説明

画像形成装置用ベルト、及びそれを用いた画像形成装置

【課題】表面凹凸がある紙種への転写性が優れており、かつ長期に渡ってベルト反りが起こることもなく、耐久性に優れた中間転写ベルト、及び該中間転写ベルトを用いた、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写方式の画像形成装置を提供すること。
【解決手段】複数のローラ部材間に張架されて回転する画像形成装置用ベルトであって、少なくとも内側から基層、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を順次備えた積層構造であり、前記ベルトの両端部の厚みは中央部厚みの50%〜95%であり、かつ端部反り量が4mm以下であることを特徴とする画像形成装置用ベルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピーマシン・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルトのような画像形成装置用ベルト、及びそれを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な画像形成装置用ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真装置においては様々な用途でシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
【0003】
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
【0004】
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料(基層)として主に、高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが用いられている。
【0005】
ところが、ポリイミド樹脂による中間転写ベルトにおいては、高強度であるためその表面硬度も高いので、トナー像を転写する際にトナー層に高い圧力がかかり、トナーが局部的に凝集し画像の一部が転写されない、いわゆる中抜け画像が発生することがある。また、感光体や用紙などの転写部での接触部材との接触追従性が劣るため、転写部において部分的な接触不良部(空隙)が発生し、転写むらが発生することがある。
【0006】
近年、フルカラー電子写真を用いてさまざまな用紙に画像を形成することが多くなり、通常の平滑な用紙だけでなく、コート紙のようなスリップ性のある平滑度の高いものからリサイクルペーパーやエンボス紙や和紙やクラフト紙のような表面性の粗いものが使用されることが増えてきている。このような表面性状の異なる用紙への追従性は重要であり、追従性が悪いと、用紙の凹凸状の濃淡むらや色調のむらが発生する。この課題を解決するために比較的柔軟性のあるゴム弾性層を基層上に積層した様々な中間転写ベルトが提案されている。しかしながら、このようなゴム弾性層は基層に比べて成型時の熱収縮が大きいので、ベルトが外側(弾性層側)に大きく反りやすいと言った問題があった。
【0007】
特許文献1の特開平9−230717号公報では、転写ローラ上の弾性層を3μm以下の直径のビーズで被覆することが提案されている。しかしながら、この公開公報記載の構成をベルトに適用した場合は耐久性が低く、粒子脱離の発生や端部反りによる走行不良が起こってしまい十分ではない。
特許文献2の特開2000−293045号公報では、中間転写ベルト端部をテープで固定し端部反りを低減することを提案している。しかしながら、この公開公報記載の技術は端部反り自体を発生させないというようも、発生した端部反りを抗張力テープ貼着によって外部から抑えるものであり、この公開公報記載の構成においても昨今の電子写真装置に要求される耐久性においては十分ではない。
特許文献3の特開2007−83424号公報では、中央部よりも端部の膜厚を厚くすることを提案している。しかしながら、この公開公報記載のような比較的硬い材料に膜厚差を設けた場合は、転写ムラが出やすい、もしくは端部が切れやすいと言った問題があった。
我々の保有に係る特許文献4の特許第4430892号公報には、ベルト基質と、バインダー層と微小粒子層からなる円筒状中間ベルト転写体が開示されている。しかし、この公報記載の技術は、ベルトの幅方法の両端部反り防止を解決するための特定の技術手段を開示したものとまでは云い難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、表面凹凸がある紙種への転写性が優れており、かつ長期に渡ってベルト反りが起こることもなく、耐久性に優れた中間転写ベルト、及び該中間転写ベルトを用いた、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写ベルトであって、該中間転写ベルトが少なくとも内側から基層、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を順次備えた積層構造であり、前記中間転写ベルトの幅方向両端部厚みは中央部厚みの50%〜90%であり、かつ端部反り量が4mm以下であることを特徴とする電子写真用中間転写ベルトとすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下に記載する「画像形成装置用ベルト」、「中間転写ベルト」及び「画像形成装置」を含む本発明によって解決される。
(1)「複数のローラ部材間に張架されて回転する画像形成装置用ベルトであって、少なくとも内側から基層、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を順次備えた積層構造であり、前記ベルトの両端部の厚みは中央部厚みの50%〜95%であり、かつ端部反り量が4mm以下であることを特徴とする画像形成装置用ベルト。」
(2)「シームレスベルトであることを特徴とする前記(1)項に記載の画像形成装置用ベルト。」
(3)「像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写ベルトであることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の画像形成装置用ベルト。」
(4)「厚みが400μm以上であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。」
(5)「前記表面の球形微粒子がシリコーン球形微粒子であることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。」
(6)「前記弾性層がアクリルゴムであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。」
(7)「潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが前記(3)項乃至(6)項のいずれかに記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。」
(8)「画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる前記(7)項に記載の画像形成装置。」
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、転写媒体の種類・表面形状によらず、高い転写性能を実現できる高画質、かつ端部反りによる走行不良がない高耐久な電子写真装置に搭載する中間転写ベルトに特に適した画像形成装置用ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置用ベルトの1つの層構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置用ベルトの表面状態の1例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置用ベルト例の外観全体の輪郭を顕著に示すために誇張した模式図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置用ベルトの、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を形成するための1つの手法例を説明する模式図である。
