説明

画像形成装置及びプロセスユニット

【課題】帯電生成物が像担持体に付着するのを大幅に抑制する画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体2に近接して配設されると共にコロナ放電によって像担持体2を帯電させる帯電体3を備えた画像形成装置におけるものである。帯電体3を、像担持体2に近接した帯電位置と、像担持体2から離間した待機位置との間で移動させる帯電体移動手段50と、帯電体3に生じた帯電生成物の像担持体2への付着を防止する遮蔽部材20と、遮蔽部材20を、待機位置に移動させた帯電体3と像担持体2との間に介在させた遮蔽位置と、その遮蔽位置から退避した退避位置との間で移動させる遮蔽部材移動手段51を備えた。さらに、遮蔽部材20を、遮蔽部材移動手段51が有する遮蔽部材保持部62に着脱可能に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置、及びこれに設けたプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成プロセスを利用した画像形成装置は、像担持体としての感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電体と、感光体の帯電面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、感光体の表面の静電潜像に対してトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、感光体の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段と、感光体の残留電荷の除去を行う除電手段等を備えている。
【0003】
前記画像形成装置の動作について説明すると、まず、感光体の表面を帯電体によって一様に帯電し、その帯電面を露光装置によって露光して静電潜像を形成する。そして、感光体上の静電潜像に現像手段によってトナーを供給してトナー像を形成し、そのトナー像を転写紙等に転写する。その後、感光体の表面に残留するトナーをクリーニング手段によって除去すると共に、除電手段によって感光体の残留電荷を除去する。
【0004】
帯電体がコロナ放電を利用して帯電を行うコロナ放電器である場合、コロナ放電の際にオゾンが発生し、オゾンの発生に伴って、窒素酸化物やその窒素酸化物による硝酸塩等の帯電生成物が生成される。そして、作像動作を繰り返すことにより、前記帯電生成物が帯電体のグリッド電極等に蓄積される。その後、帯電体に蓄積した帯電生成物が時間をかけてガス化すると、それが感光体の表面に降り注いで付着することがある。感光体の表面に帯電生成物が付着した場合、その付着した部分が劣化して静電電荷が形成されにくくなるため、画像ボケや画像濃度ムラ等の不具合が発生する。
【0005】
そのため、特許文献1の画像形成装置は、画像形成動作終了後に帯電体の向きを変えるように構成している。帯電体の向きを変えてグリッド電極が感光体に対向しないように配設することによって、グリッド電極から感光体への帯電生成物の移動を防止し得るとしている。
【特許文献1】特開2001−109240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のように、グリッド電極を感光体に対向しない位置に移動させても、帯電体から帯電生成物が感光体上に徐々に落下して堆積する場合があるため、異常画像の発生を防止するには不十分である。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、帯電生成物が像担持体(感光体)に付着するのを防止する画像形成装置及び、これに設けたプロセスユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、像担持体に近接して配設されると共にコロナ放電によって前記像担持体を帯電させる帯電体を備えた画像形成装置において、前記帯電体を、前記像担持体に近接した帯電位置と、像担持体から離間した待機位置との間で移動させる帯電体移動手段と、前記帯電体に生じた帯電生成物の前記像担持体への付着を防止する遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記待機位置に移動させた帯電体と像担持体との間に介在させた遮蔽位置と、その遮蔽位置から退避した退避位置との間で移動させる遮蔽部材移動手段を備え、前記遮蔽部材を、前記遮蔽部材移動手段が有する遮蔽部材保持部に着脱可能に取り付けたものである。
【0009】
帯電体によって像担持体の帯電を終えたとき、帯電体を帯電体移動手段によって帯電位置から待機位置に移動させる。また、このとき、遮蔽部材を遮蔽部材移動手段によって退避位置から遮蔽位置へ移動させて、帯電体と像担持体との間に介在させる。これにより、帯電体に生じた帯電生成物が像担持体側へ移動しても、その帯電生成物を遮蔽部材が受け止めることができ、帯電生成物が像担持体に付着するのを大幅に抑制することができる。
【0010】
また、遮蔽部材は遮蔽部材保持部に対して着脱可能に構成されているので、遮蔽部材を遮蔽部材保持部から取り外して、遮蔽部材の清掃又は交換を行うことができる。これにより、遮蔽部材に付着した帯電生成物が像担持体側へ移動する虞を低減することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記帯電体は、少なくとも、開口部を有するシールド体と、当該シールド体内に収容された放電電極を有し、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配設すると共に、前記帯電体を前記待機位置に配設した際に、前記シールド体の開口部に対向する前記遮蔽部材の対向面と前記シールド体の開口部側の端縁との間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記シールド体の少なくとも一方に付設したものである。
【0012】
シール部材によって、遮蔽部材の対向面と帯電体のシールド体の端縁との間が密閉されるため、遮蔽部材の対向面と帯電体のシールド体の端縁との間から帯電生成物が像担持体へ移動するのを抑制することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配設すると共に、前記帯電体を前記待機位置に配設した際に、前記遮蔽部材の前記対向面が水平面に対して傾斜して配設されている場合、前記対向面の少なくとも下部とそれに対向する前記シールド体の開口部側の端縁との間を密閉するシール部材を、前記対向面の下部又はそれに対向する前記シールド体の開口側の端縁の少なくとも一方に付設したものである。
