説明

画像形成装置

【課題】 高価な正・逆両方向の回転が可能な駆動モータを用いることなく、被記録用紙の両面印刷が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 スイッチバックローラ対40に駆動力を伝達する伝達機構100を、スイッチバックローラ対40の駆動用ローラ40aの軸141に結合されたローラ側ギア110と、スイッチバックローラ対40を駆動する駆動源の軸201に結合された駆動ギア121を有する駆動側ギア部120と、ローラ側ギア110と駆動側ギア部120との間に介在されたアイドリングギア部130と、アイドリングギア部130を移動させるための移動手段300とから形成し、移動手段300によりアイドリングギア部130をローラ側ギア110と駆動側ギア部120との間で移動させることにより、スイッチバックローラ対40を正回転または逆回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリおよびこれらの複合機などの画像形成装置、特にコピー用紙、プラスチックフィルムなどの被記録用紙の両面印刷が可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、両面印刷が可能な画像形成装置において、被記録用紙の裏面に画像を形成するため、画像形成後の被記録用紙を、再度、画像形成部に搬送する構成は、様々なものが案出されている。例えば、画像形成部において画像が形成された被記録用紙を、排紙トレイに通じる搬送路から、分岐して設けられたスイッチバック搬送路に、一旦搬送し、その後、被記録用紙を後端からスイッチバック搬送路外に搬出するように搬送路を形成する。そして、スイッチバック搬送路内に設けられたスイッチバックローラ対を、正回転および逆回転するために、正・逆両方向の回転が可能な駆動モータを用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、スイッチバック搬送路の入口部分に、レバー部材および反転ローラと従動ローラとを接離可能に設け、反転ローラを常時、被記録用紙をスイッチバック搬送路から搬出する方向に回転させておく。そして、レバー部材により、被記録用紙の後端が、スイッチバック搬送路の導入路を通過するまでは、反転ローラと従動ローラとの圧接を解除し、被記録用紙の後端が導入路を抜けた後は、圧接するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許平11−165932号公報
【特許文献2】特許平7−315662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の前者の特許文献1記載の構成では、スイッチバック搬送路内で、被記録用紙の搬送方向を反転するために、上述のごとく、正・逆両方向の回転が可能な駆動モータを用いる必要があり、当該駆動モータは高価であるため、コストアップになる、といった問題点があった。
【0005】
また、後者の特許文献2記載の構成では、被記録用紙がスイッチバック搬送路に搬入される際、接離しているとはいえ、反転ローラは、搬出する方向に回転しているので、紙詰まりの原因となる他、複雑なレバー部材が必要であり、省スペース化できないといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高価な駆動モータを用いることなく、また、紙詰まりの原因を排除し、しかも、省スペース化を図った被記録用紙の両面印刷が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、給紙カセットから送り出された被記録用紙に画像を形成する画像形成部と、被記録用紙の裏面に画像を形成するために、被記録用紙を画像形成部へ再送するスイッチバックローラ対と、スイッチバックローラ対に駆動力を伝達する伝達機構と、を備えた画像形成装置において、伝達機構を、スイッチバックローラ対の駆動用ローラの軸に結合されたローラ側ギアと、スイッチバックローラ対を駆動する駆動源の軸に結合された駆動ギアを有する駆動側ギア部と、ローラ側ギアと駆動側ギア部との間に介在されたアイドリングギア部と、アイドリングギア部を移動させるための移動手段とから形成し、移動手段によりアイドリングギア部をローラ側ギアと駆動側ギア部との間で移動させることにより、スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させるように構成する。
【0008】
請求項2記載の発明では、駆動側ギア部は、駆動ギアに噛合う従動ギアを更に有しており、アイドリングギア部を移動させ、駆動ギアまたは従動ギアのいずれか一方と、アイドリングギア部に設けられたアイドリングギアとを選択的に噛合わせることにより、スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させるように構成する。
