説明

画像形成装置

【課題】 シュレッダー等の高価な専用装置を用いることなく、機密情報の漏洩を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 文字抽出部101は、機密文書81から特定文字記憶部151に記憶されている特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字として抽出し、文字領域決定部102は、抽出された塗りつぶし対象文字を含む塗りつぶし領域を決定し、上書処理部103は、抽出された塗りつぶし対象文字が判別不能となるように機密文書81上の塗りつぶし領域を塗りつぶす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字等を表す画像を形成する画像形成装置に関し、例えば、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、機密情報の漏洩を防止するため、コピー機などで複製した機密文書等をシュレッダーにかけて細かく裁断して処理する機会が多く、オフィス等でシュレッダーが広く使用されている。このようなシュレッダーとしては、例えば、下記特許文献1に開示されるものがあり、独立した装置としてシュレッダーがフロア内で共用され、一フロアに一台のシュレッダーが設置される場合が多い。この場合、ユーザは裁断する機密書類等を所持して共用のシュレッダーの設置場所まで移動して使用しているのが一般的である。
【特許文献1】特開2005−095898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シュレッダーは、高価であるとともに、独立した専用スペースが必要であるため、シュレッダーを所有できない場合もあり、この場合には、ユーザが機密文書の機密情報個所を判別して手作業で塗り潰す必要があり、非常に時間のかかる作業を強いられることとなる。また、シュレッダーを所有している場合であっても、ワークスペースに対して設置台数が少ない場合が多く、ユーザは離れた場所まで移動して裁断を行う必要があり、移動時間を取られることとなる。
【0004】
本発明では、上記課題を解決するためのものであり、シュレッダー等の高価な専用装置を用いることなく、機密情報の漏洩を防止することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、塗りつぶし対象となる特定文字を予め記憶する記憶手段と、既に文字が印刷された印刷媒体から前記記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字として抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象文字を含む前記印刷媒体上の塗りつぶし領域を決定する決定手段と、前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象が判別不能となるように前記決定手段により決定された塗りつぶし領域を塗りつぶす塗りつぶし手段とを備えるものである。
【0006】
上記の画像形成装置においては、既に文字が印刷された印刷媒体から記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字が塗りつぶし対象文字として抽出され、抽出された塗りつぶし対象文字を含む印刷媒体上の塗りつぶし領域が決定され、抽出された塗りつぶし対象文字が判別不能となるように、決定された塗りつぶし領域が塗りつぶされるので、機密情報となる特定文字を判読不能に自動的に塗りつぶすことができ、シュレッダー等の専用装置を用いることなく、機密情報の漏洩を防止することができる。
【0007】
前記塗りつぶし手段は、前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象文字の色と同一色を用いて前記決定手段により決定された塗りつぶし領域を塗りつぶすことが好ましい。この場合、機密情報となる特定文字をその文字色と同色で塗りつぶしているので、特定文字を確実に判読不能とすることができ、機密情報の漏洩を確実に防止することができる。
【0008】
前記画像形成装置は、ユーザの操作に応じて特定文字を塗りつぶすための塗りつぶし指示を受け付ける指示受付手段をさらに備え、前記抽出手段は、前記指示受付手段により塗りつぶし指示が受け付けられた場合に、既に文字が印刷された印刷媒体から前記記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字を特定文字として抽出することが好ましい。
【0009】
この場合、ユーザの操作に応じて特定文字を塗りつぶすための塗りつぶし指示が受け付けられ、塗りつぶし指示が受け付けられた場合に、既に文字が印刷された印刷媒体から特定文字と一致する文字が特定文字として抽出され、抽出された塗りつぶし対象文字が判別不能となるように、抽出された塗りつぶし対象文字を含む印刷媒体上の塗りつぶし領域が塗りつぶされるので、ユーザは、必要に応じて、機密情報となる特定文字を判読不能に塗りつぶすことができる。
【0010】
前記画像形成装置は、ユーザの操作に応じて新たな特定文字を受け付ける文字受付手段をさらに備え、前記抽出手段は、前記文字受付手段により受け付けられた新たな特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字としてさらに抽出することが好ましい。
【0011】
