説明

画像形成装置

【課題】 定着装置の定着ロールに塗布する用紙剥離用のオイルを適切な量に制御することにより、前記オイル塗布量の過多または過少による問題点の発生を防止すること。
【解決手段】 記録シートSを定着部材Fh,Fpから剥離させるためのシート剥離用オイルを供給する剥離用オイル供給装置D1p+F1pと、シート剥離用オイルを加熱するオイルヒータF1hと、定着部材Fh,Fp表面に供給されるオイルの温度を検出するオイル温度検出手段C3と、適性なオイル温度を記憶する適性オイル温度記憶手段C4と、前記オイル温度検出手段C3により検出される検出オイル温度Tが前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された適性オイル温度よりも低い場合に前記オイルヒータF1hをオンにし且つ適性オイル温度よりも高い場合に前記オイルヒータF1hをオフにするオイルヒータ制御手段C5とを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光体表面に形成した静電潜像をトナー像に現像し、前記トナー像を記録シートに転写し、前記転写された記録シートを定着領域において加熱定着装置により定着する画像形成装置に関し、特に、前記加熱定着装置が剥離用オイル塗布装置を備えた画像形成装置に関する。本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等で使用可能である。
【0002】
【従来の技術】前記画像形成装置においては、加熱定着装置は一対の定着ロールを有し、前記一対の定着ロールの接触部により形成される定着領域を通過する記録シート上のトナー像を加熱定着する。前記定着領域を通過した記録シートのトナー像が加熱定着された表面は前記定着ロール表面に付着して巻き付を生じ易い。前記定着ロールへの前記記録シートの巻き付を防止するため、従来、定着ロール表面にオイル(液体状剥離剤)を塗布するオイル塗布装置が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記オイル塗布装置を使用した場合、定着ロールへのオイル塗布量を適切に制御しなければ、次のような問題点が発生する。
(A)オイル過多による問題点(1)定着領域通過後のシートにオイルのシミができる。
(2)定着領域通過後のシートに付箋やテープ等が接着できなくなる(接着性が低下する)。
(3)定着装置通過後のシートにボールペン、水性ペン、鉛筆等で書き込めなくなる(加筆性が低下する)。
(4)定着領域通過後のOHPにオイルが過剰に乗ることで、透過性が落ち、投影しても発色せずに黒ずんで見える(OHPの黒ずみ、すなわち、発色不良が発生する)。
(5)定着領域通過後の通常用紙、OHP等のシートに手で触れるとべとつき感がある(触ったときにべとつき感が生じる)。
(6)定着領域にオイルが溜まると、OHPが定着領域に入らなくなる(OHPの噛み込み不良が発生する)。
(7)オイルの消費量が増えるため、オイルの補充サイクル、オイルタンクの交換サイクルが短くなり、コストアップになる。
(8)定着領域通過後のシート上の画像中にブツブツができる。特に両面コート紙で頻繁に発生する。コート紙内の水分が定着領域を通過する際にトナー層を突き破って蒸発、気化するが、トナーの表層に塗布されるオイルの量が多いと、蒸発、気化がスムースに行われず、画像上に蒸気の抜けた穴が残ってしまう(ブリスターが発生する)。
(9)一度定着領域を通りオイルを吸ったシートが両面コピー時に再びシート搬送路を通る際に、感光体や転写装置等にオイルを付着させてしまい、転写不良等が発生する。
【0004】(B)オイル過少による問題点(1)定着領域内で定着(溶融)したトナーが定着ロール表面に残ってしまい、その定着ロール上のトナーが次にシートと接触する時にシート上に転移してしまう。また、定着ロールクリーニング部材やオイル供給装置のオイルに混入してクリーニング不良やオイル筋の発生等が起こる(トナーのオフセットが発生する)。
(2)定着領域内でトナーが溶け過ぎた時等、薄紙や含水紙等の腰の弱いシートは、定着ロールから剥がれ難く、定着ロールへの巻き付きやフィンガマーク(剥離爪による溶け過ぎた画像を擦った跡)やグロス(光沢)ムラが発生する。
(3)定着ロール表面表面層(ゴム層、樹脂層)が磨耗し、定着ロール表面に傷が発生したり、オフセット性能や剥離性能が悪化する。前記(A)および(B)の問題点の説明から分かるように、定着ロール表面のオイル塗布量は適切な量に制御する必要がある。
【0005】次に、前記問題点を解決するため、本発明者等の行った実験結果について説明する。図14は実験に使用した定着装置の説明図である。定着装置Fは加熱ロールFhおよび加圧ロールFpにより構成される一対の定着ロールFh、Fpと、前記加熱ロールFhにオイル(液体状剥離剤)を塗布するオイル塗布装置F1を備えている。オイル塗布装置F1は、オイルタンク(図示せず)からシリコンオイルを供給されるオイルパイプF1a、オイルパンF1b、メタリングロールF1c、前記メタリングロールF1cに当接して余剰オイルを掻き取るメタリングブレードF1d、前記メタリングロールF1c表面にオイルを貯溜させるためのウイックF1e、および前記メタリングロールF1cおよび前記加熱ロールFhに接触しながら回転するオイル供給ロールF1fを有している。なお、SNhはオイル温度検出センサであり、実際はメタリングロールF1cの表面温度をオイル温度として検出している。
【0006】図15は、前記図14に示す定着装置Fを備えた画像形成装置を使用してオイル温度に対するオイル粘度およびオイル塗布量を実験により調べた結果をグラフにした図である。図15から分かるように、オイル温度に応じて、オイル粘度が低下し、オイル塗布量(A4用紙1枚当たりの塗布量)も低下する。
