説明

画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】ファックスを受信することで得られた画像の記録紙での濃度を確保しつつ装置の稼働率向上とトナーを有効利用可能な画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置は、残量検知手段により検知されたトナーの量が、予め定められた範囲内のときに、像担持体に、濃度を検知するための参照画像を作像し、参照画像作像ステップにより作像された参照画像の濃度を検知し、濃度検知ステップにより検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに像担持体に記憶手段に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、記録紙に画像を形成し、記録紙に形成された画像に対応するデータを記憶手段から消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、ファックスを受信することで得られた画像を記録紙に形成する画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現像剤であるトナーの残量が少ないときに記録紙に記録すると、記録した画像濃度が薄くなり、情報の欠落を招く恐れがある。ファックス画像送受信においてはその送信元と受信先が通常遠隔であることから、送信された画像が受信先で情報欠落無く正しく記録紙に記録されたか否かの確認を送信元ではできない。
【0003】
以上の状況を鑑みて、従来から、トナー残量が所定値以下になったと判断された後に受信したファックス画像は記録紙に記録せず、その受信画像をメモリに記憶保存しておく。
【0004】
そして、トナーが補給され、充分な濃度で記録紙に記録されることが保証された後に上記記憶保存されたファックス画像を記録紙に記録する。記録完了後にメモリに記憶保存されたファックス画像を消去するという技術が用いられてきた。
【0005】
しかるに、トナーは粉体であるため、複雑な構造の現像器内にあるトナー残量を高精度に検知するのは一般的に困難である。特に小型、低価格な装置においては製造コストを低く押さえる必要から一層困難となる。
【0006】
その結果、実際には多少トナーが残っていても、トナー残量検知部によりトナー残量が所定値以下になったと判断された場合は、上記したようにファックス受信画像は記録されない場合がありえる。
【0007】
その一方、小型、低価格な装置ではプロセスカートリッジと称される帯電、現像部である画像形成部とトナー容器が一体になったものが用いられる。このようなプロセスカートリッジはトナー容器が密閉された構造となっているため、トナーを補給するにはプロセスカートリッジそのものを新品に交換する必要があり、残ったトナーを経済的に使用しにくいという問題があった。
【0008】
更に、トナー補給が遅れるとファックス受信画像を記憶保存するメモリがオーバーフローし、以降のファックス受信が不可能になるという問題もあった。
【0009】
以上述べた問題点の解決策として、トナー残量が所定値以下になった後のファックス受信画像記録方法に関して、所定の記録枚数毎に、その記録状態の確認が可能なパターン画像のハードコピーを出力する。そして、受信先のオペレータがファックス受信画像の濃度を確認できるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−013594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記提案であるところのオペレータがファックス受信画像濃度を確認する方式には以下の問題点がある。1つは、オペレータが不在の場合はファックス受信画像の記録が続き、場合によっては濃度不足による情報欠落が発生する。情報欠落が発生したハードコピーに消費されたトナーは無駄になり、結果として上記提案の目的に反することになる。
【0012】
もう1つは、画像メモリに蓄積した画像データはオペレータ不在の間は消去されないことである。オペレータ不在時間が長いと画像メモリがオーバーフローし以降のファックス受信ができなくなる。また、その分容量の大きな画像メモリを装着するのは装置コストの増大となる。
【0013】
本発明の目的は、ファックスを受信することで得られた画像の記録紙での濃度を確保しつつ装置の稼働率向上とトナーを有効利用可能な画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の画像形成装置は、像担持体に画像を示すトナー像を作像することにより、記録紙に前記画像を形成する画像形成装置であって、前記画像を示すファックスを受信することで得られたデータを記憶する記憶手段と、トナーの残量を検知する残量検知手段と、前記残量検知手段により検知されたトナーの残量が、予め定められた範囲内のときに、前記像担持体に、濃度を検知するための参照画像を作像する参照画像作像手段と、前記参照画像作像手段により作像された参照画像の濃度を検知する濃度検知手段と、前記濃度検知手段により検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに前記像担持体に前記記憶手段に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、前記記録紙に当該画像を形成する形成手段と、前記記録紙に形成された画像に対応するデータを前記記憶手段から消去する消去手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファックスを受信することで得られた画像の記録紙での濃度を確保しつつ装置の稼働率向上とトナーを有効利用可能な画像形成装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における画像形成装置のブロック図である。