この場合、ユーザの操作に応じて新たな特定文字が受け付けられ、受け付けられた新たな特定文字と一致する文字が塗りつぶし対象文字としてさらに抽出され、抽出された新たな塗りつぶし対象文字も判別不能となるように、抽出された新たな塗りつぶし対象文字を含む印刷媒体上の塗りつぶし領域が塗りつぶされるので、ユーザは、必要に応じて、機密情報となる特定文字を追加することができ、機密情報となる種々の特定文字を判読不能に塗りつぶすことができる。
【0012】
前記画像形成装置は、装置本体に対して着脱可能に構成され且つ新たな特定文字を記憶する可搬記憶媒体をさらに備え、前記抽出手段は、前記可搬記憶媒体が装置本体に装着された場合、前記可搬記憶媒体に記憶されている新たな特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字としてさらに抽出することが好ましい。
【0013】
この場合、可搬記憶媒体が装置本体に装着されたとき、可搬記憶媒体に記憶されている新たな特定文字と一致する文字が塗りつぶし対象文字としてさらに抽出され、抽出された新たな塗りつぶし対象文字も判別不能となるように、抽出された新たな塗りつぶし対象文字を含む印刷媒体上の塗りつぶし領域が塗りつぶされるので、ユーザは、塗りつぶすべき特定文字を記憶させた可搬記憶媒体を装置本体に装着するだけで、機密情報となる特定文字を容易に追加することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既に文字が印刷された印刷媒体から記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字が塗りつぶし対象文字として抽出され、抽出された塗りつぶし対象文字を含む印刷媒体上の塗りつぶし領域が決定され、抽出された塗りつぶし対象文字が判別不能となるように、決定された塗りつぶし領域が塗りつぶされるので、機密情報となる特定文字を判読不能に自動的に塗りつぶすことができ、シュレッダー等の専用装置を用いることなく、機密情報の漏洩を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態による画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ1は、記録紙11を収納する給紙部10と、印刷済みの印刷媒体である機密文書81を載置する文書トレイ80と、電子写真プロセスにより記録紙11や機密文書81上に所定のトナー像を形成する4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kと、このトナー像を記録紙11や機密文書81上に定着させる定着部40と、給紙部10から画像形成部30Cへ記録紙11や機密文書81を搬送する用紙搬送部20と、記録紙11や機密文書81を排出する排出部50と、機密文書81の文字を読み取る読取部70と、外部メディアI/F(インターフェース)部90と、操作表示パネル120とを備えている。
【0016】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された記録紙11の束をフィードローラ21の回転動作によって1枚ずつ給紙カセット13の出口側(図1の右側)に送り出し、用紙搬送部20に給紙するようになっている。用紙搬送部20は、給紙部10から給紙された記録紙11を画像形成部30C,30M,30Y,30Kに向けて搬送する。
【0017】
トレイ80は、機密情報が記載された機密文書81を載置するためのトレイであり、ユーザは、機密情報となる塗りつぶし対象文字が印刷された機密文書81をトレイ80にセットする。載置された機密文書81は、搬送ローラ82に挟持されつつその駆動により読取部70に搬送される。読取部70の上流には、用紙センサ24が設置されており、搬送されてきた機密文書81を検知する。読取部70は、用紙センサ24により機密文書81が検知されると、機密文書81に印刷された文字等を画像データとして読み取る。機密文書81は、読取部70を通過した後、用紙搬送部20により画像形成部30C,30M,30Y,30Kに向けて搬送される。
【0018】
上記4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのトナーに応じて設けられており、上流側からシアントナーを有する第1画像形成部30C、マゼンダトナーを有する第2画像形成部30M、イエロートナーを有する第3画像形成部30Y、ブラックトナーを有する第4画像形成部30Kが直列に配置されている。これら第1〜4画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれ円筒状の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと、帯電器32C,32M,32Y,32Kと、露光器33C,33M,33Y,33Kと、現像器34C,34M,34Y,34Kと、転写ローラ35C,35M,35Y,35Kと、クリーナー36C,36M,36Y,36Kとから構成されている。またこれら第1〜4の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと第1〜4の転写ローラ35C,35M,35Y,35Kとにより、一繋がりの用紙搬送ベルト38が狭持されている。
【0019】
用紙搬送ベルト38には、ベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が取り付けられており、このベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が回転することによって用紙搬送ベルト38が走行し、用紙搬送ベルト38上の記録紙11や機密文書81を上流側の第1画像形成部30Cから下流側の第4画像形成部30Kに向かって搬送する。なお、上記現像器34C,34M,34Y,34Kには、それぞれのトナータンク39C,39M,39Y,39Kからトナーが適宜供給される。