【図5】本発明に係るシームレスベルトを装備した画像形成装置の1例を説明するための要部模式図である。
【図6】本発明に係るシームレスベルトを装備した画像形成装置の他の例を説明するための要部模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電子写真装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写体(中間転写ベルト)がある。以下、本発明の中間転写ベルトについて説明する。
【0014】
本発明のシームレスベルトは、中間転写ベルト方式の電子写真装置〔いわゆる、像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の装置〕における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。
【0015】
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層(11)の上に柔軟な弾性層(12)が積層されており、その最表面には球形微粒子(13)が弾性層上に面方向に独立して配列(頂部の一部を露出した状態で埋没)され、一様な凹凸形状をして積層されている。本発明における球形微粒子(13)が単一の状態では、粒子同士の層厚方向の重なり合いや、弾性層(12)中への球形微粒子(13)の完全埋没が殆どない。
【0016】
<基層>
まず、基層(11)について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、寸法安定性、耐久性、離型性、難燃性等の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
【0017】
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
【0018】
前記中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに使用する場合、抵抗値として、好ましくは表面抵抗で1×10^8〜1×10^13Ω/□、体積抵抗で1×10^8〜1×10^11Ω・cmになる様なカーボンブラック量を含有させるが、機械強度の面から、膜が脆く割れやすくならない程度の添加量で達成できるものを選択する。つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
【0019】
前記基層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。前記基材層の厚みが、30μm未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150μmを超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、前記基層の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。基層に関しては、走行安定性を高めるために、膜厚ムラはなるべくなくすことが好ましい。
【0020】
前記基層の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
【0021】
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる。また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルトの機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
【0022】
本発明におけるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
【0023】
<弾性層>
次に基層(11)に積層する弾性層(12)について説明する。構成する材料としては、構成する材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどの材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのが良い。
エラストマー材料としては、熱可塑性エラストマーとして、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系、フッ素系共重合体系等が挙げられる。また、熱硬化性として、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系等が挙げられる。
また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
上記各種エラストマー、ゴムの中から、性能が得られる材料を適宜選択するが、本発明においては、耐オゾン性、柔軟性、球形微粒子との接着性、難燃性付与、耐環境安定性の面からアクリルゴムが最も好ましい。以下、アクリルゴムについて説明する。
【0024】
本発明のゴム弾性層であるアクリルゴムは現在上市されているもので良く、特に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系がゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性が優れているので、カルボキシル基架橋系を選択することが好ましい。
【0025】
カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。
このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。
一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
【0026】
本発明のアクリルゴム弾性層においては、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。架橋促進剤も限定はないが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましい。このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0027】
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。
架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
【0028】
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
【0029】
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。
加熱温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
【0030】
また、ゴム弾性層の柔軟性は25℃ 50%RH下でのマイクロゴム硬度値が40以下であることが好ましい。マイクロゴム硬度は市販のマイクロゴム硬度計を使用することが出来るが、例えば高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」を使用することにより求めることができる。
【0031】
一方で弾性層の膜厚は400μm〜1000μmが好ましく、より好ましくは500μm〜700μmである。400μm未満では表面凹凸がある紙種に対する画像品質は不充分になってしまい、1000μmを超えると膜の重さが重くなったり、たわみやすくなったり、反りが大きくなって走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりすることがあるため好ましくない。なお、前記厚みの測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で測定することができる。
【0032】
図2には本発明におけるベルトの模式図を示す。上記弾性層の厚みが増すにつれてベルトが外側に反りやすくなるので、幅方向中央部の膜厚に対して両端部の膜厚を90%以下にするのが好ましく、より好ましくは60%〜80%程度の厚みに制御するのが良い。ここで中央部の膜厚とはベルト巾方向の中心から±50mmの領域の平均膜厚のことであり、端部とはベルト巾方向の両末端からそれぞれ50mmの領域の膜厚のことを現している。
