説明

画像形成装置及びこれに用いられるプロセスカートリッジ

【課題】転写残トナーに対して安定した帯電制御を行うことにより、異常画像の発生を抑制し、長寿命化に優れた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するを提供する。
【解決手段】帯電装置6より感光体移動方向上流側であって転写バイアスローラ18より感光体移動方向下流側に配置され、感光体1上に残留する転写残トナー9の帯電極性及び荷電性を制御するトナー帯電制御装置8を備え、このトナー帯電制御装置8は、少なくとも表面が導電性を有する無端ベルト20と、感光体1と無端ベルト20とが当接するように無端ベルト20を張架する駆動ローラ21及びテンションローラ22と、無端ベルト20表面にバイアスを印加する高圧電源23とから構成される。この無端ベルト20を用いるトナー帯電制御装置8は、導電シート等を用いる場合に比べトナー固着が低減され、感光体1との当接面積も広く取ることができ、安定した帯電制御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びこれに用いられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置においては、次のようなプロセスで画像を形成している。すなわち、感光体等の像担持体を一様に帯電させる帯電工程、像担持体に対して露光走査等を施して静電潜像を形成する露光工程、静電潜像を現像する現像工程である。そして、現像によって得られたトナー像を記録媒体に直接転写する、或いは中間転写体を介して転写する転写工程、記録媒体上のトナー像を定着させる定着工程、転写工程後の像担持体をクリーニングするクリーニング工程である。従来、最終工程のクリーニング工程においては、弾性体からなるクリーニングブレード等のクリーニング部材により潜像担持体上の転写残トナーを掻き取るクリーニング方式が採用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、最近においては、後述するように、像担持体上に付着している転写残トナーをクリーニング及び回収するための専用の手段を用いることなく、像担持体上での画像形成プロセスを実行するクリーナーレス方式が注目されている。図5は、クリーナーレス方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。例えば、クリーナーレス方式の画像形成装置として、図5に示すように、像担持体101を帯電する帯電部材102よりも像担持体移動方向上流側であって、像担持体101上のトナー像を転写体103に転写する転写ローラ104よりも像担持体移動下流側の位置に、転写残トナーの帯電極性及び荷電性を制御するトナー帯電制御手段105を備えたものがある。像担持体101上の転写残トナーは、トナー帯電制御手段105を介してトナーと同極性の電圧が印加されることにより、帯電極性及び荷電性が整えられる。帯電極性及び荷電性を整えられた転写残トナーは、帯電部材(ファーブラシローラ等)102を介してトナーと同極性のDC成分にAC成分を重畳させた印加電圧が印加されることにより像担持体101表面から遊離し、帯電部材102内部に取り込まれ回収される。帯電部材102では、所定のタイミングでトナー吐出モードとなり、帯電部材102に印加される電圧がDC成分のみとなって帯電部材102内部に回収した転写残トナーが像担持体101表面に転移させる。そして、像担持体表面101に転移した転写残トナーは、再度現像装置106との対向部に移動され、現像装置106内部に回収されることになる。このように、クリーナーレス方式の画像形成装置では、廃トナーが少なくなり、転写トナーを移送・回収する手段が不要となり省スペース化を図ることができる。その実現性の一役を担う存在として、転写残トナーの回収性を高めるためのトナー電荷制御部材105は重要なパラメーターとなっている。
【0004】
そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、トナー帯電制御手段として、図5に示すような導電性シートを採用した場合には、小型・低コストではあるものの、次のような課題があることがわかった。図6は、導電性シートを用いた帯電制御手段の構成を示す拡大構成図である。図6に示すように、このトナー帯電制御手段105の導電性シート105aは、一端部がケーシング110に支持され、自由端部が弾性体105bに付勢された状態で像担持体101表面に当接する構成となっている。この導電性シート105aは、像担持体101に対して常に同じ箇所が当接することになるため、その表面に転写残トナーが固着しやすい。導電性シート105aにトナーが固着すると、転写残トナーの帯電制御が良好に行われなくなり、これを起因とする異常画像の発生が懸念される。また、導電性シート105aは、トナーの帯電極性及び荷電性を整えるために必要な像担持体101との当接面積が得られ難い。