【図3】図2におけるトナー残量検知部の詳細ブロック図である。
【図4】印字枚数とトナー残量との関係を示すグラフである。
【図5】図2におけるCPUにより実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図2におけるCPUにより実行される表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図2におけるCPUにより実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図2におけるCPUにより実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す図である。
【0019】
画像形成装置100は、感光ドラム101、潜像形成部102、現像部103、転写部104、帯電部107、及び参照画像濃度検知部106を含む。
【0020】
感光ドラム101は像担持体である。帯電部107は感光ドラム101表面をマイナスの電荷に帯電させる。潜像形成部102は感光ドラム101の表面にレーザー光を当て静電潜像を作成する。現像部103は感光ドラム上に形成した静電潜像をトナー像として可視化する現像部である。
【0021】
転写部104はトナー像を記録紙に転写する。記録紙は図示しない給紙口から、図示しないモータ駆動により給紙され、感光ドラム101と転写部104との間を搬送し、その間にトナー像は記録紙に転写される。その後、図示しない定着部でトナー像が記録紙に定着され排紙される。
【0022】
参照画像105は現像部103により現像されたトナー像である。参照画像濃度検知部106は参照画像105の濃度を検知する。参照画像濃度検知部106は参照画像105に光を当てる発光部106Aと参照画像105から反射した光を受光する受光部106Bから構成されている。発光部106Bから発光された光強度と受光部106Aで受光した光強度とを比較し、参照画像の濃度を検知する。
【0023】
このように、画像形成装置100は、感光ドラム101に画像を示すトナー像を作像することにより、記録紙に画像を形成するようになっている。
【0024】
図2は、図1における画像形成装置100のブロック図である。
【0025】
図2において、コントローラ201は画像形成装置100に各種の動作指示を行う。操作部202はユーザーが画像形成における各種の操作を行うためのものである。表示部203は、画像形成装置の各種状態を表示する。外部I/F処理部204は、上記コントローラ201、操作部202、表示部203と画像形成装置100本体の制御を司るCPU205との間のインターフェースを処理する。
【0026】
CPU205は画像形成装置100本体の制御を司る。この画像形成装置100のプログラムはROM207に記憶されている。また、プログラム実行に伴う各種のカウンタ、レジスタはRAM206内に割り当てられる。入出力ポート208は画像形成における各種の部とCPUの間で情報をやり取りする為のものである。
【0027】
参照画像作像部209は感光ドラム101にトナー像を作成する。トナー残量検知部210はトナーの残量を検知する。なお、本実施の形態では、トナーはプロセスカートリッジと呼ばれる帯電、現像、およびトナー格納部が一体になっている容器の中に格納されているものとする。
【0028】
トナー残量検知部210はプロセスカートリッジ内に格納されているトナー量に応じてトナー格納部内に設置されている電気的導体のインピーダンスの変化を電圧に変換してトナー残量を検知する。トナー残量検知部210の詳細については後述する。トナー残量検知部210は、残量検知手段に対応する。
【0029】
帯電部107は、上述したように感光ドラム101の表面をマイナスの電荷に帯電する。潜像形成部102は、上記帯電部107によりマイナスに帯電された感光ドラム上に、レーザーを照射し、照射部分の電荷をプラスに変化させて不可視像である潜像を形成する。現像部103は、上記潜像形成部102により形成された潜像にマイナスに帯電したトナーを付着させてトナー像を感光ドラム101上に形成する。転写部104は上記トナー像を記録紙に転写する。
【0030】
ファックス画像受信部211はファックス画像を受信する。ファックス画像記憶部212は、ファックス画像受信部211により受信されたファックス画像をコントローラ201によって画像メモリ213に記憶する。すなわち、画像メモリ213は画像を示すファックスを受信することで得られたデータを記憶する記憶手段に対応する。
【0031】
ファックス画像プリントアウトページ数カウント部215はファックス画像プリントアウトページ数カウント部で受信したファックス画像のうち記録紙にプリントアウトされたページ数をカウントする。ここでのプリントアウトとは、上記帯電部107、潜像形成部102、現像部103、及び転写部104により記録紙に画像が形成されることを意味する。以下の説明において、印字も同じ意味で用いられるが、もちろん字だけを形成するものではない。