【0009】
請求項3記載の発明では、ローラ側ギアを、小径歯車部と、大径歯車部とを備えたダブルギアで形成するとともに、アイドリングギア部を、取付け枠のスラスト方向の異なる位置に取付けられた第1アイドリングギアと、第2アイドリングギアとから形成し、移動手段によりアイドリングギア部を、一方のスラスト方向に移動させて、第1アイドリングギアを、駆動ギアまたは従動ギアのいずれか一方と、小径歯車部に噛合わせ、または、他方のスラスト方向に移動させて、第2アイドリングギアを、従動ギアまたは駆動ギアのいずれか一方と、大径歯車部に噛合わせることにより、スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させるように構成する。
【0010】
請求項4記載の発明では、移動手段は、圧縮バネと、前記圧縮バネに抗して作用するソレノイドにより形成する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の構成によれば、スイッチバックローラ対を正回転または逆回転するのに、駆動源からの駆動力を伝達する伝達機構に、アイドリングギア部を設け、移動手段によりアイドリングギア部をローラ側ギアと駆動側ギア部との間で移動させている。従って、高価な駆動モータを用いる必要がない。また、スイッチバックローラ対は、被記録用紙の搬送方向と同じ方向に回転しており、スイッチバックローラ対が紙詰まりの原因となるこことはない他、複雑なレバー部材は必要でなく、省スペース化が図れる。
【0012】
請求項2記載の発明の構成によれば、伝達機構を構成する駆動側ギア部に、この駆動ギアに噛合う従動ギアを付加し、移動手段によりアイドリングギア部を駆動ギアまたは従動ギアのいずれか一方と選択的に噛合うようにすれば良く、その構成が極めて簡単である。
【0013】
請求項3記載の発明の構成によれば、ローラ側ギアを、小径歯車部と、大径歯車部とを備えたダブルギアで形成するとともに、アイドリングギア部を、取付け枠のスラスト方向の異なる位置に取付けられた第1アイドリングギアと、第2アイドリングギアとから形成し、アイドリングギア部を、スラスト方向に移動するように構成している。従って、アイドリングギア部の移動方向は、スラスト方向となり、その移動が円滑となり、都合がよい。
【0014】
請求項4記載の発明の構成によれば、移動手段は、圧縮バネと、この圧縮バネに抗して作用するソレノイドとから形成しているので、その移動に際しては、ソレノイドをオン・オフ制御するのみでよく、その制御を含め極めて単純な構成にすることができ、都合がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下に、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【0016】
図1に示すように、この画像形成装置1は、例えば、コピー用紙、プラスチックフィルムなどの被記録用紙Sを供給・搬送する用紙供給・搬送部2と、この用紙供給・搬送部2によって搬送される被記録用紙Sにトナー像を形成する画像形成部3と、この画像形成部3によって被記録用紙Sに形成されたトナー像をその被記録用紙Sに定着させる定着部4と、この定着部4を通過した被記録用紙Sを本体5の外部の排紙トレイ6や図外の後処理装置側に排出する排紙部7と、を備えている。
【0017】
また、画像形成装置1の本体5内には、第1の給紙カセット12と第2の給紙カセット13とが上段に並列配置され、これら第1の給紙カセット12及び第2の給紙カセット13の下方に第3の給紙カセット14と第4の給紙カセット15とが縦列配置されている。
【0018】
これらの複数の給紙カセット12〜15のうちの第1の給紙カセット12および第2の給紙カセット13は、大容量給紙カセットであり、下段の第3および第4の給紙カセット14、15に比較して大量の被記録用紙Sを収容できるようになっている。一方、下段の第3および第4の給紙カセット14、15は、上段の第1および第2の給紙カセット12、13では収容できない大きなサイズの被記録用紙Sも収容できる大きさに形成されている。
【0019】
そして、第1の給紙カセット12および第2の給紙カセット13に積載された被記録用紙束のうちの最も上の被記録用紙Sは、ピックアップローラ16によって送り出しローラ17のニップに送り込まれた後、送り出しローラ17によって第1搬送路18に送り出されるようになっている。また、第3の給紙カセット14および第4の給紙カセット15に積載された被記録用紙束のうちの最も上の被記録用紙Sは、ピックアップローラ20によって送り出しローラ21のニップに送り込まれた後、送り出しローラ21によってスイッチバック搬送路22に送り出され、更に、スイッチバック搬送路22を介して第1搬送路18に送り出されるようになっている。
