説明

画像形成装置

【課題】ダクトを設けた開閉カバーの薄型軽量化を図る。
【解決手段】開閉部材11cの片側にダクト110を一体的に設け,ダクト110の一面をシート部材113で構成した。ダクト110の他面側は紙ガイド17aを構成している。ダクト110は排気ダクトとして定着部60の上方に設け,シート部材113を画像形成装置の表面カバー11cとの間に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,排気ダクトや送風ダクト等のダクトを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のなかには,装置内における所望の部位の空気を吸引して排気等するための排気ダクトを備えているものがある。また,装置内における所望の部位に空気を送るための送風ダクトを備えているものもある。
従来,空気流による加熱部材長手方向での温度むらを防止する目的で,加熱部材上部を覆う覆い部材をなすダクト内に空気流方向と交差する方向に沿ったリブを設け、このリブによって区分された領域の開口面積を空気流方向で変えた画像形成装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−234626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の画像形成装置は,ダクトの一面が板状部材で構成されていたので,ダクトが厚くなって重くなるという難点があった。
したがって,ダクトを画像形成装置における開閉部材(例えば開閉カバー)に設ける場合,カバーが厚くなって重くなるという問題があった。
本発明の目的は,ダクトを設けた開閉カバーの薄型軽量化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明の画像形成装置は,開閉部材の片側にダクトを一体的に設け,かつ当該ダクトの一面をシート部材で構成したことを特徴とする
このような画像形成装置によれば,ダクトが開閉部材の片側に一体的に設けられ,かつダクトの一面がシート部材で構成されているので,ダクトの薄型軽量化が図られ,結果としてダクトを設けた開閉カバーの薄型軽量化が図られる。
望ましくは,前記ダクトの他面側で紙ガイドを構成する。
このように構成すれば,紙ガイドおよびダクトを設けた開閉部材をより一層薄型軽量に構成することができる。
しかも,ダクトを吸引ダクト(例えば排気ダクト)として用いれば,紙ガイドで搬送される記録材への吸引作用によって,記録材の安定した搬送が可能となる。
また望ましくは,前記ダクトを排気ダクトとして定着部の上方に設け,かつ,前記シート部材を画像形成装置の表面カバーとの間に設けた構成とする。
このように構成すれば,定着部から発生する熱気および蒸気を良好に排気することができると同時に,前記シート部材による断熱効果が得られ,表面カバーの温度が上昇し過ぎるという事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下,本発明に係る画像形成装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は,本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の内部構造を示す概略正面図である。
この画像形成装置は,A4サイズの記録紙(レターサイズ含む)を縦送りしてその両面にモノクロ(単色)画像またはフルカラー画像を形成することのできるカラー画像形成装置であり,ケース11と,このケース11内に収容された,画像形成部をなす,像担持体ユニット20と,露光手段としての露光ユニット30と,現像手段としての現像器(現像装置)40とを備えている。また,中間転写体ユニット50と,定着手段としての定着ユニット(定着部)60とを備えている。
ケース11には装置本体10の図示しないフレームが設けられており,このフレームに各ユニット等が取り付けられている。
【0006】
像担持体ユニット20は,外周面に感光層を有する感光体21と,この感光体21の外周面を一様に帯電させる帯電手段としてのコロナ帯電器(スコロトロン帯電器)22とを有しており,このコロナ帯電器22により一様に帯電させられた感光体21の外周面を露光ユニット30からのレーザー光Lで選択的に露光して静電潜像を形成し,この静電潜像に現像器40で現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とし,このトナー像を中間転写体ユニット50の中間転写体である中間転写ベルト51に一次転写部T1で一次転写し,さらに,二次転写部(転写部)T2で,転写対象である記録紙に二次転写させるようになっている。
【0007】
