説明

画像形成装置および画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法および画像形成装置の製造方法

【課題】部品の加工精度に頼ることなく,高精度に現像ギャップDsの調整を行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の画像形成装置10は,表面に静電潜像が形成される感光体21と,感光体21に対して空隙を介して配置され,感光体21の静電潜像を現像する現像ローラ32とを有するものであって,感光体21を回転可能に支持する側板31と,現像ローラ32を回転可能に支持する軸受け板34とを有し,側板31と軸受け板34とが,感光体21の支持箇所以外の箇所と現像ローラ32の支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合されるとともに,回転可能な結合箇所以外の箇所で互いに固定されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子写真方式の画像形成装置とその製造方法,特に製造の際の感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法に関する。さらに詳細には,感光体と現像ローラとの間にギャップが設けられている画像形成装置およびそのギャップの大きさを適正に調整するための現像ローラ位置の調整方法と,その調整方法を含む画像形成装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,電子写真方式の画像形成装置には,感光体と現像ローラとの間に空隙が設けられているものがある。画像形成時には,現像ローラに担持されたトナーが,この空隙を超えて,感光体上に形成された静電潜像を現像する。このようなものでは,感光体表面と現像ローラ表面との間の空隙の大きさ(以下,現像ギャップDsという)が,あらかじめ決められた距離となるように,製造時に精密に調整されることが求められる。
【0003】
従来,例えば,突き当てコロによって,現像ギャップDsを確保するものがある。この方法による現像ギャップDsの精度は,一般に,各部品の加工精度によって保障することが行われていた。そのため,現像ギャップDsの関連部品には,高い加工精度を得られる加工技術や材料が用いられていた。しかしながら,個々の部品が単体としては精密に形成されていても,その組み合わせによる組立後には現像ギャップDsが規格外となってしまうこともあった。
【0004】
これに対して,例えば,特許文献1の画像形成装置では,位置決めピンを用いて現像器の位置決めを行う技術が開示されている。本文献に記載の装置では,現像器は後側板に位置決めピンで回動可能に係止され,現像ギャップDsを調整してネジ止めされる。これによって現像ギャップDsを調整し,後側板と現像器とをネジ止めするとされている。
【特許文献1】特開平8−110748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置では,現像器が固定される後側板に対し,感光体は直接固定されていない。後側板には,感光体の軸が後に固定される軸受け部が形成されており,現像器は,その軸受け部を基準に位置が調整される。そのため,感光体自身の外径にバラツキがあると,現像ギャップDsにもバラツキが生じてしまうという問題点があった。また,近年,画像形成装置の高速化に伴って,さらに高精度にDsを調整することが求められている。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,部品の加工精度に頼ることなく,高精度に現像ギャップDsの調整を行うことができる画像形成装置および画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法および画像形成装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,表面に静電潜像が形成される感光体と,感光体に対して空隙を介して配置され,感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置であって,感光体を回転可能に支持する側方部材と,現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを有し,側方部材と軸受け部材とが,感光体の支持箇所以外の箇所と現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合されるとともに,回転可能な結合箇所以外の箇所で互いに固定されているものである。
【0008】
本発明の画像形成装置によれば,感光体が側方部材に支持され,現像ローラが軸受け部材に支持されている。従って,側方部材と軸受け部材との位置関係を調整することにより,感光体と現像ローラとの位置関係を調整することができる。さらに,側方部材と軸受け部材とが,互いに回転可能に結合されているので,回転によってこれらの位置関係を調整可能である。調整が行われた後は,側方部材と軸受け部材とが互いに固定されているので,その位置関係を継続して維持することができる。従って,部品の加工精度に頼ることなく,高精度に現像ギャップDsの調整を行うことができる。
【0009】
さらに本発明では,側方部材と軸受け部材との一方に,貫通する第1位置調整形状が,回転可能な結合箇所以外の箇所に形成されており,側方部材と軸受け部材との他方に,第2位置調整形状が,回転可能な結合箇所以外の箇所に,少なくともその一部が第1位置調整形状の範囲内に位置するように形成されていることが望ましい。
