説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】低速印刷モード中に高速印刷モードに変更指定されとき可及的短時間でモードが切り替え可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】低速印刷モードの定着温度バラ付きの上限許容温度Acから下限許容温度Afまでの温度範囲をA領域とし、高速印刷モードの定着温度バラ付きの上限許容温度Bcから下限許容温度Bfまでの温度範囲をB領域とし、上限許容温度Acから下限許容温度Bfとの中間の温度を中間印刷モードの定着温度Mとする。低速印刷モードで印刷中に高速印刷モードへの変更が指定されたとき、印刷ごとに、モード切り替えで上昇する温度がモード変更の指定時点から上限許容温度Acに到達するまでの時間、又は下限許容温度Bfに到達するまでの時間、又は感光体の画像が一次転写されて定着装置5に到達するまでの時間を演算し、それらの時間の長さの比較に基づいて、中間印刷モードで印刷を行うか第2印刷モードで印刷を行うかを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低速と高速の印刷モードを有し、低速印刷モード実行中に高速印刷モードに変更指定されとき可及的に短時間で高速印刷モードに切り替わる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
ところで、近年、普段の印刷作業を急がないときは通常速度の印刷でよいが、繁忙期の大量印刷を要するときや急ぎの印刷がある場合には、例えば、装置に予め装備された高速スイッチを押すと高速印刷ができるような印刷処理の高速化の要望が強い。
【0004】
そのような要望に対処するために、通常速度の印字モードと、それよりも高速な印字モードという複数の印字モードを有する画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
また、印刷1枚ごとに印刷開始時の温度を予め予測し、その温度に応じて印刷速度を1枚毎に再設定して行き、連続印刷時の高速性と1枚目の印刷完了までの時間の短縮とを両立させたプリンタおよびその制御方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0006】
ところで、電子写真方式の画像形成装置では、用紙に転写されたトナー像を定着装置で熱と圧力で用紙に定着させる場合、用紙に加える温度には時間当たりの適温の範囲というものがある。
【0007】
この適温範囲の上限値の温度を超えると、溶融し過ぎたトナーが定着装置の熱ローラ側に付着するオフセットと呼ばれる不具合な現象が起きる。これはホットオフセットと呼ばれる。
【0008】
また、適温範囲の下限値よりも温度が下がると、こんどは用紙への定着が不十分なトナーの中から一部のトナーが熱ローラ側に付着するオフセットと呼ばれる不具合な現象が起きる。これはコールドオフセットと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−311749号公報
【特許文献2】特開2000−137407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2は、いずれの場合も、通常時の低速印刷と特別時の高速印刷の2つの印刷モードを有する場合には、低速印刷から高速印刷に変えるために使用者は高速スイッチを押すことになる。
【0011】
印刷装置側では、高速スイッチが押された段階から、印刷を停止して用紙の高速搬送に対応するために定着温度を上げる必要があり、定着温度が所定の温度に上がるまで印刷実行を待つことになる。
【0012】
また、逆に、高速印刷から低速印刷に変えるために低速スイッチが押された段階から、印刷装置側では印刷を停止して定着温度を下げる必要があり、定着温度が所定の温度に下がるまで待つことになる。
【0013】
低速から高速への変更、高速から低速への変更、いずれの場合も、定着温度が所定の温度になるまで印刷動作が停止することになる。このため、その待ち時間の間、使用者はいらいら感をつのらせながら待たなければならない。
【0014】
2つの印刷モードがあることは便利ではあるものの、印刷モードの切り替え時に印刷動作が停止して使用者を待たせることは、特に低速から高速に印刷モードを切り替えたとき、せっかくの高速印刷モードが効果的に機能しなくなってしまう。
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、低速と高速の印字モードを有し、低速印刷モード中に高速印刷モードに変更指定されとき可及的に短時間で高速印刷モードに切り替わる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有し、上記第1定着温度をAモード設定温度とし、上記第2定着温度をBモード設定温度とし、上記第1定着温度の上限許容温度と上記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、上記第1印刷モードによる印刷速度と上記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、上記第1印刷モードで印刷中に上記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により上記Aモード設定温度から上記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、上記モード変更が指定された時点から上記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて上記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は上記モード変更が指定された時点から上記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて上記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、上記中間印刷モードで印刷を行うか上記第2印刷モードで印刷を行うかを決定する制御装置と、を有するように構成される。
