説明

画像形成装置

【課題】 ユーザによって指定された排出トレイを触覚的に認識させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 フィニッシャ6に設けられた複数の排出トレイは、印字された用紙を外部に排出するものであり、排出トレイ指定部41aは、複数の排出トレイの中から用紙を排出する排出トレイを指定し、案内ボタン61は、各排出トレイの近傍に配置され、排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置やプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録用紙を排出する排出トレイを複数有する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、記録用紙を複数の排出トレイのうちのどの排出トレイから出力するかを指定することが可能である。
【特許文献1】特開2001−186306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の排出トレイを有する従来の画像形成装置において、指定した排出トレイを忘れてしまった場合や、視野の狭いユーザ又は視覚の弱いユーザが目的の出力物を取り出そうとした場合に、指定した排出トレイを探す作業に手間がかかるという問題を有している。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、指定された排出トレイを触覚的に認識させることができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、印字された用紙を排出する複数の排出トレイと、前記複数の排出トレイの中から用紙を排出する排出トレイを指定する排出トレイ指定手段と、各排出トレイの近傍に配置され、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内する排出トレイ案内手段とを備える。
【0006】
この構成によれば、印字された用紙を排出する複数の排出トレイの中から用紙を排出する排出トレイが指定される。そして、各排出トレイの近傍に配置される排出トレイ案内手段によって、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内される。したがって、指定された排出トレイを触覚的に認識させることができ、特に、指定した排出トレイを忘れてしまったユーザや、視覚に障害のあるユーザにとっては、用紙が排出された排出トレイの位置を排出トレイ案内手段によって確認することができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0007】
また、上記の画像形成装置において、前記排出トレイ案内手段は、各排出トレイの近傍に配置されたボタンであり、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも突起させることにより排出トレイの位置を案内することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも突起させることにより排出トレイの位置が案内されるので、ユーザは突起したボタンを手で確認することにより、用紙が排出された排出トレイの位置を確認することができる。
【0009】
また、上記の画像形成装置において、前記排出トレイ案内手段は、各排出トレイの近傍に配置されたボタンであり、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも陥没させることにより排出トレイの位置を案内することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも陥没させることにより排出トレイの位置が案内されるので、ユーザは陥没したボタンを手で確認することにより、用紙が排出された排出トレイの位置を確認することができる。
【0011】
また、上記の画像形成装置において、前記ボタンは、ユーザによって押下されると、ボタンの押下面と前記取付面とが同一の面となる位置に復帰することが好ましい。この構成によれば、ボタンが、突起又は陥没した状態からユーザによって押下されると、ボタンの押下面と取付面とが同一の面となる位置に復帰されるので、突起又は陥没したボタンを元の状態に復帰させる機構が不要となり、構成を簡略化することができる。
【0012】
また、上記の画像形成装置において、ユーザを特定する特定情報と、排出トレイの案内を必要とするユーザとを対応付けて記憶する記憶手段と、前記特定情報のユーザによる入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力受付手段によって特定情報の入力が受け付けられると、受け付けられた特定情報に対応するユーザを前記記憶手段より検索し、検索したユーザが排出トレイの案内を必要とするか否かを判断する判断手段とをさらに備え、前記排出トレイ案内手段は、前記判断手段によって排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ユーザを特定する特定情報と、排出トレイの案内を必要とするユーザとが対応付けて記憶手段に記憶されている。そして、特定情報のユーザによる入力が受け付けられると、受け付けられた特定情報に対応するユーザが記憶手段により検索され、検索されたユーザが排出トレイの案内を必要とするか否かが判断される。続いて、排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内される。したがって、排出トレイの案内を必要とするユーザに対してのみ、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内されるので、案内を望まないユーザにとっては、例えばボタンの位置を元に戻すといった煩わしい操作が不要となり、操作性を向上させることができる。
