説明

画像形成装置

【課題】未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止することができ、高品質画像の形成を行う画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置は、記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成手段を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、前記画像形成手段が前記記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)、かつ、複数の加熱源が同一画素を書き込むことが可能なようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、光(又は熱)書き込みによって潜像を形成するための画像記録体へ潜像の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例を説明するための要部構成図で、図中、1は加熱源(好ましくは、波長が約300nm〜1300nmの光源)で、例えば、LEDアレイ,半導体レーザ,個体レーザ等のいずれでもよい。2は記録体ローラ、3はインキングユニット、4は中間転写ローラ、5は記録紙、6は加圧ローラ、7は赤外線ヒータ、8はクリーニングユニット、9は液層形成ローラ、10は画像記録体で、該記録体10は、記録層に加熱状態で液体と接触させたときに後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱したときに後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体である。
【0003】
記録体10の表面を親液性に処理する際に、記録体10の表面を加熱する前に液層を形成するが、又は加熱中に記録体の表面に液を接触させるか、又は加熱直後に記録体の表面に液を接触させるが、この液層の形成は、図1に示すように、液層形成ローラ9を用いて記録体10上に液層を形成してもよいが、この液層形成ローラ9は必ずしも必要なものではなく、例えば、記録体10を記録体ローラ2から取り外して或いは記録体ローラごと液層の中へ浸してもよく、或いは、クリーニングユニット8を用いて記録体10の表面に液層を形成するようにしてもよい。
【0004】
上述のごとくして記録体10の表面を親液性にした後、画像書き込みを行うが、この画像書き込みは、インキングユニット3,中間転写ローラ4,クリーニングユニット8等を記録体10から離した状態で、加熱源1を走査して画像を書き込む。走査方法としては、記録体ローラ2を回転しながら、リニアモータ等で主走査方向に加熱手段1を移動させながら書き込む方法、或いは、ポリゴンミラーやガルバノミラーによるラスター走査などが適用できる。
【0005】
次いで、記録体10上に画像を形成するが、この画像形成時は、中間転写ローラ4、インキングユニット3を記録体10に圧接した状態で記録紙5を送る。インキングユニット3としては、ブレード3b等によりインク層厚みが制御された複数のインキングローラを用いる。インクの補給はブレード3bの上部からインク補給タンク3aよりインクを落下させて補給する。
【0006】
所望枚数印刷後、記録体10上に新たに別画像を形成して、該記録体10を再使用するが、その時、つまり、印時終了後、中間転写ローラ4及びインキングローラ3を記録体10より離し、クリーニングユニット8を記録体10に圧接し、記録体10上に残存しているインクを除去する。記録体10上のインクを除去後、記録体表面に液層を形成した後、赤外線ヒータ7にて記録体10を加熱し、前画像の潜像を消去するとともに、記録体10の表面を親液処理する。ただし、記録体10の表面の親液処理方法は、上述した方法以外にも、記録体表面に液を接触させた状態で加熱したり、又は、記録体表面を加熱した直後に、記録体表面に液を接触させても良い。換言すれば、記録体10は上述のごとくして、所定枚数の記録紙5上に印刷を行った後、該記録体10上に残存しているインクを除去し、かつ、該記録体10上に形成された潜像(撥液領域)を消去し、かつ、該記録体10の表面を親液処理することにより、該記録体10上に新たな画像(潜像)を形成して再度使用することが可能である。すなわち、記録体10上に残存しているインクをクリーニングユニット8で除去し、液層形成ローラ9にて該記録体表面に液層を形成し、該記録体10表面を赤外線ヒータ7により加熱すると、該記録体10は親液処理が施された状態となり、再度使用可能となる。クリーニングユニット8としては、クリーニング液供給タンク8aからウエス8bにクリーニング液を染み込ませ、このクリーニング液が染み込んだウエス8bを記録体10に圧接して該記録体10の表面を洗浄する。
【0007】
画像の書き込みには、ネガ書き込みとポジ書き込みがあり、ネガ書き込みは、記録体10を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、もしくは、該記録体10の表面を加熱した直後に、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の画像領域の後退接触角を低下させて親液処理をした後、該接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、該非画像領域の後退接触角を上昇させて撥液処理をする。一方、ポジ書き込みは、記録体10を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で、画像領域のみ選択的に加熱するか、もしくは、該記録体の表面を選択的に加熱した直後に、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と選択的に接触させることにより、画像領域に親液処理をする。
【0008】
本発明が適用される画像形成装置は、上述のように、記録体10上に、画像情報に応じた親液処理を施して、該親液処理を施した部分にインクを付着させ、この記録体10上に付着したインクを中間転写ローラ4を介して、或いは、直接記録紙5に転写,印刷するものである。
【0009】
記録体10は、上述のごとくして、所定枚数の記録紙5上に印刷を行った後、該記録体10上に形成された潜像(親液領域)を消去し、かつ、該記録体10上に残存しているインクを除去することにより、該記録体10上に新たな画像(潜像)を形成して再度使用することが可能である。すなわち、記録体10上に残存しているインクをクリーニングユニット8或いはその他の手段で除去し、その後、液体の不存在下で、該記録体10を赤外線ヒータ7により加熱すると、該記録体10は撥液処理が施された状態となり、再使用可能となる。
【特許文献1】特開平3−178478号公報
【特許文献2】特開平8−276663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、感熱濡れ性変化材料を用いた記録方法が、また、特許文献2には、ネガ書き込みによる記録方法が記載されている。しかし、上記特許文献1に記載された発明は、サーマルヘッドによる記録が主体で、サーマルヘッドと記録体との接触による記録のため、記録層が機械的に破壊する恐れがある。また、前記特許文献2に記載のネガ書き込みの方法では、光源が連続発振するため、光−熱変換効率が高いといえず、書き込みに時間がかかることや、レーザ光源として高価な装置が必要である等の問題がある。
【0011】
また、前記特許文献2に記載のネガ書き込みの方法では、光源が連続発振するため、寿命がポジ書き込みに比べて短くなる欠点がある。
【0012】
また、前記記録体に光熱変換層を含む場合、例えば、レーザ光を用いて書き込む場合、記録層11の表面から入射した光が記録層11及び光熱変換層12を通過して基体13の表面で反射される際に正反射成分が強くて、光熱変換層12と記録層11の境界面あるいは記録層11の表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0013】
また、一旦使用した記録体を再度使用するには、前回使用後に該記録体上に残存しているインクをきれいに除去しないと、該残存インクによって記録紙が汚れ、きれいな印刷ができない。
【0014】
また、記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)、これらによってネガ書き込みを行う場合、加熱源の1つでも破損すると、未加熱の非画像領域が生じ、筋状の地汚れが生じる。
【0015】
更に、ネガ書き込みによる記録を行う場合、ネガ書き込み時における記録体及び/又は画像形成手段の加熱,蓄熱にバラツキがあると、この加熱,蓄熱のバラツキによって画像が低下する。
【0016】
更には、書き込みを回転多面鏡を介して行う場合に、記録体の感度が低いと、回転多面鏡を低速回転しなければならないが、低速回転にすると、回転による慣性作用が働かないため、回転速度が不安定となり、これが光熱変換のムラとなり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラとなって現れる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成手段を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、前記画像形成手段が前記記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)、かつ、複数の加熱源が同一画素を書き込むことが可能であることを特徴としたものである。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、常に加熱状態となる不良加熱源が発生し、かつ、該加熱源が余白領域に位置する場合は、該加熱源が書き込むこととなる領域に対して他の加熱源による補正を行わないことを特徴とし、もって、書き込み補正に関わる手間を低減し、制御プログラムの容量を小さくするようにしたものである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定印字量毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動させることを特徴とし、もって、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制するようにしたものである。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定期間毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動させることを特徴とし、もって、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制するようにしたものである。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、画像領域加熱手段と余白領域加熱手段とを有することを特徴とし、もって、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制するようにしたものである。
【0022】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記余白領域加熱手段に画領域加熱手段よりも低解像度のマルチヘッドを用いることを特徴とし、もって、余白の加熱時間を短縮することにより、画像形成時間を短縮するようにしたものである。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、マルチヘッドの各加熱源の抵抗値及び/又は該加熱源と直列に接続した抵抗体両端の電圧を検出し、該検出電圧を規定電圧と比較することにより不良加熱源の有無を調べるようにしたことを特徴とし、もって、不良加熱源が発生することにより、未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止するようにしたものである。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させた(親液処理)後、全体を親液性にし、その後、記録を行わない部分のみ撥液性にする液体及び/または固体の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、記録を行わない領域のみ撥液性にする画像形成手段であることを特徴とし、もって、ネガ書き込み手段を明確にしたものである。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの発明において、前記画像形成手段を各記録インクの色に対応させて複数有することを特徴とし、もって、高品質の多色画像を形成可能としたものである。
【0026】
請求項10の発明は、記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成手段を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、前記画像形成手段が書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とし、もって、加熱温度を調整し、加熱むらを防止するようにしたものである。
【0027】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記画像形成手段は、前記記録体の温度情報に応じて書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とし、もって、記録体のベース温度を元に最適な加熱量を供給して、高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0028】
請求項12の発明は、請求項10又は11の発明において、前記画像形成手段は、これから加熱を行う画素(注目画素)に隣接した画素で、かつ、該注目画素と同時か又は以前に書き込む画素の加熱情報に応じて書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とし、もって、隣接画素の加熱状態に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0029】
