説明

画像形成装置およびその制御方法並びにプログラム

【課題】画像形成中のフラッシングをより効率よく行なう。
【解決手段】インク受け領域51bにインクを吐出する印字中フラッシングデータを設定し1パス分の印刷データに付加することにより、用紙Pの幅よりも大きく且つインク受け領域51bを含む領域に画像を形成するためのインク吐出データを生成し、生成したインク吐出データに基づいて印刷ヘッドとキャリッジとを制御する。これにより、印刷データからフラッシング用のデータに切り替えることなく、印刷中にインク受け領域51bにインクを吐出してフラッシングすることができる。この結果、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびその制御方法並びにプログラムに関し、詳しくは、液体を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを移動させる移動手段とを備え、入力した画像データに基づいて前記吐出ヘッドを移動させながら媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置およびその制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、インクを吐出する吐出ヘッドを搭載したキャリッジを用紙の搬送方向と直交する方向に往復動させながら用紙に画像を形成する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、往復動するキャリッジの移動端近傍の非画像形成領域にインク受けが設けられており、画像形成するためにキャリッジが移動を開始してから画像形成データに基づいて吐出ヘッドを駆動するまでの間に、画像形成データとは無関係に吐出ヘッドを駆動してインク受けに向けてインクを吐出させる。これにより、画像形成時のキャリッジの移動中にフラッシングを行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−180007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した装置では、フラッシングのために画像形成データとは無関係に吐出ヘッドを駆動するため、フラッシングしてから画像形成を開始する際に画像形成用のデータに切り替えて制御する必要がある。このため、データの切り替えに要する時間によっては、切り替えロスが生じる可能性がある。このような装置では、画像形成のスループットを向上させることが重要な課題として考えられるため、そのようなロスが生じることなく効率よくフラッシングするものが求められている。
【0005】
本発明の画像形成装置およびその制御方法並びにプログラムは、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置およびその制御方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像形成装置は、
液体を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを移動させる移動手段とを備え、入力した画像データに基づいて前記吐出ヘッドを移動させながら媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置であって、
画像の形成が可能で且つ前記媒体から外れた領域に設けられた液体受け手段と、
前記液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを前記入力した画像データに組み込んで、前記媒体の幅よりも大きく且つ前記液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成する液体吐出データ生成手段と、
前記生成された液体吐出データに基づいて前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御する制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の画像形成装置では、液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを入力した画像データに組み込んで、媒体の幅よりも大きく且つ液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成し、生成した液体吐出データに基づいて吐出ヘッドと移動手段とを制御する。これにより、液体受け手段でフラッシングするためのデータから画像を形成するためのデータに切り替える必要がないから、データの切り替えに伴うロスが生じることなく、画像の形成中に液体受け手段に液体を吐出してフラッシングすることができる。この結果、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。
【0009】