【0014】
また、上記の画像形成装置において、前記排出トレイ案内手段による案内をするか否かを切り替える切替スイッチをさらに備え、前記排出トレイ案内手段は、前記切替スイッチがオンである場合に前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内し、前記切替スイッチがオフの場合に前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内しないことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、切替スイッチによって、排出トレイ案内手段による案内をするか否かが切り替えられる。そして、切替スイッチがオンである場合に排出トレイ指定手段により指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内され、切替スイッチがオフの場合に排出トレイ指定手段により指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内されない。したがって、切替スイッチによって、排出トレイ案内手段による案内をするか否かを切り替えることができ、排出トレイ案内手段による案内を望まないユーザにとっては、例えばボタンの位置を元に戻す操作が不要となり、操作性を向上させることができる。また、切り替えスイッチがオフになっている状態で、排出トレイ案内手段による案内を望むユーザが使用する場合、切り替えスイッチをオンにすることで、簡単に排出トレイ案内手段により案内することができる。
【0016】
また、上記の画像形成装置において、前記排出トレイ案内手段は、複数の排出トレイが配置される方向に対して平行となるように装置表面に形成された溝内に配置されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、複数の排出トレイが配置される方向に対して平行となるように装置表面に形成された溝内に排出トレイ案内手段が配置される。したがって、ユーザはこの溝に沿って手を上下に移動させることにより、排出トレイ案内手段の位置を確認することができる。特に、視覚に障害のあるユーザにとっては、排出トレイ案内手段を容易に探し当てることができ、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、指定された排出トレイを触覚的に認識させることができ、特に、指定した排出トレイを忘れてしまったユーザや、視覚に障害のあるユーザにとっては、用紙が排出された排出トレイの位置を排出トレイ案内手段によって確認することができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものである。複合機1は、記録部100を備えた本体部2と、この本体部2の上部に設置された原稿押えを兼用する原稿送り機構3及び原稿読取部4と、本体部2の下部に設置された給紙部5と、本体部2の一側辺部に設置されたフィニッシャ6とからなる。
【0021】
原稿送り機構3は、原稿載置部301と、搬入ローラ対等を備えた搬入駆動部302と、搬送ローラ対303と、排出ローラ対304と、排紙台305と、原稿の有無を検出する原稿検出スイッチ306とを備え、原稿載置部301に載置された原稿を自動的に一枚ずつコンタクトガラス402に接触させつつ搬送し、原稿の露光走査後に排紙台305に排出するものである。
【0022】
原稿読取部4は、光学的に取得した原稿の画像から画像データを生成するスキャナ部(図略)等からなり、その上面にコンタクトガラス401とコンタクトガラス402とを備える。そして、原稿読取部4は、コンタクトガラス401上に載置された原稿、あるいは原稿送り機構3によってコンタクトガラス402に接するようにして搬送される原稿から得られた画像データをスキャナ部で読み取って、後述する制御部に出力する。
【0023】
複合機1のフロント部には、操作部41が設けられている。この操作部41には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー411と、印刷部数等を入力するためのテンキー412と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部413と、表示部413で設定された設定内容等をリセットするリセットキー414と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー415と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー416が備えられている。
【0024】
給紙部5は、サイズ、縦横向きの種類毎の用紙が収納される給紙カセット501,502及び手差し給紙部503を備える。また、給紙部5は、給紙カセット501,502から記録部100へ用紙を搬送する搬送路504と、手差し給紙部503から記録部100へ用紙を搬送する搬送路505とを備える。各給紙カセット501,502および手差し給紙部503は、収納されている用紙(記録紙)を取り出すためのピックアップローラ506,507,508と、用紙を1枚ずつ搬送路に送り出す給紙ローラ対509,510,511とを備える。
