説明

画像形成装置

【課題】 ハードディスクなどの節電状態では画像形成装置が使用不可能になることがあった。
【解決手段】 節電状態で使用不能な記憶装置と、節電状態で使用可能な記憶装置、および、ジョブ処理手段を持っている画像形成装置において、使用不能な記憶装置内に格納されている情報を外部に出力するジョブの処理を、節電状態下で処理可能とするために、節電状態に移行する前に、節電状態で使用不能な記憶装置内に格納されている情報を、節電状態下でも使用できる記憶装置にコピーしておき、節電状態を解除することなく処理することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路の消費電力が低減する節電状態に移行が可能で、節電状態で使用できない記憶装置と、節電状態でも使用できる記憶装置を備え、プリンタ、コピー、FAX等の機能を少なくとも1つ備えた画像形成装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子事務機においては、米国のエナジースター規格に代表されるように、消費電力を法規制する動きもあり、低消費電力化が大きな課題となっている。これらの規格においては、特に待機状態での消費電力は厳しく制限されている。待機状態が一定時間経過した場合に節電状態に移行し、動作周波数の低減や、回路の部分的または全体的な電源の切断によって消費電力を抑える。また、できるだけ節電状態を保持するために、節電状態でも処理可能なジョブについては、節電状態でも処理できるような工夫がなされるケースもある。例えば特許文献1に先に述べた従来技術が開示されている。
【特許文献1】特開平08-150764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような工夫がされていても、ハードディスクなどの節電状態では使用不能で、かつ、節電効果が大きい装置がジョブの処理に必要だった場合、節電状態を解除しなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決することを目的としてなされたものであり、上述の課題を解決する一手段として以下の構成を備える。
【0005】
すなわち、節電状態で使用不能な記憶装置と、節電状態で使用可能な記憶装置、および、ジョブ処理手段を持っている画像形成装置において、使用不能な記憶装置内に格納されている情報を外部に出力するジョブの処理を、節電状態下で処理可能とするために、節電状態に移行する前に、節電状態で使用不能な記憶装置内に格納されている情報を、節電状態下でも使用できる記憶装置にコピーしておき、節電状態を解除することなく処理することを可能にする。
【0006】
本発明により、節電状態を解除することなく、処理可能なジョブを増やすことができ、これにより、節電状態を保持する時間を長めることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
以上説明してきたように、本発明により、節電状態下での装置情報の問い合わせなどの短時間で完了する処理の際に、節電状態から完全に復帰せずに応じることができる。これにより、消費電力の節約が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
図lは本発明の実施例の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
リーダ部lは原稿の画像を読み取り、原席画像に応じた画像データをプリンタ部2及び画像入出力制御部3へ出力する。プリンタ部2は、リーダ部lおよび画像入出力制御部3からの画像データに応じた画像を記録紙上に記録する。画像入出力制御部3は、リーダ部lに接続されており、ファクス部4、コンピュータインターフェイス部5、フォーマッタ部6、ハードディスク7、イメージメモリ部8、コア部9などからなる。
【0011】
ファクス部4は、電話回線を介して受信した圧縮画像データを伸長し、この伸長した画像データをコア部9へ転送し、また、コア部9から転送された画像データを圧縮し、この圧縮した圧縮画像データを電話回線を介して送信する。
【0012】
コンピュータインターフェイス部5は、パーソナルコンピュータまたはワークステーション(PC/WS)l0とコア部9の間のインターフェイスである。フォーマッタ部6は、PC/WSl0から転送された画像を表すコードデータをプリンタ部2で記録できる画像データに展開するものである。ハードディスク7は、フォーマッタ部6に接続され、プログラムやデータが格納されている。また、フォーマッタ部6は、展開した画像データ等を一時的に記憶する用途にも使用する。イメージメモリ部9は、PC/WSl0から転送されたデータを一時的に記憶するものである。
【0013】
コア部9はリーダ部l、ファクス部4、コンピュータインターフェイス部5、フォーマッタ部6、イメージメモリ部8のそれぞれの間のデータの流れを制御するものである。
【0014】
図2はリーダ部l及びプリンタ部2の構造を示す断面図である。
【0015】
プリンタ部2のレーザ発光部201は、リーダ部1から出力された画像データに応したレーザ光を発光する。このレーザ光は感光ドラム202に照射され、感光ドラム202にはレーザ光に応じた潜像が形成される。
【0016】
この感光ドラム202の潜像の部分には、現像器203によって現像剤が付着される。そして、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、紙カセット204および紙カセット205のいずれかから記録紙を給紙して転写部206へ搬送し、感光ドラム202に付着された現像剤を記録紙に転写する。現像剤の乗った記録紙は定着部207に搬送され、定着部207の熱と圧力により現像剤は記像紙に定者される。
