説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】像担持体に接離し像担持体上に形成された像を転写する転写手段を備えた構成であって、像担持体上に付着したトナーの帯が転写手段に付着することを防止する、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって生じる画像の乱れを防止ないし抑制する、画像形成に要する時間をできるだけ短くする、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとを調整する、といった条件の少なくとも1つを考慮した複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法の提供。
【解決手段】帯電手段が像担持体の帯電を開始してから転写手段が像担持体に当接するまでの時間T1が、T1>L1/V(L1:像担持体と帯電手段との当接位置PAから像担持体と転写手段との当接位置PDまでの像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された像を転写する転写手段であって像担持体に接離する転写手段を備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びこの画像形成装置を用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、感光体等の像担持体を備えた画像形成装置にあっては、像担持体の回転等による移動に従って、像担持体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程等を施すことにより画像形成を行うようになっている。
【0003】
帯電工程では、像担持体表面を帯電させる。露光工程では、帯電工程で表面が帯電した像担持体に静電潜像を形成する。現像工程では、帯電したトナー粒子を静電潜像に対応して像担持体表面に付着させて可視像を形成する。転写工程で可視像を像担持体から用紙、中間転写体等の記録媒体に転写する。
【0004】
これらの工程は、操作者によってコピーボタン押下等による画像形成開始指示がなされ、像担持体の移動が始まってから開始されるものであり、各工程の開始タイミングは、画像形成を良好に行う上で重要であるため、例えば〔特許文献1〕、〔特許文献2〕では、かかる開始タイミングの最適化を図る技術が提案されている。
【0005】
かかる各工程において、例えば帯電工程、現像工程をそれぞれ行う帯電手段、現像手段ではそれぞれ、帯電工程、現像工程を行うために必要とされる電圧の印加を、像担持体の移動が始まってから開始するようになっている。
【0006】
像担持体上における、帯電手段による電圧印加開始位置と、現像手段による電圧印加開始位置とは、同一であることが理想的であるが、これらのズレが免れないのが現状である。これは、帯電工程、現像工程は移動する像担持体に対して行われるものであり、また帯電手段、現像手段に対する電圧印加開始指示制御について極めて高い精度を確保することが難しいためである。
【0007】
かかるずれが生じると、帯電手段、現像手段の双方に高電圧が印加される立ち上がり時において、帯電手段による電圧印加開始位置と、現像手段による電圧印加開始位置とが前後することに起因して、像担持体にキャリアかトナーのいずれかの付着が生じることとなる。
【0008】
しかし、キャリアが像担持体に付着すると、付着したキャリアが像担持体を劣化させてしまう。そこで、従来より、意図的に、像担持体上にトナーが付着するように、現像手段による電圧印加開始位置を、帯電手段による電圧印加開始位置に対してずらす制御が行われている。
このような制御は、像担持体の劣化抑制のために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような制御を行うと、像担持体にトナーが付着して、像担持体の幅方向にトナーの帯が形成されてしまう。このトナーの帯は転写工程を行う転写手段に付着し、転写手段に付着したトナーが用紙等の記録媒体に付着して、記録媒体の汚れを生じてしまうことがある。
【0010】
転写手段には、転写バイアスを印加するローラ状のタイプと、記録媒体を搬送する目的あるいはそれ自体に像を転写する目的で形成されたベルト状のタイプがある。前者のタイプでは、バイアスの制御すなわち逆バイアスの印加により、トナーの帯の付着の防止あるいは付着したトナーの帯を像担持体に逆転写することが可能であるため、記録媒体の汚れを抑制することも可能である。しかし、後者のタイプでは、通常、バイアス印加が、ベルトと像担持体とのニップからずらした場所にあるため、バイアスの制御によって記録媒体の汚れを防止することが難しい。特に低温・低湿環境における記録媒体の汚れが問題である。ただし、前者の場合にも、記録媒体の汚れを完全に防止することは難しい状況にある。
【0011】
一般に、転写手段、特に後者のタイプの転写手段には、付着した紙粉等の異物を除去するためのクリーニング手段が付設してあるが、かかるクリーニング手段はもともと、高濃度で付着した異物を除去することを想定したものではなく、かかる帯状のトナーをクリーニングするのに十分な性能を有しているとはいえない。また後者のタイプの転写手段に備えられているベルトは一般にゴム等によって形成されているため、帯状に付着したトナーを除去することがそもそも困難である。
【0012】
このような像担持体に付着したトナーが転写手段に付着することによる不具合は従来知られているが、キャリア付着による像担持体劣化抑制の方が優先するため、例えば〔特許文献1〕には、像担持体に接離可能な転写手段を備え、像担持体の、トナーの帯の付着位置の通過後に転写手段を像担持体に当接させる技術が提案されている。
【0013】
一方、像担持体に接離可能な転写手段を備えた画像形成装置では、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって、形成される画像に乱れが生じるという不具合が知られている。
【0014】
そこでたとえば、〔特許文献1〕では、露光工程で形成する静電潜像が、かかる衝撃によって乱れ、これによって、形成される画像に乱れが生じることを防止するために、転写手段が像担持体に当接するタイミングと露光工程で静電潜像を形成するタイミングとの調整を図った技術が提案されている。
【0015】
その他、〔特許文献2〕では、像担持体上のトナーが転写手段に転写されることのないように、転写バイアスを印加するタイミングを調整した技術が提案されている。
【0016】
しかし、発明者の鋭意検討の結果、像担持体に接離可能な転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって形成される画像に乱れが生じるという不具合は、露光工程のみならず、帯電工程にも起因して生じうることが分かった。
【0017】
帯電手段には、帯電チャージャのように像担持体から離間しているタイプと、帯電ローラのように像担持体に当接しているタイプとがあり、後者のタイプでは、かかる衝撃による帯電の不均一性等が生じ、この領域にて画像形成を行うと、形成される画像の乱れという不具合が生じ得ることが分かったものである。
【0018】
その他、上述の各工程を開始するタイミングは、画像形成に要する時間をできるだけ短くするように設定する必要があるとともに、かかる時間があらかじめ定められているような場合にはこれを満たすようにかかるタイミングを設定する必要もある。
【0019】
また、転写手段が像担持体に接離する構成においては、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとの調整も図る必要がある。
【0020】
本発明は、像担持体に接離し像担持体上に形成された像を転写する転写手段を備えた構成であって、像担持体上に付着したトナーの帯が転写手段に付着することを防止する、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって生じる画像の乱れを防止ないし抑制する、画像形成に要する時間をできるだけ短くする、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとを調整する、といった条件の少なくとも1つを考慮した複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及びこの画像形成装置を用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記帯電手段が前記像担持体の帯電を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T1は、T1>L1/V(L1:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記現像手段が前記像担持体の現像を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T2は、T2>L2/V(L2:前記像担持体と前記現像手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するのは、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であることを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、T3>L3/V(L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、T3>L3/V(L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、T4<T5、T5=Fst−(L4+L5+LP)/V(Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間、L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離、L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの記録媒体の移動距離、LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、T4<T5、T5=Fst−(L4+L5+LP)/V(Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間、L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離、L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの前記像の移動距離、LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0029】
