説明

画像形成装置及び画像形成装置の排気方向を変更する方法

【課題】 画像形成装置の設置場所に応じて、排気口からの排気方向を容易に変更する。
【解決手段】 実施形態の画像形成装置は、筐体の配置位置に応じて、カバーを、筐体のポケット位置或いはダクト穴周囲にねじ留めする。ダクト穴周囲では、カバーの取り付け方向を変えて、ダクト穴からの排気及び騒音の向きを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の実施形態は、複写機やプリンタ等が発生する排気及び騒音を規制する画像形成装置及び画像形成装置の排気方向を変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来画像形成装置の運転時に生じる騒音を低減する専用の外部ダクトを画像形成装置の排気口外部に設ける装置がある(例えば特許文献1参照)。他方ユーザからは、画像形成装置を部屋の何処に設置するかによって、排気口からの排気方向更には騒音の聞こえる方向を変更したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−340037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、画像形成装置の使用形態或いは設置位置等に応じて、画像形成装置の運転時に生じる排気の方向を容易に変更し、或いは騒音を低減して、良好な環境を得る画像形成装置及び画像形成装置の排気方向を変更する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態の画像形成装置は、排気口を備える筐体と、筐体に着脱するポケット兼用ダクトと、ポケット兼用ダクトの取り付け部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態のポケット位置にカバーを取り付けたプリンタの背面を示す概略斜視図。
【図2】第1の実施形態のカバーの背面を示す概略斜視図。
【図3】第1の実施形態の他の例のカバーの背面を示す概略斜視図。
【図4】第1の実施形態のダクト穴に開口を下向きにしてカバーを取り付けた、プリンタの背面を示す概略斜視図。
【図5】第1の実施形態のダクト穴に開口を左向きにしてカバーを取り付けた、プリンタの背面を示す概略斜視図。
【図6】第1の実施形態のダクト穴に開口を右向きにしてカバーを取り付けた、プリンタの背面を示す概略斜視図。
【図7】第1の実施形態の粘着テープで着脱するカバーの背面を示す概略斜視図。
【図8】第1の実施形態の嵌め込み式で着脱するカバーの背面を示す概略斜視図。
【図9】第2の実施形態のカバーの背面を示す概略斜視図。
【図10】第2の実施形態のダクト穴に開口を下向きにしてカバーを取り付けた、プリンタの背面を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下実施形態について説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の画像形成装置であるプリンタ1を背面から見た概略斜視図である。プリンタ1は筐体背面10aに、排気口であるダクト穴12を備える。プリンタ1は、筐体背面10aのポケット位置に、ポケット兼用ダクトであるカバー14を着脱可能に備える。
【0009】
図2に示すように、カバー14は、ねじ穴15aを有する4個の台座15を備える。4個のねじ穴15aは、正方形の4隅となるように配置される。カバー14は、例えばプラスチック製であり、台座15と一体形成される。カバー14は、筐体10への取り付け側に、導通部である切り欠き部18を備え、ダクト穴12側に取り付けたときに、ダクト穴12からの排気をカバー14内に導通する。カバー14の形状は限定されず、例えば図3の他の例に示すように、カバー24の裏面の切り欠き部28を穴状に形成しても良い。
【0010】
カバー14は、筐体背面10aのポケット位置で、ねじ17によりカバー14の台座15を、筐体10に形成したねじ穴16にねじ留めする。筐体背面10aのダクト穴12の周囲には、ポケット位置のねじ穴と同じ配置のねじ穴20が形成される。ねじ穴15a、16と20及び、ねじ17は、取り付け部であるねじ装置19を形成する。
【0011】
筐体背面10aのポケット位置では、カバー14は、開口部21が上を向くように取り付けられる。ポケット位置に取り付けられたカバー14には、必要に応じて、取り扱い説明書或いは、メンテナンス記録等を入れる。
【0012】
プリンタ1は、筐体10内部の例えば露光部や定着部で発生する熱を除去するため、筐体10内部の空気をダクト穴12から外部に排気する。更にダクト穴12からは、空気と共に、筐体10内部の駆動音が漏れる。このためオフィス内にプリンタ1を設置した時に、設置位置によっては、オフィス内の環境を良くするためにダクト穴12からの空気の排気方向を変更し、騒音を低減する必要を生じる。
【0013】