請求項13の発明は、請求項10乃至12のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、注目画素に対して、主走査方向が同一又は近傍である過去複数ラインの加熱履歴に応じて、書き込み加熱量を変えることを特徴とし、もって、過去複数ラインの加熱履歴に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0030】
請求項14の発明は、請求項10乃至13のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、前記記録体に対する加熱源を複数有するマルチヘッドからなり、該マルチヘッドからの加熱量を、同時に駆動する加熱源の数量に応じて変えることを特徴とし、もって、同時に駆動する数量により生じる加熱量バラツキを抑え、高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0031】
請求項15の発明は、請求項10乃至14のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、副走査方向に少なくとも1ライン以上おきに書き込みを行うことを特徴とし、もって、書き込み時の蓄熱を防止し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0032】
請求16の発明は、請求項10乃至15のいずれかの発明において、画前記画像形成手段は、画像情報に応じて書き込み速度を変化させることを特徴とし、もって、画像情報に応じて異なる書き込み時の蓄熱量バラツキを抑え、高品質画像を形成するようにしたものである。
【0033】
請求項17の発明は、請求項10乃至16のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、記録体の上昇温度に応じて書き込み速度を変化させることを特徴とし、もって、書き込み時における記録体の温度上昇を低減し、高品質画像を形成するようにしたものである。
【0034】
請求項18の発明は、請求項10乃至17のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、書き込み開始時の加熱量を増して画像形成を行うことを特徴とし、もって、記録体温度が安定する前の加熱量不足を防止し、高品質画像を形成するようにしたものである。
【0035】
請求項19の発明は、請求項10乃至18のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、マルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素を少なくとも1画素以上おきに書き込みを行うことを特徴とし、もって、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0036】
請求項20の発明は、請求項10乃至19のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、1画素以上おきに加熱源が形成されたマルチヘッドであることを特徴とし、もって、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0037】
請求項21の発明は、請求項10乃至20のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、マルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素の少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い、かつ、スパイラル状に書き込みを行うことを特徴とし、もって、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0038】
請求項22の発明は、請求項10乃至21のいずれかの発明において、前記画像形成手段にマルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素の少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い、最終ラインを書き終えた後に前記画像形成手段又は記録体を主走査方向に移動して画像形成を継続することを特徴とし、もって、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0039】
請求項23の発明は、請求項10乃至22のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させて(親液処理)、全体を親液性にた後、液体及び/または固体該接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、記録を行わない領域のみ撥液性にする画像形成手段であることを特徴とし、もって、ネガ書き込みの手段を明確にしたものである。
【0040】
請求項24の発明は、請求項10乃至23のいずれかの画像形成装置を各記録インクの色に対応して複数有することを特徴とし、もって、多色の高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0041】
請求項25の発明は、画像情報に応じて発光制御されるレーザ光源と、該レーザ光源からのレーザ光を走査させるための回転多面鏡と、該回転多面鏡を回転させるためのモータと、前記回転多面鏡によって反射されたレーザ光が照射される記録体とから成り、該記録体上に前記レーザ光の照射により画像情報に応じた潜像を形成する画像形成装置において、前記記録体は、該記録体に照射された前記レーザ光を熱に変換する光熱変換材を有する低感度記録媒体であり、前記回転多面鏡は減速機構を介して、前記モータにより回転されることを特徴とし、もって、モータを安定回転領域の高回転で回転させておき、減速手段を用いて回転多面鏡を低速で安定回転させ、これにより、低速での多面鏡の回転を安定化し、レーザビームの走査速度、走査時間を一定とし、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等の少ない安価な光走査装置を得るようにしたものである。
【0042】
請求項26の発明は、請求項25の発明において、前記モータ又は回転多面鏡の回転軸に、前記回転多面鏡と同等又はそれ以上の質量を有する円盤状質量体を有することを特徴とし、これにより、低速での多面鏡の回転を安定にし、レーザビームの走査速度、走査時間を一定とし、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等のない光走査装置を得るようにしたものである。
【発明の効果】
【0043】
請求項1の発明は、記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成装置を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、該画像形成手段が前記記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)、かつ、複数の加熱源が同一画素を書き込むことが可能であるので、不良加熱源が発生することにより、未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止することができる。
【0044】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、常に加熱状態となる不良加熱源が発生し、かつ、該加熱源が余白領域に位置する場合は、該加熱源が書き込むこととなる領域に対して他の加熱源による補正を行わないようにしたので、書き込み補正に関わる手間を低減し、制御プログラム容量を小さくすることができる。
【0045】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定印字量毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動する機能を持つようにしたので、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制することができる。
【0046】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定期間毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動する機能を持つようにしたので、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制することができる。
【0047】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、画像領域加熱手段と余白領域加熱手段とを有するので、使用回数過多により生じる不良加熱を抑制することができる。
【0048】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記余白領域加熱手段に画像領域加熱手段よりも低解像度のマルチヘッドを用いるようにしたので、余白の加熱時間を短縮することにより、画像形成時間を短縮することができる。
【0049】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、マルチヘッドの各加熱源の抵抗値及び/又は該加熱源と直列に接続した抵抗体両端の電圧を検出、該検出電圧を規定電圧と比較することにより不良加熱源の有無を調べる機能を有するので、不良加熱源が発生することにより、未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止することができる。
【0050】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかの発明において、前記画像形成手段は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させて(親液処理)、全体を親液性にした後、液体及び/または固体の接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、記録を行わない領域のみ撥液性にする画像形成手段であるようにしたので、ネガ書き込み方法を明確にすることができる。
【0051】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、前記画像形成手段を複数有するので、高品質の多色画像を形成するようにすることができる。
【0052】
請求項10の発明によると、加熱温度を調整し、加熱むらを防止することができる。
請求項11の発明によると、記録体のベース温度を元に最適な加熱量を供給して、高品質画像の形成を行うことができる。
請求項12の発明によると、隣接画素の加熱状態に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画素の形成を行うことができる。
請求項13の発明によると、過去複数ラインの加熱履歴に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画素の形成を行うことができる。
請求項14の発明によると、同時に駆動する数量により生じる加熱量のバラツキを抑え、高品質画素の形成を行うことができる。
請求項15の発明によると、書き込み時の蓄熱を防止し、加熱むらを抑えて高品質画素の形成を行うことができる。
請求項16の発明によると、画像情報に応じて異なる書き込み時の蓄熱量バラツキを抑え、高品質画素を形成することができる。
請求項17の発明によると、書き込み時における記録体の温度上昇を低減し、高品質画素を形成することができる。
請求項18の発明によると、記録体温度が安定する前の加熱量不足を防止し、高品質画像を形成することができる。
請求項19乃至22の発明によると、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うことができる。
請求項23の発明によると、ネガ書き込みを確実に行うことができる。
請求項24の発明によると、多色の高品質画像の形成を行うことができる。
【0053】
請求項25の発明によると、低速での多面鏡の回転が安定化し、レーザビームの走査速度、走査時間が一定となり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等の少ない安価な光走査装置を得ることができる。
請求項26の発明によると、低速での多面鏡の回転を安定にし、レーザビームの走査速度、走査時間を一定とし、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等のない光走査装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図2は、記録体10の要部断面構成図で、記録体10の表面は、該表面に液層を形成することにより光(電磁波)波長に対して吸収を示す。図2(A)は、記録体10の基板11上の光(電磁波)吸収部材を記録層12自身で構成した場合の例、図2(B)は、光(電磁波)吸収部材を記録層中に設け、光吸収部材含有記録層13とした場合の例、図2(C)は光(電磁波)吸収部材15を記録層14と基板11の中間に設けた場合の例を示す。記録層中に含有する光(電磁波)吸収部材の具体例は、表1,表2に示す通りである。光吸収部材としては、顔料,染料いずれでも良い。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
光(電磁波)発生源1としては、YAGなどの固体レーザ、半導体レーザやLEDアレイが適当である。光(電磁波)の記録面への走査方法としては、ポリゴンミラーやガルバノミラーによるラスター走査や、記録体を回転させながら走査する方法が適当である。光(電磁波)の波長はなるべく短い方が照射スポット径を小さくでき解像度をあげることができる。