【0020】
上記第4画像形成部30Kの下流側には定着部40が配置される。定着部40は、画像形成部30C,30M,30Y,30Kにおいてトナー像が転写された記録紙11や機密文書81を加熱及び加圧し、記録紙11や機密文書81上にトナー像を定着させる。そして、定着部40を通過した記録紙11や機密文書81は、用紙搬送路15に送られ、排出部50から排出される。また、図1には図示していないが、タンデム型カラープリンタ1には後述する制御部(図2参照)が備えられており、この制御部からの指令によって上記各部が制御されている。
【0021】
操作表示パネル120は、タッチパネル及び液晶表示パネル等から構成され、液晶パネル上にタンデム型カラープリンタ1の動作状況等を表示し、また、その表面にはタッチパネルが設けられている。また、操作表示パネル120には、非読処理開始ボタン121がタッチキーとして設けられ、ユーザが非読処理開始ボタン121を押下することにより、機密情報である塗りつぶし対象文字が判別不能となるように塗りつぶす非読処理の開始指示が受け付けられる。非読処理の開始指示が受け付けられると、搬送ローラ82による機密文書81の搬送が開始され、読取部70は機密文書81の読取りを開始する。
【0022】
外部メディアI/F部90は、所定データの読込を行うスロットであり、持ち運び可能な可搬記憶媒体であるメモリーカード91を着脱可能に構成される。メモリーカード91には、ユーザがコンピュータ等を用いて追加した機密情報を表す特定文字(文字、記号等を含む)が予め記憶されており、外部メディアI/F部90は、メモリーカード91に記憶されている特定文字を読み出す。メモリーカード91として、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))メモリーカード、SD(Secure Digital)メモリーカード等の取り外し可能な各種メモリーカードを用いることができる。
【0023】
図2は、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ1の概略構成を示すブロック図である。本図に示す通り、タンデム型カラープリンタ1は、読取部70、画像記憶部71、制御部100、特定文字記憶部151、印刷部160、外部メディアI/F部90、操作表示パネル120、用紙センサ24、搬送ローラモータ制御部130を備えている。
【0024】
操作表示パネル120の非読処理開始ボタン121が押下されると、操作表示パネル120は、非読処理の開始指示を制御部100へ出力し、制御部100は、搬送ローラモータ制御部130を用いて搬送ローラ82及びベルト駆動ローラ62等を制御して機密文書81を装置内部へ搬送する。
【0025】
読取部70は、CCD(電荷結合素子)等から構成され、用紙センサ24により機密文書81が検知されると、搬送されてきた機密文書81を光学的に読み取り、機密文書81に印刷された文字等の画像データを取得して制御部100に出力するものである。読み取られた機密文書81の画像データは、画像記憶部71に一時的に保存される。
【0026】
特定文字記憶部151には、機密情報となる所定の文字データ(特定文字データ)が予め格納されており、この特定文字データに基づいて機密情報の非読処理が行われる。通常、機密情報として、数字が挙げられる場合が多いことから、例えば、初期データとして数字データが格納されている。また、機密情報はユーザにより異なる場合があるため、特定文字記憶部151の特定文字データを操作表示パネル120、外部メディアI/F部90、PC(パーソナルコンピュータ)等を用いて、書き換え、追加又は削除することが可能である。
【0027】
操作表示パネル120は、ユーザがタッチパネルを用いて任意の特定文字を直接入力するために使用される。したがって、特定文字記憶部151に記憶されていない特定文字以外の文字を塗りつぶし対象文字に設定したい場合、ユーザはタッチパネルにより直接特定文字を追加して特定文字記憶部151に記憶させることができ、次回から入力した文字について再度直接入力する手間を省くことができる。
【0028】
また、外部メディアI/F部90は、各種メモリーカード91に記憶されたデータを読み込むスロットであって、メモリーカード91に特定文字を記憶させて非読処理を行わせることが可能である。追加したい特定文字が多数存在する場合、上記操作表示パネル120上からの入力では操作が煩雑となるため、予めメモリーカード91に特定文字を記憶させておき特定文字記憶部151に所望の特定文字を追加することができる。上記と同様に、メモリーカード91により追加した特定文字は、特定文字記憶部151に記憶させることができるため、次回からの入力作業を省くことができる。
【0029】
制御部100は、ROM111に予め記憶しているタンデム型カラープリンタ1全体の動作プログラムをCPU等で実行することにより、図2に示した各構成部分を制御するとともに、機密文書81から得られた画像データを基に、特定文字を検出して非読処理を行うための塗りつぶし領域を決定する。
【0030】
制御部100の文字抽出部101は、画像記憶部71にて記憶した機密文書81の画像データから機密文書81上の特定文字すなわち塗りつぶし対象文字を抽出する。すなわち、文字抽出部101は、画像データに対して公知の文字認識処理を実行して画像データ内に含まれる文字を認識し、特定文字記憶部151に記憶されている特定文字のフォントデータを基に、認識した文字が特定文字であるか否かを判別して画像データ内の特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字として抽出する。また、文字抽出部101は、特定文字として抽出した塗りつぶし対象文字の色を検出する。