こうした本発明の画像形成装置であって、前記液体吐出データ生成手段は、前記媒体の縁に余白のある縁あり画像の形成が要求される場合には、前記余白となる領域に液体を吐出しない非吐出データをさらに組み込んで前記液体吐出データを生成する手段であるものとすることもできる。こうすれば、縁あり画像のように画像データに基づく画像の形成領域が媒体よりも小さな場合でも、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、前記液体受け手段とは別に前記媒体から外れた領域に設けられた第2の液体受け手段を備え、前記制御手段は、高品質の画像の形成が要求される場合には、前記フラッシングデータよりも液体の吐出量の多い第2のフラッシングデータに基づいて画像形成前の所定のタイミングで前記第2の液体受け手段で液体を吐出するよう前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御し、高品質の画像の形成が要求されない場合には、前記第2の液体受け手段での液体の吐出を省略する手段であるものとすることもできる。こうすれば、高品質の画像の形成が要求される場合には、画像形成前における第2の液体受け手段での液体の吐出によるフラッシングと画像形成中における液体受け手段での液体の吐出によるフラッシングとを行なうから、画像の品質を向上させることができる。また、高品質の画像の形成が要求されない場合には、画像形成前の第2の液体受け手段でのフラッシングを省略して画像形成中の液体受け手段でのフラッシングを行なうから、画像の品質を安定させつつ画像形成のスループットを向上させることができる。
【0011】
さらに、幅の異なる複数種の媒体に画像を形成する本発明の画像形成装置において、前記媒体の幅を検出する幅検出手段を備え、前記液体受け手段は、前記媒体の縁に余白のない縁なし画像を形成する際に該媒体の端からはみ出る液体の受けを兼ねるよう前記複数種の媒体の幅に応じて複数設けられ、前記液体吐出データ生成手段は、前記複数の液体受け手段のうち前記検出された媒体の幅に応じた液体受け手段に液体を吐出するデータを前記フラッシングデータとして前記画像データに組み込む手段であるものとすることもできる。こうすれば、画像形成中にフラッシングする際の吐出ヘッドの移動量を媒体の幅に応じて最も少なくすることができるから、画像形成中のフラッシングをさらに効率よく行なうことができる。
【0012】
そして、サイズの異なる複数種のドットを用いて画像を形成する本発明の画像形成装置において、前記液体吐出データ生成手段は、前記複数種のドットのうち最も大きいサイズのドットを形成するデータを前記フラッシングデータとして用いる手段であるものとすることもできる。こうすれば、画像形成中にフラッシングする場合でも、比較的多くの液体を吐出して適切にフラッシングすることができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記移動手段による前記吐出ヘッドの移動速度に応じた周期で該吐出ヘッドから液体が吐出されるよう前記液体吐出データに基づく制御をし、該液体吐出データに基づく制御の前に、前記吐出ヘッドの移動速度に応じた周期とは異なる周期で前記吐出ヘッド内の液体が吐出を伴わずに振動されるよう前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御する手段であるものとすることができる。このような画像の形成前に振動データに基づく制御を行なうものにおいては、フラッシング専用のデータを用いてフラッシングしてから画像形成用データに切り替えて画像を形成する場合に、周期の頻繁な切り替えに伴うデータの作り替えなどによってロスの影響が大きなものとなることがある。このため、本発明を適用する意義が高い。
【0014】
本発明の画像形成装置の制御方法は、
液体を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを移動させる移動手段と、画像の形成が可能で且つ媒体から外れた領域に設けられた液体受け手段とを備え、入力した画像データに基づいて前記吐出ヘッドを移動させながら前記媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを前記入力した画像データに組み込んで、前記媒体の幅よりも大きく且つ前記液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成するステップと、
(b)前記生成された液体吐出データに基づいて前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御するステップと
を含むことを要旨とする。
【0015】
この本発明の画像形成装置の制御方法では、液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを入力した画像データに組み込んで、媒体の幅よりも大きく且つ液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成し、生成した液体吐出データに基づいて吐出ヘッドと移動手段とを制御する。これにより、液体受け手段でフラッシングするためのデータから画像を形成するためのデータに切り替える必要がないから、データの切り替えに伴うロスが生じることなく、画像の形成中に液体受け手段に液体を吐出してフラッシングすることができる。この結果、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。なお、上述した画像形成装置のいずれかの機能を実現するステップを追加してもよい。
【0016】
本発明のプログラムは、上述した画像形成装置の制御方法をコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した画像形成装置の制御方法が実行されるため、該制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】印刷ヘッド24の電気的接続を示す説明図。
【図3】プラテン51の構成を示す構成図。
【図4】原信号ODRVの波形の一例を示す説明図。
【図5】フラッシング専用のデータの信号波形の一例を示す説明図。
【図6】印字外微振動と印字前微振動の信号波形の一例を示す説明図。