【0058】
(実験例)
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
基板:ポリエステルフィルム
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1wt%〜10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
結果:従来よりも1/10の照射エネルギーにて画像記録ができた。
【0059】
図3は、図1に示した記録体10自身に光(電磁波)吸収能力を付与した場合の構成例を示す図で、図中、A部は感熱濡れ性変化機能を有する部位、B部は光(電磁波)吸収能力を有する部位で、記録体自身に電磁波吸収能力を付与する構成としては、図示のように、濡れ性機能変化を有するモノマー(濡れ性機能変化を有するモノマーは、例えば、特許文献1に記載のモノマーをあげることができる)といわゆる高分子色素と呼ばれるところの側鎖に色素の骨格構造を有するモノマーとの共重合材料が望ましい。
【0060】
図4は、前述の高分子色素の例を示す図で、基本的には、図4(A)に示すように、ビニルモノマーを基本とし、図示のように、色素を側鎖に持つモノマーで、具体的には、図4(B),図4(C),図4(D)に示すような構造を有する。
【0061】
(実験例)
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系モノマーの共重合体(A部)
基板:ポリイミドフィルム
光(電磁波)吸収材料:フタロシアニン系部位をペンダントしたモノマー(B部)
層構成:含フッ素アクリレートモノマーと上記モノマーの共重合体
光(電磁波)源:波長780nmの半導体レーザ
結果:従来よりも1/20の照射エネルギーにて画像書き込みができた。
【0062】
又、濡れ性変化機能を有する材料を含有する記録層中に光(電磁波)に対して吸収を示す染料もしくは顔料を溶解,分散させた状態として含有させ、記録層材料と吸収材料を分離して記録層中に混合することで、それぞれの材料選択性を高めることができる。この場合、顔料濃度は10wt%〜30wt%が望ましく、染料の場合、1wt%〜10wt%が望ましい。
【0063】
(実験例)
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
基板:ポリエステルフィルム
光(電磁波)吸収材料:シアニン系顔料(粒子0.1μm)
層構成:記録層中に吸収剤を10wt%〜50wt%分散
光(電磁波)源:従来よりも1/8の照射エネルギーにて画像書き込みができた。
【0064】
更には、濡れ性変化材料を含有する記録層と基板との間に光(電磁波)に対して反射を示す層を設けて、多重反射を施すことで、記録層中の光路長を長くすることで熱変換効率を高めることができる。
【0065】
図5は、前述のごとき反射層16を設けることで、記録層17中で光(電磁波)Lが多重散乱し、光路長が長くなることで光−熱変換効率を高めることができるようにした場合の一例を示す要部構成図で、反射層16としては、アルミニウムのような金属を基板11の面に蒸着する方法や、酸化チタン,酸化アルミニウム等の白色酸化物を塗布又は蒸着する方法が望ましい。又、反射層16を設けることで記録層17との密着性が劣らないようにするため、反射層16の表面にプライマー層を設けても良い。
【0066】
(実験例)
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
基板:ポリエステルフィルム
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1wt%〜10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
反射層:基板にアルミニウムを1000Å蒸着した層
結果:従来よりも1/20の照射エネルギーにて画像記録ができた。
【0067】
図6は、図5に示した実験例における、反射層16の記録層17と接する側の面を粗面16Aに形成して光を散乱させ、散乱させることによって均一性を良くしたものである。なお、反射層16の表面粗度としては、Rz=0.1μm〜10μmが望ましい。
【0068】
(実験例)
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
基板:ポリエステルフィルム
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1wt%〜10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
反射層:Rz=0.1μmの粗面基板にアルミニウムを1000Å蒸着した層
結果:従来よりも1/20の照射エネルギーにて画像記録ができた。
【0069】
特許文献2に記載のネガ書き込みの方法では、光源が連続発振するため、寿命がポジ書き込みに比べて短くなる欠点がある。そのため、光書き込みにおける書き込みポジ書き込みとし、書き込み光源の長寿命化、液層の保持の容易さと液体供給の両立化、液体の供給および液体の保存の安定性の確保、高速書き込みの容易化等を図る必要がある。
【0070】
記録体10は、図7に示すように、基板11と記録層12とから成り、記録層12の上に、液層形成手段9により液層Wが形成される。記録体10は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体で、画像領域のみ、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で選択的に加熱するか、もしくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と選択的に接触させることにより、該記録体上に潜像を形成し、該潜像をインキングユニット3を用いて顕像化し、転写ローラ4を介して、或いは、直接記録紙5に記録する。加熱手段1としては、光(電磁波)発生装置を用い、非接触で加熱する。
【0071】
記録体10に液層Wを形成する方法としては、液体を塗布する、液体を含有したフィルムを貼り付ける等の方法を用いると良い。液層Wに用いる液体として、記録体10の表面エネルギーに近い表面エネルギーの液体、インクの溶剤(書き込み後の液層除去が不要になる利点を有する)、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドンなど)を溶解した水等の高粘度の液体など、記録体10上で弾かない液体を用いる。
【0072】
液層Wの形成と光(電磁波)Lの照射のタイミングは、予め記録体10の表面に液層Wを形成し、光(電磁波)Lを照射する、予め、光(電磁波)Lを照射し、余熱があるうちに液層Wを形成する、液層Wの形成と光(電磁波)Lの照射を同時に実施する、等のいずれでも良い。
【0073】
(実験例)
基板:ポリエステルフィルム
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1から10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
液層供給手段:インクの不揮発性溶剤を多孔質弾性体ローラに含浸し、記録体表
面にコーティング
結果:ポジ書きにより高速に画像書き込みができることを確認した。
【0074】
図8は、記録体の他の要部構成図で、記録体10の記録層12の表面に、ゲル層18を形成し、このゲル層18の上に光(電磁波)Lを照射して書き込みを行うようにしたものである。具体的には、ゲル状部剤のもつゾルゲル転移現象を利用し、ゲル状部剤を一旦ゾル化して流動性がでたところで記録体10上にコートし、記録体10の表面で再ゲル化したところで書き込みを行うようにしたものである。
【0075】
(実験例)
基板:ポリエステルフィルム
感熱濡れ性変化性機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1から10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
液層供給手段:ゼラチン等のゲルを接触、加熱後除去
結果:液層の保持が容易となった。
【0076】
図9は、記録体の他の要部構成図で、図中、19はマイクロカプセル層で、この実施例においては、感熱濡れ性変化機能材料として、液体を封入したマイクロカプセル19を用い、光(電磁波)照射時の熱エネルギー等でカプセルを破壊して記録体10の表面に液層を形成するようにしたものである。なお、この場合、マイクロカプセルの表面又は内部に光(電磁波)吸収部剤を含有することが望ましい。
【0077】
(実験例)
基板:ポリエステルフィルム
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
光(電磁波)吸収材料:シアニン系顔料(粒子0.1μm)
層構成:記録層中に吸収剤を10から50wt%分散
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
液層供給手段:インクの不揮発性溶剤を含有したポリエチレンマイクロカプセル
の微粒子
結果:液体の供給及び液体の保存安定性を確保できた。
【0078】
図10は、画像形成装置の他の要部構成図で、図中、1は光(電磁波)発生装置、2は回転ドラム、21はフィルム、22は液供給手段、23はフィルムカッターで、この実施例は、図示のごとく、液供給手段22によりフィルム21上に液をはさみながらフィルム21を回転ドラム2に巻きつけ、該回転ドラム2上の記録体10上に液層を形成するようにしたものである。なお、フィルム21には光(電磁波)透過性を有するものを使用する。フィルムで液を挟むことで、均一な薄層の液相が形成でき、加熱ムラが起こりにくくなり、ムラのない画像形成が可能となる。
【0079】
(実験例)
基板:ポリエステルフィルム
感熱濡れ性変化機能材料:含フッ素アクリレート系ポリマー
光(電磁波)吸収材料:シアニン系色素
層構成:記録層中にシアニン系色素を1から10wt%含有
光(電磁波)源:波長800nmの半導体レーザ
液層供給手段:記録時にインクの不揮発性溶剤を供給しながらポリエステルフィ
ルムで記録体を包む
結果:高速書き込みができ、さらに、ムラの少ない画像形成が可能となった。
【0080】
しかし、図11(A)に示すように、記録層31と光熱変換層32と基体33からなる記録体30においては(なお、以下の説明において、記録体30は、必ずしも光吸収材を含むとは限らない)、加熱源として、例えば、レーザ光を用いて書き込む場合、記録層31の表面から入射した光が記録層31及び光熱変換層32を通過して基体33の表面で反射される際に正反射成分が強くて、光熱変換層32と記録層31の境界面あるいは記録層31の表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。露光した領域が太るということは、画像部露光方式(ポジ書き込み方式)であれば画像部が太り、非画像部露光方式(ネガ書き込み方式)であれば画像部が細ることにつながる。また、層構成を増やすとコストが上がるので、できるだけ層構成を避けて安価に生産したいという課題もあった。
【0081】
また、図12(A)に示した光熱変換材を分散させた記録層34と基体33からなる記録体30においては、加熱源として、例えば、レーザ光を用いて書き込む場合、記録層34の表面から入射した光が記録層34を通過し基体33の表面で反射される際に正反射成分が強くて、記録層34の表面にまで到達し、これが記録層34の表面で反射されることで記録層34の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。露光した領域が太るということは、画像部露光方式であれば画像部が太り、非画像部露光方式であれば画像部が細ることにつながる。また、層構成を増やすとコストが上がるので、できるだけ層構成を避けて安価に生産したいという課題もあった。
【0082】
更に、上記以外の層構成から記録体、例えば、記録層と光熱変換層と透明基体からなる記録体においては、記録層の表面から入射した光が記録層,光熱変換層、及び、透明基体を通過して基体裏面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体と光熱変換層の境界面,光熱変換層と記録層の境界面、あるいは、記録層表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、前述のごとき露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題、更には、できるだけ安価に生産したいという課題もあった。
【0083】
また、光熱変換材を分散させた記録層と透明基体からなる記録体においては、記録層表面から入射した光が記録層、及び、透明基体を通過して基体裏面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体と記録層の境界面、あるいは、記録層表面にまで到達し、これが境界面,表面等で反射されることで層の内部で多重反射を起こし、前述のごとき、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題、更には、できるだけ安価に生産したいという課題もあった。
【0084】
また、記録層と光熱変換層と透明基体からなる記録体を該記録体を担持する記録体担持体(例えば、図1に示した記録体ローラ2)に担持された場合、記録層表面から入射した光が記録層,光熱変換層、及び、透明基体を通過して記録体担持体の表面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体と光熱変換層の境界面,光熱変換層と記録層の境界面、あるいは、記録層表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0085】
同様に、光熱変換材を分散させた記録層と透明基体からなる記録体においては、記録層表面から入射した光が記録層、及び、透明基体を通過して記録体担持体の表面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体と光熱変換層の境界面、あるいは、記録層表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0086】