【0025】
搬送路504は、用紙を搬送する搬送ローラ対512,513と、記録部100の手前で搬送されてくる用紙を所定位置に待機させるためのレジストローラ対514とを備える。また、搬送路505は、レジストローラ対514の上流側で搬送路504と合流している。
【0026】
記録部100は、回転可能に支持されたドラム状の感光体101と、この感光体101の周囲に配設された帯電部102と、現像部103と、クリーニング部104と、レーザ走査ユニット105と、転写ローラ106と、定着ローラ対107とを備えている。帯電部102は、感光体101の表面を所定電位に均一に帯電させるものである。レーザ走査ユニット105は、制御部10(図4)から送信された画像データに基づきレーザビームを感光体101の表面に照射し、感光体101表面に静電潜像を形成するものである。
【0027】
また、現像部103は、静電潜像にトナーを付着させて画像を顕在化させるものであり、転写ローラ106は、顕在化したトナー像を用紙に転写するものであり、定着ローラ対107は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。また、クリーニング部104は、画像転写後に感光体101の表面に残留しているトナーを清掃するものである。
【0028】
また、本体部2の上部には、フェイスダウントレイ108が設けられ、定着ローラ対107から搬送されてきた用紙が、排出ローラ対109により搬送され、フェイスダウントレイ108に排出される。また、排出ローラ対110は、定着ローラ対107から搬送されてきた用紙をフィニッシャ6に排出するもので、制御部10からの制御信号に応じて駆動される排出分岐ガイド111により、用紙の排出方向を排出ローラ対109側と排出ローラ対110側とに切り換え可能になっている。
【0029】
また、記録紙の両面に画像を形成する場合は、記録部100で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出ローラ対109にニップされた状態とする。この状態で排出ローラ対109を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って記録部100の上流域に再度搬送し、記録部100により他方の面に画像を形成した後、記録紙をフェイスダウントレイ108に排出、又はフィニッシャ6に搬送する。
【0030】
次に、フィニッシャ6について説明する。フィニッシャ6は、上記本体部2の排出ローラ対110から搬入されてきた用紙に対して、後処理としてパンチ処理やステイプル処理を行うものである。フィニッシャ6には、後処理済みの用紙が排出される複数のビンからなるメールボックス622と、その下に配設されたサブトレイ623と、さらにその下に配設された用紙載置容量の最も大きいメイントレイ624とが備えられている。
【0031】
フィニッシャ6の内部には、ステイプル処理やブック綴じ用の中折処理等を行う中間トレイ650(図1では、構成の詳細を省略して位置のみを示す)が設けられている。上記メールボックス622、サブトレイ623及びメイントレイ624は、この中間トレイでの後処理を終えた後の用紙が排出される。メールボックス622及びサブトレイ623へは、本体部2の排出ローラ対110から搬送されてきた用紙を、中間トレイ650を通さずに排出することも可能である。メイントレイ624には、本体部2の排出ローラ対110から搬送されてきた用紙を、中間トレイ650を通る経路を経なければ排出できないようになっている。また、本体部2上部のフェイスダウントレイ108には、フィニッシャ6を通さずに、記録部100での記録を終えた用紙が排出される。
【0032】
また、フィニッシャ6には、その上面から下面に亘って溝部611が形成されている。溝部611には、複数のメールボックス622(622a,622b,622c,622d,622e)、サブトレイ623及びメイントレイ624のそれぞれに対応する案内ボタン61a,61b,61c,61d,61e,61f,61gが設けられている。なお、メールボックス622(622a,622b,622c,622d,622e)、サブトレイ623及びメイントレイ624を総称して排出トレイとする。また、案内ボタン61a,61b,61c,61d,61e,61f,61gを総称して案内ボタン61とする。さらに、案内ボタン61が排出トレイ案内手段の一例に相当する。
【0033】
図2は、フィニッシャ6に形成される溝部と案内ボタンとを説明するための図であり、図2(a)は、図1に示すフィニッシャ6の上端部分を拡大した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すフィニッシャ6のA−A線断面図である。各案内ボタン61は、各排出トレイの用紙排出口(図示省略)に対して水平方向に配置される。通常、各案内ボタン61a〜61gは、溝部611内におけるボタン取付面612と、ボタンが押下される押下面613とが同一面となる状態で収納されており、対応する排出トレイより用紙が排出されるとボタン取付面612よりも押下面613が突起する。図2(a)及び図2(b)に示すように、ユーザによってメールボックス622aが指定された場合、メールボックス622aに対応付けられている案内ボタン61aがボタン取付面612よりも突起する。そして、突起した案内ボタン61aは、ユーザによって押下されることによって、ボタン取付面612と押下面613とが同一面となる元の位置(図2(b)の案内ボタン61bの位置)に復帰する。