【0032】
プリントアウトカウンタ216は上記ファックス画像プリントアウトページ数カウント部215がカウントしたページ数を記憶する。表示切替設定部217は表示部203で表示するメッセージの切り替えを設定する。画像メモリ残量検知部218は画像メモリの残量を検知する部である。
【0033】
図3は、図2におけるトナー残量検知部210の詳細ブロック図である。
【0034】
図3において、トナー残量検知部210は、トナーを格納するトナー格納部801内で現像部103に近接してアンテナ803が設置され、その出力信号がCPU205に出力される。
【0035】
現像部103はバイアス電源802により電圧が印加される。現像部103とアンテナ803の間にはトナーが充填されている。このトナーの充填量に従いCPU205に出力されるアンテナ803の信号の値が変化する。
【0036】
トナー残量検知部210では、印字枚数が増加するに従って充填されているトナー量が減少すると、アンテナ803の信号の値が小さくなるように設定されている。
【0037】
図4は、印字枚数とトナー残量との関係を示すグラフである。
【0038】
図4において、トナー残量はアンテナ803からの出力信号に相当する。そして、同図に示されるように、印字枚数が増加するに従いトナー残量が減少していく。
【0039】
なお、図4では、印字枚数がn1枚の時のトナー残量をLow1、印字枚数がn2枚の時のトナー残量をLow2としている。
【0040】
上述したトナー格納部801に設置されているアンテナ803の位置、個数によりトナー残量検知精度が左右される。更に、外部環境の温度湿度でもその精度が左右される。
【0041】
図5は、図2におけるCPU205により実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【0042】
図5において、ファックス画像を受信すると(ステップS301)、受信したファックス画像を画像メモリ213に記憶し(ステップS302)、トナー残量を検知する(ステップS303)。
【0043】
ステップS302で記憶する理由は、受信した時点でのトナー残量が少なく印字画像が白抜けし、情報が欠落する場合に備えるためである。トナー残量が所定の値より少ないときは画像の白抜けの不安があるので、受信したファックス画像を記憶しておき、後にトナーが補充されたら記憶しておいたファックス画像を印字する。
【0044】
次いで、検知したトナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の予め定められた範囲内か否か判別する(ステップS304)。Low1未満の状態はトナー残量が必ずしも充分な画像濃度を確保できる量とはいいきれないくらいに減少した状態である。
【0045】
このLow1の実際の値は、トナーを格納するプロセスカートリッジの形状や、トナー残量検知部210の構成等により決定される。すなわち、Low1の実際の値は、評価実験で決定される。
【0046】
Low2未満の状態は、更にトナー残量が減少しほぼ間違いなく画像の白抜けが発生する状態である。このLow2の値も評価実験で決定される。
【0047】
以上から、ステップS304では画像が間違いなく白抜けするレベルまでは減少していないものの必ずしも充分な濃度を確保できる量とは言えない状態か否かを判別している。
【0048】
ステップS304の判別の結果、トナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内のとき(ステップS304でYES)、ソフトフラグであるカートリッジ交換フラグがセットされているか否か判別する(ステップS305)。カートリッジ交換フラグは、カートリッジ交換レベルまでトナー残量が減少したことを表すフラグである。
【0049】
ステップS305の判別の結果、カートリッジ交換フラグがセットされていないとき(ステップS305でNO)、参照画像を作像し(ステップS306)、その参照画像の濃度を、参照画像濃度検知部106を用いて検知する(ステップS307)。上記ステップS306は、検知されたトナーの量が、予め定められた範囲内のときに、感光ドラム101に、濃度を検知するための参照画像を作像する参照画像作像手段に対応する。また、ステップS307は、作像された参照画像の濃度を検知する濃度検知手段に対応する。
【0050】
次いで、検知された濃度が、予め定められた値であるDens1以上か否か判別する(ステップS308)。
【0051】
ステップS308の判別の結果、濃度がDens1以上のとき(ステップS308でYES)、ファックス画像を1ページ印字し(ステップS309)、印字した1ページに対応するファックス画像を画像メモリ213から消去する(ステップS310)。上記ステップS309は、検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに感光ドラム101に画像メモリ213に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、記録紙に画像を形成する形成手段に対応する。また、上記ステップS310は記録紙に形成された画像に対応するデータを画像メモリ213から消去する消去手段に対応する。
