説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】トナー交換、耐久、環境等の様々な使用状況が混在したとしても、常に安定した画像品質が得られる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】黒以外のカラートナーのトナー荷電量Q(μC/g)が、画像形成装置での使用中に初期のトナー荷電量L1から経時によるトナー荷電量L2の範囲で変移し、中間転写ベルトの回転方向の下流側になるカラートナーのトナー荷電量Q(μC/g)が、画像形成装置での使用中に初期のトナー荷電量M1から経時によるトナー荷電量M2の範囲で変移する場合、上流側の像担持体上の最小トナー荷電量L2と、次の像担持体上の最大荷電量M1との間に、経時によるトナー荷電量L2≧初期のトナー荷電量M1の関係が成り立つ画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー長期にわたる使用時に、また、トナー新旧交換時にも安定した画像品質が得られる画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、最も普及しているカラー画像形成装置の方式は、中間転写体を用いた方式で、感光体上に1色ずつ画像を現像し、中間転写体上に順次転写し、中間転写体上で4色重ねた上で紙に一括転写する方式である。このような装置では紙に一括転写するため、2次転写部にやってくるトナー画像の特性は様々である。例えば、1次転写時に2色トナーを重ねてベルト上に形成し、その後、2次転写を行う場合、ベルトに近い方の下層トナーと遠い方の上層トナーの特性によって2次転写性能が大きく変わる。下層側のトナーが著しく劣化した場合、ベルトから静電気的に離れないため画像劣化(ぼそついたり、文字細線の中抜け)が発生、また、無理に剥がそうとして、せんだん力を機械的に設けたりしていたが、トナーの劣化状態が異なると、せんだん力によってさらに画像劣化が促進されることがあった。このような現象を回避するために、特許文献1では、トナー荷電量を順次、像担持体上流〜下流にかけて変更し、トナーの下層側に低荷電トナーが作像されない構成となっている。このため、対ベルトとの付着性が悪化し、2次転写画質が劣化することはないと記載されている。
【0003】
実際に使用していると、現像剤であるトナーは経時で劣化する。劣化の進行具合は、現像剤の種類、外添剤の種類と量、現像装置等のプロセス条件で変わってくる。
図9は、画像形成装置におけるトナー帯電量と印字枚数との関係を示すグラフである。
例えば、図9のように、最上流の像担持体上のトナーAが、トナー荷電量の初期値が−12μC/gあったとしても、経時(印字枚数が約3000枚程度)で−9μC/g程度まで落ちる(図中のA’)。同じように、最上流から次のトナーBが、トナー荷電量の初期値(図中のB’)が−10μC/gあったとしても、経時(印字枚数が約3000枚程度)で−7μC/g程度まで落ちる。このとき、各色のトナー消費状態はユーザーの印字パターンによって異なるため、トナーBの現像装置が最初にエンプティ−となることがある。ユーザーが、トナーBの現像装置を新品に交換したとき、トナーBの帯電量は初期値B’の値を有している。このときに、トナーAの現像装置の荷電量が、トナーBの初期の荷電量を下回ることがある。実際に、トナーAは、長期の現像装置における使用によって、交換直前のエンプティー前では、帯電量A’の状態にあり、このような場合は、帯電量が、トナーA>トナーB>トナーCとはならない。
図10は、画像形成装置におけるトナー凝集力と印字枚数とに関係を示すグラフである。トナー凝集力に関しても、最上流の像担持体上にあるトナーDとその下流の像担持体上にあるトナーEでは、新品交換した時点のトナーE’の凝集度は、交換前の時点のトナーD’を下回り、常に、凝集力は、トナーD<トナーE<トナーFとはならず、トナー帯電量と表現は逆であるが、考え方として同等のことがいえる。
【0004】
【特許文献1】特開平06−202429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなトナーの荷電量にしたとしても、各色でトナー消費量が極端に変わるような場合、ある色のみが極端に荷電性が低下し、必ずしも当初の狙い通りの荷電順にはならないことが生ずるのは明らかである。