【0020】
被記録用紙Sの搬送路は、第1の給紙カセット12および第2の給紙カセット13から送り出された被記録用紙Sを画像形成部3に供給する第1搬送路18と、画像形成部3によって画像が形成された被記録用紙Sを、定着部4を通過させた後に排紙トレイ6に案内する第2搬送路23と、この第2搬送路23から分岐して第1搬送路18に接続する第3搬送路24と、第1搬送路18から分岐するスイッチバック搬送路22と、第3搬送路24から分岐して第2搬送路23の排紙ローラ11の上流側近傍位置に被記録用紙Sを戻す第4搬送路25と、から構成されている。
【0021】
このうち、スイッチバック搬送路22は、第1搬送路18からの被記録用紙Sの進入を許す導入部22aと、先端からスイッチバック搬送路22に進入した被記録用紙Sを後端から第1搬送路18に戻す排出部22bとを備えている。そして、このスイッチバック搬送路22の導入部22aと第1搬送路18との分岐部には、第1分岐爪26が取り付けられている。この第1分岐爪26は、被記録用紙Sの搬送経路の切換を行うためのものであり、第1の給紙カセット12または第2の給紙カセット13から送り出された被記録用紙Sを第1搬送路18で画像形成部3に直接送り込むか、あるいは、画像形成部3によって片面に画像が形成された被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22に導くようになっている。
【0022】
また、スイッチバック搬送路22の導入部22aと排出部22bとの合流部には、第2分岐爪27が取り付けられている。この第2分岐爪27は、被記録用紙Sを第1搬送路18からスイッチバック搬送路22に導入する場合に、排出部22b側を塞ぎ、被記録用紙Sが導入部22aと排出部22bとの合流部を円滑に通過するように、被記録用紙Sの移動を案内する。一方、この第2分岐爪27は、被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22から第1搬送路18に戻す場合に、導入部22aを塞ぎ、被記録用紙Sが導入部22aと排出部22bとの合流部を円滑に通過するように、被記録用紙Sの移動を案内する。
【0023】
また、スイッチバック搬送路22には、第3の給紙カセット14の供給路28と、第4の給紙カセット15の供給路30とが接続されている。そして、第3の給紙カセット14の供給路28とスイッチバック搬送路22との合流部には、第3分岐爪31が取り付けられている。この第3分岐爪31は、被記録用紙Sを第1搬送路18からスイッチバック搬送路22に導入する場合に供給路28を塞ぎ、被記録用紙Sがスイッチバック搬送路22に沿って円滑に搬送される位置に移動する。一方、第3分岐爪31は、被記録用紙Sを第3の給紙カセット14から送り出す場合に供給路28を開くようになっている。
【0024】
また、第4の給紙カセット15の供給路30とスイッチバック搬送路22との合流部には、第4分岐爪32が取り付けられている。この第4分岐爪32は、被記録用紙Sを第1搬送路18からスイッチバック搬送路22に導入する場合に供給路30を塞ぎ、被記録用紙Sがスイッチバック搬送路22に沿って円滑に搬送される位置に移動する。一方、第4分岐爪32は、被記録用紙Sを第4の給紙カセット15から送り出す場合に供給路30を開くようになっている。
【0025】
そして、第1搬送路18には、第2の給紙カセット13から送り出された被記録用紙Sを第1の給紙カセット12側へ送る搬送ローラ33と、第1の給紙カセット12から送り出された被記録用紙Sを下流側に搬送する搬送ローラ34と、第1搬送路18とスイッチバック搬送路22の合流部の下流側(即ち、画像形成部3側)に配置される搬送ローラ35と、この搬送ローラ35とレジストローラ36との間に配置される搬送ローラ37と、この搬送ローラ37から搬送された被記録用紙Sの斜行を防止した後に、当該被記録用紙Sを画像形成部3に送り込むレジストローラ36が用紙搬送方向に沿って配置されている。また、スイッチバック搬送路22には、第4の給紙カセット15から送り出された被記録用紙Sを第1搬送路18側へ送るスイッチバックローラ対38と、第3の給紙カセット14から送り出された被記録用紙Sを第1搬送路18側へ送るスイッチバックローラ対40とが配置されている。また、第3搬送路24には、第4搬送路25との分岐部の下流側に搬送ローラ41が配置されている。また、第4搬送路25には、第3搬送路24側から搬送される被記録用紙Sを第2搬送路23の排紙ローラ11のニップに送り込む搬送ローラ42が配置されている。