【0034】
このように、案内ボタン61a〜61gは、複数の排出トレイが配置される方向に対して平行となるように装置表面に形成された溝部611内に配置される。したがって、ユーザはこの溝部611に沿って手を上下に移動させることにより、案内ボタン61の位置を確認することができる。特に、視覚に障害のあるユーザにとっては、突起している案内ボタン61を容易に探し当てることができ、操作性を向上させることができる。
【0035】
また、案内ボタン61が、突起した状態からユーザによって押下されると、ボタンの押下面613とボタン取付面612とが同一の面となる位置に復帰されるので、突起した案内ボタン61を元の状態に自動的に復帰させる機構が不要となり、構成を簡略化することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、案内ボタン61を突起させることにより、指定された排出トレイの位置を案内しているが、本発明は特にこれに限定されず、指定された排出トレイの近傍に配置された案内ボタン61をボタン取付面よりも陥没させることにより排出トレイの位置を案内してもよい。
【0037】
図3は、案内ボタンの変形例について説明するための図であり、図3(a)は、図1に示すフィニッシャ6の上端部分を拡大した斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示すフィニッシャ6のB−B線断面図である。各案内ボタン61a〜61gは、溝部611内におけるボタン取付面612と、ボタンが押下される押下面613とが同一面となる状態で収納されており、対応する排出トレイより用紙が排出されるとボタン取付面612よりも押下面613が陥没する。図3(a)及び図3(b)に示すように、ユーザによってメールボックス622aが指定された場合、メールボックス622aに対応付けられている案内ボタン61aがボタン取付面612よりも陥没する。そして、陥没した案内ボタン61aは、ユーザによって押下されることによって、ボタン取付面612と押下面613とが同一面となる元の位置(図3(b)の案内ボタン61bの位置)に復帰する。
【0038】
このように、指定された排出トレイの近傍に配置された案内ボタン61を装置表面よりも陥没させることにより排出トレイの位置が案内されるので、ユーザは陥没した案内ボタン61を手で確認することにより、用紙が排出された排出トレイの位置を確認することができる。すなわち、本発明では、排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイの位置が、凹凸を用いることでユーザの触覚により案内される。
【0039】
また、案内ボタン61が、陥没した状態からユーザによって押下されると、ボタンの押下面613とボタン取付面612とが同一の面となる位置に復帰されるので、陥没した案内ボタン61を元の状態に自動的に復帰させる機構が不要となり、構成を簡略化することができる。
【0040】
なお、案内ボタン61は、突起又は陥没した状態から所定時間経過した後、自動的に元の状態に復帰させてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、複数の排出トレイが一列に配列される方向に対して平行となるように装置表面に溝部611を形成し、当該溝部611内に案内ボタン61を配置しているが、本発明は特にこれに限定されず、溝部611を設けずに、装置表面に案内ボタン61を配置してもよい。さらに、溝部611を設けずに、複数の排出トレイが一列に配列される方向(紙面における上下方向)に対して平行となり、案内ボタン61が配置される装置表面の材質を、装置表面の材質とは異なる材質で形成してもよい。
【0042】
図4は、本実施形態に係る複合機1の概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図4において、図1と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
図4に示す複合機1には、装置全体の動作制御を司る制御部10を備えて構成される。この制御部10には、露光ランプ及びCCD等からなる原稿画像の読み取りが可能なスキャナ部40と、記録部100とが接続されている。また、制御部10には、スキャナ部40で読み取られた文書データが一時的に保存される等の作業領域として使用される画像メモリ71と、大量の文書データを保存可能な記憶容量を有する大容量のHDD(内部記憶装置)72とが接続されている。
【0044】
画像処理部73は、スキャナ部40による原稿読み取り時には、スキャナ部40から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像に変換し、画質を向上させる画像処理を施した後、圧縮画像に変換する。この圧縮画像は画像メモリ71に書き込まれる。制御部10は、画像メモリ71に書き込まれた圧縮画像を、文書管理の対象となるファイルデータとしてHDD72に格納する。また、登録文書のプリントアウト時には、HDD72又はネットワーク上の各コンピュータから、プリントアウト対象のファイルデータ(圧縮画像)が画像メモリ71に書き出され、画像処理部73は、当該圧縮されたファイルデータを伸張処理し、出力状態に応じた画像処理を施し、例えばレーザ露光の場合には、レーザ信号にアナログ変調する。このアナログ変調された信号に基づいて記録部100でプリントアウトが行われる。
【0045】