【0007】図16はオイルを加熱することなく、朝一の状態(オイルが冷えた状態)で、加熱ロールFhの温度を160°Cに制御した状態で、通紙枚数(定着領域を通過するシート枚数)に対する、メタリングロール温度およびオイル塗布量(A4用紙1枚当たりの塗布量)の変化を示す図である。図16において、メタリングロールF1cとして、金属中空ロール、金属中実ロール、および中空金属心材表面にシリコンゴム層を形成した中空シリコンロールを使用してその違いを調べた。図16から分かるように、通枚数が増加するに連れて、メタリングロールF1cの温度は上昇して一定温度に接近し、且つ、加熱ロールFh側のシート表面のオイル塗布量(A4用紙1枚当たりの塗布量)は減少して一定量に接近する。そして、中空金属のメタリングロールF1cが最も早く、温度が安定し、温度の安定に伴って、オイル塗布量が安定する。
【0008】本発明は、前述の実験結果に鑑み完成した発明であり、下記の記載内容(O01)を技術的課題とする。(O01)定着装置の定着ロールに塗布する用紙剥離用のオイルを適切な量に制御することにより、前記オイル塗布量の過多または過少による問題点の発生を防止すること。
【0009】
【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の説明において本発明の構成要素の後に付記したカッコ内の符号は、本発明の構成要素に対応する後述の実施例の構成要素の符号である。なお、本発明を後述の実施例の構成要素の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0010】(第1発明)前記課題を解決するために、第1発明の画像形成装置は下記の要件(A01)〜(A06)を備えたことを特徴とする、(A01)未定着トナー像が転写された記録シート(S)の搬送路に配置された互いに圧接して回転する加熱用定着部材(Fh)および加圧用定着部材(Fp)により構成される一対の定着部材(Fh,Fp)であって、前記一対の定着部材(Fh,Fp)の圧接領域である定着領域(QF)を通過する前記記録シート(S)上の前記未定着トナー像を定着する前記一対の定着部材(Fh,Fp)、(A02)前記一対の定着部材(Fh,Fp)のうちのいずれかの定着部材(Fh,Fp)表面に、記録シート(S)を定着部材(Fh,Fp)から剥離させるためのシート剥離用オイルを供給する剥離用オイル供給装置(D1p+F1p)、(A03)シート剥離用オイルを加熱するオイルヒータ(F1h)、(A04)前記定着部材(Fh,Fp)表面に供給されるオイルの温度を検出するオイル温度検出手段(C3)、(A05)適性なオイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)を記憶する適性オイル温度記憶手段(C4)、(A06)画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中に、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T2−Ta)よりも低い場合に前記オイルヒータ(F1h)をオンにし且つ適性オイル温度(T0,T1,T2,T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に前記オイルヒータ(F1h)をオフにするオイルヒータ制御手段(C5)。
【0011】(第1発明の作用)前記構成を備えた第1発明の画像形成装置では、一対の定着部材(Fh,Fp)は、未定着トナー像が転写された記録シート(S)の搬送路に配置された互いに圧接して回転する加熱用定着部材(Fh)および加圧用定着部材(Fp)により構成される。前記一対の定着部材(Fh,Fp)は、前記一対の定着部材(Fh,Fp)の圧接領域である定着領域(QF)を通過する前記記録シート(S)上の前記未定着トナー像を定着する。剥離用オイル供給装置(D1p+F1p)は、前記一対の定着部材(Fh,Fp)のうちのいずれかの定着部材(Fh,Fp)表面に、記録シート(S)を定着部材(Fh,Fp)から剥離させるためのシート剥離用オイルを供給する。オイルヒータ(F1h)は、シート剥離用オイルを加熱する。オイル温度検出手段(C3)は、前記定着部材(Fh,Fp)表面に供給されるオイルの温度を検出する。適性オイル温度記憶手段(C4)は、適性なオイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)を記憶する。画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中、オイルヒータ制御手段(C5)は、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T2−Ta)よりも低い場合に前記オイルヒータ(F1h)をオンにし、且つ適性オイル温度(T0,T1,T2,T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に前記オイルヒータ(F1h)をオフにする。
【0012】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の形態1の画像形成装置は、前記第1発明において下記の要件を備えたことを特徴とする、(A07)画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中に、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に前記剥離用オイル供給装置(D1p+F1p)のオイル供給量を増加させて前記定着部材(Fh,Fp)表面に供給されるオイルの温度を低下させるオイル供給量制御手段(C6)。
【0013】(実施の形態1の作用)前記構成を備えた本発明の実施の形態1の画像形成装置では、画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中、オイル供給量制御手段(C6)は、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に、前記剥離用オイル供給装置(D1p+F1p)のオイル供給量を増加させて前記定着部材(Fh,Fp)表面に供給されるオイルの温度を低下させる。