以下の説明では、上述のごとき記録体、すなわち、記録層と光熱変換層と基体からなる記録体、光熱変換材を分散させた記録層と基体からなる記録体、記録層と光熱変換層と透明基体からなる記録体、光熱変換材を分散させた記録層と透明基体からなる記録体、記録体担持体に担持された記録層と光熱変換層と透明基体からなる記録体、更には、記録体担持体に担持された光熱変換材を分散させた記録層と透明基体からなる記録体を使用して、露光した領域の拡散を低減し、画像部の太り・細りを適正にする。
【0087】
図11(A)は、記録体の一例を説明するための断面図で、記録層31、光熱変換層32、基体33からなる記録体30を示し、このような、記録層31と光熱変換層32と基体33からなる記録体30においては、前述のように、記録層31の表面から入射した光が記録層31及び光熱変換層32を通過して基体33の表面で反射される際に正反射成分が強くて、光熱変換層32と記録層31の境界面あるいは記録層31の表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0088】
図11(B)は、記録体30の一例を示す断面図で、記録体30の基体33と光熱変換層32との間に記録に用いる入射光の正反射を阻止する層15を設けたもので、正反射を阻止する層35として、例えば、結着剤中に粉体(TiO2,MgO)を分散してなる光拡散層を用いる。これにより、入射光が基体13の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。
【0089】
図11(C)は、記録体の他の例を説明するための断面図で、図中、33aは基体33の光熱変換層32側の面に設けられた微細な凹凸で、この凹凸33aにより、記録に用いる入射光の正反射を阻止するようにしたものである。而して、図11(B)に示した構成によると、層構成が増すためコストが上がる可能性があるが、このように、基体33の光熱変換層32側の面に微細な凹凸33aを設けると、入射光が基体33の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減され、更には、層構成を増やさないので、安価に生産できる。なお、微細な凹凸として、0.1〜1.0μm程度の粗さにした。
【0090】
図12(A)は、記録体の一例を説明するための断面図で、図中、34は光熱変換材を分散させた記録層、33は基体で、このような光熱変換材を分散させた記録層34と基体33からなる記録媒体30においては、前述のように、記録層34の表面から入射した光が記録層34を通過し基体33の表面で反射される際に正反射成分が強くて、記録層34の表面にまで到達し、これが記録層34の表面で反射されることで各層内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0091】
図12(B)は、記録体30の一例を示す断面図で、図示のように、光熱変換材を分散させた記録層34と基体33との間に記録に用いる入射光の正反射を阻止する正反射阻止層35を設けたもので、正反射を阻止する層35として、結着剤中に粉体(TiO2,MgO等)を分散してなる光拡散層を用いた。これにより、入射光の基体33の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。
【0092】
図12(C)は、記録体の他の例を説明するための断面図で、図中、33aは基体33の記録層34側の表面に設けられた微細な凹凸で、この凹凸33aにより記録に用いる入射光の正反射を阻止するようにしたものである。而して、図12(B)に示した構成によると、層構成が増すためコストが上がる可能性があるが、このように、記録層34側の基体33の表面に微細な凹凸33aを設けると、入射光の基体33の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減され、また、層構成も増やさないので、安価に生産できる。なお、微細な凹凸として、0.1〜1.0μm程度の粗さにした。
【0093】
図13(A)は、記録体の他の例を説明するための断面図で、図中、31は記録層、32は光熱変換層、36は透明基体で、このような記録層31と光熱変換層32と透明基体36からなる記録媒体30においては、前述のように、記録層31の表面から入射した光が、記録層31,光熱変換層32、及び、透明基体36を通過して透明基体36の裏面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体36と光熱変換層32の境界面,光熱変換層32と記録層31の境界面、あるいは、記録層31の表面にまで到達し、これが境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0094】
図13(B)は、記録体の断面図で、図示のように、透明基体36の光熱変換層32と反対側の面に、記録に用いる入射光の正反射を阻止する正反射阻止層35を設けたもので、正反射を阻止する層35として、結着剤中に粉体(TiO2,MgO等)を分散してなる光拡散層を用いた。これにより、透明基体36の裏面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。
【0095】
図13(C)は、記録体の断面図で、図中、36aは透明基体36の光熱変換層32と反対側の面に設けられた微細な凹凸で、この凹凸36aにより記録に用いる入射光の正反射を阻止するようにしたものである。而して、図13(B)に示した構成によると、層構成が増すためコストが上がる可能性がある。この問題を解決するために、透明基体36の光熱変換層32と反対側の面に微細な凹凸を設けたもので、この微細な凹凸として、0.1〜1.0μm程度の粗さにした。これにより、入射光の透明基体表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。また、層構成を増やさないので、安価に生産できる。
【0096】
図14(A)は、記録体の他の一例を説明するための断面図で、図中、34は光熱変換材を分散させた記録層、36は透明基体で、このような光熱変換材を分散させた記録層34と透明基体36からなる記録体30においては、記録層34の表面から入射した光が記録層34及び透明基体36を通過し、透明基体36の裏面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体36と記録層34の境界面あるいは記録層34の表面にまで到達し、これが境界面,表面等で反射されることで層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。
【0097】
図14(B)は、記録体の断面図で、図示のように、透明基体36の記録層34と反対側の面に、記録に用いる入射光の正反射を阻止する正反射阻止層35を設けたもので、正反射を阻止する層35として、結着剤中に粉体(TiO2,MgO等)を分散してなる光拡散層を用いた。これにより、透明基体36の裏面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。
【0098】
図14(C)は、記録体の断面図で、図中、36aは透明基体36の記録層34と反対側の面に設けられた微細な凹凸で、この凹凸により、記録に用いる入射光の正反射を阻止するようにしたものである。而して、図14(B)に示した構成によると、層構成が増すためコストが上がる可能性がある。この問題を解決するために、透明基体36の記録層34と反対側の面に微細な凹凸を設けたもので、この微細な凹凸として、0.1〜1.0μm程度の粗さにした。これにより、透明基体36の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。また、層構成も増やさないので、安価に生産できる。
【0099】
図15(A1)は、記録体の他の例を説明するための要部断面構成図で、図中、30は記録層31と光熱変換層32と透明基体36からなる記録体、40は該記録体30を担持する記録体担持体、例えば、図6に示した記録体ローラ2で、このように、記録体30が記録体担持体40に担持されている場合、記録層31の表面から入射した光が記録層31,光熱変換層32、及び、透明基体36を通過して記録体担持体40表面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体36と光熱変換層32の境界面,光熱変換層32と記録層31の境界面、あるいは、記録層31の表面にまで到達し、これが各境界面,表面等で反射されることで各層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。露光した領域が太るということは、画像部露光方式であれば画像部が太り、非画像部露光方式であれば画像部が細ることにつながる。
【0100】
図15(B1)は、記録体の他の例を説明するための要部断面構成図で、図中、30は光熱変換材を分散させた記録層34と透明基体36からなる記録体、40は該記録体30を担持した記録体担持体、例えば、図1に示した記録体ローラ2で、このように記録体30を担持体40に担持した場合、記録層34の表面から入射した光が記録層34、及び、透明基体36を通過して記録体担持体40の表面で反射される際に正反射成分が強くて、透明基体36と記録層34の境界面、あるいは、記録層34の表面にまで到達し、これが境界面,表面等で反射されることで層の内部で多重反射を起こし、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題があった。露光した領域が太るということは、画像部露光方式であれば画像部が太り、非画像部露光方式であれば画像部が細ることにつながる。
【0101】
図15(A2),図15(B2)は、それぞれ記録体の要部断面構成図で、図示のように、記録体担持体40の表面に記録に用いる入射光の正反射を阻止する正反射阻止層35を設けたもので、正反射を阻止する層35として、結着剤中に粉体(TiO2,MgO等)を分散してなる光拡散層にした。これにより、記録体担持体40の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。
【0102】
図15(A3),図15(B3)は、記録体の他の実施例を説明するための要部断面構成図で、図中、40aは記録体担持体40の表面に設けられた微細な凹凸で、この微細な凹凸として、0.1〜1.0μm程度の粗さにした。これにより、記録体担持体40の表面で反射される際の正反射成分が弱められ、各層の内部で多重反射を起こすことが少なくなり、露光した領域が太るという問題やモアレのような記録ムラが生じるという問題が低減された。また、層構成を増やさないので、安価に生産できる。
【0103】
前述のように、記録体10(又は30)は、所望枚数印刷した後、該記録体上に残存しているインクが除去され、再使用に供されるものであるが、その場合、記録体上に残留しているインクが少なければ、それだけ残留インクの除去が容易になる。記録体の表面を洗浄する場合において、記録体表面が粗面であると、凹部にインク顔料が残留し易い。そこで記録体をより平滑にすることによって具体的には、記録体の表面粗さを20μm以下、望ましくは、10μm以下とすることにより残留する顔料を低減することができる。そのため、本発明においては記録体の表面を平滑にして、該記録体の表面に残留するインクを少なくして記録体表面の洗浄を容易にしている。
【0104】
また、記録体の表面が何らかの部材と接触し、表面に傷が発生すると、その個所の記録体としての機能が損なわれ、地汚れ・白ヌケの原因となる。また、記録体としての機能を担持している場合でも、その個所に顔料が残留しやすく地汚れの原因となりうる。これを避けるためには、記録層の硬度を高めることによって、傷をつきにくくするとよい。具体的には、記録層の鉛筆硬度をH以上望ましくは2H以上とすることにより、記録体表面に傷がつきにくくすることができる。
【0105】
また、記録体の記録層に弾性を持たせることによって、記録体表面に加わる応力を緩和することによっても記録体表面に傷が付きつきにくくすることができる。また、そのような記録層の厚みを一定以上にすることによって、より傷がつきにくくすることができる。具体的には、記録層のヤング率を1.0x107N/m2以下、望ましくは、0.5×107N/m2以下とし、記録層の厚みを2μm以上、望ましくは、4μm以上とする。
【0106】
また、記録体の基板に弾性を持たせることによって、記録体表面に加わる応力を緩和することによっても、記録体表面に傷がつきにくくすることができる。また、そのような基板の厚みを一定以上にすることによって、より傷がつきにくくすることができる。具体的には、基板11のヤング率を1.0x108N/m2以下、望ましくは、1.0×108N/m2とし、基板11の厚みを25μm以上、望ましくは、50μm以上とする。
【0107】
また、図16に示すように、記録体30の記録層31(又は34)と基板33の間に弾性を有するクッション層38を設けることによって、記録体表面に加わる応力を緩和することによっても記録体表面に傷がつきにくくすることができる。また、そのようなクッション層38の厚みを一定以上にすることによって、より傷がつきにくくすることができる。具体的にはクッション層38のヤング率を8.0x107N/m2以下、望ましくは、2.5x107N/m2とし、クッション層38の厚みを5μm以上、望ましくは、10μm以上とする。
【0108】
前述のような記録体によると、所望枚数印刷した後、該記録体上に形成された画像を消去して、該記録体上に新たな像を形成して、該記録体を再度使用することが可能であるが、一旦使用した記録体を再度使用するには、前回の使用後に該記録体上に残存しているインクをきれいに除去しないと、該残存インクによって新たな画像形成が妨げられる。
【0109】
記録体10(又は30)は、前述のごとくして、所定枚数の印刷を行った後、該記録体上に形成された潜像(親液領域)を消去し、かつ、該記録体上に残存しているインクを除去することにより、該記録体上に新たな画像(潜像)を形成して再度使用するようにしたものであるが、その残存インク除去方法は、画像形成装置本体内に一体的に組み込んで適用してもよいが、記録体ローラ2から取り外して、或いは、記録体ローラごと画像形成装置本体から取り外して適用してもよい。