【0052】
次いで、受信したファックス画像を全ページ印字したか否か判別する(ステップS311)。ステップS311の判別の結果、受信したファックス画像を全ページ印字していないとき(ステップS311でNO)、上記ステップS303に戻る。
【0053】
一方、受信したファックス画像を全ページ印字したとき(ステップS311でYES)、本処理を終了する。
【0054】
上記ステップS308の判別の結果、濃度がDens1未満のとき(ステップS308でNO)、画像が白抜けするレベルまでトナーが減少しているので、カートリッジ交換指示を表示部203に表示する(ステップS314)。
【0055】
次いで、カートリッジ交換フラグをセットし(ステップS315)、本処理を終了する。以降はステップS305で参照画像を作像する前にカートリッジ交換フラグがセットされているか否かを判別してセットされていれば参照画像の作像をしないようにする。
【0056】
また、上記ステップS305の判別の結果、カートリッジ交換フラグがセットされているとき(ステップS305でYES)、上記ステップS314に進む。
【0057】
さらに、ステップS304の判別の結果、トナー残量がLow1以上、または、Low2未満の範囲内のとき(ステップS304でNO)、トナー残量がLow2未満か否か判別する(ステップS312)。
【0058】
ステップS312の判別の結果、トナー残量がLow2未満のとき(ステップS312でYES)、ほぼ確実に白抜けするレベルまでトナー残量が減少しているので、上記ステップS314に進む。
【0059】
一方、トナー残量がLow2以上のとき(ステップS312でNO:トナー残量がLow1以上)、濃度確保が可能なトナー残量となっているので、カートリッジが交換された場合も考慮してカートリッジ交換フラグを0でクリアする(ステップS313)。その後、上述したステップS309に進む。
【0060】
上述したファックス受信処理では、ファックス画像を1ページ印字する度に参照画像を作像してその濃度を判別している。これは、上述したようにトナー残量が減少した後のファックス受信画像は白抜けの不安があるためである。印字前の参照画像濃度が予め定められた値以上であっても1ページの印字でトナーが消費されるので次の印字で白抜けが発生しない保証はない。
【0061】
このファックス受信処理によればトナー残量が減少した後にファックス画像をプリントした場合の白抜け発生を確実に防止し、加えてトナーを経済的に使用することが可能となる。
【0062】
図5の処理によれば、検知されたトナーの量が、予め定められた範囲内のときに、感光ドラム101に、濃度を検知するための参照画像を作像し、作像された参照画像の濃度を検知する。そして、検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに感光ドラム101に画像メモリ213に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、記録紙に画像を形成する。そして、記録紙に形成された画像に対応するデータを画像メモリ213から消去するので、ファックスを受信することで得られた画像の記録紙での濃度を確保しつつ装置の稼働率向上とトナーを有効利用可能となる。
【0063】
図6は、図2におけるCPU205により実行される表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0064】
この表示処理は、トナー残量を表示部203に表示するための処理である。
【0065】
図6において、トナー残量検知を行い(ステップS401)、検知したトナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内か否か判別する(ステップS402)。
【0066】
ステップS402の判別の結果、トナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内のとき(ステップS304でYES)、表示部203にトナー残量が少ないことを表示して(ステップS403)、本処理を終了する。これは、ユーザーにトナー残量が少なくなってきたのでプロセスカートリッジの準備を促す表示となる。
【0067】
一方、ステップS402の判別の結果、トナー残量がLow1以上、または、Low2未満の範囲内のとき(ステップS402でNO)、トナー残量がLow2未満か否か判別する(ステップS404)。
【0068】
ステップS404の判別の結果、トナー残量がLow2未満のとき(ステップS404でYES)、表示部203にカートリッジ交換指示を表示して(ステップS405)、本処理を終了する。
【0069】
一方、トナー残量がLow2以上のとき(ステップS404でNO:トナー残量がLow1以上)、表示部203にトナー残量が十分であることを表示して(ステップS406)、本処理を終了する。
【0070】
なお、本処理ではステップS406でトナー残量が十分であることを表示しているが、何も表示しないことでトナー残量が十分であることをユーザーに伝えてもよい。
【0071】
図7は、図2におけるCPU205により実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【0072】
図5で示したファックス受信処理との違いは、画像メモリ残量を考慮する点である。