そのため、帯電制御のために高出力の電圧を印加しなければならず、像担持体101の感光層への電気的影響による異常画像の発生が懸念される。導電性シート105aを付勢する弾性体105bを大きくすれば、像担持体101と導電性シート105との当接面積をある程度を大きくすることができるが、当接面積を大きく取ると帯電ムラが生じやすくなり好ましくない。また、導電性シート105の自由端の位置を規制するのは難しく、感光体1と導電性シート105aとの間に所望の当接面積が得られがたい。さらに導電性シート105aは、長期保管時等に永久歪が生じやすく、像担持体101への当接状態が経時的に変化し転写残トナーへの帯電制御効果が変動しやすいため、長寿命化を図ることが困難である。保管対策として永久歪を抑制する等の機構を設けた場合には、コスト上昇及び装置の拡大を招いてしまう。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的とするところは、転写残トナーに対して安定した帯電制御を行うことにより、異常画像の発生を抑制し、長寿命化に優れた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該像担持体上の静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体及び該像担持体に付着しているトナーのうち少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段と、該帯電手段より像担持体移動方向上流側であって該転写手段より像担持体移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留する転写残トナーの帯電極性及び荷電性を制御するトナー帯電制御手段とを備え、上記トナー帯電制御手段は、少なくとも表面が導電性を有する無端ベルトと、上記像担持体と該無端ベルトとが当接するように該無端ベルトを張架する複数の張架ローラと、該無端ベルト表面にバイアスを印加するバイアス印加手段とから構成されることを特徴とするものである。
請求項2の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置において、上記無端ベルト表面の移動速度S1が上記像担持体表面の移動速度S2に対しS1≧S2であることを特徴とするものである。
請求項3の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置において、上記バイアス印加手段により印加される上記無端ベルトの表面電位V1が上記像担持体への放電開始電圧Vsに対しVs>V1であることを特徴とするものである。
請求項4の画像形成装置は、請求項1、2又は3の画像形成装置において、上記無端ベルトとして、JIS−A硬度40度以上のものを用いることを特徴とするものである。
請求項5の画像形成装置は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記無端ベルトとして、表面電気抵抗値が10以上10以下の範囲にあるものを用いることを特徴とするものである。
請求項6の画像形成装置は、請求項1、2、3、4又は5の画像形成装置において、上記無端ベルトは、少なくとも表層が研磨剤を含有することを特徴とするものである。
請求項7の画像形成装置は、請求項6の画像形成装置において、上記研磨剤は、酸化セシウム又はシリカであることを特徴とするものである。
請求項8の画像形成装置は、請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置において、上記張架ローラのうちの一つのローラに対向して設置され、上記無端ベルトを清掃する清掃部材を備えることを特徴とするものである。
請求項9の画像形成装置は、請求項8の画像形成装置において、上記清掃部材は、自由端部に曲げ部が形成され、該曲げ部が上記無端ベルトに当接することを特徴とするものである。
請求項10の画像形成装置は、請求項8又は9の画像形成装置において、上記清掃部材は導電性を有し、上記バイアス印加手段は該清掃部材を介して上記無端ベルト表面に電圧を印加することを特徴とするものである。
請求項11のプロセスカートリッジは、像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該像担持体上の静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体及び該像担持体に付着しているトナーのうち少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段と、該帯電手段より像担持体移動方向上流側であって該転写手段より像担持体移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留するトナーの極性及び荷電性を整えるトナー帯電制御手段とを備える画像形成装置内で、該像担持体と、該現像手段、該帯電手段、該トナー帯電制御手段から選択された少なくとも1以上の手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されるプロセスカートリッジにおいて、上記プロセスカートリッジが上記請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の画像形成装置に用いられるものであることを特徴とするものである。