請求項9記載の発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、T6<L6/V(L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、T6<L6/V(L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすことを特徴とする。
【0031】
請求項11記載の発明は、請求項9又は10記載の画像形成装置において、前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることを特徴とする。
【0032】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間を任意に設定するための当接開始時間設定モードを有することを特徴とする。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間を任意に設定するための書き込み開始時間設定モードを有することを特徴とする。
【0034】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記転写手段が中間転写手段であることを特徴とする。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか1つに記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にある。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記帯電手段が前記像担持体の帯電を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T1は、T1>L1/V(L1:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすので、像担持体上に付着したトナーが転写手段に付着することを防止することができるから、像担持体から転写手段に付着したトナーが転写手段から記録媒体の裏面に移動することによる記録媒体の裏汚れを防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0037】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記現像手段が前記像担持体の現像を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T2は、T2>L2/V(L2:前記像担持体と前記現像手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすので、像担持体上に付着したトナーが転写手段に付着することを防止することができるから、像担持体から転写手段に付着したトナーが転写手段から記録媒体の裏面に移動することによる記録媒体の裏汚れを防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0038】
時間T1又は時間T2の条件として、前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることとすれば、さらに、像担持体と転写手段との当接により形成されている転写ニップのうち、像担持体にトナーの帯が付着する位置に最も近い像担持体の移動方向上流側端部部分を当接位置とすることで、像担持体上に付着したトナーが転写手段に付着することを防止することが最短時間でできるから、像担持体から転写手段に付着したトナーが転写手段から記録媒体の裏面に移動することによる記録媒体の裏汚れを最短時間で防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【0039】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するのは、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であるので、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって生じる、書き込み手段によって形成する潜像の乱れに起因する画像の乱れを防止ないし抑制することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0040】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、T3>L3/V(L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすので、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって生じる、書き込み手段によって形成する潜像の乱れおよび帯電手段によって像担持体を帯電するときの帯電の乱れに起因する画像の乱れを防止ないし抑制することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0041】
上述の条件に加え、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、T3>L3/V(L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすこととすれば、さらに、転写手段が像担持体に当接する際の衝撃によって生じる、書き込み手段によって形成する潜像の乱れおよび帯電手段によって像担持体を帯電するときの帯電の乱れに起因する画像の乱れを防止ないし抑制することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0042】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、T4<T5、T5=Fst−(L4+L5+LP)/V(Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間、L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離、L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの記録媒体の移動距離、LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ、V:プロセス線速)を満たすので、画像形成に要する時間を短縮することができ、また要求される画像形成所要時間を満たすことが可能となり、使用感に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0043】
前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、T4<T5、T5=Fst−(L4+L5+LP)/V(Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間、L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離、L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの前記像の移動距離、LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ、V:プロセス線速)を満たすこととすれば、さらに、画像形成に要する時間を短縮することができ、また要求される画像形成所要時間を満たすことが可能となり、使用感に優れた像形成装置を提供することができる。
【0044】
本発明は、所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、T6<L6/V(L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすので、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとの関係を、像担持体上の像が確実に転写されるように設定することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0045】
上述の各条件に加え、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、T6<L6/V(L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離、V:プロセス線速)を満たすこととすれば、さらに、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとの関係を、像担持体上の像が確実に転写されるように設定することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0046】
時間T6の条件として、前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることとすれば、さらに、像担持体と転写手段との当接により形成されている転写ニップのうち、書き込み手段が像担持体に潜像を書き込む位置に最も近い像担持体の移動方向上流側端部部分を当接位置とすることで、転写手段が像担持体に当接するタイミングと転写開始のタイミングとの関係を、像担持体上の像がより確実に転写されるように設定することができ、より良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【0047】
上述の各条件に加え、前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間を任意に設定するための当接開始時間設定モードを有することとすれば、さらに、画像形成の状況等を考慮してかかる時間を設定することが可能であり、画像形成に要する時間をさらに短縮すること、像担持体上に付着したトナーが転写手段に付着することを防止することなどによる異常画像の発生を防止することなどを考慮し、状況に応じてかかる時間を設定することが可能であり、使用感に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0048】
上述の各条件に加え、前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間を任意に設定するための書き込み開始時間設定モードを有することとすれば、さらに、画像形成の状況等を考慮してかかる時間を設定することが可能であり画像形成に要する時間をさらに短縮し得るなど、状況に応じてかかる時間を設定することが可能であり、使用感に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0049】