さらに、各色同じタイミングでトナーホッパーを交換するタイプであれば、トナー劣化状態はほぼ一定かつ、交換後は全色が新品となるため荷電順が保たれるが、低コスト化、ユーザビリティを狙って、トナーエンドとなった色のみを交換する方式であれば、1色のみ新品のトナーが供給され、他の色のトナーとの荷電バランスが崩れることで、トナー交換後の画像品質が劣化すると考えられる。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、トナー交換、耐久、環境等の様々な使用状況が混在したとしても、常に安定した画像品質が得られる画像形成装置及び画像形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、各像担持体に対向して設けられ所定の方向に移動する中間転写体と、前記各像担持体から順次前記中間転写体上に前記トナー画像を転写することによって、前記中間転写体上にトナー画像を形成する1次転写部と、前記中間転写体上の前記トナー画像を転写材に一括転写する2次転写部と、を備える画像形成装置において、上流側の像担持体上の最小トナー荷電量は、次の像担持体上の最大トナー荷電量より大きいことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記前記最小トナー荷電量は、トナーホッパー交換直前におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナー荷電量であり、前記最大トナー荷電量は、トナーホッパー交換直後におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナー荷電量であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、前記駆動ローラまたは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成装置において、上流側の像担持体上の最大トナー凝集力が下流側の像担持体の最小トナー凝集力より小さいことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記最小トナー荷電量は、トナーホッパー交換直前におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナーの凝集力であり、前記最大トナー荷電量は、トナーホッパー交換直後におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナーの凝集力であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記現像装置に供給されるトナーは、消費が完了した色から順次新品に交換される個別トナーホッパー交換方式であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記現像方式は1成分現像であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体のカラートナーは、中間転写体の上流側より、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーの順序であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記中間転写体は押し出し成型によって製造されたものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成方法は、複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次、前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、前記駆動ローラもしくは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成方法において、上流側の像担持体上の最小トナー荷電量は、次の像担持体上の最大トナー荷電量より大きいことを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、前記駆動ローラもしくは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成方法において、上流側の像担持体上の最大トナー凝集力が下流側の像担持体の最小トナー凝集力より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決する手段としての本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、トナーの劣化特性を加味して、初期ないし長期にかけて、最上流に像担持体上に印字されたトナー劣化状態が次の像担持体上の初期特性を下回らないように設計するようにしている。このように設計することによって、例えば、トナーをなくなったものから順次交換し、トナーの耐久状態が異なるトナーホッパーが混在したとしても、安定して高画質の画像形成が可能となる。