【0014】(実施の形態2)本発明の実施の形態2の画像形成装置は、前記第1発明または実施の形態1において下記の要件(A08)を備えたことを特徴とする、(A08)画像形成動作中であるジョブ実行中または画像形成動作開始信号が入力されたときに、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T1−Ta,T2−Ta)よりも低い場合および前記適性オイル温度(T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に、新しい記録シート(S)に対する画像形成動作の開始を禁止するジョブ時潜像書込禁止手段(C1a)。
【0015】(実施の形態2の作用)前記構成を備えた本発明の実施の形態2の画像形成装置では、画像形成動作中であるジョブ実行中または画像形成動作開始信号が入力されたとき、ジョブ時潜像書込禁止手段(C1a)は、前記オイル温度検出手段(C3)により検出される検出オイル温度(T)が前記適性オイル温度記憶手段(C4)に記憶された適性オイル温度(T1−Ta,T2−Ta)よりも低い場合および前記適性オイル温度(T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に、新しい記録シート(S)に対する画像形成動作の開始を禁止する。
【0016】(実施の形態3)本発明の実施の形態3の画像形成装置は、前記第1発明または実施の形態1もしくは2において下記の要件(A09)を備えたことを特徴とする、(A09)用紙の種類別に適性なオイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)を記憶する適性オイル温度記憶手段(C4)。
【0017】(実施の形態3の作用)前記構成を備えた本発明の実施の形態3の画像形成装置では、適性オイル温度記憶手段(C4)は、用紙の種類別に適性なオイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)を記憶する。したがって、用紙の種類別に適性なオイル温度(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)により定着を行うことが可能となる。
【0018】
【実施例】次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】(実施例1)図1は本発明の画像形成装置の一実施例の全体説明図である。図1において、画像形成装置Uは、自動原稿搬送装置U1とこれを支持するプラテンガラスPGを有する画像形成装置本体(複写機)U2とを有している。前記画像形成装置本体U2は、ユーザがコピースタート等の作動指令信号を入力操作するUI(ユーザインタフェース)、露光光学系A等を有している。前記自動原稿搬送装置U2でプラテンガラスPG搬送される原稿または手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿(図示せず)からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、CCD(固体撮像素子)でR(赤)、G(緑)、B(青)の電気信号に変換される。IPS(イメージプロセッシングシステム)は、前記RGBの電気信号をK(黒)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の画像データに変換して記憶し、前記画像データを所定のタイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザ駆動回路LDに出力する。レーザ駆動回路LDは、入力された画像データに応じてレーザ駆動信号をROS(ラスターアウトプットスキャン、潜像書込装置)に出力する。
【0020】感光体ドラムにより構成された像担持体PRは矢印Ya方向に回転しており、その表面は帯電ロールCR(帯電コロトロンCC)により一様に帯電された後、潜像書込位置Q1において前記ROS(潜像書込装置)のレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。フルカラー画像を形成する場合は、K(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の4色の画像に対応した静電潜像が順次形成され、モノクロ画像の場合はK(黒)画像に対応した静電潜像のみが形成される。前記像担持体PRへのレーザビームLによる潜像書込は、中間転写ベルトBの非画像部に設けられた基準マークBmをベルト位置センサSNbが検知してから所定の時間経時後に開始される。フルカラー画像の場合は、各色を重ね合わせるので、前記ベルト位置センサSNbが基準マークBmを検知してからレーザビームLによる潜像書込開始までの時間は各色同一である。前記静電潜像が形成された像担持体PR表面は回転移動して現像領域Q2、1次転写領域Q3を順次通過する。
【0021】前記現像領域Q2において前記静電潜像を現像するロータリ式の現像装置Dは、回転軸Daとともに回転するK(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の4色の現像器DK,DY,DM,DCを有している。前記各色の現像器DK,DY,DM,DCの中のいずれかの現像器が、前記現像領域Q2に回転移動して、現像領域Q2を通過する像担持体PR上の静電潜像をトナー像に現像する。前記1次転写領域Q3は、矢印Ya方向に回転移動する中間転写ベルトBがロール状の1次転写器T1により像担持体PR表面に圧接される領域である。前記1次転写器T1には現像装置Dで使用される現像用のトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が電源回路Eから供給される。前記電源回路EはコントローラCにより制御される。
