画像形成装置
【課題】 異なる印刷形式の画像印刷部を有する画像形成装置において、郵便関連情報を行う印刷モードを設けることで、印刷ミスの少なく画像形成装置を提供する。
【解決手段】 第1の画像印刷部4と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部5とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向Xに並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて、画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置において、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報が第2の画像印刷部5で用紙2の規定の位置に印刷される。
【解決手段】 第1の画像印刷部4と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部5とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向Xに並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて、画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置において、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報が第2の画像印刷部5で用紙2の規定の位置に印刷される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは孔版印刷方式による画像形成とインクジェット記録方式による画像形成の双方を行うことが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には様々な種類があるが、例えば、同一の画像を数十枚以上の多枚数必要とする際に、ランニングコストが低く、高速に印刷できる画像形成装置として孔版印刷装置が知られている。孔版印刷装置は、官公庁、組合団体、病院等における各種配布物や書式等の印刷物の印刷に、また新聞の折込広告、不動産の広告、民間企業内連絡文書等の、印刷物を多枚数印刷するために広く利用されている。
【0003】
孔版印刷では印刷に際して必ず版(マスタ)を必要とするため、1枚ないし数枚程度の少量印刷を行いたい場合、あるいは数十枚の同一画像に一部だけ1枚毎に異なる画像を印刷したい場合等には印刷物1枚当たりのコストが低いという特徴を生かすことができない。また、複数の原稿に対応した印刷を行い、これを冊子にしたい場合には印刷動作後に丁合作業が必要となり、異なる原稿画像をページ順に繰り返して出力することが可能な複写装置のような画像形成等においても同様に、印刷物1枚当たりのコストが低いという特徴を生かすことができない。
従って、多種少量の画像形成を行う場合には電子写真方式あるいはインク吐出方式のような無版画像形成方法を用いた画像形成装置の方が適しているが、同種多量の画像形成を行う場合には孔版印刷方式を用いた画像形成装置の方が適している。
【0004】
印刷形態の多様化に伴い、ハガキ印刷や封筒印刷またはDM(ダイレクトメール)用の案内文書印刷、又は賞状の印刷にも孔版印刷装置が活用されており、そういった用途の場合には、画像全体の中で半分以上は共通の同じ画像であるが一部分には1枚毎に異なる印刷を封筒やハガキ等の用紙にしたいという要望がある。またレターヘッドや名刺やハガキ等で一部分にカラー画像を印刷したいという要望もある。このような要望は、共通画像部分のみを取り出して原稿にしてそれを孔版印刷で行い、その後に同じ印刷物に対してインクジェットプリンターやドットプリンター等によって1枚毎に異なる画像部分の印刷、または部分的なカラー画像部分の印刷を行うという方法で実施されていた。
【0005】
このように、必要とする画像に応じて画像形成装置が一長一短を有しているため、画像形成を行うユーザーはこれらを使い分ける必要があるが、各方式の画像形成装置をそれぞれ保持するとコスト及び設置スペースがそれぞれ2倍増となってしまうため、通常は使用頻度の多い画像形成に応じた画像形成装置のみを使用せざるを得ない。そこで、孔版印刷方式による画像印刷部とインク吐出方式による画像印刷部とを備えたハイブリッドタイプの画像形成装置が、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3で提案されている。以下、孔版印刷方式や電子写真方式による印刷部を第1の画像印刷部、インク吐出方式による印刷部を第2の画像印刷部として説明する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−137514号公報
【特許文献2】特開2002−137515号公報
【特許文献3】特開2002−225410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷形式の異なる第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とを有する画像形成装置においては、郵便関連情報を次のような課題を抱えていた。例えば、用紙に郵便番号情報や宛先情報を含む郵便関連情報を、第2の画像印刷部で印刷しようとする場合、第2の画像印刷部のインクヘッドによる画像形成可能領域によって、これら郵便関連情報の印刷が制約を受ける場合がある。すなわち、インクヘッドが用紙の最大幅方向における画像形成領域と略同等の長さを有していれば、郵便関連情報は良好に印刷可能である。しかし、用紙の幅方向に長いインクヘッドは、ヘッドそのもののコストが非常に高く、また、その一部に不良が発生した場合、ヘッド全体を交換しなければならない。
そこで用紙の幅方向に短いインクヘッドを使用することが想定されるが、この場合にはインクヘッドの幅方向への長さが画像形成可能領域を決めてしまうため、インクヘッドの長さによっては郵便関連情報を全て印刷することができない場合もあり、印刷不良の要因となる。オペレータがインクヘッドの画像形成可能領域と郵便関連情報が印刷される郵便情報画像領域との関係を確認することも考えられるが、これは印刷物を作成するオペレータに負担を強いてしまうばかりか、万が一、確認ミスがあった場合、孔版印刷のような高速印刷においては多数の印刷不良な印刷物が生じてしまう。
本発明は、異なる印刷形式の画像印刷部を有する画像形成装置において、郵便関連情報を行う印刷モードを設けることで、印刷ミスの少なく画像形成装置を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる、第1の画像印刷部と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向に順不同に並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置では、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報が第2の画像印刷部で用紙に印刷されることを特徴としている。
【0009】
本発明では、郵便関連情報は郵便番号情報と宛先情報を有し、インクヘッドが郵便番号情報を用紙に対して印刷可能に配置されることを特徴としている。
【0010】
本発明では、用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅をA、インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域の幅をBとしたとき、両者の関係がA>Bのときに、インクヘッドが郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明では、画像領域に関して警告する警告手段と、郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から前記宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、A、B、Cの長さを判定し、A>C>Bの場合に警告手段を作動させる制御手段とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明では、A>C>Bの場合に、宛先画像領域を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係をB≧Cとなるように制御手段で制御することを特徴としている。
【0013】
本発明では、インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき用紙幅に応じた郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置にインクヘッドを配置するように移動手段の動作を制御することを特徴としている。さらに、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、用紙幅に応じた宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域の位置が画像形成可能領域内に位置するように制御することを特徴としている。
【0014】
本発明では、第2の画像印刷部が、郵便番号情報を用紙に印刷する第1のインクヘッドと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有することを特徴としている。
【0015】
インクヘッドを複数有する構成においては、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段と、用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、第1のインクヘッドを郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域に位置させるように移動手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報がインクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部で用紙に印刷されるので、従来のハイブリッドタイプの画像形成装置よりも郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。
【0017】
本発明によれば、郵便関連情報が郵便番号情報と宛先情報とを有し、インクヘッドが印刷位置を規定されている郵便番号情報を用紙に対して印刷可能に配置されるので、印刷位置を規定されている郵便番号情報を基準に印刷を行うことができ、郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。
【0018】
本発明によれば、用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅A、インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域B、との関係がA>Bの場合に、インクヘッドが郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるので、用紙幅Aよりも小さい画像形成可能領域を有するインクヘッドを用いて郵便関連情報を印刷しても印刷ミスを低減することができるとともに、装置のコスト低減を図れる。
【0019】
本発明によれば、画像領域に関して警告する警告手段と、制御手段とを設け、制御手段で用紙幅Aと画像形成可能領域Bと郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域Cの大きさを判定し、A>C>Bの場合に警告手段を作動させるので、インクヘッドによる画像形成可能領域を越えた郵便関連情報の印刷の場合には、オペレータにその内容が警告されるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0020】
本発明によれば、A>C>Bの場合に、制御手段が、宛先画像領域を変更して画像形成可能領域Bと郵便情報画像領域Cとの関係をB≧Cとするので、郵便関連情報である郵便番号情報と宛先情報の双方を確実に印刷することができ、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0021】
本発明によれば、インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき用紙幅に応じた郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置にインクヘッドを配置するように移動手段の動作を制御するので、用紙毎に異なる郵便番号印刷位置にインクヘッドを配置できるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0022】
本発明によれば、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、用紙幅に応じた宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域の位置が画像形成可能領域B内に位置するように宛先画像領域を移動するので、用紙毎に異なる郵便番号印刷位置を基準に配置されるインクヘッドの画像形成可能領域B内に宛先画像領域が配置されるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0023】
本発明によれば、第2の画像印刷部が、郵便番号情報を用紙に印刷する第1のインクヘッドと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有するので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。
【0024】