また、本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、トナーの耐久状態が異なるトナーホッパーが混在したとしても、上流側のトナーが常に次のトナーの劣化状態を下回らないため、より安価で、高画質画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
まず、図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックに対応する、4つの像担持体101a〜101dを有する作像ユニットが配設される。4つの像担持体101a〜101dの周りには、それぞれ図7に記載の現像装置200が配設される(図1では不図示)。現像装置200は各像担持体101a〜101dにトナー画像を形成する。4つの像担持体101a〜101dに対向して中間転写体として中間転写ベルト113が配設される。中間転写ベルト113に対向する位置に2次転写ローラ110が配設される。中間転写ベルト113は、2本の2次転写対向ローラ111及び112により張架されて、所定の方向に回転駆動される。2次転写対向ローラ111は、中間転写ベルト113を回転駆動させるための駆動ローラである。2次転写対向ローラ111は2次転写対向ローラ111の機能と、クリーニングブレード114の2次転写対向ローラ111の機能とを合わせ持つ。中間転写ベルト113の走行方向上流側から1次転写ローラ102a〜102dに所定の電圧を印加することにより、中間転写ベルト113上に各色を重ねることによりカラー画像を形成する。中間転写ベルト113は矢印の方向に回転し、形成されたカラー画像は、2次転写ローラ110または2次転写対向ローラ111に所定の電圧を印加することにより転写材である用紙Pに転写され、定着(図示せず)され出力される。なお、転写材は図示しない給紙カセットから図示しない搬送手段により搬送される。2次転写ローラ110で転写できず中間転写ベルト113上に残留したトナーはクリーニングブレード114にてクリーナーユニット内に(図示せず)回収される。
中間転写ベルト113の材料としては、TPE(サーモプラスチックエラストマーアロイ)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PAA(ポリアミドアロイ)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の高分子材料が上げられる。2次転写ローラ110の材質としては、弾性を有するローラが適しており、その材料はイオン導電性ローラ(ウレタン+カーボン分散、NBR、ヒドリン)や電子導電タイプのローラ(EPDM)等が有力である。
また、図示しないトナーを収容するトナーホッパーを設けてもよい。トナーホッパーから各色のトナーが現像装置に搬送される。
また、少なくとも像担持体と現像装置とを一体として、画像形成装置から着脱可能なプロセスカートリッジとして構成してもよい。トナーホッパーをこのプロセスカートリッジと一体としてもよい。
また、本実施例として、中間転写ユニットの構成は2軸張架で、2次転写対向ローラ111に多種の機能を持たせているが、本構成に限定されない。中間転写体として中間転写ベルトの代わりに中間転写ドラムを利用してもよい。2次転写方式(中間転写方式)を有する転写システムであれば、以下に説明する本特許の特徴を有することができる。
【0012】
一般的に、現像装置内のトナーは、初期から時間経過による長期使用にしたがって劣化して行くことが分かっている。図2は、トナーの形状の変化を模式的に表した図である。図2に示すように、初期は、最初に製造されたままの形状に対して、外添剤が所定量添加されているが、長期にわたって進めて行くにしたがって、外添剤が離れたり(図2(a))、トナー割れ(図2(b))が発生する。
これによって、トナーの荷電が低下したり、外添剤没落により帯電性劣化したり、対ベルトに対して付着力が上昇する。これは、割れにより母体がむき出しになり、トナー同士の凝集力が大きくなり、トナー同士だけではなく、像担持体101、中間転写ベルト113に対する付着力も大きくなる。つまり、トナーは、初期から時間経過による長期使用にしたがって、その付着特性や帯電性能が劣化すると考えられる。その劣化特性をあらかじめシステム設計思想に入れておけばトナーが劣化しても、安定した画像品質が得ることができる。
【0013】