【0022】前記像担持体PR表面に現像されたトナー像Tnは前記1次転写領域Q3において、1次転写器T1により中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後、像担持体PR表面の残留トナーはクリーナCL1によりクリーニングされる。
【0023】前記矢印Ya方向に回転移動する中間転写ベルトBは、駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw、アイドラロール(フリーロール)Rf、およびバックアップロールT2aにより回転可能に支持されている。バックアップロールT2aに対向する位置には中間転写ベルトBを挟んで2次転写ロールT2bが離隔および圧接可能(離接可能)に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域(ニップ)により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには導電性金属製のコンタクトロールT2cが当接している。コンタクトロールT2cには前記トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が電源回路Eから供給される。前記ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
【0024】フルカラー画像を形成する場合、潜像書込位置Q1において第1色目の静電潜像が形成され、現像領域Q2において1色目のトナー像Tnが形成される。このトナー像Tnは、1次転写領域Q3を通過する際に、1次転写器T1によって中間転写ベルトB上に静電的に1次転写される。その後同様にして、第1色目のトナー像Tnを担持した中間転写ベルトB上に、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像Tnが順次重ねて1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が中間転写ベルトB上に形成される。単色のモノカラー画像を形成する場合には1個の現像器のみを使用し、単色トナー像が中間転写ベルトB上に1次転写される。
【0025】給紙トレイTR1〜TR3に収容された記録シートSまたは両面記録の場合に使用される反転トレイTR0に一時的に収容された記録シートSは、シート供給路SH1により前記2次転写領域に搬送される。すなわち、前記各トレイTR0〜TR3の記録シートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚づつ分離されて、複数の搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記前記1次転写された多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q4に移動するのにタイミングを合わせて、転写前シートガイドSG1から2次転写領域Q4に搬送される。前記2次転写領域Q4において2次転写器T2は、中間転写ベルトB上のトナー像を記録シートSに静電的に一括して2次転写する。2次転写後の中間転写ベルトBはベルトクリーナーCL2により残留トナーが除去される。トナー像が2次転写された記録シートSは、定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着された後、記録シート排出トレイTR4に排出される。
【0026】定着装置Fの下流側に配置された切替ゲートGT1は、前記定着装置Fを通過した記録シートSの搬送方向を排出トレイTR4に接続されたシート排出路SH2またはシート反転路SH3のいずれかの方向に切り替える。シート反転路SH3に沿って複数のシート搬送ロールRaが配置されている。シート反転路SH3は、シート循環路SH4を介して前記反転トレイTR0に接続されている。前記シート反転路SH3およびシート循環路SH4の接続部に設けられたシート状且つ櫛の歯状のマイラーゲートGT2は、通過する記録シートSが下方に搬送される際には弾性変形により記録シートSの下方への移動を許し、マイラーゲートGT2を通過した記録シートSがスイッチバックして上方に搬送される場合にはシート循環路SH4の方向に向かわせるように構成されている。両面複写の場合には1面目のトナー像が転写された記録シートSはシート反転路SH3で反転されて反転トレイTR0に一旦収容されてから、所定のタイミングで取り出されて前記2次転写領域Q4に再送され、2面目にトナー像が転写される。なお、前記符号SH1〜SH4,Rp,Rs,Rr,Ra,GT1,GT2等で示す構成要素からシート搬送装置SHが構成される。
【0027】(定着装置F)図2は前記図1に示した画像形成装置の定着装置Fの説明図である。図2の定着装置は、前記図12に示した定着装置Fと同様に構成されている。すなわち、図2において、定着装置Fは、加熱ロールFhおよび加圧ロールFpにより構成される一対の定着ロールFh,Fpと、前記加熱ロールFhにオイル(液体状剥離剤)を塗布するオイル塗布装置F1を備えている。前記加熱ロールFhは内部に加熱ロールヒータFha(図3参照)を内蔵している。オイル塗布装置F1は、オイルタンク(図示せず)からシリコンオイルを供給されるオイルパイプF1a、オイルパンF1b、メタリングロールF1c、前記メタリングロールF1cに当接するメタリングブレードF1d、前記メタリングロールF1c表面にオイルを貯溜させるためのウイックF1e、および前記メタリングロールF1cおよび前記加熱ロールFhに接触しながら回転するオイル供給ロールF1fを有している。前記メタリングロールF1cの内部にはオイルヒータF1h(図3参照)が設けられている。なお、SNhはオイル温度検出センサであり、実際はメタリングロールF1cの表面温度をオイル温度として検出している。