【0014】
シール部材によって、遮蔽部材の対向面の少なくとも下部とそれに対向するシールド体の端縁との間が密閉されるため、帯電体から像担持体へ帯電生成物が移動するのを効果的に抑制することができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記帯電体によって前記像担持体を帯電させる際に生じる前記帯電生成物を外部へ排出するための排気ダクトを設け、前記遮蔽部材を前記退避位置に配設した際、当該遮蔽部材が排気ダクトの一部を構成するようにしたものである。
【0016】
これにより、省スペース化を図ることができ、装置全体をコンパクト化することが可能となる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記遮蔽部材を前記退避位置に配設した際に、前記遮蔽部材と前記排気ダクトとの間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記排気ダクトの少なくとも一方に付設したものである。
【0018】
シール部材によって排気ダクトと遮蔽部材との間を密閉することにより、排気ダクトが帯電生成物を吸引する際に、その帯電生成物が排気ダクトと遮蔽部材の隙間から画像形成装置内に漏洩するのを抑制することができる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の画像形成装置において、前記遮蔽部材を前記退避位置に配設すると共に、前記帯電体を前記帯電位置に配設した際に、前記遮蔽部材と前記帯電体との間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記帯電体の少なくとも一方に付設したものである。
【0020】
シール部材によって遮蔽部材と帯電体との間を密閉することにより、排気ダクトが帯電生成物を吸引する際に、その帯電生成物が遮蔽部材と帯電体の隙間から画像形成装置内に漏洩するのを抑制することができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記遮蔽部材の前記保持部材に対する着脱を、画像形成装置装置本体の前面から行うように構成したものである。
【0022】
これにより、遮蔽部材の着脱作業が行いやすくなり、作業時間を短縮することが可能である。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、その体積平均粒径が3μm〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるものとした。
【0024】
これにより、地肌かぶりの少ない高品位の画像を得ることができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、その形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものとした。
【0026】
形状係数SF−1とSF−2の値が100に近づくと、トナーの形状が球形に近くなる。この場合、トナーとトナーあるいはトナー像担持体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなる。従って、流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて形成した。
【0028】
これにより、高画質の画像を形成することができる。
【0029】
請求項11の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、略球形状に形成した。
【0030】
これにより、高画質の画像を形成することができる。
【0031】
請求項12の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーの形状を長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定したとき(但し、r1≧r2≧r3とする)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあるようにした。
【0032】
これにより、高画質の画像を形成することができる。
【0033】
請求項13の発明は、少なくとも前記像担持体と前記帯電体を一体的に有するプロセスユニットにおいて、請求項1から12のいずれか1項に記載の画像形成装置に対して着脱可能に構成したものである。
【0034】
画像形成装置に着脱可能なプロセスユニットを採用することにより、交換、修理、補給等のメンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の画像形成装置によれば、帯電動作を終えた後、遮蔽部材を帯電体と像担持体との間に介在させることによって、帯電体から像担持体側に帯電生成物が移動しても、これを遮蔽部材が受け止めることができる。これにより、像担持体の表面への帯電生成物の付着が大幅に抑制されるため、画像ボケや画像濃度ムラ等の異常画像が発生するのを防ぐことが可能となる。しかも、遮蔽部材を遮蔽部材保持部から簡単に取り外して遮蔽部材の清掃又は交換を行うことができる。これにより、遮蔽部材に付着した帯電生成物が像担持体側へ移動する虞を低減することができる。
【0036】
また、前記画像形成装置に設けたプロセスユニットにおいても、上記と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。図1に示す本発明の画像形成装置は、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色の現像剤によって画像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを有する。
【0038】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、互いに異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、1つのプロセスユニット1Yを例にその構成を説明する。
【0039】