上述の各条件に加え、前記転写手段が中間転写手段であることとすれば、さらに、カラー画像を形成することが可能な装置として構成し得る画像形成装置を提供することができる。
【0050】
本発明は、請求項1ないし15の何れか1つに記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法にあるので、上述の各効果を奏する画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の一部拡大概略図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に備えられた転写手段の像担持体への接離のタイミングチャートである。
【図4】図1に示した画像形成装置において画像が移動する経路に沿った展開図である。
【図5】図1に示した画像形成装置に備えられた各構成の動作のタイミングチャートである。
【図6】プロセス線速が230mm/secのときの、露光開始タイミング、転写手段の像担持体への当接タイミングと、各異常画像の有無及びファーストプリントタイムFstとの、実機における関係を示す相関図である。
【図7】プロセス線速が180mm/secのときの、露光開始タイミング、転写手段の像担持体への当接タイミングと、各異常画像の有無及びファーストプリントタイムFstとの、実機における関係を示す相関図である。
【図8】プロセス線速が230mm/secのときの、本発明を適用した画像形成装置の各構成の動作のタイミングチャートの一例である。
【図9】プロセス線速が180mm/secのときの、本発明を適用した画像形成装置の各構成の動作のタイミングチャートの一例である。
【図10】本発明を適用した他の構成の画像形成装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置1は、レーザ複写機とプリンタとファクシミリとのモノクロの複合機であるが、カラー機など他のタイプの複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置1は、この画像形成装置1で読み取った原稿の画像データ、または外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置1は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0053】
画像形成装置1は、筐体1Aの高さ方向で略中央部に配設された画像形成部4と、画像形成部4の上方に配設された排紙部たる排紙収納部としての排紙トレイ2と、排紙トレイ2を隔てて画像形成部4の上方に位置する、原稿を読み取る読み取り部としての原稿読み取り部3と、画像形成部4の下方に配設された給紙部としての給紙装置11と、画像形成装置1の全般的な制御を行う図示しない制御部と、操作者がコピーボタン押下等による画像形成開始指示等の各種操作を行うことが可能となった図示しない操作パネルとを有している。
【0054】
画像形成装置1は、筐体1A内で排紙が行われる胴内排紙型の画像形成装置であって、排紙トレイ2が、画像形成部4と原稿読み取り部3との間の空間部に位置しており、画像形成が行われた記録媒体としての用紙Pが、排紙トレイ2上に排紙収納されるようになっている。
【0055】
画像形成部4は、ドラム状の潜像担持体である像担持体としての感光体ドラム5を有している。感光体ドラム5は、図示しない駆動源としてのメインモータによって図中、反時計方向であるX方向に後述の所定の速度で移動、すなわち回転する。
【0056】
画像形成部4はまた、感光体ドラム5の周囲にその回転方向Xに沿って配設された、感光体ドラム5の表面に帯電処理を行う帯電手段としての帯電装置6と、画像情報に基づいて、帯電装置6によって帯電した感光体ドラム5の表面を走査するビームLを照射する露光装置としての書き込み手段である書き込み装置7と、ビームLによって露光された感光体ドラム5の表面に形成された潜像としての静電潜像をトナーによって現像し可視化する現像手段としての現像装置8と、感光体ドラム5上の静電潜像を現像して形成されたトナー像を転写対象である用紙Pに転写する転写手段としての転写搬送ユニットである転写装置9と、転写装置9による転写後に感光体ドラム5の表面に残留しているトナーを除去し回収する像担持体クリーニング手段としてのクリーニング装置10とを有している。
【0057】
画像形成部4はまた、二点鎖線の矢印で示す用紙Pの搬送方向Yにおいて、この搬送方向Yの上流側から、転写装置9の上流側に配設されたレジストローラ14と、用紙Pの搬送方向Yにおいて転写装置9の下流側かつ排紙トレイ2の上流側に配設された、定着手段としての定着装置12と、定着装置12を通過後の用紙Pの後端の通過を検知し用紙Pの排紙トレイ2への排出を検知するための排紙センサ25と、用紙Pを排紙トレイ2上に排出して筐体1A外部に排出する排紙手段としての排紙ローラである排紙装置13とを、この順で有している。
【0058】
原稿読み取り部3には、原稿載置台としてのコンタクトガラス3Eと、コンタクトガラス3E上に載置された原稿Gを走査するための、原稿照明用光源としての光源3Aおよび光路変換用反射鏡3Bを備えた読み取り走行体3Fと、読み取り走行体3Fによって形成された原稿からの反射光を透過するレンズを含む読み取り光学系3Cと、読み取り光学系3Cを透過した光が入射し、これを画像信号として読み取るCCDなどの光学素子3Dとを有している。光学素子3Dによって読み取られた原稿の画像情報は、制御部に出力され、デジタル化され、画像処理される。
【0059】
書き込み装置7は、図示を省略するが、制御部に入力された原稿の画像情報等に応じて照射を行うレーザダイオードとしての半導体レーザと、半導体レーザの発光による光を結像させるための結像光学系をなす反射鏡および結像レンズと、反射鏡および結像レンズを経た半導体レーザからの光を走査する偏向手段としてのポリゴンミラーと、ポリゴンミラーの駆動手段とを有し、ポリゴンミラーによって走査された光をビームLとし、感光体ドラム5上に照射して静電潜像を形成するようになっている。
【0060】
半導体レーザは、制御部からの画像信号に基づいて発光制御されるようになっており、制御部では、原稿読み取り部3からの画像情報だけでなく、プリンタとして用いられる場合の印字信号およびファクシミリ装置として用いられる場合の送信信号に応じた画像信号によって半導体レーザの駆動制御を行う。これにより、画像形成装置1が、複写機だけでなくプリンタおよびファクシミリ装置としての機能を持つデジタル複合機としての性格を持っている。
【0061】
給紙装置11は、用紙Pを積載するとともに積載した用紙Pを画像形成部4に供給するものであって、用紙Pを積載する周知構造の給紙トレイ11Aと、給紙トレイ11Aに積載された用紙Pのうちの最上位の用紙Pをその回転により画像形成部4、具体的にはレジストローラ14に向けて繰り出す繰り出しローラとしての給紙ローラ11Bとを備えたものである。給紙装置11には、必要に応じ、別の給紙装置を増設可能となっている。
【0062】
レジストローラ14は、給紙装置11から給送されてくる用紙Pの先端を突き当てられてその搬送を一時止めるとともに、感光体ドラム5表面のトナー像の先端と用紙Pの先端との位置関係が一致する所定のタイミングで回転を開始するようになっている。
【0063】
定着装置12は、用紙Pを挟持搬送可能なように互いに対向して当接することにより連動回転が可能な定着ローラ12Aと、定着ローラ12Aに対向して配設された加圧部材としての加圧ローラ12Bとを有しており、転写装置9により表面にトナー像を転写された用紙Pを、定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bとの間に通し、このとき加熱および加圧を行うことで、トナー像を用紙Pに融着し、定着させるものである。
排紙装置13は、定着装置12によってトナー像を定着された用紙Pを、排紙トレイ2上に排出する。
【0064】
図2に示すように、感光体ドラム5と、帯電装置6と、現像装置8と、クリーニング装置10とは、プロセスカートリッジ15の一部を構成している。プロセスカートリッジ15は、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、クリーニング装置10のほか、これらを一体に支持する筐体15Aを有している。筐体15Aは、画像形成装置1本体に着脱自在に設けられている。
【0065】
よって、プロセスカートリッジ15は、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、クリーニング装置10を一体で、画像形成装置1本体に着脱可能とするものとなっている。これにより、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、クリーニング装置10のメンテナンス、交換などの作業性を向上している。また、プロセスカートリッジ15を画像形成装置1本体から離脱したあとに露出する転写装置9のメンテナンス、交換などの作業性も向上している。
【0066】
帯電装置6は、感光体ドラム5に対向し当接するように配設され感光体ドラム5を帯電する帯電部材としての帯電ローラ16と、帯電ローラ16に付着したトナーや紙粉等を除去してクリーニングするための帯電ローラクリーナとしてのクリーニング装置21とを有している。帯電ローラ16の径はφ14mmである。
【0067】
クリーニング装置21は、クリーニング対象物としての帯電ローラ16に当接して連れ回り、すなわち従動回転するクリーニング部材としてのクリーニングローラ22と、クリーニングローラ22を帯電ローラ16に向けて加圧し付勢するための付勢部材としての圧縮スプリングであるばね23とを有している。
【0068】
現像装置8は、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を用いる現像装置であり、感光体ドラム5に当接した現像ローラ24を有している。現像ローラ24は感光体ドラム5との対向位置において感光体ドラム5と同じ方向に回転するものであり、2成分現像剤を担持し、2成分現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム5に供給して静電潜像に対応した現像を行う。現像ローラ24の径はφ19mmである。高画質の現像を行うため、かかる現像剤は球形トナーを含んでいる。
【0069】
クリーニング装置11は、クリーニングブレード等を有する周知の構成である。
ビームLは、帯電装置6具体的には帯電ローラ16が感光体ドラム5に当接した位置PAと、現像装置8具体的には現像ローラ24が感光体ドラム5に当接した位置PCとの間の位置PBにて感光体ドラム5に照射される。
【0070】
