説明

画像形成装置

【課題】 現像ユニットの接離時の衝撃緩和装置としてカム機構を設置するスペースが設けられなくても、現像ユニット接離時の衝撃を緩和できるので、衝撃音を低減したり、衝撃振動によるショックバンディングを低減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置本体50の開閉可能な外装カバー51に、現像ユニット12の接離時に生じる衝撃を緩和するための衝撃吸収材53を設ける。衝撃吸収材53は、衝撃を受けて除々に縮む特性を有するものがよい。現像ユニット12が感光体ベルト10から離れようとする際に、図示しない離間スプリングの付勢力により現像ユニット12の摺動部12aが画像形成装置本体50側に支持されたガイドレール54上を滑り、ストッパー部54aに当たり、現像ユニット12は停止する。この時、衝撃吸収材53が除々に縮むことで現像ユニット12が減速して停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳細にはその衝撃緩和性を向上させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置本体内で現像ユニットが感光体に対して接離動作を行い、現像ユニットが感光体から離れる方向へ動作をする移動先側に外装カバーを有する画像形成装置では、現像ユニットが感光体に対して接離動作を行う際の衝撃緩和が必要である。現像ユニットが外装カバーに当たることで騒音が生じるなどの問題があるためである。そのため、衝撃緩和用としてカム機構等を設け、衝撃を吸収することが行われてきた。
【0003】
図1は従来の画像形成装置における衝撃緩和機構を示す断面図である。図示の画像形成装置は、一例としてのカラーレーザープリンタである。このカラーレーザープリンタは、感光体部、書込み部、現像部、中間転写部、給紙部、紙転写部、定着部からなる。感光体部には表面に有機感光層を形成した感光体ベルト10が設けてある。感光体ベルト10の周りには帯電器11、複数の現像ユニット12・・・、感光体クリーニング装置13が配置してあり、帯電器11に高電圧を印可することにより感光体ベルト10を一様に帯電させるようになっている。
【0004】
カラー画像情報、例えばコンピュータからのカラー画像信号を光信号に変換し、レーザーにてブラック(Black:以下Bk)、シアン(Cyan:同C)、マゼンタ(Magenta:同M)、イエロー(Yellow:同Y)の画像信号に対応した光書込みを書き込みユニット14を介して行い、感光体ベルト10上に静電潜像を形成する。この静電潜像は、感光体ベルト10の静電潜像と逆の電荷にて帯電させたトナーを有する各色(Bk、C、M、Y)毎に各現像ユニット12によって帯電トナーを静電吸着させることにより現像する。
【0005】
図中15は中間転写ベルトで、中間転写ベルト15と感光体ベルト10の接触部においては、中間転写ベルト15にトナーと逆の電荷を印可することにより中間転写ベルト15上に上記トナー像を転写する。この動作を4回行うことにより、中間転写ベルト15上に4色の重ね画像を形成し、これを搬送ローラ16によって給紙部17から送られてきた転写紙に、トナーと逆の電荷を印可する紙転写ローラ18によって転写する。画像を転写した転写紙は図示を省略した定着器へ搬送し、トナー像を溶融定着させる。
【0006】
複数の現像ユニット12は、画像形成装置本体50に対して独立してそれぞれ着脱自在で、図中20は現像ローラ、21は供給ローラ、22はトナー層規制部材であるドクターローラ、23は第1搬送パドル、24は第2搬送パドル、25は第2搬送パドルである。
【0007】
この現像ユニット12は、第1搬送パドル23から第2搬送パドル25部分にかけてトナーが充填してあり、各搬送パドルが回転することによりトナーを前方、すなわち現像ローラ20側へ送り出す。各搬送パドルはポリプロピレンのような柔らかい材質のもので形成してあり、その弾性を利用して現像ユニット12の内壁と密着し、確実にトナーを搬送するようになっている。
【0008】
搬送されたトナーは、第1搬送パドル23にて発泡ポリウレタンからなる供給ローラ21に搬送し、続いて供給ローラ21から現像ローラ20へ供給する。現像ローラ20に供給されたトナーは、ドクターローラ22で帯電、薄層化し、感光体ベルト10上に形成された静電潜像を現像し、可視化する。
【0009】
現像ユニット12は、その後方にある接離用カム30の回転により感光体ベルト10に対して接触し、図示せぬ離間スプリングにより離間する動作を行うことにより、感光体ベルト10に対して選択的に接触させ得るようになっている。すなわち接離用カム30を含むカム機構は、現像ユニット12の接離時の衝撃を緩和するための手段ともなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のような衝撃緩和機構を採用すると、部品点数が増えて製造コストが上昇してしまうことはもちろん、カム機構を設けるためのスペースが必要になり、画像形成装置としてのサイズが大きくなることを避けられないという問題がある。
【0011】
本発明はこのような従来の問題点にかんがみ、カム機構等を設けなくてもよく、現像ユニット接離時の衝撃を緩和して、衝撃音を低減したり、衝撃振動によるショックバンディングを低減できる画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置のうち請求項1に係るものは、開閉可能な外装カバーに現像ユニット接離時の衝撃を緩和する衝撃吸収材を設けたことを特徴とする。
【0013】
同請求項2に係るものは、画像形成装置本体内で現像ユニットが感光体に対して接離動作を行う画像形成装置であって、前記現像ユニットが前記感光体から離れる方向へ動作をする移動先側に外装カバーを有する画像形成装置において、前記現像ユニットの接離動作時の衝撃を緩和する衝撃吸収材を前記外装カバーの前記画像形成装置本体内側面に設けたことを特徴とする。
【0014】
同請求項3に係るものは、請求項2記載の画像形成装置において、前記外装カバーが開閉可能に前記画像形成装置本体に取り付けてあることを特徴とする。
【0015】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに貼り付ける衝撃吸収材の貼付位置を、前記開閉可能な外装カバーの固定部近傍部位としたたことを特徴とする。