プロセスユニット1Yは、静電潜像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電体3と、感光体2の表面の静電潜像に対してトナーを供給してトナー像を形成する現像手段4と、感光体2の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段5と、感光体2の残留電荷の除去を行う除電ランプ等の除電手段6を備えている。クリーニング手段5としては、クリーニングブレード、クリーニングローラ又はクリーニングブラシ等を適用することが可能である。あるいは、これらを併用してもよい。
【0040】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面に静電潜像を形成する露光装置7が配設されている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、中間転写ユニット8が配設されている。中間転写ユニット8は、駆動ローラ及び従動ローラから成る複数のローラ9,10,11と、当該複数のローラ9,10,11に掛け渡された無端ベルト状の中間転写ベルト12を有する。
【0041】
4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの各感光体2に対向して、転写手段としての4つの一次転写ローラ13Y,13C,13M,13Bkが配設されている。4つの一次転写ローラ13Y,13C,13M,13Bkと各感光体2とによって、中間転写ベルト12を挟み込んで一次転写ニップを形成している。
【0042】
中間転写ユニット8の図の下部のローラ10に対向して、二次転写ローラ14が配設されている。この二次転写ローラ14とローラ10によって中間転写ベルト12を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
【0043】
画像形成装置の下部には、給紙部15が配設されている。給紙部15は、記録紙Pを複数枚重ねて収容可能な給紙カセットと、給紙カセットから記録紙Pを搬出する給紙ローラとを有する(図示省略)。
【0044】
給紙部15と中間転写ユニット8の間に、一対のレジストローラ16a、16bと、駆動ローラ及び従動ローラに張架された搬送ベルトから成る転写紙搬送ユニット17と、定着装置18が配設されている。
【0045】
定着装置18は、例えば、定着ローラ18aと、補助ローラ18bと、これらローラ18a,18bに張架された定着ベルト18cと、加圧ローラ18dによって構成され、定着ローラ18aと補助ローラ18bの少なくとも一方にヒータ等の加熱源を有する。
【0046】
また、図の符号19は、画像形成装置本体の外部へ排出した転写紙Pをストックするための排紙トレイである。
【0047】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
まず、作像動作について1つのプロセスユニット1Yを例にして説明する。帯電体3によって感光体2の表面を均一な高電位に帯電させる。画像データに基づいて露光装置7から感光体2の表面にレーザビームが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。この感光体2の表面の静電潜像が形成された部分に、現像手段4によって帯電させたトナーを静電的に転移させ、イエローのトナー像を形成(可視画像化)する。
【0048】
一次転写ローラ13Yに、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ローラ13Yと感光体2との間の一次転写ニップにおいて電界(転写電界)を形成する。そして、一次転写ニップにおいて、回転する感光体2上のトナー画像を、図の矢印方向に走行する中間転写ベルト12に転写する。
【0049】
その他の各プロセスユニット1C,1M,1Bkにおいても、同様にして感光体2上にトナー像を形成し、4色のトナー像を互いに重なり合うように中間転写ベルト12に転写する。
【0050】
また、各クリーニング手段5は、一次転写行程を経た後の感光体2の表面に付着している残留トナーを除去する。その後、除電手段6によって、感光体2の残留電荷の除電を行う。
【0051】
一方、給紙部15において、図示しない給紙ローラを回転させて、給紙カセットから記録紙Pを送り出す。給紙カセットから送り出された記録紙Pは、レジストローラ16a,16bによって一旦停止される。
【0052】
上記作像動作によって、中間転写ベルト12に各色のトナー像を重ね合わせた合成トナー像を形成した後、レジストローラ16a,16bの駆動を再開し、中間転写ベルト12上の合成トナー像とタイミング(同期)をとって記録紙Pを二次転写ローラ14とローラ10との間の二次転写ニップへ送る。そして、二次転写ニップに送られてきた記録紙Pに中間転写ベルト12上の合成トナー像を転写する。
【0053】
合成トナー像を転写した記録紙Pは、定着装置18へと搬送される。定着装置18に送り込まれた記録紙Pは、定着ローラ18aと加圧ローラ18d間に挟まれて加熱・加圧され、合成トナー像が記録紙P上に定着される。その後、記録紙Pは排紙トレイ19に排出されストックされる。
【0054】
以下、図2〜図4を参照して、本発明の特徴部分の構成について説明する。
本発明の画像形成装置に搭載された帯電体3は、コロナ放電によって感光体2を帯電するコロナ帯電装置で構成されている。図2に示す実施形態では、帯電体3は、開口部30aを有するシールド体30と、シールド体30内に収容された放電電極31と、シールド体30の開口部30a側に配設されたグリッド電極32を有するスコロトロン帯電装置である。なお、コロナ放電方式の帯電体3として、グリッド電極を有しないコロトロン帯電装置を適用することも可能である。
【0055】
コロナ放電方式の帯電体3によって感光体2を帯電する際、オゾンが発生するため、帯電生成物が生成される。そのため、本発明の画像形成装置は、帯電生成物が感光体2の表面に付着するのを防止するための遮蔽部材20と、帯電生成物を外部へ排出するための排気ダクト40を備えている。
【0056】
また、本発明の画像形成装置は、帯電体3を移動させる帯電体移動手段50と、遮蔽部材20を移動させる遮蔽部材移動手段51を備える。帯電体3は、帯電体移動手段50によって、感光体2に近接した帯電位置A1(図2の実線で示す位置)と、感光体2から離間した待機位置A2(図2の一点鎖線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。また、遮蔽部材20は、遮蔽部材移動手段51によって、帯電体3と感光体2との間に介在させた遮蔽位置B2(図2の一点鎖線で示す位置)と、その遮蔽位置から退避した退避位置B1(図2の実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。