【図7】印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】フチあり印刷の場合のインク吐出データや信号波形の一例を示す説明図。
【図9】フチなし印刷の場合のインク吐出データや信号波形の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の画像形成装置の一実施形態であるインクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図であり、図2は印刷ヘッド24の電気的接続を示す説明図であり、図3はプラテン51の構成を示す構成図である。
【0019】
本実施形態のインクジェットプリンター20は、図1に示すように、駆動モーター33による紙送りローラー35の駆動により用紙Pを図中搬送方向(副走査方向)に搬送する紙送り機構31と、紙送り機構31によりプラテン51上に搬送された用紙Pに印刷ヘッド24からインク滴を吐出して印刷を行なうプリンター機構21と、プラテン51の左側に設けられたフラッシング領域54と、プラテン51の右側に設けられ印刷休止中などに印刷ヘッド24の乾燥を防止するために印刷ヘッド24を封止するキャッピング装置56と、インクジェットプリンター20全体をコントロールするコントローラー70とを備える。なお、キャッピング装置56上の位置をホームポジションという。
【0020】
プリンター機構21は、メカフレーム21aの右側に配置されたキャリッジモーター34aと、メカフレーム21aの左側に配置された従動ローラー34bと、キャリッジモーター34aと従動ローラー34bとに架設されたキャリッジベルト32と、キャリッジモーター34aの駆動に伴ってキャリッジベルト32によりガイド28に沿って主走査方向に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載され溶媒としての水に着色剤としての染料または顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のCMYKの各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、インクカートリッジ26からインクの供給を受けてインク滴を吐出する印刷ヘッド24と、キャリッジ22に取り付けられプラテン51上の用紙Pの左右端を検出するPW(Paper Width)検出器60とを備える。なお、キャリッジ22の背面には、キャリッジ22の移動に伴ってパルス状の信号を出力するリニア式エンコーダー36が配置されており、このリニア式エンコーダー36によりキャリッジ22のポジションが管理されている。
【0021】
印刷ヘッド24は、図2に示すように、CMYKのノズル23C,23M,23Y,23Kが各色毎に複数個(本実施形態では、180個)ずつ1列に配置された4列のノズル列43C,43M,43Y,43Kが形成されたノズルプレート27と、このノズルプレート27と共にノズル23C,23M,23Y,23Kにそれぞれ連通するインク室29を形成するキャビティプレート25と、インク室29の上壁をなすセラミック製(例えばジルコニアセラミック製)の振動板49と、この振動板49の上面に貼り付けられた圧電素子48(例えばチタン酸ジルコン酸鉛など)と、ヘッド駆動用基板41上に形成され圧電素子48に駆動信号を出力する駆動回路としてのマスク回路47とを備える。この印刷ヘッド24では、マスク回路47から圧電素子48に電圧を印加して圧電素子48でインク室29の上壁を押し下げることにより、インクを加圧してノズル23からインク滴を吐出する。ここで、ノズル23C,23M,23Y,23Kのすべてをノズル23と総称し、ノズル列43C,43M,43Y,43Kのすべてをノズル列43と総称する。以下、印刷ヘッド24の駆動についてブラック(K)用のノズル23Kを用いて説明する。なお、ブラック(K)以外の他の色のノズル23C,23M,23Yやノズル列43C,43M,43Yについても上記ノズル23Kやノズル列43Kと同様である。
【0022】
マスク回路47は、ヘッド駆動波形生成回路80により生成された原信号ODRVとコントローラー70により生成された印刷信号PRTnとを入力すると共に入力した原信号ODRVと印刷信号PRTnとに基づいて駆動信号DRVnを生成して圧電素子48に出力する。なお、印刷信号PRTnの末尾のnや駆動信号DRVnの末尾のnは、ノズル列43Kに含まれるノズル23Kを特定するための番号であり、本実施形態では、ノズル数を180個としたから、nは値1から値180のいずれかの整数値となる。ヘッド駆動波形生成回路80は、原信号ODRVとして1画素分の区間内(キャリッジ22が1画素の区間を横切る時間内)におけるパルス信号をマスク回路47に出力する。なお、キャリッジ22が1画素の区間を横切る時間は、キャリッジ22の速度に依存する。このため、原信号ODRVは、リニア式エンコーダー36からの出力パルスに応じてコントローラー70により生成される信号であるPTS(Pulse Timing Signal)の間隔に応じた周期で生成されることになる。
【0023】