例えばプリンタ1を、オフィス内のデスクから少し離れた場所に設置する場合は、ダクト穴12からの排気及び騒音のいずれも、あまり気にならない。したがって、カバー14は、筐体背面10aのポケット位置に取り付けて、資料を入れるポケットとして機能する。このときダクト穴12は開放されていて、プリンタ1からの排気及び騒音は、四方に分散する。
【0014】
他方例えばプリンタ1を、オフィス内のデスクの近くに設置する場合は、ダクト穴12からの排気及び騒音をデスク方向に向けないように配慮する必要を生じる。このため例えばプリンタ1を設置する時に、カバー14をポケット位置からダクト穴12に付替えて、プリンタ1からの排気及び騒音を望ましい方向に向ける。カバー14の付替えは、ねじ穴16からねじ17を外して、ポケット位置からはずしたカバー14を、ダクト穴12の周囲のねじ穴20にねじ留めする。ダクト穴12からの排気及び騒音は、切り欠き部18を通過後、カバー14の内壁に沿って方向を変えられて、開口部21から排出される。
【0015】
例えばプリンタ1の筐体背面10a側にデスクが有る場合は、図4に示すように、カバー14の開口部21を矢印x方向である下方向に向ける。これにより、プリンタ1からの排気及び騒音は直接デスク方向に排出されない。カバー14によりデスク周辺の騒音の低減を得られる。
【0016】
例えば、プリンタ1をデスクの近くであっても壁際の隅に設置する場合は、図5に示すように、カバー14の開口部21を矢印y方向である左方向に向け、或いは図6に示すように、カバー14の開口部21を矢印z方向である右方向に向けても良い。カバー14の開口を左右のいずれに向けるかは例えば側面の壁の向きによって選択する。カバー14を任意の向きで、ダクト穴12周囲にねじ留めすることにより、プリンタ1から排出される排気及び騒音の向きをユーザの要望する方向に容易に変更でき、騒音の低減を得られる。
【0017】
カバー14の取り付け部は、ねじ装置19に替えて粘着テープを用いても良い。例えば図7に示すように、カバー14の切り欠き部18周囲に、繰り返し着脱可能な粘着テープ22を取着する。要望に応じて、カバー14の粘着テープ22をポケット位置からはがして、カバー14を筐体10から外す。外したカバー14を、ダクト穴12周囲で所望の向きに設定して粘着テープ22で貼り、ダクト穴12の排気及び騒音の方向を換える。
【0018】
更にカバー14の取り付け部材は、嵌め込み式にしても良い。例えば筐体背面10aのねじ穴16、及びねじ穴20の位置に、ウレタン等の弾性からなる穴あきのワッシャ26を取着する。図8に示すように、ワッシャ26の穴と嵌まり合うボス23をカバー14と一体形成する。要望に応じて、ポケット位置のワッシャ26からカバー14のボス23を引き抜いて、カバー14を筐体10から外す。外したカバー14を、ダクト穴12周囲で所望の向きに設定して、ワッシャ26に、カバー14のボス23を嵌めて、ダクト穴12にカバーを取り付ける。
【0019】
第1の実施形態によると、ユーザの要望により、ポケット位置から外したカバー14を、カバー14の開口部21の向きを選択してダクト穴12の周囲にねじ留めする。カバー14を付替えるのみで、ダクト穴12からの排気及び騒音の方向を容易に変更できる。プリンタ1の使用環境に応じて、オフィス内に適した環境設定を容易に得られ騒音の低減を得られる。
【0020】
更にカバー14の取り付け部を粘着テープ或いは嵌め込み式にすれば、ねじ17を着脱する工具を使用しなくても、ダクト穴12からの排気及び騒音の方向を容易に変更できる。
【0021】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は上述した第1の実施形態と、カバーの形状が異なる。第2の実施形態にあっては、前述の第1の実施形態で説明した構成と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。第2の実施形態では、カバーを筐体に取着した時に、カバーにダクト機能とポケット機能の両方の機能を持たせるものである。
【0022】
第2の実施形態では、ポケット兼用ダクトとして、図9に示すカバー30を用いる。カバー30は、ほぼ中央の仕切り30aを挟んで、ポケット31と、ダクト32を備える。カバー30のダクト32は、ねじ穴34aを有する4個の台座34を備える。4個のねじ穴34aは、正方形の4隅となるように配置される。カバー30は、プラスチック製であり、台座34と一体形成される。カバー30は、筐体10への取り付け側に、導通部である切り欠き部36を備える。
【0023】
ねじ17は、図10に示すように、カバー30の台座34を、筐体背面10aのダクト穴12の周囲のねじ穴20にねじ留めする。カバー30は、ダクト32のダクト開口32aを矢印x方向の下方向(床方向)に向けると、ポケット31のポケット開口31aが上を向く。ダクト穴12に取り付けられたカバー30には、必要に応じて資料を入れる。
