説明

画像形成装置用導電性部材

【解決手段】イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させることにより、発泡硬化させた弾性材料からなる弾性層を有する画像形成装置用導電性部材において、上記弾性材料が、泡化触媒として下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置用導電性部材。


(ただし、式中a及びbはそれぞれ1〜5の整数、cは0又は1〜3の整数である。)
【効果】弾性層を形成するウレタン発泡体のセル径が細かく、またセル径のバラツキも少ない高品質なローラであり、感光体の汚染に関しても良好な性能を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターなどの画像形成装置において、帯電、現像、転写、中間転写、トナー供給、クリーニングなどを行うための導電性弾性部材に関し、特に感光ドラムから所定の記録媒体へとトナー像を転写する転写部材として好適に用いられる導電性弾性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンター等のOA機器には、帯電、現像、転写、中間転写、トナー層形成、トナー搬送、トナー攪拌、クリーニング、定着、紙搬送等を行うためのベルト、ローラ、ドラム、ブレード等の部材が使用されている。
【0003】
これらの部材は、多くの場合、軟らかさが要求され、ゴム状弾性体やフォーム体を主体として形成される。また、適度な導電性が要求される用途では、導電剤の添加により弾性体やフォーム体に導電性を付与して用いられる。
【0004】
ここで、従来これら部材を形成するフォーム体としてポリウレタンフォームが知られており、このポリウレタンフォームを得る方法としては、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させてポリウレタンを得る際に、混合液を機械的に攪拌して発泡させる方法(例えば、下記特許文献1など)や、水を発泡剤として添加する所謂水発泡による方法(例えば、下記特許文献2など)が一般に採用されている。
【0005】
しかしながら、機械的攪拌により発泡させる方法は、フォーム体を低硬度かすることが困難であり、アスカーC硬度で35度以下のフォーム体を得ようとすると、セル径のバラツキが大きくなって、たとえば転写ローラなどとした場合に画像不良を発生しやすい。
【0006】
また、水発泡による方法でも、同様にアスカーC硬度を35度以下に低硬度化した場合にはセル径のバラツキが生じやすく、またセル径の小さなキメの細かいフォーム体を得ることは容易ではない。また水発泡により方法の場合、アミン系の泡化触媒を用いることもよく行われるか、転写ローラ等として用いた場合に、この泡化触媒のために感光ドラムの汚染を生じさせる場合もある。
【0007】
【特許文献1】PCT/JP01/7218号公報
【特許文献2】特開2001−71336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アスカーC硬度で35度以下の低硬度にした場合でも、セル径が小さくバラツキの少ないキメの細かい発泡体が得られ、かつ感光ドラムなどの接触する相手部材を汚染することもない発泡体からなる、転写ローラなどの画像形成装置用導電性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させて発泡硬化させることにより、ポリウレタンフォームからなる弾性材料を得る場合に、泡化触媒として下記一般式(1)で示される化合物を添加して発泡硬化を行うことにより、アスカーC硬度で35度以下の低硬度にした場合でも、セル径が小さくバラツキの少ないキメの細かい発泡体が得られ、かつ感光ドラムなどの接触する相手部材を汚染することもないポリウレタンフォーム体が得られ、このフォーム体からなる弾性材料で弾性層を形成することにより、低硬度で高性能かつ感光体汚染を生じることもない、転写ローラ等の画像形成装置用導電性部材が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【化1】