【0026】
搬送ローラ34と第1分岐爪26との間の第1搬送路18には、第1の用紙検知センサ43が配置されている。また、第2分岐爪27とスイッチバックローラ対40との間のスイッチバック搬送路22には、第2の用紙検知センサ44が配置されている。また、第2の給紙カセット13の供給路45と第1搬送路18との合流部と搬送ローラ33との間には、第3の用紙検知センサ46が配置されている。そして、これら第1の用紙検知センサ〜第3の用紙検知センサ43〜46の検知信号が図外の制御手段に入力され、その制御手段によって各搬送ローラ33などの駆動や各分岐爪(26)などの作動が制御される。
【0027】
ここで、スイッチバック搬送路22の各スイッチバックローラ対38、40は、後述する伝達機構により正・逆両方向の回転が可能である。即ち、スイッチバック搬送路22のスイッチバックローラ対38、40を正回転させることにより、被記録用紙Sを第1搬送路18からスイッチバック搬送路22に導入する一方、スイッチバックローラ対38、40を逆回転させることにより、被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22から第1搬送路18に送り出すことが可能になる。
【0028】
画像形成部3は、ドラム状の感光体47と、この感光体47の周囲に配置された帯電デバイス48、露光デバイス50、現像デバイス51、転写デバイス52、クリーニングデバイス53などを備えている。このような構成の画像形成部3は、感光体47が図示しない駆動手段によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印A方向に回転駆動され、その表面が帯電デバイス48によって所定の極性・電位に均一に帯電される。帯電後の感光体47は、その表面に露光デバイス50によって静電潜像が形成される。ここで、露光デバイス50は、図示しないスキャナ部、または、ネットワークなどの通信手段によって接続された他の画像形成装置、コンピュータ、スキャナなどからの画像情報に基づいて、感光体47の表面に、例えば、レーザー光を照射し、感光体47表面のレーザー光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。感光体47表面に形成された静電潜像は、現像デバイス51によって、電荷を有するトナーが静電的に付着されてトナー像として現像される。
【0029】
定着部4は、定着ローラ8と、この定着ローラ8にトナー像が形成された被記録用紙Sを押し付ける加圧ローラ10とを備えている。また、排紙部7は、一対のローラを組み合わせてなる排紙ローラ11で構成されている。
【0030】
以下に、片面印刷の場合と両面印刷の場合に分けて説明する。なお、第1分岐爪〜第4分岐爪26、27、31、32は、図1の実線位置をOFF状態とし、図1の被記録用紙Sの搬送経路を切り換える場合をON状態とする。また、以下の説明は、被記録用紙Sが第1の給紙カセット12から送り出される場合を例にしたものである。
【0031】
片面印刷の場合、第1の給紙カセット12から送り出された被記録用紙Sは、第1搬送路18を通って画像形成部3に送り込まれ、この画像形成部3によってトナー像が転写され、そのトナー像が定着部4で加熱・加圧されることにより定着され、第2搬送路23を通り、排紙ローラ11によって本体5の外部(例えば、排紙トレイ6)に画像形成面を上にして(アップフェースで)排出される。なお、この片面印刷の場合、第3の給紙カセット14または第4の給紙カセット15から送り出された被記録用紙Sは、スイッチバック搬送路22の排出部22bから第1搬送路18に送り込まれた後、第1の給紙カセット12または第2の給紙カセット13から送り出された被記録用紙Sと同様に処理される。
【0032】
両面印刷の場合、先ず、第1の給紙カセット12から所定のタイミングで被記録用紙Sが第1搬送路18に送り出される。この第1の給紙カセット12から送り出された被記録用紙Sは、第1搬送路18を通って画像形成部3に送り込まれ、この画像形成部3によってトナー画像が片面に形成された後、そのトナー画像が定着部4で定着させられる。そして、定着部4から第2搬送路23に排出された被記録用紙Sは、第3搬送路24に案内され、更に第1搬送路18に案内される。この第1搬送路18に案内された被記録用紙Sの先端を第3の用紙検知センサ46が検知すると、第1分岐爪26がON状態からOFF状態(図1の実線位置)に姿勢を切り換えて、片面印刷済みの被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22に導入する。このとき、スイッチバックローラ対38、40が、被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22内部に導入する方向に回転(以下、「正回転」という)すると共に、第2分岐爪27がOFF状態になる。その後、被記録用紙Sの後端が第2の用紙検知センサ44によって検知されると、スイッチバックローラ対38、40が、被記録用紙Sを図1の上方向に搬送する方向に回転(以下、「逆回転」という)すると共に、第2分岐爪27がON状態に切り換わり、被記録用紙Sが、後端側からスイッチバック搬送路22の排出部22bを介して第1搬送路18に送り出される。これにより、被記録用紙Sの表裏が反転され、画像の形成されていない裏面側が感光体47に対面するようになる。