また、本発明の画像形成方法は、低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有する画像形成装置の画像形成方法であって、上記第1定着温度をAモード設定温度とし、上記第2定着温度をBモード設定温度とし、上記第1定着温度の上限許容温度と上記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、上記第1印刷モードによる印刷速度と上記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、上記第1印刷モードで印刷中に上記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により前記Aモード設定温度から上記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、上記モード変更が指定された時点から上記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて上記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は上記モード変更が指定された時点から上記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて上記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、上記中間印刷モードで印刷を行うか上記第2印刷モードで印刷を行うかを決定制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、低速と高速の印刷モードを有し、低速印刷モード中に高速印刷モードに変更指定されとき可及的に短時間で高速印刷モードに切り替わる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る複数の印刷速度モードを有するフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に係る複数の印刷速度モードを有するプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】第1印刷モードにおける第1定着温度と第2印刷モードにおける第2定着温度と中間印刷モードにおける中間の定着温度との関係を示す図である。
【図4】第1印刷モードから第2印刷モードに印刷モードが高速印刷モードに変更されたときの処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1に係る複数の印刷速度モードを有するフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0021】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、給紙部4、及び定着装置5で構成されている。
【0022】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト6の上部走行面に近接し、多段式に並設して配置され、画像搬送方向上流の同図の右から左へ示す4個の画像形成ユニット7(7y、7m、7c、7k)で構成されている。
【0023】
上記4個の画像形成ユニット7のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット7y、7m及び7cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0024】
そして、画像形成ユニット7kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。上記の各画像形成ユニット7は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。
【0025】
したがって、以下ブラック(K)のトナー用の画像形成ユニット7kを例にしてその構成を説明する。画像形成ユニット7は、最下部に感光体ドラム8を備えている。この感光体ドラム8は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。
【0026】
以下、必要に応じて、画像形成ユニット7y、7m、7c、及び7kの感光体ドラム8を、感光体ドラム8y、8m、8c、及び8kと記載する場合もある。
【0027】
この感光体ドラム8の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ9、帯電ローラ11、光書込ヘッド12、及び現像器13が配置されている。そして、感光体ドラム8の下部周面には、転写ベルト6を介して一次転写ローラ14が圧接している。
【0028】
一次転写ローラ14は、転写ベルト6と共に転写ベルトユニット3と一体に組み込まれている。転写ベルト6は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状のベルトであり、駆動ローラ15と従動ローラ16に掛け渡されている。