【0017】
定着部207を通過した記録紙は、排出ローラ208によって排出され、ソータ220は排出された記録紙をそれぞれのビンに収納して記録紙の仕分けを行う。なお、ソータ220は、仕分けが設定されていない場合は最上ビンに記録紙を収納する。また、両面記録が設定されている場合は、排出ローラ208のところまで記録紙を搬送した後、排出ローラ208の回転方向を逆転させ、フラッパ209によって再給紙搬送路へ導く。
【0018】
多重記録が設定されている場合は、記録紙を排出ローラ208まで搬送しないようにフラッパ209によって再給紙搬送路へ導く。再給紙搬送路へ導かれた記録紙は上述したタイミングで転写部206へ給紙される。
【0019】
原稿フィーダー101は、コピーやファクス送信を行う際の紙原稿を1枚づつ原稿台102に給紙する。ユーザーは、原稿フィーダー101を上方に上げて、原稿台102に原稿を置くことも可能である。
【0020】
図3は、リーダ部1の構成を示すプロック図である。CCD109から出力された画像データはA/D・SH部110でアナログ/デジタル変換が行われるとともに、シェーディング補正が行われる。A/D・SH部110によって処理された画像データは、画像処理部111を介してプリンタ部2へ転送されるとともに、インターフェイス部113を介して画像入出力制御部3のコア部10へ転送される。
【0021】
CPU114は、操作部115で設定された設定内容に応じて画像処理部111およびインターフェイス113を制御する。たとえば、操作部115でトリミング処理を行って複写を行う複写モードが設定されている場合は、画像処理部111でトリミング処理を行わせてプリンタ部2へ転送させる。
【0022】
また、操作部115でファクス送信モードが設定されている場合は、インターフェイス113から画像データと設定されたモードに応じた制御コマンドをコア部10へ転送させる。このようなCPU114の制御プログラムは、メモリ116に記憶されており、CPU114は、メモリ116を参照しながら制御を行う。また、メモリ116は、CPU114の作業領域としても使われる。
【0023】
図4はコア部9の構成を示すブロック図である。リーダ部1からの画像データは、データ処理部121へ転送されるとともに、リーダ部1からの制御コマンドは、CPU123へ転送される。データ処理部121は、画像の回転処理や変倍処理などの画像処理を行うものであり、リーダ部1からデータ処理部121へ転送された画像データは、リーダ部1から転送された制御コマンドに応じて、インターフェイス120を介してファクス部4、コンピュータインターフェイス部5へ転送される。
【0024】
また、コンピュータインターフェイス部5を介して入力された画像を表すコードデータは、データ処理部121に転送された後、フォーマッタ部6へ転送され、中間コードと呼ばれる形式にデータを変換し、中間コードからビットマップ形式の画像データに展開され、この画像データはデータ処理部121に転送された後、ファクス部4やプリンタ部2へ転送される。この一連の処理はフォーマッタ部6にあるCPU125が行う。このCPUは、通常よりも低い消費電力で動作可能な機能を内蔵し、ソフトウェア制御によって、低消費電力状態から通常状態へ、および、通常状態から低消費電力状態へ移行可能である。低消費電力状態にあるCPUは、処理速度が低下する代りに、消費電力が低く、結果として発熱も低くなる。
【0025】
ファクス部4からの画像データは、データ処理部121へ転送された後、プリンタ部2、ファイル部5、コンピュータインターフェイス部5へ転送される。
【0026】
また、ファイル部5からの画像データは、データ処理部121へ転送された後、ブリンタ部2、ファクス部4、コンピュータインターフェイス部5へ転送される。CPU123は、メモリ124に記憶されている制御プログラム、およびリーダ部1から転送された制御コマンドに従って、このような制御を行う。
【0027】
また、メモリ124は、CPU123の作業領域としても使われる。このように、コア部10を中心に、原稿画像の読み取り、画像のプリント、画像の送受信、画像の保存、コンピュータからのデータの入出力等の機能を複合させた処理を行うことが可能である。
【0028】
次に、フォーマッタ部6のデータを出力する場合の動作について説明する。
【0029】
まず、フォーマッタ部6がイメージメモリの記憶手段にデータ格納しないで出力を行う場合、フォーマッタ部6は、1ページ目のデータをビットマップデータに展開し、バスを介してプリンタに転送し印刷を行う。同様に、最終ページまで上記動作を繰り返す。
【0030】
また、フォーマッタ部6がイメージメモリ部8の記憶手段にデータ格納し出力を行う場合、フォーマッタ部6は、1ページ目のデータをビットマップデータに展開し、バスを介してイメージメモリ部8に転送する。この際、出力部数、片/両面印刷等の情報をイメージメモリ部8に通知する。
【0031】
イメージメモリ部8は、ジョブごとに指定されているため、フォーマッタ部6から受信したビットマップデータを記憶手段に格納する処理のみを行う。同様に、最終ページまで上記動作を行い、フォーマッタ部6は、最終ページのデータをビットマップデータに展開し、バスを介してイメージメモリ部9に転送する際に、ジョブの最終ページであることを通知する。
【0032】
イメージメモリ部8は、フォーマッタ部6から受信したビットマップデータを記憶手段に格納し、最終ページであるため、それぞれのページのビットマップデータをプリンタに転送し印刷を行う。