ここで、原信号ODRVの波形の一例を図4に示す。原信号ODRVは、図示するように、1PTSを周期とする信号COMAと信号COMBとから構成される。そして、この原信号ODRVを入力したマスク回路47は、別途入力した印刷信号PRTnに基づいて信号COMA,COMBのいずれかから必要なパルスを選択すると共に選択した残りのパルスをマスクして、必要なパルスのみを駆動信号DRVnとしてノズル23Kの圧電素子48に出力する。具体的には、大きいサイズのドット(大ドット)を形成するためのインク滴をノズル23Kから吐出させる際には、駆動信号DRVnとして信号COMAの第1パルスPa1と第3パルスPa3とを出力し、小さいサイズのドット(小ドット)を形成するためのインク滴を吐出させる際には、信号COMAの第2パルスPa2と第4パルスPb4とを出力する。また、大ドットと小ドットの中間サイズのドット(中ドット)を形成するためのインク滴を吐出させる際には信号COMBの第2パルスPb2と第4パルスPb4とを出力し、インク滴を吐出させない非吐出時にはインク滴の増粘の抑制を目的としてノズル23K内のインクを微振動させるために信号COMBの第1パルスPb1と第3パルスPb3とを出力する。このように、インクジェットプリンター20では、一画素区間において圧電素子48に印加する駆動信号を調整することにより3種類のサイズのドットの形成を切り分けたりインクの増粘を抑制したりする。
【0024】
プラテン51は、図3に示すように、用紙Pと光の反射率の異なる樹脂やプラスチックなどの材質で形成された載置領域51aと、インクを吸収可能なスポンジやフェルトなどの材質で形成された複数のインク受け領域51bとにより構成され、インクジェットプリンター20で使用されるサイズの異なる複数種の用紙P(例えばA4用紙やB5用紙,ハガキ,L判など)を載置可能となっている。このプラテン51では、用紙Pに余白なしの印刷領域を設定して印刷するいわゆるフチ(縁)なし印刷をする際に用紙Pの幅からはみ出たインクが載置領域51aに付着しないよう、用紙Pのサイズ毎にその両端に対応する位置にインク受け領域51bが形成されている。なお、インク受け領域51bは、フチなし印刷の際に用紙Pからはみ出て吐出されるインク以外に、後述する印刷中のフラッシングにより吐出されるインクを受けるためにも利用される。
【0025】
フラッシング領域54は、ノズル23の先端でインクが乾燥して固化するのを防止するためにフラッシングするときに利用されるものであり、印字領域から外れた位置に設けられている。このフラッシング領域54におけるフラッシングは、所定のタイミングで、印刷データとは無関係のフラッシング専用のデータにより行なわれる。このフラッシング専用のデータの信号波形の一例を図5に示す。そして、このフラッシング領域54におけるフラッシングは、まず、コントローラー70がキャリッジモーター34aを駆動して印刷ヘッド24(キャリッジ22)をフラッシング領域54上まで移動させ、次に、ヘッド駆動波形生成回路80がフラッシング専用の信号をマスク回路47に出力する。続いて、フラッシング専用の信号を入力したマスク回路47が信号COMAを選択してその第1パルスPa’1と第2パルスPa’2とを共にノズル23の圧電素子48に出力することにより行なわれる。この専用の信号波形によるフラッシングは、印刷時の原信号ODRVの大ドットよりもインクの吐出量が多くなるよう定められている。なお、以下の説明では、このフラッシング領域54上でのフラッシングを、印字領域外フラッシングと称することがある。
【0026】
PW検出器60は、図1に示すように、発光素子62(例えば発光ダイオードなど)と受光素子64(例えばフォトトランジスターなど)とを備える光センサーとして構成され、発光素子62から発光されて用紙Pで反射された光を受光素子64で受光することにより光量に応じた大きさの電圧の電気信号に変換する。このPW検出器60では、プラテン51と用紙Pとでは光の反射率が異なるから、印刷ヘッド24(キャリッジ22)の主走査方向の往復動に伴って用紙Pを横切るよう移動することにより、発光素子62からの発光を受光した受光素子64からの出力電圧と所定の閾値との大小比較に基づいて用紙Pの左右の用紙端を検出することができる。
【0027】
コントローラー70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリー75と、外部機器との情報のやり取りを行なうインターフェース(I/F)76と、図示しない入出力ポートとを備える。ROM73には、上述した複数のインク受け領域51bの位置やサイズが記憶されている。また、RAM74には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域に汎用のパーソナルコンピューターであるユーザーPC10からI/F76を介して送られた印刷データが記憶される。このコントローラー70には、リニアエンコーダー36からのポジション信号やPW検出器60からの信号などが入力ポートを介して入力される。また、コントローラー70からは、印刷ヘッド24への駆動信号や駆動モーター33への駆動信号,キャリッジモーター34aへの駆動信号などが出力ポートを介して出力される。
【0028】
こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンター20では、ユーザーPC10側で生成されたドットデータである印刷データと各種印刷設定とを印刷指示と共に受け取ると、印刷データをRAM74に設けられた印刷バッファー領域に展開する。そして、駆動モーター33により紙送りローラー35を回転させて用紙Pをプラテン51上に搬送すると共にキャリッジモーター34aによりキャリッジ22を往復動させ、同時に印刷ヘッド24の各色の圧電素子48を駆動して各色インクを吐出してドットを形成することにより、用紙P上に画像を形成する。なお、各種印刷設定としては、用紙サイズや用紙種(普通紙や光沢紙など),印刷品質(低画質や標準画質,高画質など),用紙Pの縁の余白の有無を定めるフチ有無の設定などが設定される。また、本実施形態のインクジェットプリンター20では、各色インクを吐出する前の印刷準備として、印刷ヘッド24内のインクに微振動を与えることによりインクの増粘を抑制している。この微振動としては、各パス間でのキャリッジ22の停止時やパス中にキャリッジ22が定速となるまでの加速時およびキャリッジ22が停止するまでの減速時に行なわれる印字外微振動と、パス中にキャリッジ22の速度が略定速となってからインクの吐出を開始するまでに行なわれる印字前微振動とがある。これらの印字外微振動と印字前微振動の信号波形の一例を図6に示す。図6(a)に印字外微振動の信号波形を示し、図6(b)に印字前微振動の信号波形を示す。図示するように、両者は同様な波形であるが、印字外微振動は固定周期で信号波形が繰り返されるのに対し、印字前微振動は原信号ODRVと同様に1PTSを周期として信号波形が繰り返される点で異なる。