このようなものであれば,第1位置調整形状と第2位置調整形状との位置関係の調整により,側方部材と軸受け部材との位置関係を調整可能である。すなわち,第1位置調整形状の範囲内における第2位置調整形状の配置を適切に調整すればよい。
【0010】
さらに本発明では,第1位置調整形状が,円形または円弧状の部分を含む形状であり,第2位置調整形状が,第1位置調整形状の半径より小さい幅のスリットまたは溝であることが望ましい。
このようなものであれば,第2位置調整形状は,スリットまたは溝の長手方向へのある程度の移動が許容された状態で,それに交わる方向へは第1位置調整形状の内部で移動させることができる。従って,両位置調整形状と回転可能な結合箇所との位置関係には,ある程度の余裕がある。
【0011】
さらに本発明は,表面に静電潜像が形成される感光体と,感光体に対して空隙を介して配置され,感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法であって,画像形成装置が,感光体を回転可能に支持する側方部材と,現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを有するものであり,側方部材と軸受け部材とを,感光体の支持箇所以外の箇所と現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合し,側方部材に対する軸受け部材の回転により,感光体と現像ローラとの間の空隙を調整し,その調整をした状態で,側方部材と軸受け部材とを互いに固定する画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法にも及ぶ。
【0012】
さらに本発明は,表面に静電潜像が形成される感光体と,感光体に対して空隙を介して配置され,感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置の製造方法であって,感光体を回転可能に支持する側方部材と,現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを用い,側方部材と軸受け部材とを,感光体の支持箇所以外の箇所と現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合し,側方部材に対する軸受け部材の回転により,感光体と現像ローラとの間の空隙を調整し,その調整をした状態で,側方部材と軸受け部材とを互いに固定する画像形成装置の製造方法にも及ぶ。
【0013】
さらに本発明の各方法では,側方部材と軸受け部材との一方として,円形または円弧状の部分を含む形状の貫通箇所が,回転可能な結合箇所以外の箇所に形成されたものを用い,側方部材と軸受け部材との他方として,貫通箇所の半径より小さい幅のスリットまたは溝が,回転可能な結合箇所以外の箇所に,少なくともその一部が貫通箇所の範囲内に露出するように形成されたものを用い,貫通箇所に嵌合する外側部と,スリットまたは溝に係合する内側部とを有する回転ツールを用い,側方部材に対する軸受け部材の回転を,回転ツールの外側部を貫通箇所に嵌合させるとともに内側部をスリットまたは溝に係合させた状態で,回転ツールを回転させることにより行うことが望ましい。
このようなものであれば,回転ツールを回転させることにより,貫通箇所の内部でのスリットまたは溝の配置を調整することができる。従って,回転ツールの回転によって軸受け部材の位置の調整ができ,調整は容易である。さらに,回転ツールの回転角度は軸受け部材の回転角度より大きいので,微妙な調整が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置および画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法および画像形成装置の製造方法によれば,部品の加工精度に頼ることなく,高精度に現像ギャップDsの調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したものである。
【0016】
本形態の画像形成装置10の主要部の概略構成を図1に示す。画像形成装置10は,感光体21とその周囲に配置された,帯電装置22,露光装置23,現像装置24,転写装置25を有している。本形態の画像形成装置10による画像形成時には,感光体21の表面に対して,以下の各手順が順に行われる。まず,帯電装置22によって一様に帯電される。次に,露光装置23によって画像データに基づいた静電潜像が形成される。さらに,現像装置24によって静電潜像が現像され,トナー像が形成される。そして,転写装置25によって,トナー像が転写材26に転写される。
【0017】
この画像形成装置10は,感光体21の両端部を回転可能に支持する略箱状の側板31を有している。側板31はまた,帯電装置22や現像装置24を適切な配置に保持するためのものでもある。図1では,側板31の手前側の面を除いて示している。なお,本形態は二成分系のトナーを用いるものである。
【0018】
現像装置24は,現像ローラ32と,その回転軸33を回転可能に支持する軸受け板34等を有している。軸受け板34は,略逆U字形状であり,回転軸33の両端部を一体的に支持している(図2参照)。図1では,軸受け板34のうち,手前側の側部のみが見えている。そして,軸受け板34により,現像ローラ32は,感光体21に平行に配置されている。感光体21の表面と現像ローラ32の表面との間には,空隙(現像ギャップDs)が形成されている。