【0110】
残存インク除去方法としては、前述のごとくして所望枚数の印刷を終えた記録体に、記録インク中に含まれる樹脂及び顔料と相溶性を示す液体を塗布し、或いは、該相溶性を示す液体中に記録体を浸し、その後、ウエス等で、記録体上のインク顔料及び樹脂を前記相溶性の液体と共に拭き取るものである。インク樹脂及び顔料に対し相溶性を示す液体であれば、脂肪族炭化水素,芳香族,ケトン類,アルコール類等,極性溶剤,無極性溶剤等何れでもよい。具体的には、市販のブランケットクリーナを現像済み記録体10に塗布し、ウエス等でインクを拭き取って除去する。
【0111】
また、残存インク除去方法としては、印刷を終えた記録体に、インク中に含まれる不揮発性又は揮発性溶剤を塗布し、ウエス等で除去し、記録体上のインク顔料及び樹脂を効果的に除去するものである。インク中に含まれるパラフィン系,オレフィン系溶剤等、除去すべきインクに応じて塗布する溶剤を選択する。具体的には、インク溶剤として用いられているソルベント6号(パラフィン系溶剤)を現像済み記録体表面に塗布し、ウエス等でインクを拭き取って除去する。
【0112】
更には、印刷を終えた記録体に、記録インク中に含まれる樹脂及び顔料と相溶性を示す液体を塗布し、或いは、記録インク中に含まれる不揮発性または揮発性溶剤を塗布し、或いは、これらの液槽中に記録体を入れ、超音波をかけ、非接触手段によって記録体表面を洗浄して残存インクを除去する。具体的には、現像済みの記録体をブランケットクリーナ液中に浸漬し、超音波洗浄機によってインクを除去することで、記録体表面を傷つけること無くインクを除去することができる。
【0113】
更には、残存インクを除去した後、記録体の表面を洗浄し、記録体表面に残留するインク顔料,インク溶剤,及び、洗浄液を完全に除去する。例えば、インク除去後、記録体表面の水,界面活性剤等残留物を完全に除去し、かつ、記録体表面に残留しない液体を用いて洗浄する。具体的には、上述の方法で残留インクを除去した後、フッ素系界面活性剤サーフロン(旭化成製)10%溶液により記録体表面を洗浄する。
【0114】
上述のように、記録体は、所望枚数印刷した後、該記録体上に残留しているインクが除去され、再使用に供されるものであるが、その場合、記録体上に残留しているインクが少なければ、それだけ残留インクの除去が容易となる。
【0115】
記録済み後に、記録体上に残存しているインクを除去するには、更には、印刷に使用された現像済み記録体の表面に粘着部材を接触させることによって、記録体の表面に残存しているインクを簡便に除去することもできる。粘着部材としては、部材を構成する材質自体が粘着性を有する単独部材またはNBRゴムに粘着テープや粘着剤などを塗付した複合部材の何れでも良い。具体的には、現像済み記録体表面に、イソブチルゴムローラを接触させてインクを除去する。
【0116】
また、現像済み記録体の表面に記録体表面以上の粗面度を有する部材を接触させることによっても、記録体の表面に残存しているインクを簡便に除去することもできる。この場合、接触させる部材の表面が、記録体表面以上の粗さを有していればく、具体的には、記録体の表面が10μmの粗さを有している場合、接触させる部材は20μmの粗さを有していれば、インクを除去することができる。
【0117】
更には、現像済み記録体の表面に固体皮膜を形成し、インクと共にこの該皮膜を除去することによっても、記録体の表面に残存しているインクを簡便に除去することができる。この場合、水分非存在下において固体皮膜を形成するような液体を塗布し、乾燥後、該皮膜と共に記録体上の残存インクを除去する。具体的には、ポリビニルアルコール(POVAL)2%水溶液を記録体表面に塗布し、乾燥後、該POVALの皮膜をインクと共に除去する。
【0118】
更には、現像済み記録体の表面上の残留自然乾燥によって完全硬化させたのちに、前述の方法でインクを除去することによって、容易に、かつ、効果的にインクを除去することができる。具体的には、印刷終了後、インクが完全硬化するまで自然放置した後、具体的には、現像後3〜4時間経過後、イソブチルゴムを接触させてインクを除去する。
【0119】
或いは、現像済み記録体の表面に残留しているインクを強制的に完全に硬化させたのち、前述の方法でインクを除去することによって、容易かつ短時間でインクを除去することができる。具体的には、記録体上の残留インクを加熱定着やシリコーン定着法等、強制的な手段により完全に硬化させた後、現像後記録体表面にシリコーンゴムを接触させてインクを硬化させた後、POVAL水溶液を塗布,乾燥後、皮膜と共にインクを除去する。
【0120】
前述のごとき画像形成装置において、ネガ書き込みによる画像形成は、非画像領域を加熱するため、画像形成手段の発熱画素又はエネルギー放射源が破損すると、破損部分は記録体表面を加熱できなくなるので、線状の地汚れが発生し、大幅は画質劣化を生じるという問題がある。この問題を解決するためには、画像形成手段の破損画素を他の発熱体やエネルギー放射源によって補えばよい。
【0121】
図17は、本発明の一実施形態を説明するための要部概略構成図で、図17(A)において、2は記録体ローラ、10(又は30)は記録体、50はマルチヘッドで、記録時(画像形成時)、記録体10は矢印A方向に回転し、マルチヘッド50は矢印B方向に徐々に移動する。本発明において、記録体10は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させた(親液処理)後、該接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱する画像形成手段を有し、該画像形成手段が記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)これら、複数の加熱源が同一画素を書き込むことができるようにしたものである。
【0122】
図17(B),図17(C)は、本発明による記録方法を説明するための図で、図3(B)は、記録体10の1周目の記録を示す図、図17(C)は、2周目の記録を示す図で、図中、斜線で示した部分は、既に書き込み対象となった画素(ただし、画像データによって加熱したかどうかが異なる)、×印で示した部分は不良加熱により書き込み対象となった画素、空白で示した部分は、後で書き込み対象となる画素で、例えば、4番目の加熱源が不良となった場合、通常は使用していない奇数番目(3番目と5番目)の加熱源を使って、画像形成を行い、図17(C)に示すような、記録画像を得ることができ、これにより、未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止することができる。
【0123】
(実施例)
1.使用インクとして、表3のものを用い、
2.記録体として、下記のものを用い、
・材料:含フッ素アクリレート系材料(LS317(旭硝子))
・基板1:PETフィルムロール
(250mm×50m、100μ厚) …サーマルヘッド用
・基板2:ダイレクトマットPETフィルムシート
(220×350mm、180μ厚) …サーマルヘッド用
・基板3:ダイレクトマットPETフィルムロール
(350mm×10m、100μ厚) …サーマルヘッド用
・基板4:ダイレクトマットPETフィルムシート
(350×540mm、50μ厚)+2μm厚カーボン層(光吸収層)
…レーザ光源用
・基板5:ダイレクトマットPETフィルムロール
(350mm×10m、100μ厚)+3μm厚カーボン層(光吸収層)
…レーザ光源用
3.現像手段として、ニトリルゴム(硬度50)のインクローラによる現象を用い、
4.記録紙として、上質紙,微コート紙,コート紙,アート紙,合成紙,普通紙を用い、
5.画像形成手段として、
・600dpiサーマルヘッド、
・300dpiサーマルヘッド、
・70W半導体レーザ、
を用いて、実験を行った。
【0124】
【表3】

【0125】
画像形成手段として、
・600dpiサーマルヘッド(東芝)/(抵抗値:3000Ω、パルス幅:8μsのパルス列、印加電圧:16V)
・300dpiサーマルヘッド(京セラ)/(抵抗値:1000Ω、基本パルス幅:0.3ms、印加電圧:12V)
を用いた場合、通常は偶数番目の加熱源のみを使い、記録体が1回転すると1画素分ずれるように少しずつヘッドを主操作方向にずらしながら2回転し、スパイラル状に書き込むことにより全画像形成を行う。そして、偶数番目の加熱源に不良が発生した際に、不良加熱源が加熱する画素を書き込むことが可能な奇数番目の加熱源を駆動することによって、不良加熱源が発生しても、画像形成を行える事を確認した。
【0126】
画面形成手段として、
・70mW半導体レーザ×84個のA4サイズマルチヘッド(スポット形状:φ20μm、光源配置:1500画素ピッチ)を用いた場合、通常は1光源が1ラインあたり1500画素の画像形成を行い、不良光源が発生した際は、不良光源に隣接する光源が倍の書込みを行うようにすることにより、不良光源が発生した場合でも画像形成を継続できることを確認した。
【0127】
図18は、本発明の他の実施形態を説明するため要部構成図で、図中、10は記録体、10Aは画像領域、10Bは余白領域、50はマルチヘッドで、該マルチヘッド50は不良加熱源(常時加熱状態となる不良加熱源)501を有するものとする。本発明は、このような、常に加熱状態となる不良加熱源501が発生し、かつ、該加熱源501が余白領域10Bに位置する場合に、該加熱源が書き込むこととなる領域に対して他の加熱源による補正を行わないようにして、書き込み補正に関わる手間を低減し、制御プログラムの容量を小さくしたものである。
【0128】
(実施例)
使用インク,記録体,現像手段,記録紙、画像形成手段として、前記実施例と同じものを用い、前記実施例と同じ画像形成手段、同じ条件で、全画像記録を行ったところ、画像形成手段の余白領域に位置する加熱源が、制御不能で常時加熱状態となった際に、そのまま不良加熱源を使用した結果、余白領域が加熱され、問題無いことが確認できた。
【0129】
図19は、本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図で、図中、10は記録体、50はマルチヘッド、60はヘッド移動制御部、61は印字回数カウンタで、印字回数カウンタ61により一定印字量カウントする毎にヘッド移動制御部60を駆動してマルチヘッド50を主走査方向(矢印B方向)に移動するようにすることにより、使用回数過多により生じる不良加熱源を抑制するようにしたものである。
【0130】
(実施例)
使用インク,記録体,現像手段,記録紙、及び、画像形成手段として前記実施例と同じものを用いて実験した結果、A3領域の記録体500枚分の画像形成を行う毎に余白領域に相当する数の加熱源を主走査方向に移動させた結果、加熱源の不良発生が減少することを確認した。実験結果を表4に示す。
【0131】
【表4】

【0132】
図20は、本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図で、図中、10は記録体、50はマルチヘッド、60はヘッド移動制御部、62はタイマで、画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッド50を用い、タイマ62により一定期間毎にヘッド移動制御部60を駆動してマルチヘッド50を主走査方向(矢印B方向に)移動させ、使用回数過多により生じる不良加熱源を抑制するようにしたものである。
【0133】
(実施例)
前記実施例と同じ、インク,記録体,現像手段,記録紙,及び、画像形成手段を用いて、1ヶ月毎(A3領域の記録体を約500枚分画像形成した)に余白領域に相当する数の加熱源を主走査方向に移動させた結果、加熱源の不良発生頻度が減少することを確認した。実験結果を表5に示す。
【0134】
【表5】

【0135】
図21は、本発明の他の一実施形態を説明するための要部構成図で、図中、10は記録体、50はマルチヘッド、64は余白領域加熱用のヒータ、63はヒータ移動制御部で、この発明は、使用回数過多による不良加熱源をヒータ64によって補うようにしたものである。
【0136】
(実施例)
前記実施例と同じ、インク,記録体,現像手段,記録紙,画像形成手段、及び、余白加熱手段(ヒータ)64としてセラミックヒータを用いて、A3領域の記録体1000枚分の画像形成を行った結果、加熱源の不良発生が大幅に減少し、信頼性が向上することを確認した。実験結果を表6に示す。
【0137】
【表6】

【0138】
図22は、本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図で、図中、10は記録体、50はマルチヘッド、65は低解像度サーマルヘッドで、この発明は、図21に示したヒータ64に代わって、画像領域加熱手段よりも低解像度のマルチヘッド65を用いて、余白の加熱時間を短縮することにより、画像形成時間を短縮するようにしたものである。
【0139】
(実施例)
前記実施例と同じ、インク,記録体,現像手段,記録紙,画像形成手段を用い、低解像度のマルチヘッド65として、200dpiサーマルヘッドを用いて、A3領域の記録体1000枚分の画像形成を行った結果、加熱源の不良発生が大幅に減少し、信頼性が向上することを確認した。実験結果を表7に示す。
【0140】
【表7】

【0141】
図23及び図24は、本発明の他の実施形態を説明するための図で、図23は画像形成手段がサーマル(マルチ)ヘッドの場合を示し、図中、711〜71nはサーマルヘッド、721〜72nはドライブIC、74は不良加熱源検出用抵抗である。図24は、画像形成手段がレーザダイオードの場合を示し、図中、75はレーザダイオード、76はレーザダイオード75の不良を検出するための抵抗、77はレーザダイオード75を駆動するためのパルス電圧発生源で、マルチヘッドの各加熱源の抵抗値及び/又は該加熱源と直列に接続した抵抗体両端の電圧値を確認し、規定値と比較することにより不良加熱源の有無を調べるようにし、不良加熱源が発生することにより、未加熱の非画像領域が生じることを防ぎ、筋状地汚れの発生を防止するようにしたものである。
【0142】
(実施例)
前記実施例と同じ、インク,記録体,現像手段,記録紙,画像形成手段を用い、
・サーマルヘッドの場合は、
初期値約3000Ωの抵抗値であった加熱源素子抵抗が、無限大の値になると不良となっており、不良加熱源の有無を検知できることを確認した。