【0029】
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンター20の動作について、特に印刷処理する際の動作について説明する。図7は、コントローラー70により実行される印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーPC10からコントローラー70に印刷指示が入力されたときに実行される。
【0030】
このルーチンが実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、各種印刷設定のうち印刷品質の設定が高画質であるか否かを判定し(ステップS100)、高画質であればフラッシングタイミングとなっているか否かを判定する(ステップS110)。このフラッシングタイミングの判定は、前回のフラッシング領域54上での印字領域外フラッシングが完了してから図示しないタイマーによる計時時間が予め定められた所定時間(例えば5分や10分,15分など)を経過しているか否かにより行なう。ステップS110でフラッシングタイミングとなっているときには、フラッシング領域54への印刷ヘッド24の往復動を伴って印字領域外フラッシングを実行して(ステップS120)、次の処理に進む。一方、ステップS100で画質の設定が高画質ではないとき、あるいは、ステップS110でフラッシングタイミングとなっていないときには、そのまま次の処理に進む。
【0031】
次に、紙送りローラー35の駆動を伴って用紙Pがプラテン51上に給紙されるよう駆動モーター33を制御して給紙処理を行ない(ステップS130)、PW検出器60が調整中であるか否かを判定する(ステップS140)。ここで、PW検出器60は、各素子の経年劣化などによる出力低下が生じると用紙端を正常に検出できない場合があり、定期的あるいはユーザーの指示を受けてその感度調整を行なう後述の調整処理がなされる。ステップS140でPW検出器60が調整中でない場合には、キャリッジ22に搭載されたPW検出器60が発光素子62からの発光を伴って用紙Pを横切るようキャリッジモーター34aを制御して用紙端検出処理を行なう(ステップS150)。次に、1パス分の印刷データを入力し(ステップS160)、各種印刷設定のうち用紙Pの余白の有無を定めるフチ有無の設定がフチありかフチなしかを判定する(ステップS170)。
【0032】
フチありの場合には、1パス分の印刷データに基づく幅方向の印字端と検出した用紙端とにより定まる余白の領域にノズル23からインクを吐出しない非吐出データとしてのNULLデータを設定する(ステップS180)。次に、複数のインク受け領域51bのうち検出した用紙端に応じたインク受け領域51bにインクを吐出する印字中フラッシングデータを設定する(ステップS190)。ここで、印字中フラッシングデータの設定は、本実施形態では、複数のインク受け領域51bのうち検出した用紙端に対応するインク受け領域51bの位置とサイズとをROM73から取得し、取得した位置とサイズとに基づく領域にすべてのノズル23から大ドットのインク滴が吐出されるよう印刷信号(PRTn)を生成することにより行なうものとした。こうして設定したNULLデータと印字中フラッシングデータとを印刷データに加えてインク吐出データ(本発明の液体吐出データに相当)を生成し(ステップS200)、生成したインク吐出データに基づいてキャリッジ22を移動(往動または復動)させながら1パス分の印刷処理を実行する(ステップS230)。一方、ステップS170でフチなしの場合には、複数のインク受け領域51bのうち検出した用紙端に応じたインク受け領域51bにインクを吐出する印字中フラッシングデータを設定する(ステップS210)。この処理は、ステップS190と同様に行なわれる。そして、設定した印字中フラッシングデータを印刷データに加えてインク吐出データを生成し(ステップS220)、ステップS230でインク吐出データに基づいてキャリッジ22を移動させながら1パス分の印刷処理を実行する。
【0033】