【0019】
図1のA−A断面を図2に示す。軸受け板34は,その両側の側部が図中上側で互いに連結され,一体的に形成されている。軸受け板34の図1中奥側の側部も,手前側の側部とほぼ同形状である。軸受け板34と側板31とは,両側の側部において,計4つのネジ36,37,38,39によってネジ止めされて固定されている。これにより,現像ローラ32は,軸受け板34を介して,側板31に対して軸位置が固定された状態で支持されている。
【0020】
軸受け板34の内側には,図2に示すように,現像ローラ32の回転軸33の両端部を受ける軸受け部41,42が形成されている。この軸受け部41,42により,現像ローラ32は,軸受け板34に支持されている。また,片側の軸受け部41より図中上方の位置には,軸受け板34を貫通する長穴43が形成されている(図1参照)。一方,側板31には,長穴43とほぼ同位置に,長穴43の長径よりやや大径の丸穴44が貫通して形成されている(図3参照)。
【0021】
この長穴43と丸穴44とは,後述するように,製造工程において現像ローラ32の位置を調整するためのものである。完成した画像形成装置10においては,これらの穴には何も挿入されていない。また,特段の働きもない。本形態では,この丸穴44が第1位置調整形状に相当し,長穴43が第2位置調整形状に相当する。なお,これらの長穴43と丸穴44とは,軸受け板34または側板31のうちの片側の側部(互いに同じ側)のみに形成されていれば十分である。
【0022】
また,各ネジ36〜39はそれぞれ,側板31に形成された貫通穴46〜49を貫通し,軸受け板34に形成された雌ネジ穴にねじ込まれている。各貫通穴46〜49は,ネジ36〜39のネジ部分より大径で,かつ,頭部分より小径のものである。ここでは,ネジ36,38は,回転軸33の中心と同軸上に設けられている。
【0023】
さらに,軸受け板34と側板31とには,両側部の図2中下部にそれぞれ貫通穴が形成され,それらを貫通して結合する結合ピン51,52が取り付けられている。結合ピン51,52は,側板31と軸受け板34とを互いにガタツキ無く,回転可能に結合するものである。すなわち,側板31と軸受け板34とは,結合ピン51,52を中心に,感光体21と現像ローラ32とを平行に保って回転する。なお本形態では,この結合ピン51,52はいずれも,現像ローラ32に対し,長穴43や丸穴44とは反対側に設けられている。すなわち,結合ピン51,52と現像ローラ32の中心との間の距離は,結合ピン51,52と長穴43や丸穴44との間の距離に比較してより小さい。
【0024】
結合ピン51,52もまた,画像形成装置の製造時において,現像ローラ32の取付位置の調整のために使用されるものである。完成した画像形成装置10では,上記のようにネジ止めされているので,結合ピン51,52による軸受け板34と側板31との間の回転はしない。この結合ピン51,52が回転可能な結合箇所に相当する。
【0025】
次に,本形態の画像形成装置10を製造する際の,現像ローラ32の位置の調整方法について説明する。本形態の製造工程においては,感光体21は側板31に,現像ローラ32は軸受け板34にそれぞれ取付られる。従って,側板31と軸受け板34との位置関係を調整することにより,現像ローラ32と感光体21との位置関係を調整することができる。
【0026】
本形態の製造工程ではまた,側板31と軸受け板34とが,結合ピン51,52によって,互いに回転可能に結合される。この状態を簡略化して,図3に示す。この図において,最も手前側にあるのは側板31である。その奥側にある軸受け板34は,図中に矢印で示すように,結合ピン51を中心に側板31に対して回転可能にされている。また,側板31に設けられた丸穴44の中に,軸受け板34の長穴43が見えている。この工程では,ネジ36〜39によるネジ止めはまだ行われていない。
【0027】
さらにこの状態において,現像ギャップDsの大きさを測定する。そのために,側板31の外部にレーザ測長機の発光器61と受光器62とを,現像ギャップDsを挟んで配置する。発光器61と受光器62とは,図3に示すように,現像ギャップDsに対してほぼ垂直な線上の上下に配置する。そして,発光器61からある程度幅のあるレーザ光を発光させ,そのうち現像ギャップDsを通過したレーザ光を受光器62で受光することにより,現像ギャップDsの幅を測定することができる。この測定は,感光体21の軸方向について1箇所のみで行ってもよい。あるいは,確実を期するために複数箇所で測定してもよい。
【0028】
また,この工程では,図4に示す偏心治具65を使用する。偏心治具65は,大径部66とその上に偏心して形成された小径部67とを有している。大径部66は,丸穴44にちょうど嵌る大きさにされている。小径部67は,長穴43にちょうど嵌る大きさにされている。この偏心治具65が回転ツールに相当する。そして,大径部66が外側部に,小径部67が内側部にそれぞれ相当する。
【0029】
この偏心治具65を,小径部67が長穴43に,大径部66が丸穴44にそれぞれ嵌るように,図3の状態の側板31側から挿入する。そして,偏心治具65の大径部66を回転させることにより,例えば図5〜図10に示すように,丸穴44中の長穴43の位置を変えることができる。すなわち,結合ピン51,52を中心として,側板31に対する軸受け板34の相対角度を変えることができる。これにより,図3に示すように,現像ギャップDsを調整することができる。