・半導体レーザ光源の場合は、
レーザダイオードと直列に接続した1オームの抵抗体の両端電圧が、初期値で200mVであった状態から、0Vとなると不良となっており、不良加熱源の有無を検知できることを確認した。
【0143】
図25,図26は、本発明の実施形態を説明するための要部構成図で、図中、Bkは黒、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエローを示し、これら各色に対して、図25に示した例においては、それぞれヘッド81(Bk)、81(C)、81(M)、81(Y)、記録体82(Bk)、82(C)、82(M)、82(Y)、現像ローラ83(Bk)、83(C)、83(M)、83(Y)、ブレード84(Bk)、84(C)、84(M)、84(Y)、中間転写体85(Bk)、85(C)、85(M)、85(Y)、加圧ローラ86(Bk)、86(C)、86(M)、86(Y)を有し、図26に示した例には前記加圧ローラ86(Bk)、86(C)、86(M)、86(Y)を共通の単一の加圧ローラ87を有し、加圧ローラと中間転写体との間に記録紙91を順次通すようにして、つまり、前述の画像形成手段を複数設けて多色画像形成装置を構成して、高品質の多色画像を形成するようにしたものである。
【0144】
(実施例)
前述の実施例と同じ、インク,記録体,現像手段,記録紙,画像形成手段を用い、この画像形成手段を4つ用いて、前記実施例の方法で不良加熱源を検知して不良加熱源がある場合には前記実施例の方法を用いることにより、長寿命で信頼性の高い多色印刷装置となることを確認した。
【0145】
本発明が適用される画像形成装置において、ネガ書き込みは、記録体10の非画像領域を選択的に加熱して該非画像領域に撥液処理を施し、記録媒体10の画像領域を親液領域として残して潜像とするもので、より具体的には、記録体10は加熱状態で液体と接触させたときに後退接触角が低下し(親液性状態となり)、かつ、液体と非接触状態で加熱したときに後退接触角が上昇する(撥液性状態となる)表面特性を持ち、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させた(親液処理した)後、該接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ画像形成手段により選択的に加熱して画像形成するものであるが、前述のように、ネガ書き込み時における記録体及び/又は画像形成手段の加熱・蓄熱バラツキにより画質が低下するという問題がある。本発明は、上記のごとき画像形成手段に書き込み加熱量を調整する機能を設け、特に、書き込み量の多いネガ書き込み時における加熱・蓄熱バラツキをなくそうとするものである。
【0146】
図27は、上述の書き込み加熱量の調整をパルス幅変調によって行うようにした場合の一例を説明するための図で、図27(A)は、動作の手順を示すフロー図、図27(B)は、その動作を説明するためのタイムチャートで、図27(A)において、111は加熱時間算出部(=基本クロックのカウント数算出)、112は画像形成手段駆動信号生成部(=カウンタ)、113は画像形成手段(例えば、サーマルヘッド,レーザ光源等)で、加熱時間算出部111は、加熱量制御信号(係数K)と基本クロック周期から、式(1)を用いて、カウント数Nを計算し、基本クロックからカウント数Nを求める。画像形成手段駆動信号生成部112は、カウンタを有し、該カウンタにより、前記基本クロックからNパルスを計数する。設定カウント値以下の時はH(ハイ)、設定カウント値になるとL(ロー)となる。すなわち、該カウンタはトリガパルスが入ると、カウンタのゲートをHにしてカウントを開始させ、該カウンタが基本クロック数Nを計算するまでの間画像形成手段113を駆動(加熱又は発光生)する。
基本加熱時間/基本クロック周期 …式(1)
【0147】
図28は、パルス数変調による場合の例を説明するための図で、図28(A)は動作説明をするための要部構成図、図28(B)は動作説明をするためのタイムチャートで、図28(A)において、115は画像形成手段信号発生部(駆動パルス数制限信号発生部)、116はAND回路、117は画像形成手段駆動パルス信号発生部、118は画像形成手段で、画像形成手段駆動パルス数制限信号発生部115は、加熱量制御信号(K)と基本クロック周期とから前記式(1)を用いて、基本クロックカウント数Nを求め、該カウント数Nによって定まるパルス幅の駆動パルス数制限用信号を発生する。この画像形成手段駆動パルス数制限信号発生部115で生成された駆動パルス数制限信号と画像形成手段駆動パルス信号発生部117で生成された画像形成手段駆動用パルスとの論理和をアンド回路116でとり、画像形成手段118を駆動する画像形成手段駆動パルス(パルス数)を生成する。
【0148】
(実施例)
(1)使用インクとして、表3に示すものを用い、
(2)記録体として、下記のものを用い、
・材料:含フッ素アクリレート系材料(LS317(旭硝子))
・基板1:PETフィルムロール
(250mm×50m、100μm厚) …サーマルヘッド用
・基板2:ダイクレマットPETフィルムシート
(220×350mm、180μm厚) …サーマルヘッド用
・基板3:ダイクレマットPETフィルムロール
(350mm×10m、100μm厚) …サーマルヘッド用
・基板4:ダイクレマットPETフィルムシート
(350×540mm、50μm厚)
+1μm厚カーボン層(光吸収層) …レーザ光源用
・基板5:ダイクレマットPETフィルムロール
(350mm×10m、100μm厚)
+1μm厚カーボン層(光吸収層) …レーザ光源用
(3)現像手段として、ニトリルゴム(硬度50)のインクローラによる現像を用い、
(4)記録紙として、上質紙,微コート紙,コート紙,アート紙,合成紙,普通紙を用い、画像形成手段と加熱量調整方法に、
・600dpiサーマルヘッド(東芝)/
(抵抗値:300Ω、パルス幅:8μsのパルス列、印加電圧:16V)
…パルス数を変えて駆動する機能を持つ
・300dpiサーマルヘッド(京セラ)/
(抵抗値:1000Ω、基本パルス幅:0.3ms、印加電圧:12V)
…パルス数を変えて駆動する機能を持つ
・200mW半導体レーザ
(スポット形状:φ20μm)…パルス数を変えて駆動する機能を持つ
・50mW半導体レーザ×16個の1270dpiマルチヘッド
(スポット形状:φ20μm)…パルス数を変えて駆動する機能を持つ
を用いて実験を行った結果、表8に示すように、加熱むらをなくすることができた。
【0149】
【表8】

【0150】
図29は、記録体120(121は基体、122は記録層)の温度を検出するための例を説明するための要部構成図で、図29(A)は非接触形の赤外線放射温度計を用いた場合、図29(B)はサーミスタ,熱電対等接触形の温度計を用いた場合の例を示す。図29(A)は、記録体120の表面温度を検出するのに、赤外線放射温度計124等の非接触形の温度計を用いた例、図29(B)は、サーミスタ、熱電対等の接触形の温度計125を用いた例を示し、これらの温度計によって、記録体120の表面温度を検出し、その検出出力に基づいて、レーザ光源123の出力を調節し、記録体の表面温度を適切な温度に制御する。
【0151】
(実施例)
前記実施例と同じ条件(インク,記録体,現像手段,記録紙)、及び、画像形成手段と加熱量調整方法で、温度検知手段として、
・サーミスタ …記録体の裏面温度、
・熱電対 …記録体の裏面温度、
・赤外線放射温度計…記録体の表面温度、
を検出し、該記録体のベース温度を元に最適な加熱量を加熱原(例えば、レーザ光源等)に供給して、高品質画像の形成を行うことができた。
【0152】
図30は、本発明の一実施例を説明するための概念図で、同図は、シリアルヘッドの場合(主走査方向に画像形成手段を動かして書き込む場合)を示し、図示のように、注目画素の1画素前はk、2画素前はj、3画素前はi、と各係数を設定しておく。基本加熱時間に、加熱した画素(k,j,i,…)に応じて、各画素に各設定係数を乗じ、加熱時間を求める。ただし、各係数値の関係は、k<j<i<1とする。
【0153】
この実施例は、これから加熱を行う画素(以下、注目画素と記す)に隣接した画素で、かつ、該注目画素と同時か又は以前に書き込む画素の加熱情報に応じて、書き込み加熱量を調整するもので、これにより、隣接画素の加熱状態に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画像の形成を行うことができる。
【0154】
図31は、本発明の他の実施例を説明するための概念図で、同図は、ラインヘッドの場合を示し、全て同時か或いはほぼ同時に書き込む画素を示し、全て同時に書き込む場合、
・k=l
・j=m
・i=n
かつ k<j<i<1
で、例えば、n−1,n+2を書き込む場合、
(基本加熱時間)×k×m …式(2)
を加熱時間とする。
【0155】
図32は、本発明を実施するための印刷機側の制御部の構成例を示す概略構成図で、パソコン(PC)128からの画素情報は、印刷機側の制御部30におけるI/F131を通して、ラインバッファ132に蓄積され、1ライン毎に1ラインバッファ133にラッチされ、実書き込み画像データ生成部134に供給される。画像データ生成部134の1ライン分の画像データに対して、エネルギー用データバッファ135により、各画素に加熱エネルギー信号成分を付加し、画像形成手段29により画像を形成する。
【0156】
(実施例)
前記実施例と同じ条件、及び、同じ画像形成手段と加熱量調整方法を用い、前述の書き込み加熱量調整方法を用いて記録を行った結果、隣接画素の加熱状態に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質の画像を形成することができた。
【0157】
図33は、本発明の他の実施例を説明するための概念図で、この発明は、過去の複数ラインの加熱履歴に応じて生じる注目画素の温度バラツキの影響を抑え、高品質画像の形成を行うようにしたもので、注目画素に対して、主走査方向が同一又は近傍である過去複数ラインの加熱履歴に応じて、書き込み加熱量を変えるようにしたものである。
【0158】
図33は、過去3ライン分を考慮して、主走査方向の画素を同時に書き込む場合を例とする図で、この場合
g<f<e<c<b<a<1
で、かつ、
b=d,g=h,e=i …式(3)
により求めた値に、しきい値テーブルを対応させ、数段階の書き込みエネルギーにする。
【0159】
図34は、本発明を実施する印刷機側制御部の構成例を示す概略構成図で、その基本動作は、図32の場合と同じであるが、この実施例の場合、ラインバッファ132は、数行分のメモリを有し、実書き込み画像データ生成部134で実際に生成された過去の画像データの数行分をライン毎ラインバッファ132に戻して図33に示した関係を作り、注目画素に対して、式(3)により加熱エネルギーを計算し、1ラインバッファ32からは、1画素ごとに実書き込み画像データ生成部にシリアル転送し、エネルギー用データバッファ135により1ライン分の画像データの各画素に加熱エネルギー信号成分を付加して、1ライン分毎画像形成手段129に転送して記録する。
【0160】
図35は、本発明の他の実施例を説明するための要部構成図で、図中、136は図32に示した1ラインバッファ133に代わって設けられた駆動画素数カウンタで、その他は、図32に示した構成と同じである。而して、この発明は、同時に駆動する数量により生じる加熱量のバラツキを抑え、高品質画像の形成を行うようにしたもので、記録体に対する加熱源を複数有する画像形成手段(マルチヘッド)からの加熱エネルギー量を、駆動画素数カウンタ136により同時に加熱(駆動)する加熱源(画素)の数を数えることにより、同時に駆動する加熱源の数量に応じて加熱量を変えるようにしたものである。例えば、駆動画素数に対応する係数テーブルを参照し、これを基本加熱時間に乗じることで加熱時間を求める。
【0161】
図36は、本発明の一実施例を説明するための要部概略図で、図36(A)において、2は記録体ローラ、10は(又は30又は120)記録体、141は記録ヘッドで、同図は、シリアル書き込みヘッドの例を示し、周知のように、記録体ローラ2は矢印Aにて示す副走査方向に回転し、記録ヘッド141は、矢印Bにて示す主走査方向に往復動する。而して、この発明は、書き込み時の蓄熱を防止し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うために、主走査方向(B方向)に少なくとも1ライン以上おきに書き込みを行い(図中に斜線を付して示した部分は書き込み対象となった画素)、例えば、図36(B)に示すように、第1周目には、主走査方向(B方向)に1画素おきに書き込み(空白部は後で書き込み対象となる画素)、第2周目に、図36(C)に示すように、残りの画素(図36(B)に示した空白部の画素)を書き込むようにしたのである。
【0162】
図37は、本発明の他の実施例を説明するための要部概略図で、図37(A)において、142はラインヘッドで、同図は、ライン書き込みヘッドの例を示す。而して、この実施例は、図37(B)に示すように、第1周目は、副走査方向(A方向)に1ラインおきに記録し(斜線にて示す部分)、第2周目に、図37(C)に示すように、第1周目で記録しなかった部(図37(B)に示した空白のライン)を記録する。
【0163】
図38は、本発明の一実施例を説明するための要部構成図で、図中、151は1ライン分駆動画素数カウンタ、152は1ライン書き込み時間決定部、153はカウンタ、154はカウンタ153を駆動する基本クロック発生部、155は記録体ローラ駆動用モータドライバである。
【0164】
また、図39は、図38に示したモータドライバ155によって駆動されるモータ及び該モータによって駆動される記録体ドラムの関係を示す図で、図中、155は前述の記録体ローラ駆動用モータドライバ、156は該モータドライバ155によって駆動される記録体ローラ駆動用モータ、157はモータ156の回転を記録体ドラムに伝達するための歯車、2は記録体ローラ、10は記録体、142はラインヘッドである。
【0165】