請求項1乃至11の発明によれば、トナー帯電制御手段の無端ベルトが回動可能な構成となっているため、導電性シート等のように常に同じ箇所が当接する場合に比べ、トナー固着が低減され、安定した帯電制御が得られ易くなる。また、無端ベルトには、無端ベルトを清浄に保つための清掃部材を設置することも可能となり、より安定した帯電制御が可能となる。さらに、張架ローラにより張架された無端ベルトと像担持体とを当接させることにより、導電性シートに比べ帯電ムラのない状態で像担持体との間の当接面積を広くとることができる。そのため、帯電制御のために高出力の電圧を印加する必要がなく、帯電制御時に像担持体の感光層内に不要な電荷を発生させない。同時に、無端ベルトと像担持体とを所望の接触幅をもって均等に当接させることができるので、安定した帯電制御が得られやすくなる。また、無端ベルトは、張架ローラに張架されているため、導電性シート等に比べ当接状態が変化しにくく、長寿命化に優れる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、転写残トナーに対して安定した帯電制御を行うことにより、異常画像の発生を抑制し、長寿命化に優れた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置であるフルカラープリンタ(以下、プリンタという)に適用した場合の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。図1に示すように、このプリンタは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成するための像担持体である感光体1Y、M、C、Kを備えた4つの画像形成ユニット2Y、M、C、Kを備えている。また、このプリンタは、画像情報に基づき変調されたレーザー光Lを走査露光して感光体1Y、M、C、K上に静電潜像を書き込む光書き込みユニット3を備えている。さらに、このプリンタは、感光体1Y、M、C、K上のトナー像を中間転写ベルト17を介して転写紙に転写する中間転写ユニット4、転写紙上にトナー像を定着する定着ユニット5等も備えている。なお、各符号の末尾に付されて添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示す。
【0009】
図2は、画像形成ユニットの構成を示す構成図である。4つの画像形成ユニット2Y、M、C、Kは、画像形成物質として互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっているので、以後添字を省略して説明する。図2に示すように、画像形成ユニット2は、ドラム状の感光体1の周囲に、感光体1を一様に帯電する帯電装置6、感光体1上の静電潜像を現像する現像装置7、感光体1上に残留する転写残トナーの帯電極性及び荷電性を制御するトナー帯電制御装置8等を備えている。なお、本実施形態において、画像形成ユニット2は、感光体1、帯電装置6、現像装置7、トナー帯電制装置8を一つのユニットとして図示しない共通のユニットケーシング(保持体)に保持させて、プリンタ本体に対して着脱可能に構成したものである。また、帯電装置6とトナー帯電制御装置8は共に帯電装置6を支持するケーシング6aにより支持される構成となっているが、それぞれ別のケーシングにより支持する構成としてもよい。
【0010】
ここで、上記感光体1は、アルミニウム素管等からなる導電性基体の表面に、有機光光導電物質(OPC)等の有機材料からなる感光層(光導電性層)が被覆されたドラムである。この感光体1は、図2に示すように、プリントジョブ時は図示しない駆動手段によって所定の線速で図中時計回り方向に回転駆動せしめられる。
【0011】
上記帯電装置6は、感光体1に当接して図中反時計回り方向に回転するブラシローラ10を備える。このブラシローラ10は、金属製の回転軸部材に導電性のファーブラシが立設せしめられた構成となっている。そして、このブラシローラ(回転軸部材)10には、高圧電源により直流電圧又は直流と交流の重畳電圧からなる帯電バイアスが印加され、感光体1とブラシローラ10との間で放電が発生することで、感光体1表面がトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめられる。また、後述するように、帯電装置6は、感光体上の転写残トナーを一時回収し所定のタイミングで感光体に再転移させる。
【0012】