【0030】
なお,図5,図7,図9はいずれも,図3に示す丸穴44を抜き出して示したものである。各図中のB−B線,C−C線,D−D線の方向はいずれも,丸穴44と結合ピン51とのそれぞれ中心を結ぶ方向に対して直交する方向である。すなわち,例えば図5に示す状態は,偏心治具65の小径部67が,丸穴44と結合ピン51とのそれぞれ中心を結ぶ線上に配置されている状態である。
【0031】
この状態では,図5と図6に示すように,丸穴44のほぼ中央に長穴43が配置される。図6は,図5のB−B断面図である。この配置では,現像ギャップDsは変更可能な範囲内の中程度の大きさとなる。この状態から,レーザ測長機(発光器61と受光器62)によって,現像ギャップDsの大きさを測定しつつ,偏心治具65を回転させることにより,現像ギャップDsの大きさが適切となるように調整する。
【0032】
例えば,図5の状態から,反時計回りに約90度回転させると,図7と図8に示す配置となる。図8は,図7のC−C断面図である。図7に示す配置では,長穴43が丸穴44の図中右よりに配置されている。すなわち,図3において,軸受け板34の上部を図中右方向へ傾けた配置となっているので,図5の配置に比較して,現像ローラ32が感光体21に近づけられている。従って,現像ギャップDsは,図5の状態に比較して小さいものとなっている。
【0033】
あるいは,図5の状態から,時計回りに約90度回転させると,図9と図10に示す配置となる。図10は,図9のD−D断面図である。図9に示す配置では,長穴43が丸穴44の図中左よりに配置されている。すなわち,図3において,軸受け板34の上部を図中左方向へ傾けた配置となっているので,図5の配置に比較して,現像ローラ32が感光体21から遠ざけられている。従って,現像ギャップDsは,図5の状態に比較して大きいものとなっている。
【0034】
このように偏心治具65の回転位置によって,図7の位置と図9の位置との間の範囲内で,現像ギャップDsが適切な大きさとなるように調整できる。そして,適切な現像ギャップDsとなる配置で,ネジ36〜39によって軸受け板34を側板31にネジ止めする。これにより,現像ギャップDsは適切な大きさのまま保持される。これでこの工程は終了である。
【0035】
本形態では,現像ギャップDsを直接測定しつつ調整することができる。従って,感光体自体の外径にバラツキがあったとしても,その誤差を含んだ調整が可能となっている。また,長穴43が結合ピン51から遠い位置に配置されているので,偏心治具65の回転半径に比較して軸受け板34の回転半径が大きい。さらに,上記のように,結合ピン51と現像ローラ32の中心との間の距離は,結合ピン51と長穴43との間の距離に比較してより小さい。従って,より精密な調整が可能なものとなっている。
【0036】
以上詳細に説明したように本形態の画像形成装置によれば,感光体21は側板31に,現像ローラ32は軸受け板34に,それぞれ回転可能に支持されている。さらに製造工程では,軸受け板34は,側板31に対し回転可能に支持されている。その回転による現像ローラ32の移動方向は,およそ現像ギャップDsに沿った方向であるので,軸受け板34の回転によって現像ギャップDsの調整を行うことができる。そこで,製造工程において,現像ギャップDsを測定しつつ,偏心治具65(軸受け板34)を回転させる。これにより,現像ギャップDsが適切な大きさとなった状態で,軸受け板34と側板31とをネジ止めすればよい。従って,本形態の画像形成装置は,部品加工精度に頼ることなく,高精度に現像ギャップDsの調整を行うことができるものとなっている。
【0037】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,側板や軸受け板は,かならずしも板状部材に限らず,棒状部材や塊状部材等とすることもできる。また,軸受け板の形状や大きさ,ネジ止めの位置,貫通穴の位置等はいずれも変更可能である。例えば,上記の形態では,計4箇所のネジ止めを行うとしたが,両側部に1つずつの2箇所のみとしてもよい。また,ネジ36,38の位置は,必ずしも回転軸33の中心と同軸上に設けなくてもよい。また,調整後に,結合ピン51,52を固着するとしてもよい。これをもってネジ止めに代えることも考えられる。
【0038】
また,丸穴44は,必ずしも完全な円でなくてもよい。偏心治具65をはめ込み回転させることができればよい。また,偏心治具65の先端部に対して係止できれば,長穴43は,穴に限らず溝形状のものでもよい。また,軸受け板に長穴43に代えてピン状の突起を形成し,治具に長溝を形成しても同様に調整することが可能である。また,軸受け板と側板とに形成される長穴と丸穴とは逆にしてもよい。その場合には,偏心治具を軸受け板の側から差し込めば,同様に調整できる。また,側板31と軸受け板34とを結合ピン51,52で結合する代わりに,一方にボスを他方にボス穴をそれぞれ設けて,はめ込むようにしてもよい。
【0039】
また,軸受け板を,現像ローラの両端部を一体的に支持するものとする代わりに,両端部にそれぞれの軸受け板を設けて,両側でそれぞれ位置を調整するようにすることもできる。ただしこの場合には,現像ギャップの大きさの測定を軸方向の複数箇所で行うことが望ましい。また,画像形成装置の各部の構成は一例であり,これに限るものではない。一成分現像剤を使用する装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本形態の画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