ケース11内には,上記二次転写部T2により片面に画像が形成された記録紙をケース11上面の記録紙排出部(排紙トレイ)15に向けて搬送する搬送路16と,この搬送路16により記録紙排出部15に向けて搬送された記録紙をスイッチバックさせて他面にも画像を形成すべく前記二次転写部T2に向けて返送する返送路17とが設けられている。
70は,装置本体に対して着脱可能に構成された両面ユニットであり,この両面ユニット70が装着されることによって前記返送路17が完成される。
71は記録紙返送用の駆動モータ,72はこのモータ71からタイミングベルト等の駆動機構(図示せず)を介して駆動される記録紙返送ローラである。
【0008】
ケース11の下部には,複数枚の記録紙を積層保持する給紙カセット18が設けられており,その記録紙を一枚ずつ上記二次転写部T2に向けて給送する給紙ローラ19が設けられている。
上記両面ユニット70の下方には,手差し給紙部80をなすマルチパーパーストレイ81が設けられており,このマルチパーパーストレイ81にセットされた記録紙を一枚ずつ給送する給紙ローラ82が装置本体に設けられている。
【0009】
現像器40はロータリ現像器(ロータリ現像装置)であり,回転体本体41に対して,イエロートナー,シアントナー,マゼンタトナー,ブラックトナーが収容された各色用の現像器カートリッジ(図示せず)が着脱可能に装着されている。回転体本体41が矢印R方向に90度ピッチで回転することによって,各現像器カートリッジが備えている現像ローラ(図示せず)を感光体21に選択的に当接させ,感光体21の表面を選択的に現像することが可能となっている。
【0010】
露光ユニット30は,上記レーザー光Lを感光体21に向けて照射する。
中間転写体ユニット50は,図示しないユニットフレームと,このフレームで回転可能に支持された駆動ローラ54と複数本の従動ローラに掛け回されて張架された中間転写体としての前記中間転写ベルト51とを備えており,中間転写ベルト51が図示矢印方向に循環駆動される。感光体21と中間転写ベルト51との当接部において前記一次転写部T1が形成されており,駆動ローラと本体側に設けられた二次転写ローラ10bとの圧接部において前記二次転写部T2が形成される。
二次転写ローラ10bは,前記駆動ローラ54に対して(したがって中間転写ベルト51に対して)接離可能であり,接触した際に二次転写部T2が形成される。
したがって,カラー画像を形成する際には,二次転写ローラ10bが中間転写ベルト51から離間している状態で,中間転写ベルト51の1回転につき中間転写ベルト51上に1色の画像が形成され,中間転写ベルト51の複数回転により中間転写ベルト51上に複数色の画像が重畳されて中間転写ベルト51上にカラー画像が形成され,その後,二次転写ローラ10bが中間転写ベルト51に当接し,その当接部(二次転写部T2)に記録紙が供給されることによって中間転写ベルト51上から記録紙上にカラー画像(トナー像)が転写(二次転写)されることとなる。
トナー像が転写された記録紙は,定着ユニット60を通ることでトナー像が溶融定着され,上記排紙トレイ15に向けて排出される。
【0011】
定着部60は,一対の加熱ローラ対61,62(図2参照)を有しており,記録紙Sは定着部60に対し,下方から上方に向けて通過する。また,記録紙Sは,定着部60に対し下方から上方に向けて通過した後,スイッチバックローラ対93および排紙ローラ対91,92によって横方向に向けて排出される。
定着動作時(画像形成時),加熱ローラ61は165度C程度に,加熱ローラ62は190度C程度に加熱される。したがって,記録紙Sが横方向に向けて搬送されるその横方向側の加熱ローラ62の方が他方の加熱ローラ61よりも高温である。
【0012】
この画像形成装置は,定着部60を通過した記録紙を排紙トレイ15上に排出する排紙ローラ対91,92と,定着部60と排紙ローラ対91,92との間に設けられていて,定着部60を通過した記録紙をスイッチバックさせて上述した感光体21等からなる画像形成部へ返送するスイッチバックローラ対93とを備えている。
スイッチバックローラ対93は,定着部60から排紙ローラ対91,92へと向かう排紙経路16a中に設けられており,記録紙のスイッチバックは,記録紙の後端がスイッチバックローラ対93のニップ部を通過する直前に排紙ローラ対91,92およびスイッチバックローラ対93を逆転させて記録紙を返送路17へ供給することによってなされる。
返送路17へ供給された記録紙は,返送ローラ72で搬送され,二次転写部T2への記録紙の供給タイミングを決定するゲートローラ対10gを経て二次転写部T2へと供給される。
【0013】
図2は上記画像形成装置の要部を拡大した概略図,図3は排気ダクトの平面図である。