【0029】
駆動ローラ15と従動ローラ16も転写ベルトユニット3と一体な組み込み部材であり、駆動ローラ15は本体装置の駆動系に係合して駆動される。転写ベルト6は、駆動ローラ15に駆動されて、図の矢印a、bで示す反時計回り方向に循環移動する。
【0030】
従動ローラ16には転写ベルト6を介して二次転写ローラ17が圧接している。従動ローラ16、転写ベルト6及び二次転写ローラ17は、ここに二次転写部を形成している。
【0031】
転写ベルト6は一次転写ローラ14から4色重ねて転写されたトナー像を二次転写部まで搬送する。二次転写部では、給紙部4から給紙されて二次転写部まで搬送されて来る用紙18に対し、転写ベルト6上の一次転写トナー像を二次転写する。
【0032】
この転写ベルト6の左下方には、給紙部4と並んで電装部20が配設されている。電装部20には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0033】
給紙部4は、給紙カセット19を備えている。給紙カセット19の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ21の他、特には図示しないが、給送ローラ、捌き部材、待機搬送ローラ対等が用紙搬送路に沿って順次配置されている。
【0034】
その待機搬送ローラ対の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)に、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)に定着装置5が配置されている。定着装置5は加熱ローラ22と加圧ローラ23を備えている。
【0035】
二次転写部でトナー像を転写され、矢印cのように搬送され、定着装置5に搬入されてくる用紙18に対し、定着装置5は用紙18の搬送速度に対応した熱と圧力を加えてトナー像を用紙18に定着させる。
【0036】
トナー像を紙面に定着された用紙18は、不図示の搬出ローラにより矢印dで示すように定着装置5から搬出され、更にこれも不図示の排紙ローラにより、本体装置上面に形成されている排紙トレー上に画像面を下にして排出される。
【0037】
図2は、上記構成の実施例1に係る複数の印刷速度モードを有するプリンタ1の電装部20に搭載されている制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、中心回路にCPU(central processing unit)25を有している。
【0038】
CPU25には、データバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)26及びプリンタコントローラ(PR_CONT)27が接続されている。このPR_CONT27にはプリンタ印字部28が接続されている。
【0039】
また、CPU25には、ROM(read only memory)29、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)31、本体操作部の操作パネル32、及び各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部33が接続されている。
【0040】
ROM29には、システムプログラムが記憶され、CPU25は、このシステムプログラムに従って各部を制御する。各部はCPU25からの制御に基づいて、それぞれ分担する処理を行う。
【0041】
すなわち、I/F_CONT26は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、その変換したビットマップデータをフレームメモリ34に展開する。
【0042】
フレームメモリ34は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色ごとに記憶エリアが設定されている。各色の画像データはフレームメモリ34の対応する記憶エリアに展開される。
【0043】
フレームメモリ34に展開された画像データはPR_CONT27に出力され、更にPR_CONT27からプリンタ印字部28に出力される。
【0044】
プリンタ印字部28は、エンジン部であり、PR_CONT27からの制御の下で、図1に示した中間転写ベルトユニット3の駆動ローラ15を駆動して転写ベルト6の循環移動駆動などを行うベルト駆動部35への駆動出力を制御する。
【0045】
更にプリンタ印字部28は、用紙取出ローラ21、給送ローラ、待機搬送ローラ対、排紙ローラ、感光体ドラム8、定着装置5の加熱ローラ22等の回転駆動される各部からなる搬送機構を駆動する搬送機構駆動部36への駆動出力を制御する。
【0046】
更にプリンタ印字部28は、帯電ローラ11、光書込ヘッド12、一次転写ローラ14、二次転写ローラ17等の画像形成部系のプロセス負荷への電圧印加、定着装置5の加熱ローラ22の発熱原への電圧印加を行う印加電力出力部37の出力を制御する。
【0047】
そして、PR_CONT27から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色の画像データは、プリンタ印字部28からそれぞれ対応する図1に示した光書込ヘッド12に供給される。
【0048】
光書込ヘッド12は、帯電ローラ11により初期化帯電された感光体ドラム8の周面に、プリンタ印字部28から供給された画像データに基づいて、光潜像を形成する。現像器13は、感光体ドラム8上の静電潜像をトナー像化(現像)する。
【0049】
感光体ドラム8上に現像されたトナー像は、上流からイエロー(Y)色トナー像、マゼンタ(M)色トナー像、シアン(C)色トナー像、ブラック(K)色トナー像の順に、一次転写ローラ14により転写ベルト6上に順次重ねて一次転写される。