転写装置9は、図示しない駆動源としてのモータにより回転駆動される駆動ローラ18と、駆動ローラ18に巻き掛けられ駆動ローラ18により感光体ドラム5との対向位置が方向Yに回転駆動される無端状の転写搬送部材としてのベルト19と、駆動ローラ18とともにベルト19を巻き掛けた従動ローラ20とを有している。
【0071】
転写装置9はまた、従動ローラ20を変位させることでベルト19を感光体ドラム5に接離させる接離手段としての接離装置17と、ベルト19の内側に配設され変位手段17によりベルト19及び従動ローラ20とともに変位される転写バイアス印加部材としての転写バイアスローラ9aと、ベルト19をクリーニングする図示しないベルトクリーニング手段としてのベルトクリーニング装置と、ベルト19に用紙Pを静電的に吸着して安定して搬送するためにベルト19を帯電させる図示しないベルト帯電手段とを有している。
【0072】
ベルト19は、その少なくとも表面をCR、EPDM、ウレタンなどのゴム系の材料で形成されているとともに、抵抗付与等のベルト19としての種々の機能を満たすための充填剤を、かかる材料中に均一に分散した態様で添加されている。充填剤としては例えばイオン系材料がある。
【0073】
ベルトクリーニング装置はベルト19に当接したブレード及びバイアスローラを有しており、ベルト19に付着したトナー、紙粉等の異物をベルト19から除去するものである。ベルトクリーニング装置はブレードのみを有する構成としてもよい。
【0074】
接離装置17は、図示を省略する、従動ローラ20と一体のレバーと、レバーに係合したカムと、カムを駆動するための駆動源としてのモータと、カムとモータとの間に位置しモータの駆動力をカムに伝達するか否かを切り替える転写クラッチと、カムと同軸に設けられたフィラーと、不動に固定されたホームポジションセンサとを有している。
【0075】
接離装置17においては転写クラッチがオンするとカムが半回転し、これに伴うレバーの変位によりベルト19が感光体ドラム5に当接する。このときフィラーがホームポジションセンサによって検出され、ベルト19が感光体ドラム5に当接していることが検知される。再び転写クラッチがオンするとカムが半回転し、これに伴うレバーの変位によりベルト19が感光体ドラム5から離間する。このときフィラーはホームポジションセンサによって検出されず、ベルト19が感光体ドラム5から離間していることが検知される。
【0076】
図3に示すように、転写クラッチのオン動作による接離装置17の動作時間すなわちベルト19を感光体ドラム5に接離するための動作に要する時間は100msecであり、作像の前後に、上述した転写クラッチのオン動作が行われるようになっている。なお、図3では、転写クラッチのオフ状態からオン状態に至る波形は垂直であり、立ち上がり時間を含まないものとなっているが、実際にはかかる波形にはいわゆるなまりが含まれ、動作時間の前に立ち上がり時間が存在する。この立ち上がり時間は50msecである。
【0077】
ベルト19を感光体ドラム5に接離させるための構成としては他に、クラッチを用いずにモータを用いるもの、ソレノイドを用いるもの等が挙げられるが、本形態の接離装置17のようにクラッチを用いるものが応答性の点すなわち動作時間短縮の点において好ましい。
【0078】
図2に示すように、ベルト19は、感光体ドラム5に当接する状態において、位置PDで感光体ドラム5に当接する。ベルト19と感光体ドラム5とは、当接することにより、X方向及びY方向における所定幅のニップを形成することから、この位置PDは、かかる所定幅を有する。
【0079】
転写バイアスローラ9aは、ベルト19の内側の、位置PEにおいてベルト19に当接している。位置PEは、X方向及びY方向において位置PDよりも下流側の位置を占める。転写バイアスローラ9aは、感光体ドラム5上に形成されたトナー像をベルト19によって搬送されている用紙Pに転写するための転写バイアスを形成する転写電圧を印加する。
【0080】
排紙装置13の各ローラ相互間に位置する位置PFは、用紙Pの後端がここを通過することで用紙Pが筐体1A外部に排出される排紙位置を示している。
【0081】
図4に、上述の各位置PA、PB、PC、PD、PE、PFを、方向X及び方向Yに沿って、直線状に展開した状態および用紙Pの後端が位置PFにある状態を示す。なお、同図は模式的に示したものであり、各位置PA、PB、PC、PD、PE、PF相互間の距離及び用紙Pの長さLP並びにこれらの比は実際のものと必ずしも一致しない。
【0082】
位置PA、PB、PC、PD、PE、PFはそれぞれ、図2にも示したが、位置PAは帯電装置6による感光体ドラム5の帯電位置、位置PBは書き込み装置7による感光体ドラム5に対する潜像の書き込み位置言い換えると露光位置、位置PCは現像装置8による感光体ドラム5の現像位置、位置PDは感光体ドラム5と転写装置9との当接位置、位置PEは転写バイアスローラ9aによる転写電圧印加位置、位置PFは排紙装置13による用紙Pの排紙位置を示している。
【0083】
上述のように、ベルト19と感光体ドラム5とは、当接することにより所定幅のニップを形成する。そこで、同図に示すように、X方向及びY方向における位置PDの上流側端部部分、下流側端部部分を、それぞれ、位置PD1、PD2としている。かかるニップ幅は、本形態において4.51mmである。
【0084】
同図において符号L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7で示した距離について説明する。
【0085】
距離L1は、位置PAから位置PD1までの距離である。すなわち、距離L1は、感光体ドラム5と帯電装置6との当接位置から感光体ドラム5と転写装置9との当接位置までの感光体ドラム5の移動距離である。感光体ドラム5と転写装置9との当接位置は、特に、方向X及び方向Yにおける位置PDの上流側端部分である。本形態において、距離L1は92.56mmである。
【0086】
距離L2は、位置PCから位置PD1までの距離である。すなわち、距離L2は、感光体ドラム5と現像装置8との当接位置から感光体ドラム5と転写装置9との当接位置までの感光体ドラム5の移動距離である。感光体ドラム5と転写装置9との当接位置は、特に、方向X及び方向Yにおける位置PDの上流側端部分である。本形態において、距離L2は57.43mmである。
【0087】
距離L3は、位置PAから位置PBまでの距離である。すなわち、距離L3は、感光体ドラム5と帯電装置6との当接位置から書き込み装置7による感光体ドラム5に対する潜像の書き込み位置までの感光体ドラム5の移動距離である。本形態において、距離L3は15.06mmである。
【0088】
距離L4は、位置PBから位置PD2までの距離である。すなわち、距離L4は、書き込み装置7による感光体ドラム5に対する潜像の書き込み位置から感光体ドラム5と転写装置9との当接位置までの感光体ドラム5の移動距離である。感光体ドラム5と転写装置9との当接位置は、特に、方向X及び方向Yにおける位置PDの下流側端部分である。本形態において、距離L4は82.01mmである。
【0089】
距離L5は、位置PD2から位置PFまでの距離である。すなわち、距離L5は、感光体ドラム5と転写装置9との当接位置から用紙Pの画像形成装置1外への排出位置までの用紙Pの移動距離である。感光体ドラム5と転写装置9との当接位置は、特に、方向X及び方向Yにおける位置PDの下流側端部分である。本形態において、距離L5は213.63mmである。
【0090】
距離L6は、位置PBから位置PD1までの距離である。すなわち、距離L6は、書き込み装置7による感光体ドラム5に対する潜像の書き込み位置から感光体ドラム5と転写装置9との当接位置までの感光体ドラム5の移動距離である。感光体ドラム5と転写装置9との当接位置は、特に、方向X及び方向Yにおける位置PDの上流側端部分である。本形態において、距離L6は77.5mmである。
【0091】
距離L7は、位置PAから位置PCまでの距離である。すなわち、距離L7は、感光体ドラム5と帯電装置6との当接位置から感光体ドラム5と現像装置8との当接位置までの感光体ドラム5の移動距離である。本形態において、距離L3は35.13mmである。
【0092】
同図において、符号LPは、方向Yに沿った用紙Pの長さを示している。本形態において、用紙PはA4サイズであり、これを横方向に搬送するものとし、距離L3は210mmである。
【0093】
同図において、符号Vは、プロセス線速を示している。プロセス線速Vは、画像形成を行う上での画像等の移動速度であり、感光体ドラム5周りでは感光体ドラム5の移動速度言い換えると回転速度であって、用紙Pの搬送経路においては用紙Pの搬送速度である。本形態では感光体ドラム5の移動速度及び用紙Pの搬送速度は常に同一であり互いに同一であるとして説明する。本形態において、プロセス線速Vは、45枚/分(A4横)用の230mm/sec、35枚/分(A4横)用の180mm/secの2つの速度とされている。
【0094】
図4、図5において、符号TA、TB、TC、TD、TE、TMで示したタイミング及び符号Fstで示した時間について説明する。
【0095】
タイミングTAは、帯電装置6による感光体ドラム5の帯電の開始タイミングである。
【0096】
タイミングTBは、書き込み装置7による感光体ドラム5への潜像形成言い換えると露光の開始タイミングである。
【0097】
タイミングTCは、現像装置8による感光体ドラム5上の潜像の現像の開始タイミングである。
【0098】
タイミングTDは、転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングである。なお、この当接タイミングは、転写クラッチのオンタイミングから、立ち上がり時間50msecと動作時間100msecとを加えた150msec後である。
【0099】
タイミングTEは、転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加の開始タイミングである。
【0100】
タイミングTMは、操作者によって画像形成開始指示がなされることによるメインモータの駆動の開始タイミング言い換えると感光体ドラム5の駆動による移動すなわち回転の開始タイミングである。
【0101】
時間Fstは、操作者によって画像形成開始指示がなされ感光体ドラム5の駆動が開始されてから最初の用紙Pの後端が位置PFを通過し、用紙Pが画像形成装置1外に排出されるまでの時間である。
【0102】
図5において、符号ΔTA、ΔTB、ΔTC、ΔTD、ΔTE、ΔTMで示した時間について説明する。
【0103】
時間ΔTAは、タイミングTMからタイミングTAまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから帯電装置6による感光体ドラム5の帯電開始タイミングまでの時間である。
【0104】