本発明によれば、インクヘッドを複数有する構成において、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、第1のインクヘッドを郵便番号情報が印刷される郵便番号画像領域に位置させるように前記移動手段の動作を制御するので、郵便番号を所定の位置に印刷しながら宛先情報も第2のインクヘッドによって印刷できるので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置を示している。同図において、画像形成装置は、用紙2を給送する給紙部3、給紙部3より給送された用紙2に対して孔版印刷を行う第1の印刷画像部としての孔版印刷部4、用紙2に対してインクジェット画像を形成する第2の印刷画像としてのインクジェット印刷部5、画像形成済みの用紙2を機外へ排出する排紙部6、画像処理装置37等を有している。孔版印刷部4とインクジェット印刷部5とは、矢印Xで示す用紙搬送方向に並んで配置されている。
【0026】
給紙部3は、多数の用紙2が積載される給紙トレイ10、給紙トレイ10上の用紙2をその最上位のものから1枚ずつ給送する給紙ローラ11、給紙ローラ11によって給送された用紙2を一時停止させた後に孔版印刷部4に向けて所定のタイミングで給送するレジストローラ対12等を有している。
【0027】
孔版印刷部4の右上方には製版部7が配設されている。製版部7は、ロール状に巻装されたマスタ13を収容するマスタ収容部14、マスタ収容部14よりもマスタ搬送方向下流側に配設されたサーマルヘッド15及びプラテンローラ16、マスタ13を切断するマスタ切断手段17、マスタを挟持搬送するマスタ搬送ローラ対18等を有している。製版部7は、マスタ13に穿孔製版画像を形成した後、製版済みマスタ19を孔版印刷部4に向けて搬送する。
【0028】
孔版印刷部4は、製版部7において製版された製版済みマスタ19をその外周面上に巻装する多孔性円筒体からなる版胴20と、版胴20の外周面に対して接離自在に設けられた印圧部材としてのプレスローラ22との間に形成されている。
【0029】
孔版印刷部4とインクジェット印刷部5の間には、孔版印刷部4を通過して版胴20の外周面上から剥離爪23によって剥離された用紙2を吸引ファン24でベルト面に吸引しつつインクジェット印刷部5へ向かって搬送する搬送手段としてのベルト搬送部25が配設されている。本形態においては、ベルト搬送部25は装置本体1内に配置されている。
【0030】
版胴20の内部には、インキローラ21及びドクターローラ8を有するインキ供給手段9が配設されている。孔版印刷部4は、給紙部3より給送された用紙2をプレスローラ22によって版胴20の外周面上に巻装された製版済みマスタ19に押圧することにより、インキ供給手段9から供給されたインキを用紙2に転写させ、用紙2上に孔版印刷画像を形成する。版胴20の左上方には、版胴20の外周面上から使用済みの製版済みマスタ19を剥離して廃棄する図示しない排版装置が配設されている。
【0031】
インクジェット印刷部5は、用紙2の搬送経路の上方に配置されて、搬送されていくる用紙2に対してインクを吐出するインクヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド26を備えている。インクジェット記録ヘッド26の近傍には、このヘッドを用紙搬送方向Xと直行する用紙幅方向Yに移動させる移動手段36が設けられている。インクジェット記録ヘッド26の用紙搬送方向Xの上流側及び下流側には、その一方側が回転駆動される用紙搬送ローラ対27,29が配置されていて、これらローラ対によって用紙2を搬送される。インクジェット記録ヘッド26と搬送経路を隔てて対向する部位(本形態では下方)には、搬送される用紙2を案内する下ガイド板31が設けられている。インクジェット記録ヘッド26の用紙搬送方向Xの上流側には用紙2の搬送方向先端を検出して用紙2に対するインクジェット印刷の開始基準を設定するための用紙検出センサ32が配置されている。各用紙搬送ローラ対27,29は、用紙2を所定のインクジェット印刷スピードで搬送する。
【0032】
各用紙搬送ローラ対27,29において、搬送径路の上方に位置するローラは用紙2上に形成された孔版印刷画像に直接接触するため、未乾燥インキによる汚損防止のためにその周面に微細な凹凸を有するものを用いることが望ましい。具体的には、ローラ周面に微細なセラミック砥粒あるいは微細なガラスビーズを散りばめたフィルム等を貼り付けることが効果的である。
【0033】
インクジェット記録ヘッド26は、用紙幅方向Yに複数のインキ吐出口を並列されたラインヘッドであって、インクを内蔵したインクカートリッジ26Kを備えている。インクカートリッジ26Kにはブラックのインキが内蔵されている。
【0034】
移動手段36は、図2に示すように、インクジェット記録ヘッド26の上方に配置されたフレーム75に設けられた案内レール70と、用紙搬送方Xに移動可能に案内レール70に装着されて、インクジェット記録ヘッド26の上部が取り付けられた保持部71と、インクジェット記録ヘッド26に螺合するリードネジ73と、リードネジ73を回転させる駆動源としてのステッピングモータ72とを備えている。インクジェット記録ヘッド26は、ステッピングモータ26が駆動されてリードネジ73が回転駆動されると、その回転方向と回転量に応じて用紙搬送幅方向Xに移動される。
【0035】
インクジェット記録ヘッド26の位置は、案内レール70に設けられインクジェット記録ヘッド26の初期位置を検出するホームポジションセンサ74とステッピングモータ72のステップ数とによって検出される。本形態においては、インクジェット記録ヘッド26の初期位置は、用紙幅方向Yにおける中心線О上にヘッド中心が位置する部位とされている。同図において、符号76は着脱可能なインク容器を、符号77はインク送出用のポンプを、符号78はインク搬送用のパイプをそれぞれ示しており、インクカートリッジ26Kには、インク容器からインクが補充されるように構成されている。インクカートリッジの形態としては、インク補充方式ではなく、カートリッジ内部に充填されているインクだけを用いるセパレート方式のものであっても良い。本形態では、インクジェット記録ヘッド26が1つのインクカートリッジを備えた単色用のインクヘッドとして説明するが、異なる色のインクを内蔵した複数のインクカートリッジを用紙搬送方向Xに並列配置したカラー用のインクヘッドを用いても良い。
【0036】
インクジェット印刷部5よりも用紙搬送方向Xの下流側には排紙部6が配設されている。排紙部6は、孔版印刷部4及び/またはインクジェット印刷部5において画像が形成された用紙2を吸引ファン33でベルト面に吸引しつつ搬送するベルト搬送部34、ベルト搬送部34によって搬送された画像形成済みの用紙2を積載する排紙トレイ35等を有している。用紙搬送ローラ対27,29とベルト搬送部34は図4に示す搬送駆動部47によって駆動される。
【0037】
本形態では、インクジェット印刷部5、用紙搬送ローラ対27,29、ベルト搬送部34、排紙トレイ35及び搬送駆動部47は、ユニットとなるインクジェットユニット100側に設けられている。インクジェットユニット100は、装置本体1に対して着脱可能に設けられていて、必要に応じて装置本体1に選択的に接続可能とされている。これにより、インクジェット印刷部5による印刷をしない場合には、インクジェットユニット100を装置本体1から離脱することができる。このため、孔版印刷部4での印刷のみを行う場合にはインクジェットユニット100内を通過することなく用紙を排紙できるので、搬送負荷等を軽減でき、高速印刷が可能となると共に、装置の占有スペースが小さくなる。
【0038】
インクジェットユニット100を装置本体1から離脱する場合を考慮して、排紙トレイ35はインクジェットユニット100と装置本体1に着脱可能と着脱可能とされている。このため、インクジェットユニット100と装置本体1とを離脱した場合には、インクジェットユニット100との接続面となる装置本体1の側面1Aに排紙トレイ35を装着すれば装置本体1側単独で印刷を行える。また、インクジェットユニット100を装置本体1に対して着脱可能とすることで、インクジェットユニット100を装置本体1のオプションとすることができ、ユーザーは装置本体1と個別に選択することができると共に、既存の孔版印刷装置に対して後付けすることも可能となるので、装置ユーザーのニーズに対応することができる。
【0039】
インクジェットユニット100と装置本体1には、両者を連結した際に互いに接続して通信可能となるコネクター101,102が設けられている。コネクター101は装置本体1の内部に設けられた孔版印刷制御装置37に、コネクター102はインクジェットユニット100側に設けられた制御手段としてのインクジェット制御装置49にそれぞれ接続している。
【0040】
装置本体1の上部には画像読取部40が配設されている。画像読取部40は、原稿38上の画像を読み取る移動自在な走査ユニット41A、走査ユニット41Aによって走査された画像データが入力されるCCD等の画像センサ41
B等を有する周知の構成である。
【0041】
図3は、画像形成装置に設けた操作パネルを示している。同図において操作パネル50は、画像形成装置1の装置本体の上部前面に配設されている。操作パネル50には、製版スタートキー51、プリントスタートキー52、カウンタ表示部57、LCDからなる表示装置58、4方向キー59、印刷モード切替手段としての切替キー60等が設けられている。カウンタ表示部57には各種の数値が置数され、表示装置58は階層構造となっていて各種情報を表示する。表示装置58には、各種警告内容が表示されて警告手段としての機能も備える。警告手段としては表示装置ではなく、特定の状態になると点滅又は点灯する警告燈であっても良いし、あるいは警告内容を音声で知らせる装置であっても良い。4方向キー59は、上キー59a、下キー59b、左キー59c、右キー59dを有していて各種設定時に使用される。切替キー60はセレクトスイッチであり、画像形成装置による画像形成を、孔版印刷部4のみによる画像形成、インクジェット印刷部5のみによる画像形成、孔版印刷部4及びインクジェット印刷部5による画像形成、あるいは孔版印刷部4及びインクジェット印刷部5による画像形成を行うとともに、インクジェット印刷部5で郵便情報を画像形成する何れかのモードに選択的に切り替える。
【0042】
図4は、画像形成装置の制御ブロック図を示している。本実施形態で示す画像形成装置は、装置本体1の内部に孔版印刷制御装置37を、インクジェットユニット100内にインクジェット制御装置49をそれぞれ備えている。孔版印刷制御装置37は、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータで構成されている。孔版印刷制御装置37には、給紙部3全体の駆動源を備えた給紙系駆動部42、画像読取部40全体の駆動源を備えた読取系駆動部43、製版部7全体の駆動源を備えた製版系駆動部44、画像印刷部4全体の駆動源を備えた印刷系駆動部45、ベルト搬送部25の駆動源を備えた排紙系駆動部46が出力側に接続されている。孔版印刷制御装置37の入力側には、画像読取部40と操作パネル50と、用紙搬送方向Xと直行する用紙2幅を検知する用紙幅検知手段として用紙幅検知センサ79が接続されている。孔版印刷制御装置37は、適宜各駆動部を制御して装置本体1側で行われる孔版印刷全体の動作を制御する。用紙幅検知センサ79は、給紙トレイ10において用紙幅方向Yに移動可能に設けられたサイドフェンス61の位置を検知して、給紙トレイ10の用紙2の幅を検知する周知の構成である。この用紙幅検知センサ79で検知された用紙幅情報はインクジェット制御装置49に送信される。
【0043】
孔版印刷制御装置37は、画像読取部40で読み取られたデータを製版用の画像データへと処理し、このデータに基づいてサーマルヘッド15の各発熱素子を選択的に発熱してマスタ13に対する穿孔製版を実行する用に制御する。搬送される用紙2に対するインクジェット記録ヘッド26による印刷動作や位置決めは、インクジェット制御装置49によって制御される。
【0044】
インクジェット制御装置49は、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータである。インクジェット制御装置49の出力側には、搬送駆動部47、インクジェット記録ヘッド26を駆動してヘッドからインクをインクジェット用データに応じて吐出させるヘッド駆動部48及びステッピングモータ72が接続されている。インクジェット制御装置49の入力側には用紙先端検知センサ32、ホームポジションセンサ74が接続されている。本形態において、インクジェット用データは郵便関連情報とする。この郵便関情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、例えばパソコンなどの外部端末機器からインクジェット制御装置49に入力される。郵便関連情報をインクジェット制御装置49のROMに予め記憶しておき、印刷時に読み出して用いても良い。インクジェット制御装置49は、切替キー60で郵便印刷モードが選択されて設定されると、郵便関連情報に基づいてインクジェット記録ヘッド26の位置を移動するとともに同ヘッドを選択的に駆動してインクを噴射させて画像形成を行う。郵便印刷モードでは、孔版印刷部4で印刷された用紙2に対してインクジェット印刷部5で郵便情報を印刷可能としている。本形態においては、用紙2とは、紙以外にハガキ、封筒などの各種郵便関連媒体が含まれ、特に郵便印刷モード字においてはハガキ、封筒が印刷対象物となる。
【0045】
次に、画像形成装置の基本的な動作について説明し、その後に郵便印刷モード時のインクジェット制御装置49による制御形態について説明する。
画像形成装置を用いて用紙2上に孔版印刷画像とインクジェット印刷画像とを形成する際の動作を説明する。オペレータは操作パネル50上の印刷切替キー60を「郵便印刷」の位置に切り替えると共に、画像読取部40に孔版印刷用の原稿38をセットして製版スタートキー51を押下する。製版スタートキー51が押下されると、読取駆動部43が駆動されて画像原稿走査ユニット41Aが原稿38の画像を走査してこのデータを画像センサ41Bに送ると共に、図示しない排版装置が作動して版胴20の外周面上より使用済みの製版済みマスタ19が剥離される。排版動作完了後、版胴20は印刷系駆動部45が駆動されることで、所定の給版待機位置まで回転して停止し、その外周面上に設けられた図示しないクランパを開放して給版待機状態となる。