また、制御部10は、複合機1が実行可能な各機能を制御するスキャナコントローラ、ファクシミリコントローラ、プリンタコントローラ、コピーコントローラ及びネットワークコントローラを備える。
【0046】
スキャナコントローラは、スキャナ部40の動作に必要な各部の動作制御を行うものである。ファクシミリコントローラは、ファクシミリ動作に必要な各部の動作制御を行うものであり、ファクシミリ通信に必要なデータの調整を行うファクシミリ通信部(不図示)を制御する。ファクシミリ通信部には、データ送受信相手である相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)が備えられている。コピーコントローラは、コピー動作に必要な各部の動作制御を行うものである。プリンタコントローラは、プリンタ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。
【0047】
ネットワークコントローラは、本複合機1とネットワーク上のコンピュータ等との間で行われるデータ送受信を制御するものである。ネットワークコントローラは、ネットワークI/F部(不図示)を介して外部とデータを送受信させる。
【0048】
また、操作者から各種の操作指示が入力される操作部41が複合機1に備えられており、この操作部41も制御部10によって制御される。操作部41は、排出トレイ指定部41aと操作キー部41bと表示部41cとを備えて構成される。
【0049】
排出トレイ指定部41aは、印字された記録紙を排出する排出トレイを指定するものである。ユーザは、表示部41cに表示される複数の排出トレイの中から所望の排出トレイを指定することが可能である。本実施形態では、フェイスダウントレイ108、メールボックス622、サブトレイ623及びメイントレイ624のうちのいずれかの排出トレイを指定することができる。操作キー部41bは、操作者によって印刷実行指示が入力されるスタートキーや、印刷部数等を入力するためのテンキー等からなる。表示部41cは、図1に示す表示部413で構成され、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる。また、表示部41cは、ユーザを特定するためのユーザ特定情報の入力を受け付ける。
【0050】
用紙搬送部150は、記録部100の用紙搬送方向下流側の用紙搬送路に設けられた搬送ローラ及びその駆動部等からなり、記録部100で記録が済んだ用紙を上記各トレイに搬送するものである。
【0051】
さらに、制御部10は、ユーザ情報記憶部11、案内判断部12及び案内ボタン制御部13を備えて構成される。
【0052】
ユーザ情報記憶部11は、ユーザを特定するためのユーザ特定情報と、排出トレイの案内を必要とするユーザとを対応付けて記憶する。案内判断部12は、表示部41cによってユーザ特定情報の入力が受け付けられると、受け付けられたユーザ特定情報に対応するユーザをユーザ情報記憶部11より検索し、検索したユーザが排出トレイの案内を必要とするか否かを判断する。
【0053】
案内ボタン制御部13は、案内判断部12によって排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイの近傍に配置された案内ボタン61を装置表面よりも突起させることにより排出トレイの位置を案内する。
【0054】
このように、指定された排出トレイの近傍に配置された案内ボタン61を装置表面よりも突起させることにより排出トレイの位置が案内されるので、ユーザは突起した案内ボタン61を手で確認することにより、用紙が排出された排出トレイの位置を確認することができる。
【0055】
フィニッシャ6は制御部10によって制御される。フィニッシャ6は、案内ボタン61及びフィニッシャ制御部62を備えて構成される。フィニッシャ6では、フィニッシャ制御部62が制御部10から受け取った制御信号に従って、フィニッシャ6の各部の動作を制御する。例えば、フィニッシャ制御部62は、ユーザによって選択されたメールボックス622の各々、サブトレイ623及びメイントレイ624による用紙の排出動作や、ステイプル処理などの後処理動作を制御する。
【0056】
次に、本実施形態における複合機1の動作について説明する。図5は、図4に示す複合機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0057】
まず、ステップS1において、表示部41cは、ユーザを特定するためのユーザ特定情報の入力を受け付ける。例えば、表示部41cのタッチパネル機能を用いてパスワードが入力されることによってユーザ特定情報の入力が受け付けられる。そして、受け付けられたユーザ特定情報と、予め登録されているユーザ特定情報との認証が行われる。
【0058】
次に、ステップS2において、排出トレイ指定部41aは、複数の排出トレイの中から1の排出トレイの指定を受け付ける。例えば、ユーザは、原稿を原稿載置部301に載置し、表示部41cに表示される複数の排出トレイの中から1の排出トレイを選択する。
【0059】
次に、ステップS3において、制御部10は、排出トレイから排出される出力物があるか否かを判断する。すなわち、操作キー部41bのスタートキーがユーザによって押下されると印刷が開始される。ここで、排出トレイから出力される出力物があると判断された場合、すなわちスタートキーがユーザによって押下された場合(ステップS3でYES)、ステップS4の処理に移行する。一方、排出トレイから出力される出力物がないと判断された場合、すなわちスタートキーがユーザによって押下されない場合(ステップS3でNO)、出力物があるまで待機状態となる。
【0060】