【0050】
4色重ねてトナー像を転写された転写ベルト6は、前述したように、転写トナー像を二次転写部まで搬送する。二次転写部はトナー像を用紙18に二次転写して定着装置5へ送り込む。定着装置5は熱と圧力によりトナー像を用紙18に定着させる。
【0051】
この画像形成処理の過程において、本実施例では第1定着温度で低速で印刷する第1印刷モードと、第2定着温度で高速で印刷する第2印刷モード、中間の温度で第1印刷モードと第2印刷モードの印刷速度の中間速度で印刷する中間印刷モードの3種類の印刷モードが使用される。
【0052】
詳しくは後述するが、中間印刷モードは第1印刷モードから第2印刷モードに印刷モードが変更されたとき、第1定着温度から第2定着温度に定着温度が上昇する途上で一時的に使用される印刷モードである。
【0053】
図3は、第1印刷モードにおける第1定着温度と、第2印刷モードにおける第2定着温度と、中間印刷モードにおける中間の定着温度との関係を示す図である。同図は横軸に時間を示し縦軸に定着温度を示している。
【0054】
一般に、画像形成装置の処理速度を変えて2種類以上の印刷速度モードを持つためには、帯電、露光、現像、転写等の処理条件を変更し、その処理速度に合わせた条件で印刷する必要がある。これらの処理条件の中で変更に時間がかかるのは定着温度の変更である。
【0055】
図3の左下に一点鎖線で示す温度Aoは、低速で印刷する第1印刷モードに対応する定着温度である第1定着温度の平均値を示している。波形αは第1定着温度を維持するために定着装置5の加熱ローラ22に印加される電流に基づく周期的な温度変化を示している。
【0056】
そして、この温度変化にはバラツキが生じる。温度Aoの上方に実線で示す温度Acはバラ付きの上限許容温度であり、定着温度が温度Acを超えると溶融し過ぎたトナーが定着装置の熱ローラ側に付着するホットオフセットが発生する。
【0057】
また、温度Aoの下方に実線で示す温度Afはバラ付きの下限許容温度であり、定着温度が温度Afを下回ると、用紙への定着が不十分なトナーの中から一部のトナーが熱ローラ側に付着するコールドオフセットが発生する。
【0058】
この、第1印刷モードの定着温度における下限許容温度の温度Afと上限許容温度の温度Aoまでの両方向矢印Aで示す温度範囲をA領域とする。
【0059】
また、同図の右上に一点鎖線で示す温度Boは、高速で印刷する第2印刷モードに対応する定着温度である第2定着温度の平均値を示している。波形βは第2定着温度を維持するために定着装置5の加熱ローラ22に印加される電流に基づく周期的な温度変化を示している。
【0060】
この温度変化もバラツキが生じる。温度Bcはバラ付きの上限許容温度であり、定着温度が温度Bcを超えるとホットオフセットが発生する。温度Bfはバラ付きの下限許容温度であり、定着温度が温度Bfより下がるとコールドオフセットが発生する。
【0061】
ここで第2印刷モードの定着温度における下限許容温度の温度Bfと上限許容温度の温度Bcまでの両方向矢印Bで示す温度範囲をB領域とする。本例の定着装置5はB領域の下限許容温度(Bf)がA領域の上限許容温度(温度Ac)よりも高い温度に設定されている。
【0062】
通常は、特殊な状態でない限り、第1印刷モードにおいて定着温度は波形αで示す周期を描いて上下する。また、第2印刷モードにおいても定着温度は波形βで示す周期を描いて上下する。
【0063】
第1印刷モードから第2印刷モードに印刷モードが変更されたとき、定着装置5の温度設定は、温度Aoから温度Boに変更される。この温度設定の変更に基づいて、定着装置5の温度は、波形αの下端から波形βの下端まで温度T分上昇しなければならない。
【0064】
この温度T分上昇する中間に、上述した第1印刷モードのバラ付きの上限許容温度である温度Acと、第2印刷モードのバラ付きの下限許容温度である温度Bfの間のオフセット領域がある。
【0065】
印刷中の用紙が排出されてから定着温度の変更動作をした場合、温度Tだけ上昇する温度変化に要する時間は時間tである。プリンタ1の使用者は、オフセット領域での印刷を避けるため、第2印刷モードの印刷開始を、時間tだけ待つ必要がある。
【0066】
このように、温度範囲「B領域−A領域」の区間では、第1印刷モードではホットオフセットが発生し、第2印刷モードではコールドオフセットが発生するから、第1印刷モードから第2印刷モードに移行するとき、温度範囲「B領域−A領域」を温度が超えるまで待ち時間が発生する。
【0067】
このように、通常では、通常印刷の第1印刷モードから高速印刷の第2印刷モードに切り替えた場合、定着の温度が高速印刷用に切り替わるまで待つ必要がある。ここで、上記の第2印刷モードは、プリンタ1の使用者に急ぎの印刷のときに使用してもらうための印刷モードである。
【0068】
このように急ぎの印刷のために第2印刷モードと呼ぶ高速印刷のモードを設けておきながら、通常印刷から高速印刷に切り替えたときに印刷を停止した待ち時間が発生するのでは、折角の高速印刷モードがかえって使用者にいらいらした不快感を与えることになりかねない。
【0069】
しかし本例では、この待ち時間を発生させないために、温度範囲「B領域−A領域」の区間の中央に中間温度Mを設定し、中間温度Mでオフセットが発生しない搬送速度によって定着を実行する中間印刷モードを設けて、第2印刷モードを備えたことの有用性を生かすようにしている。
【0070】
図4は、上記の構成におけるプリンタ1において、第1印刷モードから第2印刷モードに印刷モードが高速印刷モードに変更されたときの処理の動作を示すフローチャートである。尚、この処理は、図2に示したCPU25により各部を制御しながら行われる処理である。
