示する印刷指示を受け付ける。そして、画像形成装置1は、選択された印刷条件を示す印刷データについて、データ管理部105の機能により、当該印刷データの印刷データIDと対応付けられている描画前の印刷データの印刷データIDを特定し、メモリ制御部107の機能により、当該印刷IDと対応付けられてデータ蓄積領域121に記憶されている描画前の印刷データを読み出す。
【0033】
また、例えば、印刷指示がホスト2から受信されるものである場合、当該印刷指示には、再利用対象の印刷データ(描画後の印刷データ)に対応付けられている印刷データIDが示されている。このため、画像形成装置1は、ステップS21では、当該印刷指示によって示される印刷データIDに対応する印刷データ(描画後の印刷データ)について、データ管理部105の機能により、当該印刷データの印刷データIDと対応付けられている描画前の印刷データの印刷データIDを特定し、メモリ制御部107の機能により、当該印刷IDと対応付けられてデータ蓄積領域121に記憶されている描画前の印刷データを読み出す。
【0034】
そして、画像形成装置1は、ステップS21で読み出した印刷データを用いて実行する新たな印刷ジョブに対してデータ蓄積領域121のJOB管理領域122において新たな領域を割り当て、当該印刷データに対して当該印刷データを当該領域に記憶させる(ステップS22)。
【0035】
また、画像形成装置1は、操作表示部20を介して、新たな印刷条件を指定する操作入力を受け付けた場合(ステップS23:YES)、当該操作入力によって指定された印刷条件を示すように、ステップS21で読み出した印刷データを更新する(ステップS24)。そして、画像形成装置1は、JOB制御部103の機能により、メモリ制御部107の機能を介して、ステップS24で更新された印刷データを受信データ格納領域120に記憶させて、ステップS25に進む。一方、操作表示部20を介して新たな印刷条件を指定する操作入力がなかった場合(ステップS23:NO)、画像形成装置1は、JOB制御部103の機能により、メモリ制御部107の機能を介して、ステップS21で読み出した印刷データを受信データ格納領域120に記憶させて、ステップS25に進む。
【0036】
ステップS25では、画像形成装置1は、画像描画部106の機能により、受信データ格納領域120に記憶された印刷データを解釈して、当該印刷データによって示される画像及び印刷条件を用いて、ラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する。そして、画像形成装置1は、エンジン制御部108の機能により、生成された画像データを用いて、印刷ジョブを実行して、エンジン部60に画像を形成させて、印刷媒体に画像を転写させて、当該印刷媒体を排出する(ステップS26)。その後、画像形成装置1は、データ蓄積領域121のJOB管理領域122において当該印刷ジョブに対して割り当てられた領域に記憶された印刷データを削除する(ステップS27)。
【0037】
例えば、図3の例では、JOBAについて、描画前の印刷データ及び描画後の印刷データがJOB管理領域122に記憶されているときに、ステップS20で受け付けた印刷指示に応じて、ステップS21では、当該描画前の印刷データが読み出されて、ステップS22では、新たなJOBCとして、当該JOBCに対してJOB管理領域122において領域が割り当てられて、読み出された印刷データが当該領域に記憶され、ステップS25では、当該印刷データを用いて画像データが生成された後に、描画後の印刷データが生成され、当該描画後の印刷データが、JOBCに対して割り当てられた領域に描画前の印刷データと対応付けられて記憶されることになる。その後、ステップS26では、ステップS25で生成された画像データが用いられて、印刷媒体に画像が転写されて、当該印刷媒体が排出されると、ステップS27では、JOBCに対してJOB管理領域122に記憶された印刷データが削除される。
【0038】
以上のような構成によれば、HDDが搭載されていない画像形成装置であっても、印刷データをRAMに記憶させることで、印刷データの蓄積を実現することが可能であり、HDDが搭載された画像形成装置と同等の操作性で、当該印刷データを再利用した新たな印刷ジョブを実行することが可能になる。また、描画後の印刷データから画像部分を削除して蓄積するため、印刷データのデータ量を小さくすることができ、印刷データの蓄積に係る記憶容量を低減することができる。また、当該印刷データを再利用して印刷ジョブを実行する際、ユーザにより印刷条件が変更されたとしても、変更された印刷条件を反映して、印刷ジョブを実行するため、蓄積された印刷データを用いつつ、ユーザの所望の印刷条件での印刷結果を得ることができる。このため、ユーザの利便性を確保することが可能である。
【0039】
[変形例]
尚、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0040】
上述した実施の形態において、画像形成装置1で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0041】
上述した実施の形態において、画像形成装置1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を実現可能な複合機に適用した例を挙げて説明したが、これらの機能のうち少なくとも1つを実現可能なものであっても良い。例えば、実施の形態に係る画像形成装置1を、コピー機能を実現する複写機、プリンタ機能を実現するプリンタ、スキャナ機能を実現するスキャナ装置及びファクシミリ機能を実現するファクシミリ装置等のいずれに適用しても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