排出トレイから出力される出力物があると判断された場合、ステップS4において、フィニッシャ制御部62は、排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイへ印字された記録用紙を排出する。例えば、排出トレイ指定部41aによってメイントレイ624が指定された場合、フィニッシャ制御部62は、メイントレイ624から記録用紙を排出するよう制御する。
【0061】
次に、ステップS5において、案内判断部12は、表示部41cによってユーザ特定情報の入力が受け付けられると、受け付けられたユーザ特定情報に対応するユーザをユーザ情報記憶部11より検索し、検索したユーザが排出トレイの案内を必要とするユーザであるか否かを判断する。ここで、排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合(ステップS5でYES)、ステップS6の処理に移行し、排出トレイの案内を必要としないユーザであると判断された場合(ステップS5でNO)、ステップS8の処理に移行する。
【0062】
排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、ステップS6において、案内ボタン制御部13は、排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイに対応付けられている案内ボタン61を突起させる。例えば、排出トレイ指定部41aによってメイントレイ624が指定された場合、メイントレイ624の近傍に配置されている案内ボタン61gを突起させる。
【0063】
次に、ステップS7において、案内ボタン制御部13は、案内ボタン61の突起が解除されたか否かを判断する。すなわち、ユーザによって案内ボタン61が押し込まれ、案内ボタン61の指で押される面と装置表面とが同一面となることにより案内ボタン61の突起が解除される。ここで、案内ボタン61の突起が解除されたと判断された場合(ステップS7でYES)、ステップS8の処理に移行し、案内ボタン61の突起が解除されていないと判断された場合(ステップS7でNO)、案内ボタン61の突起が解除されるまで待機状態となる。
【0064】
ステップS7において案内ボタン61の突起が解除されたと判断された場合、又はステップS5において排出トレイの案内を必要としないユーザであると判断された場合、ステップS8において、制御部10は、ユーザによる印刷を終了するか否かを判断する。例えば、制御部10は、設定内容をリセットするリセットキー414がユーザにより押下されたか否かを判断する。ここで、印刷を終了すると判断された場合(ステップS8でYES)、ステップS9の処理に移行し、印刷を終了しないと判断された場合(ステップS8でNO)、ステップS2の処理に戻る。
【0065】
印刷を終了すると判断された場合、ステップS9において、制御部10は、設定されたユーザ特定情報をクリアする。なお、本実施形態では、ユーザによるリセットキー414の押下によってユーザ特定情報などをクリアしているが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、所定時間が経過しても入力操作が行われない場合、自動的にユーザ特定情報などをクリアしてもよい(いわゆる、オートクリア機能が実行される)。
【0066】
このように、印字された用紙を排出する複数の排出トレイの中から用紙を排出する排出トレイが指定される。そして、各排出トレイの近傍に配置される案内ボタンによって、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内される。したがって、指定された排出トレイを触覚的に認識させることができ、特に、指定した排出トレイを忘れてしまったユーザや、視覚に障害のあるユーザにとっては、用紙が排出された排出トレイの位置を案内ボタンによって確認することができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0067】
また、ユーザを特定するユーザ特定情報と、排出トレイの案内を必要とするユーザとが対応付けてユーザ情報記憶部11に記憶されている。そして、ユーザ特定情報のユーザによる入力が受け付けられると、受け付けられたユーザ特定情報に対応するユーザがユーザ情報記憶部11により検索され、検索されたユーザが排出トレイの案内を必要とするか否かが判断される。続いて、排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内される。したがって、排出トレイの案内を必要とするユーザに対してのみ、指定された排出トレイの位置がユーザの触覚により案内されるので、案内を望まないユーザにとっては、例えば案内ボタン61の位置を元に戻すといった煩わしい操作が不要となり、操作性を向上させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、ユーザ特定情報の入力を受け付けているが、本発明は特にこれに限定されず、ユーザ特定情報の入力を受け付けなくてもよい。この場合、図5のステップS1及びS5の処理を省略することができる。
【0069】
また、本実施形態において、床面に対して平行となるような板部材を溝部611の下方に配置し、当該板部材の表面に凹凸を形成してもよい。この場合、ユーザは、板部材の位置から溝部611の位置を確認することができる。特に、視覚に障害のあるユーザにとっては、溝部611を容易に探し当てることができ、操作性を向上させることができる。
【0070】