図3は、初期トナー、経時的に劣化したトナーの中間転写ベルトからの転写状態を示した模式図である。図3に示すようにトナー劣化状態が異なることによって、トナーの荷電量、付着力が変わる。例えば、図3(a)は、下層側(転写ベルトに近い方を下層側と定義する。)に劣化していないトナーが来た場合の転写状態を模式的に示している。上層側(転写ベルトに遠い方を上層側と定義する。)の劣化トナーは、荷電が下層側のトナーより低いため、下層側のトナーを自身の電界で押さえ込むことなく、下層側のトナーに有効な2次転写電界が働き、下層側から転写され、ほとんど中間転写ベルト113に残ることなくトナー画像が用紙P上に転写される。ただし、単層の場合は押さえ込み電界等が働かないため、ほとんどのトナーは転写される。つまり、常に、下層側に帯電量の高いトナーが印字されるようにすれば、常に安定した高精度の転写による高品位画像が得られる。
一方、図3(b)は、下層側に劣化したトナーが来た場合の転写状態を模式的に示している。下層側に劣化トナーが来た場合、上層側に形成された荷電の高いトナー層からの電界の押さえ込みによってより強固に中間転写ベルト113に付着し、また、トナー凝集力が大きくなっていることから、中間転写ベルト113への付着が強固になっている。このために、図3(b)に示すように、2次転写部に画像が送られた場合、上層側のトナーにしか有効な電界が作用しないために上層側のトナーしか転写されず、多くのトナーを下層側に残して2次転写されるために、転写ムラが生じ、異常画像になる。
【0014】
また、タンデム型カラー画像形成装置で、中間転写ベルト113にカラー画像を重ね合わせる場合について説明する。図4は、トナー凝集力の大きさによって、重ね合わせるトナー層の状態を説明する概略図である。
次に、トナー割れや外添剥れによりトナー凝集力が変化した場合を説明する。後で印字されるトナーの凝集性の方が低い場合は、図4(a)に示すように、同荷電極性同士の反発があっても、トナー同士の凝集性が強いため、散ることはない。つまり、常に下層側に凝集性の高いトナーが印字されることによって、チリ等による画像品質の低下は回避できる。
一方、例えば、1次転写時に前色のトナーの凝集性が高く、次のトナー凝集性低い場合、図4(b)に示すように、後で印字されたトナーが同荷電極性同士の反発により散ることになり、カブリ、チリなどの異常画像が形成されることが多くなる。
【0015】
図5は、本発明の画像形成装置におけるトナー帯電量と印字枚数とにの関係を示すグラフである。
以上のことより、トナー荷電量に対しては、図5に示すように、最上流の像担持体101上のトナー荷電量は初期から長期にわたる使用におけるトナー荷電量Qの推移が、初期のトナー荷電量L1から長期に使用にわたるトナー荷電量L2へと徐々に推移していることが分かる。このトナーAのトナー荷電量の最下限L2が、次の像担持体101のトナーBの初期のトナー荷電量M1を下回らないような荷電設計を行えばよいことが分かる。このような設計を行えば、例えば、1色だけが極端に劣化した場合、もしくは、順次トナーが交換されたとしても、常にトナー荷電の上下関係は崩れることなく、安定した画像形成が行える。
これは、トナーAとトナーBとの関係だけではなく、トナーBの、中間転写ベルト113の周回方向の下流にあるトナーCにも適用することができる。例えば、トナーCのトナー荷電量が、初期のトナー荷電量N1から長期に使用にわたるトナー荷電量N2へと徐々に推移するとすれば、このトナーBのトナー荷電量の最下限M2が、次の像担持体101のトナーCの初期のトナー荷電量N1を下回らないような荷電設計を行えばよいことが分かる。
これによって、フルカラーのトナー画像で、チリ、カブリの異常画像の発生を抑えることができる。
なお、トナー荷電量は、トナー帯電量測定に関しては、1成分現像剤であり、例えば、トレックジャパン製の吸引式小型帯電量測定装置等を用いて1成分トナー荷電量を測定します。これは、測定対象のトナーを直接吸引し、吸引したトナーの電位と重さを測定し、トナー荷電量を測定するものです。
もしくは、ホソカワミクロン社製のE−SPARTアナライザーを用いて、トナー個々の荷電量を測定し、その分布を得る方法等がある。
【0016】
さらに、トナー凝集力に関しても、同様である。図6は、本発明の画像形成装置におけるトナー凝集力と印字枚数とに関係を示すグラフである。図6に示すように、初期から長期にわたる使用によってトナーDのトナー凝集力は、初期のトナー凝集力S1から、長期にわたる使用によるトナー凝集力S2に徐々に大きくなって行く。
耐久にかけて上層のトナーDのトナーの凝集力が、図6に示すように推移したとしても、次の色のトナーEのトナー凝集力の最下限T1を上回らなければ、常に安定した高画質画像が形成できる。
また、この場合も、トナーEの下流側にあるトナーFに同様に、適用することができる。
なお、トナーの凝集力の測定は、「篩の目開きが150μm(上段)、75μm(中段)、45μm(下段)の組合せの第1組のものと、篩の目開きが75μm(上段)、45μm(中段)、22μm(下段)の組合せの第2組のものとを用い、上段の篩にトナー2グラムを載せ、振幅1mmで、振幅時間T=20+|(1.6−W)/0.016|[sec.]