ここで、フチあり印刷の場合のインク吐出データや信号波形の一例を図8に示し、フチなし印刷の場合のインク吐出データや信号波形の一例を図9に示す。図8(a)に示すように、フチありの場合には、用紙Pの両側の余白となる領域に設定されるNULLデータとインク受け領域51bに設定される印字中フラッシングデータとが1パス分の印刷データに付加されるから、用紙Pの幅よりも大きく且つインク受け領域51bを包含する領域に対してインクの吐出が行なわれる。また、図9に示すように、フチなしの場合には、インク受け領域51bに設定される印字中フラッシングデータが1パス分の印刷データに付加される。これにより、フチあり印刷とフチなし印刷のいずれの場合であっても、1パス分の印刷データに基づく印刷処理の中で、インク受け領域51bに向けて大ドットのインクを吐出するフラッシングが行なわれることになる。以下、この1パス分の印刷処理の中でのフラッシングを、印字中フラッシングという。このような印字中フラッシングを行なうことにより、印刷中にフラッシング領域54上で印字領域外フラッシングをするものに比して、キャリッジ22の移動量を少なくすることができる。また、印字中フラッシングでは、用紙Pの幅に応じたインク受け領域52bに印字中フラッシングデータを設定するから、キャリッジ22の移動量を用紙Pの幅に応じて最も少なくすることができる。さらに、印字中フラッシングデータは、原信号ODRVのうち大ドット用のパルスを選択するよう設定するから、比較的多くのインクを吐出して適切にフラッシングすることができる。そして、フチありの場合には、余白となる領域にNULLデータを設定するから、フチあり印刷のように印刷データに基づく印刷幅が用紙幅よりも小さい場合でも、適切に印字中フラッシングを行なうことができる。
【0034】
また、本実施形態では、NULLデータは、図8(b)に示すように、原信号ODRVのうちインクを微振動させる信号COMBのパルスPb1,Pb3とを選択するためのデータ(信号波形)として設定される。一方、印字中フラッシングデータは、図8(b),図9(b)に示すように、原信号ODRVのうち大ドット用のパルスである信号COMAのパルスPa1,Pa3とを選択するためのデータ(信号波形)として設定される。そして、1パスを印刷する間には、図8(b)に示すように、キャリッジ22の加速時の印字外微振動波形(図6(a)参照)からキャリッジ22が定速移動してからの印字前微振動波形(図6(b)参照)に切り替わり、その後はフラッシング用波形,NULL用波形,印字用波形,NULL用波形,フラッシング用波形と続いて、キャリッジ22の減速時の印字外微振動波形が印刷ヘッド24(圧電素子48)に出力される。このため、印字外微振動波形から印字前微振動波形に一旦切り替わった後は、再び印字外微振動波形に切り替わるまで、1PTSを周期として駆動波形を出力すればよく、信号の周期を頻繁に切り替える必要がない。また、フラッシング用波形やNULL用波形としては印字用波形と同じ原信号ODRVを用いるから、フラッシングするための専用の駆動波形を印刷中に設定したりその専用の駆動波形に切り替えたりする必要がなく、設定や切り替えに伴うロスを抑制することができる。この結果、印刷中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。なお、フチなしの場合には、NULLデータが付加されないことを除いて、フチありの場合と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
こうして印字中フラッシングを伴って1パス分の印刷処理を実行すると、次パスで印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS240)、次パスの印刷データがあるときには、用紙Pを次パスの印刷のために所定量だけ搬送して(ステップS250)、ステップS160に戻り処理を繰り返す。一方、ステップS240で次パスで印刷すべきデータがないと判定したときには、紙送りローラー35の駆動を伴って用紙Pがプラテン51から排紙されるよう駆動モーター33を制御して(ステップS310)、本処理を終了する。なお、印字中フラッシングは、印刷時の原信号ODRV中の大ドットの波形を用いるため、印字領域外フラッシングに比してインクの吐出量が少ないものとなる。ただし、印字領域外フラッシングに比して効率がよく、パス毎に行なうことなどにより頻度を増すことができるから、ノズル23内のインクの増粘を適切に抑制することができる。また、高画質が要求される場合には、印字中フラッシングに加えて上述したステップS120で印字領域外フラッシングを行なうから、印刷品質を向上させることができる。一方で、高画像が要求されない場合には、印字領域外フラッシングを省略して印字中フラッシングで対応するから、印刷のスループットを向上させることができる。
【0036】
一方、ステップS140でPW検出器60が調整中の場合には、上述したステップS150と同様に用紙端検出処理を行ない(ステップS260)、1パス分の調整パターンを入力する(ステップS270)。そして、検出した用紙端を基準として1パス分の調整パターンの印刷処理を実行する(ステップS280)。ここで、調整パターンは、図示は省略するが、検出した用紙端を基準とした所定位置に印刷されるよう印刷データが作成されており、その印刷結果に基づいてPW検出器60の良否を判定したりその感度を調整したりすることができるものである。この調整パターンを印刷する際に、印字中フラッシングデータを付加すると、検出した用紙端とはわずかにずれた位置を基準として印刷される可能性がある。このため、PW検出器60の調整中には、印字中フラッシングデータを追加することなく、そのまま印刷処理を実行するのである。印刷処理を実行すると、次パスで印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS290)、印刷データがあると判定したときには、用紙Pを次パスの印刷のために所定量だけ搬送して(ステップS300)、ステップS270に戻り処理を繰り返す。一方、ステップS290で次パスで印刷すべき印刷データがないと判定したときには、ステップS310で排紙処理を行なって本処理を終了する。
