説明

画像形成装置及び制御プログラム

【課題】 給紙カセット内の用紙の盗難を防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本体に備えている給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサと、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサと、前記残量センサの出力と前記開閉センサの出力とに基づいて、前記カバーの1回の開閉の前後で、前記給紙カセットの用紙が減少しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により用紙が減少していると判定された場合に、警報を出力する警報手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証券紙等の重要な用紙の盗難を防止する画像形成装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置は、金額の数字等を入れればすぐにでも使用できる状態の小切手等の有価証券の用紙を給紙カセット内に入れておき、金額の数字等を画像形成装置によって印刷すれば経済取引に直ちに使用できる証券紙の印刷に使用されることが増えてきている。このような画像形成装置においては、証券紙が入れられた給紙カセットが勝手に抜き出されて小切手用紙等が盗まれる経済的損失を受けないようにするめに、画像形成装置本体に対して着脱可能な給紙カセットが、必要なとき以外は画像形成装置本体から勝手に抜き出せないように施錠することができる施錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−132296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す施錠装置にあっては、合い鍵が不正に製造された場合などは、盗難を防止することができないという問題がある。また、このような場合は、給紙カセット内の証券紙等の盗難が発生したことに気づきにくいという問題もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、給紙カセット内の用紙の盗難を防止することができるとともに、盗難が発生したことを速やかに発見することができる画像形成装置及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、本体に備えている給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサと、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサと、前記残量センサの出力と前記開閉センサの出力とに基づいて、前記カバーの1回の開閉の前後で、前記給紙カセットの用紙が減少しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により用紙が減少していると判定された場合に、警報を出力する警報手段と、前記警報手段によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、状態監視の時間帯を設定する時間管理手段と、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサと、前記時間管理手段によって設定された状態監視の時間帯において、前記開閉センサの出力に基づいて、前記本体のカバーが開放されたと判定された場合に、警報を出力する警報手段と、前記警報手段によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、本体に備えている給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサと、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサとを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、前記残量センサの出力と前記開閉センサの出力とに基づいて、前記カバーの1回の開閉の前後で、前記給紙カセットの用紙が減少しているか否かを判定する判定処理と、前記判定処理により用紙が減少していると判定された場合に、警報を出力する警報出力処理と、前記警報出力処理によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、状態監視の時間帯を設定する時間管理手段と、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサとを備えたことを特徴とする画像形成装置の制御プログラムであって、前記時間管理手段によって設定された状態監視の時間帯において、前記開閉センサの出力に基づいて、前記本体のカバーが開放されたと判定された場合に、警報を出力する警報出力処理と、前記警報出力処理によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カバー開閉の前後で残量が減少したか否を判定し、減少していた場合に、盗難等が発生したと見なして、警報を出力するようにしたため、用紙の盗難を防止することができる。また、カバー開閉の前後で残量が減少したことをログ記録として保存するようにしたため、このログ記録を確認することによって、不正な状態が発生したことを速やかに知ることが可能になるという効果が得られる。