【0071】
図4において、印刷動作が開始されると、先ず、CPU25は、不図示の操作パネルの高速印刷(以下、第2印刷モードという)のスイッチが入力操作されて「ON」になっているか否かを判別する(ステップS1)。
【0072】
CPU25は、スイッチが「ON」でないなら(S1の判別がNo)、第1印刷モード(第2印刷モードの速度よりも低速な通常の搬送速度で印刷するモード)で印刷を待機しながら又は印刷を実行しながら、第2印刷モードのスイッチが「ON」となるかを監視する。
【0073】
そして、CPU25は、第2印刷モードのスイッチが「ON」となったら(S1の判別がYes)、それまでの第1印刷モードの定着温度である第1定着温度を、第2印刷モードの定着温度である第2定着温度に切り替える(ステップS3)。
【0074】
このCPU25からの温度の切り替え指示に基づいて、印加電力出力部37は、定着装置5の温度を、平均温度Aoの第1定着温度から平均温度Boの第2定着温度に上げるため、加熱ローラ22に内蔵される熱源に印加する電流を強い電流に切り替える。
【0075】
これにより、印加電力出力部37から出力される電流が、いままでの第1定着温度を維持する波形αの低い電力から、この後の第2定着温度を維持するための波形βの高い電力に切り替えられ、図3に示す温度Tに相当する定着装置5の温度上昇が開始される。
【0076】
ここで、CPU25は、波形αの第1定着温度から上昇を開始した温度が、A領域の上限許容温度の温度Acに到達するまでの時間t1を、直前の定着温度を測定中のサーミスタ温度と予め定っている定着装置5の温度上昇特性から計算する(ステップS4)。
【0077】
更に、CPU25は、第2印刷モードのスイッチ「ON」以前に画像形成が始まっていた画像が定着装置5へ到達するまでの時間t2を計算する(ステップS5)。
【0078】
ここで、画像とは、感光体ドラム8上の画像、転写ベルト6上の画像、用紙上の画像と種々ある場合が考えられる。そのある位置によって、画像を一次転写された用紙が最終的に定着装置5へ到達する時間t2はそれぞれ異なってくる。
【0079】
時間t2が最も長くなる場合は、画像形成ユニット7yにおいて露光された静電潜像が感光体ドラム8上にある場合である。これらの時間t2は、ベルト駆動部35及び搬送機構駆動部36の駆動源モータのエンコーダ又は駆動パルス数等に基づいて演算される。
【0080】
そして、CPU25は、「時間t1>時間t2」であるか否か判別する(ステップS6)。この判別で「時間t1>時間t2」なら(S6の判別がYes)、温度が温度Acに到達する前に、画像を形成された用紙が定着装置5に到達するほうが早い。
【0081】
そこで、CPU25は、以後の感光体ドラム8に対する潜像形成を中止し、潜像を作り終わったところまでの画像を一次転写された用紙、すなわち、温度が温度Acに到達する前に定着装置5に到達した画像形成済みの用紙を定着して排紙トレーに排出する(ステップS7)。これで第2印刷モードを実行する準備が整う。
【0082】
次にCPU25は、温度がB領域の下限許容温度のBfに到達するまでの時間t3を計算する(ステップS8)。更にCPU25は、最上流の感光体ドラム8yが、順次潜像を重ねて現像されて、定着装置5に到達するまでの時間t4を計算する(ステップS9)。
【0083】
また、上記ステップS6の判別で「時間t1>時間t2」でないときは(S6の判別がNo)、画像を形成された用紙が定着装置5に到達するよりも、温度が温度Acに到達するほうが早い。
【0084】
この場合は、CPU25は、定着温度の設定を第1定着温度に切り替える(ステップS10)。この処理では、第1定着温度の上限値、すなわち上限許容温度に設定される。これにより、温度Acに向かって上昇していた定着装置5の温度が領域A内の温度にとどまる。
【0085】
これに続いてCPU25は、以後の感光体ドラム8に対する潜像形成を中止し、定着装置5に到達した画像形成済みの用紙を、領域A内の温度で定着して排紙トレーに排出する(ステップS11)。
【0086】
次に、CPU25は、定着温度の設定を第2定着温度に切り替える(ステップS12)。そして、前述したステップS8、S9の処理を行う。これにより、この場合も第2印刷モードを実行する準備が整う。
【0087】
上記ステップS9の処理に続いて、CPU25は、「時間t4>時間t3」であるかを判別する(ステップS13)。「時間t4>時間t3」なら(S13の判別がYes)、第2印刷モードの画像を形成された用紙が定着装置5に到達するよりも、温度が温度Bfに到達するほうが早い。
【0088】
したがって、用紙を定着装置5に通してもコールドオフセットが発生する恐れは無い。そこで、CPU25は、第2印刷モードでの印刷を開始する(ステップS14)。
【0089】
また、上記ステップS13の判別で「時間t4>時間t3」でないなら(S13の判別がNo)、温度が温度Bfに到達するよりも、第2印刷モードの画像を形成された用紙が定着装置5に到達するほうが同時か又は早い(時間t4≦時間t3)。
【0090】
したがって、用紙を定着装置5に通した場合はコールドオフセットが発生する。そこで、この場合は、CPU25は、第1印刷モードと第2印刷モードの中間に設けた印刷速度の中間印刷モードで印刷した場合の時間t5を計算する(ステップS15)。
【0091】
更に、CPU25は、「t3−t4」時間後に第2印刷モードで印刷できるまでの時間t6を計算する(ステップS16)。そして、CPU25は、「時間t5>時間t6」であるかを判別する(ステップS17)。
【0092】
この判別で「時間t5>時間t6」なら(S17の判別がYes)、中間印刷モードで印刷する時間よりも、第2印刷モードで印刷できる状態になるまでの時間のほうが早い。