ただし、Wはトナーの動的見掛け比重であって、W=(P−a)c/100+aの数式で計算され、P;固め見掛け比重、a;ゆるみ見掛け比重、c;ゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重との比から求めた圧縮度、の数式で計算された時間を振動させた後、各篩に残留したトナーの重量を測定して次の式で計算し、
(1)|(上段に残ったトナー重量)/2|×100
(2)|(中段に残ったトナー重量)/2|×100×(3/5)
(3)|(下段に残ったトナー重量)/2|×100×(1/5)
上記3つの計算値の合計をトナーの凝集力と定義している。
上記のトナーの凝集力の測定方法は、特開平7−160033に記載されている。
【0017】
トナー荷電量は、1つには、CCA量を調整すればよい。例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。この重量部量を各色毎に調整すれば、初期から長期にかけて荷電特性のコントロールが可能である。
【0018】
さらに、凝集力のコントロールとしては外添剤の種類・量があり、無機微粒子の具体例としては、例えば酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、酸化チタン、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの被覆率、種類等を各色毎に調整することによって、トナー凝集力を初期から長期にかけてコントロールすることが可能となる。
【0019】
本発明の現像装置では、トナー補給方式は、順次交換タイプであることを特徴としている。各像担持体101a〜101d毎に現像される色が異なり、そこに供給されるトナーはホッパー内のトナーがなくなったものより順次交換する。このようにすることによって、無駄なくトナー消費ができるメリットがある。トナーがなくなったものから順次交換するようにしている。従来の1カートリッジ方式では、減っていないトナーでも、カートリッジ内のトナーが1色でもなくなれば全色交換しなくてはならなかった。これによって、交換後は常に新品のトナーが供給されるので、画質不具合は出なかった。一方、なくなったトナーから順次交換するタイプのカートリッジでは、現像されるトナーの劣化状態が異なるため、トナー交換直後に品質が劣化し、クレームとなることがあった。
【0020】
本特許に記載の現像方式は、1成分現像方式であることを特徴としている。図7は、本発明の画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す概略図である。1成分方式は、図7に示すように、現像ローラ201と規制ブレード203間でトナーを摩擦帯電し、トナーに荷電を与える方式である。本方式は安価な構成でかつ軽く実用できる。ところが、図示している円内おいて、トナーに対して大きなストレスが発生するため、トナー割れ、外添剤剥れが発生するため、初期から長期にかけてトナーの帯電、凝集特性が劣化していた。本特許に示すようにトナーの耐久特性を加味して、設計を行えば、1成分現像方式を変更することなく、安定した転写性・高画質が得られる。なお、図7の現像ローラ201の下に設けられるトナー塗布ローラ202と現像ローラ201との間でもトナーに対して大きなストレスが発生する。なお、2成分現像方式に本発明を適用してもよい。
【0021】
現像色順は像担持体上流側よりイエロー・マゼンタ・シアンの順に行うものとする。この順で印字すると、最終用紙上に印字した際に転写不良が発生したとしても、視覚効果により、画像劣化が目立ちにくい効果がある。
図8は、イエロートナーとマゼンタトナーとを重ね合わせたときの赤色(レッド)の再現性を説明するための模式図である。例えば、赤を再現する際にはマゼンタとイエローとの重ね合わせる。この際、図8(a)に示すように、下層側にマゼンタが印字された場合、ベルトにマゼンタが残ると、赤色の中にイエローが浮いてくる。
一方、図8(b)に示すように、下層側にイエローが印字された場合、中間転写ベルト113にイエローが残ると、赤色の中にマゼンタが浮いてくる。この場合、赤にイエローが浮いてくると濃淡がかなり目立ち、画像劣化が著しく感じる。一方、赤の中にマゼンタが浮いてきても、濃淡が目立ちにくく、画像劣化が著しく感じない。
同様の効果が、緑色(グリーン)・青色(ブルー)にもあてはまり、色順としては、イエロー、マゼンタ、シアンの順が最も効果的である。緑色は、イエロートナーとシアントナーとの組合せであるが、下層側にシアンが印字された場合、中間転写ベルト113にシアンが残ると、緑色の中にイエローが浮いてくる。一方、下層側にイエローが印字された場合、中間転写ベルト113にイエローが残ると、緑色の中にシアンが浮いてくる。この場合、緑色にイエローが浮いてくると濃淡がかなり目立ち、画像劣化が著しく感じる。一方、緑色の中にシアンが浮いてきても、濃淡が目立ちにくく、画像劣化が著しく感じない。このような印字順にすることによって、2次転写時にトナーが残った場合においても、視覚効果により、画像劣化が目立ちにくく、より高画質化が図れる。
【0022】
本特許に用いる中間転写ベルト113は押し出し成型によって、製造されたものとする。押し出し成型方法は中間転写ベルト113のベース材料を円筒状の筒に導電剤等を混でんしながら高温で注入し、押し出されたベルトを冷やし、成型するもので、安価に製造可能である。本製造方法で作られた中間転写ベルト113はカーボンの分散性が若干悪く、表面に露出している部分と樹脂材料の部分とでトナーの付着特性が変わるため、トナーの劣化状態に対して感度を持ってしまう。本特許のように、トナーの劣化特性を加味した設計を行えば、安価な構成で印字が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、トナーの形状の変化を模式的に表した図である。
【図3】図3は、初期トナー、経時的に劣化したトナーの中間転写ベルトからの転写状態を示した模式図である。
【図4】図4は、トナー凝集力の大きさによって、重ね合わせるトナー層の状態を説明する概略図である。
