説明

画像形成装置

【課題】 排紙トレー上に排出された排出紙を効率よく除電することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 排紙トレー16の排出面に対向するようにマイナスイオン発生源21と電位センサ22が設けられており、電位センサ22の出力に応じてマイナスイオン発生装置21を制御する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームプリンタ、デジタル複写機、普通紙ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置の構成として、図6のモノクロプリンタを例に挙げて画像形成プロセスを説明する。まず、ドラム状の感光体1は、図示しない駆動装置によって反時計方向に回転駆動され、帯電ローラ2によって感光体1表面が所定の極性に均一に帯電される。感光体1に対向して転写ベルト3が配置され、この転写ベルト3は、駆動ローラ4と従動ローラ5間に張架されて時計方向に回転駆動される。
感光体1上の帯電面にレーザ書き込みユニット6から、図示しないPCより受け取った作像情報を元に光変調されたレーザビームLが照射される。これによって感光体1上に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置7によってトナー像として可視像化される。
一方、給紙部8から搬送ローラ9により転写材Pが搬送される。その転写材Pが矢印Aで示すように、感光体1と転写ベルト3との間に送り込まれ、転写ベルト3に担持されて搬送される。
転写ベルト3を挟んで、感光体1に対向する位置には転写ローラ10が配置され、その転写ローラ10に対し、感光体1上のトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって感光体1上のトナー像が転写材P上に転写される。転写材Pに転写されず、感光体1上に残された転写残トナーは、クリーニング装置11によって除去される。
次に定着手段について説明する。定着ローラ12と加圧ローラ13は、それぞれ図示していない駆動装置によって回転駆動される。定着ローラ12内に加熱源としてヒータ14が配置され、定着ローラ12表面には温度検知手段としてサーミスタ15が配置されている。
このサーミスタ15により、定着ローラ12表面の温度を検知し、図示していない温度制御回路によってヒータ14をオン、オフ制御し、定着ローラ12の表面温度をトナー像の定着に適した所定の範囲に維持する。未定着トナー画像は、加熱された定着ローラ12及び加圧ローラ13で形成された定着ニップにより転写材P上に定着されて、排紙トレー16上に搬送・排出される。
感光体1、現像装置7、転写ローラ10、定着手段は、画像形成部を構成しており、これらは制御手段(CPU)によって制御される。
この場合、排紙トレー16上に排出された転写材P(排出紙)同士の摩擦帯電や搬送ローラ9による摩擦帯電、熱定着後の高温状態や排紙トレー16周辺の樹脂の帯電等の要因により、最終的に排紙トレー16上の転写材Pの電位的が0になっていることは保証されない。そのため、排出紙が帯電していた場合、ユーザが取り出す際に紙同士の貼り付きや静電気による違和感や不快感を受けることになる。
特許文献1には、イオン風により排出紙の除電を行う画像形成装置が提案されている。
また、特許文献2では、固体高分子電解膜を用いて排出紙を加湿することが可能な画像形成装置が提案されている。
また、特許文献3では、外枠カバーの内部にマイナスイオン発生装置を配置し、外枠カバーの外部にマイナスイオンを送風して散布する画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開昭61−243745号公報
【特許文献2】特開2004−163483公報
【特許文献3】特開2004−233618公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開昭61−243745号公報では、イオン風により排出紙の除電を行う画像形成装置が開示されているが、この場合は有害なオゾンが発生するという問題があった。
また、特開2004−163483公報では、固体高分子電解膜を用いて排出紙を加湿することが可能な画像形成装置が提案されている。この場合、加湿により排出紙の抵抗が低下するため除電の効果もある。しかし、レーザプリンタや複写機では、熱定着時に紙の離型性を確保するために定着オイルとしてシリコーンオイルが用いられている機種も有り、その場合、排出紙はシリコーンオイルを吸収しているため加湿されず、従って除電の効果もない。
また、特開2004−233618公報記載の技術は、マイナスイオンにより、エアコンディショナーのように画像形成装置周辺の作業環境を良好に保つことを目的としているが、排出紙にマイナスイオンが散布されることにより除電することは可能である。しかしながら、供給されるマイナスイオン量を調節する手段が無いため、排出紙の種類(OHPシートや紙厚等)や周辺環境(気温や湿度等)にフレキシブルに対応することができず、完全に排出紙を除電することができない。
そこで、本発明は、排紙トレー上に排出された排出紙を効率よく除電することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、転写材に画像形成を施す画像形成部と、画像形成部から排出された転写材を積載する排紙トレーと、を備えた画像形成装置において、前記排紙トレーの排出面に対向するようにマイナスイオン発生装置と電位センサが設けられており、電位センサの出力に応じてマイナスイオン発生装置を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記マイナスイオン発生装置は、トルマリンもしくは電気石もしくは松鉱石をマイナスイオン発生源として用いることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記マイナスイオン発生装置は、光源からの光を前記マイナスイオン発生源に照射することによりマイナスイオンを発生することを特徴とする。
請求項4の発明では、マイナスイオン発生装置近傍に送風装置が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項5の発明では、排紙トレー近傍に人感センサが設けられており、人感センサの反応に応じてマイナスイオン発生装置及び送風装置を制御する請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、排紙トレーの排出面に対向するようにマイナスイオン発生装置及び電位センサを設けて、電位センサで排出紙及び排紙トレー周辺の電位を計測し、その電位に応じてマイナスイオン発生装置を制御することにより発生するマイナスイオンの量を増減させて、フレキシブルに排紙トレー周辺及び排出紙の除電を行うため、排出紙の種類(OHPシートや紙厚等)や周辺環境(気温や湿度等)に関わりなく、排紙トレー周辺及び排出紙を完全に除電することができるので、排出紙の取り出しが容易になる。