この際、中央部から両端部に向かって膜厚は薄くなっていくが、その膜厚差を急激にしてしまうと転写圧力が変わりやすく、紙への転写ムラになりやすいので、図3の太鼓型のように膜厚傾斜の偏差を徐々に付けていくことが好ましい。さらに端部の厚みは中央部の厚みの50%〜95%であれば左右(Front側、Rear側)の厚みが違っていても構わないが、走行安定性の面からなるべく揃えることが好ましい。
【0033】
また、ベルト巾方向の長さは、昨今の電子写真の高速化、高画質化、高耐久化の面から300mm以上とするのが好ましい。
【0034】
上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
【0035】
中間転写ベルトに必要な抵抗率制御はアクリルゴム単体では抵抗率が高いために導電剤の添加が必要となる。抵抗率の制御としてはカーボンやイオン導電剤の添加が可能であるが、本発明ではゴム硬度が重要となるので少量添加で効果がありゴム硬度に影響を与えないイオン導電剤の使用が好ましい。具体的には種々の過塩素酸塩やイオン性液体をゴム100部に対して0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部未満では抵抗率を下げる効果が得られず、3部を超える添加量ではベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまうことがある。当弾性層の抵抗値としては、表面抵抗で1×10^8〜1×10^13Ω/□、体積抵抗で1×10^7〜1×10^12Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
【0036】
<球形微粒子>
次に、上記弾性層12の上に付着している球形微粒子(13)について説明する。前記球形微粒子とは、平均粒子径が100μm以下で真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶で3%熱分解温度が200℃以上である微粒子のことをいう。
【0037】
材料としては特に問わないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。
また、ここで言う微粒子の中には、ゴム材料も含む。ゴム材料で作製された球状粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。
また中空であったり、多孔質であったりしても良い。
【0038】
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン球形微粒子が最も好ましい。これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。
また、その粒径は、体積平均粒径が、1.0μm〜5.0μmであり、単分散粒子であることが望ましい。ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のもので良い。粒径が1.0μm未満の場合、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0μmを越えると、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じることがある。
さらには、粒子は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。なお、粒子を弾性層表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの加硫前、加硫後何れでも可能である。
【0039】
前記球形微粒子としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、商品名「トスパール120」、商品名「トスパール145」、商品名「トスパール2000B」)、アクリル粒子(積水化成品工業、商品名「テクポリマーMBX−SS」)などが挙げられる。
【0040】
<ベルトの表面状態>
次に、本発明におけるベルト表面状態について説明する。
図3では、ベルトの表面を真上から観察した拡大模式図を示す。このように、均一な粒径の球状粒子が独立して整然と配列する形態を採る。樹脂粒子同士の重なり合いは殆ど観測されない。この表面を構成する各粒子の樹脂層面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。
これを形成するためにできるだけ粒径の揃った粒子を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としても良い。
この粒子による表面の占有面積率としては、60%以上が好ましい。60%未満では樹脂部分の露出部が多すぎてトナーがゴムと接触し良好な転写性が得られないことが多い。
【0041】
本発明においては、上記球形樹脂粒子は弾性層中へ一部埋設された形態を取るが、その埋没率は、50%を超え、100%に満たないものが好ましく、51%〜90%であることが、より好ましい。50%以下では、画像形成装置での長期使用において粒子の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、100%では、粒子による転写性への効果が低減し好ましくない。
埋没率とは、粒子の深さ方向の径の樹脂層に埋没している率のことであるが、ここで言う、埋没率は、すべての粒子が50%を超え100%に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50%を超え100%に満たなければ良い。しかし、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、弾性層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されない。
【0042】
次に、上記本発明の構成のベルトを作製する方法についての一例を説明する。まず、基層(11)の作製方法について説明する。
【0043】
本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層を製造する方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。充分に冷却後、引き続き、弾性層(12)を積層する。
【0044】
弾性層(12)は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くする為には弾性層の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が優れており、前述したように弾性層の厚みを巾方向で変えやすいと言った点から螺旋塗工が優れている。そのためここでは、螺旋塗工について説明する。まず基層を周方向に回転させながら、丸型、又は広幅のノズルによりゴム塗料を連続的に供給しながら、ノズルを基層の軸方向に移動させて、基層上に塗料を螺旋状に塗工する。基層上に螺旋状に塗工された塗料は、所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされながら乾燥される。その後、さらに所定の加硫温度で加硫(架橋)させて形成される。巾方向への膜厚を変化させるには、ノズルの吐出量、ノズル金型間の距離を変化させるか、もしくは金型の回転速度を変えることにより作製することができる。
図3にはこのようにして作製されたベルトの模式図を示した。
【0045】
<ベルト表面状態作製方法>
加硫された弾性層は、その後充分に冷却し、引き続いて球形微粒子を弾性層(12)上へ塗布することで球形微粒子(13)を形成させて所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。球状粒子層の形成方法としては、図4に示すように、粉体供給装置(45)と押し当て部材(43)を設置し、回転させながら粉体供給装置置(45)から球状粒子を表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球状粒子を押し当て部材(43)により一定圧力にて押し当てる。この押し当て部材(43)により、樹脂層へ粒子を埋設させつつ、余剰な粒子を取り除く。本発明では、特に単分散の球形粒子を用いるために、このような押し当て部材でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。埋没率の調整は、ここでの押し当て部材の押し当て時間の長さにより調整する。