【0031】
制御部100の文字領域決定部102は、文字抽出部101によって抽出された特定文字に対し、その特定文字が判読不能になるように塗りつぶすための塗りつぶし領域を決定するとともに、文字抽出部101によって検出した色を塗りつぶし領域の色として決定する。塗りつぶし領域としては、塗りつぶし対象文字1文字毎に塗りつぶし領域を決定したり、特定文字が複数の文字及び記号等から構成される場合、又は複数の特定文字が連続する場合、連続する文字列を一纏めにして全体を塗りつぶし可能な領域を一つの塗りつぶし領域として決定したりすることができる。
【0032】
例えば、図3(a)に示す文字列「1…2/34」が機密文書81に記載され、特定文字記憶部151の特定文字として数字「1」、「2」、「3」、「4」が設定されている場合において、図3(a)の文字列のうち塗りつぶし対象文字Laは「1」、「2」、「3」、「4」である(「/」は対象外となる文字Lbである)。したがって、塗りつぶし対象文字1文字の全体をその構成単位とした場合、実線で示した領域が塗りつぶし領域Raとして決定される。
【0033】
また、塗りつぶし対象文字が連続して存在する場合には、当該連続した塗りつぶし対象文字全体を完全に取り囲む領域を1つの塗りつぶし領域Rbとして決定してもよい(図3(b)「34」部分)。さらに、文字列中に対象外となる文字Lbが存在していても、当該行全体の文字を取り囲む領域を塗りつぶし領域Rcとして決定してもよい(図3(c))。なお、塗りつぶし領域は、上記の例に特に限定されず、機密文書81の文字記載領域全体を取り囲む領域を塗りつぶし領域として決定するようにしてもよい。
【0034】
制御部100の上書処理部103は、文字領域決定部102により決定された塗りつぶし領域を文字領域決定部102により決定された色で塗りつぶすための画像データを生成し、印刷部160(画像形成部30Y,30M,30C,30K等)を用いて機密文書81上の特定文字を塗りつぶす。具体的には、塗りつぶし領域について、対象文字全体を塗りつぶすベタ塗りや複数の線により上書きするなど、塗りつぶし領域が判読不可能になる手法により上書処理される。
【0035】
次に、上記のように構成されたタンデム型カラープリンタ1による非読処理について図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0036】
ユーザが、図5(a)に示す機密情報が印刷された機密文書81をトレイ80に載せ、操作表示パネル120付近に付設された非読処理開始ボタン121を押下すると、まず、ステップS1において、制御部100は、操作表示パネル120から非読処理の開始指示を受け付け、非読処理を開始する。このとき、所望の特定文字がある場合には、ユーザは、操作表示パネル120によって直接入力するか、外部メディアI/F部90に所望の特定文字を記憶させたCFカード等のメモリーカード91を挿入することにより、新たな特定文字を特定文字記憶部151に記憶させ、その後、非読処理開始ボタン121が押圧されると、上記と同様に非読処理が開始される。
【0037】
次に、ステップS2において、制御部100は、操作表示パネル120からの特定文字の追加の有無を判断し、操作表示パネル120から特定文字の直接入力有りと判断した場合には、ステップS10において、入力された特定文字データを特定文字記憶部151に追加し、特定文字候補のデータを更新する。
【0038】
次に、ステップS3において、制御部100は、メモリーカード91からの特定文字の追加の有無を判断し、外部メディアI/F部90にメモリーカード91が挿入され、メモリーカード91に新たな特定文字が記憶されていると判断した場合には、ステップS11において、メモリーカード91の特定文字データを特定文字記憶部151に追加し、特定文字候補のデータを更新する。なお、特定文字が追加された場合、特定文字記憶部151において特定文字候補のデータ更新を行っているが、その他の記憶媒体に一時的に格納し、必要な場合に読込みを行う構成としてもよく、また、メモリーカード91から直接読込みを行う構成としてもよい。
【0039】
次にステップS4において、制御部100は、画像データの取得を行う。すなわち、制御部100は、非読処理の開始指示を受け付けると、搬送ローラモータ制御部130を用いて搬送ローラ80を駆動し、機密文書81をプリンタ1内へ搬送させる。このとき、用紙センサ24が機密文書81に検出し、読取部70は、機密文書81の読込みを開始して機密文書81全体を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを画像記憶部71に一旦保存する。
【0040】
次に、ステップS5において、文字抽出部101は、特定文字の抽出を行う。すなわち、文字抽出部101は、画像記憶部71から機密文書81の画像データを取り込み、公知の文字認識処理を実行して機密文書81における文字を認識する。次に、文字抽出部101は、認識した文字が特定文字記憶部151に記憶している特定文字に一致するか否かを判別し、特定文字であると判断した文字を塗りつぶし対象文字として抽出するとともに、塗りつぶし対象文字の色を検出する。
【0041】
次に、ステップS6において、文字抽出部101は、機密文書81の全ての文字に対して特定文字の抽出処理が終了したか否かを判断し、抽出処理が終了していない場合はステップS5の抽出処理を繰り返し、抽出処理が終了した場合はステップS7へ処理を移行する。
【0042】