【0033】
一枚目の被記録用紙Sがスイッチバック搬送路22から送り出される際に、その一枚目の被記録用紙Sの後端(スイッチバック搬送路22における搬送方向後端)が、第2の用紙検知センサ44によって検知されると、スイッチバックローラ対38、40が正回転すると共に、第2分岐爪27がOFF状態になる。そして、片面印字済みの二枚目の被記録用紙Sがスイッチバック搬送路22に導入されると、この二枚目の被記録用紙Sが上述の一枚目の被記録用紙Sと同様に表裏反転された状態で第1搬送路18に戻される。
【0034】
なお、スイッチバック搬送路22から送り出された被記録用紙Sは、レジストローラ36によって斜行が補正された後に画像形成部3に送り込まれ、その画像が形成されていない裏面側にトナー画像が形成され、そのトナー画像が定着部4によって定着させられる。そして、この定着部4から排出された被記録用紙Sは、第2搬送路23を通り、排紙ローラ11によって本体5の外部(例えば、排紙トレイ6)に裏面を上にして排出される。
【0035】
而して、本発明に従い、スイッチバックローラ対38、40に駆動力を伝達する伝達機構について、図2乃至図6を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるスイッチバック搬送路近傍を示す概略図、図3は、本発明の第1実施形態に係る伝達機構が正回転の状態を示す概略構成図、図4は、図3に示す伝達機構の側面図、図5は、図3に示す伝達機構の斜視図、図6は、本発明の第1の実施形態に係る伝達機構が逆回転の状態を示す概略構成図である。なお、以下の説明では、スイッチバックローラ対38、40のうち、スイッチバックローラ対40を例にして詳述するが、スイッチバックローラ対38についても、同様の構成とすれば良い。
【0036】
スイッチバックローラ対40は、駆動用ローラ40aと、従動用ローラ40bとから形成されている。このスイッチバックローラ対40に駆動力を伝達する伝達機構100は、駆動用ローラ40aの軸141に結合されたローラ側ギア110と、スイッチバックローラ対40を駆動する駆動源200により駆動される駆動側ギア部120と、ローラ側ギア110と駆動側ギア部120との間に介在されたアイドリングギア部130と、アイドリングギア部130を移動させる移動手段300とから形成されている。そして、移動手段300によりアイドリングギア部130を、ローラ側ギア110と、駆動側ギア部120との間で移動させることにより、スイッチバックローラ対40を正回転または逆回転させている。
【0037】
駆動側ギア部120は、駆動源200の軸201に結合された駆動ギア121と、この駆動ギア121に噛合う従動ギア122とから形成されている。また、アイドリングギア部130は、アイドリングギア131が取付け枠体132(図5参照)の支持軸133に軸支され、かつ、アイドリングギア131が、駆動ギア121または従動ギア122のいずれか一方と、選択的に噛合うように、移動手段300により移動される。
【0038】
移動手段300は、圧縮バネ301と、この圧縮バネ301に抗して作用するソレノイド302とからなり、例えば、ソレノイド302をオフにしたときには、図3および図5に示すように、圧縮バネ301のバネ力により、アイドリングギア131を介して駆動ギア121と、ローラ側ギア110が結合される。また、ソレノイド302をオンにしたときには、図6に示す様に、ソレノイド302の電磁力により、圧縮バネ301のバネ力に抗して作用し、アイドリングギア部130を移動し、アイドリングギア131を介して従動ギア122と、ローラ側ギア110が結合される。
【0039】
次に、上述した伝達機構100の駆動伝達経路について説明する。先ず、片面印刷済みの被記録用紙Sをスイッチバック搬送路22に導入するときには、図3および図5に示すように、ソレノイド302をオフにする。この状態では、駆動ギア121と、ローラ側ギア110との間に、アイドリングギア131が介在され、各々の歯が噛合っている。従って、駆動源200からの駆動力は、駆動ギア121→アイドリングギア131→ローラ側ギア110を介して駆動用ローラ40aに伝達され、当該駆動用ローラ40aが、図2、図3および図5に示す矢印aの方向に回転(即ち、上述の正回転)する構成となっている。その結果、正回転するスイッチバックローラ対40により、被記録用紙Sは、図2に示す矢印a1の方向に搬送され、スイッチバック搬送路22に導入される。