【0073】
図7において、ファックス画像を受信すると(ステップS601)、受信したファックス画像を画像メモリ213に記憶し(ステップS602)、トナー残量を検知する(ステップS603)。
【0074】
ステップS602で記憶する理由は、受信した時点でのトナー残量が少なく印字画像が白抜けし、情報が欠落する場合に備えるためである。トナー残量が所定の値より少ないときは画像の白抜けの不安があるので、受信したファックス画像を記憶しておき、後にトナーが補充されたら記憶しておいたファックス画像を印字する。
【0075】
次いで、検知したトナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内か否か判別する(ステップS604)。Low1未満の状態はトナー残量が必ずしも充分な画像濃度を確保できる量とはいいきれないくらいに減少した状態である。
【0076】
このLow1の実際の値は、トナーを格納するプロセスカートリッジの形状や、トナー残量検知部210の構成等により決定される。すなわち、Low1の実際の値は、評価実験で決定される。
【0077】
Low2未満の状態は、更にトナー残量が減少しほぼ間違いなく画像の白抜けが発生する状態である。このLow2の値も評価実験で決定される。
【0078】
以上から、ステップS604では画像が間違いなく白抜けするレベルまでは減少していないものの必ずしも充分な濃度を確保できる量とは言えない状態か否かを判別している。
【0079】
ステップS604の判別の結果、トナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内のとき(ステップS604でYES)、ソフトフラグであるカートリッジ交換フラグがセットされているか否か判別する(ステップS605)。カートリッジ交換フラグは、カートリッジ交換レベルまでトナー残量が減少したことを表すフラグである。
【0080】
ステップS605の判別の結果、カートリッジ交換フラグがセットされていないとき(ステップS605でNO)、参照画像を作像し(ステップS606)、その参照画像の濃度を、参照画像濃度検知部106を用いて検知する(ステップS607)。
【0081】
次いで、検知された濃度が、予め定められた値であるDens1以上か否か判別する(ステップS608)。
【0082】
ステップS608の判別の結果、濃度がDens1以上のとき(ステップS608でYES)、ファックス画像を1ページ印字し(ステップS609)、印字した1ページに対応するファックス画像を画像メモリ213から消去する(ステップS610)。
【0083】
次いで、受信したファックス画像を全ページ印字したか否か判別する(ステップS611)。ステップS611の判別の結果、受信したファックス画像を全ページ印字していないとき(ステップS611でNO)、上記ステップS603に戻る。
【0084】
一方、受信したファックス画像を全ページ印字したとき(ステップS611でYES)、本処理を終了する。
【0085】
上記ステップS608の判別の結果、濃度がDens1未満のとき(ステップS608でNO)、画像メモリ213の残量がA以下か否か判別する(ステップS614)。この予め定められた値Aは、画像メモリ213がファックス画像を記憶できない残量を示し、ファックス画像のデータサイズなどで決定される。
【0086】
ステップS614の判別の結果、画像メモリ213の残量がA以下ではないとき(ステップS614でNO)、そのまま本処理を終了する。一方、画像メモリ213の残量がA以下のとき(ステップS614でYES)、カートリッジ交換指示を表示部203に表示する(ステップS615)。このように、ステップS615では、検知された濃度が予め定められた濃度未満で、かつ画像メモリ213にデータを記憶可能な残量が、予め定められた記憶可能残量以下のときに、トナーの残量が少ないことを明示する。
【0087】
次いで、カートリッジ交換フラグをセットし(ステップS616)、本処理を終了する。以降はステップS605で参照画像を作像する前にカートリッジ交換フラグがセットされているか否かを判別してセットされていれば参照画像の作像をしないようにする。
【0088】
また、上記ステップS605の判別の結果、カートリッジ交換フラグがセットされているとき(ステップS605でYES)、上記ステップS614に進む。
【0089】
さらに、ステップS604の判別の結果、トナー残量がLow1以上、または、Low2未満の範囲内のとき(ステップS604でNO)、トナー残量がLow2未満か否か判別する(ステップS612)。
【0090】
ステップS612の判別の結果、トナー残量がLow2未満のとき(ステップS612でYES)、ほぼ確実に白抜けするレベルまでトナー残量が減少しているので、上記ステップS614に進む。
【0091】
一方、トナー残量がLow2以上のとき(ステップS612でNO:トナー残量がLow1以上)、濃度確保が可能なトナー残量となっているので、カートリッジが交換された場合も考慮してカートリッジ交換フラグを0でクリアする(ステップS613)。その後、上述したステップS609に進む。
【0092】