【0024】
プリンタ1の駆動により生じる筐体10内部の熱や騒音は、ダクト穴12から切り欠き部36を通過後、ダクト32の内壁に沿って、排出方向が下方向(床方向)に変わる。
【0025】
カバー30をダクト穴12の周囲に取り付けることにより、例えばプリンタ1を、オフィス内のデスクの近くに設置する場合であっても、プリンタ1からの排気及び騒音は直接デスク方向に向かない。カバー30は、デスク周辺の騒音を低減する。またカバー30は、排気及び騒音を下方向(床方向)に向けた時に、ポケット31に資料を入れることが出来る。
【0026】
またオフィス環境により、カバー30のダクト開口32aを左方向あるいは右方向に向けたいという要望を生じた時は、ダクト穴12の周囲のねじ穴20からねじ17を外して、一旦カバー30を、筐体背面10aから外す。筐体背面10aから外したカバー30の方向を変えて、ダクト穴12の周囲のねじ穴20に、再度カバー30をねじ留めする。ダクト穴12からの排気及び騒音の排出方向は、切り欠き部36を通過後、カバー30の内壁に沿って、筐体10の左方向或いは右方向に変わる。要望に応じてカバー30の開口を左右のいずれに向けるかを選択して、排気及び騒音の排出方向を容易に変更でき、騒音を低減し、良好な環境を得られる。
【0027】
尚プリンタ1を、例えばデスクから離れた位置に配置する時は、ダクト穴12周囲にカバー30を取り付けなくてもよい。また、カバー30をポケット機能専用に使用する場合は、カバー30はプリンタ1の上方に配置していたほうが、使い勝手が良い。従って、カバー30をポケット機能専用に使用する場合は、カバー30は、ポケット開口31aを上向きにして、筐体背面10aの上方にあるポケット位置のねじ穴16に取り付ける。
【0028】
第2の実施形態によると、カバー30のダクト32の開口部32aの向きを矢印x方向の下方向(床方向)に向けて、騒音を低減するときには、ポケット31に資料を入れることが出来る。カバー30は、ダクト穴12からの排気及び騒音の方向を変更する機能と、ポケット機能の両方の機能を備えられる。更にユーザ等の要望により、カバー30の取り付け方向を変えるのみで、ダクト32の開口部32aの向きを変えて、ダクト穴12からの排気及び騒音の方向を容易に変更できる。プリンタ1の使用環境に応じて、オフィス内に適した環境設定を容易に得られ騒音の低減を得られる。
【0029】
上記少なくとも1つの実施形態によると、プリンタの使用環境に応じて、ポケット兼用ダクトを筐体から外して、再度筐体に付替えることにより、オフィス内に適した環境設定を容易に得られオフィス内の騒音の低減を容易に得られる。
【0030】
この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…プリンタ
10a…筐体背面
12…ダクト穴
14…カバー
15…台座
15a、16、20…ねじ穴
17…ねじ
19…ねじ装置
21…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を備える筐体と、
前記筐体に着脱するポケット兼用ダクトと、
前記ポケット兼用ダクトの取り付け部とを具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記ポケット兼用ダクトは、前記筐体のポケット位置或いは前記排気口に着脱可能である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ポケット兼用ダクトは、前記排気口において取り付け方向を変えることにより前記排気口からの排気方向を変更する請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取り付け部が、前記排気口周囲及び前記筐体のポケット位置の正方形の四隅に配置される請求項1乃至請求項3のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
着脱可能なポケット兼用ダクトを、筐体の排気口に取り付ける工程を具備することを特徴とする画像形成装置の排気方向を変更する方法。
【請求項6】
前記ポケット兼用ダクトを、前記筐体のポケット位置から外して、前記排気口に取り付ける請求項5記載の画像形成装置の排気方向を変更する方法。
【請求項7】
前記排気口において、前記ポケット兼用ダクトの取り付け方向を変えて、前記排気口からの排気方向を変更する請求項5又は請求項6のいずれか記載の画像形成装置の排気方向を変更する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−227471(P2011−227471A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59267(P2011−59267)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】