【0016】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに貼り付ける衝撃吸収材を、前記現像ユニットと該現像ユニットによって現像する感光体との隙間を確保可能な大きさに調節したことを特徴とする。
【0017】
同請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに補強部材を固定し、該補強部材に前記衝撃吸収材を貼り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、画像形成装置の衝撃緩和装置においては、現像ユニットの接離時の衝撃緩和装置としてカム機構のスペースが設けられない場合でも、外装カバーに衝撃吸収材を貼り付けるだけで、現像ユニット接離時の衝撃を緩和できるので、衝撃音を低減したり、衝撃振動によるショックバンディングを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図2は本発明の画像形成装置の一実施例における衝撃緩和機構を示す断面図である。図示の画像形成装置は、一例としての図1と同様のカラーレーザープリンタであるが、本発明はこの例の画像形成装置に限定されない。なお、図1に示した従来の例と共通する部分には共通する符号を付すに止め、重複する説明は省略する。
【0021】
本実施例の画像形成装置は、衝撃緩和装置として図示のように、画像形成装置本体50の開閉可能な外装カバー51に、現像ユニット12の接離時に生じる衝撃を緩和するための衝撃吸収材53を設けてある。衝撃吸収材53は、衝撃を受けて除々に縮む特性を有する発泡ポリウレタンなどからなるものであるが、同様の特性を有する素材であれば採用可能である。特に、経年的にへたりにくいものが好ましい。
【0022】
この装置では、現像ユニット12が感光体ベルト10から離れようとする際に、図示せぬ離間スプリングの付勢力により現像ユニット12の摺動部12aが画像形成装置本体50側に支持されたガイドレール54上を滑る。そしてガイドレール54のストッパー部54aに当たり、現像ユニット12は停止する。この時、衝撃吸収材53が除々に縮むことで現像ユニット12が減速して停止する。
【0023】
さらに衝撃吸収材53の厚さ、大きさ等を調整することで、ダンピング力を調整すれば、現像ユニット12と感光体10の必要な隙間も確保することができる。また、外装カバー51に貼り付ける衝撃吸収材53の貼付位置を開閉可能な外装カバー51の固定部近傍51aに設けているため、外装カバー51が逃げることなく衝撃力を吸収できる。そして、現像ユニット12が停止する際の衝撃力低減により、衝撃音と衝撃振動によるショックバンディングを低減することができる。
【実施例2】
【0024】
図3は本発明の画像形成装置の他の実施例における衝撃緩和機構を示す断面図である。この実施例は、外装カバー51に補強部材56を固定し、この補強部材6に衝撃吸収材53を貼り付けている。そのため、外装カバー51の固定部近傍51aから離れた位置にある現像ユニット12(例えば最も下に位置するもの)による衝撃力も、外装カバー51がたわんで逃げることがなく、吸収できる。
【0025】
すなわち本発明の画像形成装置においては、現像ユニットの接離時の衝撃緩和装置としてカム機構を設置するスペースが設けられない場合でも、外装カバーに衝撃吸収材を貼り付けるだけで、現像ユニット接離時の衝撃を緩和できるので、衝撃音を低減したり、衝撃振動によるショックバンディングを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の画像形成装置における衝撃緩和機構を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一実施例における衝撃緩和機構を示す断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の他の実施例における衝撃緩和機構を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 感光体ベルト
11 帯電器
12 現像ユニット
12a 現像ユニットの摺動部
13 感光体クリーニング装置
14 書き込みユニット
15 中間転写ベルト
16 搬送ローラ
17 給紙部
18 紙転写ローラ
20 現像ローラ
21 供給ローラ
22 ドクターローラ
23 第1搬送パドル
24 第2搬送パドル
25 第2搬送パドル
30 接離用カム
50 画像形成装置本体
51 外装カバー
51a 外装カバーの固定部近傍部位
53 衝撃吸収材
54 ガイドレール
54a ガイドレールのストッパー部
56 補強部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な外装カバーに現像ユニット接離時の衝撃を緩和する衝撃吸収材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置本体内で現像ユニットが感光体に対して接離動作を行う画像形成装置であって、前記現像ユニットが前記感光体から離れる方向へ動作をする移動先側に外装カバーを有する画像形成装置において、前記現像ユニットの接離動作時の衝撃を緩和する衝撃吸収材を前記外装カバーの前記画像形成装置本体内側面に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、前記外装カバーが開閉可能に前記画像形成装置本体に取り付けてあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに貼り付ける衝撃吸収材の貼付位置を、前記開閉可能な外装カバーの固定部近傍部位としたたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに貼り付ける衝撃吸収材を、前記現像ユニットと該現像ユニットによって現像する感光体との隙間を確保可能な大きさに調節したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記外装カバーに補強部材を固定し、該補強部材に前記衝撃吸収材を貼り付けたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−208525(P2006−208525A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17817(P2005−17817)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】