【0046】
版胴20が給版待機状態となると、製版系駆動部43が駆動されてプラテンローラ16及びマスタ搬送ローラ対18が作動してマスタ13が送り出される。送り出されたマスタ13は、サーマルヘッド15を通過する際に画像センサ41Bに送られた画像データに基づいて穿孔製版される。製版され製版済みマスタ19となったマスタ13は印刷系駆動部45が駆動されることで版胴20のクランパにその先端を挟持された後、版胴20がマスタ13の搬送速度と同じ周速度で回転駆動されることにより版胴20の外周面上に巻装される。そして、1版分のマスタ13が搬送されるとマスタ切断手段17が作動してマスタ13が切断され、巻装動作が完了する。
【0047】
巻装動作完了後、給紙系駆動部42が駆動されて給紙ローラ11が作動して給紙トレイ10上より1枚の用紙2が給送されると共に、版胴20が低速で回転駆動される。給送された用紙2はレジストローラ対12によって一時停止された後、所定のタイミングで版胴20とプレスローラ22との間に向けて給送される。そして所定のタイミングでプレスローラ22が揺動し、用紙2を版胴20の外周面上に巻装された製版済みマスタ19に圧接させる。この圧接によりインキローラ21によって版胴20の内周面に供給されたインキが、版胴20の開孔部及び製版済みマスタ19の穿孔部を介して用紙2に転写され、いわゆる版付け動作が行われる。版付け動作により版付け画像である孔版印刷画像を転写された用紙2は、剥離爪23によって版胴20上の製版済みマスタ19より剥離された後、排紙系駆動部46が駆動されることでベルト搬送部25に送られてさらに下流へと搬送される。
【0048】
ベルト搬送部25によって送られた用紙2は、搬送駆動部47の駆動されることで用紙搬送ローラ対27によってさらに搬送される。用紙2の先端が用紙検出センサ32によって検出されるとヘッド駆動部48が駆動されてインクジェット記録ヘッド26が作動し、用紙2にはインクジェット印刷画像が形成される。
【0049】
孔版印刷部4において版付け画像を形成された後、インクジェット印刷部5においてインクジェット印刷画像を形成された用紙2は、用紙搬送ローラ対29によってさらに下流側へと搬送され、ベルト搬送部34を介して排紙トレイ35上に排出される。ここでは、インクジェット印刷部5で画像を形成したが、一般に版付けされた用紙2は、ほとんどの場合廃棄されるので、インクジェット記録ヘッド26の全てのノズル部からのインクを吐出させてインクヘッドのクリーニングとなるパージ動作を、この版付け用紙に実行するようにしてもよい。
【0050】
孔版印刷部4における版付け動作及びインクジェット印刷部5の印刷動作が完了した後、オペレータによって試し刷りキー53が押下されると、給紙系駆動部42が駆動されることで給紙ローラ11が回転動作して給紙トレイ10上より1枚の用紙2が給送されると共に、印刷系駆動部45の駆動により版胴20が設定されている印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動される。給送された用紙2はレジストローラ対12でタイミングを取られた後に版胴20とプレスローラ22との間に向けて送られ、プレスローラ22が揺動することにより孔版印刷画像を転写される。その後、用紙2はベルト搬送部25及び用紙搬送ローラ対27によって搬送され、その先端が用紙検出センサ32によって検出されるとインクジェット用のデータを印刷すべくインクジェット記録ヘッド26が作動し、その上面に郵便情報がインクジェット印刷画像として形成される。孔版印刷画像とインクジェット印刷画像とを形成された用紙2は、用紙搬送ローラ対29及びベルト搬送部34によりさらに搬送されて排紙トレイ35上に排出される。
【0051】
次に、インクジェット制御装置49による各種制御形態について説明する。
(第1の実施形態)
本形態は、図5、図6に示すように、用紙2の幅をA、インクジェット記録ヘッド26からインキが吐出される画像形成可能領域95の幅をB、郵便番号情報が印刷される郵便番号印刷領域93の用紙幅方向Yへの端部93Aから宛先情報が印刷される宛先画像領域92の用紙幅方向Yの端部92Aまでの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、インクジェット制御装置49で、A、B、Cの長さを判定し、A>Bの場合にインクジェット記録ヘッド26が郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるように移動手段36を作動するとともに、C>Bの場合には表示装置58に郵便情報画像領域が画像形成可能領域95を越えていることを表示して画像領域に関する警告を行い、宛先画像領域92を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係を、B≧Cとすることを特徴としている。すなわち、本形態において表示措置58は、警告手段として機能する。
【0052】
図5,図6において符号94は、孔版印刷部4によって印刷された画像領域を示し、この画像領域の用紙幅方向Yへの長さDは、用紙幅Aよりも短い。また、用紙幅Aは版胴20における製版領域91の用紙幅方向Yへの長さEよりも短い。
【0053】
本形態において、画像形成可能領域95の幅Bと郵便番号印刷領域93の幅C1は一定であり、各幅情報がインクジェット制御装置49のROMに予め記憶されている。また、郵便番号印刷領域93の位置は、例えば定型郵便物についてはその位置が定められているので、図7に示すように用紙幅Aに対応させてその位置となる寸法FとGがインクジェット制御装置49のROMに座標情報X1、Y1としてそれぞれ記憶されている。本形態において、用紙2としてのハガキや封筒は、郵便番号を記載する側が用紙搬送方向Xの上流側に位置するように給紙トレイ10上にセットされるため、寸法Fは用紙2の先端から郵便番号印刷領域93の前端93Bまでの距離であり、寸法Gは用紙幅Aの中心から郵便番号印刷領域93の端部93Aまでの距離とされている。
【0054】
郵便情報となる郵便番号情報には印刷する郵便番号の情報が、宛先情報には、印刷する住所と氏名及び宛先画像領域92の端部92Aの位置を示す座標情報Y4が含まれている。インクジェット制御装置49のROMには、用紙幅Aに応じた郵便番号印刷領域幅C1の座標情報Y2、Y3と、座標Y1から座標Y4までの幅Cを導出する式が記憶されている。本形態において、インクジェット制御装置49のROMには、図8に示す郵便印刷モードが設定された際の印刷印刷動作処理と図9に示す郵便印刷モード処理とが記憶されている。
【0055】
以下、図8,図9に示すフローチャートに沿って、各処理を説明する。なお、本形態においては、上述の試し刷り動作によって各画像の位置あるいは濃度等が既に確認されているものとする。
【0056】
図8のステップL1では郵便印刷モードが設定されているか否かが判断され、切替キー60によって「郵便印刷」が選択されている場合には、ステップL2に進み、「郵便印刷」が選択されていない場合にはこの制御を終える。ステップL2ではオペレータによって設定印刷枚数となる画像形成枚数をテンキー55から入力して表示装置57に置数した後ステップL3に進む。ステップL3では、プリントスタートキー52のオン状態が判断され、プリントスタートキー52がオンの場合にはステップL4に進む。ステップL4給紙系駆動部42を駆動する給紙動作を行い、ステップL5では給紙された用紙2に対する孔版印刷部4による画像形成動作(印刷動作)を実行する。ステップL4では、給紙ローラ11が回転駆動して給紙トレイ10上より用紙2が連続的に給送する。ステップL5では、版胴20が設定されている印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動され、試し刷り動作時と同様にプレスローラ22が所定のタイミングで版胴20に対して接離動作されて画像形成動作が行われる。孔版画像が形成された用紙2は、ベルト搬送部25でインクジェット印刷部5へと搬送され、ステップL6においてインクジェット印刷部5によるインクジェット印刷動作が実行され、郵便番号と宛先が印刷される。これら郵便番号と宛先が印刷された用紙2は、搬送系駆動部47の駆動により用紙搬送ローラ対29及びベルト搬送部34で搬送されて排紙トレイ35上に排出される。
【0057】
インクジェット制御装置49では、プリントスタートキー52が操作されると、その後に印刷された印刷枚数を図示しないカウンタでカウントしており、ステップL7において印刷枚数がテンキー55で入力された画像形成枚数になったか否かを判断する。印刷枚数が画像形成枚数に到達している場合には印刷終了としてこの制御を終え、到達していない場合にはステップL4に戻り、一連の流れを繰り返す。
【0058】
インクジェット制御装置49では、郵便印刷モードが設定されていると、図9に示す郵便印刷モード処理を実行する。この処理は少なくともプリントスタートキー52が押されて印刷が開始されるまでに実行されていることが好ましく、試し刷り開始時には既にこの処理を終えているのがより望ましい。
【0059】
図9において、郵便印刷モードが設定されていると、ステップM1においてインクジェット印刷部5で印刷する郵便関連情報を取り込みステップM2に進む。ステップM2では、用紙幅検知センサ79で検知した用紙幅Aを取り込み、ステップM3において取り込んだ用紙幅Aに基づき印刷対象物である用紙2のサイズをROMから選択する。ステップM4では、選択した用紙サイズに対応するから郵便番号画像領域93の位置を導出(選択)する。この導出された値は、インクジェット記録ヘッド26の初期位置からの移動距離に相当するステップ数として、すなわち、座標Y2が座標Y1と一致する移動距離として図示しないRAMに記憶されてステップM5に進む。ステップM5では、ステップM3で選択した用紙サイズから、この用紙サイズに対応する宛先画像領域92の位置となる幅Cを導出する。ここでは、用紙サイズに応じて選択される座標Y1とステップM1で取り込んだ宛名情報の座標Y4とから郵便情報画像領域の幅Cを求め、ステップM6に進む。
【0060】
ステップM6では、インクジェット記録ヘッド26による画像形成可能領域幅Bと用紙幅Aとを比較してインクジェット記録ヘッド26の移動の有無を判断する。画像形成可能領域幅Bが用紙幅Aよりも大きい場合には、インクジェット記録ヘッド26で用紙2の幅方向への印刷領域全てに対して印刷できるものとして、インクジェット記録ヘッド26は初期位置の状態におかれたまま印刷が実行されることになる。画像形成可能領域幅Bが用紙幅Aよりも小さい場合には、インクジェット記録ヘッド26では用紙2の幅方向への印刷領域全てに対して印刷できず、郵便情報の印刷ミスのおそれがあるものとしてステップM7に進む。
【0061】
ステップM7では、ステッピングモータ72を駆動してインクジェット記録ヘッド26を郵便番号画像領域93へと移動する。この移動は、座標Y1と座標Y2とが一致するまで行われる。このため、インクジェット記録ヘッド26による画像形成可能領域95の端部95Aと郵便番号画像領域93の端部93Aとの位置が一致するとともに、画像形成可能領域95内に郵便番号画像領域93が位置される。
【0062】
このようにインクジェット記録ヘッド26を郵便番号画像領域93が完全に画像形成可能領域95内に位置する部位に配置した後、ステップM8に進み、郵便情報画像領域幅Cと画像形成可能領域幅Bとを比較し、郵便情報の1つである宛名情報の印刷ミスの恐れがあるか否かを判断する。郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも大きい場合には、ここでは宛名画像領域92が画像形成可能領域95の端部95Aよりも外側にあるものとしてステップM9へ進み、領域エラーである警告表示を表示装置58で行いステップM10に進む。ステップM10では、画像形成可能領域幅Bを越えた郵便情報画像領域の位置を修正すべく宛先画像領域92の位置を画像形成可能領域幅B≧郵便情報画像領域幅Cとなるようにデータ上で移動する。すなわち、宛先画像領域92の位置を示す座標Y4が少なくとも画像形成可能領域95の端部95Aの座標Y3と一致方向に移動または縮小してステップM11する。ステップM11では、郵便情報画像領域幅Cと画像形成可能領域幅Bとの位置関係を再度比較して修正後の宛先画像領域92の位置が画像形成可能領域幅Bに位置しているか否かを判断する。ここで郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも小さければ、郵便番号とともに宛名も画像形成可能領域幅Bに位置するように補正されて、ヘッド位置補正と画像位置補正の制御を終える。
【0063】
一方ステップM8において、インクジェット記録ヘッド26の位置補正直後において郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも小さい場合には郵便情報画像領域の位置補正は必要ないので、ヘッド位置補正のみを行ってこの制御を終える。
【0064】
このように本形態によると、インクジェット記録ヘッド26が印刷位置を規定されている郵便番号情報を用紙2に対して印刷可能に配置されるので、印刷位置を規定されている郵便番号情報を基準に印刷を行うことができ、郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。用紙幅A、画像形成可能領域幅Bとの関係がA>Bの場合に、インクジェット記録ヘッド26が郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるので、用紙幅Aよりも小さい画像形成可能領域95を有するインクジェット記録ヘッド26を用いて郵便関連情報を印刷しても印刷ミスを低減することができるとともに、用紙2の用紙幅方向全域をカバーするヘッドを用いる場合に比べて装置のコスト低減を図ることができる。用紙幅Aと画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cの大きさをインクジェット制御装置49で機械的に判定し、A>C>Bの場合に表示装置58を警告手段として作動させるので、インクジェット記録ヘッド26の画像形成可能領域95を越えた郵便関連情報の印刷の場合には、オペレータにその内容が警告でき、郵便関連情報の1つである宛名の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0065】