【0093】
したがって、この場合は、CPU25は、「t3−t4」時間後に第2印刷モードで印刷を開始する(ステップS18)。また、上記ステップS17の判別で「時間t5>時間t6」でないときは(S17の判別がNo)、CPU25は、中間印刷モードで印刷を開始する(ステップS19)。
【0094】
この場合は、CPU25は、中間印刷モードによる印刷が一枚終了するごとに、続きの第2印刷モードで印刷する印刷が有るか否かを判別する(ステップS20)。
【0095】
そして、印刷が有れば(S20の判別がYes)、ステップS8に戻って、上述したステップS8以下の処理を繰り返す。また、印刷が無ければ(S20の判別がNo)、当該印刷処理を終了する。
【0096】
このように、本例の印刷処理の制御では、印刷動作中に高速の第2印刷モードで印刷する際にモード切り替えの待ち時間を少なくして、画像形成装置の使用者に待ち時間によるいらいら感を与えることなく高速の第2印刷モードに切り替えることができる。
【0097】
したがって、通常速度の印刷モードに加えて便利な高速印刷モード付きの画像形成装置を、高速印刷モードに切り替えたとき、使用者にいらいら感を与えて不快感を生じさせることを少なくし、高速印刷モード付きの有用性を生かすことができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0099】
低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有し、
前記第1定着温度をAモード設定温度とし、
前記第2定着温度をBモード設定温度とし、
前記第1定着温度の上限許容温度と前記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、前記第1印刷モードによる印刷速度と前記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、
前記第1印刷モードで印刷中に前記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により前記Aモード設定温度から前記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、前記モード変更が指定された時点から前記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は前記モード変更が指定された時点から前記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、前記中間印刷モードで印刷を行うか前記第2印刷モードで印刷を行うかを決定する制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0100】
前記制御装置は、前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する前に、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達すると判断したときは、前記温度設定を前記第1定着温度の温度設定に戻して後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう再び温度設定を切り替えて、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記3]
【0101】
前記制御装置は、前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する方が、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達するよりも早いと判断したときは、後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記4]
【0102】
前記制御装置は、前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記第2印刷モードで画像形成された印刷媒体が前記定着装置に到達するよりも、定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成装置。
[付記5]
【0103】
前記制御装置は、前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記中間印刷モードで印刷を行う時間よりも前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間の方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行し、前記中間印刷モードで印刷を行う時間の方が前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間よりも早いと判断したときは、前記中間印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成装置。
[付記6]
【0104】
低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有する画像形成装置の画像形成方法であって、
前記第1定着温度をAモード設定温度とし、
前記第2定着温度をBモード設定温度とし、
前記第1定着温度の上限許容温度と前記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、前記第1印刷モードによる印刷速度と前記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、