(ただし、式中a及びbはそれぞれ1〜5の整数、cは0又は1〜3の整数である。)
【0010】
従って、本発明は、イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させることにより、発泡硬化させた弾性材料からなる弾性層を有する画像形成装置用導電性部材において、上記弾性材料が、泡化触媒として上記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置用導電性部材を提供する。
【0011】
また、本発明は、感光ドラムに形成されたトナー像を記録媒体へと転写して記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記転写部材として上記本発明の導電性部材を用いたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記のように、イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させて発泡硬化させる際に、上記一般式(1)に示された化合物を泡化触媒として添加することにより、アスカーC硬度35度以下の低硬度で、セル径が小さくバラツキの少ないキメの細かい発泡体で、かつ感光ドラムなどの接触する相手部材を汚染することもないポリウレタンフォーム体を得るものであり、このフォーム体からなる弾性材料で弾性層を形成することにより、低硬度で高性能かつ感光体汚染を生じることもない、転写ローラ等の画像形成装置用導電性部材を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の導電性部材は、上記のように、イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させて発泡硬化させる際に、上記一般式(1)に示された泡化触媒を用いた発泡体からなる弾性材料で弾性層を形成したものである。
【0014】
ここで、上記ポリマーポリオール成分としては、アクリロニトリル、スチレン又はこれらの両方をポリオールにグラフト重合したアクリロニトリル/スチレン系ポリマーポリオールが好ましく用いられ、特にアクリロニトリル又はアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリロニトリル系ポリマーポリオールが好適である。
【0015】
アクリロニトリル及び/又はスチレンをグラフト重合させるポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが耐湿性等の点から好ましく、特にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールが好適に用いられる。この場合、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールの付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、特に制限されるものではないが、エチレンオキサイドの比率が5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、エチレンオキサイドの比率が高すぎると環境による抵抗値の変動幅が大きくなりやすい。更に、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましく用いられる。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであるのが好ましい。このポリエーテルポリオールの分子量は、特に制限されるものではないが、3官能の場合は重量平均分子量で2000〜7000、特に3000〜5000の範囲のものが好ましい。
【0016】
また、ポリエーテルポリオール等のポリオール成分とアクリロニトリルやスチレン等のポリマー成分との比率は、特に制限されるものではないが、ポリオール:ポリマー=95:5〜40:60(質量比)、特に80:20〜50:50であることが好ましい。この場合、ポリマーの比率が高すぎると、粘度が高くなりすぎて量産性に劣る弾性材料となってしまう場合があり、逆に低すぎると、一般的なポリエーテルポリオールと同等の特性となってしまう場合がある。
【0017】
本発明では、上記ポリマーポリオールと共に他のポリオール成分を併用することもできる。他のポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが挙げられ、ポリエーテルポリオールとしてはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールが例示される。この場合、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールは、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質としてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができる。
【0018】
また、他のポリオール成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むこともできる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えばテトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が1000〜3000の範囲のものが好ましく、特に1000〜2000の範囲のものが好ましい。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることもできる。更に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。また更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと上記エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることもできる。
【0019】
また、上記ポリオール成分とともに、本発明の目的が損なわれない範囲で、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、アジピン酸等の酸成分とエチレングリコール等のグリコール成分を縮合して得られるポリエステルポリオール、ε一カプロラクタムを開環重合して得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体を併用することもできる。
【0020】
次に、上記ポリマーポリオールと反応させるイソシアネートとしては、特に制限はなく、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート又はそれらの誘導体などの公知のイソシアネートを用いることができる。より具体的には、トリレンジイソシアネート又はその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、それらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボンイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体としては、ジアミノジフェニルメタン又はその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートが例示される。またこれらのジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体を変性して得られた誘導体、例えばポリオール等で変性したウレタン変性物,ウレチジオン形成による二量体,イソシアヌレート変性物,カルボシイミド/ウレトンイミン変性物,アロハネート変性物,ウレア変性物,ビュレット変性物等も用いることができ、これらの中ではウレタン変性物,カルボシイミド/ウレトンイミン変性物が好ましく用いられる。
【0021】
これらのイソシアネートは、トリレンジイソシアネート又はその誘導体,ジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ヘキサメチレンジイソシアネート等の各種脂肪族イソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート又はそれらの誘導体を併用することもできる。上記イソシアネートの配合量は、上記ポリオール成分の官能基数などに応じて適宜設定され、に制限され+るものではないが、通常はNCO Indexで100〜120、特に105〜115とすることが好ましく、NCO Indexが低すぎると、硬度が低くなり過ぎて、製品毎の目標硬度が得られない場合があり、一方NCO Indexが高すぎると硬度が高くなりすぎて、同じく製品毎の目標硬度が得られない場合がある。
【0022】
更に、上記発泡剤としては特に制限はなく、水、有機溶剤、各種代替フロン等の公知の発泡剤を用いることができるが、通常は水が好適に用いられ、その使用量は、上記ポリマーポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して水を発泡剤として0.01〜3質量部とすることができる。
【0023】
上記ポリマーポリオール成分とイソシアネート成分とを上記発泡剤と共に混合して反応させる際、必要に応じて樹脂化触媒を用いることができる。樹脂化触媒としては、トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫マーカプチド,ジブチル錫チオカルボキシレート,ジブチル錫ジマレエート,ジオクチル錫マーカプチド,ジオクチル錫チオカルボキシレート,フェニル水銀プロピオン酸塩,オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができ、これらの中では有機錫触媒が特に好ましく用いられる。
【0024】
本発明では、上記ポリマーポリオール成分とイソシアネート成分とを上記発泡剤と共に混合して反応させることにより、発泡硬化させる際に、下記一般式(1)で示される化合物を泡化触媒として配合するものである。
【0025】
【化2】