【0057】
図2に示すように、帯電体移動手段50は、帯電体3を保持する帯電体保持部52と、帯電体保持部52に設けたスライドピン53と、スライドピン53を挿通した長孔54等を有している。図2の左右方向に延在した固定部材56に、支軸55が感光体2の軸方向と平行を成すように付設されている。この支軸55に、帯電体保持部52が回動可能に取り付けられている。これにより、帯電体3は帯電体保持部52を介して支軸55を中心に矢印Cの方向に回動するようになっている。
【0058】
固定部材56には、長手状の移動部材57が矢印Dの方向にスライド移動するように取り付けられている。移動部材57の下面には、その長手方向に渡って凹凸状のギア部58が形成してある。また、ギア部58に噛合するピニオンギア等の歯車部材59が、固定部材56に回転可能に取り付けられている。この歯車部材59が正方向又は逆方向に回転することによって、移動部材57が矢印D方向に往復移動するように構成されている。
【0059】
スライドピン53を挿通した上記長孔54は、移動部材57に形成してある。移動部材57の矢印D方向の往復移動に伴って、スライドピン53は長孔54内を摺動するようになっている。このとき、長孔54はスライドピン53を所定の位置に移動させるためのカム部60として機能し、スライドピン53はそのカム部60に摺接するカム受け部61として機能する。
【0060】
上記遮蔽部材移動手段51は、遮蔽部材20を保持する遮蔽部材保持部62と、遮蔽部材20を遮蔽位置B2と退避位置B1との間で案内するためのガイド機構63と、遮蔽部材20を一方向に移動させる移動係合部64と、遮蔽部材20を前記一方向と反対方向に付勢する付勢手段65等を有している。
【0061】
遮蔽部材保持部62は、固定部材56へ取り付けられた本体部62aと、本体部62aから下方に延伸した取付部62bを有する。取付部62bには、遮蔽部材20が取り付けられている。
【0062】
ガイド機構63は、固定部材56に形成した2つのガイド溝66a,66bと、各ガイド溝66a,66bに挿通された2つのガイドピン67a,67bから成る。2つのガイドピン67a,67bは、遮蔽部材保持部62の本体部62aに付設されている。
【0063】
上記移動係合部64は、移動部材57に配設されている。詳しくは、移動部材57に長方形の孔部68が形成してあり、この孔部68の図の左端縁によって移動係合部64を構成している。また、2つのガイドピン67a,67bのうち、図の右側のガイドピン67bが、長方形の孔部68内に挿通されている。これにより、移動部材57が図2に示す状態から図の右側へ移動すると、移動係合部64が孔部68内に挿通されたガイドピン67bに当接するようになっている。また、図2に示す状態において、移動係合部57は、孔部68内に挿通されたガイドピン67bに対して、図の左側に所定距離Lだけ離れた位置に配設されている。
【0064】
上記付勢手段65は、例えば、バネ等の弾性部材で構成される。付勢手段65の一端は遮蔽部材保持部62に付設され、他端は図示しない画像形成装置本体に付設されている。付勢手段65には引張力が作用しており、この引張力によって遮蔽部材保持部62を図の左側へ引っ張っている。また、付勢手段65として圧縮バネを使用し、この圧縮バネの押圧力によって、遮蔽部材保持部62を図の左側に付勢するように構成してもよい。
【0065】
遮蔽部材20が退避位置B1に配設された状態において、遮蔽部材20及び遮蔽部材保持部62の取付部62bによって、排気ダクト40の一部を構成している。詳しくは、排気ダクト40には、その上面部の吸引口40a側から奥側(吸引方向)へ向かって部分的に切り欠かれた切欠き部40bが形成されている。この切欠き部40bは、遮蔽部材20及び取付部62bに対応した形状に形成され、遮蔽部材20及び取付部62bが切欠き部40bに配設されることによって排気ダクト40の一部を構成する。言い換えれば、排気ダクト40の外壁の一部40cを排気ダクト40の本体部40dから分離可能に構成し、その分離可能な排気ダクト40の一部40c(分離部)によって遮蔽部材20を構成している。また、遮蔽部材20及び取付部62bの排気ダクト40の切欠き部40bに対向する箇所には、第1シール部材69が付設されている。
【0066】
図3は、帯電体3を待機位置A2に配設し、遮蔽部材20を遮蔽位置B2に配設した状態を示す。この状態において、帯電体3のシールド体30の開口部30aに対向した遮蔽部材20の対向面20aに、第2シール部材70が付設されている。図3に示すように、遮蔽部材20は、図の一点鎖線Xで示す水平面に対して傾斜して配設されており、上記第2シール部材70は、傾斜して配設された対向面20aの下部(先端部)に付設されている。また、図3に示すように、上記第2シール部材70は、シールド体30の開口部30a側の端縁30bに当接するように配設されている。
【0067】
図4の(a)(b)は、遮蔽部材20と遮蔽部材保持部62の斜視図である。図4の(a)(b)に示すように、遮蔽部材20は、遮蔽部材保持部62の取付部62bに着脱可能に取り付けられている。遮蔽部材20を遮蔽部材保持部62に着脱するための手段として、例えば、遮蔽部材20に設けた係止爪部71と、遮蔽部材保持部62の取付部62bに形成した挿入孔72を有する。係止爪部71を挿入孔72に挿入し係合させることによって、遮蔽部材20を取付部62bに取り付けることができる。また、係止爪部71による係合を解除し、係止爪部71を挿入孔72から離脱させることによって、遮蔽部材20を取付部62bに対して取り外せるようになっている。なお、遮蔽部材20を遮蔽部材保持部62に着脱するための手段は、これに限らない。
【0068】
画像形成装置本体の前面にはメンテナンス用の開閉カバーが設けてある(図示省略)。この開閉カバーを開放することによって、画像形成装置本体内に配設された遮蔽部材20の遮蔽部材保持部62に対する着脱作業を行い得るようにしている。前記「画像形成装置本体の前面」とは、例えば、画像形成装置を操作する利用者が対向する画像形成装置本体の面である。
【0069】
以下、本発明の画像形成装置に使用されるトナーについて説明する。
トナーの体積平均粒径Dvは、小さい方が細線再現性を向上させることができるために、大きくとも8μm以下のトナーを用いる。しかし、粒径が小さくなると現像性、クリーニング性が低下するために、小さくとも3μm以上が好ましい。さらに、3μm未満では、キャリア又は現像ローラの表面に現像されにくい微小粒径のトナーが多くなるために、その他のトナーにおけるキャリアまたは現像ローラとの接触・摩擦が不十分となり逆帯電性トナーが多くなり地肌かぶり等の異常画像を形成するため好ましくない。