また、インクジェット制御装置49は、A>C>Bの場合には、警告表示後に宛先画像領域92を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係をB≧Cとするので、郵便関連情報である郵便番号情報と宛先情報の双方を確実に印刷することができ、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
(第2の実施形態)
本形態は、図10に示す画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に対してインクジェット印刷部5に換えて2つのインクジェット記録ヘッド26A、26Bを有するインクジェット印刷部150を備えている点に特徴がある。図10に示す画像形成装置は、インクジェット印刷部150と制御系の構成以外は、図1に示した画像形成装置と同一の構成と機能を備えている。
【0066】
インクジェット印刷部150に設けたインクジェット記録ヘッド26A、26Bは、インクジェット記録ヘッド26と同一構成である。インクジェット印刷部150には、図11に示すように、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを用紙幅方向Yに移動する移動手段136とを備えている。移動手段136は、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを四方から覆うように角型に形成された共通フレーム75と、この共通フレーム75の略中央で用紙幅方向Yに延設されて、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの一部が取り付けられた案内レール70と、共通フレーム75に回転可能に支持されてインクジェット記録ヘッド26A、26Bにそれぞれ螺合するリードネジ73A,73Aと、リードネジ73A,73Bを独立して回転させる駆動源としてのステッピングモータ72A,72Bとを備えている。ステッピングモータ72A,72Bは共通フレーム75に装着されている。
【0067】
インクジェット記録ヘッド26A,26Bは、ステッピングモータ72A、72Bが駆動されてリードネジ73A、73Bがそれぞれ回転駆動されると、その回転方向と回転量に応じて用紙幅方向Yに移動する。インクジェット記録ヘッド26A、26Bの位置は、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの初期位置を検出するホームポジションセンサ74A,74Bとステッピングモータ72A、72Bのステップ数とによってそれぞれ検出される要に構成されている。
【0068】
図10に示すインクジェット印刷部150を制御する制御手段としてのインクジェット制御装置149は、図13に示すようにインクジェット制御装置49同様、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータである。インクジェット制御装置149の出力側には、搬送駆動部47、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを駆動してヘッドからインクをインクジェット用データに応じて吐出させるヘッド駆動部148及びステッピングモータ72A、72Bが接続されている。インクジェット制御装置149の入力側には用紙先端検知センサ32、ホームポジションセンサ74が接続されている。本形態において、インクジェット用データは郵便関連情報である。この郵便関情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、例えばパソコンなどの外部端末機器からインクジェット制御装置149に入力される。本形態において、インクジェット記録ヘッド26Aは郵便番号情報の印刷専用であり、インクジェット記録ヘッド26Bは宛先情報の印刷専用として利用される。
【0069】
インクジェット制御装置149には、用紙幅検知センサ79で検知された幅情報A情報が入力されるとともに、この幅情報Aが予めインクジェット制御装置149のROMに記憶された所定サイズ以上の場合に、インクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号情報が印刷される郵便番号画像領域93に位置させるように移動手段136の動作を制御する。
【0070】
図12に示すように、インクジェット記録ヘッド26A、26Bによる画像形成可能領域95C、95Dの幅B1、B2と郵便番号印刷領域93の幅C1は一定であり、各幅情報がインクジェット制御装置149のROMに予め記憶されている。また、郵便番号印刷領域93の位置は、用紙幅Aに対応させてその位置となる寸法FとGがインクジェット制御装置49のROMに座標情報X1、Y1としてそれぞれ記憶されている。本形態においても、用紙2としてのハガキや封筒は、郵便番号を記載する側が用紙搬送方向Xの上流側に位置するように給紙トレイ10上にセットされるため、寸法Fは用紙2の先端から郵便番号印刷領域93の前端93Bまでの距離であり、寸法Gは用紙幅Aの中心から郵便番号印刷領域93の端部93Aまでの距離とされている。本形態において、インクジェット制御装置149のROMには、図14に示す郵便印刷モード処理が記憶されている。
【0071】
図14では、郵便印刷モードが設定されていると、ステップN1においてインクジェット印刷部150で印刷する郵便関連情報を取り込みステップN2に進む。ステップN2では、用紙幅検知センサ79で検知した用紙幅Aを取り込み、ステップN3において取り込んだ用紙幅AとROMの所定サイズとを比較する。ここでいう所定サイズとは画像形成可能領域B1B2の双方を加えた画像形成可能領域幅B3としている。
【0072】
ステップN3おいて、用紙幅Aが所定サイズよりも大きいない場合には、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの位置を移動して補正する必要がある用紙サイズとしてステップN4に進む。ステップN4では、ステッピングモータ72Aを駆動してインクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号画像領域93へと移動する。このため、インクジェット記録ヘッド26Aによる画像形成可能領域95Cの端部95CAと郵便番号画像領域93の端部93Aとの位置が一致するとともに、画像形成可能領域95内に郵便番号画像領域93が位置される。
【0073】
一方、ステップN3おいて、用紙幅Aが所定サイズよりも大きくない場合には、インクジェット記録ヘッド26Aの位置を移動して補正する必要がないので、ステップN4をスキップしてステップN5に進む。
【0074】
ステップN5では、画像形成可能領域95Dの幅B2と宛名画像領域92の幅C2とを比較してインクジェット記録ヘッド26Bの画像形成可能領域95D内に収まる宛名画像サイズであるか否かを判断する。宛名画像領域C2が画像形成可能領域幅B2よりも大きい場合には、ステップN5に進んで領域エラーである警告表示を表示装置58で行いこの制御を終える。宛名画像領域C2が画像形成可能領域幅B2よりも小さい場合には、インクジェット記録ヘッド26Bで宛名画像領域幅C2を全てカバーできるものとして警告表示を行わず、この制御を終える。
【0075】
このように本形態によると、インクジェット印刷部150が、郵便番号情報を用紙2に印刷する第1のインクヘッドとなるインクジェット記録ヘッド26Aと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドとなるインクジェット記録ヘッド26Bと、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを用紙幅方向Yに移動する移動手段136とを有するので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。用紙幅Aが所定サイズ以上の場合に、インクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号画像領域93に位置させるようにステッピングモータ72Aを駆動制御するため、郵便番号を所定の位置に印刷しながら宛先情報もインクジェット記録ヘッド26Bによって印刷でき、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。本形態では、郵便番号をインクジェット記録ヘッド26A、宛名情報をインクジェット記録ヘッド26Bで印刷するようにしたが、郵便番号をインクジェット記録ヘッド26B、宛名情報をインクジェット記録ヘッド26Aで印刷するようにしても良い。この場合にはインクジェット記録ヘッド26Bを郵便番号画像領域93に位置させるようにステッピングモータ72Bを駆動制御すればよい。
【0076】
各形態では、インクジェット印刷部5、150及びその周辺部をインクジェットユニット100に設けて装置本体1に対して着脱自在としたが、装置本体1内に設ける形態であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像形成装置の概略正面図である。
【図2】インクヘッドを用紙搬送方向に向かって移動する移動手段の構成を示す図である。
【図3】画像形成装置に設けられた操作パネルの概略図である。
【図4】第1の実施形態にかかる制御手段とそれにつながる要素のブロック図である。
【図5】用紙幅Aとインクヘッドの画像形成可能領域幅Bと郵便情報印刷領域幅Cとの関係を説明する平面視図である。
【図6】郵便情報印刷領域サイズを画像形成可能領域側へと変更した状態を示す平面視図である。
【図7】郵便番号画像領域の位置を説明する為の設定する平面視図である。
【図8】郵便印刷モードが設定されている時の印刷動作のフローチャートである。
【図9】第1の実施形態における郵便印刷モード処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態である画像形成装置の概略正面図である。
【図11】第2の実施形態における移動手段の構成を示す平面視図である。
【図12】第2の実施形態におけるインクヘッドの画像形成可能領域と郵便情報印刷領域の関係を説明する平面視図である。
【図13】第2の実施形態にかかる制御手段とそれにつながる要素のブロック図である。
【図14】第2の実施形態における郵便印刷モード処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
4 第1の画像印刷部
5 第2の画像印刷部
26 インクヘッド
26A 第1のインクヘッド
26B 第2のインクヘッド
49、149 制御手段
58 警告手段
79 用紙幅無検知手段
92 宛先画像領域
93 郵便番号画像領域
95 画像形成可能領域
A 用紙幅
B 画像形成可能領域幅
C 郵便情報画像領域幅
X 用紙搬送方向
Y 用紙幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは孔版印刷方式による画像形成とインクジェット記録方式による画像形成の双方を行うことが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には様々な種類があるが、例えば、同一の画像を数十枚以上の多枚数必要とする際に、ランニングコストが低く、高速に印刷できる画像形成装置として孔版印刷装置が知られている。孔版印刷装置は、官公庁、組合団体、病院等における各種配布物や書式等の印刷物の印刷に、また新聞の折込広告、不動産の広告、民間企業内連絡文書等の、印刷物を多枚数印刷するために広く利用されている。
【0003】
孔版印刷では印刷に際して必ず版(マスタ)を必要とするため、1枚ないし数枚程度の少量印刷を行いたい場合、あるいは数十枚の同一画像に一部だけ1枚毎に異なる画像を印刷したい場合等には印刷物1枚当たりのコストが低いという特徴を生かすことができない。また、複数の原稿に対応した印刷を行い、これを冊子にしたい場合には印刷動作後に丁合作業が必要となり、異なる原稿画像をページ順に繰り返して出力することが可能な複写装置のような画像形成等においても同様に、印刷物1枚当たりのコストが低いという特徴を生かすことができない。
従って、多種少量の画像形成を行う場合には電子写真方式あるいはインク吐出方式のような無版画像形成方法を用いた画像形成装置の方が適しているが、同種多量の画像形成を行う場合には孔版印刷方式を用いた画像形成装置の方が適している。
【0004】
印刷形態の多様化に伴い、ハガキ印刷や封筒印刷またはDM(ダイレクトメール)用の案内文書印刷、又は賞状の印刷にも孔版印刷装置が活用されており、そういった用途の場合には、画像全体の中で半分以上は共通の同じ画像であるが一部分には1枚毎に異なる印刷を封筒やハガキ等の用紙にしたいという要望がある。またレターヘッドや名刺やハガキ等で一部分にカラー画像を印刷したいという要望もある。このような要望は、共通画像部分のみを取り出して原稿にしてそれを孔版印刷で行い、その後に同じ印刷物に対してインクジェットプリンターやドットプリンター等によって1枚毎に異なる画像部分の印刷、または部分的なカラー画像部分の印刷を行うという方法で実施されていた。
【0005】
このように、必要とする画像に応じて画像形成装置が一長一短を有しているため、画像形成を行うユーザーはこれらを使い分ける必要があるが、各方式の画像形成装置をそれぞれ保持するとコスト及び設置スペースがそれぞれ2倍増となってしまうため、通常は使用頻度の多い画像形成に応じた画像形成装置のみを使用せざるを得ない。そこで、孔版印刷方式による画像印刷部とインク吐出方式による画像印刷部とを備えたハイブリッドタイプの画像形成装置が、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3で提案されている。以下、孔版印刷方式や電子写真方式による印刷部を第1の画像印刷部、インク吐出方式による印刷部を第2の画像印刷部として説明する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−137514号公報