また、状態監視の時間帯において、カバー開閉状態を検出し、状態監視の時間帯であるにもかかわらず、カバーの開放が行われた場合に警報を出力するようにしたため、画像形成装置に対する不正な操作や用紙の盗難を防止することができる。また、状態監視の時間帯であるにもかかわらず、カバーの開放が行われた場合にこの状態をログ記録として保存するようにしたため、このログ記録を確認することによって、不正な状態が発生したことを速やかに知ることが可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による画像形成装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、画像形成装置の処理動作を統括して制御する制御部である。符号2は、ファンクションキーやテンキー等で構成する入力部である。符号3は、タッチパネルを備えた液晶ディスプレイ等で構成する表示部である。符号4は、制御部1の指示に基づいて、印刷用の用紙に印刷処理を行う画像形成部である。符号5は、図示しない給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサである。ここでは、給紙カセットを2つ備えているものとして説明するが、必要に応じた数の残量センサを備えていてもよく、例えば画像形成装置には、給紙カセットが2つ備えている場合に、検出対象の給紙カセット(証券紙が入れられている給紙カセット)1つのみに残量センサを備えるようにしてもよい。
【0011】
符号6は、画像形成装置の本体のカバーや給紙カセットの開閉を検出する開閉センサである。符号7は、残量センサ5及び開閉センサ6の出力値を読み取り、デジタル値に変換して、制御部1へ出力する検出部である。符号8は、現時点の日付と時刻を出力するタイマである。符号9は、画像形成装置の状態監視の設定/解除を行う時間管理部である。符号10は、時間管理部9において設定/解除される状態監視スケジュールの情報を記憶するスケジュール記憶部である。符号11は、制御部1からの指示に基づいて、警報音を発したり、ネットワーク等の通信手段を使用して、管理者に警報を通知する警報出力部である。符号12は、動作状態のログ情報を記録するログ記録部である。
【0012】
ここで、図3を参照して、画像形成装置の状態監視スケジュールを設定/解除する動作を説明する。図3は、状態監視スケジュールを設定/解除する場合の表示部3に表示される画面の一例を示す図である。状態監視とは、夜間や休日のように、通常では使用しなかったり、管理者が不在となる時間帯において、異常が発生したことを監視することであり、異常が発生したことを監視する時間帯を監視対象時間帯(夜間や休日)といい、平日の通常使用する時間帯を監視対象外時間帯という。状態監視スケジュールとは、この監視対象時間帯と監視対象外時間帯を定義したスケジュールのことであり、状態監視スケジュールを設定/解除とは、この監視対象時間帯と監視対象外時間帯を定義することである。
【0013】
まず、管理者は、入力部2から状態監視スケジュールの設定/解除を行う操作を行う。これを受けて、制御部1は、時間管理部9に対して、状態監視スケジュールの設定/解除を行う指示を出す。これを受けて、時間管理部9は、スケジュール設定画面を表示部3へ表示する。スケジュール設定画面では、図3に示すように、設定操作当日から1週間(月曜〜日曜)分の各日の監視対象時間帯を設定可能であり、画面上で2つの時刻設定バーを左右に移動して、監視対象外の時間帯を設定する。図3に示す例では、時刻設定バーを操作して、20日(月)の監視対象外時間帯を8:00〜21:00に設定した例を示している。この設定操作により監視対象外時間帯(8:00〜21:00)が設定されると、0:00〜8:00と21:00〜24:00は自動的に監視対象時間帯(図3においてハッチングの部分)となる。この操作を1週間分行うとスケジュール設定操作が終了する。これを受けて、時間帯管理部9は、ここで設定された時間帯のデータをスケジュール記憶部10へ記憶する。
この操作によって、スケジュール記憶部10に監視対象時間帯及び監視対象外時間帯のデータが1週間分記憶されたこととなる。
【0014】
次に、図2を参照して、図1に示す画像形成装置の動作を説明する。図2は、図1に示す画像形成装置の動作を示すフローチャートである。まず制御部1は、タイマ8から日時データを読み込み(ステップS1)、スケジュール記憶部10から状態監視スケジュールデータを読み込む(ステップS2)。そして、制御部1は、読み込んだ日時データと状態監視スケジュールデータから、現時点が状態監視対象の時間帯である否かを判定する(ステップS3)。
【0015】
この判定の結果、現時点が監視対象の時間帯である場合、制御部1は、検出部7から開閉センサ6の出力値を読み込む(ステップS4)。そして、制御部1は、カバーが開けられたか否かを判定する(ステップS5)。この判定の結果、カバーが開けられていなければ、ステップS1に戻り処理を繰り返す。
【0016】
一方、カバーが開けられた場合(監視対象時間帯においてカバーが開けられた場合)、制御部1は、現時点の日時データ、発生した状態(どこのカバーが開けられたか等)をログデータとして、ログ記録部12へ保存する(ステップS6)。そして、制御部1は、警報出力部11に対して、警報出力の指示を出力する。これを受けて、警報出力部11は警報を出力する(ステップS7)。
【0017】
次に、ステップS3において、監視対象の時間帯でないと判定された場合、制御部1は、検出部7から残量センサ5の出力値と開閉センサ6の出力値を読み込む(ステップS8、S9)。続いて、制御部1は、開閉センサ6の出力値に基づいてカバーが開けられたか否かを判定する(ステップS10)。この判定の結果、カバーが開けられていなければ、ステップS1に戻り処理を繰り返す。
【0018】