前記第1印刷モードで印刷中に前記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により前記Aモード設定温度から前記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、前記モード変更が指定された時点から前記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は前記モード変更が指定された時点から前記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、前記中間印刷モードで印刷を行うか前記第2印刷モードで印刷を行うかを決定制御する、
ことを特徴とする画像形成方法。
[付記7]
【0105】
前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する前に、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達すると判断したときは、前記温度設定を前記第1定着温度の温度設定に戻して後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう再び温度設定を切り替えて、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする付記6記載の画像形成方法。
[付記8]
【0106】
前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する方が、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達するよりも早いと判断したときは、後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする付記6記載の画像形成方法。
[付記9]
【0107】
前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記第2印刷モードで画像形成された印刷媒体が前記定着装置に到達するよりも、定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする付記6又は7記載の画像形成方法。
[付記10]
【0108】
前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記中間印刷モードで印刷を行う時間よりも前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間の方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行し、前記中間印刷モードで印刷を行う時間の方が前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間よりも早いと判断したときは、前記中間印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする付記6又は7記載の画像形成方法。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、低速と高速の印刷モードを有し、低速印刷モード中に高速印刷モードに変更指定されとき可及的に短時間で高速印刷モードに切り替わる画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 給紙部
5 定着装置
6 転写ベルト
7(7y、7m、7c、7k) 画像形成ユニット
8(8y、8m、8c、8k) 感光体ドラム
9 クリーナ
11 帯電ローラ
12 光書込ヘッド
13 現像器
14 一次転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 二次転写ローラ
18 用紙
19 給紙カセット
20 電装部
21 用紙取出ローラ
22 加熱ローラ
23 加圧ローラ
25 CPU(central processing unit)
26 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
27 プリンタコントローラ(PR_CONT)
28 プリンタ印字部
29 ROM(read only memory)
31 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
32 操作パネル
33 センサ部
34 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有し、
前記第1定着温度をAモード設定温度とし、
前記第2定着温度をBモード設定温度とし、
前記第1定着温度の上限許容温度と前記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、前記第1印刷モードによる印刷速度と前記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、