【特許文献2】特開2002−137515号公報
【特許文献3】特開2002−225410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷形式の異なる第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とを有する画像形成装置においては、郵便関連情報を次のような課題を抱えていた。例えば、用紙に郵便番号情報や宛先情報を含む郵便関連情報を、第2の画像印刷部で印刷しようとする場合、第2の画像印刷部のインクヘッドによる画像形成可能領域によって、これら郵便関連情報の印刷が制約を受ける場合がある。すなわち、インクヘッドが用紙の最大幅方向における画像形成領域と略同等の長さを有していれば、郵便関連情報は良好に印刷可能である。しかし、用紙の幅方向に長いインクヘッドは、ヘッドそのもののコストが非常に高く、また、その一部に不良が発生した場合、ヘッド全体を交換しなければならない。
そこで用紙の幅方向に短いインクヘッドを使用することが想定されるが、この場合にはインクヘッドの幅方向への長さが画像形成可能領域を決めてしまうため、インクヘッドの長さによっては郵便関連情報を全て印刷することができない場合もあり、印刷不良の要因となる。オペレータがインクヘッドの画像形成可能領域と郵便関連情報が印刷される郵便情報画像領域との関係を確認することも考えられるが、これは印刷物を作成するオペレータに負担を強いてしまうばかりか、万が一、確認ミスがあった場合、孔版印刷のような高速印刷においては多数の印刷不良な印刷物が生じてしまう。
本発明は、異なる印刷形式の画像印刷部を有する画像形成装置において、郵便関連情報を行う印刷モードを設けることで、印刷ミスの少なく画像形成装置を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる、第1の画像印刷部と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向に順不同に並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置では、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報が第2の画像印刷部で用紙に印刷されることを特徴としている。
【0009】
本発明では、郵便関連情報は郵便番号情報と宛先情報を有し、インクヘッドが郵便番号情報を用紙に対して印刷可能に配置されることを特徴としている。
【0010】
本発明では、用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅をA、インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域の幅をBとしたとき、両者の関係がA>Bのときに、インクヘッドが郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明では、画像領域に関して警告する警告手段と、郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から前記宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、A、B、Cの長さを判定し、A>C>Bの場合に警告手段を作動させる制御手段とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明では、A>C>Bの場合に、宛先画像領域を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係をB≧Cとなるように制御手段で制御することを特徴としている。
【0013】
本発明では、インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき用紙幅に応じた郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置にインクヘッドを配置するように移動手段の動作を制御することを特徴としている。さらに、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、用紙幅に応じた宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域の位置が画像形成可能領域内に位置するように制御することを特徴としている。
【0014】
本発明では、第2の画像印刷部が、郵便番号情報を用紙に印刷する第1のインクヘッドと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有することを特徴としている。
【0015】
インクヘッドを複数有する構成においては、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段と、用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、第1のインクヘッドを郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域に位置させるように移動手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、郵便関連情報がインクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部で用紙に印刷されるので、従来のハイブリッドタイプの画像形成装置よりも郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。
【0017】
本発明によれば、郵便関連情報が郵便番号情報と宛先情報とを有し、インクヘッドが印刷位置を規定されている郵便番号情報を用紙に対して印刷可能に配置されるので、印刷位置を規定されている郵便番号情報を基準に印刷を行うことができ、郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。
【0018】
本発明によれば、用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅A、インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域B、との関係がA>Bの場合に、インクヘッドが郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるので、用紙幅Aよりも小さい画像形成可能領域を有するインクヘッドを用いて郵便関連情報を印刷しても印刷ミスを低減することができるとともに、装置のコスト低減を図れる。
【0019】
本発明によれば、画像領域に関して警告する警告手段と、制御手段とを設け、制御手段で用紙幅Aと画像形成可能領域Bと郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域Cの大きさを判定し、A>C>Bの場合に警告手段を作動させるので、インクヘッドによる画像形成可能領域を越えた郵便関連情報の印刷の場合には、オペレータにその内容が警告されるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0020】
本発明によれば、A>C>Bの場合に、制御手段が、宛先画像領域を変更して画像形成可能領域Bと郵便情報画像領域Cとの関係をB≧Cとするので、郵便関連情報である郵便番号情報と宛先情報の双方を確実に印刷することができ、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0021】
本発明によれば、インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき用紙幅に応じた郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置にインクヘッドを配置するように移動手段の動作を制御するので、用紙毎に異なる郵便番号印刷位置にインクヘッドを配置できるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0022】
本発明によれば、制御手段が、用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、用紙幅に応じた宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域の位置が画像形成可能領域B内に位置するように宛先画像領域を移動するので、用紙毎に異なる郵便番号印刷位置を基準に配置されるインクヘッドの画像形成可能領域B内に宛先画像領域が配置されるので、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0023】
本発明によれば、第2の画像印刷部が、郵便番号情報を用紙に印刷する第1のインクヘッドと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有するので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。
【0024】
本発明によれば、インクヘッドを複数有する構成において、用紙の幅を検知する用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、第1のインクヘッドを郵便番号情報が印刷される郵便番号画像領域に位置させるように前記移動手段の動作を制御するので、郵便番号を所定の位置に印刷しながら宛先情報も第2のインクヘッドによって印刷できるので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置を示している。同図において、画像形成装置は、用紙2を給送する給紙部3、給紙部3より給送された用紙2に対して孔版印刷を行う第1の印刷画像部としての孔版印刷部4、用紙2に対してインクジェット画像を形成する第2の印刷画像としてのインクジェット印刷部5、画像形成済みの用紙2を機外へ排出する排紙部6、画像処理装置37等を有している。孔版印刷部4とインクジェット印刷部5とは、矢印Xで示す用紙搬送方向に並んで配置されている。
【0026】
給紙部3は、多数の用紙2が積載される給紙トレイ10、給紙トレイ10上の用紙2をその最上位のものから1枚ずつ給送する給紙ローラ11、給紙ローラ11によって給送された用紙2を一時停止させた後に孔版印刷部4に向けて所定のタイミングで給送するレジストローラ対12等を有している。
【0027】
孔版印刷部4の右上方には製版部7が配設されている。製版部7は、ロール状に巻装されたマスタ13を収容するマスタ収容部14、マスタ収容部14よりもマスタ搬送方向下流側に配設されたサーマルヘッド15及びプラテンローラ16、マスタ13を切断するマスタ切断手段17、マスタを挟持搬送するマスタ搬送ローラ対18等を有している。製版部7は、マスタ13に穿孔製版画像を形成した後、製版済みマスタ19を孔版印刷部4に向けて搬送する。
【0028】
孔版印刷部4は、製版部7において製版された製版済みマスタ19をその外周面上に巻装する多孔性円筒体からなる版胴20と、版胴20の外周面に対して接離自在に設けられた印圧部材としてのプレスローラ22との間に形成されている。
【0029】
孔版印刷部4とインクジェット印刷部5の間には、孔版印刷部4を通過して版胴20の外周面上から剥離爪23によって剥離された用紙2を吸引ファン24でベルト面に吸引しつつインクジェット印刷部5へ向かって搬送する搬送手段としてのベルト搬送部25が配設されている。本形態においては、ベルト搬送部25は装置本体1内に配置されている。
【0030】
版胴20の内部には、インキローラ21及びドクターローラ8を有するインキ供給手段9が配設されている。孔版印刷部4は、給紙部3より給送された用紙2をプレスローラ22によって版胴20の外周面上に巻装された製版済みマスタ19に押圧することにより、インキ供給手段9から供給されたインキを用紙2に転写させ、用紙2上に孔版印刷画像を形成する。版胴20の左上方には、版胴20の外周面上から使用済みの製版済みマスタ19を剥離して廃棄する図示しない排版装置が配設されている。
【0031】
インクジェット印刷部5は、用紙2の搬送経路の上方に配置されて、搬送されていくる用紙2に対してインクを吐出するインクヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド26を備えている。インクジェット記録ヘッド26の近傍には、このヘッドを用紙搬送方向Xと直行する用紙幅方向Yに移動させる移動手段36が設けられている。インクジェット記録ヘッド26の用紙搬送方向Xの上流側及び下流側には、その一方側が回転駆動される用紙搬送ローラ対27,29が配置されていて、これらローラ対によって用紙2を搬送される。インクジェット記録ヘッド26と搬送経路を隔てて対向する部位(本形態では下方)には、搬送される用紙2を案内する下ガイド板31が設けられている。インクジェット記録ヘッド26の用紙搬送方向Xの上流側には用紙2の搬送方向先端を検出して用紙2に対するインクジェット印刷の開始基準を設定するための用紙検出センサ32が配置されている。各用紙搬送ローラ対27,29は、用紙2を所定のインクジェット印刷スピードで搬送する。
【0032】
各用紙搬送ローラ対27,29において、搬送径路の上方に位置するローラは用紙2上に形成された孔版印刷画像に直接接触するため、未乾燥インキによる汚損防止のためにその周面に微細な凹凸を有するものを用いることが望ましい。具体的には、ローラ周面に微細なセラミック砥粒あるいは微細なガラスビーズを散りばめたフィルム等を貼り付けることが効果的である。
【0033】
インクジェット記録ヘッド26は、用紙幅方向Yに複数のインキ吐出口を並列されたラインヘッドであって、インクを内蔵したインクカートリッジ26Kを備えている。インクカートリッジ26Kにはブラックのインキが内蔵されている。