一方、カバーが開けられた場合(監視対象外の時間帯においてカバーが開けられた場合)、制御部1は、再び開閉センサ6の出力値を読み込み(ステップS11)、カバーが閉められるまで待機する(ステップS12)。そして、制御部1は、カバーが閉められた時点で残量センサ5の出力値を検出部7から読み込み(ステップS13)、カバーが開けられる前の用紙の残量(ステップS8において取得した残量)とカバーが閉められた後の用紙の残量(ステップS13において取得した残量)を比較して、カバー開閉の前後で用紙の残量が減少したか否を判定する(ステップS14)。この判定の結果、用紙が減少していなければ、ステップS1に戻り処理を繰り返し、減少していれば、不正が発生したものとみなして、現時点の日時データ、発生した状態(どこのカバーが開けられたか、どの給紙カセットの用紙が減少したか等)をログデータとして、ログ記録部12へ保存する(ステップS6)。そして、制御部1は、警報出力部11に対して、警報出力の指示を出力する。これを受けて、警報出力部11は警報を出力する(ステップS7)。
【0019】
このように、状態監視のときに、カバー開閉状態を検出し、状態監視の時間帯であるにもかかわらず、カバーの開放が行われた場合に警報を出力するようにしたため、画像形成装置に対する不正な操作や用紙の盗難を防止することができる。また、状態監視の時間帯であるにもかかわらず、カバーの開放が行われた場合にこの状態をログ記録として保存するようにしたため、このログ記録を確認することによって、不正な状態が発生したことを速やかに知ることが可能となる。また、状態監視の時間帯でない場合においては、カバー開閉の前後で残量が減少したか否を判定し、減少していた場合に、盗難等が発生したと見なして、警報を出力するようにしたため、用紙の盗難を防止することができる。また、カバー開閉の前後で残量が減少したことをログ記録として保存するようにしたため、このログ記録を確認することによって、不正な状態が発生したことを速やかに知ることが可能となる。
【0020】
なお、図1に示す残量センサ5は、給紙カセット内の用紙を検出するセンサであるが、用紙残量の絶対量(残り枚数)を検出できる能力を有している必要はなく、少なくとも図2に示すステップS8において検出する残量とステップS13において検出する残量とを比較して、減少したか否かを判定できる残量を出力する能力を有していればよい。
【0021】
また、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより不正発生検出処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0022】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】監視時間を設定する画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1・・・制御部、2・・・入力部、3・・・表示部、4・・・画像形成部、5・・・残量センサ、6・・・開閉センサ、7・・・検出部、8・・・タイマ、9・・・時間管理部、10・・・スケジュール記憶部、11・・・警報出力部、12・・・ログ記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に備えている給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサと、
本体のカバーの開閉を検出する開閉センサと、
前記残量センサの出力と前記開閉センサの出力とに基づいて、前記カバーの1回の開閉の前後で、前記給紙カセットの用紙が減少しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により用紙が減少していると判定された場合に、警報を出力する警報手段と、
前記警報手段によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
状態監視の時間帯を設定する時間管理手段と、
本体のカバーの開閉を検出する開閉センサと、
前記時間管理手段によって設定された状態監視の時間帯において、前記開閉センサの出力に基づいて、前記本体のカバーが開放されたと判定された場合に、警報を出力する警報手段と、
前記警報手段によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
本体に備えている給紙カセット内の用紙の残量を検出する残量センサと、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサとを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
前記残量センサの出力と前記開閉センサの出力とに基づいて、前記カバーの1回の開閉の前後で、前記給紙カセットの用紙が減少しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理により用紙が減少していると判定された場合に、警報を出力する警報出力処理と、
前記警報出力処理によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録処理と
をコンピュータに行わせることを特徴とする制御プログラム。
【請求項4】
状態監視の時間帯を設定する時間管理手段と、本体のカバーの開閉を検出する開閉センサとを備えたことを特徴とする画像形成装置の制御プログラムであって、
前記時間管理手段によって設定された状態監視の時間帯において、前記開閉センサの出力に基づいて、前記本体のカバーが開放されたと判定された場合に、警報を出力する警報出力処理と、
前記警報出力処理によって警報が出力された時点のログ情報を記録するログ記録処理と
をコンピュータに行わせることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−7590(P2006−7590A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187971(P2004−187971)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】