これらの図に示すように,この画像形成装置は,定着部60と排出ローラ91,92との間において,記録紙Sの表側S1と裏側S2の両側に,記録紙Sの表側S1の空気を矢印A1で示すように排気する第1排気ダクト(吸気ダクト)110(図6参照)と,記録紙Sの裏側S2の空気を矢印A2で示すように排気する第2排気ダクト(吸気ダクト)120(図4参照)とを設けてある。
図3に示すように,これら排気ダクト110,120は,それぞれ,定着部60の加熱ローラ対61,62の軸線方向(図3において上下方向)に伸びており,その最終端で単一の排気ファン130に連通している。
【0014】
図5は排気ファン(ファンユニット)130を示す斜視図である。
図2,図3,図5において,131は,排気ダクト110,120と排気ファン130とを連通させている多数の連通口である。
図5において132は,装置本体フレームに取り付けるための取付部である。
ファン130による吸引力ないし送風力は,図3に示すように,その中心部領域F1において弱く,その外周部領域F2において強い。
【0015】
図6は後述するシート部材113を省略した第1排気ダクト110を示す図で,(a)は平面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図である。図7は後述するシート部材113を設けた状態の第1排気ダクト110を示す平面図である。
第1排気ダクト110は,図2,図3に示すように傾斜した底板111と,この底板111と一体の側板112と,ダクトの上部(一面)を塞ぐシート部材113(図2,図7参照)とを備えている。端部には,図6(b)に示すように排気ファン130との接続口117が設けられている。上記一面の他面側である底部には,上記返送路17の上部を形成するリブ状紙ガイド17aが一体に形成されている。
【0016】
図1,図2に示すように,第1排気ダクト110は,画像形成装置の表面カバーであり開閉部材でもある開閉カバー11cの片側(この実施の形態では下側)に一体的に設けられており,図1に示す軸部10j回りに,開閉カバー11cとともに回動可能(開閉可能)となっている。
第1排気ダクト110は,定着部60の上方に設けられており,かつ,前記シート部材113は開閉カバー11cとの間に設けられている。図2において,11dはシート部材113と開閉カバー11cとの間に形成されている空所(空間)である。
【0017】
第1排気ダクト110の底板111に,定着部60の加熱ローラ対61,62の軸線方向(図3において上下方向)に沿って,複数の通気口としての吸引口114a〜114mが設けられており,これら吸引口114a〜114mに対応して連通する風路115a〜115gを形成する仕切板116a〜116eが底板111と一体に設けられている。
底面111は,図2に示すように記録材Sの案内方向に傾斜している底面であり,吸引口114a〜114mは,傾斜底面111の上部(図6(a)参照)に設けられている。
【0018】
リブ状紙ガイド17aは通気口114a〜114mの各々に隣接させて設けてあり,このリブ状紙ガイド17aと,前記仕切板における通気口に隣接する部位116f(図6(a)参照)とは,図6(b)に示すように同一線上に形成してある。
仕切板116a〜116eは,吸引口に隣接する部位116fに連なる部位が,吸引口に隣接する部位116fに対して曲げてある。
吸引口114a〜114mはいずれも記録紙Sの表側S1(図2)に開口している。
したがって,吸引口114aから吸引された空気A1は風路115aを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口114b,114cから吸引された空気A1は風路115bおよび115aを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口114d,114eから吸引された空気A1は風路115c,115d,115fを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口114f,114g,114hから吸引された空気A1は風路115d,115fを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口114i,114jから吸引された空気A1は風路115e,115fを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口114k,114l,114mから吸引された空気A1は風路115gを経て排気ファン130により機外へ排気される。
【0019】