【図2】軸受け板と側板との関係を示す説明図である。
【図3】組立途中の軸受け板の配置を示す説明図である。
【図4】偏心治具を示す斜視図である。
【図5】丸穴と長穴との位置関係を示す説明図である。
【図6】側板と軸受け板と偏心治具との位置関係を示す説明図である。
【図7】丸穴と長穴との位置関係を示す説明図である。
【図8】側板と軸受け板と偏心治具との位置関係を示す説明図である。
【図9】丸穴と長穴との位置関係を示す説明図である。
【図10】側板と軸受け板と偏心治具との位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 画像形成装置
21 感光体
31 側板
32 現像ローラ
34 軸受け板
43 長穴
44 丸穴
51,52 結合ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される感光体と,前記感光体に対して空隙を介して配置され,前記感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置において,
前記感光体を回転可能に支持する側方部材と,
前記現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを有し,
前記側方部材と前記軸受け部材とが,
前記感光体の支持箇所以外の箇所と前記現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合されるとともに,
前記回転可能な結合箇所以外の箇所で互いに固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記側方部材と前記軸受け部材との一方に,貫通する第1位置調整形状が,前記回転可能な結合箇所以外の箇所に形成されており,
前記側方部材と前記軸受け部材との他方に,第2位置調整形状が,前記回転可能な結合箇所以外の箇所に,少なくともその一部が前記第1位置調整形状の範囲内に位置するように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において,
前記第1位置調整形状が,円形または円弧状の部分を含む形状であり,
前記第2位置調整形状が,前記第1位置調整形状の半径より小さい幅のスリットまたは溝であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
表面に静電潜像が形成される感光体と,前記感光体に対して空隙を介して配置され,前記感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法において,
前記画像形成装置は,
前記感光体を回転可能に支持する側方部材と,
前記現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを有するものであり,
前記側方部材と前記軸受け部材とを,前記感光体の支持箇所以外の箇所と前記現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合し,
前記側方部材に対する前記軸受け部材の回転により,前記感光体と前記現像ローラとの間の空隙を調整し,
その調整をした状態で,前記側方部材と前記軸受け部材とを互いに固定することを特徴とする画像形成装置における感光体と現像ローラとの間の空隙の調整方法。
【請求項5】
表面に静電潜像が形成される感光体と,前記感光体に対して空隙を介して配置され,前記感光体の静電潜像を現像する現像ローラとを有する画像形成装置の製造方法において,
前記感光体を回転可能に支持する側方部材と,前記現像ローラを回転可能に支持する軸受け部材とを用い,
前記側方部材と前記軸受け部材とを,前記感光体の支持箇所以外の箇所と前記現像ローラの支持箇所以外の箇所とで互いに回転可能に結合し,
前記側方部材に対する前記軸受け部材の回転により,前記感光体と前記現像ローラとの間の空隙を調整し,
その調整をした状態で,前記側方部材と前記軸受け部材とを互いに固定することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法において,
前記側方部材と前記軸受け部材との一方として,円形または円弧状の部分を含む形状の貫通箇所が,前記回転可能な結合箇所以外の箇所に形成されたものを用い,
前記側方部材と前記軸受け部材との他方として,前記貫通箇所の半径より小さい幅のスリットまたは溝が,前記回転可能な結合箇所以外の箇所に,少なくともその一部が前記貫通箇所の範囲内に露出するように形成されたものを用い,
前記貫通箇所に嵌合する外側部と,前記スリットまたは溝に係合する内側部とを有する回転ツールを用い,
前記側方部材に対する前記軸受け部材の回転を,
前記回転ツールの前記外側部を前記貫通箇所に嵌合させるとともに前記内側部を前記スリットまたは溝に係合させた状態で,
前記回転ツールを回転させることにより行うことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−251163(P2009−251163A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97047(P2008−97047)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】