【0040】
その後、被記録用紙Sの後端が、例えば、第2の用紙検知センサ44によって検知されると、ソレノイド302がオンされ、電磁力により、圧縮バネ301のバネ力に抗してアイドリングギア部130を図中左斜め上方に移動し、図6に示すように、アイドリングギア131を介して従動ギア122と、ローラ側ギア110が結合される。従って、駆動源200からの駆動力は、駆動ギア121→従動ギア122→アイドリングギア131→ローラ側ギア110を介して駆動用ローラ40aに伝達され、当該駆動用ローラ40aが、図6に示す矢印bの方向に回転(即ち、上述の逆回転)する構成となっている。その結果、逆回転するスイッチバックローラ対40により、被記録用紙Sは、図2に示す矢印b1の方向に搬送され、スイッチバック搬送路22の排出部22bを介して第1搬送路18に送り出される。
【0041】
以上の構成による本実施形態によれば、スイッチバックローラ対38、40を駆動するために、高価な駆動モータを用いる必要がないので、この種の画像形成装置のコストダウンにつながる。また、アイドリングギア部130を、ローラ側ギア110と駆動側ギア部120との間に設けるとともに、アイドリングギア部130を圧縮バネ301とソレノイド302からなる移動手段300により移動させる構成としている。従って、きわめて簡単な構成で、スイッチバックローラ対38、40を正・逆両方向に回転させることが可能になる。
【0042】
また、スイッチバックローラ40対は、被記録用紙Sが搬送されるときには、常に被記録用紙Sの搬送方向と同じ方向に回転しており、スイッチバックローラ対40が紙詰まりの原因となるこことはない他、複雑なレバー部材は必要でなく、省スペース化が図れる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図7乃至図10を参照しながら説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る伝達機構が正回転の状態を示す概略構成図、図8は、図7に示す伝達機構の側面図、図9は、本発明の第2実施形態に係る伝達機構が逆回転の状態を示す概略構成図、図10は、アイドリングギア部の概略構成を示す斜視図である。なお、図7乃至図10においては、上述の図1乃至図6と同じ符号を付した部分は略同一のものを示すため、ここでは詳しい説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
【0043】
本実施形態では、ローラ側ギア110を、小径歯車部110Sと、大径歯車部110Lとを備えたダブルギアで形成するとともに、アイドリングギア部130を、例えば、コ字状の取付け枠134のスラスト方向の異なる位置に取付けられた第1アイドリングギア131Sと、第2アイドリングギア131Lとから形成し、移動手段300によりアイドリングギア部130を、一方のスラスト方向(図8において、矢印X1方向)に移動したときには、第1アイドリングギア131Sが駆動ギア121および小径歯車部110Sと噛合い、また他方のスラスト方向(図9において、矢印X2方向)に移動したときには、第2アイドリングギア131Lが従動ギア122および大径歯車部110Lと噛合い、これによりスイッチバックローラ対40を正回転または逆回転するように形成した点に特徴がある。
【0044】
次に、本実施形態の伝達機構100の駆動伝達経路について説明する。先ず、駆動用ローラ40aを正回転するときには、図7および図8に示すように、移動手段300により、アイドリングギア部130を、一方のスラスト方向(図8において、矢印X1方向)に移動する。この移動により、駆動ギア121と、小径歯車部110Sとの間に、第1アイドリングギア131Sが介在され、各々の歯が噛合う。この結果、駆動源200からの駆動力は、駆動ギア121→第1アイドリングギア131S→小径歯車部110Sに伝達され、小径歯車部110Sは、図7に示す矢印aの方向に回転し、これに伴って駆動用ローラ40a(図7において図示せず)は、正回転する。
【0045】
また、駆動用ローラ40aを逆回転するときには、図9に示すように、移動手段300により、アイドリングギア部130を、一方のスラスト方向(図9において、矢印X2方向)に移動する。この移動により、従動ギア122と、大径歯車部110Lとの間に、第2アイドリングギア131Lが介在され、各々の歯が噛合う。この結果、駆動源200からの駆動力は、駆動ギア121→従動ギア122→第2アイドリングギア131L→大径歯車部110Lに伝達され、大径歯車部110Lは、図7に示す矢印bの方向に回転し、これに伴って駆動用ローラ40a(図7において図示せず)は、逆回転する構成となっている。