そして,この実施の形態では,上記風路115a,115f,115gのうち,その吸引口114a〜114cから吸引ファン130までの間の距離が長い風路115aの端部を吸引ファン130における当該吸引ファンによる吸引力の強い部位F2に対向させ,前記風路のうち,その吸引口114k〜114mから吸引ファン130までの間の距離が短い風路115gの端部を吸引ファン130における当該吸引ファンによる吸引力の弱い部位F1に対向させてある。また,前記風路のうち,その吸引口114d〜114jから吸引ファン130までの間の距離が中程度の風路115fについては,そのの端部を吸引ファン130における当該吸引ファンによる吸引力の弱い部位F1と強い部位F2との間に対向させてある。
したがって,各吸引口の大きさをそれほど大きく変えなくても各吸引口から略均等に排気することができる。
なお,ファン130を送風ファンとして用い,ダクト110を送風ダクトとして用いる場合,上記風路115a,115f,115gのうち,その送風114a〜114cから送風ファン130までの間の距離が長い風路115aの端部を送風ファン130における当該送風ファンによる送風力の強い部位F2に対向させ,前記風路のうち,その送風口114k〜114mから送風ファン130までの間の距離が短い風路115gの端部を送風ファン130における当該送風ファンによる送風力の弱い部位F1に対向させた構成となる。
【0020】
第2排気ダクト120は,図2〜図4に示すように,全体的に細長の棒状であり,底板121と,この底板121と一体の側板122と,ダクト上部を塞ぐ蓋部材123(図2)とを備えている。端部には,排気ファン130との接続口127が設けられている。
側板122から底板121にかけて,定着部60の加熱ローラ対61,62の軸線方向(図3において上下方向)に沿って,複数(図のものは2個)の吸引口124a,124bが設けられており,これら吸引口124a,124bに対応する風路125a,125bを形成する仕切板126が底板121と一体に設けられている。
吸引口124a,124bはいずれも記録紙Sの裏側S2(図2)に開口している。
したがって,吸引口124aから吸引された空気A2は風路125aを経て排気ファン130により機外へ排気され,吸引口124bから吸引された空気A2は風路125bを経て排気ファン130により機外へ排気される。
【0021】
そして,この実施の形態では,画像形成部にてトナー像が転写された記録紙Sを,加熱ローラを有する定着部60に対し下方から上方に向けて通した後,横方向に向けて排出する構成となっていて,記録紙Sが上方へ移動して横方向へ移動するその移動経路の内側(第2排気ダクト120側)において水蒸気がこもりやすくなっているので,図3に示すように第2排気ダクト120の風路125a,125bの端部127を排気ファン130における当該排気ファンによる排気力の強い部位F2に対向させてある。
したがって,記録紙Sの移動経路の内側にこもろうとする水蒸気を良好に排出することができる。
【0022】
以上のような画像形成装置によれば次のような作用効果が得られる。
(a)開閉部材11cの片側にダクト110を一体的に設け,かつ当該ダクト110の一面をシート部材113で構成してあるので,ダクト110の薄型軽量化が図られ,結果としてダクト110を設けた開閉カバー11cの薄型軽量化が図られる。
(b)ダクト110の他面111側で紙ガイド17aを構成してあるので,紙ガイド17aおよびダクト110を設けた開閉部材11cをより一層薄型軽量に構成することができる。
しかも,ダクト110を排気ダクトとして用いているので,紙ガイド17aで搬送される記録材Sへの吸引作用によって,記録材Sの安定した搬送が可能となる。
(c)ダクト110を排気ダクトとして定着部60の上方に設け,かつ,シート部材113を画像形成装置の表面カバー11cとの間に設けた構成となっているので,定着部60から発生する熱気および蒸気を良好に排気することができると同時に,シート部材113による断熱効果が得られ,表面カバー11cの温度が上昇し過ぎるという事態を防止することができる。
【0023】
(d)ダクト110の少なくとも一外側面111に,複数の通気口114a〜114mを設けるとともに記録材Sを案内するリブ状紙ガイド17aを通気口114a〜114mに隣接させて設け,ダクト110内には通気口114a〜114mの単数または複数に連通する風路115a〜115gを形成する仕切板116a〜116eを設けて,リブ状紙ガイド17aと,仕切板における通気口に隣接する部位116fとを同一線上に形成してあるので,通気口114a〜114mを通る空気流A1がこれらリブ状紙ガイド17aと仕切板における通気口に隣接する部位116fとによって整流されることとなる。
したがって,所望の部位(通気口が設けられている部位)の排気ないし送風を効率的に行うことができる。
しかも,通気口における整流作用をなす一方の整流板がリブ状紙ガイド17aによって構成されているので,別途整流板を設ける必要がない。