次に、ステップ7において、文字抽出部101は、特定文字の有無を判断し、上記の特定文字の抽出処理を行った結果、機密文書81内に特定文字が存在していた場合には、ステップ8へ処理を移行し、機密文書81内に特定文字が存在していなかった場合には、文字抽出部101は、塗りつぶし処理を行わず、機密文書81をそのままプリンタ1から排出させて処理を終了する。
【0043】
次に、ステップ8において、文字領域決定部102は、塗りつぶし領域の決定を行う。すなわち、文字領域決定部102は、塗りつぶし対象文字であると判断した文字に上書きすることで判読不能となる領域及び塗りつぶし色を決定する。
【0044】
次に、ステップ9において、上書処理部103は、塗りつぶし領域を塗りつぶす上書き処理を行う。すなわち、上書処理部103は、文字領域決定部102により決定された塗りつぶし領域を文字領域決定部102により決定された色で塗りつぶすための画像データを生成し、当該画像データを印刷部160へ出力して機密文書81上の塗りつぶし領域を塗りつぶす。
【0045】
このように、図4のフローチャートに基づいて非読処理を行えば、例えば、特定文字の存在する行全体を塗りつぶし領域であると設定した場合において、図5(a)に示した機密文書81は、図5(b)に示すように塗りつぶされてプリンタ1から排出される。したがって、機密情報が外部に漏洩することを防止できる。
【0046】
なお、本実施の形態では、タンデム型カラープリンタを例として説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の非読処理を適用したプリンタ、コピー機、ファクシミリ及びこれらの機能を有する複合機等とすることが可能である。また、塗りつぶし対象文字の色と同一色を用いて、塗りつぶし領域を塗りつぶしているが、塗りつぶし対象文字の色とは無関係に黒色等の濃い色を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図3】塗りつぶし領域の様態を示す図である。
【図4】図2に示すタンデム型カラープリンタによる非読処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】非読処理前後の機密文書を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
24 用紙センサ
70 読取部
71 画像記憶部
80 トレイ
82 搬送ローラ
100 制御部
101 文字抽出部
102 文字領域決定部
103 上書処理部
120 操作表示パネル
121 非読処理開始ボタン
130 搬送ローラモータ制御部
151 特定文字記憶部
160 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗りつぶし対象となる特定文字を予め記憶する記憶手段と、
既に文字が印刷された印刷媒体から前記記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字として抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象文字を含む前記印刷媒体上の塗りつぶし領域を決定する決定手段と、
前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象文字が判別不能となるように前記決定手段により決定された塗りつぶし領域を塗りつぶす塗りつぶし手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記塗りつぶし手段は、前記抽出手段により抽出された塗りつぶし対象文字の色と同一色を用いて前記決定手段により決定された塗りつぶし領域を塗りつぶすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザの操作に応じて特定文字を塗りつぶすための塗りつぶし指示を受け付ける指示受付手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記指示受付手段により塗りつぶし指示が受け付けられた場合に、既に文字が印刷された印刷媒体から前記記憶手段に記憶されている特定文字と一致する文字を特定文字として抽出することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザの操作に応じて新たな特定文字を受け付ける文字受付手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記文字受付手段により受け付けられた新たな特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字としてさらに抽出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体に対して着脱可能に構成され且つ新たな特定文字を記憶する可搬記憶媒体をさらに備え、
前記抽出手段は、前記可搬記憶媒体が装置本体に装着された場合、前記可搬記憶媒体に記憶されている新たな特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字としてさらに抽出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−10809(P2007−10809A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189127(P2005−189127)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】