【0034】
移動手段36は、図2に示すように、インクジェット記録ヘッド26の上方に配置されたフレーム75に設けられた案内レール70と、用紙搬送方Xに移動可能に案内レール70に装着されて、インクジェット記録ヘッド26の上部が取り付けられた保持部71と、インクジェット記録ヘッド26に螺合するリードネジ73と、リードネジ73を回転させる駆動源としてのステッピングモータ72とを備えている。インクジェット記録ヘッド26は、ステッピングモータ26が駆動されてリードネジ73が回転駆動されると、その回転方向と回転量に応じて用紙搬送幅方向Xに移動される。
【0035】
インクジェット記録ヘッド26の位置は、案内レール70に設けられインクジェット記録ヘッド26の初期位置を検出するホームポジションセンサ74とステッピングモータ72のステップ数とによって検出される。本形態においては、インクジェット記録ヘッド26の初期位置は、用紙幅方向Yにおける中心線О上にヘッド中心が位置する部位とされている。同図において、符号76は着脱可能なインク容器を、符号77はインク送出用のポンプを、符号78はインク搬送用のパイプをそれぞれ示しており、インクカートリッジ26Kには、インク容器からインクが補充されるように構成されている。インクカートリッジの形態としては、インク補充方式ではなく、カートリッジ内部に充填されているインクだけを用いるセパレート方式のものであっても良い。本形態では、インクジェット記録ヘッド26が1つのインクカートリッジを備えた単色用のインクヘッドとして説明するが、異なる色のインクを内蔵した複数のインクカートリッジを用紙搬送方向Xに並列配置したカラー用のインクヘッドを用いても良い。
【0036】
インクジェット印刷部5よりも用紙搬送方向Xの下流側には排紙部6が配設されている。排紙部6は、孔版印刷部4及び/またはインクジェット印刷部5において画像が形成された用紙2を吸引ファン33でベルト面に吸引しつつ搬送するベルト搬送部34、ベルト搬送部34によって搬送された画像形成済みの用紙2を積載する排紙トレイ35等を有している。用紙搬送ローラ対27,29とベルト搬送部34は図4に示す搬送駆動部47によって駆動される。
【0037】
本形態では、インクジェット印刷部5、用紙搬送ローラ対27,29、ベルト搬送部34、排紙トレイ35及び搬送駆動部47は、ユニットとなるインクジェットユニット100側に設けられている。インクジェットユニット100は、装置本体1に対して着脱可能に設けられていて、必要に応じて装置本体1に選択的に接続可能とされている。これにより、インクジェット印刷部5による印刷をしない場合には、インクジェットユニット100を装置本体1から離脱することができる。このため、孔版印刷部4での印刷のみを行う場合にはインクジェットユニット100内を通過することなく用紙を排紙できるので、搬送負荷等を軽減でき、高速印刷が可能となると共に、装置の占有スペースが小さくなる。
【0038】
インクジェットユニット100を装置本体1から離脱する場合を考慮して、排紙トレイ35はインクジェットユニット100と装置本体1に着脱可能と着脱可能とされている。このため、インクジェットユニット100と装置本体1とを離脱した場合には、インクジェットユニット100との接続面となる装置本体1の側面1Aに排紙トレイ35を装着すれば装置本体1側単独で印刷を行える。また、インクジェットユニット100を装置本体1に対して着脱可能とすることで、インクジェットユニット100を装置本体1のオプションとすることができ、ユーザーは装置本体1と個別に選択することができると共に、既存の孔版印刷装置に対して後付けすることも可能となるので、装置ユーザーのニーズに対応することができる。
【0039】
インクジェットユニット100と装置本体1には、両者を連結した際に互いに接続して通信可能となるコネクター101,102が設けられている。コネクター101は装置本体1の内部に設けられた孔版印刷制御装置37に、コネクター102はインクジェットユニット100側に設けられた制御手段としてのインクジェット制御装置49にそれぞれ接続している。
【0040】
装置本体1の上部には画像読取部40が配設されている。画像読取部40は、原稿38上の画像を読み取る移動自在な走査ユニット41A、走査ユニット41Aによって走査された画像データが入力されるCCD等の画像センサ41
B等を有する周知の構成である。
【0041】
図3は、画像形成装置に設けた操作パネルを示している。同図において操作パネル50は、画像形成装置1の装置本体の上部前面に配設されている。操作パネル50には、製版スタートキー51、プリントスタートキー52、カウンタ表示部57、LCDからなる表示装置58、4方向キー59、印刷モード切替手段としての切替キー60等が設けられている。カウンタ表示部57には各種の数値が置数され、表示装置58は階層構造となっていて各種情報を表示する。表示装置58には、各種警告内容が表示されて警告手段としての機能も備える。警告手段としては表示装置ではなく、特定の状態になると点滅又は点灯する警告燈であっても良いし、あるいは警告内容を音声で知らせる装置であっても良い。4方向キー59は、上キー59a、下キー59b、左キー59c、右キー59dを有していて各種設定時に使用される。切替キー60はセレクトスイッチであり、画像形成装置による画像形成を、孔版印刷部4のみによる画像形成、インクジェット印刷部5のみによる画像形成、孔版印刷部4及びインクジェット印刷部5による画像形成、あるいは孔版印刷部4及びインクジェット印刷部5による画像形成を行うとともに、インクジェット印刷部5で郵便情報を画像形成する何れかのモードに選択的に切り替える。
【0042】
図4は、画像形成装置の制御ブロック図を示している。本実施形態で示す画像形成装置は、装置本体1の内部に孔版印刷制御装置37を、インクジェットユニット100内にインクジェット制御装置49をそれぞれ備えている。孔版印刷制御装置37は、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータで構成されている。孔版印刷制御装置37には、給紙部3全体の駆動源を備えた給紙系駆動部42、画像読取部40全体の駆動源を備えた読取系駆動部43、製版部7全体の駆動源を備えた製版系駆動部44、画像印刷部4全体の駆動源を備えた印刷系駆動部45、ベルト搬送部25の駆動源を備えた排紙系駆動部46が出力側に接続されている。孔版印刷制御装置37の入力側には、画像読取部40と操作パネル50と、用紙搬送方向Xと直行する用紙2幅を検知する用紙幅検知手段として用紙幅検知センサ79が接続されている。孔版印刷制御装置37は、適宜各駆動部を制御して装置本体1側で行われる孔版印刷全体の動作を制御する。用紙幅検知センサ79は、給紙トレイ10において用紙幅方向Yに移動可能に設けられたサイドフェンス61の位置を検知して、給紙トレイ10の用紙2の幅を検知する周知の構成である。この用紙幅検知センサ79で検知された用紙幅情報はインクジェット制御装置49に送信される。
【0043】
孔版印刷制御装置37は、画像読取部40で読み取られたデータを製版用の画像データへと処理し、このデータに基づいてサーマルヘッド15の各発熱素子を選択的に発熱してマスタ13に対する穿孔製版を実行する用に制御する。搬送される用紙2に対するインクジェット記録ヘッド26による印刷動作や位置決めは、インクジェット制御装置49によって制御される。
【0044】
インクジェット制御装置49は、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータである。インクジェット制御装置49の出力側には、搬送駆動部47、インクジェット記録ヘッド26を駆動してヘッドからインクをインクジェット用データに応じて吐出させるヘッド駆動部48及びステッピングモータ72が接続されている。インクジェット制御装置49の入力側には用紙先端検知センサ32、ホームポジションセンサ74が接続されている。本形態において、インクジェット用データは郵便関連情報とする。この郵便関情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、例えばパソコンなどの外部端末機器からインクジェット制御装置49に入力される。郵便関連情報をインクジェット制御装置49のROMに予め記憶しておき、印刷時に読み出して用いても良い。インクジェット制御装置49は、切替キー60で郵便印刷モードが選択されて設定されると、郵便関連情報に基づいてインクジェット記録ヘッド26の位置を移動するとともに同ヘッドを選択的に駆動してインクを噴射させて画像形成を行う。郵便印刷モードでは、孔版印刷部4で印刷された用紙2に対してインクジェット印刷部5で郵便情報を印刷可能としている。本形態においては、用紙2とは、紙以外にハガキ、封筒などの各種郵便関連媒体が含まれ、特に郵便印刷モード字においてはハガキ、封筒が印刷対象物となる。
【0045】
次に、画像形成装置の基本的な動作について説明し、その後に郵便印刷モード時のインクジェット制御装置49による制御形態について説明する。
画像形成装置を用いて用紙2上に孔版印刷画像とインクジェット印刷画像とを形成する際の動作を説明する。オペレータは操作パネル50上の印刷切替キー60を「郵便印刷」の位置に切り替えると共に、画像読取部40に孔版印刷用の原稿38をセットして製版スタートキー51を押下する。製版スタートキー51が押下されると、読取駆動部43が駆動されて画像原稿走査ユニット41Aが原稿38の画像を走査してこのデータを画像センサ41Bに送ると共に、図示しない排版装置が作動して版胴20の外周面上より使用済みの製版済みマスタ19が剥離される。排版動作完了後、版胴20は印刷系駆動部45が駆動されることで、所定の給版待機位置まで回転して停止し、その外周面上に設けられた図示しないクランパを開放して給版待機状態となる。
【0046】
版胴20が給版待機状態となると、製版系駆動部43が駆動されてプラテンローラ16及びマスタ搬送ローラ対18が作動してマスタ13が送り出される。送り出されたマスタ13は、サーマルヘッド15を通過する際に画像センサ41Bに送られた画像データに基づいて穿孔製版される。製版され製版済みマスタ19となったマスタ13は印刷系駆動部45が駆動されることで版胴20のクランパにその先端を挟持された後、版胴20がマスタ13の搬送速度と同じ周速度で回転駆動されることにより版胴20の外周面上に巻装される。そして、1版分のマスタ13が搬送されるとマスタ切断手段17が作動してマスタ13が切断され、巻装動作が完了する。
【0047】
巻装動作完了後、給紙系駆動部42が駆動されて給紙ローラ11が作動して給紙トレイ10上より1枚の用紙2が給送されると共に、版胴20が低速で回転駆動される。給送された用紙2はレジストローラ対12によって一時停止された後、所定のタイミングで版胴20とプレスローラ22との間に向けて給送される。そして所定のタイミングでプレスローラ22が揺動し、用紙2を版胴20の外周面上に巻装された製版済みマスタ19に圧接させる。この圧接によりインキローラ21によって版胴20の内周面に供給されたインキが、版胴20の開孔部及び製版済みマスタ19の穿孔部を介して用紙2に転写され、いわゆる版付け動作が行われる。版付け動作により版付け画像である孔版印刷画像を転写された用紙2は、剥離爪23によって版胴20上の製版済みマスタ19より剥離された後、排紙系駆動部46が駆動されることでベルト搬送部25に送られてさらに下流へと搬送される。
【0048】
ベルト搬送部25によって送られた用紙2は、搬送駆動部47の駆動されることで用紙搬送ローラ対27によってさらに搬送される。用紙2の先端が用紙検出センサ32によって検出されるとヘッド駆動部48が駆動されてインクジェット記録ヘッド26が作動し、用紙2にはインクジェット印刷画像が形成される。
【0049】
孔版印刷部4において版付け画像を形成された後、インクジェット印刷部5においてインクジェット印刷画像を形成された用紙2は、用紙搬送ローラ対29によってさらに下流側へと搬送され、ベルト搬送部34を介して排紙トレイ35上に排出される。ここでは、インクジェット印刷部5で画像を形成したが、一般に版付けされた用紙2は、ほとんどの場合廃棄されるので、インクジェット記録ヘッド26の全てのノズル部からのインクを吐出させてインクヘッドのクリーニングとなるパージ動作を、この版付け用紙に実行するようにしてもよい。
【0050】
孔版印刷部4における版付け動作及びインクジェット印刷部5の印刷動作が完了した後、オペレータによって試し刷りキー53が押下されると、給紙系駆動部42が駆動されることで給紙ローラ11が回転動作して給紙トレイ10上より1枚の用紙2が給送されると共に、印刷系駆動部45の駆動により版胴20が設定されている印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動される。給送された用紙2はレジストローラ対12でタイミングを取られた後に版胴20とプレスローラ22との間に向けて送られ、プレスローラ22が揺動することにより孔版印刷画像を転写される。その後、用紙2はベルト搬送部25及び用紙搬送ローラ対27によって搬送され、その先端が用紙検出センサ32によって検出されるとインクジェット用のデータを印刷すべくインクジェット記録ヘッド26が作動し、その上面に郵便情報がインクジェット印刷画像として形成される。孔版印刷画像とインクジェット印刷画像とを形成された用紙2は、用紙搬送ローラ対29及びベルト搬送部34によりさらに搬送されて排紙トレイ35上に排出される。
【0051】
次に、インクジェット制御装置49による各種制御形態について説明する。
(第1の実施形態)
本形態は、図5、図6に示すように、用紙2の幅をA、インクジェット記録ヘッド26からインキが吐出される画像形成可能領域95の幅をB、郵便番号情報が印刷される郵便番号印刷領域93の用紙幅方向Yへの端部93Aから宛先情報が印刷される宛先画像領域92の用紙幅方向Yの端部92Aまでの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、インクジェット制御装置49で、A、B、Cの長さを判定し、A>Bの場合にインクジェット記録ヘッド26が郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるように移動手段36を作動するとともに、C>Bの場合には表示装置58に郵便情報画像領域が画像形成可能領域95を越えていることを表示して画像領域に関する警告を行い、宛先画像領域92を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係を、B≧Cとすることを特徴としている。すなわち、本形態において表示措置58は、警告手段として機能する。