粒子の弾性層中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材(43)の押圧力を加減することにより、容易に果たすことができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子材質等にも依るが、目安として、流延塗工液の粘度100〜100000mPa・sにおいて、押圧力を、1mN/cm〜1000mN/cmの範囲とすることにより、前記50%を超え100%未満の埋没率を比較的容易に達成することができる。
微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより、硬化させ粒子を埋設させた弾性層を形成する。充分に冷却後、金型から基層ごと脱離させ、所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
【0046】
<中間転写ベルトにおける球形微粒子の埋没率を測定する方法>
前記中間転写ベルトにおける球形微粒子の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
【0047】
こうして作製された中間転写ベルトの抵抗は、カーボンブラック、イオン導電剤の量を可変することにより調整される。この際、粒子の大きさや占有面積率によって抵抗が変わりやすいので注意する。抵抗の測定は市販の計測器を使用できるが、たとえばダイアインスツルメンツ社のハイレスタを使用することにより測定することができる。
【0048】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
【0049】
本発明における電子写真装置(以降、「画像形成装置」と呼称する。)に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
図5は、本発明に係るシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
図5に示すベルト部材を含む中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
【0051】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(501)の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(501)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード(504)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(501)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(514)は、中間転写ベルト(501)が架け渡されている1次転写バイアスローラ(507)とベルト駆動ローラ(508)との間の位置に設けられる。
【0052】
この中間転写ベルト(501)は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ(507)、ベルト駆動ローラ(508)、ベルトテンションローラ(509)、2次転写対向ローラ(510)、クリーニング対向ローラ(511)、及びフィードバック電流検知ローラ(512)に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ(507)以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ(507)には、定電流または定電圧制御された1次転写電源(801)により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
【0053】
中間転写ベルト(501)は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ(508)により、矢印方向に駆動される。
このベルト部材である中間転写ベルト(501)は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム(200)上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
【0054】
2次転写手段である2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源(802)によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
【0055】
レジストローラ(610)は、2次転写バイアスローラ(605)と2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙(P)を送り込む。また、2次転写バイアスローラ(605)には、クリーニング手段であるクリーニングブレード(608)が当接している。該クリーニングブレード(608)は、2次転写バイアスローラ(605)の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
【0056】
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム(200)は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム(200)上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト(501)はベルト駆動ローラ(508)によって矢印で示す時計回りに回転される。
この中間転写ベルト(501)の回転に伴って、1次転写バイアスローラ(507)に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト(501)上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
【0057】
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図5において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
【0058】
このようにして感光体ドラム(200)上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム(200)と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト(501)のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム(200)の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム(200)の再使用に備えて、感光体クリーニング装置(201)で清掃される。この感光体ドラム(200)側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム(200)の表面にC静電潜像を形成する。
【0059】
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット(230)の回転動作が行われ、C現像機(231C)が現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機(231K)の場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のM現像機(231M)を現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
【0060】