【0070】
また、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比(Dv/Dn)で表される粒径分布は、1.00〜1.40の範囲であることが好ましい。粒径分布をシャープにすることで、トナー帯電量分布が均一にすることができる。Dv/Dnが1.40を越えると、トナーの帯電量分布も広く、逆帯電性トナーが多くなるために高品位の画像を得るのが困難になる。Dv/Dnが1.00未満では、製造が困難であり、実用的ではない。
【0071】
図7は、トナーの形状を模式的に表した図であり、図7(a)は形状係数SF−1、図7(b)は形状係数SF−2を説明するための図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0072】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4)・・・(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0073】
本発明の画像形成装置において用いるトナーは、上記形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものとする。形状係数SF−1とSF−2の値が100に近づくと、トナーの形状が球形に近くなる。トナーが略球形であると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなる。従って、流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0074】
本発明の画像形成装置に好適なトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図8(a)〜(c)に、トナーの形状を模式的に示す。
図8において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図8(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図8(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位の画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
【0075】
また、上記トナーとして、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステルと、着色剤、離型剤を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを採用することが好ましい。これにより、高品位の画像を得ることができる。
【0076】
以下、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。ただし、以下の構成材料及び製造法に限定されることはない。
トナーは、トナー組成物形成工程→乳化工程→熟成工程→脱溶剤工程→アルカリ洗浄・水洗工程→乾燥工程→外添剤処理工程を経て製造される。
【0077】
上記トナー組成物形成工程では、例えば、酢酸エチル等の有機溶媒に、樹脂、着色剤、ワックス、帯電制御剤、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(プレポリマー)から成るトナー原材料を溶解させ、これをトナー組成物とする。なお、プレポリマーは、ベースとなるポリマー1分子中に2以上の反応基を有するポリマーである。
【0078】
乳化工程では、界面活性剤、粘度調整剤、樹脂微粒子を含有する水系媒体に、上記トナー組成物とアミン類を加えて、せん断力により分散させ、乳化状態を形成する。
【0079】
熟成工程では、イソシアネート基とアミン類との反応による伸長及び/又は架橋反応を促進させるため、反応系に対して加熱を行う。
【0080】
脱溶剤工程は、その一例として、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を蒸発除去する方法を採用することができる。
【0081】
アルカリ洗浄・水洗工程は、得られたトナー粒子表面に残存している異物(界面活性剤、粘度調整剤等)を除去するための工程である。
【0082】
乾燥工程では、得られたトナー粒子を濾過して回収し、乾燥させる。
【0083】
外添剤処理工程では、必要に応じて、外添剤粒子(シリカ、チタニア、アルミナ等)を0.1〜5.0重量部の範囲でミキサーにより外添する。
【0084】
以下、本発明の画像形成装置において用いるトナーの製造方法の一例を説明する。ただし、この製造方法に限定されるものではない。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690重量部と、テレフタル酸256重量部を入れ、常圧下、230℃で8時間重縮合する。次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、160℃まで冷却し、これに無水フタル酸を18重量部加えて2時間反応させて、変性されていないポリエステルを得る。
【0085】
また、冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800重量部、イソフタル酸180重量部、テレフタル酸60重量部、及びジブチルチンオキサイド2重量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させる。さらに、10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに無水フタル酸を32重量部加えて2時間反応させる。その後、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170重量部と2時間反応を行い、イソシアネート基含有プレポリマーを得る。
【0086】
また、攪拌棒及び温度計を備えた反応槽中に、イソホロンジアミン30重量部と、メチルエチルケトン70重量部を投入し、50℃で5時間反応させてケチミン化合物を得る。
【0087】