【0052】
図5,図6において符号94は、孔版印刷部4によって印刷された画像領域を示し、この画像領域の用紙幅方向Yへの長さDは、用紙幅Aよりも短い。また、用紙幅Aは版胴20における製版領域91の用紙幅方向Yへの長さEよりも短い。
【0053】
本形態において、画像形成可能領域95の幅Bと郵便番号印刷領域93の幅C1は一定であり、各幅情報がインクジェット制御装置49のROMに予め記憶されている。また、郵便番号印刷領域93の位置は、例えば定型郵便物についてはその位置が定められているので、図7に示すように用紙幅Aに対応させてその位置となる寸法FとGがインクジェット制御装置49のROMに座標情報X1、Y1としてそれぞれ記憶されている。本形態において、用紙2としてのハガキや封筒は、郵便番号を記載する側が用紙搬送方向Xの上流側に位置するように給紙トレイ10上にセットされるため、寸法Fは用紙2の先端から郵便番号印刷領域93の前端93Bまでの距離であり、寸法Gは用紙幅Aの中心から郵便番号印刷領域93の端部93Aまでの距離とされている。
【0054】
郵便情報となる郵便番号情報には印刷する郵便番号の情報が、宛先情報には、印刷する住所と氏名及び宛先画像領域92の端部92Aの位置を示す座標情報Y4が含まれている。インクジェット制御装置49のROMには、用紙幅Aに応じた郵便番号印刷領域幅C1の座標情報Y2、Y3と、座標Y1から座標Y4までの幅Cを導出する式が記憶されている。本形態において、インクジェット制御装置49のROMには、図8に示す郵便印刷モードが設定された際の印刷印刷動作処理と図9に示す郵便印刷モード処理とが記憶されている。
【0055】
以下、図8,図9に示すフローチャートに沿って、各処理を説明する。なお、本形態においては、上述の試し刷り動作によって各画像の位置あるいは濃度等が既に確認されているものとする。
【0056】
図8のステップL1では郵便印刷モードが設定されているか否かが判断され、切替キー60によって「郵便印刷」が選択されている場合には、ステップL2に進み、「郵便印刷」が選択されていない場合にはこの制御を終える。ステップL2ではオペレータによって設定印刷枚数となる画像形成枚数をテンキー55から入力して表示装置57に置数した後ステップL3に進む。ステップL3では、プリントスタートキー52のオン状態が判断され、プリントスタートキー52がオンの場合にはステップL4に進む。ステップL4給紙系駆動部42を駆動する給紙動作を行い、ステップL5では給紙された用紙2に対する孔版印刷部4による画像形成動作(印刷動作)を実行する。ステップL4では、給紙ローラ11が回転駆動して給紙トレイ10上より用紙2が連続的に給送する。ステップL5では、版胴20が設定されている印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動され、試し刷り動作時と同様にプレスローラ22が所定のタイミングで版胴20に対して接離動作されて画像形成動作が行われる。孔版画像が形成された用紙2は、ベルト搬送部25でインクジェット印刷部5へと搬送され、ステップL6においてインクジェット印刷部5によるインクジェット印刷動作が実行され、郵便番号と宛先が印刷される。これら郵便番号と宛先が印刷された用紙2は、搬送系駆動部47の駆動により用紙搬送ローラ対29及びベルト搬送部34で搬送されて排紙トレイ35上に排出される。
【0057】
インクジェット制御装置49では、プリントスタートキー52が操作されると、その後に印刷された印刷枚数を図示しないカウンタでカウントしており、ステップL7において印刷枚数がテンキー55で入力された画像形成枚数になったか否かを判断する。印刷枚数が画像形成枚数に到達している場合には印刷終了としてこの制御を終え、到達していない場合にはステップL4に戻り、一連の流れを繰り返す。
【0058】
インクジェット制御装置49では、郵便印刷モードが設定されていると、図9に示す郵便印刷モード処理を実行する。この処理は少なくともプリントスタートキー52が押されて印刷が開始されるまでに実行されていることが好ましく、試し刷り開始時には既にこの処理を終えているのがより望ましい。
【0059】
図9において、郵便印刷モードが設定されていると、ステップM1においてインクジェット印刷部5で印刷する郵便関連情報を取り込みステップM2に進む。ステップM2では、用紙幅検知センサ79で検知した用紙幅Aを取り込み、ステップM3において取り込んだ用紙幅Aに基づき印刷対象物である用紙2のサイズをROMから選択する。ステップM4では、選択した用紙サイズに対応するから郵便番号画像領域93の位置を導出(選択)する。この導出された値は、インクジェット記録ヘッド26の初期位置からの移動距離に相当するステップ数として、すなわち、座標Y2が座標Y1と一致する移動距離として図示しないRAMに記憶されてステップM5に進む。ステップM5では、ステップM3で選択した用紙サイズから、この用紙サイズに対応する宛先画像領域92の位置となる幅Cを導出する。ここでは、用紙サイズに応じて選択される座標Y1とステップM1で取り込んだ宛名情報の座標Y4とから郵便情報画像領域の幅Cを求め、ステップM6に進む。
【0060】
ステップM6では、インクジェット記録ヘッド26による画像形成可能領域幅Bと用紙幅Aとを比較してインクジェット記録ヘッド26の移動の有無を判断する。画像形成可能領域幅Bが用紙幅Aよりも大きい場合には、インクジェット記録ヘッド26で用紙2の幅方向への印刷領域全てに対して印刷できるものとして、インクジェット記録ヘッド26は初期位置の状態におかれたまま印刷が実行されることになる。画像形成可能領域幅Bが用紙幅Aよりも小さい場合には、インクジェット記録ヘッド26では用紙2の幅方向への印刷領域全てに対して印刷できず、郵便情報の印刷ミスのおそれがあるものとしてステップM7に進む。
【0061】
ステップM7では、ステッピングモータ72を駆動してインクジェット記録ヘッド26を郵便番号画像領域93へと移動する。この移動は、座標Y1と座標Y2とが一致するまで行われる。このため、インクジェット記録ヘッド26による画像形成可能領域95の端部95Aと郵便番号画像領域93の端部93Aとの位置が一致するとともに、画像形成可能領域95内に郵便番号画像領域93が位置される。
【0062】
このようにインクジェット記録ヘッド26を郵便番号画像領域93が完全に画像形成可能領域95内に位置する部位に配置した後、ステップM8に進み、郵便情報画像領域幅Cと画像形成可能領域幅Bとを比較し、郵便情報の1つである宛名情報の印刷ミスの恐れがあるか否かを判断する。郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも大きい場合には、ここでは宛名画像領域92が画像形成可能領域95の端部95Aよりも外側にあるものとしてステップM9へ進み、領域エラーである警告表示を表示装置58で行いステップM10に進む。ステップM10では、画像形成可能領域幅Bを越えた郵便情報画像領域の位置を修正すべく宛先画像領域92の位置を画像形成可能領域幅B≧郵便情報画像領域幅Cとなるようにデータ上で移動する。すなわち、宛先画像領域92の位置を示す座標Y4が少なくとも画像形成可能領域95の端部95Aの座標Y3と一致方向に移動または縮小してステップM11する。ステップM11では、郵便情報画像領域幅Cと画像形成可能領域幅Bとの位置関係を再度比較して修正後の宛先画像領域92の位置が画像形成可能領域幅Bに位置しているか否かを判断する。ここで郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも小さければ、郵便番号とともに宛名も画像形成可能領域幅Bに位置するように補正されて、ヘッド位置補正と画像位置補正の制御を終える。
【0063】
一方ステップM8において、インクジェット記録ヘッド26の位置補正直後において郵便情報画像領域幅Cが画像形成可能領域幅Bよりも小さい場合には郵便情報画像領域の位置補正は必要ないので、ヘッド位置補正のみを行ってこの制御を終える。
【0064】
このように本形態によると、インクジェット記録ヘッド26が印刷位置を規定されている郵便番号情報を用紙2に対して印刷可能に配置されるので、印刷位置を規定されている郵便番号情報を基準に印刷を行うことができ、郵便関連情報を印刷する際の印刷ミスを低減することができる。用紙幅A、画像形成可能領域幅Bとの関係がA>Bの場合に、インクジェット記録ヘッド26が郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されるので、用紙幅Aよりも小さい画像形成可能領域95を有するインクジェット記録ヘッド26を用いて郵便関連情報を印刷しても印刷ミスを低減することができるとともに、用紙2の用紙幅方向全域をカバーするヘッドを用いる場合に比べて装置のコスト低減を図ることができる。用紙幅Aと画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cの大きさをインクジェット制御装置49で機械的に判定し、A>C>Bの場合に表示装置58を警告手段として作動させるので、インクジェット記録ヘッド26の画像形成可能領域95を越えた郵便関連情報の印刷の場合には、オペレータにその内容が警告でき、郵便関連情報の1つである宛名の印刷ミスを未然に防止することができる。
【0065】
また、インクジェット制御装置49は、A>C>Bの場合には、警告表示後に宛先画像領域92を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係をB≧Cとするので、郵便関連情報である郵便番号情報と宛先情報の双方を確実に印刷することができ、郵便関連情報の印刷ミスを未然に防止することができる。
(第2の実施形態)
本形態は、図10に示す画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に対してインクジェット印刷部5に換えて2つのインクジェット記録ヘッド26A、26Bを有するインクジェット印刷部150を備えている点に特徴がある。図10に示す画像形成装置は、インクジェット印刷部150と制御系の構成以外は、図1に示した画像形成装置と同一の構成と機能を備えている。
【0066】
インクジェット印刷部150に設けたインクジェット記録ヘッド26A、26Bは、インクジェット記録ヘッド26と同一構成である。インクジェット印刷部150には、図11に示すように、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを用紙幅方向Yに移動する移動手段136とを備えている。移動手段136は、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを四方から覆うように角型に形成された共通フレーム75と、この共通フレーム75の略中央で用紙幅方向Yに延設されて、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの一部が取り付けられた案内レール70と、共通フレーム75に回転可能に支持されてインクジェット記録ヘッド26A、26Bにそれぞれ螺合するリードネジ73A,73Aと、リードネジ73A,73Bを独立して回転させる駆動源としてのステッピングモータ72A,72Bとを備えている。ステッピングモータ72A,72Bは共通フレーム75に装着されている。
【0067】
インクジェット記録ヘッド26A,26Bは、ステッピングモータ72A、72Bが駆動されてリードネジ73A、73Bがそれぞれ回転駆動されると、その回転方向と回転量に応じて用紙幅方向Yに移動する。インクジェット記録ヘッド26A、26Bの位置は、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの初期位置を検出するホームポジションセンサ74A,74Bとステッピングモータ72A、72Bのステップ数とによってそれぞれ検出される要に構成されている。
【0068】
図10に示すインクジェット印刷部150を制御する制御手段としてのインクジェット制御装置149は、図13に示すようにインクジェット制御装置49同様、CPU、ROM、RAM、タイマなどの構成を備えた周知のコンピュータである。インクジェット制御装置149の出力側には、搬送駆動部47、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを駆動してヘッドからインクをインクジェット用データに応じて吐出させるヘッド駆動部148及びステッピングモータ72A、72Bが接続されている。インクジェット制御装置149の入力側には用紙先端検知センサ32、ホームポジションセンサ74が接続されている。本形態において、インクジェット用データは郵便関連情報である。この郵便関情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、例えばパソコンなどの外部端末機器からインクジェット制御装置149に入力される。本形態において、インクジェット記録ヘッド26Aは郵便番号情報の印刷専用であり、インクジェット記録ヘッド26Bは宛先情報の印刷専用として利用される。
【0069】
インクジェット制御装置149には、用紙幅検知センサ79で検知された幅情報A情報が入力されるとともに、この幅情報Aが予めインクジェット制御装置149のROMに記憶された所定サイズ以上の場合に、インクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号情報が印刷される郵便番号画像領域93に位置させるように移動手段136の動作を制御する。
【0070】