【0028】(実施例1の制御部の説明)図3は本発明の画像形成装置の実施例1の制御部分のブロック線図である。図3において、前記コントローラCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有するコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0029】(前記コントローラCに接続された信号入力要素)前記コントローラCは、UI(ユーザインタフェース)、定着温度センサSNf、剥離用オイル温度センサSNo、その他の信号入力要素からの信号が入力されている。
【0030】(前記コントローラCに接続された制御要素)また、コントローラCは、IPS、加熱ロールヒータ駆動回路Dh、オイルヒータ駆動回路D1h、オイル供給ポンプ駆動回路D1p、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。前記IPSは、CCDから入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換してレーザ駆動信号出力回路DLに出力する。前記レーザ駆動信号出力回路DLは、入力された画像データに応じたレーザ駆動信号をROS(光書込走査装置、すなわち、潜像形成装置)に出力する。前記加熱ロールヒータ駆動回路Dhは加熱ロールヒータFhaを駆動する。前記オイルヒータ駆動回路D1hはオイルヒータF1hを駆動する。前記オイルヒータ駆動回路D1hはオイルヒータF1hにより剥離用オイル加熱装置(D1h+F1h)が構成されている。オイル供給ポンプ駆動回路D1pはオイル供給ポンプF1pを回転駆動する。前記オイル供給ポンプ駆動回路D1pおよびオイル供給ポンプF1pにより剥離用オイル供給装置(D1p+F1p)が構成されている。
【0031】(前記コントローラCの機能)前記コントローラCは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、コントローラCは次の機能を有している。
C1:潜像書込制御手段潜像書込制御手段C1は、前記IPSおよびレーザ駆動信号出力回路DLの制御信号を出力して静電潜像の書込制御を行う。また、前記潜像書込制御手段C1は、潜像書込禁止フラグFLおよびジョブ時潜像書込禁止手段C1aを有している。
FL:潜像書込禁止フラグ潜像書込禁止フラグFLは、潜像書込禁止状態では「0」が記憶され、潜像書込が可能な状態では「1」が記憶される。
【0032】C1a:ジョブ時潜像書込禁止手段ジョブ時潜像書込禁止手段C1aは、潜像書込禁止フラグ書換手段C1a1を有しており、画像形成動作中であるジョブ実行中に、前記オイル温度検出手段C3により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された適性オイル温度(T1−Ta,T2−Ta)よりも低い場合および前記適性オイル温度(T1+Ta,T2+Ta)よりも高い場合に、新しい記録シートに対する画像形成動作の開始を禁止する。
C1a1:潜像書込禁止フラグ書換手段ジョブ時潜像書込禁止手段C1aの潜像書込禁止フラグ書換手段C1a1は、画像形成動作の開始を禁止状態では前記潜像書込禁止フラグFLに「0」を記憶させ、潜像書込が可能な状態では「1」を記憶させる。
【0033】C2:加熱ロールヒータ制御信号出力手段加熱ロールヒータ制御信号出力手段C2は、加熱ロールヒータ駆動回路Dhの制御信号を出力して加熱ロールヒータFhaのオン・オフを制御する。
C3:オイル温度検出手段オイル温度検出手段C3は、前記加熱ロールFh(定着部材)表面に供給されるオイルの温度を検出する。
C4:用紙種類別適正オイル温度記憶手段用紙種類別適正オイル温度記憶手段C4は、用紙種類別の適性なオイル温度を記憶する。
【0034】C5:オイルヒータ制御信号出力手段オイルヒータ制御信号出力手段C5は、ジョブ時オイルヒータ制御手段C5a、および待機時オイルヒータ制御手段C5bを有しており、オイルヒータF1hのオン・オフを制御する。
C5a:ジョブ時オイルヒータ制御手段ジョブ時オイルヒータ制御手段C5aは、画像形成動作中に前記オイル温度検出手段C3により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された適性オイル温度よりも低い場合に前記オイルヒータF1hをオンにし且つ適性オイル温度よりも高い場合に前記オイルヒータF1hをオフにする。
C5b:待機時オイルヒータ制御手段待機時オイルヒータ制御手段C5bは、画像形成動作を行わない待機中に前記オイル温度検出手段C3により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された適性オイル温度よりも低い場合に前記オイルヒータF1hをオンにし且つ適性オイル温度よりも高い場合に前記オイルヒータF1hをオフにする。
【0035】C6:オイル供給量制御手段オイル供給量制御手段C6は、オイル供給ポンプF1pの作動を制御して、オイル供給量を制御する。このオイル供給量制御手段C6は、ジョブ時オイル供給量制御手段C6aを有している。
C6a:ジョブ時オイル供給量制御手段ジョブ時オイル供給量制御手段C6aは、画像形成動作の実行中に、前記オイル温度検出手段C3により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された適性オイル温度よりも高い場合に前記剥離用オイル供給装置のオイル供給量を増加させて前記定着部材表面に供給されるオイルの温度を低下させる。
【0036】(実施例1の作用)次に、前述の構成を備えた前記実施例1の作用を説明する。図4は本発明の画像形成装置の実施例1のオイル温度制御処理のフローチャートである。図4のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラCのROMに記憶されたプログラムに従って行われる。図4に示すオイル温度制御処理のフローチャートは電源オンにより開始される。ST1(ステップ1)において、コピースタートキーがオンしたか否か判断する。ノー(N)の場合はST2に移る。ST2においてオイル温度Tを検出する。次に、ST3において、待機時のオイル温度の制御処理を行う。ST3の処理の詳細(サブルーチン)は図5により後述する。前記ST1において、イエス(Y)の場合はST4に移る。ST4において、普通紙か否か判断する。YES(イエス)の場合はST5に移る。ST5において、普通紙用画像記録時オイル温度制御処理を行う。ST5の処理の詳細(サブルーチン)は図6により後述する。前記ST4において、NO(ノー)の場合はST6に移る。ST6において、OHP用画像記録時オイル温度制御処理を行う。ST6の処理の詳細(サブルーチン)は図8により後述する。前記ST7において、潜像書込禁止フラグFLをFL=「0」(潜像書込の可能な状態)とし、前記ST1に戻る。