【図5】図5は、本発明の画像形成装置におけるトナー帯電量と印字枚数との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の画像形成装置におけるトナー凝集力と印字枚数とに関係を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す概略図である。
【図8】図8は、イエロートナーとマゼンタトナーとを重ね合わせたときの赤色(レッド)の再現性を説明するための模式図である。
【図9】図9は、画像形成装置におけるトナー帯電量と印字枚数との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、画像形成装置におけるトナー凝集力と印字枚数とに関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0024】
101a〜101d 像担持体
102a〜102d 1次転写ローラ
110 2次転写ローラ
111、112 2次転写対向ローラ
113 中間転写ベルト
114 クリーニングブレード
200 現像装置
201 現像ローラ
202 トナー供給ローラ
203 規制ブレード
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体と、
各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、
各像担持体に対向して設けられ所定の方向に移動する中間転写体と、
前記各像担持体から順次前記中間転写体上に前記トナー画像を転写することによって、前記中間転写体上にトナー画像を形成する1次転写部と、
前記中間転写体上の前記トナー画像を転写材に一括転写する2次転写部と、を備える画像形成装置において、
上流側の像担持体上の最小トナー荷電量は、次の像担持体上の最大トナー荷電量より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記前記最小トナー荷電量は、トナーホッパー交換直前におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナー荷電量であり、前記最大トナー荷電量は、トナーホッパー交換直後におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナー荷電量である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数の像担持体と、
各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、
少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、
前記駆動ローラまたは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成装置において、
上流側の像担持体上の最大トナー凝集力が下流側の像担持体の最小トナー凝集力より小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記最小トナー荷電量は、トナーホッパー交換直前におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナーの凝集力であり、
前記最大トナー荷電量は、トナーホッパー交換直後におけるトナーホッパー内もしくは現像ローラ上もしくは現像直後の像担持体上のどれかのトナーの凝集力である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置に供給されるトナーは、消費が完了した色から順次新品に交換される個別トナーホッパー交換方式である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像方式は1成分現像である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体のカラートナーは、中間転写体の上流側より、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーの順序である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写体は押し出し成型によって製造されたものである
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次、前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、前記駆動ローラもしくは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成方法において、
上流側の像担持体上の最小トナー荷電量は、次の像担持体上の最大トナー荷電量より大きい
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
複数の像担持体と、各像担持体に対して、トナー画像を形成する現像装置と、少なくとも従動ローラと駆動ローラによって中間転写体を回転する中間転写体ユニットを有し、前記各像担持体から順次前記中間転写体上にトナー転写を行うことによって、前記中間転写体上にカラー画像を形成する1次転写部と、前記駆動ローラもしくは前記従動ローラに対向して配置され、前記中間転写体上の前記カラー画像を転写材に一括転写するための2次転写部材を有する2次転写部と、を備える画像形成方法において、
上流側の像担持体上の最大トナー凝集力が下流側の像担持体の最小トナー凝集力より小さい
ことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−134240(P2009−134240A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126864(P2008−126864)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】