【0046】
以上の構成による本実施形態によれば、ローラ側ギア110を、小径歯車部110Sと、大径歯車部110Lとを備えたダブルギアで形成するとともに、アイドリングギア部130を、取付け枠134のスラスト方向の異なる位置に取付けられた第1アイドリングギア131Sと、第2アイドリングギア131Lとから形成し、アイドリングギア部130を、スラスト方向に移動することにより、第1アイドリングギア131Sが駆動ギア121および小径歯車部110Sと、または第2アイドリングギア131Lが従動ギア122および大径歯車部110Lと噛合い、スイッチバックローラ対40を正回転または逆回転するように構成している。従って、スイッチバックローラ対40を駆動するために、高価な駆動モータを用いる必要がない。
【0047】
また、アイドリングギア部130の移動方向は、スラスト方向となり、第1アイドリングギア131Sと、駆動ギア121、および小径歯車部110Sとの噛合わせが、また、第2アイドリングギア131Lと、従動ギア122および大径歯車部110Lとの噛合わせが、各々歯面を沿うように移動するので、その移動が円滑となり、都合がよい。
【0048】
更に、上述した第1実施形態と同様、スイッチバックローラ40対は、被記録用紙Sが搬送されるときには、常に被記録用紙Sの搬送方向と同じ方向に回転しており、スイッチバックローラ対40が紙詰まりの原因となることはない他、複雑なレバー部材は必要でなく、省スペース化が図れる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の要部断面図である。なお、図11においては、上述の図1乃至図10と同じ符号を付した部分は略同一のものを示すため、ここでは詳しい説明を省略する。以下相違点を中心に説明する。
【0049】
上述した実施形態においては、複数の給紙カセットからの被記録用紙Sを搬送するために複数の給紙路を有し、その給紙路の一つをスイッチバック搬送路に兼用したものについて説明したが、本実施形態においては、これに変えて、印刷後の被記録用紙Sを排紙トレイ6に搬送する排紙搬送路を、スイッチバック搬送路22として兼用したものである。
【0050】
即ち、本実施形態により両面印刷する場合、先ず、図示しない給紙カセットから所定のタイミングで被記録用紙Sが画像形成部に送り込まれ、この画像形成部によってトナー画像が片面に形成される。その後、定着部4によりトナー像が定着され、第2搬送路23に排出された被記録用紙Sは、図中の矢印a1の方向に搬送され、排紙搬送路を兼ねたスイッチバック搬送路22に案内される。そして、被記録用紙Sの後端が、例えば、アクチュエータなどからなる用紙検知センサ55によって検知されると、上述した第1実施形態あるいは、第2実施形態による伝達機構により、スイッチバックローラ対40に対して駆動源からの駆動力が伝達され、当該スイッチバックローラ対40が逆回転(即ち、図中矢印bで示す方向に回転)すると共に、分岐爪56が用紙両面搬送路60側に被記録用紙Sを案内するように切り換わる。そして、被記録用紙Sが後端側からスイッチバック搬送路22の排出部22bを介して、図中の矢印b1の方向に搬送され、用紙両面搬送路60に送り出される。これにより、被記録用紙Sの表裏が反転され、画像の形成されていない裏面側が感光体47に対面するようになる。
【0051】
以上の構成によるこの実施形態によれば、上述した各実施形態と同様、スイッチバックローラ40対を正回転または逆回転するために、高価な駆動モータを用いる必要がない。また、スイッチバックローラ40対は、被記録用紙Sが搬送されるときには、常に被記録用紙Sの搬送方向と同じ方向に回転しており、スイッチバックローラ対40が紙詰まりの原因となるこことがない他、複雑なレバー部材は必要でなく、省スペース化が図れる。しかも、排紙搬送路を、スイッチバック搬送路22として兼用しているので、小型の画像形成装置においても、スイッチバック搬送路22としての機能のみしか作用しない搬送路を設ける必要がなくなる。従って、大型化をすることなく両面印刷を可能とすることができ、都合が良い。
【0052】
なお、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。
【0053】