図12に示すように、インクジェット記録ヘッド26A、26Bによる画像形成可能領域95C、95Dの幅B1、B2と郵便番号印刷領域93の幅C1は一定であり、各幅情報がインクジェット制御装置149のROMに予め記憶されている。また、郵便番号印刷領域93の位置は、用紙幅Aに対応させてその位置となる寸法FとGがインクジェット制御装置49のROMに座標情報X1、Y1としてそれぞれ記憶されている。本形態においても、用紙2としてのハガキや封筒は、郵便番号を記載する側が用紙搬送方向Xの上流側に位置するように給紙トレイ10上にセットされるため、寸法Fは用紙2の先端から郵便番号印刷領域93の前端93Bまでの距離であり、寸法Gは用紙幅Aの中心から郵便番号印刷領域93の端部93Aまでの距離とされている。本形態において、インクジェット制御装置149のROMには、図14に示す郵便印刷モード処理が記憶されている。
【0071】
図14では、郵便印刷モードが設定されていると、ステップN1においてインクジェット印刷部150で印刷する郵便関連情報を取り込みステップN2に進む。ステップN2では、用紙幅検知センサ79で検知した用紙幅Aを取り込み、ステップN3において取り込んだ用紙幅AとROMの所定サイズとを比較する。ここでいう所定サイズとは画像形成可能領域B1B2の双方を加えた画像形成可能領域幅B3としている。
【0072】
ステップN3おいて、用紙幅Aが所定サイズよりも大きいない場合には、インクジェット記録ヘッド26A、26Bの位置を移動して補正する必要がある用紙サイズとしてステップN4に進む。ステップN4では、ステッピングモータ72Aを駆動してインクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号画像領域93へと移動する。このため、インクジェット記録ヘッド26Aによる画像形成可能領域95Cの端部95CAと郵便番号画像領域93の端部93Aとの位置が一致するとともに、画像形成可能領域95内に郵便番号画像領域93が位置される。
【0073】
一方、ステップN3おいて、用紙幅Aが所定サイズよりも大きくない場合には、インクジェット記録ヘッド26Aの位置を移動して補正する必要がないので、ステップN4をスキップしてステップN5に進む。
【0074】
ステップN5では、画像形成可能領域95Dの幅B2と宛名画像領域92の幅C2とを比較してインクジェット記録ヘッド26Bの画像形成可能領域95D内に収まる宛名画像サイズであるか否かを判断する。宛名画像領域C2が画像形成可能領域幅B2よりも大きい場合には、ステップN5に進んで領域エラーである警告表示を表示装置58で行いこの制御を終える。宛名画像領域C2が画像形成可能領域幅B2よりも小さい場合には、インクジェット記録ヘッド26Bで宛名画像領域幅C2を全てカバーできるものとして警告表示を行わず、この制御を終える。
【0075】
このように本形態によると、インクジェット印刷部150が、郵便番号情報を用紙2に印刷する第1のインクヘッドとなるインクジェット記録ヘッド26Aと、宛先情報を印刷する第2のインクヘッドとなるインクジェット記録ヘッド26Bと、インクジェット記録ヘッド26A、26Bを用紙幅方向Yに移動する移動手段136とを有するので、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。用紙幅Aが所定サイズ以上の場合に、インクジェット記録ヘッド26Aを郵便番号画像領域93に位置させるようにステッピングモータ72Aを駆動制御するため、郵便番号を所定の位置に印刷しながら宛先情報もインクジェット記録ヘッド26Bによって印刷でき、郵便関連情報の印刷ミスを防止することができる。本形態では、郵便番号をインクジェット記録ヘッド26A、宛名情報をインクジェット記録ヘッド26Bで印刷するようにしたが、郵便番号をインクジェット記録ヘッド26B、宛名情報をインクジェット記録ヘッド26Aで印刷するようにしても良い。この場合にはインクジェット記録ヘッド26Bを郵便番号画像領域93に位置させるようにステッピングモータ72Bを駆動制御すればよい。
【0076】
各形態では、インクジェット印刷部5、150及びその周辺部をインクジェットユニット100に設けて装置本体1に対して着脱自在としたが、装置本体1内に設ける形態であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像形成装置の概略正面図である。
【図2】インクヘッドを用紙搬送方向に向かって移動する移動手段の構成を示す図である。
【図3】画像形成装置に設けられた操作パネルの概略図である。
【図4】第1の実施形態にかかる制御手段とそれにつながる要素のブロック図である。
【図5】用紙幅Aとインクヘッドの画像形成可能領域幅Bと郵便情報印刷領域幅Cとの関係を説明する平面視図である。
【図6】郵便情報印刷領域サイズを画像形成可能領域側へと変更した状態を示す平面視図である。
【図7】郵便番号画像領域の位置を説明する為の設定する平面視図である。
【図8】郵便印刷モードが設定されている時の印刷動作のフローチャートである。
【図9】第1の実施形態における郵便印刷モード処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態である画像形成装置の概略正面図である。
【図11】第2の実施形態における移動手段の構成を示す平面視図である。
【図12】第2の実施形態におけるインクヘッドの画像形成可能領域と郵便情報印刷領域の関係を説明する平面視図である。
【図13】第2の実施形態にかかる制御手段とそれにつながる要素のブロック図である。
【図14】第2の実施形態における郵便印刷モード処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
4 第1の画像印刷部
5 第2の画像印刷部
26 インクヘッド
26A 第1のインクヘッド
26B 第2のインクヘッド
49、149 制御手段
58 警告手段
79 用紙幅無検知手段
92 宛先画像領域
93 郵便番号画像領域
95 画像形成可能領域
A 用紙幅
B 画像形成可能領域幅
C 郵便情報画像領域幅
X 用紙搬送方向
Y 用紙幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像印刷部と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向に順不同に並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置において、
郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、前記郵便関連情報が第2の画像印刷部で前記用紙に印刷されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記郵便関連情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、
前記インクヘッドは、前記郵便番号情報を前記用紙に印刷可能に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅をA、前記インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域の幅をBとしたとき、両者の関係がA>Bの場合に前記インクヘッドが前記郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
画像領域に関して警告する警告手段と、
前記郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から前記宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、A、B、Cの長さを判定し、A>C>Bの場合に前記警告手段を作動させる制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、A>C>Bの場合に、前記宛先画像領域を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係を、B≧Cとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の画像形成装置において、
前記インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、
前記用紙幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、
前記制御手段は、前記用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、前記用紙幅に応じた前記郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置に前記インクヘッドを配置するように前記移動手段の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記用紙幅に応じた前記宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域位置が前記画像形成可能領域内に位置するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記郵便関連情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、
第2の画像印刷部は、前記郵便番号情報を前記用紙に印刷する第1のインクヘッドと前記宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記用紙の幅を検知する用紙幅検知手段と、
用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、前記第1のインクヘッドを前記郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域に位置させるように前記移動手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1の画像印刷部と、インクヘッドからインクを吐出する第2の画像印刷部とを有し、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部とが用紙搬送方向に順不同に並んで配列されていて、第1の画像印刷部と第2の画像印刷部にて画像及び/またはインクジェット画像を搬送された用紙に対して形成する画像形成装置において、
郵便関連情報を印刷する郵便印刷モードを有し、この郵便印刷モードが設定されることで、前記郵便関連情報が第2の画像印刷部で前記用紙に印刷されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記郵便関連情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、
前記インクヘッドは、前記郵便番号情報を前記用紙に印刷可能に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記用紙搬送方向と直行する前記用紙の幅をA、前記インクヘッドからインキが吐出される画像形成可能領域の幅をBとしたとき、両者の関係がA>Bの場合に前記インクヘッドが前記郵便番号情報を印刷可能な位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
画像領域に関して警告する警告手段と、
前記郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域から前記宛先情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への宛先画像領域までの郵便情報画像領域の幅をCとしたとき、A、B、Cの長さを判定し、A>C>Bの場合に前記警告手段を作動させる制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、A>C>Bの場合に、前記宛先画像領域を変更して画像形成可能領域幅Bと郵便情報画像領域幅Cとの関係を、B≧Cとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の画像形成装置において、
前記インクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段と、
前記用紙幅を検知する用紙幅検知手段とを有し、
前記制御手段は、前記用紙幅検知手段からの検知情報に基づき、前記用紙幅に応じた前記郵便番号画像領域の位置を導出し、その位置に前記インクヘッドを配置するように前記移動手段の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記用紙幅に応じた前記宛先画像領域の位置を導出し、導出された宛先画像領域位置が前記画像形成可能領域内に位置するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記郵便関連情報は、郵便番号情報と宛先情報とを有し、
第2の画像印刷部は、前記郵便番号情報を前記用紙に印刷する第1のインクヘッドと前記宛先情報を印刷する第2のインクヘッドと、少なくとも第1のインクヘッドを用紙幅方向に移動する移動手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記用紙の幅を検知する用紙幅検知手段と、
用紙幅検知手段からの幅情報が所定サイズ以上の場合に、前記第1のインクヘッドを前記郵便番号情報が印刷される用紙搬送方向と直行する用紙幅方向への郵便番号画像領域に位置させるように前記移動手段の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−95999(P2006−95999A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287844(P2004−287844)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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