ステップS614において、画像メモリ213の残量がA以下ということは、今後のファックス受信画像を記憶できなくなる可能性が高まったことを示している。今後のファックス受信画像を記憶できなくなると装置の稼動率が低下する。従って、このときはステップS615にてプロセスカートリッジの交換をユーザーに指示する表示に切り替える。そして、印字できずに溜まったファックス画像を速やかに印字して装置の稼動率の低下を防止する。
【0093】
図8は、図2におけるCPU205により実行されるファックス受信処理の手順を示すフローチャートである。
【0094】
図8において、ファックス画像を受信すると(ステップS701)、受信したファックス画像を画像メモリ213に記憶し(ステップS702)、印字カウンタCにF(N)を代入し(ステップS703)、トナー残量を検知する(ステップS704)。
【0095】
上記印字カウンタは、トナー残量がLow2≦トナー残量<Low1になった後に印字したファックス画像のページ数を表す。
【0096】
また、F(N)は、単調減少関数である。Nは、トナー残量がLow2≦トナー残量<Low1になった後にファックス画像以外のプリンタ画像、コピー画像も含めて印字した全ページ数を表す。すなわち、F(N)は、予め定められた範囲内になってから記録紙に形成された画像の数Nが増加すると減少する。
【0097】
そしてF(N)は、例えば、1≦N≦20のときF(N)は3となり、21≦N≦40のときF(N)は2となり、41≦NのときF(N)は1となるように定義される。これをテーブルとして予め用意しておく。
【0098】
次いで、検知したトナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内か否か判別する(ステップS705)。
【0099】
ステップS705の判別の結果、トナー残量がLow1未満、かつ、Low2以上の範囲内のとき(ステップS705でYES)、F(N)がC以下か否か判別する(ステップS706)。ステップS706の判別の結果、F(N)がC以下のとき(ステップS706でYES)、Cに0を代入する(ステップS707)。
【0100】
次いで、参照画像を作像し(ステップS708)、その参照画像の濃度を、参照画像濃度検知部106を用いて検知する(ステップS709)。このように、上記ステップS708では、検知されたトナーの残量が、予め定められた範囲内で、かつ記録紙に形成された画像の数が、予め定められた値F(N)以上のときに、参照画像を作像する。
【0101】
次いで、検知された濃度が、予め定められた値であるDens1以上か否か判別する(ステップS710)。
【0102】
ステップS710の判別の結果、濃度がDens1以上のとき(ステップS710でYES)、ファックス画像を1ページ印字する(ステップS711)。そして、C,Nをそれぞれ1だけ増分する(ステップS712)。
【0103】
次いで、受信したファックス画像を全ページ印字したか否か判別する(ステップS713)。ステップS713の判別の結果、受信したファックス画像を全ページ印字していないとき(ステップS713でNO)、上記ステップS704に戻る。
【0104】
一方、受信したファックス画像を全ページ印字したとき(ステップS713でYES)、本処理を終了する。
【0105】
上記ステップS710の判別の結果、濃度がDens1未満のとき(ステップS710でNO)、カートリッジ交換指示を表示部203に表示する(ステップS716)。このステップS716は、トナーの残量が少ないことを明示する明示手段に対応する。 次いで、カートリッジ交換フラグをセットし(ステップS717)、本処理を終了する。
【0106】
また、上記ステップS706の判別の結果、F(N)がCより大きいとき(ステップS706でNO)、上記ステップS711に進む。
【0107】
さらに、ステップS705の判別の結果、トナー残量がLow1以上、または、Low2未満の範囲内のとき(ステップS705でNO)、トナー残量がLow2未満か否か判別する(ステップS714)。
【0108】
ステップS714の判別の結果、トナー残量がLow2未満のとき(ステップS714でYES)、上記ステップS716に進む。
【0109】
一方、トナー残量がLow2以上のとき(ステップS714でNO:トナー残量がLow1以上)、Nに0を代入する(ステップS715)。その後、上述したステップS711に進む。
【0110】
この処理によれば、検知された濃度が予め定められた濃度未満のときは、トナー像を形成せず、さらに前記消去手段は前記記録紙に画像は形成されていないので、データを消去しない。
【0111】
図8のファックス受信処理により、ファックス画像の印字数がF(N)回に1回の割合で参照画像の濃度検知が行われる。これにより参照画像の作像を必要充分は頻度で実施することで、トナーの効率的使用とファックス画像のプリントアウト生産性の向上が達成できる。
【0112】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0113】
101 感光ドラム
102 帯電部
103 現像部
104 転写部
105 参照画像
106 参照画像濃度検知部
106A 発光部
106B 受光部
201 コントローラ
202 操作部
203 表示部
204 外部I/F処理部
205 CPU
206 RAM
207 ROM
209 参照画像作成部
210 トナー残量検知部
211 ファックス画像受信部
212 ファックス画像記憶部
213 画像メモリ
215 ファックス画像プリントアウトページ数カウント部