【0037】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷ヘッド24が「吐出ヘッド」に相当し、キャリッジ22およびキャリッジ22を移動させるキャリッジベルト32、キャリッジモーター34a、従動ローラー34bが本発明の「移動手段」に相当し、インク受け領域51dが「液体受け手段」に相当し、図7の印刷処理ルーチンのステップS180〜S220の処理を実行するコントローラー70が「液体吐出データ生成手段」に相当し、図7の印刷処理ルーチンのステップS230の処理を実行するコントローラー70が「制御手段」に相当する。
【0038】
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンター20によれば、インク受け領域51bにインクを吐出する印字中フラッシングデータを設定して1パス分の印刷データに付加することにより、用紙Pの幅よりも大きく且つインク受け領域51bを含む領域に画像を形成するためのインク吐出データを生成し、生成したインク吐出データに基づいて印刷ヘッド24とキャリッジ22とを制御する。これにより、印刷データからフラッシング用のデータに切り替えることなく、印刷中にインク受け領域51bにインクを吐出してフラッシングすることができる。この結果、画像形成中のフラッシングをより効率よく行なうことができる。
【0039】
また、フチあり印刷であっても、余白となる領域にNULLデータを設定するから適切に印字中フラッシングを行なうことができる。さらに、高画質が要求される場合には、印字中フラッシングに加えて印字領域外フラッシングを行なうから印刷品質を向上させることができ、高画像が要求されない場合には、印字領域外フラッシングを省略して印字中フラッシングで対応するから、印刷のスループットを向上させることができる。そして、用紙Pの幅に応じたインク受け領域52bで印字中フラッシングをするから、印字中フラッシングのためのキャリッジ22の移動量を用紙Pの幅に応じて最も少なくすることができる。また、印字中フラッシングデータは、原信号ODRVのうち大ドット用のパルスを選択するから、比較的多くのインクを吐出して適切にフラッシングすることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
上述した実施形態では、パス毎に印字中フラッシングをするものとしたが、これに限られず、所定のパス数毎に印字中フラッシングをするものや所定時間の経過毎に印字中フラッシングをするものなどとしてもよい。また、印刷品質の設定が高画質になるほど印字中フラッシングの頻度を高くするなど、印字中フラッシングの頻度を可変とするものなどとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、インクジェットプリンター20が4種類のサイズの用紙Pを使用するものとしたが、これに限られず、5種類以上のサイズの用紙Pを使用するものとしてもよいし2,3種類の用紙Pを使用するものとしてもよい。また、複数種類のサイズに限られず、1種類のサイズの用紙Pを使用するものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、PW検出器60により検出した用紙端に対応するインク受け領域51bに印字中フラッシングデータを設定するものとしたが、これに限られず、各種印刷設定に含まれる用紙サイズに対応するインク受け領域51bに印字中フラッシングデータを設定するものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、インク受け領域51bをフチなし印刷用のインク受けと印字中フラッシングのインク受けとに兼用するものとしたが、これに限られず、印字中フラッシングの専用のインク受けを設けるものとしてもよい、
【0045】
上述した実施形態では、印字中フラッシングのデータとして原信号ODRVの大ドットの信号を用いるものとしたが、これに限られず、印刷データに組み込むことができるものであれば原信号ODRVとは異なる信号を用いるものとしてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、印字領域外フラッシングの実行のタイミングを前回のフラッシングから所定時間が経過したタイミングとしたが、これに限られず、前回のフラッシングから所定枚数の印刷を行なったタイミングなどとしてもよい。また、印刷品質の設定が高画質である場合に印刷前に印字領域外フラッシングを行なうものとしたが、印刷品質の設定が高画質であっても印字領域外フラッシングを省略するものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、印字外微振動や印字前微振動を行なうものとしたが、これに限られず、いずれかを省略するものとしてもよいし、両者を省略するものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置の一例としてインクジェットプリンター20を示したが、本発明は液体を吐出して媒体に画像を形成するものであればこれに限定されるものではなく、例えば、ファクシミリ装置や複合機などのOA機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 ユーザーPC、20 インクジェットプリンター、21 プリンター機構、21a メカフレーム、22 キャリッジ、23,23C,23M,23Y,23K ノズル、24 印刷ヘッド、25 キャビティプレート、26 インクカートリッジ、27 ノズルプレート、28 ガイド、29 インク室、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モーター、34a キャリッジモーター、34b 従動ローラー、35 紙送りローラー、36 リニア式エンコーダー、41 ヘッド駆動用基板、43,43C,43M,43Y,43K ノズル列、47 マスク回路、48 圧電素子、49 振動板、51 プラテン、51a 載置領域、51b インク受け領域、54 フラッシング領域、56 キャッピング装置、60 PW検出器、62 発光素子、64 受光素子、70 コントローラー、72 CPU、73 ROM、74 RAM、75 フラッシュメモリー、76 インターフェース(I/F)、80 ヘッド駆動波形生成回路、P 用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを移動させる移動手段とを備え、入力した画像データに基づいて前記吐出ヘッドを移動させながら媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置であって、