上記現像装置7は、ケーシングの開口部から周面の一部を露出させ表面が弾性体からなる現像ローラ11、ケーシング内に収められたトナー12を現像ローラ11に供給する供給ローラ13、現像ローラ11に当接して現像ローラ11上のトナー層を規制する規制ブレード14等を備えている。この現像装置7は、いわゆる接触1成分現像方式を採用しており、ケーシング内に収められたトナー12を供給ローラ13を介して現像ローラ11に搬送・供給し、規制ブレード14により現像ローラ11上にトナー薄層を形成する。そして、感光体1との対向領域である現像領域において、現像ローラ11上のトナー薄層が感光体1上の静電潜像と接触することで、静電潜像の可視像処理が施されてトナー像が形成される。なお、本実施形態では、接触1成分現像方式を採用したが、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いる2成分現像方式を採用してもよい。
【0013】
上記中間転写ユニット4は、駆動ローラ15及びテンションローラ16に張架された転写ベルト17、転写ベルト17を介して感光体1Y、M、C、Kとの間に1次転写部を形成する転写バイアスローラ18Y、M、C、Kを備えている。また、中間転写ユニット4は、転写ベルト17及び転写バイアスローラ18を感光体1に対し接離可能とする図示しない接離機構と、転写ベルト17をクリーニングする弾性体ブレードからなる図示しないクリーニング装置等を備えている。この中間転写ユニット4において、各色の感光体1Y、M、C、K上に形成されたトナー像は、転写バイアスローラ18Y、M、C、Kからの転写バイアスの印加により、各色の1次転写部で転写ベルト17上に順次重ね合わせて転写される。このようにして、転写ベルト17上に4色重ね合わせトナー像が形成される。また、中間転写ユニット4において、転写ベルト17のテンションローラ16に対する張架箇所には、2次転写バイアスローラ19が外周面側から当接しており、これによって2次転写部が形成されている。転写ベルト17上に形成された4色重ね合わせトナー像は、転写ベルト17の無端移動に伴ってこの2次転写部に進入する。
【0014】
本プリンタは、図示しない給紙カセットを備えており、その中に記録紙を複数枚重ねた記録紙束の状態で収容している。そして、一番上の記録紙を所定のタイミングで給紙路に送り出す。送り出された記録紙は、給紙路の末端に配設されたレジストローラ対に挟み込まれる。そして、レジストローラ対は、記録紙を転写ベルト17上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで2次転写部に向けて送り出す。2次転写部では、2次転写バイアスローラ18からの転写バイアスの印加により、転写ベルト17上の4色重ね合わせトナー像が記録紙上に一括転写されて、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙は、2次転写部から排出された後、定着ユニット5に送られてフルカラー画像が定着せしめられ、機外に排出される。
【0015】
ところで、1次転写部を通過した後の感光体1表面には転写残トナーが付着している。そして、この転写残トナーは、感光体1の回転に伴ってトナー帯電制御装置8に進入する。トナー帯電制御装置8に進入する前の転写残トナーの中には、正規の帯電極性に帯電しているトナーの他、正規の帯電極性ではあるもののその帯電量を不足している低帯電量トナーや、逆極性に帯電している逆帯電トナー等が含まれている。
【0016】
以下、トナー帯電制御装置8について詳述する。図3は、トナー帯電制御装置の構成を示す概略構成図である。図3に示すように、このトナー帯電制御装置8は、少なくとも表面が導電性を有する弾性体からなる無端ベルト20、無端ベルト20を張架する駆動ローラ21及びテンションローラ22を備えている。また、トナー帯電制御装置8は、駆動ローラ21及びテンションローラ22を感光体1側に付勢する図示しないバネ等の付勢部材と、無端ベルト20表面にバイアスを印加する高圧電源23等を備えている。上記構成のトナー帯電制御装置8では、無端ベルト20が感光体1側に付勢される駆動ローラ21及びテンションローラ22によって展張されて図中矢印方向に回転駆動され、無端ベルト20のベルト外周面が感光体1の軸方向(長手方向)に亘って均等、且つ感光体1の周面に沿って所望の幅で押圧された状態で当接することになる。トナー帯電制御装置8に進入した転写残トナー9は、この感光体1と無端ベルト20との当接部となるニップで、無端ベルト20を介してトナーの正規の帯電極性と同極性の直流電圧が印加される。その結果、弱帯電トナーや逆帯電トナーを含む転写残トナー9は、シャープな帯電量分布特性となるように帯電極性及び荷電性が整えられることになる。
【0017】