而して、この発明は、画像情報に応じて書き込み速度を変化させることにより、画像情報に応じて異なる書き込み時の蓄熱量のバラツキを抑え、高品質画像を形成するようにしたもので、図38に示すように、まず、1ライン分の内の駆動画素数をカウントし、1ライン分の書き込み時間を決定する。この書き込み時間の決定は、例えば、カウント値に対応して決められたライン周期データ(このライン周期データは基本クロックのカウント数とする)をテーブルを参照して決める。このようにして決めたカウント数を、カウンタ153により基本クロックをカウントし、このカウント期間(カウント開始からカウント終了までの間)記録体ローラ駆動用モータ156を駆動する。これにより、駆動画素数が多い場合は、記録体ヘッドの蓄熱量が増すため、次ラインを書き込むまでの時間を増やして書き込み速度を低下させることができる。
【0166】
図40は、本発明の他の実施例を説明するための要部構成図で、図中、161は記録体温度検出部、162は1ライン書き込み時間決定部(記録体温度に対応して決められたライン周期データをテーブルから参照して決める)、163は前記1ライン書き込み時間決定部162より決められたカウント値(或いは時間)を計数するカウンタ、164は基本クロック発生部で、カウンタ163に設定されたカウント値或いは時間を基本クロックをカウンタ163で計数し、その間、記録体ローラ駆動用モータドライバ65を駆動する。
【0167】
図41は、前述の記録体ローラ駆動用モータドライバ165によって駆動されるモータ及び該モータによって駆動される記録体ローラの関係を示す図で、図中、165は前述の記録体ローラ駆動用モータドライバ、166は該モータドライバ165によって駆動される記録体ローラ駆動用モータ、167はモータ166の回転を記録体ローラ2に伝達するための歯車、2は記録体ローラ、10は記録体、142はラインヘッド、168は記録体の温度を検出する、例えば、赤外線放射の温度計である。
【0168】
而して、この発明は、記録体の上昇温度に応じて書き込み速度を変化させることにより、書き込み時における記録体の温度上昇を低減し、高品質画像を形成するようにしたもので、前述のように、記録体10の温度を温度計168で検出し、該記録体10の温度に応じて、例えば、記録体10の温度が高い場合には、記録体ローラ駆動用モータ166の回転を遅くして記録体10の温度上昇を抑えるようにしたものである。
【0169】
図42は、本発明の他の実施例を説明するための要部構成図で、図中、171は書き込み初期からの書き込みライン数nを計数するカウンタ、172は書き込むライン数Nを設定するカウンタ、173は比較器、174は書き込みエネルギーフラグ設定部で、比較部173において、カウンタ171からの書き込み初期からの書き込みライン数nと設定カウンタ172からの設定ライン数Nを比較し、
n<N の間は書き込みエネルギーを増し
n>N になった後はエネルギーを減らす
ことにより、書き込み開始時の加熱量を増して画像形成を行い、記録体温度が安定する前の加熱量不足を防止し、高品質画像を形成するようにしたもので、実際に、書き込み開始余白領域の200ライン分を、通常エネルギーの1.2倍で加熱して良好な結果を得た。
【0170】
図43は、本発明の動作説明をするための図で、図中、2は記録体ローラ、10は記録体、143,144はマルチヘッドで、図43(A)はレーザ光源のマルチヘッド143を、図43(B)はラインサーマルヘッド144を示している。
【0171】
而して、この発明は、画像形成手段にマルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素を少なくとも1画素以上おきに書き込みを行うことにより、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたもので、
図43(A)に示したレーザ光源マルチヘッド143の場合は、
(a1)1画素おきに1,3,5,7番目の4つの画素を同時に書き込み、
次に、
(a2)2,4,6,8番目の4つの画素を同じ時に書き込んだ後、
(a3)主走査方向に8画素ずらして同様の書き込みを順次行って1ライン分の書き込みを行う。その次のラインは、同位置から主走査方向の反対方向に8画素ずつずらしながら同様に書き込むか、又は、主走査方向のホームポジションに移動した後、前ラインと同様の書き込みを行うことにより全画像領域の書き込みを行う。
【0172】
また、図43(B)に示したラインサーマルヘッド144の場合は、
(b1).各発熱体ブロック(全部で4ブロック)毎に、1画素おき、即ち、偶数番画素と奇数番画素を交互に駆動して計8回書き込みことにより、1ライン分の画像形成を行う。その次のラインも同様に行い、全画像領域を書き込む。
(b2).副走査方向に記録体10を移動しながら、各発熱体ブロック(全部で4ブロック)毎に1画素おき、即ち、奇数番画素又は奇数番画素を駆動して各ラインの半分の画素を書き込み、最初のラインから最終ラインまで書き込みを行った後、先に駆動していない奇数番画素又は偶数番画素を同時に駆動して、再度1回転書き込みを行うことにより、全画像領域を書き込む。
【0173】
図44は、本発明の他の実施例を説明するための図で、図44(A)は加熱源としてレーザ光源を用いたマルチヘッド145を用いた場合、図44(B)は加熱源として発熱体を用いたマルチヘッド146を用いた場合を示す。而して、この発明は、1画素以上おきに加熱源が形成されたマルチヘッドを画像形成装置として用いることにより、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0174】
図44(A)に示すレーザ光源マルチヘッド145の場合は、
50mW半導体レーザ×4個のマルチヘッド(スポット形状:φ21μm)
を用い、2100画素おきに4つの画素を同時に書き込み(a1)、記録体が1回転する度に光源を1画素分ずつずらしながら2100回転分書き込むことにより全画像形成を行うことができた(a2)。
【0175】
図44(B)に示すサーマルヘッドの場合は、
300dpiサーマルヘッド(京セラ)
/(抵抗値:1000Ω、基本パルス幅:0.3ms、
印加電圧:12V、発熱体形状:40×20μm
(主走査方向×副走査方向))
を用い、各発熱体ブロック(全部で4ブロック)毎に、1画素おき、即ち、偶数番画素か又は奇数番画素のみを駆動し(b1)、記録体が1回転した後ヘッドを主走査方向に1画素分ずらし、2回転目を書き込むことにより(b2)全画像形成を行うことができた。
【0176】
図45は、本発明の他の実施例を説明するための要部構成図で、図中、2は記録体ローラ、10は記録体、147はマルチヘッドで、この発明は、画像形成手段にマルチヘッド147を持ち、同一ライン上画素の少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い、少しずつ主走査方向にずらしながら書き込むことによりスパイル状に書き込みを行い、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを抑えて高品質画像の形成を行うようにしたものである。
【0177】
図45において、マルチヘッド147として、図43に示したレーザ光源マルチヘッド143を用いる場合は、1画素おきに4つの画素を同時に書き込み、記録体10が1回転すると1画素分ずれるように少しずつ光源を主走査方向にずらしながら2100回転し、スパイラル状に書き込むことにより全画像形成を行う。マルチヘッド147として、図43に示したサーマルヘッド144を用いる場合は、各発熱体ブロック(全部で4ブロック)毎に、1画素おき、即ち、偶数番画素又は奇数番画素のみを駆動して記録体が1回転すると1画素分ずれるように少しずつヘッドを主走査方向にずらしながら(図45(A)は記録体ローラ2が半回転してヘッドが1/2画素分右方に移動した状態を示す)2回転し(図45(B)は記録体ローラ2が2回転したヘッドが2画素分右方に移動した状態を示す)、スパイラル状に書き込むことにより全画像形成を行う。
【0178】
図46は、本発明の他の実施例を説明するための図で、図中、2は記録体ローラ、10は記録体で、画像形成手段にマルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素を少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い(図46(A))、最終ラインを書き終えた後に画像形成手段又は記録体を主走査方向に移動して画像形成を継続することにより、書き込み時の蓄熱を抑制し、加熱むらを押さえて高品質画像の形成を行うようにしたものである。図46(A)において、斜線部は書き込み対象となった画素(加熱したかどうかは別)、空白部は後で書き込み対象となる画素で、レーザ光源マルチヘッドを用いる場合は、例えば、2100画素おきに4つの画素を同時に書き込み、記録体が1回転する度に光源を1画素分ずつずらしながら2100回転分書き込むことにより、全画像形成を行う。また、サーマルヘッドを用いる場合は、例えば、各発熱体ブロック(全部で4ブロック)毎に、1画素おき、即ち、偶数番画素か又は奇数番画素のみを駆動して、記録体が1回転した後ヘッドを主走査方向に1画素分ずらし、2回転目を書き込むことにより全画像形成を行う。
【0179】
本発明を用いて多色画像形成装置を構成する場合は、前述の画像形成手段を複数設け、これを図25,図26に示したように構成する。なお、図25,図26において、Bkは黒、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエローを示し、各色に対して、ヘッド81,記録体82,現像ユニット83,ブレード84,中間転写ローラ85,加圧ローラ86,87を有し、図25に示した例は、加圧ローラ86を各色毎に別に設けた例、図26に示した例は、加圧ローラ87を各色で共通にした例を示す。なお、91は記録紙である。
【0180】
而して、図25,図26に示したように、画像形成手段を複数有することにより、多色の高品質画像の形成を行う場合において、レーザ光源マルチヘッドを用いる場合は、黒,シアン,マゼンタ,イエロー用記録体への画像形成用に、例えば、図43(A)に示したマルチヘッド143を4つ用いて画像形成を行う。また、サーマルヘッドを用いる場合は、黒,シアン,マゼンタ,イエロー用の記録体への画像形成用に、例えば、図43(B)に示した300dpiマルチヘッド144を4つ用いた画像形成方法によって画像形成を行う。
【0181】
上述のように、本発明は、記録体10(又は30)を加熱して、例えば、記録体10をレーザ光によって加熱して潜像を形成するものであるが、この加熱は回転多面鏡を用いてレーザ光を記録体上を走査させるようにすることによっても実現できる。画像情報信号によって変調されたレーザ光を、回転多面鏡を用いて記録体上を光走査して該記録体に潜像を形成する平面光走査装置は、電子写真方式を用いるレーザビームプリンタに多く用いられており、これは予め帯電された感光体に画像情報に応じて光走査を行うことで、光電変換により静電潜像を形成するものであり、感光体が高感度であることから、数mW程度の出力のレーザを用いても、一分間当たりA4サイズの印刷物を数〜数十枚出力できる。
【0182】
ところが、光熱変換層を有する記録体或いは光熱変換剤を分散させた記録層を有する記録体に光走査を行うことで、該記録体上に光熱変換により潜像を形成する場合は、記録体が極めて低感度であることから、高出力レーザを用いるか、或いは、走査時間を多くすることで実現しなければならない。
【0183】
而して、装置コストを下げるためには、高額な高出力レーザを用いずに、走査時間を多くすることで実現したいが、走査時間を多くするということは走査速度を遅くすることであり、例えば、回転多面鏡をモータで回転させるタイプのものでは、回転多面鏡を低回転で駆動することになる。しかし、その場合は、回転による慣性作用が働かないので、回転速度が不安定になり、多面鏡の回転にムラが生じ、レーザビームの走査速度変動、走査時間変動につながり、これが光熱変換のムラとなり、更に、これが画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等となって現れるという問題がある。
【0184】
上述のように、回転多面鏡を用いる光走査装置において、回転多面鏡をモータで低回転で駆動する場合、回転による慣性作用が働かないので、回転速度が不安定になり、多面鏡の回転にムラが生じ、レーザビームの走査速度変動、走査時間変動につながり、これが光熱変換のムラとなり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等となって現れるという問題があった。また、構成部材が多くなったり、複雑化すると高価になるので、構成部材の少数化、簡素化も課題であった。
【0185】
図47は、本発明による光走査装置の一実施例を説明するための要部構成図で、図中、151は、例えば、半導体レーザ光源、152は回転多面鏡(ポリゴンミラー)、153は該回転多面鏡152を回転させるためのモータで、レーザ光源か151からのレーザ光を回転多面鏡152で反射して記録体10上を光走査するもので、本発明は、このような光走査方法を、光熱変換材を有する記録体に潜像を形成する場合に適用し、光走査が低速であっても走査速度を安定化して光書き込みができるようにしたものである。
【0186】
回転多面鏡を用いる光走査装置において、回転多面鏡をモータで低回転で駆動する場合、回転による慣性作用が働かないので、回転速度が不安定になり、多面鏡の回転にムラが生じ、これが、レーザビームの走査速度変動、走査時間変動につながり、更には、これが光熱変換のムラとなり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等となって現れるという問題があった。
【0187】
本発明は、このような問題を解決するために、モータを安定回転領域の高回転で回転させておき、減速機構14を用いて回転多面鏡を低速で安定回転させたものである。減速機構14としては、径の異なるギア、磁性プーリ・アイドラ、プーリ・ベルト等を用いた。これにより、低速での多面鏡の回転が安定し、レーザビームの走査速度、走査時間が一定となり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等の少ない安価な光走査を得ることができた。
【0188】