画像の形成が可能で且つ前記媒体から外れた領域に設けられた液体受け手段と、
前記液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを前記入力した画像データに組み込んで、前記媒体の幅よりも大きく且つ前記液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成する液体吐出データ生成手段と、
前記生成された液体吐出データに基づいて前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御する制御手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記液体吐出データ生成手段は、前記媒体の縁に余白のある縁あり画像の形成が要求される場合には、前記余白となる領域に液体を吐出しない非吐出データをさらに組み込んで前記液体吐出データを生成する手段である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
前記液体受け手段とは別に前記媒体から外れた領域に設けられた第2の液体受け手段を備え、
前記制御手段は、高品質の画像の形成が要求される場合には、前記フラッシングデータよりも液体の吐出量の多い第2のフラッシングデータに基づいて画像形成前の所定のタイミングで前記第2の液体受け手段で液体を吐出するよう前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御し、高品質の画像の形成が要求されない場合には、前記第2の液体受け手段での液体の吐出を省略する手段である
画像形成装置。
【請求項4】
幅の異なる複数種の媒体に画像を形成する請求項1ないし3いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記媒体の幅を検出する幅検出手段を備え、
前記液体受け手段は、前記媒体の縁に余白のない縁なし画像を形成する際に該媒体の端からはみ出る液体の受けを兼ねるよう前記複数種の媒体の幅に応じて複数設けられ、
前記液体吐出データ生成手段は、前記複数の液体受け手段のうち前記検出された媒体の幅に応じた液体受け手段に液体を吐出するデータを前記フラッシングデータとして前記画像データに組み込む手段である
画像形成装置。
【請求項5】
サイズの異なる複数種のドットを用いて画像を形成する請求項1ないし4いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記液体吐出データ生成手段は、前記複数種のドットのうち最も大きいサイズのドットを形成するデータを前記フラッシングデータとして用いる手段である
画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記移動手段による前記吐出ヘッドの移動速度に応じた周期で該吐出ヘッドから液体が吐出されるよう前記液体吐出データに基づく制御をし、該液体吐出データに基づく制御の前に、前記吐出ヘッドの移動速度に応じた周期とは異なる周期で前記吐出ヘッド内の液体が吐出を伴わずに振動されるよう前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御する手段である請求項1ないし5いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
液体を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドを移動させる移動手段と、画像の形成が可能で且つ媒体から外れた領域に設けられた液体受け手段とを備え、入力した画像データに基づいて前記吐出ヘッドを移動させながら前記媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記液体受け手段が設けられた領域でフラッシングするフラッシングデータを前記入力した画像データに組み込んで、前記媒体の幅よりも大きく且つ前記液体受け手段を含む領域に液体を吐出する液体吐出データを生成するステップと、
(b)前記生成された液体吐出データに基づいて前記吐出ヘッドと前記移動手段とを制御するステップと
を含む画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置の制御方法をコンピューターに実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−240237(P2012−240237A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110028(P2011−110028)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】