時間ΔTBは、タイミングTMからタイミングTBまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから書き込み装置7の露光開始タイミングまでの時間である。
【0105】
時間ΔTCは、タイミングTMからタイミングTCまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから現像装置8による感光体ドラム5上の潜像の現像開始タイミングまでの時間である。
【0106】
時間ΔTDは、タイミングTMからタイミングTDまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングまでの時間である。
【0107】
時間ΔTEは、タイミングTMからタイミングTEまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加開始タイミングまでの時間である。
【0108】
図5において、符号T1、T2、T3、T4、T6、T7で示した時間について説明する。
【0109】
時間T1は、タイミングTAからタイミングTDまでの時間間隔である。すなわち、帯電装置6による感光体ドラム5の帯電開始タイミングから転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングまでの時間である。この時間T1は、ΔTDからのΔTAの差分によって表すこともできる。
【0110】
時間T2は、タイミングTCからタイミングTDまでの時間間隔である。すなわち、現像装置8による感光体ドラム5上の潜像の現像開始タイミングから転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングまでの時間である。この時間T2は、ΔTDからのΔTCの差分によって表すこともできる。
【0111】
時間T3は、タイミングTDからタイミングTBまでの時間間隔である。すなわち、転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングから書き込み装置7の露光開始タイミングまでの時間である。この時間T3は、ΔTBからのΔTDの差分によって表すこともできる。
【0112】
時間T4は、タイミングTMからタイミングTBまでの時間間隔である。すなわち、メインモータの駆動開始タイミングから書き込み装置7の露光開始タイミングまでの時間である。この時間T4は、ΔTBによって表すこともできる。
【0113】
時間T6は、タイミングTBからタイミングTEまでの時間間隔である。すなわち、書き込み装置7の露光開始タイミングから転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加開始タイミングまでの時間である。この時間T6は、ΔTEからのΔTBの差分によって表すこともできる。
【0114】
時間T7は、タイミングTAからタイミングTCまでの時間間隔である。すなわち、帯電装置6による感光体ドラム5の帯電開始タイミングから現像装置8による感光体ドラム5上の潜像の現像開始タイミングまでの時間である。この時間T7は、ΔTCからのΔTAの差分によって表すこともできる。
【0115】
このように、各時間ΔTA、ΔTB、ΔTC、ΔTD、ΔTE、ΔTM、T1、T2、T3、T4、T6はメインモータの駆動開始タイミングを基準にして測られ、各タイミングTA、TB、TC、TD、TE、Fst、TMはメインモータの駆動開始タイミングを基準にして計られる。
【0116】
ここで、帯電装置6、現像装置8の双方に高電圧が印加される立ち上がり時においては、感光体ドラム5上における、帯電装置6による電圧印加開始位置と現像装置による電圧印加開始位置8とが同一であること、すなわち、
T7=L7/V
であることが理想的であるが、すでに述べたようにこれを確保することが難しい。
【0117】
そこで、感光体ドラム5にキャリアとトナーとのいずれかの付着が生じることの得失を考慮し、意図的に、感光体ドラム5上にトナーが付着するように、立ち上がり時における現像装置8による電圧印加開始位置と帯電装置8による電圧印加開始位置とをずらすよう、制御部により、
T7<L7/V
とする制御が行われている。
【0118】
このような制御を行うと、感光体ドラム5の幅方向言い換えると主走査方向にトナーの帯が形成されてしまう。このトナーの帯がベルト19に付着すると、ベルト19に付着したトナーの帯が用紙Pの裏面等に付着して、用紙Pの裏汚れ等を生じてしまうことがある。特に低温・低湿環境における裏汚れが問題となる。ベルト19へのトナーの帯の付着は、転写バイアスローラ9aが位置PDからずれた位置にあるため、転写バイアスローラ9aの制御によってこれを防止することが難しい。
【0119】
転写装置9はベルトクリーニング装置を有しているが、これは付着した紙粉等の低濃度の異物を除去するために設けられているものであり、帯状のトナーのような高濃度で付着した異物を除去することを想定したものではないため、かかる帯状のトナーをクリーニングするのに十分な性能を有しているとはいえない。またベルト19は表面が、ゴム系材料によって形成されていることも、帯状に付着したトナーを除去することが困難な理由となっている。
【0120】
よって、帯状のトナーの量が多いときや、ベルトクリーニング装置の性能が経時的な理由等により低下しているとき、低温・低湿環境であるときには、1枚目の用紙Pのみならず、2枚目、3枚目の用紙Pにも、ベルト19の周長の周期で裏汚れが生じる場合がある。
【0121】
しかしながら、キャリア付着による感光体ドラム5の劣化抑制の方が優先するため、上述のような、感光体ドラム5上にトナーが付着するよう現像装置8による電圧印加開始位置と帯電装置8による電圧印加開始位置とをずらす意図的な制御を行っているものである。
【0122】
このような画像形成装置1において、ベルト19へのトナー付着を防止するには、感光体ドラム5の回転に伴って、感光体ドラム5上のトナーの帯が位置PDを過ぎてから、ベルト19を感光体ドラム5に当接させてやればよい。
【0123】
そうすれば、トナー除去性能に優れたクリーニング装置10によってかかるトナーの帯が感光体ドラム5から除去されるため、ベルト19を感光体ドラム5に当接させたままの状態を維持して画像形成を繰り返しても、ベルト19がトナーの帯によって汚染されることがない。
【0124】
そこで、画像形成装置1では、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、タイミングTAで帯電装置6が感光体ドラム5の帯電を開始してから転写装置9が感光体ドラム5に当接するタイミングTDまでの時間T1は、制御部により、
T1>L1/V
を満たすように制御される。
【0125】
言い換えると、
ΔTA+L1/V<ΔTD
を満たすように制御される。
【0126】
また同様の理由により、画像形成装置1では、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、タイミングTCで現像装置8が感光体ドラム5上の潜像の現像を開始してから転写装置9が感光体ドラム5に当接するタイミングTDまでの時間T2は、制御部により、
T2>L2/V
を満たすように制御される。
【0127】
言い換えると、
ΔTC+L2/V<ΔTD
を満たすように制御される。
【0128】
なお同様の技術が上記〔特許文献1〕に記載されているが、同文献記載の帯電装置は帯電チャージャであって感光体ドラムから離間した状態で感光体ドラムを帯電する点で帯電装置6が感光体ドラム5に当接しておりこの状態で感光体ドラム5を帯電する画像形成装置1の構成と異なっている。
【0129】
ここで、かりに、タイミングTDすなわち転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングが、タイミングTBすなわち書き込み装置7の露光開始タイミング以降であると、すでに述べたように、転写装置9が感光体ドラム5に当接する際の衝撃によって、書き込み装置7による潜像の形成に乱れが生じ、これに起因して、形成される画像に乱れが生じる。このような潜像のブレが生じると、画像の乱れが用紙Pの幅方向に発生する、書き込みバンディングという横スジ状の異常画像として現れる。
【0130】
また、本形態のように、帯電装置6が感光体ドラム5に当接しており、かつタイミングTDすなわち転写装置9の感光体ドラム5への当接タイミングがタイミングTAすなわち帯電装置6による感光体ドラム5の帯電開始タイミングよりも後である場合には、すでに述べたように、転写装置9が感光体ドラム5に当接する際の衝撃によって、帯電装置6による感光体ドラム5の帯電の不均一性等の帯電不良が発生し、これに起因して、形成される画像に乱れが生じ得る。このような帯電不良が生じ、この部分に書き込みが施されて画像が形成されると、画像の乱れが用紙Pの幅方向に発生する、横白スジいう横スジ状の異常画像として現れる。
【0131】
これら異常画像が用紙P上に現れる場合、その位置は、これらの発生原因に起因して、用紙Pの先端部分であるとともに、書き込みバンディングの方が用紙Pの先端側に現れ、両異常画像の間隔は距離L3すなわち帯電位置PAと露光位置PBとの間の距離となる。
【0132】
これら異常画像は、かかる先端部分に高印字率言い換えると高画像面積率かつハーフトーンの画像を形成する場合に生じやすい。白抜けの画像、画像面積率が数%程度の画像の場合には潜像、帯電の乱れが画像に与える影響はなく、またベタ画像の場合には、かかる乱れによって生じる画像の乱れが視認されにくいためである。
【0133】
書き込みバンディングと横白スジとでは、書き込みバンディングの方が、横白スジよりも幅狭でシャープな白スジとなる。
【0134】
表1に、転写クラッチのオンタイミングと異常画像の発生位置との関係の例を示す。プロセス線速Vは230mm/secである。露光開始タイミングTBは、メインモータの駆動開始後920msecである。なおこの例はかかる異常画像が発生する場合の例であって、本発明の適用の結果として得られるものではない。
【0135】
【表1】

【0136】
転写当接タイミングΔTDの設定値がメインモータの駆動開始後1000msecである場合、その作動の実測値は970msecであった。この実測値は、書き込み手段7による書き込み開始タイミングTBの50msec後である。
【0137】
プロセス線速Vが230mm/secであることから、書き込みバンディングの発生位置は、計算上、書き込み手段7による書き込み開始位置に対応する画像先端から11.5mmの位置である。また横白スジの発生位置は、帯電位置PAと露光位置PBとの間の距離L3が15.06mmであることから、計算上、画像先端から26.56mmの位置である。
【0138】
実機上において、書き込みバンディングの発生位置は画像先端から10〜11mmの位置であり、横白スジの発生位置は画像先端から25〜26mmの位置であったことから、かかる計算値とほぼ一致した。