また、モータの回転を安定させるために、構成部材が多くなったり、複雑化すると高価になるので、構成部材の少数化、簡素化も重要である。これを解決するために、モータ153の軸もしくは回転多面鏡152の軸に慣性質量体155を設けた。この慣性質量体155は好ましくは回転多面鏡の回転半径とほぼ同等以上の半径を有し、または、回転多面鏡とほぼ同等以上の質量を有する円盤状部材で構成するとする。なお、円盤状部材としては、鉄、アルミニューム、銅、鉛等の金属からなる板、鋳物等を用いる。これにより、低速での多面鏡の回転が安定し、レーザビームの走査速度、走査時間が一定となり、画像濃度ムラ、ドットやラインサイズムラ(太り・細り)等のない光走査装置を得ることができた。また、構成部材が円盤状部材のみであるので、安価に実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】画像形成装置の一例を説明するための要部構成図である。
【図2】記録体の要部断面図である。
【図3】記録体自身に光(電磁波)吸収能力を付与した場合の構成例を示す図である。
【図4】高分子色素の基本構造及びその具体的構造を示す図である。
【図5】記録体内に反射層を設けた場合の一例を示す要部構成図である。
【図6】反射層の記録層と接する側の面を粗面に形成した場合の例を示す図である。
【図7】記録体の従来の使用例(液体を用いる例)を示す図である。
【図8】記録体の例(ゲル層を用いる場合)を説明するための要部構成図である。
【図9】記録体の他の例(マイクロカプセル層を用いる場合)を説明するための要部構成図である。
【図10】画像形成装置の他の要部構成図である。
【図11】本発明による記録体の一例を説明するための要部構成図である。
【図12】記録体の他の例を説明するための断面構成図である。
【図13】記録体の他の例を説明するための断面構成図である。
【図14】記録体の他の例を説明するための断面構成図である。
【図15】記録体の他の例を説明するための断面構成図である。
【図16】記録体の一例を説明するための断面構成図である。
【図17】本発明の一実施形態を説明するための要部概略構成図である。
【図18】本発明の他の実施形態を説明するため要部構成図である。
【図19】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図20】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図21】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図22】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図23】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図24】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図25】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図26】本発明の他の実施形態を説明するための要部構成図である。
【図27】書き込み加熱量の調整をパルス幅変調によって行うようにした場合の一例を説明するための図である。
【図28】書き込み加熱量の調整をパルス数変調によって行う場合の例を説明するための図である。
【図29】記録体の温度を検出するための例を説明するための要部構成図である。
【図30】本発明の一実施例を説明するための概念である。
【図31】本発明の他の実施例を説明するための概念図である。
【図32】本発明を実施するための印刷機側の制御部の構成例を示す概略構成図である。
【図33】過去3ライン分を考慮して、主走査方向の画素を同時に書き込む場合を例として説明する図である。
【図34】本発明を実施する印刷機側制御部の構成例を示す概略構成図である。
【図35】本発明の他の実施例を説明するための要部構成図である。
【図36】本発明の他の実施例を説明するための要部概略図である。
【図37】本発明の他の実施例を説明するための要部概略図である。
【図38】本発明の他の実施例を説明するための要部構成図である。
【図39】モータドライバによって駆動されるモータ及び該モータによって駆動される記録体ドラムの関係を示す図である。
【図40】本発明の一実施例を説明するための要部構成図である。
【図41】モータドライバによって駆動されるモータ及び該モータによって駆動される記録体ローラの関係を示す図である。
【図42】本発明の一実施例を説明するための要部構成図である。
【図43】本発明の動作説明をするための図である。
【図44】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図45】本発明の他の実施例を説明するための要部構成図である。
【図46】本発明を説明するための図である。
【図47】本発明による光走査装置の一実施例を説明するための要部構成図である。
【符号の説明】
【0190】
1…加熱源、2…記録体ローラ、3…インキングユニット、4…転写ローラ、5…記録紙、6…加圧ローラ、7…赤外線ヒータ、8…クリーニングユニット、9…液層形成手段、10,30…記録体、40…記録体担持体、50…記録ヘッド、111…加熱時間算出部、112…カウンタ、113…画像形成装置、115…画像形成手段駆動パルス数制限信号発生部、116…AND回路、117…画像形成手段駆動パルス発生部、118…画像形成手段、120…記録体、123…レーザ光源、124…非接触型温度計、125…接触型温度計、128…パソコン、129…画像形成手段、130…印刷機側制御部、141,142,143,144,145,146,147…記録ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成手段を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、前記画像形成手段が前記記録体に対する加熱源を複数有し(マルチヘッド)、かつ、複数の加熱源が同一画素を書き込むことが可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、常に加熱状態となる不良加熱源が発生し、かつ、該加熱源が余白領域に位置する場合は、該加熱源が書き込むこととなる領域に対して他の加熱源による補正を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定印字量毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動させる手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、画像形成手段として画像形成領域よりも広い記録幅を持つマルチヘッドを有し、一定期間毎に前記マルチヘッドを主走査方向に移動させる手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、画像領域加熱手段と余白領域加熱手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5において、前記余白領域加熱手段に画像領域加熱手段よりも低解像度のマルチヘッドを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、マルチヘッドの各加熱源の抵抗値及び/又は該加熱源と直列に接続した抵抗体両端の電圧を検出し、該検出電圧を規定電圧と比較することにより不良加熱源の有無を調べることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させて(親液処理)、全体を親液性にした後、液体及び/または固体の接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、記録を行わない領域のみ撥液性にする画像形成手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、前記画像形成手段を各記録インクの色に対応して複数有することを特徴とする多色画像形成装置。
【請求項10】
記録体の非画像領域を選択的に加熱して該記録体の画像領域に潜像を形成する画像形成手段を有し、該記録体に形成された潜像を現像して記録紙に転写する画像形成装置において、前記画像形成手段が書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10において、前記画像形成手段は、前記記録体の温度情報に応じて書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10又は11において、前記画像形成手段は、これから加熱を行う画素(注目画素)に隣接した画素で、かつ、該注目画素と同時か又は以前に書き込む画素の加熱情報に応じて書き込み加熱量を調整する機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、注目画素に対して、主走査方向が同一又は近傍である過去複数ラインの加熱履歴に応じて、書き込み加熱量を変えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、前記記録体に対する加熱源を複数有するマルチヘッドからなり、該マルチヘッドからの加熱量を、同時に駆動する加熱源の数量に応じて変えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、主走査方向又は副走査方向に少なくとも1画素以上又は1ライン以上おきに書き込みを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、画像情報に応じて書き込み速度を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、記録体の上昇温度に応じて書き込み速度を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項10乃至17のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、書き込み開始時の加熱量を増して画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項10乃至18のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、マルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素を少なくとも1画素以上おきに書き込みを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項10乃至19のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、1画素以上おきに加熱源が形成されたマルチヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項10乃至20のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、マルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素の少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い、かつ、スパイラル状に書き込みを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項10乃至21のいずれかにおいて、前記画像形成手段にマルチヘッドを持ち、同一ライン上の画素の少なくとも1画素以上おきに書き込みを行い、最終ラインを書き終えた後に前記画像形成手段又は記録体を主走査方向に移動して画像形成を継続することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項10乃至22のいずれかにおいて、前記画像形成手段は、加熱状態で液体と接触させた時に後退接触角が低下し(親液性状態)、かつ、液体と非接触状態で加熱した時に後退接触角が上昇する(撥液性状態)表面特性をもつ記録体を、液体、及び/又は、固体から選ばれる部材に接触させた状態で加熱するか、若しくは、該記録体の表面を加熱した直後に液体、及び/又は、固体から選ばれる部材と接触させることにより、該記録体表面の後退接触角を低下させて(親液処理)、全体を親液性にした後、液体及び/または固体の接触部材の不存在下で該記録体の非画像領域のみ選択的に加熱することにより、記録を行わない領域のみ撥液性にする画像形成手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項24】
請求項10乃至23のいずれかの画像形成装置を各記録インクの色に対応して複数有することを特徴とする多色画像形成装置。
【請求項25】
画像情報に応じて発光制御されるレーザ光源と、該レーザ光源からのレーザ光を走査させるための回転多面鏡と、該回転多面鏡を回転させるためのモータと、前記回転多面鏡によって反射されたレーザ光が照射される記録体とから成り、該記録体上に前記レーザ光の照射により画像情報に応じた潜像を形成する画像形成装置において、前記記録体は、該記録体に照射された前記レーザ光を熱に変換する光熱変換材を有する低感度記録体であり、前記回転多面鏡は減速機構を介して、前記モータにより回転されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項25において、前記モータ又は回転多面鏡の回転軸に、前記回転多面鏡と同等又はそれ以上の質量を有する円盤状質量体を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2006−347179(P2006−347179A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193959(P2006−193959)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【分割の表示】特願平11−53587の分割
【原出願日】平成11年3月2日(1999.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】