【0037】図5は待機時オイル温度制御処理ST3のサブルーチンである。ST11において、前記オイル温度Tは、T≧T0(T0は、前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された待機温度である)か否か判断する。YES(イエス)の場合はST12に移る。ST12においてオイルヒータF1hはオンか否か判断する。ノー(N)の場合は前記図4のメインルーチンのST1に戻る。イエス(Y)の場合はST13に移る。ST13において、オイルヒータF1hをオフにする。次に前記図4のメインルーチンに戻りST1に移る。前記ST11において、NO(ノー)の場合はST14に移る。ST14においてオイルヒータF1hがオンか否か判断する。YES(イエス)の場合は前記図4のメインルーチンに戻りST1に移る。前記ST14において、NO(ノー)の場合はST15に移る。ST15において、オイルヒータF1hをオンにする。次に前記図4のメインルーチンに戻りST1に移る。
【0038】図6は普通紙用画像記録時オイル温度制御処理ST5(図4参照)のサブルーチンである。ST21においてオイル温度Tを検出する。ST22において前記オイル温度Tは、T≧T1−Ta(T1は、前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された、普通紙画像記録時の剥離オイルの目標温度、T1−Taは、目標温度の許容下限値である)か否か判断する。NO(ノー)の場合はST23に移る。ST23において潜像書込禁止フラグFLはFL=「0」か否か判断する。YES(イエス)の場合は、ST25に移る。NO(ノー)の場合は、ST24に移る。ST24において潜像書込禁止フラグFLをFL=「0」とする。前記ST25においてオイルヒータF1hがオンか否か判断する。YES(イエス)の場合はST36に移る。NO(ノー)の場合はST26に移る。ST26においてオイルヒータF1hをオンにし、前記ST36に移る。
【0039】前記ST22においてYES(イエス)の場合はST27に移る。ST27においてオイル温度Tは、T≦T1+Ta(T1+Taは、前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された、普通紙画像記録時の剥離オイルの温度の許容上限値である)か否か判断する。NO(ノー)の場合はST28に移る。ST28において潜像書込禁止フラグFLはFL=「0」か否か判断する。YES(イエス)の場合は、ST30に移る。NO(ノー)の場合は、ST29に移る。ST29において潜像書込禁止フラグFLをFL=「0」とする。前記ST30においてオイルヒータF1hがオンか否か判断する。NO(ノー)の場合はST36に移る。YES(イエス)の場合はST31に移る。ST31においてオイルヒータF1hをオフにし、オイルの供給量を冷却用供給量とする。次に前記ST36に移る。前記ST27においてYES(イエス)の場合はST32に移る。ST32においてオイルの供給量は通常供給量か否か判断する。YES(イエス)の場合は、ST34に移る。NO(ノー)の場合は、ST33に移る。ST33において前記オイルの供給量を通常供給量にする。前記ST34において潜像書込禁止フラグFLをFL=「1」とし、次に前記ST35に移る。ST35においてオイル温度目標値制御処理を行う。この処理の詳細は図7のフローチャート(ST35のサブルーチン)に示されている。次にST36に移る。ST36において、ジョブが終了したか否か判断する。ノー(N)の場合は前記ST21に戻る。YES(イエス)の場合は、前記図4のメインルーチンに戻り前記ST7に移る。
【0040】図7は前記図6のST35のオイル温度目標値制御処理のサブルーチンである。この図7のフローチャートは、制御する目標オイル温度がT1(普通紙記録時目標温度)である点で、目標オイル温度がT0(待機時目標温度)の図5と異なっている。この図7のフローチャートはST11′が、前記図5のフローチャートのST11と異なるが他の処理は前記図5と同一である。
【0041】図8はOHP用画像記録時オイル温度制御処理ST6のサブルーチンである。なお、図8のOHP用画像記録時オイル温度制御処理は、前記図6の普通紙用画像記録時オイル温度制御処理ST5のサブルーチンと相違しているが、他の点では前記図6と同様に構成されている。ST22、ST27、ST35の代わりにST22′、ST27′、ST35′が設けられている。ST22′においてオイル温度Tは、T≧T2−Ta(T2は、前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された、OHP・厚紙画像記録時の剥離オイルの目標温度、T2−Taは、目標温度の許容下限値である)か否か判断する。ST27′においてオイル温度Tは、T≦T2+Ta(T2+Taは、前記適性オイル温度記憶手段C4に記憶された、OHP用紙画像記録時の剥離オイルの温度の許容上限値である)か否か判断する。ST35′においてオイル温度目標値制御処理を行う。この処理の詳細は図9のフローチャート(ST35′のサブルーチン)に示されている。図8のその他の処理は前記図6と同様である。
【0042】図9は前記図8のST35′のオイル温度目標値制御処理のサブルーチンである。この図9のフローチャートは、制御する目標オイル温度がT2(OHP・厚紙記録時目標温度)である点で、目標オイル温度がT0(待機時目標温度)の図5と異なっている。この図9のフローチャートはST11″が、前記図5のフローチャートのST11と異なるが他の処理は前記図5と同一である。