このようにして感光体ドラム(200)上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト(501)上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト(501)上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ(610)のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行われる。
【0061】
このようにして、転写紙(P)が2次転写部を通過すると、2次転写電源(802)によって2次転写バイアスローラ(605)に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト(501)上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(2次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板(601)に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ(606)との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置(210)により定着装置(270)に向けて送られる。そして、この転写紙(P)は、定着装置(270)の定着ローラ(271)、(272)のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置(270)は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
【0062】
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム(200)の表面は、感光体クリーニング装置(201)でクリーニングされ、上記除電ランプ(202)で均一に除電される。また、転写紙(P)にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード(504)によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード(504)は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
【0063】
このベルトクリーニングブレード(504)の上記中間転写ベルト(501)の移動方向上流側には、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材(502)が設けられている。このトナーシール部材(502)は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード(504)から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙(P)の搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材(502)は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード(504)とともに、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離される。
【0064】
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト(501)のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)により削り取られた潤滑剤(506)が塗布される。該潤滑剤(506)は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ(505)に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。
ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
【0065】
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム(200)への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト(501)は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード(504)でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット(230)の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード(504)を中間転写ベルト(501)に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
【0066】
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図6の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図6は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
【0067】
図6において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(13)の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行う。
【0068】
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。
この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0069】
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に担持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。
このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0070】
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。
このベルトクリーニング部材(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(27)が配設されている。この潤滑剤塗布装置(27)は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
【実施例】
【0071】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。なお、ベルト膜厚は断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより算出し、ベルト幅方向中央部の膜厚(C)は幅方向中心部±50mmの平均膜厚を、端部の膜厚(F、R)はそれぞれ巾方向両末端から50mmの平均膜厚を求めることにより、それぞれ算出した。また反り量はベルト周方向(回転方向)100mm×全巾方向に切り出したサンプルを水平面に置き、25℃50%RH下で24時間調湿した後、両端部の水平面からの高さの平均値を測定することにより算出した。
【0072】
〔実施例1〕
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を作製した。
(基層用塗工液の調製)
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
【0073】
(ポリイミド基層ベルトの作製)
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
続いて、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚60μmのポリイミド基層ベルトAを得た。
【0074】
(ポリイミド基層ベルトへの弾性層の作製)