2 ホスト
10 コントローラ
20 操作表示部
60 エンジン部
100 データ受信制御部
101 データ受信部
102 プリンタ制御部
103 JOB制御部
104 PAGE制御部
105 データ管理部
106 画像描画部
107 メモリ制御部
108 エンジン制御部
120 受信データ格納領域
121 データ蓄積領域
122 JOB管理領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2009−037409号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データを情報処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記印刷データを用いて、ラスタ形式の画像であるラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する描画手段と、
前記描画手段が生成した前記画像データを用いて、ジョブを実行して、色剤を用いて画像を形成して、当該画像を転写紙に転写する画像形成手段と、
描画前の第1の印刷データ及び描画後の第2の印刷データを前記ジョブ毎に対応付けて記憶する記憶手段であって、前記第1の印刷データ及び前記画像を示す部分が削除された印刷データである前記第2の印刷データを記憶する記憶手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記受信手段が受信した前記印刷データを用いて前記描画手段が画像を描画する前の印刷データである前記第1の印刷データ及び前記第2の印刷データを記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1の印刷データ及び前記受信手段が受信した前記印刷データを用いて前記描画手段が画像を描画した後の印刷データである前記第2の印刷データを記憶する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記描画手段が前記画像データを生成した前記印刷データのうち前記画像を示す部分を削除した印刷データである前記第2の印刷データを生成して、当該第2の印刷データを前記第1の印刷データと対応付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段とを更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、更に、前記第1の印刷データ及び前記第2の印刷データの対応関係を前記ジョブ毎に記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の印刷データを特定した印刷を指示する印刷指示を受け付ける印刷指示受付手段と、
前記印刷指示受付手段が前記印刷指示を受け付けた場合、前記記憶手段に記憶されている前記対応関係を用いて、前記第2の印刷データに対応する前記第1の印刷データを特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記第1の印刷データを前記記憶手段から読み出す読出手段とを更に備え、
前記描画手段は、前記読出手段が読み出した前記第1の印刷データを用いて、前記画像データを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記描画手段は、前記印刷指示受付手段が前記印刷指示を受け付けた場合及び前記第1の印刷データによって示される印刷条件と異なる印刷条件を指定する操作入力があった場合、前記第1の印刷データによって示される印刷条件の代わりに前記操作入力によって指定された印刷条件を用いて、前記画像データを生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
受信手段と、描画手段と、画像形成手段と、記憶制御手段とを備える画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記受信手段が、印刷の指示と共に画像及び印刷条件を示す印刷データを情報処理装置から受信する受信ステップと、
前記描画手段が、前記受信ステップで受信された前記印刷データを用いて、ラスタ形式の画像であるラスタ画像を描画して、当該ラスタ画像を表す画像データを生成する描画ステップと、
前記画像形成手段が、前記描画ステップで生成された前記画像データを用いて、ジョブを実行して、色剤を用いて画像を形成して、当該画像を転写紙に転写する画像形成ステップと、
前記記憶制御手段が、描画前の第1の印刷データ及び描画後の第2の印刷データを前記ジョブ毎に対応付けて記憶する記憶手段であって、前記第1の印刷データ及び前記画像を示す部分が削除された印刷データである前記第2の印刷データを記憶手段に記憶させる記憶ステップとを含む
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−121195(P2012−121195A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272771(P2010−272771)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】