ビーカー内に、前記プレポリマー15.4重量部、前記ポリエステル60重量部、酢酸エチル78.6重量部を入れ、攪拌し溶解する。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10重量部、銅フタロシアニンブルー顔料(シアン顔料)4重量部を入れ、60℃でTK式ホモミキサーによって12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させる。そして、前記ケチミン化合物2.7重量部加え溶解させる。これを、トナー材料溶液とする。
【0088】
ビーカー内に、イオン交換水306重量部、リン酸カルシウム10%懸濁液265重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部、平均粒径0.20μmのスチレン/アクリル系樹脂微粒子を入れ、均一に溶解する。これを60℃に昇温し、TK式ホモミキサーによって12000rpmで攪拌しながら、前記トナー材料溶液を投入し、10分間攪拌する。この混合液を、攪拌棒及び温度計付きのコルベンに500g計量して移し、45℃まで昇温して、減圧下、ウレア反応をさせながら、0.5時間かけて溶剤を除去する。これを、濾別、洗浄、乾燥させた後、風力分級し母体樹脂を得る。
【0089】
前記母体樹脂100重量部、帯電制御剤(オリエント化学社製ボントロンE−84)0.25重量部を、Q型ミキサー(三井鉱山社製)に投入し、タービン型羽根の周速を50m/secに設定し、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計10分間処理する。さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5重量部添加し、周速を15m/secとして30秒混合、1分間休止を5サイクル行い、シアントナーを得る。その後、トナー粒子100重量部に疎水性シリカ0.5重量部と、疎水化酸化チタン0.5重量部を、ヘンシェルミキサーによって混合して、本発明のトナーを得る。
【0090】
また、前記「銅フタロシアニンブルー顔料(シアン顔料)4重量部」の代わりに、以下の顔料を適用することによって、他の色のトナーを製造することが可能である。例えば、イエロートナーの場合は、ベンジジンイエロー顔料6重量部を適用する。マゼンタトナーの場合は、ローダミンレーキ顔料6重量部を適用する。また、ブラックトナーの場合は、カーボンブラック10重量部を適用すればよい。
【0091】
以下、図2,図5,図6を参照して、前記帯電体3と遮蔽部材20の動作について説明する。
帯電体3によって感光体2の帯電を行うときは、図2に示すように帯電体3を帯電位置A1に配置する。このとき、遮蔽部材20は退避位置B1に配置され排気ダクト40の一部を構成している。帯電体3をコロナ放電させて感光体2の表面を帯電させる際、オゾンや窒素酸化物に基づく硝酸塩等の帯電生成物が生成される。生成された帯電生成物は、排気ダクト40の吸引口40aから吸引され、画像形成装置外に排出される。
【0092】
帯電体3によって感光体2の帯電動作を終えた後、歯車部材59を図の時計回りに回転させる。これにより、図5に示すように、移動部材57が図の右側へ移動する。この移動部材57の移動に伴って、長孔54が図の右側へ移動し、長孔54内を摺動するスライドピン53が図の上方に押し上げられる。これに伴って、帯電体3が支軸55を中心に上方へ回動する。
【0093】
また、図5に示すように、移動部材57が図の右側に移動することによって、移動部材57に形成した長方形の孔部68も図の右側へ移動する。その孔部68の左端縁に配設した移動係合部64は、2つのガイドピン67a,67bのうち、図の右側のガイドピン67b側へ接近するが、図の状態では、移動係合部64はそのガイドピン67bに未だ当接していない。
【0094】
図5に示す状態から、移動部材57をさらに図の右側に移動させると、移動係合部64はガイドピン67bに当接する。その後、移動係合部64がガイドピン67bを図の右側に押圧することによって、2つのガイドピン67a,67bは、対応するガイド溝66a,66b内を摺動する。これに伴い、図6に示すように、遮蔽部材保持部62及び遮蔽部材20は、付勢手段65の付勢力に対抗して右側へ移動される。
【0095】
そして、図6に示すように、スライドピン53が長孔54の図の左端部に当接して位置決めされることにより、帯電体3は待機位置A2に保持される。一方、2つのガイドピン67a,67bが、対応するガイド溝66a,66bの図の右端部に当接して位置決めされることにより、遮蔽部材20が遮蔽位置B2に保持される。
【0096】
遮蔽位置B2に配設された遮蔽部材20は、待機位置A2に配設された帯電体3と感光体2との間に配設される。これにより、帯電体3のグリッド電極32等に付着した帯電生成物がガス化して感光体2側に移動しても、その帯電生成物を遮蔽部材20が受け止めることができる。
【0097】
また、遮蔽部材20を遮蔽位置B2に配設した際、遮蔽部材20に配設した第2シール部材70が、帯電体3のシールド体30の端縁に当接する。この第2シール部材70によって、特に遮蔽部材20の対向面20aの下部(先端部)とそれに対向するシールド体30の端縁との間が密閉されるため、対向面20aとシールド体30の端縁の隙間から帯電生成物が感光体2へ移動するのを効果的に抑制することができる。また、帯電生成物が感光体2へ移動するのを一層抑制するために、第2シール部材70を、シールド体30の開口部30a側の端縁全体に当接するように、遮蔽部材20の対向面20aに付設してもよい。また、第2シール部材70をシールド体30の端縁に付設することも可能である。
【0098】
その後、再度感光体2の帯電を行うときは、歯車部材59を上記と反対方向の反時計回りに回転させて、移動部材57が図6の左側へ移動させる。移動部材57の移動に伴ってスライドピン53が長孔54内を摺動し、帯電体3が支軸55を中心に図の下方へ回動する。また、付勢手段65の引張力によって遮蔽部材保持部62は常時引っ張られているため、移動部材57の図の左側への移動に伴って、遮蔽部材20は図の左側に移動する。
【0099】
そして、図5に示すように、2つのガイドピン67a,67bは対応するガイド溝66a,66bの図の左端部において位置決めされ、遮蔽部材20は退避位置B1に保持される。このとき、遮蔽部材20及び遮蔽部材保持部62の取付部62bに渡って付設した第1シール部材69が、排気ダクト40の切欠き部40bに密着する。一方、帯電体3の回動(移動)は、図5に示す時点では未だ完了していない。
【0100】