また、フィニッシャ6の下方、好ましくは、溝部611の下方に、案内ボタン61による案内をするか否かを切り替える切替スイッチをさらに設けてもよい。このとき、案内ボタン61は、切替スイッチがオンである場合に排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内し、切替スイッチがオフの場合に排出トレイ指定部41aによって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内しない。例えば、切り替えスイッチとしては、踏み込むことによってオン・オフを切り替えるペダルで構成する。このように、切替スイッチによって、案内ボタン61を装置表面よりも突起させるか否かを切り替えることができ、案内ボタン61の突起を望まないユーザにとっては案内ボタン61を元に戻す作業が不要となり、操作性を向上させることができる。また、切り替えスイッチがオフになっている状態で、案内ボタン61の突起を望むユーザが使用する場合、切り替えスイッチをオンにすることで、簡単に案内ボタン61を突起させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。
【図2】フィニッシャに形成される溝部と案内ボタンとを説明するための図である。
【図3】案内ボタンの変形例について説明するための図である。
【図4】本実施形態に係る複合機の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4に示す複合機の動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 複合機
6 フィニッシャ
10 制御部
11 ユーザ情報記憶部
12 案内判断部
13 案内ボタン制御部
40 スキャナ部
41 操作部
41a 排出トレイ指定部
41b 操作キー部
41c 表示部
61 案内ボタン
62 フィニッシャ制御部
71 画像メモリ
72 HDD
73 画像処理部
100 記録部
150 用紙搬送部
611 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字された用紙を排出する複数の排出トレイと、
前記複数の排出トレイの中から用紙を排出する排出トレイを指定する排出トレイ指定手段と、
各排出トレイの近傍に配置され、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内する排出トレイ案内手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排出トレイ案内手段は、各排出トレイの近傍に配置されたボタンであり、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも突起させることにより排出トレイの位置を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排出トレイ案内手段は、各排出トレイの近傍に配置されたボタンであり、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの近傍に配置されたボタンを、当該ボタンが取り付けられる取付面よりも陥没させることにより排出トレイの位置を案内することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ボタンは、突起又は陥没した状態からユーザによって押下されると、ボタンの押下面と前記取付面とが同一の面となる位置に復帰することを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザを特定する特定情報と、排出トレイの案内を必要とするユーザとを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記特定情報のユーザによる入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段によって特定情報の入力が受け付けられると、受け付けられた特定情報に対応するユーザを前記記憶手段より検索し、検索したユーザが排出トレイの案内を必要とするか否かを判断する判断手段とをさらに備え、
前記排出トレイ案内手段は、前記判断手段によって排出トレイの案内を必要とするユーザであると判断された場合、前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排出トレイ案内手段による案内をするか否かを切り替える切替スイッチをさらに備え、
前記排出トレイ案内手段は、前記切替スイッチがオンである場合に前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内し、前記切替スイッチがオフの場合に前記排出トレイ指定手段によって指定された排出トレイの位置をユーザの触覚により案内しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排出トレイ案内手段は、複数の排出トレイが配置される方向に対して平行となるように装置表面に形成された溝内に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−184558(P2006−184558A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378100(P2004−378100)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】