本実施形態では、無端ベルト20の表面移動速度S1が感光体1の表面移動速度S2に対し、S1≧S2となるように設定されている。無端ベルト20は上記条件で回動することにより、導電性シート等のように常に同じ箇所が当接する場合に比べ、トナー固着が低減され、安定した帯電制御が得られ易くなる。なお、本実施形態において、無端ベルト20は、駆動ローラにより駆動回転する構成としたが、感光体1との接触従動により回転する構成としてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、高圧電源を介して電圧を印加される無端ベルト20の表面電位V1が感光体1の表面に放電が開始される放電開始電圧Vsに対しV1<Vsとなるように設定されている。無端ベルト20を駆動ローラ21及びテンションローラ22により展張させて感光体1に当接させることで、導電性シート等に比べ、帯電ムラのない状態で当接面積を大きくとることができる。大きな当接面積(ニップ)が得られることで、上記条件のように低出力の電圧印加でも転写残トナーの帯電制御が可能となる。これにより、帯電制御時に感光体1の感光層内に不要な電荷を発生させず、これに起因する異常画像の発生を抑えることができる。
【0019】
ここで、上記無端ベルト20には、JIS−A硬度40度以上の弾性体を用いることが好ましい。無端ベルト20の硬度は、感光体1との当接状態を制御する上で重要なパラメーターである。無端ベルト20として硬度40度以上のものを使用することで、感光体1に対し安定したニップ幅が得られ、転写残トナーに対し帯電制御の変動が小さくなる。また、上記無端ベルト20には、表面電気抵抗値が10以上10以下の範囲にあるものを用いることが好ましい。無端ベルト20の表面電気抵抗は、トナーに与える帯電制御及び異常放電等に対応する上で重要なパラメーターである。無端ベルト20として表面電気抵抗値が10以上10以下の範囲にあるものを用いることで帯電制御と異常放電を抑止する等の環境安定性との両立が可能である。本実施形態では、無端ベルト20として、厚さ100μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にカーボンを分散させ、表面電気抵抗値が10(Ω)であるものを使用している。他にナイロン(登録商標)及びウレタン、クロロプレンゴム等、導電性を有し且つ上記条件を満たすものであれば利用が可能である。
【0020】
また、上記無端ベルト20の少なくとも表層には、酸化セシウム又はシリカ等の研磨剤を含有させることが好ましい。これにより、オゾンやNoxによって発生する感光体1表面の汚染物質やトナー中に含まれる添加剤成分等の感光体1上の固着物を摺擦の際に掻き落とすことが可能となり、常に感光体1の表層を清浄に保つことができる。よって、これらを起因とする異常画像の発生を抑えることが可能となる。
【0021】
さらに、上記無端ベルト20には、無端ベルト20上に付着したトナー成分を削ぎ落とし、常に清浄な状態に保つために清掃部材24を設けることが好ましい。図4は、清掃部材の構成を示す部分拡大図である。この清掃部材24は、例えばSUS430製のシート形状を為すものであり、自由端部が駆動ローラ21との間に無端ベルト20を挟み込むようにして、無端ベルト20の進行方向に対してカウンター方向から当接している。また、図4に示すように、清掃部材24の自由端部に曲げ部24aを形成し、曲げ部24aを無端ベルト20表面に当接させるとよい。これにより、清掃部材20の当接による無端ベルト20表面の摩耗劣化を抑制し、長期に亘り安定した性能を得ることが可能となる。
【0022】
また、上記清掃部材24には導電性材料を用いるとよい。清掃部材24に導電性を持たせることにより、電源23から清掃部材24に電圧を印加し、無端ベルト20の表層に電圧を供給することが可能となる。清掃部材24に導電性を持たせ、清掃部材24を介して無端ベルト20に電圧を印加する構成をとることで、無端ベルト20は表層20aのみに導電性を持たせればよい。すなわち、無端ベルト20は、ベルト内周面に導電性等を考慮せず、駆動に優れた材料や当接に有利な材料を選択することが可能となる。また、清掃部材24を介して無端ベルト20の表層20aに直接電圧が印加されることで、無端ベルト20は印加電圧に対しリニアな電位特性となるため、印加電圧の設定が容易となる利点もある。なお、図4中、清掃部材24は駆動ローラ21の位置に設けられているが、他方のテンションローラ22の位置に設けてもよい。
【0023】
上記構成のプリンタにおいて、帯電装置6ではトナーの正規極性と同極性のDC成分にAC成分を重畳させた帯電バイアスをブラシローラ10に印加することにより、感光体1とブラシローラ10との間に放電を生じせしめて、感光体1を一様に帯電せしめる。同時に、転写バイアスローラ17を通過後の感光体1に付着している転写残トナーは、トナー帯電制御装置8において感光体1と無端ベルト20とのニップを通過することにより、帯電極性及び荷電性が整えられる。そして、トナー帯電制御装置8を通過した転写残トナーは、感光体1の回動により帯電装置6に移動し、帯電装置6内にて回動するブラシローラ(ファーブラシ)10内部に取り込まれ回収される。その後、帯電装置6では、紙間タイミングやプリントジョブ終了後に、帯電バイアスを重畳電圧から直流電圧に切り換えて、ブラシローラ10内に取り込んだ転写残トナーを感光体1表面に再転移させる。感光体1上に再転移した転写残トナーは、そのまま感光体1の回動により現像装置7まで移動し、現像ローラ11との当接部から現像装置7内部に回収され、再利用される。