216 プリントアウトカウンタ
217 表示切り替え設定部
218 画像メモリ残量検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に画像を示すトナー像を作像することにより、記録紙に前記画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像を示すファックスを受信することで得られたデータを記憶する記憶手段と、
トナーの残量を検知する残量検知手段と、
前記残量検知手段により検知されたトナーの残量が、予め定められた範囲内のときに、前記像担持体に、濃度を検知するための参照画像を作像する参照画像作像手段と、
前記参照画像作像手段により作像された参照画像の濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段により検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに前記像担持体に前記記憶手段に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、前記記録紙に当該画像を形成する形成手段と、
前記記録紙に形成された画像に対応するデータを前記記憶手段から消去する消去手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記参照画像作像手段は、前記検知されたトナーの残量が、前記予め定められた範囲内で、かつ前記形成手段により前記記録紙に形成された画像の数が、予め定められた値以上のときに、前記参照画像を作像することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記予め定められた値は、前記検知されたトナーの残量が、前記予め定められた範囲内になってから前記形成手段により前記記録紙に形成された画像の数が増加すると減少する値であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記濃度検知手段により検知された濃度が予め定められた濃度未満のときは、前記形成手段は前記トナー像を形成せず、さらに前記消去手段は前記記録紙に画像は形成されていないので、前記データを消去せず、前記トナーの残量が少ないことを明示する明示手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記明示手段は、前記濃度検知手段により検知された濃度が予め定められた濃度未満で、かつ前記記憶手段にデータを記憶可能な残量が、予め定められた記憶可能残量以下のときに、前記トナーの残量が少ないことを明示することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体に画像を示すトナー像を作像することにより、記録紙に前記画像を形成するとともに、前記画像を示すファックスを受信することで得られたデータを記憶する記憶手段と、トナーの残量を検知する残量検知手段と、を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記残量検知手段により検知されたトナーの残量が、予め定められた範囲内のときに、前記像担持体に、濃度を検知するための参照画像を作像する参照画像作像ステップと、
前記参照画像作像ステップにより作像された参照画像の濃度を検知する濃度検知ステップと、
前記濃度検知ステップにより検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに前記像担持体に前記記憶手段に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、前記記録紙に当該画像を形成する形成ステップと、
前記記録紙に形成された画像に対応するデータを前記記憶手段から消去する消去ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
像担持体に画像を示すトナー像を作像することにより、記録紙に前記画像を形成するとともに、前記画像を示すファックスを受信することで得られたデータを記憶する記憶手段と、トナーの残量を検知する残量検知手段と、を備えた画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記残量検知手段により検知されたトナーの残量が、予め定められた範囲内のときに、前記像担持体に、濃度を検知するための参照画像を作像する参照画像作像ステップと、
前記参照画像作像ステップにより作像された参照画像の濃度を検知する濃度検知ステップと、
前記濃度検知ステップにより検知された濃度が予め定められた濃度以上のときに前記像担持体に前記記憶手段に記憶されたデータが示す画像のトナー像を形成し、前記記録紙に当該画像を形成する形成ステップと、
前記記録紙に形成された画像に対応するデータを前記記憶手段から消去する消去ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−17087(P2013−17087A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149232(P2011−149232)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】