【0139】
転写当接タイミングΔTDの設定値がメインモータの駆動開始後920msecである場合、その作動の実測値は890msecであった。この実測値は、書き込み手段7による書き込み開始タイミングTBの30msec前である。
よって書き込みバンディングは発生しない。
【0140】
プロセス線速Vが230mm/secであることから、感光体ドラム5に対するベルト19の当接完了時において、書き込み手段7による書き込み開始位置に対応する画像先端位置は、計算上、位置PD1から6.9mm手前の位置である。
【0141】
よって、横白スジの発生位置は、帯電位置PAと露光位置PBとの間の距離L3が15.06mmであることから、計算上、画像先端から8.16mmの位置である。
【0142】
実機上において、書き込みバンディングは発生せず、横白スジの発生位置は画像先端から5〜6mmの位置であったことから、かかる計算値と同様の傾向を示した。
【0143】
転写当接タイミングΔTDの設定値がメインモータの駆動開始後900msecである場合、その作動の実測値は870msecであった。この実測値は、書き込み手段7による書き込み開始タイミングTBの50msec前である。
よって書き込みバンディングは発生しない。
【0144】
プロセス線速Vが230mm/secであることから、感光体ドラム5に対するベルト19の当接完了時において、書き込み手段7による書き込み開始位置に対応する画像先端位置は、計算上、位置PD1から11.5mm手前の位置である。
【0145】
よって、横白スジの発生位置は、帯電位置PAと露光位置PBとの間の距離L3が15.06mmであることから、計算上、画像先端から3.56mmの位置である。
【0146】
実機上において、書き込みバンディングは発生せず、横白スジの発生位置は画像先端から2.5mmの位置であったことから、かかる計算値と同様の傾向を示した。
【0147】
表1から、書き込みバンディング、横白スジに対しては、感光体ドラム5に対するベルト19の当接タイミングTDが早いほど、有効であることが分かる。なおこれは、ベルト19に対する感光体ドラム5上のトナーの帯の付着に対しては、感光体ドラム5に対するベルト19の当接タイミングTDが遅いほど有効であるのと対照的である。
【0148】
このような事情を考慮して、書き込みバンディングの防止のため、画像形成装置1では、制御部により、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、転写装置9が感光体ドラム5に当接するタイミングTDは、書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を介するタイミングTBより前となるように制御される。すなわち、書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を介するタイミングTBは、転写装置9が感光体ドラム5に当接するタイミングTDより後となるように制御される。
【0149】
言い換えると、
ΔTD<ΔTB
を満たすように制御される。
【0150】
ただし、単にかかる関係を満たす制御では、転写装置9が感光体ドラム5に当接したときの衝撃で生じた帯電不良部分に潜像を形成することで、横白スジを発生する可能性がある。よって、横白スジの発生を確実に回避するためには、かかる帯電不良部分が位置PBを通過した後に、書き込み手段7による感光体ドラム5への潜像の形成を開始する必要がある。
【0151】
そこで、両異常画像の防止のため、画像形成装置1では、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、タイミングTDで転写装置9が感光体ドラム5に当接してから書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始するタイミングTBまでの時間T3は、制御部により、
T3>L3/V
を満たすように制御される。
【0152】
言い換えると、
ΔTD+L3/V<ΔTB
を満たすように制御される。
【0153】
本形態において、距離L3は15.06mmであるから、プロセス線速Vが230mm/sec、180mm/secのそれぞれの場合について、計算上の時間T3は63msec、83secよりも長い時間となる。
【0154】
このように、画像形成装置1では、感光体ドラム5上のトナーの帯がベルト19に付着することを防止するために、感光体ドラム5に対するベルト19の当接タイミングを遅らせると生じる横白スジを防止すべく、各タイミングの調整を図ったものである。
【0155】
すなわち帯電装置が帯電チャージャのように感光体ドラムから離間した構成である場合には、転写装置が感光体ドラムに当接するタイミングが露光開始後であっても、横白スジは問題とならない。また、帯電装置が画像形成装置1のように帯電ローラを備えた構成であって、さらに転写装置が感光体ドラムに接離する構成でも、露光開始前に転写装置を感光体ドラムに当接する従来の構成では、横白スジが問題となることはない。しかしながら、感光体ドラム上のトナーの帯が転写装置に付着することを防止するために、画像形成装置1のように感光体ドラムに対する転写装置の当接タイミングを遅らせると、横白スジが生じうる。
【0156】
このような事情のもと、画像形成装置1では、感光体ドラム5上のトナーの帯が転写装置9に付着することを防止するために、感光体ドラム5に対する転写装置9の当接タイミングを遅らせると生じる横白スジを防止すべく、各タイミングの調整を図ったものである。
【0157】
図6、図7に、プロセス線速Vがそれぞれ230mm/sec、180mm/secである場合の、感光体ドラム5が回転を開始してから、書き込み装置7が露光を開始するまでの時間ΔTB、転写装置9が感光体ドラム5に当接するまでの時間ΔTD、転写装置9が感光体ドラム5に当接してから書き込み装置7が露光を開始するまでの時間T3と、各異常画像の有無及びファーストコピータイムであるファーストプリントタイムFstとの、実機における関係を示す。
【0158】
時間ΔTDの設定値は、前者の場合では770msec、後者の場合では900msecである。これらの図から、時間ΔTBを変化させた場合、書き込みバンディングの方が発生範囲が狭く、時間ΔTBの設定範囲に余裕があることが分かる。これは、表1について検討した場合において、時間ΔTDを変化させたときに書き込みバンディングの解消の方が容易に行われることと一致している。
【0159】
図6、図7において、ファーストプリントタイムFstは実測値である。測定は次のようにして行った。すなわちポリゴンミラーを起動状態とし駆動手段により常時回転させた状態で、制御部に画像形成開始指示の旨の信号が入力されてから、用紙Pの後端が排紙センサ25を通過した時の信号を取得し、これらの間の時間を計測するとともに、この時間に、排紙センサ25から位置PFまでの距離をプロセス線速Vで除算した時間を合計して算出したものである。制御部に画像形成開始指示の旨の信号が入力されるタイミングは、感光体ドラム5の駆動開始タイミングTMと同視してよい。
【0160】
図6に示した場合では、異常画像が発生しないNO.6では、実機上の時間T3が203msecとなっている。プロセス線速Vが230mm/secでは計算上の時間T3は上述のように63msecである。これらの差は140msecであるが、これは、転写クラッチの立ち上がり時間50msecと動作時間100msecとの和150msecに関係し、ほぼこれらは合致している。つまり、感光体ドラム5に対する転写装置9の当接がほぼ確実に完了し、接離装置17の動作がほぼ完了してから、露光が開始される。
【0161】
図7に示した場合では、異常画像が発生しないか無視できる程度となっているNO.10では、実機上の時間T3が248msecとなっている。プロセス線速Vが180mm/secでは計算上の時間T3は上述のように83msecである。これらの差は165msecであるが、これは、転写クラッチの立ち上がり時間50msecと動作時間100msecとの和150msecに関係し、かかる和はかかる差の範囲内に収まっている。つまり、感光体ドラム5に対する転写装置9の当接が確実に完了し、接離装置17の動作が完了してから、露光が開始される。
【0162】
時間T3は接離装置17の立ち上がり時間、動作時間に関する性能によって、異常画像が発生しないように調整されるものである。すなわち、時間ΔTDは、かかる立ち上がり時間、動作時間を含めた時間であることが好ましい。
【0163】
なお、かかる動作時間はかかる立ち上がり時間に影響を与えない範囲で短くしてもよい。動作時間が短ければ、異常画像の発生しない範囲に余裕を持たせることができるためである。また接離装置17においてはカムの半回転ごとにベルト19が感光体ドラム5に接離するため、かかる動作時間を長くしすぎてカムが1回転してしまわないようにする必要がある。
【0164】
時間T3を短くして、感光体ドラム5の駆動開始後書き込み装置7が露光を開始するまでの時間ΔTBを短くするには、位置PAと位置PBの距離L3を短くすることが有効である。距離L3が短くなれば、書き込みバンディングと横白スジとの間隔が短くなって、Y方向における異常画像の発生範囲を抑えることができるため、時間TBの設定範囲に余裕ができ、感光体ドラム5の駆動開始後書き込み装置7が露光を開始するまでの時間ΔTBを短くできる。
【0165】
ただし、ビームLと帯電ローラ16とが干渉してはならず、距離L3の最小値は、帯電ローラ16の半径Rである7mmより大きくする必要がある。
すなわち、
R<L3
を満たさなければならない。
【0166】
上述のようにΔTBを短くできれば、画像形成に要する時間を短縮できる。
画像形成所要時間すなわち操作者によって画像形成開始指示がなされてから画像形成が終了するまでに要する時間の短縮の観点からすると、操作者によって画像形成開始指示がなされてから1枚目の用紙Pの後端が位置PFを通過し、用紙Pが画像形成装置1外に排出されるまでの時間Fstを短縮することが有効である。
【0167】
そこで、画像形成装置1では、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始するタイミングTBまでの時間T4は、制御部により、
T4<T5
T5=Fst−(L4+L5+LP)/V
を満たすように制御される。
【0168】
時間T4を時間T5より小さくすれば、狙いの時間Fstの仕様を満足させることができる。時間Fstは仕様値であってプロセス線速Vに依存する。時間Fstはその他、給紙トレイ11Aの位置すなわち用紙Pの積載位置にも依存するものであり、給紙トレイ11Aが多段で配設されているときには、通常、最上段の給紙トレイ11Aから用紙Pを給紙するときが、他段の給紙トレイ11Aから用紙Pを給紙するときよりも短い。ただし、潜像を形成する作像周りすなわち感光体ドラム5回りに限ればこれは変わらない。