(ただし、式中a及びbはそれぞれ1〜5の整数、cは0又は1〜3の整数である。)
【0026】
この(1)で示される化合物としては、具体的には2−((2−(2−ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチル)−アミノ−エタノール[上記式(1)でa=2、b=2、c=2の化合物]が特に好ましく用いられる。
【0027】
本発明導電性部材の弾性層を形成する上記発泡体には、その発泡セルを安定させるために、上記ウレタン組成物中に各種界面活性剤やシリコーン整泡剤を配合することが好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分からなるものが好ましく用いられる。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく用いられ、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤,アニオン性界面活性剤,両性界面活性剤等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル,各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、上記ポリマーポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましく、2〜4質量部とすることがさらに好ましい。
【0028】
更に、この発泡体には、通常導電剤を配合して導電性の付与又は調整が行われる。この場合、導電剤としては、オイルファーネスブラック、サーマルブラック,チャンネルブラック,ランプブラック等のカーボンブラック、導電性金属酸化物などの電子導電物質を用いることもできるが、均一な導電性が得られ、かつ本発明の効果が顕著であることからイオン導電性物質を用いることが好ましい。イオン導電性物質としては、テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,ドデシルトリメチルアンモニウム(例えばラウリルトリメチルアンモニウム),へキサデシルトリメチルアンモニウム,オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えばステアリルトリメチルアンモニウム),ベンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム,ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属等の、過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩,トリフルオロメチル硫酸塩などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。これらの中では、アルキル硫酸の第4級アンモニウム塩や多塩基カルボン酸の第4級アンモニウム塩が好ましく、アミド結合を有する第4級アンモニウムのアルキル硫酸塩が特に好ましい。
【0029】
導電剤の配合量は、用途等により求められる導電性に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、通常イオン導電性物質の場合、上記ポリマーポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることが特に好ましい。なお、カーボンブラック等の電子電性物質を用いる場合の配合量は、上記ポリマーポリオールを含むポリオール成分100質量部に対して1〜40質量部とすることができる。
【0030】
更に、上記発泡体には、各種充填材、着色顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの公知の添加物を必要に応じて適量配合することができる。
【0031】
本発明導電性部材の弾性層を形成する上記発泡体の発泡倍率や嵩密度などは、用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されるものではないが、通常、発泡倍率は最大セル径で80〜200μm、特に80〜120μm、嵩密度は0.1〜1g/mL、特に0.2〜0.6g/mL程度であることが好ましい。
【0032】
本発明導電性部材を製造する際の配合および加熱硬化は、上記ポリオール成分、イソシアナート成分、泡化触媒、導電剤、及び所望により用いられる各種添加成分を混合撹絆し、所定のモールド等に注型するか又はブロック状に自由発泡させるなどの操作を行った後、加熱硬化させる方法が好ましく用いられる。また、予め、ポリオール成分とイソシアナート成分とを反応させてイソシアナート基を有するプレポリマーを調製し、これをエチレングリコール、1,4 一ブタンジオール、トリメチロールプロパンや分子量400〜5000程度のポリオールなどの鎖延長剤を用いて硬化させるプレポリマー法も用いることができる。
【0033】
本発明の導電性部材は、上記ウレタン発泡体からなる弾性材料を主体とするものであり、ローラ状、ベルト状、ブレード状、ドラム状等の種々の形態に成形され、複写機やプリンターなどの画像形成装置の帯電部材、現像部材、転写部材、中間転写部材、トナー供給部材、クリーニング部材などとして用いられるものであるが、特にローラ状の転写部材として特に好適である。
【0034】
本発明の導電性部材を転写部材として用いた具体例を例示すれば、図1に示した画像形成装置を例示することができる。即ち、図1中、1はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体1は、一次帯電器2によって帯電され、次いで画像露光3により露光部分の帯電が消去されて静電潜像がこの感光体1上に形成され、更に静電潜像が現像器現像され、トナー画像が感光体1上に形成される。そして、上記トナー画像が形成された感光体1に転写ローラ(転写部材)25が当接し、そのニップ部に給紙カセット9から紙等の記録媒体24が給送され、これと同時に二次転写バイアスが転写ローラ25に印加され、トナー画像が感光体1から記録媒体24に転写され、更にこの記録媒体24は定着器15へ導入されて記録媒体24上のトナー画像が加熱定着され、最終画像となる。そして、トナー画像を記録媒体24へと転写した後の感光体1は、表面の転写残留トナーがクリーニングブレード14により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
【0035】
本発明の導電性部材は、このようなローラ状の上記転写部材25として好適に用いられるものである。このように、ローラ状の部材とする場合、通常は金属製の芯金の周囲に上記ウレタン発泡体からなる弾性層を形成してローラ状に形成される。この場合、芯金の周囲にウレタン発泡体からなる弾性層を形成する方法としては、芯金を予めモールド内部に配設しておきウレタン原料を注型し発泡硬化させる方法や、ウレタン発泡体を所定の形状に成型した後接着する方法を用いることができる。いずれの場合も、必要に応じて芯金とウレタン発泡体からなる弾性層との間に接着層を設けることができ、導電性塗料からなる接着剤やホットメルトシート等を用いることができる。
【0036】
また、本発明の導電性部材は、非汚染性に優れ、感光ドラムなどに長時間密着した状態が続いても感光ドラムなどの相手部材を汚染することはなく、通常は汚染防止を目的とした表皮層の形成は必要ないが、その用途等に応じて上記ウレタン発泡体からなる弾性層の表面に表皮層を形成することもできる。更に、本発明の導電性部材は、上記ウレタン発泡体からなる弾性層を有していればよく、その用途や形状等に応じて適宜な芯材を用いるなど、公知の構成を付加することは差し支えない。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
表1に示した成分を撹拌混合し、その混合物を直径6mmの金属製シャフトを中心に配置したモールド内に注型して発泡させた後、90℃で3時間加熱硬化(キュア)してシャフトの外周にウレタン発泡体からなる弾性層を形成し、その表面を研磨して外径16mm、長さ220mmのウレタフォームローラを得た。なお、表中の配合量は重量部である。
【0038】
得られた各ローラにつき、下記方法により感光体汚染性、セル径のバラツキ、平均セル径を評価した。結果を表1に示す。
[感光体汚染性]
エプソン社製「LP−7700」用のカートリッジに搭載された感光ドラムにローラを500gの荷重で圧接して50℃、85%RHの環境下に1週間放置した後、感光ドラムを再びカートリッジ内に戻して、25%クレーを印字してローラ圧接部で画像異常(白抜け、濃度低下など)が生じているか否かを調べ、異常があれば×、無ければ○として評価した。
[セル径のバラツキ、平均セル径]
ビデオマイクロスコープ(キーエンス社製)を用い、50倍の倍率でローラ表面を観察し、ローラの周方向に沿って4箇所(90°、180°、270°、360°)について各20セルの径を測定し、その平均値を求めると共に、径のバラツキを標準偏差として求めた。
【0039】
【表1】