また、マイナスイオン装置を光源により駆動しているため、定着装置などの熱を利用する場合等に比べ、迅速かつ省エネルギでマイナスイオン装置を制御することができる。
また、マイナスイオン発生装置により発生したマイナスイオンを、送風ファン等の送風装置により排紙トレー周辺及び排紙上へ吹き付けることで、更に短期間で排紙トレー周辺及び排出紙を除電することができる。
また、人感センサによりユーザが排出紙を取り出そうとするタイミングを監視し、取り出そうとした場合は送風を弱くする等の制御を行うことにより、排出紙の取り出し易さを確保しつつ完全に排紙トレー及び排出紙を除電することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお図6に示す従来例と同一個所には同一符号を付して重複する説明は省略する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。本画像形成装置は、排紙トレー16の上方に排出面に対向するようにトルマリン板(マイナスイオン発生源)21と電位センサ22を配置し、トルマリン板21の上方に点光源23及び送風ファン24を配置している。これらはケーシングCによって内包、或いは支持されている。これらはマイナスイオン発生装置を構成している。
本発明の特徴的な構成は、転写材に画像形成を施す画像形成部と、画像形成部から排出された転写材を積載する排紙トレー16と、を備えた画像形成装置において、排紙トレーの排出面に対向するようにマイナスイオン発生源21と電位センサ22が設けられており、電位センサ22の出力に応じてマイナスイオン発生装置を制御する制御手段を備えた点にある。
マイナスイオン発生装置は、光源23からの光をマイナスイオン発生源21に照射することによりマイナスイオンを発生する。
図2は第1の実施形態に係る画像形成装置の動作フローチャートである。排紙トレー16上の排出紙及び排紙トレー16周辺の電位を電位センサ22により計測し、その計測結果に応じて図示しない制御装置によって点光源23の点灯を制御する。具体的には、排紙トレー16上の排出紙及び排紙トレー16周辺の電位が0以上であれば(S1でY)、点光源23を点灯する(S2)。そうでなければ(S1でN)、点光源23を消灯する(S3)。
点光源23が点灯するとトルマリン板21からマイナスイオンが発生し、マイナスイオンが送風ファン24により排紙トレー16周辺及び排出された転写材Pに運ばれることにより、転写材Pは除電される。
ここでマイナスイオン発生源21としてトルマリン板を用いたが、トルマリン板の代わりに、同様にマイナスイオンを発生させる物質として知られている電気石または松鉱石を用いてもよい。
【0007】
図3は本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の構成図(正面図)である。図4は第2の実施形態に係る画像形成装置における排紙トレー部近傍の上面図である。第2の実施形態に係る画像形成装置は、図3、図4に示すように、排紙トレー16の近傍に人感センサ25が配置されている。
図5は第2の実施形態に係る画像形成装置の動作フローチャートである。人間が排出紙(転写材)Pを排紙トレー16より取り出そうとして手Qを排紙トレー16へ伸ばしたのを人感センサ25が検知した場合(S1でY)、図に記載しない制御装置によって送風ファン24を停止する(S2)。あるいは送風ファンの風力を弱くする。これによって排出紙Pの取り出しが容易になる。
人感センサ25としては、赤外線や超音波を用いたものが一般的であるが、排出された転写材Pを取ろうとする人間の手が検知できるセンサなら何でも良い。また、人感センサ25は排紙トレーを囲うように一つもしくは複数設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作フローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の構成図(正面図)である。
【図4】第2の実施形態に係る画像形成装置における排紙トレー部近傍の上面図である。
【図5】第2の実施形態に係る画像形成装置の動作フローチャートである。
【図6】一般的な画像形成装置の構成図である。
【符号の説明】
【0009】
16 排紙トレー
21 トルマリン板(マイナスイオン発生源)
22 電位センサ
23 点光源(光源)
24 送風ファン(送風装置)
25 人感センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材に画像形成を施す画像形成部と、画像形成部から排出された転写材を積載する排紙トレーと、を備えた画像形成装置において、
前記排紙トレーの排出面に対向するようにマイナスイオン発生装置と電位センサが設けられており、電位センサの出力に応じてマイナスイオン発生装置を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記マイナスイオン発生装置は、トルマリンもしくは電気石もしくは松鉱石をマイナスイオン発生源として用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記マイナスイオン発生装置は、光源からの光を前記マイナスイオン発生源に照射することによりマイナスイオンを発生することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記マイナスイオン発生装置近傍に送風装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排紙トレー近傍に人感センサが設けられており、前記制御手段は、該人感センサの反応に応じてマイナスイオン発生装置及び送風装置を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−343491(P2006−343491A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168279(P2005−168279)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】