【0169】
本形態において、プロセス線速Vが230mm/secであるときのA4横の用紙Pについての時間Fstが3.5秒であるとすると、時間T5は、上式から、3.5−(213.63+82.01+210)/230=1.301secとなる。よって、かかる時間Fstを満足するには、感光体ドラム5の回転開始後、1.301sec後までには書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始しなければならない。
【0170】
また、プロセス線速Vが180mm/secであるときのA4横の用紙Pについての時間Fstが4.1秒であるとすると、時間T5は、上式から、4.1−(213.63+82.01+210)/180=1.290secとなる。よって、かかる時間Fstを満足するには、感光体ドラム5の回転開始後、1.290sec後までには書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始しなければならない。
【0171】
上式は、時間Fstを、そのパラメータである距離L4、距離L5、長さLP、プロセス線速V、時間T4によって、どこまで短縮可能であるかを調べるのに用いることもできる。
【0172】
画像形成装置1では、転写装置9が感光体ドラム5に接離するため、転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加の開始タイミングTEは、タイミングTDで転写装置9が感光体ドラム5に当接した後としなければならない。
【0173】
すなわち、画像形成装置1では、制御部により、
ΔTD<ΔTE
を満たすように制御される。
【0174】
これは時間ΔTEの下限を示すものであるが、時間ΔTEには、タイミングTEを、像担持体5上のトナー像がニップ位置である位置PDの、X方向及びY方向における上流側端部部分である位置PD1に至る前にしなければならないという制約がある。
【0175】
すなわち、画像形成装置1では、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、タイミングTDで転写装置9が感光体ドラム5に当接した後であって、書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始するタイミングTBから転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加を開始し感光体ドラム5上のトナー像の用紙Pへの転写を開始するタイミングTEまでの時間T6は、制御部により、
T6<L6/V
を満たすように制御される。
【0176】
したがって、
ΔTB+L6/V>ΔTE>ΔTD
を満たすように制御される。
【0177】
なお、画像形成上は、上式において時間ΔTE、ΔTDについて、大小関係が逆の、
ΔTE<ΔTD
となっていても良いといえる。
【0178】
すなわち、転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加を開始した状態で、転写装置9が感光体ドラム5に当接しても良い。しかしこの場合には、通常の印加電圧以上の高電圧がベルト19に印加されてしまう。この電圧は、リミッターがある場合にはリミッターぎりぎりとなり、またリミッターがない場合では感光体ドラム5へのリークが発生してしまい、危険である。
【0179】
リミッターがある場合についてさらに詳しく述べる。
例えばリミッターの設定を6.8KVとすると、ベルト19に同程度の高電圧が印加され、ベルト19の一部に電荷が集中してしまい、その部分にクラックすなわち亀裂が発生するという懸念がある。
【0180】
亀裂は次のような理由で生じうる。すなわち、ベルト19には上述のように充填剤が均一に分散した態様で添加されているが、一部は凝集した状態となっているため、凝集した充填剤にかかる高電圧が印加されることがあり、この場合にはこの凝集部分を起点として亀裂が発生してしまうのである。充填剤としてイオン系材料を使用した場合には、低温・低湿環境で抵抗が高くなるため、かかる高電圧が印加される可能性が高くなる。
【0181】
よって、かかる高電圧の印加リスクを抑制し、ベルト19を長寿命化するという観点から、転写バイアスローラ9aによる転写電圧の印加は、転写装置9が感光体ドラム5に当接した後に開始するのが良い。
【0182】
図8、図9に、プロセス線速Vがそれぞれ230mm/sec、180mm/secである場合の、上述の条件すべてを満たす画像形成装置1のタイミングチャートの一例を示す。このような画像形成装置1によれば、感光体ドラム5上のトナーの帯のベルト19への付着防止、各異常画像の防止、ファーストプリントタイムFstの確保又は短縮、良好な転写性能、転写装置の長寿命化のすべてが成される。
【0183】
さて、画像形成装置1には、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、書き込み手段7が感光体ドラム5への潜像の形成を開始するタイミングTBを操作者が任意に設定可能とする書き込み開始時間設定モードとが用意されている。
【0184】
このモードは、ファーストプリントタイムFstの短縮を最優先するためのモードである。すなわち、上述のように、書き込みバンディング等の異常画像は用紙Pの先端部に高画像面積率のハーフトーン画像を形成する場合に主に問題となる。よってかかる画像でない画像を形成するときは、操作者がかかるタイミングTBを早め、時間ΔTBを短くする設定することができるようにするものである。
【0185】
よってかかるモードは、操作者としてサービスマンがかかる異常画像が発生しないようにするべくかかるタイミングTBの調整を行うために用意されているというよりも、操作者としてエンドユーザーがファーストプリントタイムFstを短縮できるようにすることをその主な目的として用意されているものである。
【0186】
かかるモードへの移行は、操作パネル、その他、画像形成装置1に接続されたコンピュータ端末等の入力手段等からの操作者からの指示によって行われる。ここに、かかる操作パネル、入力手段等は、書き込み開始時間設定モード移行手段あるいはモード変更手段として機能する。かかるモードへの移行後は、操作パネル、かかる入力手段等によって、かかるタイミングTB、時間ΔTBを入力し、調整できるようになっている。ここに、かかる操作パネル、入力手段等は、書き込み開始時間入力手段あるいは書き込み開始時間変更手段として機能する。
【0187】
また、かかるモードへの移行は、画像形成装置1の内部処理として行われるようになっていても良い。例えば、制御部によって、用紙Pの先端部に高画像面積率の画像が形成され、かつそれがハーフトーンの画像であるか否かを判断し、これによって上述の異常画像が起こりうるか否か、起こるとすればどの部位かを判断し、判断状況に応じて異常画像が発生しないように、かかるタイミングTB等を自動設定するようにしてもよい。この場合、制御部は、書き込み開始時間設定モード移行手段あるいはモード変更手段、また、書き込み開始時間入力手段あるいは書き込み開始時間変更手段として機能する。
【0188】
また画像形成装置1には、タイミングTMの後すなわち感光体ドラム5の回転開始後、転写装置9が感光体ドラム5に当接するタイミングTDを操作者が任意に設定可能とする当接開始時間設定モードが用意されている。
【0189】
このモードは、操作者としてサービスマンが変更可能なサービスマンモードその他操作者としてエンドユーザが変更可能なモードとして設けられるものであり、ファーストプリントタイムFstの短縮、トナーの帯の転写を含む異常画像の回避等を目的としたものである。
【0190】
かかるモードへの移行は、操作パネル、その他、画像形成装置1に接続されたコンピュータ端末等の入力手段等からの操作者からの指示によって行われる。ここに、かかる操作パネル、入力手段等は、当接開始時間設定モード移行手段あるいはモード変更手段として機能する。かかるモードへの移行後は、操作パネル、かかる入力手段等によって、かかるタイミングTD、時間ΔTDを入力し、調整できるようになっている。ここに、かかる操作パネル、入力手段等は、当接開始時間入力手段あるいは当接開始時間変更手段として機能する。
【0191】
また、かかるモードへの移行は、画像形成装置1の内部処理として行われるようになっていても良い。例えば、制御部によって、かかる異常画像が発生しないように、かかるタイミングTD等を自動設定するようにしてもよい。この場合、制御部は、当接開始時間設定モード移行手段あるいはモード変更手段、また、当接開始時間入力手段あるいは当接開始時間変更手段として機能する。
【0192】
その他、上述した他の各タイミング、時間等も同様にして、操作者、制御部によってそれぞれを変更、設定するモードに移行するようにしてもよい。画像形成開始指示も、かかる入力手段によって行うことができるようにしてもよい。
【0193】
以上は、画像形成装置1がモノクロ機の場合について説明したが、本発明は、カラー機についても同様に適用することができる。
【0194】
図10に本発明を適用したカラー機である画像形成装置1を示す。モノクロ機について説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。またモノクロ機についての説明と重複する説明は省略し、主に異なる部分について説明する。
【0195】
図10に示した符号であって末尾にY、M、C、Kが付いているものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成するための作像系およびそれを構成する各要素の位置関係を示すものであり、上述のモノクロ機に付した符号の後ろにY、M、C、Kを付したものであって、その作用、動作、位置等は、対応する符号のモノクロ機の構成、位置と同様である。
【0196】
上述のモノクロ機である画像形成装置1においては、転写装置9が、搬送する用紙Pにトナー像を転写する転写搬送ユニットであったが、かかるカラー機であるタンデム式の画像形成装置1においては、転写装置9は、中間転写手段としての中間転写装置であり、1次転写手段としての1次転写装置として備えられており、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された各色のトナー像を、これに備えられた中間転写体としてのベルト19に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、重畳転写するようになっている。転写バイアスローラ9aY、9aM、9aC、9aKはそれぞれ、かかる1次転写を行う1次転写バイアスローラとして機能する。
【0197】