【0024】
(e)ダクト110を排気ダクトとし,このダクト110の一外側面を当該ダクト110の底面111にするとともに,この底面111を,記録材Sの案内方向に傾斜している底面とし,通気口114a〜114mが,当該傾斜底面111の上部に設けられているので,定着部60から上昇する熱気を一層効率よく排気することができる。
(f)仕切板116a〜116eは,通気口に隣接する部位116fに連なる部位を,通気口に隣接する部位116fに対して曲げた構成としてあるので,ダクト配置の自由度が向上するとともに,風路が曲がっているにもかかわらず効率的な排気ないし送風を行うことができる。
【0025】
(g)この画像形成装置は,吸気ダクト110と,この吸気ダクト110の端部に設けられた吸引ファン130とを有し,吸気ダクト110に,複数の吸引口を設けるとともに,これら吸引口の単数または複数に連通する,複数の風路115a,115f,115gを設け,これら風路115a,115f,115gのうち,その吸引口114a〜114cから吸引ファン130までの間の距離が長い風路115aの端部を吸引ファン130における当該吸引ファンによる吸引力の強い部位F2に対向させ,前記風路のうち,その吸引口114k〜114mから吸引ファン130までの間の距離が短い風路115gの端部を吸引ファン130における当該吸引ファンによる吸引力の弱い部位F1に対向させてあるので,吸気ダクト110における複数の吸引口のうち,吸引ファン130から遠い距離にある吸引口114a〜114cは,吸引ファン130による吸引力の強い部位F2によって長い風路115aを通じて吸引され,吸引ファン130から近い距離にある吸引口114k〜114mは,吸引ファン130による吸引力の弱い部位F1によって短い風路115gを通じて吸引される。風路が長い方が吸引ファン130による吸引力の減衰は大きくなるから,結果として,この実施の形態によれば,必ずしも吸引口114a〜114mの大きさを変えなくても,吸気ダクト110における複数の吸引口114a〜114mにおける吸引作用を略均等化することができる。
すなわち,この実施の形態によれば,ファン130における当該ファンによる吸引力の強い部位F2と弱い部位F1とを有効に利用した吸気作用を得ることができる。
【0026】
(h) また,送風ダクトを構成する場合も上述したように構成でき,その場合には,送風ダクトにおける複数の送風口のうち,送風ファンから遠い距離にある送風口は,送風ファンによる送風力の強い部位によって長い風路を通じて送風され,送風ファンから近い距離にある送風口は,送風ファンによる送風力の弱い部位によって短い風路を通じて送風される。風路が長い方が送風ファンによる送風力の減衰は大きくなるから,結果として,必ずしも送風口の大きさを変えなくても,送風ダクトにおける複数の送風口における送風作用を略均等化することができる。
【0027】
(j)画像形成部にてトナー像が転写された記録紙Sを,加熱ローラを有する定着部60に通すことでトナー像を記録紙S上に定着させた後,排出ローラ91,92にて排出部15に排出する画像形成装置であり,定着部60と排出ローラ91,92との間において,記録紙Sの表裏両側に,当該記録紙Sの表裏両側の空気A1,A2をそれぞれ排気する排気ダクト110,120を設けてあるので,定着部60を通過した記録紙Sから発生した水蒸気が最もこもりやすい,定着部60と排出ローラ91,92との間において,記録紙Sの表裏両側の空気(したがって水蒸気)A1,A2が排気される。
したがって,記録紙Sの搬送路を形成する紙ガイド10h(図2参照)等への結露が防止され,結果として,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送することが可能となる。
【0028】
(k)特に,画像形成部にてトナー像が転写された記録紙Sを,加熱ローラを有する定着部60に対し,下方から上方に向けて通す構成であると,定着部60上方の紙ガイド10h等に結露が生じやすくなるが,この画像形成装置によれば,そのような結露を防止して,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送することが可能となる。
(l)画像形成部にてトナー像が転写された記録紙Sを,加熱ローラを有する定着部60に対し下方から上方に向けて通した後,横方向に向けて排出する構成であると,記録紙Sが上方へ移動して横方向へ移動するその移動経路の内側(第2排気ダクト120側)において水蒸気がこもりやすくなるが,この画像形成装置によれば,そのような水蒸気を第2排気ダクト120で適正に排出できるので,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送することが可能となる。