【0043】図10は剥離オイルの温度制御を行う場合と行わない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表1)である。図表1−1は本実施例1の制御を行った場合の加熱ロールFhおよびメタリングロールF1cの温度、ならびにオイル塗布量を示す図表である。図表1−2は前記実施例1の図表1−1に対する比較例の図表であり、オイルヒータF1hのみオイル温度の制御を行った場合の加熱ロールFhおよびメタリングロールF1cの温度、ならびにオイル塗布量を示す図表である。図表1−3は前記実施例1の図表1−1に対する比較例の図表であり、オイル温度の制御を行わない場合の加熱ロールFhおよびメタリングロールF1cの温度、ならびにオイル塗布量を示す図表である。
【0044】図10において、図表1−1では、朝一番に電源オンしたとき、通常使用状態、および連続RUN(連続使用)後、のいずれの場合も、メタリングロールF1cの温度を一定に維持することができ、オイル塗布量も一定である。図10において、図表1−2では、朝一番に電源オンしたとき、および通常使用状態の場合、メタリングロールF1cの温度を一定に維持することができ、オイル塗布量も一定である。しかしながら、連続RUN(連続使用)後ではメタリングロールF1cの温度が上昇し、オイル塗布量が減少する。図10において、図表1−3では、通常使用状態の場合は、メタリングロールF1cの温度を一定に維持することができ、オイル塗布量も一定である。しかしながら、朝一番に電源オンしたときはメタリングロールF1cの温度が低く、オイル塗布量が増加し、連続RUN(連続使用)後はメタリングロールF1cの温度が上昇してオイル塗布量が減少する。
【0045】図11は記録シートの種類に応じて剥離オイルの温度制御を行う場合と行わない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表2)である。図表2において、実施例1では普通紙を使用するときにはメタリングロールF1cの目標温度(すなわち、目標オイル温度)T1をT1=140°Cに制御し、定着時間の長い(シート搬送速度の低い)OHP・厚紙では目標オイル温度T2をT2=110°Cに制御している。このような制御を行うことにより、オイル塗布量を一定に制御することが可能となる。図11の比較例のように、定着時間の長いOHP・厚紙に対して普通紙と同様の目標オイル温度を設定すると、A4サイズのシート1枚当たりのオイル塗布量が減少する。
【0046】図12は記録シートの種類に応じて剥離オイルの温度制御およびオイルポンプによる目標オイル供給量を変化させる場合と変化させない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表3)である。図表3において、実施例1では用紙種類および使用状態に応じてオイルポンプF1pの流量を異なる値に設定し、且つ、普通紙を使用するときにはメタリングロールF1cの目標温度(すなわち、目標オイル温度)T1をT1=140°Cに制御し、定着時間の長い(シート搬送速度の低い)OHP・厚紙では目標オイル温度T2をT2=110°Cに制御している。このような制御を行うことにより、オイル温度を容易に一定に制御することができる。オイル温度を一定にすることにより、オイル塗布量を一定に制御することが可能である。
【0047】図13は加熱ロールFhが160°Cに達してからメタリングロールF1cの温度すなわち、オイル温度が安定(140°C)に達するまでに要する時間が、メタリングロールF1cの種類に応じて異なることを示す図表(図表4)である。本実施例1のメタリングロールF1cの温度(すなわち、オイル温度)は、加熱ロールFhが160°Cになったときに140°Cで安定している。したがって、加熱ロールFhが定着可能温度に達した時点でオイル温度が適切な値になっているので、適切なオイル塗布量で、良好な画像形成を行うことができる。
【0048】(変更例)以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく、種々設計変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
(H01)待機時オイル温度制御処理(図4のST2、ST3)は省略することが可能である。
(H02)剥離オイル供給ポンプによるオイル冷却用の制御は省略可能である。
(H03)定着部材として加熱ロールの代わりに加熱ベルトを使用することが可能である。
(H04)前記実施例の用紙種類入力キーUIeの厚紙・OHP指定キーの代わりに、用紙厚センサおよびOHPセンサを使用することが可能である。なお本発明は、OHP・厚紙を使用しない画像形成装置にも適用可能であり、したがって、OHP・厚紙と普通紙とを判別する手段は省略可能である。
【0049】
【発明の効果】前述の本発明の画像形成装置は下記の効果を奏することができる。
(E01)定着装置の定着ロールに塗布する用紙剥離用のオイルを適切な量に制御することにより、前記オイル塗布量の過多または過少による問題点の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の画像形成装置の一実施例の全体説明図である。
【図2】 図2は前記図1に示した画像形成装置の定着装置Fの説明図である。
【図3】 図3は本発明の画像形成装置の実施例1の制御部分のブロック線図である。
【図4】 図4は本発明の画像形成装置の実施例1のオイル温度制御処理のフローチャートである。図4のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラCのROMに記憶されたプログラムに従って行われる。
【図5】 図5は待機時オイル温度制御処理ST3のサブルーチンである。
【図6】 図6は普通紙用画像記録時オイル温度制御処理ST5(図4参照)のサブルーチンである。