感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された各色のトナー像は、ベルト19に重畳転写され、重畳転写によって得られたカラーのトナー像は、2次転写手段としての2次転写装置26によって、用紙Pに転写されるようになっている。2次転写装置26は、ベルト19を巻き掛けた対向ローラ27と、ベルト19を挟んで対向ローラ27に対向し2次転写バイアスを印加する2次転写バイアスローラ28とを有している。
【0198】
かかるカラー機である画像形成装置1においては、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kを中心としたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の作像系のそれぞれにおいて、例えば露光のタイミング等について上述のタイミング等と同様のタイミング等に調整されているとともに、転写装置9とかかる各作像系のそれぞれとの関係においても、例えば接離のタイミング等について上述のタイミング等と同様のタイミング等に調整されている。
【0199】
これに応じて、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナーの帯のベルト19への付着防止、各異常画像の防止、ファーストプリントタイムFstの確保又は短縮、良好な転写性能、転写装置の長寿命化が適宜成される。
【0200】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0201】
例えば、画像形成装置1は、上述のモノクロ機では用紙Pを縦搬送する構成としたが、モノクロ機であっても図10に示したような、用紙Pを横搬送言い換えると水平搬送するものであっても良い。カラー機であっても縦搬送しても良い。転写装置は、必ずしもベルトを有している必要はなく、ローラ形状であっても良い。転写装置は、上述の形態では間接印加方式を採用し、転写バイアスローラを使用しているが、転写バイアスを印加する構成は転写チャージャであっても良い。帯電装置は、像担持体に当接する構成であれば帯電ローラでなく帯電ブラシであっても良い。
【0202】
上述の形態において、各タイミングはメインモータの駆動開始タイミングを基準としたが、タイミングの基準は他のタイミングとしてもよい。
【0203】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0204】
1 画像形成装置
5、5Y、5M、5C、5BK 像担持体
6 帯電手段
7 書き込み手段
8 現像手段
9 転写手段
L1 像担持体と帯電手段との当接位置から像担持体と転写手段との当接位置までの像担持体の移動距離
L2 像担持体と現像手段との当接位置から像担持体と転写手段との当接位置までの像担持体の移動距離
L3 像担持体と帯電手段との当接位置から書き込み手段が像担持体に潜像を書き込む位置までの像担持体の移動距離
L4 書き込み手段が像担持体に潜像を書き込む位置から像担持体と転写手段との当接位置までの像担持体の移動距離
L5 像担持体と転写手段との当接位置から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの記録媒体の移動距離
L6 書き込み手段が像担持体に潜像を書き込む位置から転写手段と像担持体との当接位置までの像担持体の移動距離
LP 当該Fstにおける記録媒体の長さ
P 記録媒体
PA 像担持体と帯電手段との当接位置
PB 書き込み手段が像担持体に潜像を書き込む位置
PC 像担持体と現像手段との当接位置
PD 像担持体と転写手段との当接位置
PD1 当接位置のうち、像担持体の移動方向上流側端部部分
PD2 当接位置のうち、像担持体の移動方向下流側端部部分
PE 転写手段による転写電圧の印加位置
PF 記録媒体が画像形成装置外に排出される排紙位置
T1 像担持体の移動開始後、帯電手段が像担持体の帯電を開始してから転写手段が像担持体に当接するまでの時間
T2 像担持体の移動開始後、現像手段が像担持体の現像を開始してから転写手段が像担持体に当接するまでの時間
T3 像担持体の移動開始後、転写手段が像担持体に当接してから書き込み手段が像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間
T4 像担持体の移動開始後、書き込み手段が像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間
T5 所定の時間
T6 像担持体の移動開始後、転写手段が像担持体に当接した後であって、書き込み手段が像担持体への潜像の形成を開始してから、転写手段により像の転写を開始するまでの時間
TA 帯電手段による像担持体の帯電の開始タイミング
TB 書き込み手段による像担持体への潜像の形成の開始タイミング
TC 現像手段による像担持体の現像の開始タイミング
TD 転写手段の像担持体への当接タイミング
TE 転写手段による像担持体上の像の転写の開始タイミング
TF 所定の長さの記録媒体について、像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間
TM 像担持体の移動開始タイミング
V プロセス線速
X 像担持体の移動方向
Y 記録媒体の搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0205】
【特許文献1】特開2000−75670号公報
【特許文献2】特開2005−258243号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記帯電手段が前記像担持体の帯電を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T1は、
T1>L1/V
L1:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記現像手段が前記像担持体の現像を開始してから前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間T2は、
T2>L2/V
L2:前記像担持体と前記現像手段との当接位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するのは、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、
T3>L3/V
L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接してから前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T3は、
T3>L3/V
L3:前記像担持体と前記帯電手段との当接位置から前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、
T4<T5
T5=Fst−(L4+L5+LP)/V
Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間
L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離
L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの記録媒体の移動距離
LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間T4と、所定の時間T5とは、
T4<T5
T5=Fst−(L4+L5+LP)/V
Fst:所定の長さの記録媒体について、前記像担持体の移動開始後、画像が形成された記録媒体が画像形成装置外に排出されるまでの時間
L4:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部までの前記像担持体の移動距離
L5:前記像担持体と前記転写手段との当接位置の前記像担持体の移動方向下流側端部から記録媒体が画像形成装置外に排出される位置までの前記像の移動距離
LP:当該Fstにおける記録媒体の長さ
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
所定の速度で移動する像担持体と、この像担持体に当接し同像担持体を帯電する帯電手段と、この帯電手段によって帯電した前記像担持体に潜像を形成する書き込み手段と、この書き込み手段によって形成された潜像を現像する現像手段と、この現像手段によって現像された像を転写する転写手段とを有し、この転写手段が前記像担持体に接離する、記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、
T6<L6/V
L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接した後であって、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始してから、前記転写手段により前記像の転写を行うための転写バイアスの印加を開始するまでの時間T6は、
T6<L6/V
L6:前記書き込み手段が前記像担持体に潜像を書き込む位置から前記転写手段と前記像担持体との当接位置までの前記像担持体の移動距離
V:プロセス線速
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9又は10記載の画像形成装置において、
前記像担持体と前記転写手段との前記当接位置は、同当接位置のうち、前記像担持体の移動方向上流側端部部分であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記転写手段が前記像担持体に当接するまでの時間を任意に設定するための当接開始時間設定モードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体の移動開始後、前記書き込み手段が前記像担持体への潜像の形成を開始するまでの時間を任意に設定するための書き込み開始時間設定モードを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記転写手段が中間転写手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか1つに記載の画像形成装置を用いて画像形成を行う画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−93791(P2012−93791A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28656(P2012−28656)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2007−107472(P2007−107472)の分割
【原出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】