【0024】
以上、本実施形態に係るプリンタによれば、トナー帯電制御手段であるトナー帯電制御装置8内において、無端ベルト20が張架ローラである駆動ローラ21及びテンションローラ22によって張架されて像担持体である感光体2と当接している。無端ベルト20は回動可能な構成となっているため、トナー固着が低減され、安定した帯電制御が得られやすくなる。また、感光体1と無端ベルト20との間に広い当接面積を持たせることができるので、感光体1の感光層内に不要な電荷を発生させない。同時に、感光体1と無端ベルト20とを所望の接触幅をもって均等に当接させることができ、安定した帯電制御が得られやすくなる。
また、感光体1と無端ベルト20との当接状態は変化しにくく長寿命化に優れる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、無端ベルト20表面の移動速度S1が感光体1表面の移動速度S2に対しS1≧S2となるように設定されている。そのため、無端ベルト20へ転写残トナーが固着しにくくなり、安定した帯電制御が得られやすくなる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、バイアス印加手段である高圧電源23により印加される無端ベルト20の表面電位V1が感光体1への放電開始電圧Vsに対しVs>V1となるように設定されている。そのため、帯電制御時に感光体1の感光層内に不要な電荷が発生しにくくなり、これを起因とする異常画像の発生を抑えることができる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、無端ベルト20として、JIS−A硬度40度以上のものを用いている。よって、無端ベルト20は、感光体1に対し安定した接触幅が得られ、転写残トナーに対し帯電制御の変動を低減できる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、無端ベルト20として、表面電気抵抗値が10以上10以下の範囲にあるものを用いることで、転写残トナーに対する安定した帯電制御と環境安定性(異常放電の抑止等)とを両立できる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、無端ベルト20が酸化セシウム又はシリカ等の研磨剤を含有している。そのため、感光体1表面を摺擦し感光体1表面に付着した固着物や汚染物質を除去することができ、常に感光体1表面を清浄に保つことが可能となる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、無端ベルト20を清掃する清掃部材24を備えているので、常に無端ベルト20を清浄に保つことが可能となる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、清掃部材24の自由端部に形成された曲げ部24aが無端ベルト20に当接している。よって、無端ベルト20上の固着物を除去しつつ、無端ベルト20表面の摩耗劣化を抑制することができ、長期に亘り安定した性能を得ることが可能となる。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、導電性を有する清掃部材24を介して無端ベルト20に電圧が印加される。よって、無端ベルト20は表層20aのみに導電性を持たせればよい。すなわち、無端ベルト20は、ベルト内周面に導電性等を考慮せず、駆動に優れた材料や当接に有利な材料を選択することが可能となる。また、清掃部材24を介して無端ベルト20の表層に直接電圧が印加することで、無端ベルト20は印加電圧に対しリニアな電位特性となるため、印加電圧の設定が容易となる利点もある。
また、本実施形態に係るプリンタによれば、画像形成ユニット2Y、M、C、Kがプリンタ本体に着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されている。よって、画像形成ユニット2Y、M、C、K内に収容された部品に寿命がきたり、メンテナンスが必要になったりしたときは、その画像形成ユニットを交換すればよくメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。
【図2】同プリンタの画像形成ユニットの構成を示す構成図。
【図3】同画像形成ユニット内のトナー帯電制御装置の構成を示す拡大構成図。
【図4】同トナー帯電制御装置内の清掃部材の構成を示す拡大構成図。
【図5】クリーナーレス方式を採用した画像形成装置の要部の構成を示す概略構成図。