例えば、上述した第1実施形態および第2実施形態において、スイッチバックローラ対40用の駆動源200を、他の搬送ローラなどの駆動源として、共用しても良いのは勿論である。また、この場合、上述した伝達機構の一部また全部を、共用すると、部品点数の削減が図れるので都合がよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の活用例としては、スイッチバック搬送路を有し、両面印刷機能を備えた画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるスイッチバック搬送路近傍を示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る伝達機構が正回転の状態を示す概略構成図である。
【図4】図3に示す伝達機構の側面図である。
【図5】図3に示す伝達機構の斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る伝達機構が逆回転の状態を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る伝達機構が正回転の状態を示す概略構成図である。
【図8】図7に示す伝達機構の側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る伝達機構が逆回転の状態を示す概略構成図である。
【図10】アイドリングギア部の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
3 画像形成部
12 給紙カセット
13 給紙カセット
14 給紙カセット
15 給紙カセット
22 スイッチバック搬送路
38 スイッチバックローラ対
40 スイッチバックローラ対
40a 駆動用ローラ
100 伝達機構
110 ローラ側ギア
110S 小径歯車部
110L 大径歯車部
120 駆動側ギア部
121 駆動ギア
122 従動ギア
130 アイドリングギア部
131 アイドリングギア
131S 第1アイドリングギア
131L 第2アイドリングギア
134 取付け枠
134 取付け枠
141 軸
200 駆動源
201 軸
300 移動手段
301 圧縮バネ
302 ソレノイド
S 被記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙カセットから送り出された被記録用紙に画像を形成する画像形成部と、前記被記録用紙の裏面に画像を形成するために、前記被記録用紙を前記画像形成部へ再送するスイッチバックローラ対と、前記スイッチバックローラ対に駆動力を伝達する伝達機構と、を備えた画像形成装置において、
前記伝達機構を、前記スイッチバックローラ対の駆動用ローラの軸に結合されたローラ側ギアと、前記スイッチバックローラ対を駆動する駆動源の軸に結合された駆動ギアを有する駆動側ギア部と、前記ローラ側ギアと駆動側ギア部との間に介在されたアイドリングギア部と、前記アイドリングギア部を移動させるための移動手段とから形成し、前記移動手段により前記アイドリングギア部を前記ローラ側ギアと前記駆動側ギア部との間で移動させることにより、前記スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動側ギア部は、前記駆動ギアに噛合う従動ギアを更に有しており、前記アイドリングギア部を移動させ、前記駆動ギアまたは従動ギアのいずれか一方と、前記アイドリングギア部に設けられたアイドリングギアとを選択的に噛合わせることにより、前記スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ローラ側ギアを、小径歯車部と、大径歯車部とを備えたダブルギアで形成するとともに、前記アイドリングギア部を、取付け枠のスラスト方向の異なる位置に取付けられた第1アイドリングギアと、第2アイドリングギアとから形成し、前記移動手段により前記アイドリングギア部を、一方のスラスト方向に移動させて、前記第1アイドリングギアを、前記駆動ギアまたは従動ギアのいずれか一方と、前記小径歯車部に噛合わせ、または、他方のスラスト方向に移動させて、前記第2アイドリングギアを、前記従動ギアまたは駆動ギアのいずれか一方と、前記大径歯車部に噛合わせることにより、前記スイッチバックローラ対を正回転または逆回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動手段は、圧縮バネと、前記圧縮バネに抗して作用するソレノイドにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−7724(P2006−7724A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191896(P2004−191896)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】