表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し混練することでゴム組成物を作成した。
【0075】
【表1】

【0076】
次に、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35wt%のゴム溶液を作製した。この作製したゴム溶液を先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。
塗布量としては中央部の最終的な膜厚が500μmになるような液量の条件とし、両端部は吐出量を途中で変化させることにより450μmとなるようにした。その後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で90℃まで昇温して30分加熱した。
【0077】
その後、乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図4の方法を用いて、球形微粒子として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて弾性層に固定化した。
続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理し、中間転写ベルトAを得た。このとき中央部厚み(C)は560μm、端部厚み(F)及び(C)はどちらも510μm、粒子の埋没率は60%であった。
【0078】
〔実施例2〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させることにより膜厚を変化させた以外は実施例1と同様にして、中央部厚み(C)が560μm、端部厚み(F)及び(C)がそれぞれ360μmの中間転写ベルトBを得た。
【0079】
〔実施例3〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させることにより膜厚を変化させた以外は実施例1と同様にして、中央部厚み(C)が360μm、端部厚み(F)及び(C)がそれぞれ330μmの中間転写ベルトCを得た。
【0080】
〔実施例4〕
実施例1においてシリコーン球形粒子をアクリル球形微粒子(積水化成品工業、商品名「テクポリマーMBX−SS」(体積平均粒径1μm品))にしたこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトDを得た。
【0081】
〔実施例5〕
実施例1のゴム組成物を以下の材料に変更し、ニーダーにて混練することでゴム組成物を作成した。
水素化ニトリルゴム:日本ゼオン株式会社製 ゼットポール2020L 100重量部
ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき) 1重量部
硫黄(鶴見化学工業 200mesh硫黄) 1重量部
酸化亜鉛(正同化学工業 亜鉛華2種) 5重量部
加硫促進剤:大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド) 0.5重量部
赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F) 10重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M) 40重量部
その後は実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを得た。
【0082】
〔実施例6〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させることにより膜厚を変化させた以外は実施例1と同様にして、中央部厚み(C)が760μm、端部厚み(F)及び(C)がそれぞれ420μmの中間転写ベルトFを得た。
【0083】
〔実施例7〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させることにより膜厚を変化させた以外は実施例1と同様にして、中央部厚み(C)が560μm、端部厚み(F)及び(C)がそれぞれ420μm、460μmの中間転写ベルトGを得た。
【0084】
〔比較例1〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させずに膜厚を均一化させた以外は実施例1と同様にして、厚み(F)、(C)、(R)がそれぞれ560μmの中間転写ベルトHを得た。
【0085】
〔比較例2〕
実施例1の弾性層作製において、ノズルの吐出量を変化させることにより膜厚を変化させた以外は実施例1と同様にして、中央部厚み(C)が460μm、端部厚み(F)及び(C)がそれぞれ560μmの中間転写ベルトIを得た。
【0086】
上記各実施例、比較例の中間転写ベルトA〜Hを、図5の画像形成装置に搭載し、凹凸紙(レザック260kg紙)への画像品質(シアン、マゼンタの2色ブルーベタのトナー転写性)を目視によるランク判定で行った。判定は◎が非常に良い、○が実使用可能レベル、△が凹部の濃度が薄い、もしくは場所による濃度ムラが発生し不充分、×は使用不可とした。その後、連続20万枚通紙を行い、10万枚ごとに画像品質とベルト表面観察を行った。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
以上の結果より、本発明によれば、転写媒体の種類・表面形状によらず、高い転写性能を実現できる高画質、かつ端部反りによる走行不良が無い高耐久な電子写真装置に搭載する中間転写ベルトを提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
(図1、図2)
11 基層
12 弾性層
13 球形微粒子
(図3)
31 基層
32 弾性層端部フロント側(もしくはリア側)
33 弾性層中央部
34 弾性層端部リア側(もしくはフロント側)
(図4)
41 金型ドラム
42 基層と弾性層を塗布したベルト
43 押し当て部材
44 球形微粒子
45 粉体塗布装置
(図5)
P 転写紙
L レーザ光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図6)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 除電ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開平9−230717号公報
【特許文献2】特開2000−293045号公報
【特許文献3】特開2007−083424号公報
【特許文献4】特許第4430892号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ部材間に張架されて回転する画像形成装置用ベルトであって、少なくとも内側から基層、球形微粒子による凹凸形状を有した弾性層を順次備えた積層構造であり、前記ベルトの両端部の厚みは中央部厚みの50%〜95%であり、かつ端部反り量が4mm以下であることを特徴とする画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
シームレスベルトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項4】
厚みが400μm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項5】
前記表面の球形微粒子がシリコーン球形微粒子であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項6】
前記弾性層がアクリルゴムであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項7】
潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなる請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109002(P2013−109002A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251383(P2011−251383)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】