【図6】同画像形成装置のトナー帯電制御部材の構成を示す拡大構成図。
【符号の説明】
【0026】
1 感光体
2 画像形成ユニット
3 光書き込みユニット
4 中間転写ユニット
5 定着ユニット
6 帯電装置
7 現像装置
8 トナー帯電制御装置
20 無端ベルト
21 駆動ローラ
22 テンションローラ
23 電源
24 清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該像担持体上の静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体及び該像担持体に付着しているトナーのうち少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段と、該帯電手段より像担持体移動方向上流側であって該転写手段より像担持体移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留する転写残トナーの帯電極性及び荷電性を制御するトナー帯電制御手段とを備え、
上記トナー帯電制御手段は、少なくとも表面が導電性を有する無端ベルトと、上記像担持体と該無端ベルトとが当接するように該無端ベルトを張架する複数の張架ローラと、該無端ベルト表面にバイアスを印加するバイアス印加手段とから構成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記無端ベルト表面の移動速度S1が上記像担持体表面の移動速度S2に対しS1≧S2であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
上記バイアス印加手段により印加される上記無端ベルトの表面電位V1が上記像担持体への放電開始電圧Vsに対しVs>V1であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3の画像形成装置において、
上記無端ベルトとして、JIS−A硬度40度以上のものを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記無端ベルトとして、表面電気抵抗値が10以上10以下の範囲にあるものを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の画像形成装置において、
上記無端ベルトは、少なくとも表層が研磨剤を含有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記研磨剤は、酸化セシウム又はシリカであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の画像形成装置において、
上記張架ローラのうちの一つのローラに対向して設置され、上記無端ベルトを清掃する清掃部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記清掃部材は、自由端部に曲げ部が形成され、該曲げ部が上記無端ベルトに当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9の画像形成装置において、
上記清掃部材は導電性を有し、上記バイアス印加手段は該清掃部材を介して上記無端ベルト表面に電圧を印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
像担持体と、該像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該像担持体上の静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体及び該像担持体に付着しているトナーのうち少なくとも一方を帯電せしめる帯電手段と、該帯電手段より像担持体移動方向上流側であって該転写手段より像担持体移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留するトナーの極性及び荷電性を整えるトナー帯電制御手段とを備える画像形成装置内で、該像担持体と、該現像手段、該帯電手段、該トナー帯電制御手段から選択された少なくとも1以上の手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されるプロセスカートリッジにおいて、
上記プロセスカートリッジが上記請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の画像形成装置に用いられるものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−42445(P2009−42445A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206497(P2007−206497)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】