図5に示す状態から、移動部材57をさらに図の左側に移動させると、図2に示すように、スライドピン53が長孔54の図の右端部において位置決めされ、帯電体3は帯電位置A1に保持される。このように帯電体3を帯電位置A1に戻すことによって、感光体2の帯電を行えるようになる。
【0101】
また、図2に示すように、帯電体3を帯電位置A1に戻した際、帯電体3のシールド体30が、遮蔽部材20に付設した第2シール部材70に密着する。第2シール部材70が帯電体3のシールド体30の側面に密着することによって、遮蔽部材20の先端部と帯電体3との間が密閉される。さらに、上述のように、遮蔽部材20を退避位置B1に戻した際、第1シール部材69によって、遮蔽部材20と排気ダクト40との間、及び取付部62bと排気ダクト40との間が密閉される。このように、第1シール部材69及び第2シール部材70によって各部材間を密閉することにより、排気ダクト40によって帯電生成物を外部に排出する際に、吸引した帯電生成物が画像形成装置内に漏洩するのを抑制することができる。また、吸引した帯電生成物が画像形成装置内に漏洩するのを抑制するために、排気ダクト40の切欠き部40bや、帯電体3のシールド体30にシール部材を付設してもよい。
【0102】
また、遮蔽部材20の先端部に付設した第2シール部材70は、遮蔽部材20が退避位置B1にある場合(図2参照)は、吸引する帯電生成物の漏洩を抑制するシール部材として機能し、遮蔽部材20が遮蔽位置B2にある場合(図6参照)は、帯電生成物の感光体2側への移動を抑制するシール部材として機能する。つまり、1つのシール部材(第2シール部材70)によって、2パターンのシール機能を発揮することができるようになっている。これにより、シール部材の付設数を削減することができ、製造コストの軽減や省スペース化を図ることが可能である。
【0103】
上述のように、本発明の画像形成装置は、帯電動作を終えた後、遮蔽部材20を帯電体3と感光体2との間に介在させることによって、帯電体3に付着した帯電生成物がガス化して感光体2側に移動しても、その帯電生成物を遮蔽部材20が受け止めることができる。これにより、感光体2の表面に帯電生成物が付着することを大幅に抑制することができ、画像ボケや画像濃度ムラ等の異常画像の発生を防ぐことができる。
【0104】
また、遮蔽部材20は遮蔽部材保持部62の取付部62bに対して着脱可能に構成されているので、遮蔽部材20を取付部62bから取り外して、遮蔽部材20の清掃又は交換を行うことができる。これにより、遮蔽部材20に付着した帯電生成物がガス化して感光体2側へ移動する虞を低減することができる。しかも、メンテナンス用の開閉カバーを開放することによって、遮蔽部材20の着脱作業を画像形成装置本体の前面から行えるようになっている。このため、遮蔽部材20の着脱作業が行いやすく、作業時間を短縮することが可能である。
【0105】
また、本発明の画像形成装置は、遮蔽部材20を退避位置B1に配設した際、遮蔽部材20及び遮蔽部材保持部62の取付部62bが、排気ダクト40の一部を構成するようになっている。これにより、省スペース化を図ることができ、装置全体をコンパクト化することが可能となる。
【0106】
また、帯電体3を移動させるためのカム部60として機能する長孔54と、遮蔽部材20を移動させるための移動係合部64は、移動部材57に一体的に配設されている。このため、帯電体移動手段50の駆動源と遮蔽部材移動手段51の駆動源を、共通の駆動源(歯車部材59を回転させるモータ)とすることができる。従って、帯電体移動手段50の駆動源と遮蔽部材移動手段51の駆動源を独立して設ける必要がなく、装置のコンパクト化や製造コストの削減等を図ることが可能である。
【0107】
図2に示すように、遮蔽部材20の退避位置B1と帯電体3の帯電位置A1が、互いに近接した位置に設定されている場合、遮蔽部材20の遮蔽位置B2への移動と、帯電体3の帯電位置A1への移動を同時に開始すると、帯電体3と感光体2との間に十分なスペースができる前に遮蔽部材20が帯電体3と感光体2との間に進入することになるため、遮蔽部材20と帯電体3が干渉する虞がある。そこで、本発明の画像形成装置は、遮蔽部材20の遮蔽位置への移動の開始を、帯電体3の待機位置への移動の開始より所定時間遅らせるようにしている。具体的には、図2に示すように、移動係合部64とそれが当接するガイドピン67bを所定距離Lだけ離しておくことによって、移動部材57が図の右側へ移動した際、移動係合部64がガイドピン67bに当接するまでに所定の時間を要するように構成している。これにより、遮蔽部材20の遮蔽位置B2への移動よりも先に帯電体3の待機位置A2への移動を開始することができ、帯電体3と感光体2との間に十分なスペースをあけてから、そのスペースに遮蔽部材20を進入させることができる。また、このような構造を採用することによって、遮蔽部材20の退避位置B1と帯電体3の帯電位置A1を、互いに近接した位置に設定することができ、装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0108】
また、移動係合部64とガイドピン67bとの間の前記距離Lの長さを変えることによって、遮蔽部材20の遮蔽位置への移動開始のタイミングを調整することができる。具体的には、前記距離Lを短くすると、遮蔽部材20の遮蔽位置への移動開始を早くすることができ、反対に前記距離Lを長くすると、遮蔽部材20の遮蔽位置への移動開始を遅くすることが可能である。
【0109】
また、上記実施形態では、帯電体3を回動させることによって、帯電位置A1と待機位置A2との間を移動させている。帯電体3を回動させる構造は、帯電体3を水平移動や垂直移動等の平行移動させる構造に比べて、帯電体3の移動を安定して行うことができ、信頼性が向上する。また、帯電体3を回動させる構造は、簡単な構成によって実現可能であるので、コストの低減や省スペース化を図ることが可能である。
【0110】
以上、本発明の構成を、複数の感光体を有するタンデム型間接転写方式のカラー画像形成装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本発明の構成を、タンデム型直接転写方式のカラー画像形成装置や、1つの感光体を有する中間転写方式のカラー画像形成装置、あるいは直接転写方式の単色(モノクロ)画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成図である。
【図2】前記画像形成装置の要部を示す図である。
【図3】帯電体を待機位置に配置し、遮蔽部材を遮蔽位置に配置した状態を示す図である。