【0033】
次に、フォーマッタ部6に接続されたハードディスク7について説明する。ハードディスク7は、フォーマッタ部6における処理に必要なプログラム、データがあらかじめ記憶されており、これらは、初期化時やジョブの処理に応じて読み出される。また、コンピューター・インターフェース部5で受信したジョブデータの一時格納や、画像展開時の一時データの格納、画像展開後に生成される画像の格納に使用される。
【0034】
次に、以上のような構成の画像処理装置における本発明の第1実施例による動作について説明する。
【0035】
この第1実施例では、コンピューター・インターフェース部5からのプリントジョブログの問い合わせに対して、フォーマッタ部6が応じ、節電状態への移行前に、ハードディスク7に格納されているジョブログ情報をメモリー126にコピーし、節電状態下でのジョブログの問い合わせの際に、ハードディスク7を起動することなしに、メモリ126から情報を読み取り情報を返送する例について説明する。
【0036】
図5は、第1実施例における処理の流れを示すフローチャートである。図5のS501では、装置は初期化を行う。このとき、装置は非節電状態であり、ジョブログは処理したプリントジョブの内容および処理結果を記録しているもので、情報はハードディスク7に格納され、フォーマッタ部6がプリントジョブの処理をする度に更新される。S502においてフォーマッタ部6は、コア部9からの節電状態への移行要求があるかどうかを調べる。節電状態への移行要求があった場合、S503において、ハードディスク7に格納してあるジョブログの情報をメモリ126にコピーし、その後、S504においてフォーマッタ部6は節電状態に移行する。フォーマッタ部6の節電状態では、ハードディスク7を停止する。ハードディスク7は、節電状態を解除しない限り使用できない。CPU125およびメモリ126は節電状態でも動作可能である。S505において、印刷ジョブの要求があるかどうかをコア部9に問い合わせ、もしプリントジョブの要求があった場合は、節電状態では処理できないので、S508においてフォーマッタ部6を節電状態から復帰させる。もしS505においてプリントジョブの要求が無かった場合は、S506において、ジョブログの問い合わせがあるかどうかをコア部9に問い合わせる。もし、ジョブログの問い合わせがなければ、ふたたびS505から処理を繰り返す。もしジョブログの問い合わせがあれば、S507においてメモリ126に格納しているジョブログ情報をコア部9に送る。このときハードディスク7は節電状態のままである。その後、再びS505から処理を繰り返す。
【0037】
本実施例では、HDDの例を説明したが、他の節電状態を持つ記憶装置にも応用可能であることは自明である。
【0038】
尚、本発明の目的は、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0039】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0040】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0041】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例の画像処理装置のブロック図である。
【図2】リーダ部及びプリンタ部の断面図である。
【図3】リーダ部のブロック図である。
【図4】コア部のブロック図である。
【図5】実施例1の流れを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路の消費電力が通常よりも低い節電状態に移行するための条件を判断する節電状態移行判断手段と、節電状態に移行するための節電状態移行手段と、節電状態と通常状態とを切替可能とする状態切替手段と、外部からのジョブの受信手段と、節電状態下で前記受信手段で受信したジョブの内容から節電状態から復帰するかどうかを判断する復帰判断手段と、を有し、節電状態下において、前記ジョブ検知手段によって、ジョブの到着があったことを検知した場合に、前記復帰判断手段によって節電状態から復帰するかどうかを判断し、復帰する場合に、前記状態切替手段によって、回路を節電状態から通常状態に切替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、節電状態でもジョブの内容によっては可能なジョブ処理手段を有し、到着したジョブが、前記復帰判断手段によって復帰する必要がないと判断した場合に、節電状態を維持しながらジョブを処理することが可能な画像形成装置。
【請求項3】
請求項2において、節電状態では使用できない第1の記憶手段と、節電状態でも使用可能な第2の記憶手段とを有し、前記第1の記憶手段と前記ジョブ処理手段によって処理可能なジョブを節電状態下で処理可能にするために、前記節電状態移行判断手段で節電状態移行すると判断した際に、前記第1の記憶手段に格納されている情報を、前記第2の記憶手段にコピーし、節電状態下で前記2の記憶手段と前記ジョブ処理手段によって処理可能であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27102(P2006−27102A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209952(P2004−209952)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】