前記第1印刷モードで印刷中に前記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により前記Aモード設定温度から前記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、前記モード変更が指定された時点から前記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は前記モード変更が指定された時点から前記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、前記中間印刷モードで印刷を行うか前記第2印刷モードで印刷を行うかを決定する制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する前に、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達すると判断したときは、前記温度設定を前記第1定着温度の温度設定に戻して後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう再び温度設定を切り替えて、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する方が、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達するよりも早いと判断したときは、後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記第2印刷モードで画像形成された印刷媒体が前記定着装置に到達するよりも、定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記中間印刷モードで印刷を行う時間よりも前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間の方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行し、前記中間印刷モードで印刷を行う時間の方が前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間よりも早いと判断したときは、前記中間印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
低速で印刷する第1印刷モードに対応する第1定着温度の上限許容温度よりも高速で印刷する第2印刷モードに対応する第2定着温度の下限許容温度が高く設定されている定着装置を有する画像形成装置の画像形成方法であって、
前記第1定着温度をAモード設定温度とし、
前記第2定着温度をBモード設定温度とし、
前記第1定着温度の上限許容温度と前記第2定着温度の下限許容温度との中間の温度を、前記第1印刷モードによる印刷速度と前記第2印刷モードによる印刷速度の間の中速度で一時的印刷する中間印刷モードに対応する中間モード設定温度とし、
前記第1印刷モードで印刷中に前記第2印刷モードにモード変更が指定されたとき該モード変更により前記Aモード設定温度から前記Bモード設定温度に切り替えられた温度設定に基づいて変化しつつある温度が、前記モード変更が指定された時点から前記第1定着温度の上限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算、又は前記モード変更が指定された時点から前記第2定着温度の下限許容温度に到達するまでの時間と感光体に形成された静電潜像が一次転写されて前記定着装置に到達するまでの時間とを演算し、それらの時間の長さを比較した結果に基づいて、前記中間印刷モードで印刷を行うか前記第2印刷モードで印刷を行うかを決定制御する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する前に、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達すると判断したときは、前記温度設定を前記第1定着温度の温度設定に戻して後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう再び温度設定を切り替えて、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする請求項6記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記第2印刷モードが指定されたとき、前記定着温度を前記第2定着温度になるよう温度設定を切り替て温度上昇を待つ間、前記第1印刷モードで印刷中の印刷媒体が前記定着装置に到達する方が、定着温度が前記第1定着温度の上限許容温度に達するよりも早いと判断したときは、後続の印刷媒体に対する画像形成を中止すると共に前記印刷媒体に対する定着を実行した後、前記第2印刷モードの印刷を待機する、ことを特徴とする請求項6記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記第2印刷モードで画像形成された印刷媒体が前記定着装置に到達するよりも、定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記第2印刷モードの印刷を待機する間、前記中間印刷モードで印刷を行う時間よりも前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間の方が早いと判断したときは、前記第2印刷モードの印刷を実行し、前記中間印刷モードで印刷を行う時間の方が前記第2印刷モードの画像を形成された印刷媒体が前記定着装置に到達したとき前記定着温度が前記第2定着温度の下限許容温度に達する時間よりも早いと判断したときは、前記中間印刷モードの印刷を実行する、ことを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44968(P2013−44968A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183069(P2011−183069)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】