【図4】遮蔽部材と遮蔽部材保持部の斜視図であって、(a)は遮蔽部材を遮蔽部材保持部に取り付けた状態を示す図、(b)は遮蔽部材を遮蔽部材保持部から取り外した状態を示す図である。
【図5】帯電体と遮蔽部材の動作を説明するための図であって、帯電体と遮蔽部材の移動途中の状態を示す図である。
【図6】帯電体と遮蔽部材の動作を説明するための図であって、帯電体を待機位置に配置し、遮蔽部材を遮蔽位置に配置した状態を示す図である。
【図7】トナーの形状を模式的に表した図であり、(a)は形状係数SF−1の説明図、(b)は形状係数SF−2の説明図である。
【図8】トナーの外形形状を示す概略図であり、(a)はトナーの外観図、(b)と(c)はトナーの断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体
3 帯電体
20 遮蔽部材
20a 対向面
30 シールド体
30a 開口部
30b 端縁
31 放電電極
40 排気ダクト
50 帯電体移動手段
51 遮蔽部材移動手段
62 遮蔽部材保持部
69 第1シール部材
70 第2シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に近接して配設されると共にコロナ放電によって前記像担持体を帯電させる帯電体を備えた画像形成装置において、
前記帯電体を、前記像担持体に近接した帯電位置と、像担持体から離間した待機位置との間で移動させる帯電体移動手段と、
前記帯電体に生じた帯電生成物の前記像担持体への付着を防止する遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記待機位置に移動させた帯電体と像担持体との間に介在させた遮蔽位置と、その遮蔽位置から退避した退避位置との間で移動させる遮蔽部材移動手段を備え、
前記遮蔽部材を、前記遮蔽部材移動手段が有する遮蔽部材保持部に着脱可能に取り付けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電体は、少なくとも、開口部を有するシールド体と、当該シールド体内に収容された放電電極を有し、前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配設すると共に、前記帯電体を前記待機位置に配設した際に、前記シールド体の開口部に対向する前記遮蔽部材の対向面と前記シールド体の開口部側の端縁との間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記シールド体の少なくとも一方に付設した請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に配設すると共に、前記帯電体を前記待機位置に配設した際に、前記遮蔽部材の前記対向面が水平面に対して傾斜して配設されている場合、前記対向面の少なくとも下部とそれに対向する前記シールド体の開口部側の端縁との間を密閉するシール部材を、前記対向面の下部又はそれに対向する前記シールド体の開口側の端縁の少なくとも一方に付設した請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電体によって前記像担持体を帯電させる際に生じる前記帯電生成物を外部へ排出するための排気ダクトを設け、前記遮蔽部材を前記退避位置に配設した際、当該遮蔽部材が排気ダクトの一部を構成するようにした請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材を前記退避位置に配設した際に、前記遮蔽部材と前記排気ダクトとの間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記排気ダクトの少なくとも一方に付設した請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材を前記退避位置に配設すると共に、前記帯電体を前記帯電位置に配設した際に、前記遮蔽部材と前記帯電体との間を密閉するシール部材を、前記遮蔽部材又は前記帯電体の少なくとも一方に付設した請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮蔽部材の前記保持部材に対する着脱を、画像形成装置装置本体の前面から行うように構成した請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、その体積平均粒径が3μm〜8μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるものとした請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置
【請求項9】
前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、その形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものとした請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて形成した請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーを、略球形状に形成した請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体上に可視画像を形成するためのトナーの形状を長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定したとき(但し、r1≧r2≧r3とする)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあるようにした請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
少なくとも前記像担持体と前記帯電体を一体的に有するプロセスユニットにおいて、
請求項1から12のいずれか1項に記載の画像形成装置に対して着脱可能に構成したことを特徴とするプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−139748(P2010−139748A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315796(P2008−315796)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】