【図7】 図7は前記図6のST35のオイル温度目標値制御処理のサブルーチンである。
【図8】 図8はOHP用画像記録時オイル温度制御処理ST6のサブルーチンである。
【図9】 図9は前記図8のST35′のオイル温度目標値制御処理のサブルーチンである。
【図10】 図10は剥離オイルの温度制御を行う場合と行わない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表1)である。
【図11】 図11は記録シートの種類に応じて剥離オイルの温度制御を行う場合と行わない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表2)である。
【図12】 図12は記録シートの種類に応じて剥離オイルの温度制御およびオイルポンプによる目標オイル供給量を変化させる場合と変化させない場合のオイル塗布量の違いを調べたテスト結果を示す図表(図表3)である。
【図13】 図13は加熱ロールFhが160°Cに達してからメタリングロールF1cの温度すなわち、オイル温度が安定(140°C)に達するまでに要する時間が、メタリングロールF1cの種類に応じて異なることを示す図表(図表4)である。
【図14】 図14は実験に使用した定着装置の説明図である。
【図15】 図15は、前記図14に示す定着装置Fを備えた画像形成装置を使用してオイル温度に対するオイル粘度およびオイル塗布量を実験により調べた結果をグラフにした図である。
【図16】 図16はオイルを加熱することなく、朝一の状態(オイルが冷えた状態)で、加熱ロールFhの温度を160°Cに制御した状態で、通紙枚数(定着領域を通過するシート枚数)に対する、メタリングロール温度およびオイル塗布量(A4用紙1枚当たりの塗布量)の変化を示す図である。
【符号の説明】
C1a…ジョブ時ジョブ時潜像書込禁止手段、C3…オイル温度検出手段、C4…適性オイル温度記憶手段、C5…オイルヒータ制御手段、C6…オイル供給量制御手段、F1h…オイルヒータ、Fh…加熱用定着部材、Fp…加圧用定着部材、QF…定着領域、S…記録シート、T…検出オイル温度、(Fh,Fp)…一対の定着部材
(D1p+F1p)…剥離用オイル供給装置、(T0,T1,T2,T1−Ta,T1+Ta,T2−Ta,T2+Ta)…適性なオイル温度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の要件(A01)〜(A06)を備えたことを特徴とする画像形成装置、(A01)未定着トナー像が転写された記録シートの搬送路に配置された互いに圧接して回転する加熱用定着部材および加圧用定着部材により構成される一対の定着部材であって、前記一対の定着部材の圧接領域である定着領域を通過する前記記録シート上の前記未定着トナー像を定着する前記一対の定着部材、(A02)前記一対の定着部材のうちのいずれかの定着部材表面に記録シートを定着部材から剥離させるためのシート剥離用オイルを供給する剥離用オイル供給装置、(A03)シート剥離用オイルを加熱するオイルヒータ、(A04)前記定着部材表面に供給されるオイルの温度を検出するオイル温度検出手段、(A05)適性なオイル温度を記憶する適性オイル温度記憶手段、(A06)画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中に、前記オイル温度検出手段により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段に記憶された適性オイル温度よりも低い場合に前記オイルヒータをオンにし且つ適性オイル温度よりも高い場合に前記オイルヒータをオフにするオイルヒータ制御手段。
【請求項2】 下記の要件(A07)を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置、(A07)画像形成動作開始信号が入力されたとき、画像形成動作中であるジョブ実行中、または、画像形成動作を行わない待機中に、前記オイル温度検出手段により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段に記憶された適性オイル温度よりも高い場合に前記剥離用オイル供給装置のオイル供給量を増加させて前記定着部材表面に供給されるオイルの温度を低下させるオイル供給量制御手段。
【請求項3】 下記の要件(A08)を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置、(A08)画像形成動作中であるジョブ実行中または画像形成動作開始信号が入力されたときに、前記オイル温度検出手段により検出される検出オイル温度が前記適性オイル温度記憶手段に記憶された適性オイル温度よりも低い場合および前記適性オイル温度よりも高い場合に、新しい記録シートに対する画像形成動作の開始を禁止するジョブ時潜像書込禁止手段。
【請求項4】 下記の要件(A09)を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の画像形成装置、(A09)用紙の種類別に適性なオイル温度を記憶する適性オイル温度記憶手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【図12】
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【図8】
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【図10】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2000−122456(P2000−122456A)
【公開日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−294203
【出願日】平成10年10月15日(1998.10.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】