(m)定着部にて片面にトナー像が定着された記録紙Sを,定着部60と排出ローラ91,92との間でスイッチバックさせて画像形成部へ返送する返送路17を有しており,この返送路17を形成する紙ガイド17a(図2参照)が定着部60の上方に設けられている構成であると,返送路17を形成する紙ガイド17aに結露が生じやすくなるが,この画像形成装置によれば,そのような結露を防止して,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送して,記録紙の両面に綺麗な画像を円滑に形成することが可能となる。
【0029】
(n)定着部60が加熱ローラを一対有している構成であると,記録紙Sの両側において,より水蒸気が発生しやすくなるが,この画像形成装置によれば,そのような水蒸気を第1排気ダクト110および第2排気ダクト120で適正に排出できるので,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送することが可能となる。
(o)定着部60が加熱ローラを一対有しているとともに,この加熱ローラのうち,記録紙Sが横方向に向けて搬送されるその横方向側の加熱ローラ62の方が他方の加熱ローラ61よりも高温である場合には,記録紙Sにおける当該高温の加熱ローラ62側において,より水蒸気が発生してこもりやすくなるが,この画像形成装置によれば,そのような水蒸気を第2排気ダクト120で適正に排出できるので,定着後の記録紙Sを汚さずかつ円滑に搬送することが可能となる。
(p)排気ダクト110,120は,それぞれ,加熱ローラの軸線方向に伸びており,その最終端で単一の排気ファン130に連通しているので,1個の排気ファン130で記録紙Sの表裏両側の空気A1,A2を排気することができ,コスト削減および,画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0030】
(q)排気ダクト110,120には,複数の吸引口を設けてこれら吸引口の単数または複数に連通する,複数の風路を設け,これら風路のうち,その吸引口から,より多くの空気を吸引させたい風路125a,125bの端部127を排気ファン130における当該排気ファンによる排気力の強い部位F2に対向させてあるので,排気ダクト110,120における複数の吸引口のうち,より多くの空気を吸引させたい吸引口124a,124bからの排気量を増大させることができる。
したがって,この実施の形態によれば,ファン130における当該ファンによる排気力の強い部位F2と弱い部位とを有効に利用した吸気作用により,記録紙Sの表裏両側の排気を良好に行うことが可能となる。
【0031】
以上,本発明の実施の形態について説明したが,本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく,本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態の内部構造を示す概略正面図。
【図2】図1の部分拡大概略図。
【図3】排気ダクトの平面図。
【図4】第2排気ダクトの斜視図。
【図5】ファン(ファンユニット)の斜視図。
【図6】(a)は第1排気ダクトの平面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図。
【図7】第1排気ダクトの平面図。
【符号の説明】
【0033】
S:記録紙,11c:開閉カバー(開閉部材,表面カバー),17:返送路,17a:リブ状紙ガイド,60:定着部,61,62:加熱ローラ,91,92:排出ローラ,110,120:排気ダクト,113:シート部材,114a〜114m:通気口,116a〜116e:仕切板,130:排気ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部材の片側にダクトを一体的に設け,かつ当該ダクトの一面をシート部材で構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトの他面側が紙ガイドを構成していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクトを排気ダクトとして定着部の上方に設け,かつ,前記シート部材を画像形成装置の表面カバーとの間に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−171372(P2006−171372A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363929(P2004−363929)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】