【0040】
上記表1中の各成分は次の通りである。
ポリマーポリオール
35%がポリマーであり、65%が分子量5000,官能基数3のPPGであるポリオールであり、前記ポリマーうち2/3がアクリルニトリル、1/3がスチレンである。水酸基価は22.1。
PTMG
分子量が1000で、水酸基価が113であるポリテトラメチレンエーテルグリコール。
整泡剤
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物で水酸基価32であるシリコーン系整泡剤。
黒色顔料
黒色顔料をポリオールに分散した水酸基価45の着色剤
導電剤
エチル硫酸変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム
イソシアネート
ジフェニルメタンジイソシアネートとカルボンイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートとウレタン変性ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物でイソシアネート含有率26.3%。
【0041】
【化3】

【0042】
表1に示されているように、泡化触媒Aを用いた本発明の導電性ローラは、弾性層を形成するウレタン発泡体のセル径が細かく、またセル径のバラツキも少ない高品質なローラであり、感光体の汚染に関しても良好な性能を発揮することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の導電性部材を転写部材として用いた画像形成装置の一例を示す該略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 感光ドラム
14 クリーニングブレード
15 定着器
2 帯電器
24 記録媒体
25 転写ローラ
4 現像器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート成分とポリマーポリオール成分とを発泡剤と共に混合して反応させることにより、発泡硬化させた弾性材料からなる弾性層を有する画像形成装置用導電性部材において、上記弾性材料が、泡化触媒として下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする画像形成装置用導電性部材。
【化1】

(ただし、式中a及びbはそれぞれ1〜5の整数、cは0又は1〜3の整数である。)
【請求項2】
上記弾性層の硬度が、アスカーC硬度で35度以下である請求項1記載の画像形成装置用導電性部材。
【請求項3】
上記ポリマーポリオール中のポリオール:ポリマー比(質量比)が、95:5〜40:60である請求項1又は2記載の画像形成装置用導電性部材。
【請求項4】
上記ポリマーポリオールが、アクリロニトリル、スチレン又はこれらの両方をポリオールにグラフト重合したアクリルニトリル/スチレン系ポリマーポリオールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用導電性部材。
【請求項5】
上記弾性材料が導電剤としてイオン導電剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用導電性部材。
【請求項6】
感光ドラムからトナー像を記録媒体へと転写する転写部材である請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置用導電性部材。
【請求項7】
感光ドラムに形成されたトナー像を記録媒体へと転写して記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記転写部材として請求項6記載の導電性部材を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−310075(P2007−310075A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137877(P2006−137877)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】